p.101 抽出テキスト
設のパフォーマンスを把握することが可能となっている. 2018 年現在,PCI に関して提示されているのは以下の7項目である. 1.ACS の割合(%) 2.緊急PCI 患者の割合(%) 3.ST 上昇型心筋梗塞患者におけるdoor to device time 4.術前抗血小板薬使用の割合(%) 5.橈骨動脈によるPCI アクセスの割合(%) 6.非緊急PCI 患者:虚血評価患者の割合(%) 7.非緊急PCI 患者:近位部病変以外へのPCI(%) 2) 診断群分類包括評価(DPC)データを用いた取り組み (JROAD) 2003 年から本邦に導入されたDPC 制度の特徴の1つは, 医療の実態を反映するデータに基づいて制度が設計・維持されていることである.そのために,日本循環器学会ではDPC 制度に参加する医療機関から2014 年度より詳細なデータを収集し,その特性を生かした医療の質評価手法の開発を進めている(循環器疾患診療実態調査[The Japanese Registry Of All cardiac and vascular Diseases: JROAD]) 1096, 1097).把握したデータに基づいて学会員や社 会へ,あるいは社会保険制度へ,循環器診療の質を向上させる提案・提言を行い,診療の質を向上させる改善策に取り組んでいる. 急性冠症候群(ACS)の予後改善を目指すためには,1緊急心血管治療(ECC)体制の充実:発症から冠動脈疾患集中治療室(CCU)収容に迅速に連携する初期搬送治療と緊急カテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション[PCI]),2ACS 発症を防止する一次予防,二次予防,に区別して取り組む必要がある. 1 ECC 体制の充実1)ACS の地域住民への啓発 各地域で組織だった地域住民教育システムを,救急医療システムに携わる医療機関,行政,消防救急が中心となって構築する必要がある.ACS または心筋梗塞への社会の関心を高め,疾患に関する市民の知識を増やし,あらゆる地域における救命の連鎖 (迅速な通報,迅速な心肺蘇生,迅速な除細動,二次救命処置[ACLS])構築の基盤とする. 2)自動体外式除細動器(AED)の設置と一次救命処置 (BLS)の普及地域社会は,AED の設置をさらに進め,院外心停止への迅速なBLS 施行に向けその普及活動を行う.AED 使用によるPAD(public access defibrillation)プログラムを広く推進すべきである1098). 3)患者,家族の教育心疾患を有する患者とその家族に,救命の連鎖の最初の 3 つの鎖を習得してもらうべく,各地域において講習会などを開催する.主治医またはプライマリケアシステムの果たす役割も重要である. 4)ACS に対する地域の救急・診療体制 地域での救急医療システムの組織化と円滑な運営が必須である.そのためには地域の行政,消防救急,病院,医師会などが組織の一員となり,相互に協力してシステムを支える必要がある.地域間格差解消のためにそれぞれの地域に応じたきめ細かいシステムの構築が必要であり,また継続的にその検証を行っていく必要がある. 2ACS 発症を防止する一次予防,二次予防 ACS の一次予防,二次予防では,糖尿病,高血圧,脂質異常症,肥満,喫煙といった古典的冠危険因子の管理以外に,生活習慣の改善や運動習慣の獲得が非常に重要である.そのため,一般健常人,患者,家族,およびプライマリケアシステムにおける一次予防,二次予防の意識の向上が必須であり,いわゆる“Community Education” を徹底させることが肝要である.一次予防においては,現在の社会健康システムである特定健康診査,特定保健指導をいかにACS の発症予防につなげていくかという観点が重要であり,その有用性の評価方法を開発し,検証と実践を行う 第10章 ACS予防や予後改善のために 求められる社会的活動