p.57 抽出テキスト
断片を丁寧に洗浄し摘出する. 5.3.4 術後抗凝固療法 on-lay patch grafting術後の抗凝固療法は重要である.特に内膜摘除を行った部分は血栓形成傾向が強く,早期血栓閉塞のリスクが大きいので,術後早期に抗凝固療法を開始する必要がある.術後出血が安定した時点でヘパリンの静脈内投与を開始し,経口が可能になれば抗血小板薬とワルファリンの内服に切り替える. 5.4 on-lay patch graftingの成績 on-lay patch grafting法では早期血栓閉塞の影響が少ないため,開存率を含めた成績は良好である.BarraらはLADにITAを使用し,開存率は95%と報告している739). Fukuiらも内膜摘除を伴わないon-lay patch grafting法で開存率98%と報告している740). 一方,内膜摘除後の開存率は,使用するグラフト,施行した方法(クローズド法かオープン法か),施行した血管部位などによりさまざまである.クローズド法とオープン法を比較した研究では,オープン法の遠隔期開存率は89%,クローズド法では81%と,オープン法が有意に良好であった745).Schwannら746)は使用するグラフトで開存率が異なるかどうかを遠隔期の造影で比較し,動脈グラフト(ITAとRA)のほうが静脈グラフトより良好であったとしている.これは,一般的にCABGにおいて静脈グラフトより動脈グラフトのほうが開存率が良いことと同じ意味と判断できる.摘除部位に関してはほぼ差はないとする報告747)があるが,一定した見解はない.Erdilら748)はクローズド法で右冠動脈に施行し,遠隔期に全て開存していたと報告している. Nishigawaら749)はオープン法でLADにITAを吻合することで90%以上の開存率を得ている. 6 グラフト大動脈中枢吻合 表39 グラフト大動脈中枢吻合に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル オフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)時の脳梗塞のリスク軽減のための大動脈ノータッチ法(サイドクランプ法より有用) I B大動脈壁評価,大動脈中枢吻合の可否とその部位,遮断部位,送血部位の判断のための経大動脈壁心エコー法IIa B中等度以上の大動脈硬化がある場合の,サイドクランプに代わる大動脈中枢吻合補助デバイスの使用IIa B遊離内胸動脈(ITA)グラフトを用いる際,他グラフトをカフとする(有茎グラフトと同等). IIa B橈骨動脈(RA)グラフトの直接大動脈中枢吻合(ITA グラフトを流入路とするY/I グラフトと開存性同等) IIa B グラフト大動脈中枢吻合において考慮すべきは次の3点である.1大動脈操作に伴う動脈硬化片の遊離やガスの迷入による脳卒中の回避,2長期開存性の良好なグラフトデザインの中での,大動脈中枢吻合の適応と技術的側面, 3大動脈・冠動脈(AC)吻合に用いた場合のグラフト種別の遠隔期開存性. 6.1 大動脈操作に伴う脳卒中の回避 6.1.1 大動脈壁性状の評価 経大動脈壁心エコー法のルーチン施行は大動脈壁評価のために推奨される.大動脈中枢吻合の可否とその部位,遮断部位,送血部位の判断のために推奨される750–752). 6.1.2 オンポンプ冠動脈バイパス術(ONCAB)時 ONCABにおいて,1回のクロスクランプ中に大動脈中枢吻合まですべて終了するシングルクランプ法は,クロスクランプ解除後にあらためてサイドクランプをかけるダブルクランプ法に対し,理論的には大動脈操作が減るため脳 梗塞のリスク軽減が期待される.しかし,シングルクラン図5内膜摘除術で摘出した冠動脈内膜