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するが,手元にある情報から迅速なリスク評価を行い,患者やその家族に対し予想される予後の情報を提供することも重要である. 1.8.1 病歴および身体所見 UA の重症度,臨床像,治療の状況を加味した分類を, 1989 年にBraunwald が提唱した(表10) 187).この分類は短期生命予後の予測に有用であり188, 189),治療戦略の決定に寄与するとの報告が多い108, 190).さらに,CAG における冠動脈病変重症度191–193), PCI 施行時の合併症との相関が示されている.クラスII およびIII(急性または亜急性),クラスB (一次性不安定狭心症),クラスC(梗塞後不安定狭心症)が中等度~高リスクである.Braunwald らは, 20 分以上持続する安静狭心症,虚血に合併した肺水腫,III音またはラ音を伴う狭心症,低血圧を伴う狭心症の短期予後は不良であることを指摘している187). NSTE-ACS のリスク評価について,しばしば用いられるTIMI リスクスコア(表11)(https://www.mdcalc.com/ timi-risk-score-ua-nstemi)は,1年齢(65 歳以上),23つ以上の冠危険因子(家族歴,高血圧,高コレステロール血症,糖尿病,現喫煙),3既知の冠動脈有意(≧50%)狭窄,47 日以内のアスピリンの服用,524 時間以内に2回以上の狭心症状の存在,6心電図における0.5 mm 以上のST 偏位の存在,7心筋バイオマーカーの上昇の7 要素によって算出するため,患者のほとんどで搬入直後に,2週間以内の主要心血管リスクを評価することが可能である(合併症発症率はスコアが増加するごとに相乗的に高くな る) 76, 194).NSTE-ACS ではリスクによりその後の治療戦略が異なることから,初期のリスク評価がより重要である. STEMI の予後に影響する因子としては,年齢,Killip分類,再灌流までの時間,心停止の有無,心拍数(頻脈),収縮期血圧(低血圧),梗塞部位(前壁),心筋梗塞の既往,糖尿病,喫煙の有無,腎機能,性別,低体重などがあげられる45, 195–197).Killip 分類(表3)は,主に聴診所見により重症度を評価でき予後の予測にも有用である93). Killip 分類クラスIV の心原性ショック患者の死亡率は未だ40 ~70% と高く,院内死亡の最大原因である.しかし,ショック合併患者においても早期の再灌流療法を中心とした治療法の進歩により生存率が向上することが示されている75, 198, 199).心筋梗塞による心原性ショックは,一般に左室充満が十分な状況で末梢循環不全の徴候を合併した,30 分以上持続する低血圧(<90 mmHg)と定義されるが,血圧が90 mmHg 以上でも組織低灌流状態がみられる場合にはプレショックと考え,ショックと同様の対応をする必要がある. STEMI,NSTE-ACS を含むACS 症例の包括的リスク評価にはGRACE ACS リスクスコアが用いられ(表12) (https://www.mdcalc.com/grace-acs-risk-mortalitycalculator),8 つの危険因子として,1年齢,2心拍数, 3収縮期血圧,4初期血清クレアチニン,5Killip 分類, 6心停止による入院,7心筋バイオマーカーの上昇,8 ST 部分の偏位があげられている.これらの因子に重みづ 表10 不安定狭心症の分類 (Braunwald E. 1989 187)をもとに作表) 重症度クラスI: 新規発症の重症または増悪型狭心症• 最近2ヵ月以内に発症した狭心症• 1 日に3 回以上発作が頻発するか,軽労作でも発作が起きる増悪型狭心症.安静狭心症は認められない.クラスII: 亜急性安静狭心症• 最近1ヵ月以内に1 回以上の安静狭心症があるが,48 時間以内に発作が認められない.クラスIII: 急性安静狭心症 • 48 時間以内に1 回以上の安静時発作がある. 臨床状況クラスA: 二次性不安定狭心症(貧血,発熱,低血圧,頻脈などの心外因子により出現)クラスB: 一次性不安定狭心症(クラスA に示すような心外因子のないもの)クラスC: 梗塞後不安定狭心症(心筋梗塞発症後2 週間以内の不安定狭心症)治療状況1)未治療または最小限の狭心症治療中2)一般的な安定狭心症の治療中(通常量のβ遮断薬,長時間持続硝酸薬,Ca 拮抗薬) 3)ニトログリセリン静注を含む最大限の抗狭心症薬による治療中