p.58 抽出テキスト
プ法による脳梗塞リスク低減効果は明らかでない753). 6.1.3 オフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)時 サイドクランプ法を対照とした場合,大動脈ノータッチ法は脳梗塞発症リスクを軽減する754).血管性状が良好な場合,吻合補助デバイス(Heart String, Enclose II)のサイドクランプ法に対する優位性は明らかでない(クラスIIb,レベルB).経大動脈壁心エコー所見により中等度以上の大動脈硬化病変が認められる場合,吻合補助デバイスはサイドクランプより脳梗塞リスクを軽減する可能性がある752, 754–757). したがって,OPCABにおいてグラフトの大動脈中枢吻合は,ノータッチ法と比較して血流競合の回避または完全血行再建のためにより有用である場合に,脳梗塞発症リスクの上昇程度を評価検討したうえで,適応となる. 6.2 適応と方法 6.2.1 SVグラフト 大動脈壁性状がきわめて悪い場合を除き,大動脈への吻合が望ましい(クラスI,レベルC).端側吻合を行い,グラフトのねじれが起きないように,吻合部位と走行に注意を払う. 6.2.2 RAグラフト 中枢吻合部位を有茎ITAグラフトとした,YまたはI複合グラフトとしての使用と大動脈直接吻合との間で,長期開存性に差はなく,必要に応じて大動脈中枢吻合を行ってよい758).SVグラフトと同様,端側吻合を行う. 6.2.3 遊離ITAグラフト ITAグラフトを遊離グラフトとして使用した場合,シーケンシャル吻合により多くの冠動脈の血行再建が可能となる(クラスIIb,レベルB) 759, 760).直接上行大動脈に吻合する場合,特に内胸動脈が細い日本人では技術的困難,吻合部狭窄の懸念がある.上行大動脈に吻合されたSVグラフト,RAグラフトの吻合部直上に遊離ITAを大動脈中枢吻合するpiggyback法,Vグラフト法は有茎グラフトと比較して少なくとも同等の長期開存を期待できる759, 760).有茎グラフトが標的血管に届かない,シーケンシャル吻合を要する,または末梢吻合部の太さに懸念があるなどの場合, ITAを遊離グラフトとしてYグラフトとする他に,piggyback,Vグラフト法によりACグラフトとして使用できる. 6.2.4 その他のグラフト 遊離胃大網動脈(GEA)をAC吻合で用いることは可能である(クラスIIb,レベルC) 761). 6.3 グラフト種と予後,遠隔期開存性 RAグラフトはITAグラフトに次ぐ第2のグラフトとして使用された場合,SVグラフトよりも遠隔期開存性に優れ,心イベント発生率,再血行再建率の低減が期待される(クラスIIa,レベルB) 684, 762, 763).ただし,BITAグラフト使用下で第3の動脈グラフトとして使用した場合にSVグラフトより遠隔期成績がよいかどうかは明らかでない(クラスIIb,レベルC) 764). SVグラフトと比較してAC吻合遊離ITAグラフトは開存性に優れる(クラスIIa,レベルB) 759, 760, 763) 直接AC吻合した遊離RITAとRAグラフトは遠隔期心イベント回避率,開存性において同等である(クラスIIb,レベルB).ただし,AC吻合に限定せず第2の動脈グラフトとして用いた場合,遠隔期成績はRITAグラフトが優れる可能性があるが,早期合併症が増加する可能性がある(クラスIIb,レベルB) 687, 763, 765–767). 7 グラフトの使用法 表40 グラフトの使用法に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 左冠動脈前下行枝(LAD)への同所(左)内胸動脈(ITA)グラフトの使用I B上行大動脈高度石灰化例に対する同所動脈グラフト,もしくは複合グラフトを用いたオフポンプ手術(OPCAB) I B第2 の動脈グラフト(橈骨動脈RA もしくは右(対側の)ITA)の使用IIa B第2 の動脈グラフトの左冠動脈領域への使用IIa C胸骨創感染の危険因子のない例に対する両側内胸動脈(BITA)グラフトの使用IIa B 70 歳未満の症例に対するBITA グラフトの使用IIa B