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Clinical Guidelines for Cancer Pain Management edited by Japanese Society for Palliative Medicine ©2010 All right reserved. KANEHARA & Co., Ltd., Tokyo Japan Printed in Japan
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iii 緩和医療ガイドライン作成委員会委 員 長 志真 泰夫 筑波メディカルセンター病院緩和医療科担当委員 細矢 美紀 国立がん研究センター中央病院看護部 的場 元弘 国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科森田 達也 聖隷三方原病院緩和支持治療科 がん疼痛ガイドライン作業部会部 会 長 志真 泰夫 筑波メディカルセンター病院緩和医療科副部会長 細矢 美紀 国立がん研究センター中央病院看護部 的場 元弘 国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科森田 達也 聖隷三方原病院緩和支持治療科 委 員 赤木 徹 国立がん研究センター中央病院薬剤部 荒井 保明 国立がん研究センター中央病院放射線診断科、日本インターベンショナルラ ジオロジー学会〔外部委員〕 新幡 智子 慶應義塾大学看護医療学部有賀 悦子 帝京大学医学部内科学講座緩和医療科、帝京がんセンター/医療情報システ ム研究センター 池永 昌之 淀川キリスト教病院ホスピス井沢 知子 京都大学医学部附属病院看護部伊勢 雄也 日本医科大学付属病院薬剤部井関 雅子 順天堂大学医学部麻酔科・ペインクリニック伊東 俊雅 東京女子医科大学病院薬剤部射場 典子 NPO法人健康と病いの語りディペックス・ジャパン今井 堅吾 淀川キリスト教病院ホスピス上園 保仁 国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究部上田 敬子 恵佑会札幌病院緩和ケア科梅田 恵 株式会社緩和ケアパートナーズ大坂 巌 静岡県立静岡がんセンター緩和医療科大澤 匡弘 星薬科大学薬物治療学教室大畑 美里 聖路加国際病院看護部小笠原利枝 横浜市立みなと赤十字病院看護部岡本 禎晃 大阪大学大学院薬学研究科実践薬学教育研究センター病院薬学教育研究部奥津 輝男 静岡県立静岡がんセンター緩和医療科奥出有香子 順天堂大学医学部附属順天堂医院看護部加賀谷 肇 済生会横浜市南部病院薬剤部風間 郁子 国際医療福祉大学三田病院看護部片山 志郎 日本医科大学付属病院薬剤部加藤 恵 武蔵野赤十字病院看護部川地香奈子 癌研究会有明病院看護部川村三希子 北海道医療大学看護福祉学部
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iv木下 寛也 国立がん研究センター東病院緩和医療科・精神腫瘍科 葛巻 直子 星薬科大学薬品毒性学教室工藤 尚子 国立がん研究センター研究所国分 秀也 北里大学病院薬剤部小島 圭子 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科小原 弘之 県立広島病院緩和ケア科小宮 幸子 横浜市立大学附属病院薬剤部小山 弘 国立病院機構京都医療センター教育研修部長〔外部委員〕小山富美子 近畿大学医学部附属病院がんセンター看護部境 徹也 長崎大学医学部麻酔学教室坂元 敦子 杏林大学医学部付属病院看護部坂本 雅樹 名古屋市立大学病院緩和ケア部佐々木聡美 みどり内科クリニック佐野 元彦 埼玉医科大学総合医療センター薬剤部塩川 満 聖路加国際病院薬剤部四方 哲 蘇生会総合病院外科〔外部委員〕宍戸 英樹 宍戸内科医院篠 道弘 静岡県立静岡がんセンター薬剤部篠原 明子 帝京大学医学部附属病院緩和医療科清水わか子 君津中央病院放射線治療科、日本放射線腫瘍学会白髭 豊 白髭内科医院新貝夫弥子 愛知県がんセンター中央病院看護部新城 拓也 社会保険神戸中央病院緩和ケア病棟須賀 昭彦 静岡済生会総合病院緩和医療科鈴木 勉 星薬科大学薬品毒性学教室髙瀬 久光 福岡大学病院薬剤部高田 慎也 国立病院機構北海道がんセンター薬剤科高田 正史 長崎大学病院麻酔科瀧川千鶴子 KKR札幌医療センター緩和ケア科田口 賀子 大阪府立成人病センター看護部田中 桂子 がん・感染症センター都立駒込病院緩和ケア科長 美鈴 聖路加国際病院緩和ケア科敦賀 健吉 北海道大学医学研究科麻酔・周術期医学分野冨安 志郎 長崎市立市民病院麻酔科・緩和ケアチーム中川 貴之 京都大学薬学研究科生体機能解析学分野中西 真理 在宅看護研究センターLLP日本在宅看護システム成田 年 星薬科大学薬品毒性学教室西岡 弘晶 名古屋記念病院総合内科能勢 誠一 長崎大学病院薬剤部浜野 淳 大和クリニック林 章敏 聖路加国際病院緩和ケア科
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v 林 ゑり子 藤沢湘南台病院看護部久永 貴之 筑波メディカルセンター病院緩和医療科久原 幸 手稲渓仁会病院がん治療管理センター緩和ケア室・緩和ケアチーム尾藤 誠司 NHO東京医療センター教育研修部/臨床疫学研究室〔外部委員〕廣岡 佳代 聖路加看護大学看護実践開発研究センター府川美沙子 北里大学病院薬剤部北條美能留 長崎大学病院麻酔科・緩和ケアチーム細川 豊史 京都府立医科大学麻酔科細谷 治 城西大学薬学部薬剤学講座本田 晶子 聖路加看護大学看護実践開発研究センター前堀 直美 株式会社レーベンプランレモン薬局三方原店松坂 俊 手稲渓仁会病院総合内科/感染症科・緩和ケアチーム松田 陽一 大阪大学大学院医学系研究科麻酔・集中治療医学講座松本 直子 聖路加看護大学図書館松本 禎久 国立がん研究センター東病院緩和医療科・精神腫瘍科三浦 里織 慶應義塾大学病院看護部村上 敏史 国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科村田 寛明 長崎大学医学部麻酔学教室森脇 俊和 筑波大学大学院消化器内科〔外部委員〕八戸 すず 順天堂大学がん治療センター緩和ケアチーム山口 