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る.酸素飽和度を指標に適宜投与量を増減するが,酸素化が不十分な場合にはマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)が行われ,良好な成績が報告されている678–681).陽圧換気を吸気時に行えば圧支持換気(PSV),呼気時に行えば呼気終末陽圧呼吸(PEEP),吸気,呼気それぞれに陽圧を設定すれば二相性陽圧換気(BiPAP),呼気と吸気が同じ圧なら持続陽圧換気(CPAP)とよばれる.これらが無効または禁忌の場合は気管内挿管を行い,呼吸管理する687). 急性期に前負荷を減少させるための薬物としては,塩酸モルヒネ,硝酸薬,利尿薬がある676).塩酸モルヒネには鎮痛効果だけでなく血管拡張作用と鎮静による心拍数減少作用があり,3 ~5 mg を静注する682).硝酸薬(ニトログリセリン,イソソルビド),カリウムチャネル開口薬(ニコランジル)は,低用量では静脈系を拡張して前負荷を軽減する一方,高用量では動脈系に作用して後負荷を軽減することにより肺動脈圧を低下させ,CI を上昇させる.投与量は収縮期血圧90 ~100 mmHg を維持する範囲で用いる.ただし,高齢者,動脈硬化の著しい患者,高血圧の既往がある患者などでは,尿量や末梢循環状態を観察しながら目標血圧を高めに設定しなければならない場合がある.利尿薬の第一選択はフロセミドであるが,発症前に利尿薬を服用していない患者では10 mg の少量から静注して効果の反応をみる.高齢者や脱水のある患者では著明な血圧低下をきたすことがあるため,注意が必要である.一方,腎不全,利尿薬服用中の慢性心不全患者に対しては,さらに高用量の投与が必要である.利尿薬使用時は,血清ナトリウム,カリウム,マグネシウム値などの電解質に変動を生じるため,これらを適宜補正する必要がある.ループ利尿薬や他の利尿薬で効果不十分な心不全で,体液貯留のある低ナトリウム血症では,水利尿薬であるバソプレシンV2 受容体拮抗薬(トルバプタン) 688)の有効性が期待される.血管拡 張作用と利尿作用を併せもつ薬剤として,本邦では心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)であるカルペリチドが心不全治療薬として認可されている.カルペリチドには強力な血管拡張作用と利尿作用に加え,交感神経系,レニン・アンジオテンシン系,バソプレシンなどに対する生理的拮抗作用があり,心保護薬としての効果や腎保護作用も期待できる689–691). 6.3 低心拍出量状態 低心拍出状態の患者では,血圧が正常範囲であっても四肢冷感,チアノーゼ,乏尿,精神機能低下などがみられる692).低心拍出状態は機械的合併症患者に多くみられるが,急性下壁梗塞では右室梗塞の存在を見逃してはならない.このような患者の死亡率は高く,積極的に診断・治療 すべきである.容量負荷の所見がない患者に対しては迅速な輸液を行い,強心薬による血行動態補助としてカテコラミンの点滴静注(通常ドブタミン1 ~5μg/kg/分)を行う.薬物治療の反応が不良な場合にはIABP の適用を考慮する.臓器灌流に必要な血圧の水準が維持されていれば,血管拡張薬を併用して後負荷を低下させる.PCI,冠動脈バイパス術(CABG)による冠血行再建は心筋虚血を改善し,血行動態を安定化させるために有効である.VSP,乳頭筋断裂,自由壁破裂などの機械的合併症に基づく血行動態の障害に対しては,薬物治療は無効であり,IABP の考慮と早期の積極的な外科治療が必要である. 6.4 心原性ショック 心筋梗塞による心原性ショックはきわめて死亡率の高い病態である.多くは広範な左室収縮力低下によるが,心筋梗 表60 心原性ショックの治療に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル PCI が不適切な患者に対してCABG による早期冠血行再建を行う199, 271) I B動脈圧モニタリングを行う677, 693) I C心エコー法により心機能や機械的合併症の有無を評価する677, 693) I C機械的合併症を有する患者に対してハートチームで協議する677, 693) I C酸素療法および機械的呼吸補助を行う678–681) I C機械的合併症による心原性ショック患者に対してIABP を使用する662, 677) I C薬剤不応性心原性ショック患者に対してVA-ECMO の適用を考慮するIIa C PCI またはCABG による完全冠血行再建を考慮する199, 271) IIa C Swan-Ganz カテーテルによる血行動態モニタリングを考慮してもよい673) IIb B利尿薬抵抗性の心原性ショック患者に対して限外濾過を考慮してもよい694, 695) IIb B強心薬および血管拡張薬による血行動態補助を考慮してもよい693, 696) IIb C心原性ショック患者に対してルーチンのIABP 使用は推奨されない580, 697, 698) III No benefit B