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p.23 抽出テキスト

観察期間は動脈グラフトを用いたCABGのメリットを評価するためには短すぎる点を考慮すべきである135–138).

血行再建の施行はメリットがリスクを上回ることが前提であり,実臨床で血行再建の必要性を考慮する場合にはリスク評価,ハートチームによる運用が重要な役割を担う.

2 リスク評価指標

表10 血行再建の術前におけるリスク評価の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

外科手術リスクの評価JapanSCORE,STS スコアを用いた,CABG による院内死亡率の推測IIa C

冠動脈病変の複雑性の評価SYNTAX スコアを用いた,左冠動脈主幹部(LMT)病変,多枝病変の複雑性の評価I B

SYNTAX スコアII を用いた,多枝病変に対する治療方針の決定IIa B

血行再建の治療法選択においては,治療で得られる利益が治療で被る損失を上回ることが必須である.このバランスによって薬物治療,PCI,CABGのいずれかが選択される.このため利益,損失を推測するリスク評価指標は治

療方針決定の基本となる.

2.1 PCIにおけるリスク評価指標

リスク評価指標は短期予後リスクの指標と中・長期予後リスクの指標に大別される.代表的な指標を表11 139)に示す.30日の短期予後指標にはSTSスコア,EuroSCORE IIなどがあるが,PCIの短期予後予想におけるこれらの指標の有用性は示されていない.これはPCIの初期成績が著しく向上したためである.したがってPCIの予後予測のためのリスク評価指標としては中期,長期予後の指標が該当する.この点はCABGにおけるリスク評価の位置づけとは全く異なっている.CABGでは長期的な予後の改善よりも周術期リスク回避にウェイトが置かれる.

2.1.1 冠動脈造影による指標

冠動脈疾患の自然歴は罹患病変枝数により影響されることから,疾患の重症度は病変枝数で層別されてきた.この分類は最も簡単であるが,灌流域の広さを直接反映したものではない.そこで,各病変が占める虚血域を概算する「危険度スコア」(jeopardy score)が考案された.病変狭窄度を25%以下,25%,50%,75%,95%,100%の6段階に,また冠動脈を6 つのセグメントに分類し(図2)

140),

75%以上の狭窄を2ポイントとしてセグメントごとにポイントを加算して求めることができる.簡単な指標であるが,

表11 血行再建のリスク評価指標

指 標対象アウトカムCABG に

おける有用性PCI における有用性

短期予後の指標STS 100%CABG入院または30 日死亡,および院内死亡◎

EuroSCORE II 47%CABG院内死亡〇△ NCDR CathPCI 100%PCI院内死亡△ EuroSCORE 64%CABG術死亡× × JapanSCORE 100%CABG術死亡◎

中・長期予後の指標SYNTAX主要脳心血管イベント〇◎

SYNTAX II 50%CABG 4 年死亡〇〇ASCERT CABG 100%CABG 2 年後以降に死亡ASCERT PCI 100%PCI 1 年後以降に死亡〇Logistic Clinical SYNTAX 100%PCI 1 年主要心血管イベントおよび死亡〇

◎非常に有用,〇有用,△有用性は限定的,×有用でない(Windecker S, et al. 2014 139) を参考に作表)