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第2章 ハートチームによる治療方針決定 1 チーム医療の必要性 日本循環器学会の「安定冠動脈疾患における待機的PCIのガイドライン(2011年改訂版)」においても,第1章で適応決定プロセスにおける内科・外科の協力について言及し,左冠動脈主幹部(LMT)病変や多枝病変,特に糖尿病や低左心機能の多枝病変,弁膜症合併例などでは,内科医と外科医との共同討議を踏まえて,治療方針を患者に提案することが望ましいとされている. しかし,冠動脈疾患の治療方針決定は内科医,外科医の共同討議だけで十分とはいえない.経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)の導入によってもたらされた新しいチーム医療は,冠動脈疾患におけるチーム医療にも再考を促しつつある. 2 ハートチームの役割 冠動脈血行再建が必要か否か,必要な場合にPCIとCABGのどちらが適しているかを判断し,方針を患者に提示することが,冠動脈疾患の治療におけるハートチームの一義的な役割である.超高齢社会を背景として,多くの合併症,複雑な社会的問題を有する症例が増加しており,多職種ハートチームによる集学的な治療方針検討の必要性が高まっている. 冠動脈病変の解剖学的特徴のみを評価するのではなく,弁膜症や低心機能,腎機能障害や糖尿病,全身血管病などの併存疾患を併せもつ「患者」を評価する必要がある.さら抗血小板薬の忍容性,心房細動や静脈血栓症など抗凝固薬内服継続の必要性の有無,出血リスクの程度,将来的な観血的治療の可能性なども考慮しなくてはならない.身体的・社会的・精神心理的なフレイル(脆弱性),生活状況,患者・家族の希望なども治療方針の決定に大きな影響を有する. 3 ハートチームの要件 ハートチームにおいては,1その構成メンバーが定められており,2治療方針決定プロセスが明示され,3治療アウトカムが測定され,かつ共有されていることが求められる.インターベンション医と心臓外科医による合同カンファレンスではなく,一般循環器科医,麻酔科医,合併疾患に関する専門医,全身状態や社会・家族背景を把握した看護師などを含めた構成が望ましい(表6). チームリーダーはバランスの取れた中立的な医師が担い,医師以外のメディカルスタッフも発言しやすいような環境づくりを心掛ける必要がある.お互いの信頼関係が重要であり,強制的,一方的な発言は厳に慎むべきである.活発な議論が患者に最適な医療の提示につながる.どのような症例をハートチームで検討し,どのような形で集学的検討を行い,その結果をいかに記録してインフォームドコ 表6ハートチームの構成とワークフロー 構成● インターベンション医● 心臓外科医● 侵襲的医療に携わらない循環器科医(チームリーダー) ● 麻酔科医● 合併症に関係する診療科の医師● 病棟看護師● 必要に応じてその他の職種ワークフロー・ 定期的に症例検討会が開催される.・ 症例検討会に提出する患者が定義され合意されている.・議事が構造化され,カルテに記録されている.・ 症例検討会に提出された患者の治療結果が共有されている.・ PCI,CABGの治療結果が全国データベースに登録され,共有されている.・ 死亡例,重篤な合併症事例の合同検討(M&M検討会)を経て治 療法の改善がなされている.