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p.87 抽出テキスト

径に注目した保健指導を行うことにより体重や腹囲が減少する結果,血糖や血圧・脂質などの危険因子が包括的に改善されることが示され,肥満を治療対象の疾患群として扱うことの重要性が示されている913).とくに若年から中年のACS 患者は喫煙歴のある例が多く,メタボリックシンドロームの基準に該当することが多い.脂質異常や耐糖能異常だけでなく,体重やウエスト径の3% 以上の減少を3 ~ 6 ヵ月間の目標とした生活指導は必須である913, 914).

2 薬物治療

2.1 抗血栓薬本邦において,ACS に対するprimary 経皮的冠動脈イ

ンターベンション(PCI)実施率は90% 前後と高い50).冠動脈ステント留置後の抗血小板療法は必須で,アスピリン81 ~162 mg/ 日とP2Y12 受容体拮抗薬の併用が一般的であり298, 524),血栓症および出血のリスクを的確に予測することが求められる.従来,日本人は欧米人にくらべ,出血リスクが高く塞栓症リスクは低いといわれ,欧米のガイドラインをそのまま導入できない可能性があったが,血栓症のリスクが高い日本人は出血のリスクも高いことが示された931, 932).

第1 世代の薬物溶出性ステント(DES)を用いたPCI 後のステント血栓症が長らく問題視されていた.しかし,本邦におけるj-Cypher 登録研究では,チエノピリジン系抗血小板薬の6 ヵ月以内の投与中止はステント血栓症のリスクとなるが,6 ヵ月以降に中止しても,2 年間の観察期間における心事故の発症リスクは上昇しないことが報告された933).さらに,1 年以上P2Y12 受容体拮抗薬を継続しても,5 年間の観察期間における超遅発性ステント血栓症や心血管事故のリスク軽減効果は認められなかった934).近年の第2 世代以降のDES ではステント血栓症の発症率はさらに低下しており935),それに伴って2 剤併用抗血小板療法(DAPT)の至適投与期間は短縮化の傾向にある.

米国心臓病学会(ACC)/ 米国心臓協会(AHA)および欧州心臓病学会(ESC)ガイドラインでは,ステント挿入後のステント血栓症予防のため,出血リスクの低いACS患者に対しては,アスピリンに加えて少なくとも12 ヵ月間のクロピドグレル・プラスグレル・チカグレロル併用投与を,出血リスクの高いACS 患者に対しては,6 ヵ月間のDAPT を推奨している928, 936).一方,出血リスクの低い安定冠動脈疾患患者に対しては,アスピリンに加えて少なくとも6 ヵ月間のクロピドグレルを,出血リスクの高い安定冠動脈疾患患者に対しては,3 ヵ月間のDAPT を推奨しており,ACS と安定冠動脈疾患でDAPT の推奨期間が異なっている.しかし,最近発表されたSENIOR 試験では,高齢者のACS にDES 留置後,DAPT 期間を6 ヵ月に短縮しても,通常型ベアメタルステント(BMS)にくらべステント血栓症の発症率に差は認められなかった857).DAPT STEMI 試験では,ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)患者にDES を留置後,DAPT 期間6 ヵ月群と12 ヵ月継続群に分けて比較した結果,心血管イベントの発生率は6 ヵ月群で非劣性であることが示された937).本邦におけるNIPPON試験やSTOPDAPT 試験でも,DAPT 期間の短縮はステント血栓症や心血管イベントのリスク上昇に関与しなかった927, 938).一方で,SMART-DATE 試験では,DES 留置後のACS 患者において,DAPT 期間6 ヵ月群は12 ヵ月

表83 二次予防における抗血栓薬投与に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

禁忌がない患者に対してアスピリン(81~162 mg/ 日)を生涯にわたり継

続投与する314, 523) I A左室,左房内血栓を有する心筋梗塞,重症心不全,左室瘤を合併する患者,人工弁置換術後の患者に対してワルファリンを併用する525) I Bステント留置後は,アスピリン(81~ 162 mg/日)とクロピドグレル(75 mg/日)またはプラスグレル(3.75 mg/日)を 6~12ヵ月間併用投与する298, 303, 524, 926) I Aアスピリン服用の禁忌患者に対してクロピドグレル(75 mg/ 日)を投与するI C DES 留置後,出血リスクが高い患者に対して,3ヵ月以下へのDAPT の短期化を考慮する927) IIa Bステント留置後,出血リスクが低く,ステント血栓症を含む血栓イベントのリスクが高い患者に対して,DAPT の長期継続を考慮してもよい929) IIb B心筋梗塞の既往のある患者に対してアスピリンとチカグレロル(120 mg/ 日)の2 剤併用療法を考慮してよい930) IIb B出血リスクが高い心房細動を合併するPCI 施行患者に対して,抗凝固薬とDAPT の3 剤併用療法の長期継続はすべきではない306, 527, 528, 928) III Harm B