敬介 順天堂大学医学部麻酔科ペインクリニック講座山口 崇 筑波メディカルセンター病院緩和医療科山本 亮 佐久総合病院総合診療科・緩和ケアチーム温泉川真由 国立がん研究センター研究所腫瘍ゲノム解析・情報研究部余宮きのみ 埼玉県立がんセンター緩和ケア科龍 恵美 長崎大学病院薬剤部・緩和ケアチーム渡邊 紘章 静岡県立静岡がんセンター緩和医療科渡邉 眞理 神奈川県立がんセンター地域医療連携室 評価委員 飯野 京子 国立看護大学校成人看護学 加藤 裕久 昭和大学薬学部医薬品情報学教室〔外部委員〕川越 正平 あおぞら診療所木澤 義之 筑波大学大学院人間総合科学研究科下山 直人 国立がん研究センター東病院緩和医療科・精神腫瘍科茶谷 正史 大阪労災病院放射線科〔外部委員〕恒藤 暁 大阪大学大学院医学系研究科緩和医療学中島 康雄 聖マリアンナ医科大学放射線医学教室〔外部委員〕中山 健夫 京都大学健康情報学〔外部委員〕奈良林 至 埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター緩和医療科向山 雄人 癌研有明病院緩和ケア科村川 和重 兵庫医科大学疼痛制御科学・ペインクリニック部
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vii 日本緩和医療学会は今年創立15 周年を迎え、会員数も8,500 名余となりました。この間、本学会は本邦における緩和医療学Palliative Medicine の専門性の確立と普及に微力ながら力を尽くしてきました。学会の果たすべき重要な役割の一つに、全国各地における質の高い緩和医療体制の整備があります。それを実現するために、学会として緩和医療に関する診療ガイドラインの作成および体系的なカリキュラムに基づく教育・研修を実施しています。すでに本学会緩和医療ガイドライン作成委員会の活動の成果として、「苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン」(2004 年9 月)が厚生科学研究班の協力を得て作成され、次いで、「終末期癌患者に対する輸液治療のガイドライン」(2006 年10 月)、「がん補完代替医療ガイドライン」(2008年10 月)がそれぞれ学会会員向けの出版物として公表されました。がん緩和医療の最大の課題であるがん疼痛についての新たなガイドラインの作成作業は、この10 年間にオピオイド鎮痛薬等の種類・剤型や投与方式が増えたこと、オピオイド以外の薬物療法や鎮痛対策が増えたことなどもあり、作成委員会の委員にとって大変な努力が必要となりました。今般、「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」(以下、がん疼痛ガイドライン)「苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン」(以下、鎮静ガイドライン)はこれらの経過をふまえて、緩和医療における標準的治療の普及と基本的な知識・技術の理解を深めることを目的に出版することとなりました。「がん疼痛ガイドライン」「鎮静ガイドライン」の作成にあたっては、医師、看護師、薬剤師をはじめ多職種が関わり、さらに臨床倫理や法律の専門家、ソーシャルワーク、臨床心理などの専門職、他学会の専門家も加わり、標準的なガイドライン作成方法を遵守し、学際的な共同作業を通じて作り上げることができました。ガイドライン作成に携わっていただいた多数の学会員の皆さん、そして、協力をいただいた専門家の方々にこころから感謝申し上げます。皆さんの協力なしには、この2 つのガイドラインを出版までこぎ着けることはできなかったと思います。2007 年4 月から施行された「がん対策基本法」とそれに基づいて策定された国の「がん対策推進基本計画」は、患者中心の視点をその理念にすえたことで、本邦のがん医療に大きな変化をもたらそうとしています。全国各地でがん患者・家族の方々が安心して質の高い緩和医療を等しく享受できるようになるために、本ガイドラインを参考として活用していただければ幸いに思います。今後、本学会緩和医療ガイドライン作成委員会は、さらに各種の緩和医療に関するガイドライン作成を目指し、また、定期的な改訂作業にも努力する所存です。末筆ながら、短期間での出版にご努力いただいた金原出版の編集スタッフの方々にもこころから感謝いたします。 2010 年5 月 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 理事長 江口研二 発刊にあたって
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ix 目 次 I章 はじめに 1 ガイドライン作成の経緯と目的2 1.ガイドライン作成の経緯2 2.ガイドラインの目的3 2 ガイドラインの使用上の注意4 1.ガイドラインの使用上の注意4 2.ガイドラインの構成とインストラクション4 3 日本緩和医療学会の他の教育プログラム との関連5 3 推奨の強さとエビデンスのレベル6 1.エビデンスのレベル6 2.推奨の強さ7 3 エビデンスのレベルと推奨の強さの臨床 的意味8 4 用語の定義と概念 9 II章 背景知識 1 がん疼痛の分類・機序・症候群14 1.痛みの性質による分類14 ❶ 体性痛14 ❷ 内臓痛15 ❸ 神経障害性疼痛16 2.痛みのパターンによる分類18 ❶ 持続痛18 ❷ 突出痛18 3.痛みの臨床的症候群20 ❶ 脊髄圧迫症候群20 ❷ 腕神経叢浸潤症候群21 ❸ 腰仙部神経叢浸潤症候群・悪性腸腰筋症候 群21 ❹ 開胸術後疼痛症候群22 ❺ 乳房切除後疼痛症候群22 ❻ 化学療法後神経障害性疼痛22 ❼ 放射線照射後疼痛症候群23 2 痛みの包括的評価24 1.痛みの原因の評価24 ❶ 身体所見24 ❷ 画像所見25 2.痛みの評価25 ❶ 日常生活への影響25 ❷ 痛みのパターン26 ❸ 痛みの強さ26 ❹ 痛みの部位28 ❺ 痛みの経過28 ❻ 痛みの性状28 ❼ 痛みの増悪因子と軽快因子28 ❽ 現在行っている治療の反応28 ❾ レスキュー・ドーズの効果と副作用29 3 WHO方式がん疼痛治療法31 1.WHO方式がん疼痛治療法とは31 2.目標の設定31 3.鎮痛薬の使用法31 ❶ 経口的に(by mouth) 32 ❷ 時刻を決めて規則正しく(by the clock) 33 ❸ 除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder) 33 ❹ 患者ごとの個別的な量で(for the individual) 33 ❺ その上で細かい配慮を(with attention to detail) 33 4 WHO方式がん疼痛治療法の有効性と 課題34 4 薬理学的知識35 1オピオイド35 1.オピオイドとは何か:薬理学的特徴35 ❶ オピオイドとは35 ❷ オピオイド受容体の構造と情報伝達35 ❸ オピオイド受容体を介した薬理作用35 2.国内で利用可能なオピオイドとその特徴38
