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p.50 抽出テキスト

第6章 入院中の評価・管理

1 冠動脈疾患集中治療室(CCU)の 役割

1.1 CCU 入院時および入室後の評価

急性冠症候群(ACS)を疑った場合,入院の決定において重要な点は,ACS の可能性の高さと短期リスクの評価を行うことである.ACS と診断され,短期リスクが比較的高いと判断された場合には,入院早期の厳密な管理を行うためにCCU への入院を考慮するべきである.とくに急性心筋梗塞(AMI)発症早期の管理は,CCU またはそれに準じた施設で行われることが望ましい.ACS の短期リスクの評価には,Braunwald 分類(表10) 187, 437, 439),各種リスクスコアが提唱されている76, 98, 178, 179, 492).リスクスコアは,病歴および救急外来での身体所見と検査結果により算出できることから,ACS が疑われるすべての症例に適用されるべきである.TIMI リスクスコア(表11)は最初に提唱され,最も検証されてきたリスクスコアであり,病歴と救急外来での検査により容易に判定できることから,救急外来において使いやすい.しかし,GRACE リスクスコア, PURSUIT リスクスコアとくらべその予測精度が劣るとする報告もある201).GRACE リスクスコア(表12)の算出はやや複雑であるが,インターネット上で算出することができ(https://www.mdcalc.com/grace-acs-risk-mortalitycalculator),救急診療でも利用しやすく,臨床的有用性に関する検証も多い183, 184).これらリスクスコアは,初期ケア

を行う場所(CCU,一般病棟,外来の別),治療方針,とくに血行再建の必要性などの決定に有益である.

CCU の役割の1 つとして,入室後に患者の病歴や身体所見,来院時(入院時)の心電図所見や心筋バイオマーカーなどの情報を詳細に収集してさらなるリスク評価を行い,治療方針を立てることがあげられる.年齢,収縮期血圧,心拍数,Killip 分類や梗塞部位は重要な予後予測因子である195).その他,心筋梗塞や脳血管障害,末梢動脈疾患の既往,糖尿病や高血圧,慢性腎臓病(CKD)の合併や喫煙も予後予測因子となる.また,来院時(入院時)の心筋トロポニンT や心筋トロポニンI,脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP),N 末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)などの心筋バイオマーカー上昇や, ST 上昇の早期回復が,ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)の早期リスク評価として有用である493, 494).Primary 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行の有無にかかわらず,来院時(入院時)心筋トロポニンの上昇は短期および長期死亡の予測因子となる495, 496).

近年,本邦におけるSTEMI 患者に対するprimary PCIの施行率は地域にかかわらず高く,院内死亡率は20 年前にくらべ著明に低下した36).さらなる死亡率の低下のためには,冠動脈造影(CAG),PCI 後の出血や造影剤腎症などへの留意が必要である.

1.2 CCU の重要性

CCU は,1962 年にDay 497)によって米国カンザスシティのBethany 病院で創設されたとされ,ほぼ同時にフィラデルフィアのPresbyterian 病院やカナダのトロント総合病院でも開設された.その背景には電気的除細動器,人工ペースメーカ,心電図監視システムなどの開発がある.当時のCCU の目的は心筋梗塞発症直後の致死性不整脈の治療にあり,心電図モニタリング,電気的除細動,心臓ペーシングなどにより心筋梗塞患者の死亡率を著しく低下させた490).その後,Swan-Ganz カテーテルの登場によりポンプ失調の治療が大きく進歩し491),さらに早期の再灌流

表41 CCU 入院に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

発症直後のAMI 患者をCCU で包括的に治療し,心電図および生命兆候のモニタリングを行う490) I B Swan-Ganz カテーテルを挿入したポンプ失調合併患者の治療・管理をCCUで行う491) I B