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p.76 抽出テキスト

急性期の心臓リハビリテーションには,診療報酬上初期加算45 点/ 単位,早期加算30 点/ 単位,特定集中治療室での早期離床・リハビリテーション加算500 点/ 日が認められている833).ここから早期のリハビリテーション介入が推奨されていることを読み取ることができる.

13.2 超急性期心臓リハビリテーション

重症疾患によりICU で人工呼吸管理を行った患者の生存率は改善しているが,近年ではICU 退室後の身体機能や生活の質(QOL)といった長期の転帰も評価されるようになった.集中治療室獲得性筋力低下(ICU-AW)は退院後の生活やQOL に影響を及ぼすことが明らかとなっており,ACS で人工呼吸器やIABP などの生命維持装置を使用している場合に発症が懸念される.そのため,呼吸リハビリテーション,予防的体位管理,腹臥位療法と3 日以内の超早期リハビリテーションを行う834).

CCU での心臓リハビリテーションの具体的な対応について,国立循環器病研究センターの例を示す835).CCU での心臓リハビリテーションは確立されておらず,人工呼吸器や循環補助を必要とする重症心不全患者に適用可能な早期心リハプログラムが作成される必要性があった.そこで,玉城らは循環動態への影響を最小限にする開始基準(表70)を設定し,身体状況をチェックできる段階的進行表(図5)を作成した.中止基準として,意識障害,麻痺など神経症状の進行,心拍数50 /分以下,130 /分以上または安静時より20 /分以上の増加,収縮期血圧80 mmHg 以下,収縮期血圧140 mmHg 以上,レジスタンストレーニング(RT)施行日のみ,安静時収縮期血圧より10 mmHg 以上の低下,新たな不整脈の出現,呼吸数35 回/ 分以上, SpO2 90% 以下,人工呼吸器との同調不全,息切れ,疲労感がBorg Scale で13 以上,自覚症状(起立性低血圧症状:めまい,ふらつき,動悸,頭痛など)の出現,低心拍出量症候群症状(冷汗,倦怠感,チアノーゼなど),新たな心筋虚血の可能性,胸痛,心電図変化などがあげられている.また,高度デコンディショニング患者では低強度RTを行う.具体的には,仰臥位でゴムバンド(セラバンド®など)を胸の高さで少しゆとりをもたせてベッド柵に結び,息を吸いながらセラバンド® を持った手を頭の上に挙げ,

息を吐きながら元の位置に戻すシルベスター法や,ゴムバンドを膝のやや下でぴんと張り,片足でセラバンド® を蹴るように伸ばすキッキングなどを実施する.5 回1 セット× 3 回,セットごとに1 分間休憩から始めて,7 回1 セット× 3 回,1 回に3 秒かけて,セットごとに1 分間休憩まで段階的に進める836).

意識障害や鎮静で随意運動が不可能な場合に,神経筋電気刺激法(NMES)が試みられた結果では,筋萎縮の予防,筋力の増強が示され,ICU-AW を予防する可能性が示唆されている.また,NMES は有害事象を伴わずに,安定したAMI 患者の血管内皮機能を改善することが報告された837).さらに,PCI において抗血栓性のあるステントの有用性が示されており,理学療法との併用効果が期待される.

表69 超急性期心臓リハビリテーションの推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

早期離床のため,超急性期の早期リハビリテーションを考慮する834–836) IIa B表70 CCU 早期リハビリテーション開始基準(国立循環器病研究センター例)

1 急性不安定病態からの離脱ができている

•   原疾患が治癒または改善傾向にある

2 心不全増悪の徴候がない

• 尿量の著明な減少,浮腫の増悪や体重増加,胸部X 線で肺うっ血陰影の増強,CTR の拡大など

3 12 時間以内に心血管作動薬を増量していない

4 アクティブな心筋虚血がない

•  CK/CK-MB がPeak out している•  12 時間以内に1 mm 以上の有意なST 変化がな

い

5 活動を制限されるような治療を受けていない

•  PCPS,低体温療法中など•  CHDF 施行中は端坐位まで

6 患者の覚醒と協力が得られる

•  RASS 0~-1(SAT をクリアしている) •  RASS -2~-5 はROM 訓練とH-up 90°まで

7 24 時間以内に意識障害,麻痺など神経症状の進行がない

8 38°C以上の発熱がない

9 安静時心拍数50 回/ 分以上,120 回/ 分以下

10 安静時収縮期血圧80 mmHg 以上でショック状態ではない,収縮期血圧140 mmHg 以下

11 新しい抗不整脈薬の投与が必要となる不整脈の出現がない

12 安静時呼吸数10 回/ 分以上,30 回/ 分以下

13 人工呼吸器と同調している

14 PaO2  60 mmHg 以上,SpO2  90% 以上

15 FiO2  60% 以下,PEEP 10 cmH2O 以下

(玉城雄也,他.2016 835)より)