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x ❶ 製剤の特徴38 3.投与経路の変更40 ❶ 経口投与40 ❷ 直腸内投与40 ❸ 経皮投与40 ❹ 持続皮下注40 ❺ 持続静注41 ❻ 筋肉内投与41 4.オピオイドローテーション41 ❶ オピオイドローテーション41 ❷ オピオイドローテーションの実際41 5.換算表42 6.各オピオイドの薬理学的特徴43 ❶ 麻薬性鎮痛薬43 ❷ 麻薬拮抗性鎮痛薬45 7.特殊な病態でのオピオイドの選択46 ❶ 腎機能障害46 ❷ 透 析46 ❸ 肝機能障害47 8 オピオイドによる副作用と対策-消化器系 の副作用と対策47 ❶ 嘔気・嘔吐47 ❷ 便 秘48 9 オピオイドによる副作用と対策-その他の 副作用と対策50 ❶ 眠 気50 ❷ せん妄・幻覚50 ❸ 呼吸抑制50 ❹ 口内乾燥51 ❺ 瘙痒感51 ❻ 排尿障害51 ❼ ミオクローヌス52 ❽ 痛覚過敏52 10.オピオイドの与える影響/薬物相互作用52 ❶ 薬物相互作用とは52 ❷ オピオイド使用時に注意すべき相互作用52 ❸ 特にモルヒネ/オキシコドン/フェンタニル使 用時に注意すべき相互作用53 11 非ステロイド性消炎鎮痛薬使用時に注意 すべき相互作用54 12.オピオイドと食事の影響55 13.精神依存・身体依存・耐性55 ❶ 定 義55 ❷ 薬理学的基盤58 ❸ 臨 床61 2 非オピオイド鎮痛薬62 1.非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs) 62 ❶ 薬理学的特徴62 ❷ 副作用63 2.アセトアミノフェン64 ❶ 薬理学的特徴64 ❷ 用法・用量64 ❸ 副作用64 3 鎮痛補助薬66 1.鎮痛補助薬の定義66 2.鎮痛補助薬の概要66 3.各鎮痛補助薬の特徴66 ❶ 抗うつ薬66 ❷ 抗けいれん薬69 ❸ 局所麻酔薬/抗不整脈薬69 ❹ NMDA受容体拮抗薬70 ❺ 中枢性筋弛緩薬70 ❻ コルチコステロイド70 ❼ ベンゾジアゼピン系抗不安薬71 ❽ ビスホスホネート71 ❾ その他71 5 麻薬に関する法的・制度的知識72 1.麻薬の取り扱いに関する一般的事項72 ❶ 麻薬免許証72 ❷ 麻薬管理72 ❸ 麻薬の施用・交付72 ❹ 麻薬の廃棄72 ❺ 麻薬管理における事故・盗難72 2.麻薬に関するよくある質問73 ❶ 病院・診療所での取り扱いについて73 ❷ 薬局での取り扱いについて73 ❸ 在宅医療での取り扱いについて74 ❹ 麻薬に関する問い合わせ先75 6 患者のオピオイドについての認識76 1.患者はオピオイドをどうとらえているか76 ❶ オピオイドに対する患者の心配は何か76 2.オピオイドの誤解についての医学的真実78
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xi ❶「オピオイドを使用すると『麻薬中毒』にな る」という誤解78 ❷「オピオイドを使用すると寿命が縮まる」とい う誤解78 7 がん疼痛マネジメントを改善するための 組織的な取り組み80 ❶ 医療従事者への教育80 ❷ がん疼痛アセスメントのルーチン業務化80 ❸ がん疼痛治療の監査(audit)と医療従事者 へのフィードバック81 ❹ コンピューターを用いた診療支援システム (computerized decision support system; CDSS) 81 ❺ 専門家、専門チームへの相談81 ❻ 地域に対する介入81 8 薬物療法以外の疼痛治療法 83 1 放射線治療 83 1.がん疼痛治療における放射線治療概論83 ❶ 疼痛治療における放射線治療の基本的な考 え方83 ❷ 放射線治療の種類83 2 代表的ながん疼痛治療に対する放射線 治療85 ❶ 有痛性骨転移に対する放射線治療85 ❷ 脳転移に対する放射線治療87 ❸ その他のがん疼痛に対する放射線治療87 2 神経ブロック88 1.神経ブロックとは88 2 がん疼痛治療に行われる代表的な神経 ブロック88 ❶ 腹腔神経叢、内臓神経ブロック88 ❷ 下腸間膜動脈神経叢ブロック90 ❸ 上下腹神経叢ブロック90 ❹ 硬膜外鎮痛法91 ❺ くも膜下鎮痛法(くも膜下オピオイド) 91 ❻ 高周波熱凝固による神経根ブロック、末梢 神経ブロック92 3 経皮的椎体形成術(骨セメント) 93 1.痛みの原因の評価93 2.適 応93 3.手技の概要94 4.成 績94 5.本邦の状況と椎体形成術の扱い95 III章 推 奨 ● 推奨の概要98 1 共通する疼痛治療 104 1 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあ るがん患者104 ● 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあ るがん患者に対して、有効な治療は何か? 104 2 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得 られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者112 ● 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得 られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、有効な治療は何か? 112 3オピオイドが投与されている患者128 ❶ オピオイドが投与されている患者で、持続 痛が緩和されていない場合、有効な治療は何か? 128 ❷ オピオイドが投与されている患者で、突出 痛が緩和されていない場合、有効な治療は何か? 140 2 オピオイドによる副作用150 1嘔気・嘔吐150 ● オピオイドが投与された患者において、嘔気・ 嘔吐が発現した時に有効な治療は何か? 150 2 便 秘 158 ● オピオイドが投与された患者において、便 秘が発現した時に有効な治療は何か? 158 3 眠 気 164 ● オピオイドが投与された患者において、眠 気が発現した時に有効な治療は何か? 164 4せん妄171 ● オピオイドが投与された患者において、せ ん妄が発現した時に有効な治療は何か? 171 3 がん疼痛マネジメントにおける患者教育 178 ● がん疼痛マネジメントを受けている患者に、 疼痛マネジメントについて教育を行うことは有効か? 178
