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加するので,症例ごとに検討されるべきである310). 2.3.4 術後の血糖コントロール 術後の合併症発症率と死亡率は術後高血糖と関連していることが多くの研究で示されている311–316),とくに術後2日間の高血糖が縦隔炎の単独独立危険因子と報告されている315, 316).術後の最適な血糖値の指標を示す強固なエビデンスはまだ存在しないが,STSからの報告は,術後血糖値150 mg/dL以上は合併症発症率,死亡率の上昇と関連していることから,100~150 mg/dLを管理目標と提案していた317).しかし最近では,厳格な血糖コントロールよりも180 mg/dLまでの中等度コントロールのほうが,死亡率や合併症発症率が低いという報告も散見され318, 319),術後の血糖コントロールは180 mg/dL未満が妥当と考えられる. 3 慢性腎臓病合併例 慢性腎臓病(CKD)は本邦の成人人口の約13%にあたる1330万人が罹患し,新たな国民病ともいわれている. CKDは年齢とともに増加する320)ため,超高齢社会を迎えた本邦における重要性はますます増大すると考えられている.CKD患者における冠動脈疾患の有病率は高く,冠動脈疾患発症の相対リスクは非CKD患者の1.9倍と報告されている321).透析に至る末期腎不全だけでなく,CKD初期の段階から心血管死亡の重要な危険因子となることが知られ322),むしろ末期腎不全よりも心血管疾患で死亡する確率が高い323).CKD患者の死因の約50%を心血管死が占め,血行再建を含め冠動脈疾患の管理を適切に行うことが重要である.しかしながら,CKD患者を対象としたRCTはほとんどなく,エビデンスの多くは観察研究や大規模RCTのサブ解析の結果に基づくものである. 3.1 腎機能障害の程度の評価 2002年に米国腎臓財団(K/DOQI)からCKDの定義と診断基準,病期分類が提唱されている324).CKDの具体的な診断基準には,1糸球体濾過量(GFR)の値にかかわらず,腎障害を示唆する所見(検尿異常,画像異常,血液異常,病理所見など)が3ヵ月以上存在すること,2GFR< 60 mL/min/1.73m 2が3ヵ月以上持続することの2項目があり,この片方または両方を満たす場合にCKDと診断される. 推算糸球体濾過量(eGFR)は,血清クレアチニン値(Cr),年齢,性別の3つのデータから計算される.本邦に おけるCKDの日常診療において日本腎臓学会が推奨するeGFR推定式は以下である325). eGFR(mL/min/1.73m 2)=194×Cr-1.094×年齢-0.287 (女性はこれに×0.739) 3.2 腎機能低下の程度と血行再建の予後 冠動脈疾患患者においてCKDは血行再建の初期成績のみならず長期成績を規定する重要な因子であることが報告されている326, 327).STSのNational Adult Cardiac Databaseに登録された,2000年から2003年の間のCABG施行48万例の解析では,CABG術前のeGFRは周術期の死亡と最も関連の強い因子であった326).このようにCKD例では非CKD例に比べて,CABGの急性期予後は不良であるが,生存退院した症例の遠隔期生存率は良好であったことが報告されている328).またCKD例において,CABGはPCIに比べ,術後早期の透析導入や死亡のリスクは高いが,遠隔期生存率は同等もしくは上回ることも示されている329, 330). デューク大学病院で1995年から2000年の間に心臓カテーテル治療が実施され冠動脈に有意狭窄を認めた4584例を対象に,腎機能と予後の関係が解析されている331).腎機能正常~中等度低下の例では,薬物治療群に比較してPCI施行群で5年生存率が有意に高かったが,腎機能高度低下例ではPCIの予後改善効果は認めなかった.一方CABG施行群では,腎機能にかかわらず薬物治療群に比較して5年生存率が有意に高く,腎機能高度低下例ではPCI群に比較しても有意に長期成績が優れていた.このように,CKDは冠動脈疾患患者に高率に合併し,そのCKDの重症度は血行再建の予後規定因子であるのみならず,治療法の選択においても考慮しなければならない重要な因子である. CREDO-Kyoto PCI/CABG Registry Cohort-2に登録された全15,939例中,生存退院した患者のうち腎機能について評価可能であった14,706例が,血行再建前のeGFR値と透析の有無により4群に分類され,3年間の心血管イベント(心筋梗塞または死亡)発生率について検討された332, 333). PCIを施行された12,588例中,腎機能正常の7899例と腎機能軽度低下の3780例における3年間の無イベント生存率はそれぞれ91.2%,85.3%と比較的良好であったが,腎機能高度低下の461例(eGFR<30 mL/min/1.73m 2)と透析下の448例ではそれぞれ66.7%,61.5%とかなり不良であった.一方,CABGを施行された2118例中,腎機能正常の1070例と腎機能軽度低下の787例における3年間の無イベント生存率はそれぞれ91.9%,87.1%でPCI群と同等で