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p.35 抽出テキスト

はさらに,術前左室リモデリングの程度や術式などから術後ESVIを予測する式を示した上で,術後ESVIの予測によりSVRのレスポンダーを同定可能であるとしている241).

一方,SVRの追加によりある程度予後が改善されたとしても,長期生存が得られるとは限らない.SVRの適応を考えるうえでは,リスク予測モデルを用いたSVR術後生存期間予測も考慮に入れるべきである243, 244).本邦で実施された後ろ向き研究(J-STICH研究)では,SVR施行の596例を検討した結果,INTERMACS分類,僧帽弁閉鎖不全の重症度,LVEF,年齢の4つの術前因子が術後予後予測因子として同定され,これらを用いて算出したリスクスコアから分類した低・中・高リスク群の術後3年生存率はそれぞれ93%,81%,44%であった243).このように低~中リスク例では術後生存率は良好であり,レスポンダーに対するSVR追加は十分有効であると考えられる.一方,高リスク例では良好な長期予後を期待することは難しく,緩和療法や補助人工心臓装着,心臓移植を考慮すべきと考えられる241).

SVRは左室瘤に対する手術として始まり,その後,広範無収縮領域を主体とするいわゆる虚血性心筋症に応用されるに至った.左室瘤と虚血性心筋症ではSVR術後の生存期間が異なるとされてきたが245),一方で左室形態はSVRの予後に影響しないという報告もあり246, 247),少なくとも術前の左室形態によりSVRの適応を制限する必要はないと考えられる.また,左室瘤などの瘢痕組織が巨大血栓形成や難治性不整脈の起源となっている場合には外科的介入を考慮すべきである.

心筋バイアビリティ残存の程度は血行再建術後の予後と相関するとされ248),SVRの適応や予後を考えるうえで重要な因子とされてきたが,CABGとCABG+SVRの予後比較において心筋バイアビリティの程度は交互作用を有しないとする報告もあり249),一定の見解は得られていない.

1.4.4 術式

SVRの術式にはパッチの使用,心筋切開の部位や心筋切除の有無,術後心室形態などにより特徴づけられる種々の方法が存在するが250–253),どの術式が優れているかを結論づけるのに十分な比較検討はなされていない.瘢痕の部位に応じた左室切開254),サイザーによる過縮小予防255),左室形態の回復などを考慮に入れ,それぞれの術式の特性を理解したうえで,患者の状態に適した術式を選択することが肝要である. 2 糖尿病合併例

2.1 糖尿病と冠動脈疾患

2016(平成28)年の厚生労働省の報告で,糖尿病(DM)が強く疑われる日本人は約1000万人,可能性を否定できない人も約1000万人で,合わせると国民の約24%にものぼる256).冠動脈疾患はDM患者の主要な死亡原因であり257–259),冠動脈疾患死亡率は非DM患者の場合の約3倍である.また冠動脈疾患既往がないDM患者でも,冠動脈疾患既往のない非DM患者に比べて心筋梗塞発症率が約6倍と報告されている260).

DM患者は他の合併疾患が多く,び漫性,かつ小血管といった血行再建に不向きな病変を特徴とする.また,無症候性に経過することが少なくないため,血行再建のタイミングが遅れることもしばしば経験する.したがって,的確な診断が要求される.血行再建の際,DMはその手法を決定するうえで重要な規定因子であるが,DMの病態は個々の症例で差異が大きいため総合的な判断が求められる.

本邦の日常臨床において血行再建を要する患者のうち40%以上がDMを合併しており261),欧米の20~30%に比べてかなり高率である262).

2.2 PCI

表17 糖尿病(DM)合併例に対するPCI に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

ステント留置では第2 世代以降の薬剤溶出性ステント(DES)を選択する. I Bメトホルミン服用例ではPCI 前後48 時間休薬する. I C

DM例の冠動脈病変はLMT病変・多枝病変・び漫性病変が多く,血管径が細い・石灰化が強い・高血糖の血管内皮への影響など,PCIの適応あるいはデバイス選択において難しい点が多い.このため病変成功率や長期予後という点から高リスクの病変である.ベアメタルステント(BMS)時代にはステント再狭窄が高率であったが,薬剤溶出性ステント(DES)の登場によりDM例においても再狭窄率は