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類した.本ガイドラインが,本邦のみならずアジア諸国でも参考となりうることを目指し,作成過程にも新しい試みを取り入れた.診療ガイドラインは,意見や考え方が偏ることのないよう,班会議において構成員全員で検討されることが望ましい.しかし,3 つのガイドラインの集約化により内容量も構成員数も多大となり,長時間にわたる班会議を複数回開催するのは,現実問題として難しい.そこで,班員のなかで希望者を募ってワーキンググループを結成し,泊まり込みの合宿形式での原稿修正の議論や,複数回のメール審議を行った.とくに意見が分かれた推奨クラス・エビデンスレベルの決定においては,できるかぎり時間を割いて議論を尽くしたつもりである. ガイドラインは,対象となる疾患における大規模臨床試験や登録観察研究によるエビデンスを批判的に吟味することで作成され,結果として医療の標準化,さらに質の向上を目指すものである.ガイドラインの対象はその疾病群の標準的な患者である.診療現場においてはガイドラインに画一的に準ずるのではなく,その対象となった患者群との差異を認識し,個々の患者の病態に応じてより柔軟に記載を適応させることが重要である.本ガイドラインに基づいた診療結果が総括され,さらにその問題点が明らかにされ,数年後により洗練されたガイドラインが作成されることにより,診療レベル向上につながることが望まれる. 本邦では未承認の手技,治療法,治療薬で,海外では有効性,有用性について十分なエビデンスがあるか専門家の見解が広く一致しているものについても,本ガイドラインでは適宜記載した.また,本邦の保険医療では認可されていない適応や用法,用量についても必要に応じて言及した.なお,保険適用については2018 年12 月時点の基準に準拠した. 第1章 概念,定義,疫学 1 概念,定義 急性冠症候群(ACS)は,冠動脈粥腫(プラーク)の破綻とそれに伴う血栓形成により冠動脈内腔が急速に狭窄,閉塞し,心筋が虚血,壊死に陥る病態を示す症候群である1, 2).動脈硬化の初期には内膜肥厚,脂質沈着およびマクロファージ浸潤によってプラークが形成されるが,血管外径が代償性拡大(positive remodeling)することにより血管内腔は保たれる.さらにプラークが成長して代償不全になると血管内腔が狭小化し,狭窄が高度になると労作性狭心症を生じる.このような動脈硬化の発生と進展には炎症が重要な役割を果たしている3).その過程では,コレステリン結晶や炎症細胞浸潤を伴う脂質成分に富んだ壊死性 コア(necrotic core)と,それを覆う薄い線維性被膜からなる脆弱なプラーク(vulnerable plaque)が形成され,プラークが破綻することによって冠動脈内に血栓が形成されることで,ACS が引き起こされると考えられている4).その一方,明らかなプラーク破裂がなく冠動脈内に血栓が形成される病態の存在が病理組織学的に明らかとなり,そうした病態は血管内皮細胞の障害や欠損により血栓形成を生じるびらんとして認識されるようになった.さらに,頻度は少ないものの,内腔に突出する密集した石灰化結節(calcified nodule)もプラーク破裂を伴わない冠動脈内血栓の原因となる.このような冠動脈内血栓によるACS は,その発症前には労作性狭心症を生じない程度の軽度な狭窄度の病変から生じることが少なくない5).すなわち,労作性狭心症におけるプラークの進展は一連のスペクトラムの 表2 エビデンスレベル レベル A複数の無作為臨床試験またはメタ解析で実証されたものレベル B単一の無作為臨床試験または大規模な無作為でない臨床試験で実証されたものレベル C専門家および/ または小規模臨床試験(後ろ向き試験および登録を含む)で意見が一致したもの