p.60 抽出テキスト
比べて,skeletonized法のBITA使用のリスクは同等で, non-skeletonizedのBITAではリスクが1.8倍であった616).また,インスリン治療の糖尿病,女性,BMI高値は胸骨創感染の独立した危険因子であった616).リスク回避の目的で,仮にskeletonized法のSITAの使用にとどめても,nonskeletonized SITAのリスクと有意差はなかった616).さらに,胸骨創感染発生後の治療成績は,陰圧補助閉鎖治療や感染対策チームの成果により治療法が確立されたため,死亡率が数%~10%台に低下している783, 784).したがって,年齢や合併疾患を考慮したうえでBITAの適用を適切に判断することが推奨される. d. グラフト戦略の比較と選択 SITA+SVとSITA+第2の動脈グラフトとの比較試験は比較的多く報告されている(表43) 296, 590, 651, 690, 763, 785–797).いずれも第2の動脈グラフト使用群の予後が良好との結果になっている.Schwannらの多施設共同研究では,RITA複数動脈(MAG)群とRAMAG群では予後に差はなく,どちらもSITA群より良好であった763).また,全動脈グラフト(TAR)群はSITA+SV群より予後良好であったとし ている794). PCIの成績向上も動脈グラフトの使用を後押ししている. SITA+SVによるCABGは,薬剤溶出性ステントによるPCIと比較して長期的優位性に乏しく798),これからのCABGで第一に考慮する術式として,複数の動脈グラフトの使用が標準的であるべきといえる. 手術後の寿命を考慮して,年齢により動脈グラフトの使用を判断することもありうるが,たとえ80歳以上であっても,ITAとRAの複数動脈グラフト使用により,短期的・長期的メリットが得られるとする報告もある799). GEAも,第2 の動脈グラフトとして考慮されうるが, GEAはRCAが主な標的となるグラフトであり,現状ではあくまで「第3の動脈グラフト」とされることが多い. 7.1.3 第3の動脈グラフト 第3の動脈グラフトが予後の改善に有効であるとの報告は,限定的ながら複数存在する.LCAにBITAを使用した 表41 橈骨動脈(RA)グラフトと大伏在静脈(SV)グラフトの比較 文献著者・研究, 報告年比較研究方法例数主な結果,所見観察期間グラフトの使用方法, 標的など流入路 11 12 RAPS 2004,2012 SV対RA RCT 561 RA:開存良い 7.7年狭窄度>70%,径1.5 mm以上のRCAまたはLCXで,どちらにRAとSVを使うかをランダム化ACB 13 RSVP 2008 SV対RA RCT 142 RA:開存良い 5年 側壁(主にLCX)に使用する グラフトをランダム化 ACB 14 RAPCO 2010 (Group 2) SV対RA RCT 225開存率同等,MACE同等5.5年LAD以外で最大の標的へのグラフトをランダム化. LCX:RCA:Dx はRA で70:25:5,SVで60:37:3 ACB 15 Goldman 2011 SV対RA RCT 733開存率同等1年LAD:LCX:RCA はSV で14:59:27,RA で14: 55:31 ACB:SV で99%,RA で92% 16 Petrovic 2015 SV対RA RCT 200 開存率,イベント発生率 に差がない 8年 RA:LCXへ74%,Dxへ9%, RCAへ17% ACB 17 Cao 2013 SV対RA メタ解析 1708 RA:開存良い(中期まで) 4年以上 18 Zhang 2014 SV対RA メタ解析 RA:開存良い,再血行 再建少ない 1~8年 19 Gaudino 2018 SV対RA メタ解析 RA:5年間の開存良い, 心イベント少ない 60ヵ月 20 Athanasiou 2011 SV対RA メタ解析 RA:開存良い(中・長期) 21 Benedetto 2010 SV対RA メタ解析 開存率同等 ACB: 大動脈・冠動脈バイパス,Dx: 対角枝,LAD: 左前下行枝,LCA: 左冠動脈,LCX: 左回旋枝,RCA: 右冠動脈