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p.12 抽出テキスト

針に留まった.

そこで2017年に,PCIとCABGの併記を基本方針とした新たなガイドラインの改訂作業が開始された.冠動脈疾患の治療は単一の治療法により完結するものではなく,症例にとって最良の治療法を選択,実践する上でハートチームによるアプローチが必須であるという考え方が推奨され,これが世界標準となってきたためである.その改訂作業の成果が本ガイドラインである.

改訂のポイントは以下の5点である.いずれも日常診療に大きくかかわってくる改訂であるが,最新のエビデンスに立脚した重要な指針であり,冠動脈疾患の診療体系に組み込むことを強く推奨した.なお,本ガイドラインで取り上げるのは安定冠動脈疾患であり,急性期疾患は除外されている.

1 至適薬物治療と生活習慣の是正を合わせた広義の

optimal medical therapy(OMT)の概念が確立され,適切に症例を選択すれば冠動脈血行再建術に劣らない効果が期待できることを明記した. 2. 機能的狭窄度評価(虚血の評価)の有用性が確立され,

中等度狭窄の評価において解剖学的狭窄度評価は標準ではなくなった.併せて,狭窄度ガイドの治療よりも虚血ガイドの治療を優先することを推奨した.

3 冠動脈病変の複雑性の評価では冠動脈病変枝数と

SYNTAXスコアを採用した.

4 リスク評価指標に基づく治療方針の決定が普遍的な成

績を得るうえで有効であることが実証されていることから,第4章の「病変部位,罹患指数と治療方針」の項(P. 27)における推奨表(表13)でクラスIIbおよびクラスIIIの症例についてのハートチーム・アプローチによる議論を推奨した.

5 血行再建の意義を踏まえたPCI,CABGの適正化が求

められていることに言及した.

真の治療効果の評価はRCTにより可能であるが,実際の臨床現場におけるPCIとCABGの適応・治療成績の評価はRCTやメタ解析の結果のみからでは困難である.したがって多施設大規模レジストリー研究も重視した.また本邦における実際の安定冠動脈疾患患者の病態,治療な

らびに成績が欧米と異なることは知られているが,レベルの高いエビデンスの多くは欧米のものである.海外のエビデンスの外挿の妥当性を考察するため,本邦のエビデンスを可能な限り引用したが,このギャップは依然として小さくなかった.国家的プロジェクトとして,ギャップを補完する本邦のエビデンスの創出と蓄積が必要である.

さらに今後は,治療の適正化評価が医療の根幹となってくるであろうことは明らかである.これを見据えて,大規模データベースの構築やフィードバックシステムの運用など,従来とは異なる視点に基づいた解析,指針作成も必要になってくるであろう.

推奨クラス分類とエビデンスの採用基準,レベル付けは,表1,2に示すとおりである.これらはガイドラインの基本骨格を示すものであるため,採用したエビデンスは基本的にレベルの高いもの(レベルA,レベルB)を中心とした.

表1推奨クラス分類

クラスI手技・治療などが有効,有用であるという多くのエビデンスがあるか,またはそのような見解が広く一致している.クラスII手技・治療などが有効,有用であることについて,エビデンスまたは見解が一致していない.

クラスIIaエビデンス,見解から有用,有効である可能性が高い.

クラスIIbエビデンス,見解から有用性,有効性がそれほど確立されていない.

クラスIII手技・治療などが有効,有用でなく,ときに有害であるとのエビデンスがあるか,またはそのような否定的見解が広く一致している.

表2エビデンスレベル

レベルA複数のランダム化試験,またはメタ解析の結果による.

レベルB単一のランダム化試験,または多施設大規模レジストリー研究の結果による.レベルC専門家の間の一致した意見,または小規模臨床試験,サブ解析の結果などによる.