p.96 抽出テキスト
する一定の見解は得られていないが,肺炎の予防は高齢者や心疾患を合併する集団では有用である可能性がある1047). 3 心臓リハビリテーション 3.1 外来心臓リハビリテーションの 役割と現状 世界では年間700 万人がAMI に罹患し1048),1 年死亡率は10% 前後である1049).本邦の2016 年のJROAD 調査によると,年間に約7 万人のAMI 患者が登録され,入院死亡率は約8% であった.また,生存者の20% で1 年以内に心血管イベントが発生し,主要冠動脈イベントが心筋梗塞既往例の約50% に発生した1050).心筋梗塞後の二次予防は心血管イベント発症のリスクや障害を軽減する.二次予防にエビデンスのある介入は,抗血小板薬,スタチンなどによる最適な内科治療(optimal medical therapy),血圧,脂質,血糖の目標管理達成,運動,食事,喫煙に関する生活習慣の適正化である21).外来心臓リハビリテーションはこれらを実践する役割を果たし,回復期後期(late phaseII)および維持期(phase III)に相当する(図8) 832). 世界各国におけるAMI,CABG 後の冠動脈疾患患者の外来心臓リハビリテーション参加率は,高齢者で低く, CABG 後で高い1051).英国での2003 年から2004 年の検討では,AMI 患者の外来参加率は25% でCABG 後の66% より低く,PCI 後の24% と同等であった1052).海外の参加率も30% 前後とけっして高くはないが,本邦では入院時の導入率は58% と高いにもかかわらず,AMI 患者の外来心臓リハビリテーション参加率はとくに低い1053). 3.2 外来心臓リハビリテーションの エビデンス 2017 年のESC のSTEMI ガイドラインによると,すべての患者に対し,年齢,発症前の身体活動度,身体的制限を考慮しつつ,心臓リハビリテーションプログラムへの参加がクラスI,エビデンスレベルA で推奨されている100). 表92 二次予防における外来心臓リハビリテーションの推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 外来心臓リハビリテーションを行う1054–1056) I A 図8 急性心筋梗塞後の外来心臓リハビリテーション(折口秀樹.2017 832)をもとに作図) 維持期運動療法は,心血管疾患の再発防止と生活の質の向上のため,心臓リハビリ指導士や健康運動指導士が介入して,地域での運動施設で継続する.また,在宅運動療法,スポーツリハビリを活用し,患者の利便性・楽しみを高め,継続しやすい環境を整える.高齢者では入所施設や通所リハ施設,在宅リハビリなどの介護の現場で継続し,フレイル予防を視野に取り組む.定期的に冠危険因子管理状況を把握し,長期包括的疾病管理を行う. 日常生活(家事)・職場復帰のため,有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせて監視下集団運動療法または非監視下在宅運動療法を継続し,運動耐容能の向上を図り,社会復帰の支援を行う.ただし,梗塞範囲が広い場合は進行を急がない.二次予防のためのセルフケア能力の確立を支援し,疾病管理プログラムとして患者教育(生活・薬剤管理・食事・運動・禁煙・節酒・ストレス管理)を強化し,継続を促す.回復期後期Late Phase II 維持期Phase III