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p.39 抽出テキスト

1 年での再入院率と狭心症発症率には差が認められなかった.一方,3 つのメタ解析では,死亡と心筋梗塞に関して残存冠動脈病変へのPCI の有効性を示すことはできなかった326–328).

本邦では無作為化比較試験はなく,CREDO-Kyoto AMI レジストリーデータからの観察研究の解析結果が報告されている329).STEMI 患者において,急性期のprimary PCI 施行後に残存した非梗塞責任病変に対してstaged PCI を施行した群(staged PCI 群)と,梗塞責任病変のみの治療を行った群(culprit-only PCI 群)を比較した結果,5 年間の観察期間で,全死亡はstaged PCI 群において有意に少なく,予後は良好であった(9.5% vs 16.0%, P <0.001;HR 0.69,95%CI 0.50–0.96,P =0.03).

多枝病変AMI 患者で心原性ショックを伴う場合,非責任梗塞病変へのPCI 介入のタイミングについては判断に苦慮することが多い.心原性ショックを合併した多枝病変のAMI 患者706 例を対象としたCULPRIT-SHOCK 試験では,70% 以上の冠動脈狭窄を伴うすべての病変に対し責任病変と同時にPCI を行う群(n=355)と,責任病変のみにPCI を施行し,非侵襲的負荷試験やFFR で残存病変へのPCI の適応を評価してstaged PCI を行う群(n=351)の間で,主要エンドポイントである30 日以内の死亡,腎不全(腎代替療法)が評価された330). 結果,責任病変のみにPCI を施行し残存病変には適応を評価してstaged PCIを行う群のほうが,責任病変と同時に残存病変へPCI を行う群よりも,30 日後の死亡,腎代替治療が必要になる重症腎不全の複合エンドポイントのリスクが低下することが示された.

バイアビリティのある領域の非梗塞責任血管の高度狭窄病変に,急性期に同時にPCI を施行することは,この領域のhibernation の軽減や虚血発作の減少につながり,心機能がより早期に回復する可能性がある.一方で,手技時間が長く複雑になることに加え,造影剤の使用量が増すことで造影剤腎症が生じやすい.さらに,プラークが脆弱な急性期の同時PCI により側枝閉塞や遠位閉塞が起こる可能性もあり,可能であれば虚血発作が生じないかぎり安定期に行ったほうがよいとの考えもある.心原性ショック患者における緊急時の同時PCI については明確なエビデンスに乏しく,個々の患者ごとに得失を考慮し,またその手技成功率を予測したうえで治療方針を決定することが肝要と考えられる. 2 血栓溶解療法

血栓溶解療法は,再灌流療法が導入された当初は冠注法であったが,primary PCI の導入以降は特殊な状況を除いて静注法であり,本ガイドラインでは静注法に限定する.

2.1 適応

本邦ではPCI 施行施設が諸外国より多く,STEMI に対する血栓溶解療法の再灌流療法に占める割合は10% 以下とされている24, 346).しかし,STEMI や左脚ブロックを伴うAMI に対する血栓溶解療法の効果は確立されており,発症12 時間以内であれば再灌流の時間が短いほど死亡率や合併症が減少する10, 336–341).したがって,発症後間もないSTEMI 患者でPCI 施行施設への搬送に時間を要する場合,血栓溶解療法を考慮すべきである.血栓溶解療法は発症12 時間以内でかつSTEMI の診断から2 時間以内にprimary PCI を施行できないときに推奨される.発症から時間が経過するほど血栓溶解療法の効果は減弱する.発症から3 時間以上経過していれば,時間を要してもPCI 施行施設へ搬送してprimary PCI を考慮すべきである342, 347, 348).

2.2 禁忌

発症後短時間内に心肺蘇生に成功したAMI 患者に対しては,血栓溶解療法は禁忌ではない.しかし,心停止を繰

表29 STEMI における血栓溶解療法の推奨とエビデンス

レベル

推奨クラスエビデンス

レベル

発症12 時間以内で,最初の接触から2時間以内にPCI が施行できないことが予想される患者に対して,血栓溶解療法を行う10, 336–341) I A発症から12 時間以上24 時間以内で,心筋虚血が自覚症状または心電図で確認され,PCI が施行できず,広範囲の心筋虚血があるか血行動態が不安定な場合に,血栓溶解療法を考慮するIIa C 75 歳以上の患者に対して通常投与量の半量投与を考慮する342) IIa B ST 上昇が認められない場合(純後壁梗塞を除く),血栓溶解療法を行うべきではない130, 336, 343–345) III Harm B