p.18 抽出テキスト
に発作が起こることが多い. 3 胸痛の発症様式および経時的変化から,安静時狭心症, 新規発症型狭心症,増悪型狭心症を区別する.胸痛が新たに1 回のみ生じた場合は新規発症型,症状が繰り返す場合は増悪型を疑い,積極的に治療する. 4 胸痛が安静やニトログリセリンの使用により1 ~5 分で 消失する場合は,狭心症であることが多い. 5 随伴症状として呼吸困難,意識消失を伴うときは重症で あり,心筋梗塞を考慮しなければならない.発熱を伴うときは肺炎,胸膜炎,心膜炎などの感染症も鑑別する. 6 虚血性心疾患の既往があり,その症状に類似するかより 症状が強い場合は,ACS の可能性が高い. ACS の診断に至らない低リスクの胸痛患者における急性期リスク(6 週間以内の全死亡,心筋梗塞,冠動脈血行再建術)を特定するスコアとして,HEART スコアが提唱されている86)(https://www.mdcalc.com/heart-score-major- cardiac-events).これは,History(病歴),ECG(心電図), Age(年齢),Risk Factors(危険因子),Initial Troponin(トロポニン初期値)の頭文字を取ったもので,これらの臨床因子からスコアを算出する.HEART スコアに基づいて判断した早期退院の安全性が示されており,検査の回数を含むコスト軽減に有用であること,低リスク患者の同定に関してはTIMI スコアやGRACE スコアを上回ることが報告されている87–89). 1.2.2 既往歴 既往歴についての聴取は重要である.同様の症状は過去にあったか,心筋梗塞の既往や冠動脈造影(CAG),冠動脈形成術,冠動脈バイパス術(CABG)を受けたことはないか,脳血管障害,末梢血管疾患はないか,他医での診断,治療は受けていないか,などを聴取する.既往がある場合,過去の診断内容や具体的な治療歴の情報を収集すること 図2 急性冠症候群の診断・治療フローチャート 急性冠症候群を疑う患者の搬入 *1 急性下壁梗塞の場合,右側胸部誘導(V4R 誘導)を記録する急性冠症候群が疑われる患者で初回心電図で診断できない場合,背側部誘導(V7-9 誘導)も記録する*2 採血結果を待つことで再灌流療法が遅れてはならない*3 重症度評価や他の疾患との鑑別に有用であるが,再灌流療法が遅れることのないよう短時間で行う 第1 段階:問診,身体所見,12 誘導心電図*1(10 分以内に評価)第2 段階:採血*2(画像検査*3:心エコー,胸部X 線写真) 急性冠症候群の可能性を推測する ST 上昇 ST 上昇型心筋梗塞 なしあり 非ST 上昇型急性冠症候群 リスクスコア(TIMI,GRACE など)リスク評価 高リスク中等度リスク 早期侵襲的治療待機的侵襲的治療外来管理も可能再灌流療法 低リスク