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xii 4 特定の病態による痛みに対する治療 184 1 神経障害性疼痛 184 ● がんによる神経障害性疼痛に対する有効な 治療は何か? 184 2骨転移による痛み194 ● 骨転移による痛みに対する有効な治療は何 か? 194 3 膵臓がんなどによる上腹部の痛み 198 ● 膵臓がんなどによる上腹部の痛みに対する 有効な治療は何か? 198 4 胸部の痛み202 ● 胸部の痛みに対する有効な治療は何か? 202 5直腸がんなどによる会陰部の痛み206 ● 直腸がんなどによる会陰部の痛みに対する 有効な治療は何か? 206 6 悪性腸腰筋症候群による痛み(腸腰筋へのが んの浸潤・転移に伴って起こる鼠径部・大腿・膝の痛み) 210 ● 悪性腸腰筋症候群による痛みに対する有効 な治療は何か? 210 7 消化管閉塞による痛み 214 ● 消化管閉塞による痛みに対する有効な治療 は何か? 214 IV章 資 料 1 作成過程220 1.作成過程220 ❶ 概 要220 ❷ 臨床疑問の設定220 ❸ 系統的文献検索220 ❹ ガイドラインと教科書221 ❺ 妥当性の検証222 ❻ 緩和医療学会の承認223 ❼ ガイドライン作成者223 2 文献の検索式 227 3 今後の検討課題 247 1.今後の検討課題247 ❶ 今回のガイドラインでは、対応しなかったこ とについて247 ❷ 背景、用語の定義について247 ❸ 今後の検討や、新たな研究の必要なこと248 4 海外他機関による疼痛ガイドラインの抜粋 249 1 NCCNの成人のがん疼痛に対する臨床ガイ ドライン(2008, Web) 249 2 経口モルヒネの副作用対策:エビデンスに 基づいたレポート(2001, JCO) 251 3 突出痛:EAPC working groupによるコ ンセンサス・レポート(2002, Cancer) 252 4 がん疼痛におけるモルヒネと代替オピオイ ド:EAPC の推奨(2001, BJC) 253 5 がん疼痛のマネジメント:ESMOの臨床的 推奨(2004,ESMO) 254 6 肺がんの緩和ケア:エビデンスに基づい たACCP の臨床ガイドライン(2007, Chest Online) 255ガイドラインプール・リスト255 索 引257
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xiii 臨床疑問一覧 1 共通する疼痛治療1 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者● 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、有効な治療は何か? 104 [臨床疑問1]鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 105 [臨床疑問2]鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンは、プラセボ に比較して痛みを緩和するか? 106 [臨床疑問3]鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsは、プラセボに比較し て痛みを緩和するか? 107 [臨床疑問4]鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、ある非オピオイド鎮痛薬 (NSAIDs・アセトアミノフェン)は、他の非オピオイド鎮痛薬に比較して痛みを緩和するか? 108 [臨床疑問5]痛みでNSAIDsを投与されているがん患者において、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻 害薬、H2 受容体拮抗薬は、プラセボに比較して胃潰瘍の発生を予防するか? 109 2 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者● 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、有効 な治療は何か? 112 [臨床疑問6]非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者 に対して、行うべき評価は何か? 113 [臨床疑問7]非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者 に対して、オピオイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 114 [臨床疑問8]非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者 に対して、あるオピオイドは、他のオピオイドに比較して痛みを緩和するか、副作用が少ないか? 116 [臨床疑問9]オピオイドの製剤や投与方法により、鎮痛効果や副作用に差があるか? 120 9-1モルヒネの速放性製剤は、徐放性製剤に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか? 120 9-2モルヒネのある徐放性製剤は、他の徐放性製剤に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ない か? 120 9-3モルヒネの24 時間徐放性製剤の朝1回投与は、夜1回投与に比較して、痛みを緩和するか、副作 用が少ないか? 120 [臨床疑問10]オピオイドを開始する時に、制吐薬を投与することは、投与しないことに比較して嘔気・嘔吐を減 少させるか? 122 [臨床疑問11]オピオイドを開始する時に、下剤を投与することは、投与しないことに比較して便秘を減少させる か? 124 [臨床疑問12]非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られないがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬を中 止せずにオピオイドを開始することは、非オピオイド鎮痛薬を中止してオピオイドを開始することに比較して痛みを緩和するか? 125
