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p.42 抽出テキスト

5.1.2 頚動脈病変の治療方針

表25 CABG 予定症例の頚動脈病変の治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

症候性の頚動脈高度狭窄病変に対する頚動脈内膜剥離術(CEA)または頚動脈ステント留置術(CAS) I C無症候性の両側高度狭窄病変,または無症候性で対側の閉塞を合併している片側高度狭窄病変の治療IIb C無症候性の片側頚動脈高度狭窄病変の治療III B

PCI周術期の脳梗塞発症率は低いため,一般的にはCABGを施行する症例に合併した頚動脈病変に対する治療適応が問題となる.治療適応の有無を判断するためには,頚動脈病変に起因する周術期脳梗塞のリスクの程度,また治療によってそのリスクをどれだけ軽減できるかを,評価する必要がある.このため,両側頚動脈の高度狭窄が懸念される場合は脳血流シンチグラフィを行う407).頚動脈エコーやMRIを用いた病変の性状の評価も参考となる409).頚動脈内膜剥離術(CEA)/頚動脈ステント留置術(CAS)を行う脳外科チームの技量も,治療適応を決定するうえでの重要な要素であり,周術期脳梗塞・死亡のリスクが脳梗塞既往のない患者で3%未満,既往のある患者で6%未満であることが望ましい139, 413).

治療適応の判断や治療時期の決定に際しては,心臓外科・循環器内科・脳外科・神経内科を含む横断的チームで協議が行われるべきである139, 411–415).しかしながら,頚動脈の治療をCABGと一期的に行うかあるいは二期的に行うかに関しては,CEA/CASともに十分なエビデンスが得られていない.なお,CASの後にCABGを行う場合には抗血小板薬2剤を4週間投与後に行うことが望ましい416, 417).頚動脈病変に対する薬物治療,CEA,CASの詳細は「脳卒中治療ガイドライン2015」418)を参照のこと.

5.2 その他の末梢動脈疾患

下肢の末梢動脈疾患(PAD)を合併する患者は,下肢症状の有無にかかわらず,心血管疾患の罹患率および死亡率が高く419),心筋梗塞既往例,PCI施行例,CABG施行例において下肢PADの合併は主要心血管イベント(心血管死,心筋梗塞,脳卒中の複合)の危険因子である420, 421).このため,冠動脈疾患が疑われ冠動脈造影検査を行う際には,足関節上腕血圧比(ABI)検査で下肢PAD合併を評

価することが推奨されている412, 422).また,下肢PAD合併例のPCIにおいて,長期の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT) (24週)は短期DAPT(6週)よりも出血性合併症を増加させることなく複合心血管イベント(死亡,心筋梗塞,脳血管イベント)を有意に減少させることが報告されている423).なお,下肢PAD合併例に冠動脈造影検査やPCIを実施する場合には橈骨動脈アプローチが推奨される422).

6 再血行再建

6.1 PCI後の再狭窄

6.1.1 フォローアップ冠動脈造影の意義

PCI後のフォローアップ冠動脈造影は,さまざまな治療成績の比較や再狭窄の過程などを理解するうえで有用な検査であり,PCI後6~8ヵ月で認められた造影上の無症候性再狭窄は4年後の死亡に関連したという観察研究もある424).このためルーチンでのフォローアップ冠動脈造影を実施することの意義がReACT試験で検証されている. PCI後の700例がフォローアップ冠動脈造影施行群と未施行追跡群のいずれかに割り付けられ,複合エンドポイント(総死亡,心筋梗塞,急性冠症候群による緊急入院,脳卒中,心不全による入院)の発生率が比較された.結果は, 5年後の複合エンドポイントに両群間で差はなく,ルーチンでのフォローアップ冠動脈造影は早期の再血行再建を増加させるというものであった425).その他のRCTの事後解析でも,虚血の証明がない症例に対しルーチンでフォローアップ冠動脈造影を実施することの臨床的意義は明らかではないとする報告が多く,むしろ遠隔期血行再建を増やす(oculo-stenotic reflex)ことが指摘されている426, 427).

これらを受けて,2018年のESC/EACTSのガイドラインでは推奨レベルはIIbの位置づけとなっており64),本ガイドラインにおいてもルーチンでのフォローアップ冠動脈造影は推奨しない.原則としてフォローアップ冠動脈造影は有症候例,虚血の徴候がある症例に限定されるべきであろう.左主幹部病変など再狭窄が致死的イベントに直結する可能性を有する症例におけるフォローアップ冠動脈造影は一定の意義を有すると考えられるが,いわゆる高リスク例におけるフォローアップ冠動脈造影に関するエビデンスは欠如しており,冠動脈CTなど非侵襲的な検査による代替