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め,クレアチニンクリアランスや推算糸球体濾過率(eGFR)のほうが用いられる. 1.8.4 画像診断 Sabia らは胸痛患者において,心エコー法で明らかな壁運動異常がない群では入院率,入院期間および入院費がそれぞれ32%,23%,24% 減少したことを報告している224).さらに胸痛が持続しているにもかかわらず心電図変化が典型的ではない患者の鑑別として,壁運動スコア指数(WMSI)を算出して評価することができる.WMSI が1.7を超える例では心筋灌流異常が20% 以上であり,再灌流療法後に左室収縮運動が改善されても心筋梗塞再発作,心不全,重篤な不整脈などの合併症が高率であることが報告されている224–226).また,UA で入院した患者に対する72 時間以内の心エコー法において,WMSI,LVEF,僧帽弁逆流を指標に用い,この3 指標が一定の基準を上回り正常と判断されれば,入院中の心事故発症率の陰性予測値は100% と判断できることが報告されている227).Shah らは,2 項目以上の危険因子を保有し,胸部症状を訴えるが心電図や12 時間後の心筋トロポニンに異常がない患者群に対して,24 時間以内の運動負荷またはドブタミン負荷心エコー法を行った結果,検査の安全性は高く,早期退院可能例と高リスク例との区別に有用であったことを報告している228). ACS の診断,重症度評価,予後予測は,病歴,簡単な診察および検査から得られるものであり,迅速かつ正確な病歴聴取,身体所見や検査所見の把握が重要である.しかし,ACS では症状が非典型的であることや無症状のことも稀ではない.43 万人あまりのAMI 患者を登録した米国の研究では,33% の例で来院時に胸痛がなかった.無胸痛群は胸痛群とくらべて,高齢(74 歳 vs 67 歳),女性(49% vs 38%),糖尿病(33% vs 25%),心不全の既往あり(26% vs 12%)の割合が高かった129).無痛性AMI 患者は病院受診までの時間が長く,診断も遅れやすい.適切な治療や再灌流療法の施行率も低いため,院内死亡率は2.21 倍と高く,注意が必要である. 初期診断時にリスクが高いと判断された場合は,冠動脈疾患集中治療室(CCU)での管理が必須であり,中等度リスク例も高リスク例に準じた管理が求められる.低リスク例は外来管理も可能である.ただし,初診時の一時点のみの評価では高リスク例を見逃す可能性があるため,経時的に症状や心電図所見,心筋バイオマーカーを評価してリスク層別を行い,再評価でリスクが高くなっている場合には治療戦略の変更を考慮する. 2 初期治療 2.1 酸素 「ST 上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013 年改訂版)」233)では,すべてのSTEMI 患者に対する来院後6 時間の酸素投与は,クラスIIa,エビデンスレベルC で推奨されていた.しかし最近の報告では,低酸素血症のない患者への酸素投与の有効性は否定されている229–232).低酸素血症,心不全やショックの徴候がある場合には酸素投与を開始すべきであるが,ルーチンの酸素投与は推奨されない.酸素投与の必要性を判断するために,来院時ただちに酸素飽和度をモニタリングする.酸素飽和度が不明な場合の酸素投与については禁止されるものではなく,AMI 発症後,経過中の状態によって低酸素状態が発生するリスクのある場合には酸素投与を行う.また,種々の原因により高度の低酸素血症が認められる場合は,気管内挿管下に人工呼吸器管理とする.非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)は心原性急性肺水腫に対して有効であるという報告もあるが,AMI 患者に対しての安全性と有効性について一定した見解は得られていない. 2.2 硝酸薬 表14 初期治療における酸素投与の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 低酸素血症(酸素飽和度90% 未満)または心不全徴候のある患者に対して酸素を投与するI C酸素飽和度90% 以上の患者に対してルーチンの酸素投与は推奨されない 229–232) III No benefit A 表15 初期治療における硝酸薬投与の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 心筋虚血による胸部症状のある患者に対して,ニトログリセリンを舌下またはスプレーの口腔内噴霧で投与するI C