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xiv 3 オピオイドが投与されている患者❶ オピオイドが投与されている患者で、持続痛が緩和されていない場合、有効な治療は何か? 128 [臨床疑問13]持続痛のある患者において、行うべき評価は何か? 129 [臨床疑問14]オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、非オピオイド鎮痛薬をオピオイド と併用することは、併用しない場合に比較して痛みを緩和するか? 130 [臨床疑問15]オピオイドの定期投与により鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、定期投与量の増 量は痛みを緩和するか? 131 [臨床疑問16]あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドへの変更(オピオイ ドローテーション)や、他のオピオイドの追加は痛みを緩和するか? 132 16-1あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更することは、 痛みを緩和するか? 132 16-2あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドを追加することは、 痛みを緩和するか? 132 [臨床疑問17]あるオピオイドの経口投与または貼付剤で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイ ドを持続静注・持続皮下注に変更することは、痛みを緩和するか? 134 [臨床疑問18]オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとケタミンの併用は、オピオイ ド単独に比較して痛みを緩和するか? 135 [臨床疑問19]オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとコルチコステロイドの併用 は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和するか? 136 ❷ オピオイドが投与されている患者で、突出痛が緩和されていない場合、有効な治療は何か? 140 [臨床疑問20]突出痛のある患者において、行うべき評価は何か? 141 [臨床疑問21]突出痛のある患者において、オピオイドのレスキュー・ドーズは、プラセボに比較して痛みを緩和 するか? 142 [臨床疑問22]定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)のあるがん患者において、オピオイドの定期投 与量の増量・投与間隔の短縮は、増量・投与間隔の短縮をしない場合に比較して、痛みを緩和するか? 145 [臨床疑問23]レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛のある患者において、オピオイドの定期 投与量の増量は、増量しない場合に比較して痛みを緩和するか? 147 [臨床疑問24]突出痛のある患者において、オピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用することは、併用しない場合 に比較して痛みを緩和するか? 148 2 オピオイドによる副作用1 嘔気・嘔吐● オピオイドが投与された患者において、嘔気・嘔吐が発現した時に有効な治療は何か? 150 [臨床疑問25]オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 151 [臨床疑問26]オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、制吐薬は、プラセボに比較して嘔気・ 嘔吐を改善するか? 152 [臨床疑問27]オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテー ション)は、変更しないことに比較して嘔気・嘔吐を改善するか? 154
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xv [臨床疑問28]オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変 更しないことに比較して嘔気・嘔吐を改善するか? 155 2 便 秘● オピオイドが投与された患者において、便秘が発現した時に有効な治療は何か? 158 [臨床疑問29]オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 159 [臨床疑問30]オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤は、プラセボに比較して便秘を改善す るか? 160 [臨床疑問31]オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーショ ン)は、変更しないことに比較して便秘を改善するか? 162 3 眠 気● オピオイドが投与された患者において、眠気が発現した時に有効な治療は何か? 