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p.61 抽出テキスト

て自己心拍再開率を改善させた報告はない.本邦で選択的K チャネル遮断薬として開発されたニフェカラントは,陰性変力作用を示さずに抗不整脈作用を発揮することが期待されている.難治性,再発性のVF およびVT に対してニフェカラントは有効という報告があり611, 612),除細動後も遷延するVF に対しては投与も考慮する.ただしニフェカラントに関してもアミオダロンと同様で,リドカインとの比較において生存退院または神経学的後遺症のない退院をエンドポイントとした場合の有益性は示されていない613–615).抗不整脈薬に反応しないVF,無脈性VT に対しては,効果が不十分な場合にはβ遮断薬の投与627, 628), IABP やVA-EC- MO などによって体外循環を確立させると同時に,PCI による緊急血行再建術を考慮する.血行動態の保たれた単形性持続性VT に対しては,鎮静下に同期下電気的除細動を行う.

血行再建後に,治療抵抗性の多形性VT や頻回な除細動を必要とするVF が繰り返し起きる場合(electrical storm)がある.このような場合は交感神経緊張を抑制する必要があり,β遮断薬投与に加えて鎮静が有効な場合もある.深鎮静がelectrical storm に有効であったとの報告もある629).また,一時的ペーシングによる心拍数の増加や,先行する期外収縮に対するカテーテルアブレーションが有効なことがある618–620).

5.1.2 心室期外収縮,促進心室固有調律および 促進接合部調律

心室期外収縮(PVC)は心筋梗塞急性期にしばしば出現するが,PCI 時代においては予後を悪化させたとする報告はなく,現時点では抗不整脈薬による治療は不要である.促進心室固有調律(AIVR)や促進接合部調律は,心筋梗塞発症後12 時間以内や再灌流療法後にしばしば認められるが,VT/VF 発症の危険因子であることを示唆する報告はない.AMI 後にAIVR や促進接合部調律を認めても,抗不整脈薬を使用する必要はない. 5.1.3 急性期以降(48 時間以降)の心室不整脈

ACS 発症48 時間以降に発症する持続性VT/VF では不整脈基質の存在が示唆されるため,植込み型除細動器(ICD)を考慮すべきである633–635).非持続性VT を有する症例では適切な薬物治療を行い,ACS 発症40 日以降にICDの適応について評価する.PVC に関しては抗不整脈薬は不要であるが,β遮断薬増量や電解質の補正を考慮する.

5.1.4 突然死一次予防のための着用型自動除細動器

ACS 患者で持続性VT/VF を有さない場合は,ACS 発症後40 日以内では通常,予防的ICD 植込みは適応とならず,6 ~12 週後に再評価されるべきである100).しかし,突然死の高リスクと考えられる病態では着用型自動除細動器(WCD)の適用を考慮する.日本不整脈心電学会の学術声明では,WCD を考慮する病態として,AMI 発症後40 日以内でLVEF 35% 以下,NYHA クラスII またはクラスIII の心不全症状を有する例が記載されている636).

5.2 上室不整脈

表53 抗不整脈薬投与に関する推奨とエビデンスレベル推奨クラスエビデンス

レベル

持続性VT/VF 予防のための抗不整脈薬の予防投与は推奨されない630, 631) III No benefit B血行動態に影響のないPVC に対して抗不整脈薬は投与すべきではない100,

632) III Harm B表54 ICD 適用の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

AMI 発症48 時間以降に発症した持続性VT/VF 患者で,VT/VF が心筋虚血や他の可逆性の原因に起因しない場合,除細動器を植え込む633–635) I B

表55 WCD 適用の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

AMI 発症後40 日以内でLVEF 35% 以下,NYHA クラスII またはIII の心不全症状を有する患者に対して,WCD を考慮してもよい636) IIb C

表56 上室不整脈治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

血行動態の悪化または難治性の心筋虚血を伴い,薬物治療では十分に心拍数を制御できない心房細動または心房粗動を合併する患者に対して,同期電気的除細動を行う637–640) I C心房細動または心房粗動を合併する患者に対して,抗凝固療法に禁忌がないかぎり未分画ヘパリンを投与する641) I C