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p.46 抽出テキスト

との優劣を十分に考慮すべきである.出血リスクが著しく高い場合や抗凝固療法下に塞栓症を発症する場合には,リスク低減のために経皮的左心耳閉鎖術が考慮される472).経皮的左心耳閉鎖術(Watchmanデバイス)に関しては,ワルファリンとの2 つの大規模RCT(PROTECT AF試験473), PREVAIL試験474))が実施されており,5年間の経過で経皮的左心耳閉鎖術はワルファリンに比べ,脳梗塞全体の発症率に差はないものの,出血性脳梗塞,心血管死亡,総死亡を有意に軽減することが示されている475).

7.2 CABG

表29 心房細動合併例に対するCABG に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

心房細動合併例に対するCABG 施行時の,洞調律復帰を目的とした外科的アブレーションの併施IIa B心房細動合併例に対するCABG 施行時の,脳梗塞予防を目的とした左心耳閉鎖術または切除術の併施IIb C

CABG施行症例においては,術前からの心房細動合併が周術期と遠隔期の予後不良因子であることが示されている.米国Medicareに基づく検討で,術前の心房細動合併はCABG後の遠隔期死亡率のみならず,遠隔期の脳梗塞と全身塞栓症の発症率を有意に上昇させると報告している476).また,心房細動の合併例と非合併例を比較した12の後ろ向き観察研究のメタ解析でも,心房細動の合併は周術期死亡を64%,周術期脳梗塞を50%,遠隔期死亡率を74%上昇させると報告している477).これらの結果から,術前に心房細動を合併しているCABG症例においては,塞栓症予防を念頭に心房細動への積極的な治療介入を追加する必要性が検討されている.

7.3 外科的アブレーション

僧帽弁手術時における心房細動に対する外科的アブレーションの追加手術は,洞調律復帰率を有意に高めるので有用であることがRCTで示されている478).しかしながら,僧帽弁手術は左房切開が必須であるのに対し,CABGや大動脈弁置換術(AVR)は本来左房切開を伴わない.特に本邦では体外循環を用いないOPCABが普及しており,これらの手術に外科的アブレーションを追加した場合の手術侵襲の増大を,僧帽弁手術と同等に扱うことはできないと考えられる.ところが,CABGやAVRに外科的アブレー

ションを追加しても手術リスクは必ずしも増大しないことが,複数の後ろ向き比較研究で報告されており,単施設の比較研究ではあるが単独CABGまたはAVR群と外科的アブレーション追加群の間で手術死亡率に差がみられないことが報告されている479, 480).さらに,Medicareを用いた解析では単独CABG群と外科的アブレーション追加群は,術後90日の死亡率に有意な差がないばかりでなく,術後90日以降の死亡率が外科的アブレーション実施群のほうで低いことが示されている481).このように,CABG後に外科的アブレーションを追加しても手術死亡リスクの増大とはなっていない.

CABGに外科的アブレーションを追加することの実際の効果に関する検討は,対照群のない観察研究や規模の小さな比較研究に限られる.このため十分なエビデンスとはいえないが,有効性が示唆されている.DamianoらはCABGを施行した47例(7例の僧帽弁同時手術例を含む)にメイズIII手術を実施し,平均5.7年の追跡期間で心房細動回避率が98%であったと報告している482).CABGでは左房切開を回避できる肺静脈隔離術によってもメイズ手術に近い治療効果が得られることが,複数の小規模RCTで示されていることは特筆すべきである.95例のCABG症例を肺静脈隔離術+CABG,縮小メイズ手術+CABG,単独CABGの3群に割り付け,植込み型心電ループレコーダーを用いて検証したRCTにおいて,肺静脈隔離術の心房細動回避率は縮小メイズ手術と同等(80%対86.2%)であった483).35例を対象に単独CABGと肺静脈隔離術+ CABGを比較したRCTでは,肺静脈隔離術の追加により心房細動回避率が上昇したと報告している484).また, OPCABに肺静脈隔離術を追加した33例の1年後の心房細動回避率は71%であったとの報告がある485).これらの成績を受け,2017年のSTSのガイドラインでは,CABG施行時における洞調律復調のための外科的アブレーションをクラスIで推奨している486).

7.4 左心耳閉鎖術

心臓手術時に追加で行う外科的左心耳閉鎖術は,以前から広く行われているが,その有用性に関しては十分なエビデンスが確立されていない.2つのRCTと5つの観察研究を統合したメタ解析では,周術期脳梗塞を54%,遠隔期脳梗塞を52%,総死亡率を62%軽減することが示されている487).さらにMedicareに基づく2 つの後ろ向き観察研究でも,脳梗塞と総死亡を有意に軽減することが示されている488, 489).一方で,CABG症例を対象にした他の大規