164 [臨床疑問32]オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 165 [臨床疑問33]オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、精神刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、 カフェインは、プラセボに比較して眠気を改善するか? 166 [臨床疑問34]オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーショ ン)は、変更しないことに比較して眠気を改善するか? 167 [臨床疑問35]オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しな いことに比較して眠気を改善するか? 169 4 せん妄● オピオイドが投与された患者において、せん妄が発現した時に有効な治療は何か? 171 [臨床疑問36]オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 172 [臨床疑問37]オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬は、プラセボに比較してせん 妄を改善するか? 172 [臨床疑問38]オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテー ション)は、変更しないことに比較してせん妄を改善するか? 175 [臨床疑問39]オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更し ないことに比較してせん妄を改善するか? 176 3 がん疼痛マネジメントにおける患者教育● がん疼痛マネジメントを受けている患者に、疼痛マネジメントについて教育を行うことは有効か? 178 [臨床疑問40]がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行うことで、痛みは緩和するか? 178 [臨床疑問41]がん疼痛マネジメントについての教育は、どのように行うべきか? 180 4 特定の病態による痛みに対する治療1 神経障害性疼痛● がんによる神経障害性疼痛に対する有効な治療は何か? 184 [臨床疑問42]がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、行うべき評価は何か? 185 [臨床疑問43]がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療 は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 186
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xvi [臨床疑問44]がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA 受容体拮抗薬、コルチコステロイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 187 [臨床疑問45]がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、ある鎮痛補助薬を増量しても効果がない場合、 他の鎮痛補助薬への変更や併用は、行わないことに比較して痛みを緩和するか? 191 2 骨転移による痛み● 骨転移による痛みに対する有効な治療は何か? 194 [臨床疑問46]骨転移による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 195 [臨床疑問47]骨転移による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、 プラセボに比較して痛みを緩和するか? 195 [臨床疑問48]骨転移による痛みのあるがん患者に対して、ビスホスホネートは、プラセボに比較して痛みを緩和 するか? 196 3 膵臓がんなどによる上腹部の痛み● 膵臓がんなどによる上腹部の痛みに対する有効な治療は何か? 198 [臨床疑問49]膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、行うべき評価は何か? 199 [臨床疑問50]膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼 痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 199 [臨床疑問51]膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛 みを緩和するか? 200 4 胸部の痛み● 胸部の痛みに対する有効な治療は何か? 202 [臨床疑問52]胸部の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 203 [臨床疑問53]胸部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセ ボに比較して痛みを緩和するか? 203 [臨床疑問54]胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 204 5 直腸がんなどによる会陰部の痛み● 直腸がんなどによる会陰部の痛みに対する有効な治療は何か? 206 [臨床疑問55]直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、行うべき評価は何か? 207 [臨床疑問56]直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼 痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 207 [臨床疑問57]直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛 みを緩和するか? 208 6 悪性腸腰筋症候群による痛み(腸腰筋へのがんの浸潤・転移に伴って起こる鼠径部・大腿・膝の痛み) ● 悪性腸腰筋症候群による痛みに対する有効な治療は何か? 210 [臨床疑問58]悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 211 [臨床疑問59]悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼 痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 211
