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第5章 特殊な病態における血行再建 1 心不全例,低心機能例 表16 慢性心不全および左室収縮能障害(LVEF ≦35%)の症例に対する血行再建の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 心筋バイアビリティを有する例に対する血行再建 * I B左冠動脈主幹部(LMT)の有意狭窄病変およびLMT 相当の病変(左冠動脈前下行枝LAD 近位部,左冠動脈回旋枝LCX近位部双方の高度狭窄)を有する例に対するCABG I C LAD の有意狭窄病変を有する例および多枝病変例に対する,死亡または心疾患による入院の予防を目的とするCABG I B冠動脈の解剖がPCI に適している例に対するPCI IIa C内科治療が無効な巨大血栓や心室性不整脈を伴う左室瘤に対する左室形成術(SVR) I C前壁瘢痕組織を有する低左心機能例で, SVR 追加により術後左室の収縮終期容積係数(ESVI)40~80 mL/m2 を期待できる場合の,CABG +前壁切開SVR IIa B後壁瘢痕組織を有する低左心機能例に対するCABG +後壁切開SVR IIb C SVR について高リスクが予測される例に対するSVR III B *第1章 診断-4. 心筋バイアビリティの評価,P. 16参照 冠動脈疾患は慢性心不全の原因として最も大きな割合を占める.左室機能の低下した症例では,血行再建の有無にかかわらず心臓突然死のリスクを考慮する必要があり,植込み型除細動器(ICD)による治療の適応に関しては常に評価されるべきである211). 1.1 慢性心不全例でのエビデンス 虚血による心不全の患者に対する治療選択として,冠動脈血行再建は薬物治療単独の場合と比較し,遠隔期生存率が高いことから有効であり,推奨されている135, 211).しかしながら,至適な血行再建の方法については未だ議論がなされている. 冠動脈血行再建と薬物治療とを比較したRCTとしては, STICH試験でのCABGに関する研究がある211).この試験での1つの解析では,LVEF<35%の低左心機能例に対するCABGを行った場合の30日死亡率は5.1%で,許容しうるものであった212).また,STICH試験の観察期間をさらに延長させたSTICH Extension試験(STICHES)では,薬物治療に加えてCABGを行った場合,薬物治療のみと比較して10年生存率が有意に高かったと報告している.この結果は,STICH試験の結果をさらに後押ししているものといえる211). 観察研究では本邦におけるCREDO-Kyoto PCI/CABG Registry Cohort-2 のデータがあり,心機能別にみたCABGの予後が報告されている.CABG単独を施行された1877例が抽出され,心機能正常群(LVEF>50%,心不全なし,1489例),収縮不全群(LVEF≦50%,心不全あり,236例),拡張不全群(LVEF>50%,心不全あり, 152例)における予後の比較が行われた213).30日死亡率は正常群0.5%,収縮不全群3.0%,拡張不全群0.7%と収縮不全群で有意に高かったが(P=0.003),5年の総死亡率は正常群14%,収縮不全群27%,拡張不全群32%と拡張不全群で最も高率であった(P<0.001).また,交絡因子の調整後も拡張不全群の5年死亡率は正常群よりも高く,収縮不全群とほぼ同等であった. PCIに関しては,低心機能例を対象とした薬物治療とのRCTは行われておらず,PCI単独の治療成績はいくつかの観察研究に限られる.5377例(70%以上の症例でDESを使用)を対象とした後ろ向き研究は,LVEF>50%,41~ 50%,25~40%,<25%の4群間で1年後の標的病変再血行再建(TLR)に差はみられなかったが,LVEF>50%の