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p.60 抽出テキスト

全や感染症がコントロールされた症例が適応になる.左主幹部病変のACS へVA-ECMO が適用された少数例の後ろ向き観察研究では,37% でLVAD に交換され,Killip 分類クラスIII 以上の高度循環不全が死亡に対する独立した影響因子であったことが報告されている605).

LVAD は,開胸下に左室または左房から脱血して大動脈送血する経路が主なシステムとなり,体外型と植込み型に分類される.通常,心原性ショックでは時間単位でLVADの適用が検討されるので,体外型が適用される.LVAD の適応の詳細については「重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドライン(2013 年改訂版)」を参照されたい606).

5 不整脈の評価と治療

5.1 心室不整脈

5.1.1 心室細動,心室頻拍ACS に伴う持続性心室頻拍(VT)/ 心室細動(VF)は

発症後早期に生じることが多く,院外死亡の主因である.しかし早期診断,PCI を中心とする再灌流療法,集中治療室(ICU)やCCU での管理,発症早期の除細動治療が行われる現在では,持続性VT/VF は院内の死因としては一般的ではなくなりつつある607).GUSTO IIb 試験とGUSTO III 試験の後ろ向き解析では,AMI 患者19,190 例中1,126 例(5.9%)にVT/VF が認められたことが報告されている622).またPCI 時代のAPEX AMI 試験104)によると,VT/VF はSTEMI 患者5,745 例中329 例(5.7%)にみられ,その約9 割(282 例)がSTEMI 発症後48 時間以内に生じていた.STEMI 患者57,158 例のメタ解析によると,ST 上昇,発症早期,喫煙,男性,梗塞前狭心症の欠如,低心拍数,房室ブロック,低カリウム血症がVF 発症の独立した危険因子であった623).心筋梗塞発症早期のVT/VF が長期予後に及ぼす影響については未だ結論が出ていないが,近年の報告では院内死亡とは関連するものの,長期予後には差が認められなかったとされている624, 625). a. 予防

抗不整脈薬の予防的投与が,院内死亡,30 日または60日死亡などの転帰を改善させた報告はない.したがって, ACS が疑われる患者に対する抗不整脈薬の予防的投与は,院内外を問わず推奨されない.ただし,血行動態や電気的な観点から禁忌でなければ,β遮断薬の早期投与開始が望ましい.AMI 患者に対するβ遮断薬の静注投与は,一次性VF 発生を減少させたとの報告がある626).米国心臓病学会(ACC)/ 米国心臓協会(AHA)ガイドライン,および欧州心臓病学会(ESC)ガイドラインでは,禁忌がなければβ遮断薬の急性期投与が推奨されている70, 100).電解質異常はVT/VF 発生を助長するため617),血清カリウム>4.0 mEq/L,血清マグネシウム>2.0 mg/dL を維持するように,電解質・酸塩基平衡を是正する. b. 治療

ACS におけるVT/VF は心筋虚血がしばしば誘因になっており,緊急血行再建が最も重要である616).VF または無脈性VT が確認された場合は,除細動器を準備してただちに除細動を行う.2 回目の除細動にも反応しない場合,抗不整脈薬(アミオダロン)の投与を考慮する.アミオダロンの急速静注時の推奨投与量は300 mg または5 mg/kg である.電気的除細動抵抗性VF,無脈性VT に対するアミオダロンの静脈投与は,プラセボ,リドカインとくらべ,入院までの短期生存を増加させたことが報告されているが609, 610),いずれの研究においても生存退院率を向上させるには至っていない.アミオダロンがない場合にはリドカインが考慮されるが,リドカインがアミオダロンと比較し

表52 心室不整脈治療に関する推奨とエビデンスレベル推奨クラスエビデンス

レベル

持続性VT,VF 患者に対して電気的除細動を行う.血行動態が安定しているVT に対しては鎮静下で行う607, 608) I B再発性,難治性の血行動態不安定なVTや,多形性持続性VT,VF 患者に対して,静注アミオダロンまたはニフェカラントを投与する609–615) I B緊急PCl,CABG を施行し,積極的に心筋虚血を解除する277, 616) I C電解質(血清カリウム,血清マグネシウム),酸塩基平衡を是正する100, 617) I C再発性のVT に対して一時的ペースメーカを挿入し,オーバードライブペーシングを考慮する618) IIa C血行再建後の薬剤抵抗性VT/VF (electrical storm)に対してカテーテ

ルアブレーションを考慮する619, 620) IIa C再発性,難治性の血行動態不安定なVTや,多形性持続性VT 患者に対して,アミオダロンやニフェカラントが使用できないまたは無効な場合,リドカインを考慮してもよい100, 621) IIb B