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xvii [臨床疑問60]悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬は、プラセボに比較して痛みを 緩和するか? 212 [臨床疑問61]悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛 みを緩和するか? 213 7 消化管閉塞による痛み● 消化管閉塞による痛みに対する有効な治療は何か? 214 [臨床疑問62]消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 215 [臨床疑問63]消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療 は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 215 [臨床疑問64]消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、消化管分泌抑制薬(オクトレオチド、ブチルスコ ポラミン臭化物)は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 216 [臨床疑問65]消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、コルチコステロイドは、プラセボに比較して痛み を緩和するか? 217
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I章はじめに I章はじめに 2 1 ガイドラインの使用上の注意 ガイドライン作成の経緯と目的 3 4 推奨の強さとエビデンスのレベル 用語の定義と概念
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1 ガイドライン作成の経緯と目的 診療ガイドラインとは、医師をはじめ医療者と患者が関わる特定の臨床的な状況において、医療者および患者が適切な判断をするために体系的にまとめられた臨床指針と考えられる。そのようなガイドラインに求められる要件は、まずそこに記載されている推奨や勧告が信頼できることである。すなわち、すべての重要な選択肢や推奨が記載されており、それらは明確で実際的な方法により選択されたエビデンスに基づいており、かつ専門家の客観的評価を受けていることが重要である。さらに、ガイドラインの推奨や勧告に妥当性があり、しかも現実的で臨床的意義のあることが重要である。ただし、いかに優れたガイドラインでも、すべての患者に適用できるわけではない。ガイドラインを「金科玉条」とすることは、厳に戒めるべきことである。 1 ガイドライン作成の経緯 本ガイドライン作成の経緯について述べる。日本緩和医療学会(以下、当学会とする)は2000 年7月に「Evidence-Based Medicineに則った がん疼痛治療ガイドライン」(以下、がん疼痛治療ガイドラインとする)を出版した。その後、がん疼痛治療ガイドラインは2003 年から2005 年にかけて厚生労働科学研究費補助金「がん疼痛治療におけるオピオイド鎮痛薬の適正使用に関する研究」において、2000 年以降の世界のがん疼痛治療ガイドラインの作成の状況、がん疼痛に関する新たな体系的レビューをふまえて改訂が試みられた。次いで、2006年から2008 年にかけて厚生労働科学研究費補助金「緩和ケアのガイドライン作成に関するシステム構築に関する研究」において、がん緩和ケアの普及のための教育手段として、また、がん疼痛治療領域における臨床研究、基礎研究の推進に役立てることを目標として、新たな観点からガイドラインの作成が試みられた。当学会としては2008 年6月の理事会において、これらの厚生労働科学研究費補助金による研究班の研究成果をふまえて、従来のがん疼痛治療ガイドラインに代わる新たなガイドライン「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」(以下、がん疼痛ガイドラインとする)の作成が必要であると判断して、緩和医療ガイドライン作成委員会に「がん疼痛ガイドライン作業部会」を新たに組織して、学会の総力を結集してガイドラインの作成にあたることとした。「がん疼痛ガイドライン作業部会」には、ガイドライン作成作業を統括する「ステアリング委員会」を設け、その下に医師、看護師、薬剤師から成る100名に及ぶ執筆者グループを組織した。そのほか、外部委員も含めた評価委員も加えて、総勢112 名の学会会員と協力者を得て、2008 年10月から本格的な作成作業に取りかかった。がん疼痛ガイドラインの構成は「背景知識」と「推奨」に大きく2 つに分けて執筆作業を進め、2009 年8月に第1稿(原案)ができあがり、同年9月に第1回デルファイ法を実施した。デルファイ法は、専門家などがもつ直観的意見や経験的判断をまとめるためにアンケートを繰り返して、組織的に集約・洗練する意見収束技法の一つである。今回のデルファイ法の詳細は、「資料」の「作成過程」に譲るが、28 名の評価者により実施した。第1回デルファイ法では、意見の収束をみた項目は「背景知識」と「推奨」の185 項目中66 項目、ほぼ収束をみた項目96 項目、収束をしなかった項目23 項目となった。第2 回デルファイ法では、意見の収束をみた項目は184項目中134項目、ほぼ収束をみた項目43項目、収束をしなかった項目7項目となった。この時点で第3回デルファイ法を実施するかどうか検討し、ステアリング委員会の判断として第2 稿(暫定稿)をもって第3 回デルファイ法と評価委員(外部委員を含む)による評価を同時に実施することとした。その結果、180 項目のうち意見の収束をしなかった項目2 項目のみとなり、これらの項目を除外してステアリング委員会としては、評価委員の意見も含めてデル
