p.51 抽出テキスト
療法の導入により種々の合併症の発生や死亡率は減少した498, 499).すなわち,ACS に対する現在のCCU の役割として,致死性不整脈の管理だけでなく,不安定な血行動態や心不全,虚血再灌流療法後の新たな合併症の監視や治療も担っているといえる. なお,近年はcoronary care unit としてACS だけを診療対象とするCCU は少なく,cardiac care unit として心不全,不整脈,心筋炎,急性大動脈解離,急性肺血栓塞栓症などの重症心血管疾患患者をできるだけ早期に収容し,治療を開始することを主目的として設置されている.また,当該地域の医療機関や救急隊とも連携する部門であり,施設内の救急医療部門との機能的連携も重要である.さらに,収容した患者の安静度を安全かつ迅速に拡大し,一般病棟での管理が可能な状態まで回復させる急性期心臓リハビリテーションの機能も併せもつことが必要とされる. 1.3 CCU の規格 日本集中治療医学会の「CCU 設置のための指針」500)は, CCU の全病床を「循環器内科が担当する重症患者」の治療に使用する集中治療病棟と定義したうえで,指針を「理想的なCCU を作るための1 つのガイドライン」として提唱している.CCU に専従する医師が常時CCU 内に勤務していることとし,専従医には,日本集中治療医学会が認定した集中治療専門医,または日本循環器学会が認定した循環器専門医など,循環器救急に指導的立場にある医師を1人以上含むこととしている.心臓外科医および麻酔科医については,当該施設内に勤務しているのが望ましいとしている.看護師については,常時,患者2 人に1 人以上の割合でCCU 内 に勤務していることとし,必要時には患者1.5人に1 人以上の看護師を配置できる体制を整備しておくことが望ましいと記載されている.その他の職種に関しても専門性の高さが求められ,また,施設内またはCCU 内での勤務が求められている.なお現在,保険償還上CCU に特化した施設基準はなく,general ICU の一部をCCU 用の病床として使用する施設も少なくない.急性心臓疾患患者に対する集中治療はより高度な監視を要すると考えられ,非心臓疾患患者の集中治療とは異なる面も多いが,実際にはそれぞれの施設の実情にあわせてCCU が構成されている. 2 早期の一般的治療 CCU における治療は,履歴を確認できる連続監視装置によるモニタリングのもとに行われることが望ましい.モニタリングの対象にはバイタルサイン(心拍数,血圧,呼吸数,体温)に加え,動脈血酸素飽和度,尿量,中心静脈圧などがあげられる.コントロールに難渋するポンプ失調を伴う患者では,Swan-Ganz カテーテルにより肺毛細血管楔入圧(PCWP),混合静脈血酸素濃度,心係数(CI)を連続的にモニタリングすることも検討する.また,心筋トロポニンやクレアチンキナーゼ(CK)などの心筋バイオマーカーを経時的に測定することによって,再灌流療法の有効性や梗塞巣の形成過程が推測できる可能性がある.発症6 時間以内で心筋バイオマーカーが陰性の場合は,1 ~ 6 時間後に再度測定すべきであるが,心筋バイオマーカーの結果にかかわらず,必要な患者には再灌流療法が早期に施行されなければならない512–514).さらに,救急部門で簡潔に把握した患者の臨床経過や身体所見については, CCU 入室後,その補完に努めることも忘れてはならない. 表42 CCU での早期治療に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 睡眠導入薬による十分な睡眠の確保,抗不安薬の投与,専門の精神科医やカウンセラーによる面接を行う501, 502) I C患者の不安や抑うつを防止,治療するために,患者およびその家族に対して早期の病状説明や生活指導を行う503) I C低酸素血症(酸素飽和度90% 未満)または心不全徴候のある患者に対して酸素を投与する230, 504) I C酸素飽和度90% 以上の患者に対してルーチンの酸素投与は推奨されない230– 233, 504) III No benefit A良好な早期再灌流が達成され,明らかな合併症を伴わない患者に対し,早期離床,早期リハビリテーションの介入を考慮する505) IIa C入院時にHbA1c を用いて,糖尿病のスクリーニングを行う506–509) I A急性期の血糖管理では,低血糖を回避しながら血糖値180 mg/dL 未満を達成することを目標にインスリン持続静注を考慮してもよい510, 511) IIb A