p.53 抽出テキスト
ての知識をCCU での回復過程にあわせて教育する. 2.7 CCU の滞在日数 再灌流療法に成功し,合併症がない症例のCCU 滞在日数は年々短くなっており522),当日または翌日に一般病棟への転出が行われることも少なくない.簡単なモニタリングが可能なステップダウンユニット(CCU などの集中治療病棟から一般病棟への橋渡し的な中間病棟)を有する施設では,PCI に成功した低リスク例を直接ステップダウンユニットに収容することも考慮する.一方で,重症不整脈や心破裂リスクを有する患者では,一般病棟での管理が可能な安全な状態であるかを見極め,急性期心臓リハビリテーションのための滞在も必要とされる. 3 薬物治療 3.1 抗血栓薬アスピリン(81 ~162 mg/日)をSTEMI 発症直後から 可能なかぎり継続投与することは,短期および長期的にも心血管イベントを抑制することが示されている314, 523). STEMI の初期治療では早期のPCI が基本となるが,アスピリンとの併用でPCI 前にクロピドグレル300 mg の負荷量投与後,翌日から維持量75 mg/日を投与することにより,心血管イベントリスクが低下する298).また,急性期からのアスピリンとクロピドグレル併用治療は,アスピリン単独治療にくらべ,有意な出血リスクの増加なしに治療開始28 日後までの死亡,心筋梗塞の再発および脳卒中の複合エンドポイントの発生を有意に抑制することが報告されている524). プラスグレルは効果発現がクロピドグレルにくらべ早いという特徴を有する.日本人のACS を対象にプラスグレルとクロピドグレルを比較したPRASFIT-ACS 試験では,アスピリンとの併用でPCI 前にプラスグレル20 mg の負荷量投与後,翌日から維持量3.75 mg/日を投与することにより,心血管イベントリスクはクロピドグレル群と同程度に低下し,とくにPCI 施行後3 日間の心血管イベントはクロピドグレル群とくらべ有意に抑制された303).また,欧米の試験では有意に高率であった大出血が299),本試験では低率であり,欧米の約1/3 という日本人向けの用法用量を設定したことによって,出血リスクが海外よりも低減した可能性が示唆された.非ST 上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者ではプラスグレルの効果発現が早いことから,CAG後,PCI の方針が決定した直後にプラスグレル20 mg を負荷量として投与し,その後は維持量として3.75 mg/日の投与に移行することが推奨される303). チカグレロルは直接的かつ可逆的なP2Y12 受容体拮抗薬であり,クロピドグレルやプラスグレルなどの他のP2Y12受容体拮抗薬の投与が困難な例でも投与が可能である. PLATO 試験はSTEMI/NSTEMI 患者を対象に,アスピリン併用下でチカグレロル(負荷量180 mg,維持量90 mgを1日2 回)とクロピドグレル(負荷量300 mg,維持量75 mg を1 日1 回)の心血管イベント抑制効果を比較検討した試験である.アスピリンとチカグレロル併用治療は心血管イベント,全死亡率,ステント血栓症を有意に抑制し,大出血の発生率は同等であることが報告された443).一方, 表43 入院中の抗血栓薬投与に関する推奨とエビデンスレベル推奨クラスエビデンス レベル PCI 前に,アスピリン未服用患者に対してアスピリン(162~200 mg)を投与する314, 523) I A PCI 前に,チエノピリジン系抗血小板薬未服用の患者に対して負荷量を投与し(クロピドグレルは300 mg,プラスグレルは20 mg),その後維持量(クロピドグレル75 mg/ 日,プラスグレル3.75 mg/ 日)を投与する298, 303, 524) I A PCI を行う患者に対してアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬のDAPTを行う298, 524) I Aアスピリンが禁忌の患者に対してクロピドグレル(75 mg/ 日)を投与するI C左室または左房内血栓が認められる患者に対して抗凝固薬を併用する525) I B DAPT の適応例で,アスピリンと併用するチエノピリジン系抗血小板薬の投与が困難な場合にはチカグレロルの投与を考慮する443, 526) IIa B表43 つづき 推奨クラスエビデンス レベル 抗凝固薬の併用が必要なPCI 患者に対してアスピリンを併用せず,抗凝固薬とクロピドグレルの2 剤併用療法を退院時に考慮する306, 527, 528) IIa B