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第4章 ST上昇型心筋梗塞の急性期評価・治療 1 Primary PCI 1.1 適応ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)に対する再灌流療法は, 心筋梗塞の急性期治療として現在では広く受け入れられており,発症12 時間以内のSTEMI 対して再灌流療法を行うことの有効性も確立している.いかに迅速に,かつ確実に合併症なく冠動脈の血流を回復させるかが治療のポイントである.STEMI では,血栓溶解療法,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を問わず,いかに早期にTIMI 血流分類3の再灌流を得るかが予後改善にとって重要である.本邦では現在PCI がSTEMI 治療の主体として多く行われている.血栓溶解療法を先行させることなく,再灌流療法として当初からPCI を選択することを,primary PCI という. PCI については,PCI に関する学会専門医や認定医など,一定の基準に達し熟練した術者が適切な施設環境において行うことが原則とされている. STEMI の予後は,発症からいかに迅速に梗塞責任血管の再灌流を達成できるかに依存する.発症12 時間以内のSTEMI 患者に対し,熟練したチームによって院内への到着から90 分以内に達成されるprimary PCI は,的確な再灌流療法である.2003 年にはLancet に,23 の無作為化比較試験のまとめとして,primary PCI のほうが血栓溶解療法よりも予後を改善することが報告された251).STEMIに対する予後改善効果は血栓溶解療法よりもprimary PCIが勝ることが明示され,primary PCI は標準的な治療法となった.しかし,PCI 施行施設から遠隔な地域や離島などもあり,primary PCI が第一選択ではなく,血栓溶解療法を十分に考慮すべき状況も存在する.ただし,その後はPCI 施行可能施設への搬送が推奨される256–259). また,STEMI において最も重要なことは,発症から再灌流までの総虚血時間(total ischemic time)をいかに短くするかである.そこで,STEMI へのprimary PCI において,door to balloon time が早期再灌流の指標として普及し,door to balloon time を90 分以内とすることがprimary PCI 施行施設の目標とされてきた.しかし,本邦における急性心筋梗塞(AMI)の大規模観察研究であるCREDO-Kyoto AMI レジストリー266)では,door to balloon time 90 分以内を達成した症例と達成できなかった 表18 STEMI におけるprimary PCI の推奨とエビデンス レベル 推奨クラスエビデンス レベル 発症12 時間以内の患者に対し,できるかぎり迅速にprimary PCI(ステント留置を含む)を行う251–253) I A Primary PCI を行う場合にDES を用いる254, 255) I A発症3 時間以内で,PCI を施行するために必要な時間と血栓溶解療法開始までにかかる時間の差が1 時間以上の場合に,血栓溶解療法を考慮する256–259) I B発症12 時間から24 時間以内で,臨床的にまたは心電図変化から持続する虚血徴候が認められる患者に対し, primary PCI を考慮する260, 261) IIa B発症12 時間から24 時間以内で,血行動態および電気生理的に安定しており症状が消失している患者に対し, primary PCI を考慮してもよい260) IIb B血行動態が安定している患者に対し,非梗塞責任血管へのprimary PCI はルーチンとしては推奨されない262–264) III No benefit B発症後24 時間以上経過し,血行動態および電気生理的に安定しており症状が消失している患者に対し,primary PCIは推奨されない265) III No benefit A厚生労働省の定める施設基準を満たさない施設やPCI に熟練していない術者はprimary PCI を行うべきではないIII Harm C