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p.57 抽出テキスト

用が推奨される.急性期のLDL-C 管理目標値を定めることは困難だが,FH が疑われ,スタチンの最大用量でも慢性期の目標値70 mg/dL 未満(治療介入前の50% 未満)が達成されなければ,エゼチミブや前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9 型(PCSK-9)阻害薬の併用を考慮する.また,スタチンによる肝機能障害や腎機能障害,筋融解が起こった場合などスタチン不耐性の患者にも,エゼチミブやPCSK-9 阻害薬の併用を考慮する.

4 補助循環

最近,本邦でACS を対象にした新しい補助循環機器, IMPELLA 補助循環用ポンプが保険承認され,治療戦略に変化が起ころうとしている.さらに,欧米の最新のガイドラインでも,前向き臨床試験の結果から補助循環の推奨度の見直しが始まっている.「ST 上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013 年改訂版)」233)では,補助循環は主として合併症や各病態の項に分散して記載されてきた.しかし,昨今の状況を考慮し,本ガイドラインでは補助循環の項を独立させ,ACS に対する入院中の評価・管理の一分野として包括的にまとめるほうが望ましいと判断した.また,ACS の特性から,救急搬送中や救急室(ER)での心肺蘇生,血行動態の破綻に対して,ER で遅滞なく補助循環サポートを開始する状況が一定の割合で想定される.したがって,本ガイドラインではER での補助循環の使用についても言及することとした.

本邦において現在使用しうる補助循環には,大動脈内バルーンポンプ(IABP),IMPELLA 補助循環用ポンプカテーテル(以降IMPELLA),静動脈体外膜型人工肺(VA-ECMO)または経皮的心肺補助装置(PCPS),左心補助装置(人工心臓) (LVAD)があり,経皮的に装着できる前3 者と外科的手技が必要な後者で構成される.しかし,一部の補助循環には施設要件が定められており,ACS 患者が通常搬送される多くの医療施設では使用できない現実がある.これは本邦のACS 医療の直視すべき課題であり,医療資源の配分制限をどのように考えるか,ACS 診療のグランドデザインに立ち返り議論すべきであろう.今回のガイドラインでは,補助循環の適応についてそれぞれの施設で実施可能なものを検討しやすくするため,4 つのデバイスに関して個別に記載することとした. 4.1 IABP

IABP の主作用は,拡張期に大動脈内のバルーンを拡張させて冠血流量を増加させることである582).この効果は,心原性ショックや低血圧の遷延など,微小血管の循環予備能が高度に低下した状態で増強されることが知られている583).一方,収縮期にバルーンを急速に虚脱することによって後負荷が軽減され,心拍出量が増加するとされるが,反論もある582).こうした機序により心筋に対する酸素の供給を確実に増やし,需要も減らす可能性をもつため,IABPは長期にわたってACS に対する補助循環の主役であり,心筋虚血の残存や再発,心機能低下による血圧低下,心原性ショックに広く用いられてきた.内科医だけでもバルーンカテーテルの挿入・抜去が可能で,刺入部の血管合併症も比較的少なく,コストが低く,大半の施設で使用できるのは大きな利点である.

しかし,実際の臨床的有益性を検証する無作為化試験では期待される効果は示されず,欧米では論争の渦中にある.

小規模の無作為化試験のメタ解析579)では,STEMI 患者に対するIABP のルーチン使用の効果については否定的な結果が示された.また,CRISP-AMI 試験では,心原性ショックを伴わない前壁AMI に対して,ルーチンのIABP使用による梗塞サイズの縮小効果が検討されたが,有効性は証明されなかった581).したがって,ACS,とくにSTEMI に対するルーチンでのIABP の使用は,出血合併症などのマイナス面を加味すると推奨されない.

心原性ショックに対するIABP の効果については,コホート研究の大規模なメタ解析579)で死亡率の改善が示唆されたが,年齢や重症度などの交絡因子の影響も無視できなかった.2012 年,機械的合併症のない心原性ショックを合併する600 例のSTEMI を対象に,IABP の有用性を検討した大規模な無作為化試験であるIABP-SHOCK II 試験が報告された.しかし,主要有効性エンドポイントであ

表49 IABP 使用の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

機械的合併症による心原性ショック患者に対してIABP を使用するI C治療抵抗性の心原性ショック患者に対してIABP を考慮する579, 580) IIa C再灌流療法後にも心筋虚血が遷延する患者に対してIABP の使用を考慮するIIa C心原性ショック患者に対するルーチンのIABP 使用は推奨されない579, 581) III No benefit B