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れたが,至適内科的治療下の選択的侵襲的治療群との間で死亡率に差は認められなかった433). このように,最近の臨床試験では侵襲的治療戦略の有効性が示唆されている一方で,TACTICS-TIMI 18,FRISC II では,早期侵襲的治療の利点はTIMI リスクスコアで中等度~高リスク例,心筋トロポニンT 上昇例,ST 変化例で認められるが,低リスク例では認められないことが報告されている192, 432). 侵襲的治療戦略に利点がないとする報告はいずれも冠動脈ステントが登場する以前の成績であり437, 438),血行再建施行率,ステントの使用率,外科手術の死亡率,PCI 時の血小板膜糖蛋白IIb / IIIa 阻害薬の使用率などが臨床試験によって大きく異なる.ステント時代に行われた臨床試験では侵襲的治療戦略の優位性が示されたが,クレアチンキナーゼ(CK)上昇などの初期合併症は,有意でないものの侵襲的治療戦略群でやや高率であった433, 439–441). また,適切な抗血小板療法の併用による血行再建の利点が明らかとなっている.CURRENT-OASIS 7 試験では, 2009 年に本邦で承認されたクロピドグレルの経口負荷用量について,25,086 例のACS 患者を対象に検討が行われた.PCI 施行例においてクロピドグレル600 mg 経口負荷群は300 mg 経口負荷群よりも,ステント血栓症(0.7% vs 1.3%,P =0.0001),30 日後の心血管事故(心血管死,非致死性心筋梗塞,脳卒中;3.9% vs 4.5%,P =0.035)が有意に低率であった.ただし,クロピドグレル600 mg 経口負荷群では出血性合併症が有意に高率であった(1.6% vs 1.1%,P =0.009) 294, 442).ACS 患者を対象に,新規 P2Y12 受容体拮抗薬であるプラスグレルやチガグレロルをクロピドグレルと比較したTRITON-TIMI 38 試験およびPLATO 試験では,新規P2Y12 受容体拮抗薬の有効性が示唆されたが,出血性合併症も問題視された299, 443).このように,治療成績は補完する抗血小板療法などの進歩によって改善しており,侵襲的治療の優位性を示唆する結果が増えていると認識すべきであるが,一方で,強力な抗血小板療法などに伴う出血性合併症のリスクも指摘されており,本邦におけるさらなる功罪両面の検証が必要である. いずれの治療戦略をとるにしても共通の原則がある. 1 心筋虚血発作の再燃,心不全合併,重篤な不整脈合併, 広範な心筋虚血を示唆する心電図所見を示す例に対しては緊急CAG を行い,血行再建を考慮する. 2 心機能は心エコー法,核医学検査などで入院時に評価 する. 3 ACS の短期リスクの評価は一時点のみでは不十分で, 経時的に連続して行うべきである. 4 薬物治療に対する反応,初期数日の経過は予後予測に有用な情報を提供する. 5 非侵襲的負荷試験はACS の可能性の判断,リスク評価 に有用であるが,CAG は予後,適切な治療選択に関する最も重要な情報を提供する.短期リスクが低いと判断されれば,負荷試験によって長期予後に関するリスク評価を行い,必要に応じて血行再建を適用する.血行再建成功例における長期的予後は,安定狭心症に対する血行再建例と遜色なく444),二次予防を目的として冠危険因子の管理,心機能に応じた治療管理を行う. 2.2 侵襲的治療戦略の時期 侵襲的治療戦略は,CAG および冠血行再建施行の時期によってさらに3 つに分けることができる(表36).より早期の侵襲的治療は,経過中に生じる心筋虚血イベントのリスクを減少させる可能性がある.また,一定期間抗血小板療法を先行させると,血栓が関与した不安定プラークに対するPCI の合併症リスクを減少させる可能性がある. 2.2.1 即時侵襲的治療戦略(2 時間以内) 表36 に示す高リスク群は,一般に臨床試験から除外されているが,治療されなかった場合の予後は不良であるため,入院後2 時間以内の即時侵襲的治療が推奨される.また,緊急PCI が実施できない施設に上記の高リスク例が来院した場合,実施可能な施設への可及的すみやかな転院が推奨される. ABOARD 試験では,発症後ただちに血行再建を実施する戦略(中央値70 分)と翌日に実施する戦略(中央値21時間)が比較された.アスピリン,クロピドグレル,PCI時にabciximab が投与され,他の抗凝固薬は術者の選択とした.主要エンドポイントである入院中の心筋トロポニンI 中央値,副次エンドポイントである死亡,心筋梗塞, 1 ヵ月以内の緊急血行再建の発生率に,両群間で有意差は認められなかった445).したがって,本試験からNSTE- ACS に対する即時侵襲的治療戦略の有用性は実証されなかった.しかし,心筋虚血に起因する心不全,持続する胸部症状,広範な心筋虚血を示唆する心電図所見,不安定な血行動態,持続性心室頻拍(VT)のリスクを有する例などに対しては,血行再建を前提としたCAG の施行は妥当な戦略と考えられる. 心停止からの蘇生後でST 上昇が認められない場合は,症例に応じた対応が求められる.蘇生後,意識が明瞭な例に対してはすみやかにCAG の適用が考慮されるべきであるが,昏睡が持続している例では,冠動脈疾患以外に明ら