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らには,CABG単独に加えてCABG+弁置換術(主に大動脈弁)も追加された156).2018年にはこれまで蓄積された膨大なデータをさらにアップデートして,心臓血管外科のさまざまな領域での分析に拡張している157, 158). 欧州では簡便性の高いEuroSCOREが広く受け入れられ普及した.2012年には改訂版であるEuroSCORE IIが公開され,その正確性が向上した159).EuroSCORE IIは基盤となった患者データが43ヵ国154施設からの2万2381例であるが,その収集時期が2010年の5月~7月の12週間のみであるがためにバイアスがかかっているとの報告もある160).とはいえ,その簡便な入力方法のおかげで,いまだに本邦を含めて世界中で広く使用されている152). 本邦では2000年から全国規模のデータベース構築が開始された.日本心臓血管外科手術データベース(JCVSD)である.発端は1999年のアジア心臓血管胸部外科学会(ASCVTS)で,北米にはSTSリスクモデルがあり,欧州にはEuroSCOREがあるが,アジアにはないので新たに創ろうとの気運が高まった.しかし,いきなりアジア全体で始めるのは困難であるため,パイロットスタディとしてまずは本邦で始めてみようということになった.当初5施設で開始し,入力項目と定義はSTSデータベースの協力を得てほぼそのまま借用した.2004年には当時としては先駆的であったウェブベースの入力システムを導入し,参加施設も徐々に増加していった161).2008年には独自のリスクモデルが構築され,本邦初のオリジナルのリスク計算式, JapanSCOREが公表された162).2011年にはリスクモデルが更新され163),リスク計算式もJapanSCORE IIにアップデートされて,正確性が増した.2018年には汎用性拡大のためにスマートフォン(iOS,Android)のアプリも公開され,臨床現場で好評を得ている. 欧米のリスク計算式はその国の患者情報を使用しており,また国ごとの医療システムの違いにも影響を受けるため,計算結果がどの国でも同じように正しいとは限らない. STSリスク計算式とEuroSCOREとの比較も当初から行われている164).国が違えば正確性が鈍化するのはやむを得ないであろう165).STSとEuroSCORE II,そしてACEF (Age,Creatinine,Ejection Fraction)スコアの3者を比較検討したメタ解析があるが,ACEFスコアに比して前二者が優良であり,STSとEuroSCORE IIとの間には有意差が認められなかったと報告している166).しかしながら,質の高さからいえばSTSリスク計算式に一日の長があるといわざるをえない.STSリスク計算式は活発に更新されているが,EuroSCORE IIは更新される様子がないからである. 本邦独自のリスク計算式であるJapanSCOREは本邦の患者情報を用いているがために,理論上は欧米のリスク計算式よりも日本人への適合性が良いはずである.Kurazumi らは自施設の523例のデータを用いてEuroSCOREと比較検討した結果,全体の受信者動作特性曲線(ROC,C係数)はLogistic EuroSCORE が0.688,JapanSCORE が 0.770 であり,単独CABGに限れば0.564 と0.790 と JapanSCOREのほうが有意に(P=0.001)優れていた167).梅原らは自施設の733例を用いて同様の検討を行い, Logistic EuroSCOREとJapanSCOREのC係数は0.740と0.806であったと報告した168).われわれの日常臨床現場で用いるのであれば,やはり本邦独自の計算式を用いることが科学的にも妥当と思われる. 心臓血管外科手術のデータは日進月歩であり,それに伴いデータベースも日々更新されるべきである.よりよい臨床結果を導くためにも,さらに質の高いデータベースを構築するべく努力を注いでいく必要があろう. 3 病変部位,罹患枝数と治療方針 3.1 治療方針決定の要因 冠動脈疾患の治療成績は薬剤溶出性ステント(DES),至適薬物治療,内胸動脈グラフト,オフポンプ冠動脈バイパス術といった治療手段の進歩によって着実に改善されてきた169).そして,個々の治療手段の優劣はそれぞれの時代を反映した臨床試験によって検証されてきた.併せてリスク評価指標や治療法の選択のプロセスも大きく変わってきた.しかし,ガイドラインでカバーできる症例は全体の20~30%に限定されるといわれており,米国では実際のプラクティスを加味した意見の収束をシナリオごとに推奨で示した「適切性基準」(AUC)が導入されている. そこで,今回の本ガイドライン改訂においても,最新のエビデンスに立脚しつつ,本邦の現況に鑑みて現実的かつ汎用性のある血行再建の指針作成を目指した.結果として,表13 の病変分類の基本的な考え方は米国の2017年版AUCに類似したものとなった.本ガイドラインでは左冠動脈前下行枝(LAD)近位部に対するPCIをクラスIIaで推奨した.レジストリー以外の最近のエビデンスは不十分ではあるが,現場では有効と認識され標準的に施行されていることを考慮したものである.米国の2017年版AUCでも同様にappropriateとして推奨されている170).一方,LAD近位部病変以外の1枝病変に対する考え方は日米で大きく異なる.本邦ではJ-SAP試験の結果を受けて幅広くPCIが