p.15 抽出テキスト
2 非侵襲的虚血評価 表4血行再建のための非侵襲的虚血評価法の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 冠動脈疾患罹患の中等度リスクを有する症例に対する,非侵襲的検査(SPECT,負荷心エコー法,PET,パーフュージョンMRI)を用いた虚血の存在,虚血域の範囲の評価I A冠動脈CT における中等度以上の狭窄に対する血流予備量比CT(FFRCT)を用いた虚血評価IIb B 虚血の存在診断に関しては,運動が可能で心電図で虚血評価が可能な場合,運動負荷心電図検査が行われるが,感度60%台,特異度70%台程度と診断精度がやや低い11, 12).そのためデュークスコアなどで総合的なリスク評価を行い,中等度リスクもしくは判定不能の場合は,冠動脈CTA(CT血管造影)もしくは運動負荷心筋SPECTを行う13). 運動が不可能または心電図で虚血評価が困難な場合,冠動脈CTAか薬物負荷心筋SPECT,薬物負荷心エコー法を行う13).冠動脈CTAの診断精度は感度85%,特異度90%,陰性的中率83%程度だが14),検査前確率が低い場合は陰性的中率が99%と高く15),除外診断に適している. CTパーフュージョン16)や血流予備量比CT(FFRCT) 17)を加味すると特異度と正診率が向上するが,FFRCTが0.7~0.8の病変枝では正診率が46.1%と報告されており18),診断精度に不安が残る.そのため適正使用指針では,1左冠動脈主幹部(LMT)または2枝以上にステントを有する例, 2CABG既往例,3発症30日以内の急性心筋梗塞例などを適応除外としている19).一方,胸痛を有する例に対しFFRCTを用いることにより,臨床イベントを増加させることなく不要な冠動脈造影検査を減らし20, 21),医療費削減につながる可能性があることも報告されている22, 23). SPECTの診断精度は感度73~92%,特異度63~87%程度である24–27).冠動脈の石灰化が高度な(石灰化スコア>400)場合や,心房細動または期外収縮多発例,腎機能低下例で造影剤を使用しにくい場合などでは,SPECTが優先される.CT,SPECTの代わりにパーフュージョンMRIを考慮してもよい28). 3 侵襲的虚血評価 表5血流予備量比(FFR),瞬時血流予備量比(iFR)によ る虚血評価の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 多枝病変例において,主病変以外の,非侵襲的検査で虚血が証明されていない中等度狭窄病変に対してPCI を行う場合I A無症候例においてPCI の適応血管を決定する場合IIa B左冠動脈主幹部(LMT)の中等度~高度狭窄病変に対してPCI を行う場合IIa B 多枝病変に対してPCI を行う場合IIa B PCI の適応とならない小血管,分枝の病変III C 冠動脈造影での狭窄度と機能的狭窄度(虚血の程度)との関連にはある程度の解離が存在する.右冠動脈,左回旋枝や末梢病変では造影上の狭窄度を過大評価し,左冠動脈主幹部(LMT)や左冠動脈前下行枝(LAD)近位部の病変では狭窄度を過小評価しうることが報告されている29, 30).そのため,冠動脈造影所見と非侵襲的負荷検査の結果や自覚症状などの臨床所見とが相反する結果を示す場合には,虚血評価のためにFFR計測が有用である.なお, FFRによる虚血の証明はその後の冠動脈血行再建の適応を判定するために行う.すなわちFFRガイドの対象となるのは,解剖学的にステント留置,バイパス吻合の対象となる血管であることが前提となるため,血行再建の適応とならない小血管,分枝においてはFFR計測自体の適応がないと考えるべきである. 冠動脈狭窄の非侵襲的負荷検査(運動負荷心電図,負荷心エコー法,負荷心筋シンチグラフィ)で虚血を示すFFRの閾値は0.75とする報告が多く,FFR 0.75~0.80は虚血の可能性を含む境界域として扱われている31, 32).現在の薬剤溶出性ステント(DES)の適応閾値としては,その良好な成績に鑑みFFR 0.80 が用いられている.FFRにより虚血陰性と判定された病変・患者の予後は良好で,少なくとも虚血陰性の病変に対するステント治療は内科治療と比べて予後を改善しないことが,DEFER試験33–35),FAME試験36–38),CVIT-DEFER試験39)により示されている.逆に,