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p.92 抽出テキスト

963, 964, 988).2013 年のACC/AHA ガイドラインでは高用量スタチンが推奨され(目標値を設定しない) 989),ESC/EASガイドラインではLDL-C 値 70 mg/dL 未満の達成が推奨されている965).このように,ACS 後のLDL-C 値の管理には,LDL-C の達成目標値かスタチン最大用量使用かの2通りの推奨が考えられるが,最大用量のスタチン使用でのLDL-C の達成値は70 mg/dL 前後であることから,両者は必ずしも競合するものではない.本邦初の13,054 例を対象とした大規模臨床試験であるREAL-CAD では,安定型狭心症を対象にピタバスタチン4 mg と1 mg について, 3 年から5 年の観察期間中の心血管事故(心血管死亡,非致死性心筋梗塞,非致死性脳梗塞,UA による入院)の発生率が比較された990).その結果,達成LDL-C 値は76.6 mg/dL 対91.0 mg/dL で,イベント発生率は4.3% 対5.4%と4 mg 群で有意に19% 抑制された.背景因子での層別解析でも,年齢や性別,介入前の LDL-C 値にかかわらず,4 mg 群のイベント減少効果には一貫性が認められた.この試験結果から,高用量スタチンは低用量にくらべ安定型冠動脈疾患患者の心血管イベントの発生を有意に減少させること,本邦でも最大用量のスタチン使用は,介入前のLDL-C 値に関わりなく冠動脈疾患患者に対する望ましい治療戦略であることが明らかにされた.2017 年までに本邦で実施されたREAL-CAD 試験(24% の患者が1 年以内のACS を有している)やプラーク退縮試験(ESTAB- LISH 568),JAPAN-ACS 567))の結果から,ACS 患者に対しては忍容可能な最大用量のストロング・スタチン(アトルバスタチン,ピタバスタチン,ロスバスタチン)の使用が第一に推奨される.ただし,これまでの大規模臨床試験で除外された80 歳以上,慢性透析患者,心不全の活動期にある患者に対する十分なエビデンスはなく,推奨患者からは除外される.最大用量のスタチン使用でLDL-C 値70 mg/dL 未満を達成できない場合は,欧米のエビデンスから他の薬剤の追加を考慮する.

LDL-C 値 70 mg/dL 未満を目標値とすることによりイベント発生率が低下することは,IMPROVE-IT 試験966)やFOURIER 試験967),ODYSSEY OUTCOMES 試験991),プラーク退縮ではGLAGOV 試験968)やPRECISE-IVUS試験969)で実証されている.したがって,本邦でもリスクの層別化を行い,ACS 発症リスクの高い集団が同定されればLDL-C 値達成目標値を下げる必要がある.

2.6.2 LDL-C 値低下薬

a.  スタチン

スタチンの心血管事故抑制効果は多数の無作為化試験で実証され,それらのメタ解析で確立された963, 964).スタチンにはLDL-C 値低下作用だけでなく,抗炎症作用などい

わゆる多面的効果があることが報告されているが992, 993), LDL-C 値 1 mmol/L(38.7 mg/dL)低下による心血管事故減少への影響は,スタチンと非スタチン系薬で差がないことも報告されている970).同一のLDL-C 値を達成目標値としてスタチンと非スタチン系薬のイベント発生率を比較した前向き臨床試験はないが,スタチンによる介入臨床試験は規模が大きく,層別解析も含めて一貫したイベント抑制効果が認められることから,強固なエビデンスといえる.したがって,ストロング・スタチン987)(アトロバスタチン,ロスバスタチン,ピタバスタチン)の忍容可能な最大用量が第一選択であり,推奨度は最も高い. b.  エゼチミブ

エゼチミブは食事および胆汁由来のコレステロール吸収を抑制する薬剤である.単独ではLDL-C 値を18% 低下させるが,通常投与量のスタチンに追加,併用することでLDL-C 値を35 ~50% 低下させる974, 994).ACS,閉塞性動脈硬化症,家族性高コレステロール血症(FH)などの高リスク患者に対するスタチンとエゼチミブ併用は,大規模臨床試験のメタ解析で安全性と心血管事故抑制効果が報告されている976).ACS を含む冠動脈疾患患者を対象にしたPRECISE-IVUS 試験では,エゼチミブを使用してLDL-C 値を70 mg/dL 未満に低下させることにより,標準治療にくらべて血管内超音波で計測されるプラーク容積が減少することが示された969).また, IMPROVE-IT 試験では,ACS 患者18,144 例がスタチン単独群とスタチン+エゼチミブ併用群に分けられ,7 年間追跡された.その結果, LDL-C 値は70 mg/dL 対55 mg/dL と併用群で有意に低下するとともに,心血管イベントの相対リスクは6.4% 有意に減少し966),7 年間での治療必要数(NNT)は50 であった.層別解析において,糖尿病患者では相対リスクが14% 低下し,NNT は18,また,TIMI リスク因子が3 個以上あれば相対リスクが19% 低下し,NNT は16 976),一方冠動脈バイパス術(CABG)既往患者では相対リスクが14% 低下し,NNT は11 と,エゼチミブ追加の有効性が示された977).また,イベントが少ないとされる日本人を対象としたHIJ-PROPER 試験では,症例数が少ないためかスタチンとエゼチミブ併用の有効性は認められなかったが,層別解析では,併用群の中でコレステロール吸収マーカー値が高い例において,一次エンドポイントの減少が認められた977a).これらの結果から,リスクの層別化を行い,高リスクであればスタチンとエゼチミブの投与を考慮することが示唆される. c. 前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ ケキシン9 型阻害薬

強力なLDL コレステロール低下作用を有する前駆蛋白