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低減効果が認められた.また,本邦からの報告291)でも,ショックを伴わないSTEMI 患者において,経橈骨動脈アプローチでは再灌流までの時間が短縮すること,穿刺部位の合併症や30 日死亡率が低減されることが示された.ショックを伴うSTEMI 患者では,経大腿動脈アプローチとの間で死亡率に差はみられなかったが,血管合併症は低減された. 透析患者では橈骨動脈の使用は適切ではなく,将来血液透析の可能性のある慢性腎臓病患者においては,橈骨動脈の使用には配慮が必要である. 1.7 抗血栓療法 1.7.1 抗血小板療法 a. アスピリン,チエノピリジン系抗血小板薬 Primary PCI ではステント留置が一般的であり,ステント血栓症の予防のために抗血小板薬の適切な投与が重要である.血栓形成には,血小板が周囲からの刺激に反応してアデノシン二リン酸(ADP)を放出することが重要な役割を果たしている.血小板から放出されるADP は,血小板の細胞膜にあるADP 受容体P2Y12 を介してさらなる血小板凝集を引き起こす.プラスグレルやクロピドクレルは, ADP のP2Y12 受容体への結合を阻害し,血小板の凝集と血栓の形成を抑制する薬物であり,チエノピリジン系抗血 小板薬とよばれる.ステント留置の際,ステント血栓症を予防する目的でアスピリンに併用してチエノピリジン系抗血小板薬を投与することで,ステント血栓症の発生が抑制されることが示され,ステント留置後の標準治療となった301).アスピリンはシクロオキシゲナーゼを阻害し,トロンボキサンA2 の生成を抑えることで血小板凝集を抑制する. ステント留置時には抗血小板薬が十分に効果を発揮していることが望ましい.これは,留置後のステント血栓症は手技後24 時間以内に多いためである.本邦でAMI におけるPCI の現状を調査した研究結果でも,ステント血栓症はステント留置後10 日以内,とくに1 日以内に集中していた302). ACS 患者に対する緊急PCI では,抗血小板薬の効果が十分に発現する前に手技を施行しなければならないことが多い.また,病変部に血栓が存在するという病態からもステント血栓症の発症率は高まる.そこで,ステント血栓症のリスクを少しでも軽減するために,PCI による冠血行再建を前提として緊急カテーテル検査が決定された時点で,アスピリンとP2Y12 受容体拮抗薬の負荷投与を行う.アスピリンは吸収促進のため162 ~325 mg の咀嚼投与が推奨されている. 再灌流療法導入当初はチクロピジン200 mg 前後/ 日が投与されていた.しかし,チクロピジンには低率ではあるが,白血球減少,肝機能障害,血栓性血小板減少性紫斑病などの副作用があるため,現在ではクロピドグレルが用いられるようになった.PCI 前にクロピドグレル300 mg を負荷投与することで,より早くステント血栓症の予防効果が発現する.ステント留置後はクロピドグレル75 mg/日をアスピリンとあわせて服用する.ステント留置後の投与期間は,BMS で1 ヵ月間,DES では少なくとも半年から1年間が勧告されている298). プラスグレルは第3 世代のチエノピリジン系抗血小板薬であり,クロピドグレルにくらべて代謝経路が単純で作用が迅速に発現することに加え,シトクロームP2C19 遺伝子多型の影響を受けにくく,薬効の個人差が少ない.欧米で認可のために施行された大規模臨床研究であるTRITON- TIMI 38 において,プラスグレル群はクロピドグレル群にくらべ血栓イベントが少なかった299).欧米ではプラスグレルの投与量として60 mg の負荷量,10 mg の維持量が選択されているが,日本人では欧米の1/3 の量である20 mgの負荷量と3.75 mg の維持量が選択されている303).プラスグレルは迅速に抗血小板効果を発揮するため,ACS 患者におけるステント血栓症予防に必要である. 表25 Primary PCI 時のチエノピリジン系抗血小板薬投与の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル Primary PCI 施行前にクロピドグレル300 mg を投与し,その後75 mg/ 日を経口投与する298) I A Primary PCI 施行前にプラスグレル20 mg を投与し,その後3.75 mg/ 日を経口投与する299, 303) I Aアスピリンやチエノピリジン系抗血小板薬を投与できない患者に対し,シロスタゾールの投与を考慮してもよい300) IIb C 表24 Primary PCI 時のアスピリン投与の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル Primary PCI 施行前にアスピリン162~ 325 mg を咀嚼服用させる292–294) I A禁忌がないかぎり,無期限にアスピリン81~162 mg/ 日を経口投与する295– 297) I A