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p.40 抽出テキスト

り返す患者には血栓溶解療法の効果は期待できず,むしろ出血のリスクを高める.また,蘇生に長時間を要した例に対しても出血のリスクを高めるため,血栓溶解療法は相対的に禁忌である.

以下に血栓溶解療法の絶対的禁忌と相対的禁忌を示す.【絶対的禁忌】

1 頭蓋内出血の既往

2 6 ヵ月以内の脳梗塞

3 頭蓋内新生物,動静脈奇形

4 最近の主要外傷,手術,頭部外傷

5 1 ヵ月以内の消化管出血

6 活動性出血

7 大動脈解離およびその疑い

【相対的禁忌】

1 絶対的禁忌に属さない脳血管障害の既往

2 抗凝固療法中

3 妊娠中または出産1 ヵ月以内

4 コントロール不良の重症高血圧(180/110 mmHg 以上)

5 進行した肝疾患

6 活動性消化管潰瘍

7 長時間の心肺蘇生

2.3 血栓溶解療法後のPCI

従来,血栓溶解療法後に施行するPCI は,薬物治療先行型(facilitated)PCI と救済的(rescue)PCI に分けて考えられてきた.Facilitated PCI とは,PCI 治療を行うこ

とを前提にPCI に先立って血栓溶解療法を行い,引き続き計画されたPCI を施行することである.一方,rescue PCIとは,先行する血栓溶解療法が不成功の場合に血栓溶解療法後に施行されるPCI である.しかし,現在のSTEMIに対する治療法選択においてこの2 つの区分は重要ではないと考えられるため,両者をあわせて血栓溶解療法後のPCI として記載する.

血栓溶解療法後にPCI 施行が可能な施設に搬送し,血栓溶解療法後3 ~24 時間にCAG およびPCI を施行する系統的(systematic)PCI が,血栓溶解療法単独にくらべ良好な治療成績をあげることが報告されている256, 257). Systematic PCI はprimary PCI とくらべ死亡率に差はないとの報告もあり,血栓溶解療法が施行された場合には高リスクか否かの判断,さらにsystematic PCI 適応の有無の判断という見地から,PCI 施行施設への搬送が重要である256–259).

3 緊急冠動脈バイパス術

STEMI 患者の治療において,最も重要なのはすみやかな再灌流である.多くの症例で緊急冠動脈バイパス術(CABG)よりもPCI のほうが短時間で施行可能なため,再灌流療法としてCABG が選択される例は限られる.緊急CAG 時に梗塞責任血管の末梢側がバイパス可能と判断され,解剖学的にPCI が不適な病変,PCI が不成功,またはPCI により冠動脈穿孔などの合併症が起きた場合は, CABG の適応となる.しかし,現状ではPCI 技術の進歩を反映し,STEMI 患者に緊急CABG が必要とされることは少ない365, 366, 370).緊急CABG の病院死亡率は,準緊急および待機的CABG とくらべて高く365, 371–377),患者の術前状態が悪化するにつれて高くなる378).STEMI 発症後のCABG の至適手術時期については一定の見解はないが,

表30 血栓溶解療法後のPCI の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

梗塞責任血管にPCI に適した有意狭窄病変があり,心原性ショックや急性重症心不全を合併している患者に対して, PCI を行う271) I B梗塞責任血管にPCI に適した有意狭窄病変があり,心筋虚血所見がある患者に対して,退院前にPCI を行う349, 350) I C血栓溶解療法後,再灌流が不成功または再閉塞の証拠がある患者に対して, PCI を考慮する351–354) IIa B発症から24 時間以上経過した安定患者で,梗塞責任血管に有意狭窄病変がある場合,侵襲的治療選択の1 つとしてPCI を考慮してもよい265, 349, 350, 355–360) IIb B血栓溶解療法後の安定した患者で梗塞責任血管に有意狭窄病変がある場合,血栓溶解療法後2~3 時間以内のPCI は推奨されない256, 257, 361–364) III No benefit B表31 STEMI における緊急CABG の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

PCI が不成功または技術的に困難で,虚血発作が持続し,薬物治療に抵抗性の不安定な血行動態 (心原性ショックや心筋虚血由来と考えられる致死性不整脈) を呈する患者に対し,ハートチームで協議し緊急CABG を行う119, 271, 365–369) I C