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中心とした治療法の進歩により生存率が向上したことが示されている198, 667).予後に影響する因子としては,年齢,性別,低体重,収縮期血圧,心拍数,梗塞部位,発症から治療までの時間,高血圧,糖尿病,心筋梗塞の既往,血清乳酸値やクレアチニン値などがあげられる45, 196, 197, 668). Swan-Ganz カテーテルで得られる血行動態の諸指標から,心筋梗塞急性期の重症度をより正確に把握できるようになった669).Forrester らは200 例のAMI の急性期血行動態を測定し,肺うっ血や末梢循環不全などの臨床症状の出現と血行動態測定値がよく一致することを見出し, PCWP とCI を用いて以下に示す4 つの血行動態群(hemodynamic subset)に分類した670). サブセットI:PCWP ≦18 mmHg,CI >2.2 L/ 分/m2 ポンプ失調のない群であり,鎮痛,安静などの一般的治療を行う.ただし,禁忌がなければ硝酸薬点滴静注,ACE阻害薬,ARB やβ遮断薬の投与は行ったほうがよい.サブセットII:PCWP >18 mmHg,CI >2.2 L/分/m2 左心不全状態.左室収縮力および拡張能が低下し,二次的に左室前負荷が増加して心拍出量を維持している状態.通常,肺うっ血が認められる.利尿薬と血管拡張薬の適応となる.サブセットIII:PCWP ≦18 mmHg,CI ≦2.2 L/分/m2 左室前負荷が十分でない状態.脱水,右室梗塞,高齢,徐脈などが関与している.治療の第一は輸液を行うことであるが,カテコラミンの点滴静注が必要になることもある.徐脈に対しては一時ペーシングを行う.サブセットIV:PCWP >18 mmHg,CI ≦2.2 L/分/m2 半数以上が心原性ショックであり,広範囲の梗塞と考えられる.カテコラミン投与で改善傾向がなければ,IABP, VA-ECMO(PCPS)などの補助循環を考慮する. Nohria らは,ベッドサイドの身体所見から循環動態の異常を評価できるNohria-Stevenson 分類を提唱している662, 671).詳細な臨床徴候の観察から肺うっ血および組織低灌流の有無を評価し,Forrester 分類に類似した4 つの病態に分ける分類であり,治療方針の決定に有用である. 合併症のないAMI 例のほとんどは,観血的な血行動態評価を行わなくても,血圧,心拍数,尿量,胸部聴診所見,胸部X 線所見などからポンプ失調の重症度,治療に対する反応をみることが可能である672).Swan-Ganz カテーテルから得られる各種測定値は,カテーテルの先端の位置が不適切な場合など,必ずしも正確な数値が反映されないことがある.また,頻度は低いがカテーテル挿入,留置時に,心室不整脈,脚ブロック,肺出血,感染,カテーテル血栓症などの合併症を生じることもある.2005 年,ICU 患者を 対象とした前向きメタ解析で,Swan-Ganz カテーテルの使用の有無は死亡率に影響を与えないことが報告された673).このため,本カテーテルの適応は狭まっており,得られる情報による利益がそのリスクを上回るときに施行すべきである.低血圧,心原性ショックを合併した患者に対しては,橈骨動脈から動脈圧をモニタリングすることが有用である.これにより動脈血ガス分析なども繰り返し行うことができる.Swan-Ganz カテーテルおよび動脈ラインのいずれも5日を超えて同一部位に留置しないことが望ましく,必要性がなくなった際にはすみやかに抜去すべきである674). 6.2 肺うっ血,急性肺水腫 STEMI 患者における初期治療の原則は,早期に再灌流療法を行うことである.重症心不全患者では血栓溶解療法よりもprimary PCI が有効であるといわれている685, 686). 酸素吸入は組織低酸素状態を改善するために必要であ 表59 肺うっ血,急性肺水腫の治療に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 低血圧,腎不全,両側腎動脈狭窄などの禁忌がなく, LVEF 40% 以下の患者に対してACE 阻害薬を投与する542, 675) I A重篤な腎機能障害や高カリウム血症がなく,LVEF 40%以下の患者に対してミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を投与する544) I A容量負荷を伴う肺うっ血患者に対して利尿薬を投与する676, 677) I C低血圧がない患者に対して,硝酸薬を投与する676, 677) I C酸素飽和度90% 未満の肺うっ血患者に対して,酸素療法(NPPV を含む)を行う678–681) I C心エコー法により心機能や機械的合併症の有無を評価する677) I C肺うっ血患者に対して塩酸モルヒネの投与を考慮してもよい682, 683) IIb B低血圧 (収縮期血圧90 mmHg 未満または平常時にくらべ30 mmHg 以上の低下) を伴う肺うっ血患者に対して,血管収縮薬,強心薬の投与を考慮してもよい677) IIb C薬物治療抵抗性の肺うっ血患者に対してIABP 使用を考慮してもよい684) IIb C