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p.41 抽出テキスト

48 時間以内の急性期に緊急CABG を行わざるをえなかった患者では成績が不良である一方,それ以降の時期では通常の待機手術と変わらないとの報告がある382, 384).しかし,早期再灌流を目的とするCABG であれば緊急で行うべきである.一方,STEMI 患者でも血行動態が安定していれば,早期CABG の成績は良好との報告もあり, 非ST 上昇型心筋梗塞(NSTEMI)または安定狭心症のCABG 適応基準を応用してもよい380, 381).

梗塞後の心室中隔穿孔(VSP)または自由壁破裂,急性重症僧帽弁逆流を伴う乳頭筋断裂といった機械的合併症に対して緊急の修復手術を要する患者については,同時にCABG の施行を考慮する382–384).

4 再灌流の評価

再灌流の評価法には,非侵襲的手段による間接的検証法と侵襲的手技による直接的検証法がある.血栓溶解療法では非侵襲的に,症状の軽減,血行動態や電気生理的安定化,心電図監視における初期のST 上昇の軽減などから再灌流の有無を推察する385).クレアチンキナーゼ(CK),クレアチンキナーゼMB 分画(CK-MB)の経時的測定において,再灌流例では血栓溶解療法開始から60 ~90 分で前値の5 ~10 倍に急激に上昇し386),これらの徴候がなければ再灌流していない可能性が高い.経胸壁冠動脈エコー法により左前下行枝(LAD)の末梢の血流速シグナルを検出できれば,再灌流したと判断できるという報告もある387).

Primary PCI では,CAG で再灌流の成否をTIMI 血流分類から評価する.TIMI 血流分類は,0:完全閉塞で再灌流なし,1:部分灌流で,明らかな造影遅延があり末梢まで造影されない,2:不完全灌流で,末梢まで造影されるが造影遅延あり,3:完全灌流で,造影遅延なく末梢まで造影,の4 つに区分され,再灌流成功はTIMI 血流分類3である388).PCI 後TIMI 血流分類2 以下の再灌流はその後の予後不良と関連する.末梢に設定されたランドマークまでの造影に要するシネフィルム数(TIMI frame count)では,より客観的に冠動脈血流を評価できるとの見解もある389).さらに,心外膜側の冠血流回復だけでは不十分で,心筋レベルの微小循環が回復することがより重要との知見もある.一方,再灌流療法に成功しても,心筋コントラストエコー法でコントラスト効果が欠損した心筋no reflow現象が約1/4 の患者にみられ,その領域の機能回復不良と関連していたとの報告もある390).心筋染影度(myocardial blush grade)は,造影剤によるすりガラス様の心筋染影(blush)によって心筋灌流を評価する方法であり,心筋コ

ントラストエコー法の所見ともよく相関し,冠動脈血流とは独立した予後規定因子とされる391, 392).その他の侵襲的方法による微小循環の評価法として,冠動脈ドプラワイヤーによる冠予備能の計測がある.冠予備能を計測することで,収縮期の逆行性血流や,順行性血流の消失,拡張期血流の急速な減速などから微小循環不全を判定することができ,左室機能の回復や予後の予測に有用であるとされている393).

非侵襲的方法としては,心電図のST 上昇の軽減(ST resolution)の評価がある.ST resolution の不良は微小循環不全と関連し,梗塞サイズや予後不良とも関連するとされている394, 395).また,核磁気共鳴像による梗塞部位の早期造影不良の検出も,再灌流の評価法として報告されている396).

5 再灌流補助

ここでは再灌流療法の補助としての治療法をあげる.抗血栓薬については他の項に譲る.

5.1 カルペリチド

カルペリチド(心房性ナトリウム利尿ペプチド[ANP])は本邦で開発された薬物で,血管拡張作用,利尿作用を有し,急性心不全に対して広く使用されている.AMI では,心臓交感神経活性の改善,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の抑制による左室リモデリングの発生抑制効果などが示されている397, 398).本邦で行われたJ-WIND-ANP では,AMI 569 例が,primary PCI による再灌流療法施行前からカルペリチドを使用する群と対照群に無作為に分けられ,臨床指標と転帰が比較検討された399).その結果,カルペリチド群では梗塞サイズの14.7%の減少,慢性期の左室駆出率(LVEF)の5.1% の増加,再灌流障害を示唆する所見(再灌流時の心室性不整脈, ST 再上昇,胸痛の増悪など)の減少が認められた.また,長期予後の比較では,カルペリチド群で心臓死または心不

表32 再灌流補助としてのカルペリチド投与の推奨とエビデンスレベル推奨クラスエビデンス

レベル

発症12 時間以内の患者に対してPCIを行う場合に,カルペリチドの静脈内投与を考慮してもよい397–399) IIb B