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I章はじめに ファイ法による意見の収束を終了とした。 2ガイドラインの目的 本ガイドラインの目的について述べる。本ガイドラインの目的は、がん疼痛をもつすべてのがん患者を対象に医師、看護師、薬剤師などを含む医療チームを使用者として、がん疼痛に対する薬物療法の標準的治療を示すことである。本ガイドラインはEBM( Evidence-Based Medicine)の手法に基づいて、当学会に所属する多職種の学会会員によって国内外の文献を十分に検討し、体系化されたガイドラインを作成するように努めると同時に、フローチャートを用いて医療チームにとって臨床の場における意思決定の手助けとなるように工夫した。また、「薬物療法以外の疼痛治療法」については、関連学会やその領域の専門家に協力をいただいた。さらに、現在国際的に用いられている主要なガイドラインとの整合性についても記載した。 本ガイドラインは、 2008 年6月に計画立案し、ほぼ2 年の歳月をかけて完成にこぎ着けた。これからは、本ガイドラインを普及しその利用促進に努めるとともに、ガイドラインを利用することによってどのくらい診療に有益であったか、という評価をすることも重要な課題である。また、医療の進歩に遅れることなく、一定期間で改訂されなければならない。本ガイドラインは3 年後を目途に改訂を検討し、「緩和医療ガイドライン作成委員会」にて改訂が必要とされれば、速やかに改訂を行うこととする。 (志真泰夫)
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2 ガイドラインの使用上の注意 1 ガイドラインの使用上の注意 (1)ガイドラインの対象とした診療行為本ガイドラインでは、がん疼痛の治療法のうち、最も使用頻度が高いと考えられる薬物療法を中心に扱っている。がん患者の痛みは身体的苦痛としてのみではなく、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛、いわゆるトータルペインとしての理解が必要である。外科治療、放射線治療、化学療法、神経ブロック、マッサージなどの非薬物療法は本ガイドラインでは中心としては扱っていないが、これらの方法が重要でないという理由ではなく、今後日本緩和医療学会以外の関連学会とも合同で検討する必要があるため、本ガイドラインでは詳細な検討を見合わせたためである。また、疼痛治療が十分に効果のない痛みに対して苦痛緩和のための鎮静を検討する場合には、「苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン」(日本緩和医療学会)を参照されたい。(2)対象患者がん疼痛のあるすべてのがん患者を対象とする。(3)効果の指標本ガイドラインにおいては、痛みと生命の質(quality of life)を効果の指標とする。何が生命の質を決定するかは、患者・家族の価値観によって異なるため、画一的には決定できない。痛みの治療を行う場合でも、痛み以外の患者によって重要なこと(例えば、眠気が少ないこと、食欲があること、生活に不便でない疼痛治療であることなど)が満たされるような方法を考えることが重要である。(4)使用者対象患者を診療する医師、看護師、薬剤師などを含む医療チームを使用者とする。(5)個別性の尊重本ガイドラインは、ガイドラインに従った画一的なケアを勧めるものではない。ガイドラインは臨床的、科学的に満たすべき一般的な水準を示しているが、個々の患者への適用は、対象となる患者の個別性に十分配慮し、医療チームが責任をもって決定するべきものである。(6)定期的な再検討の必要性2013 年末までに内容の再検討をする(改訂責任者:日本緩和医療学会理事長)。(7)責 任本ガイドラインの内容については日本緩和医療学会が責任をもつが、個々の患者への適用に関しては患者を直接担当する医師が責任をもつ。(8)利害関係本ガイドラインの作成にかかる費用は日本緩和医療学会より拠出された。本ガイドライン作成のどの段階においても、ガイドラインで扱われている内容から利害関係を生じうる団体からの資金提供は受けていない。また、ガイドラインに参加した委員も利害関係を生じうる団体との関係をもたない。 2ガイドラインの構成とインストラクション 本ガイドラインの構成は以下のとおりである。「I章 はじめに」では、「ガイドライン作成の経緯と目的」でガイドラインを作成した目的を記載し、「ガイドラインの使用上の注意」でガイドラインの対象としている状況や使用上の注
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I章はじめに 意を説明した。「推奨の強さとエビデンスのレベル」では、本ガイドラインで使用されている推奨の強さとエビデンスのレベルを決定する過程が記載されている。「用語の定義と概念」ではガイドラインで使用する用語の定義を明確にしている。「II章 背景知識」では、「がん疼痛の分類・機序・症候群」、「痛みの包括的評価」、「WHO方式がん疼痛治療法」、「薬理学的知識」、「麻薬に関する法的・制度的知識」、「患者のオピオイドについての認識」、「がん疼痛マネジメントを改善するための組織的な取り組み」について、がん疼痛治療を行ううえでの基礎知識をまとめている。また、「薬物療法以外の疼痛治療法」では、日本放射線腫瘍学会、日本インターベンショナルラジオロジー学会に依頼して、放射線治療、経皮的椎体形成術に関して知っておくべき基礎知識を紹介していただいた。ガイドラインの主要部分は「III章 推奨」であり、この部分で65 の臨床疑問について、臨床疑問、関連する定式化した臨床疑問、推奨、解説、既存のガイドラインとの整合性、文献を述べた。推奨では薬剤の投与量、投与方法については詳細を示さず、背景知識に記載することとした。また、構造化抄録はガイドラインに示さなかったが、推奨の「解説」において個々の論文の概要がわかるように記載した。「III章 推奨」は、「共通する疼痛治療」、「オピオイドによる副作用」、「がん疼痛マネジメントにおける患者教育」、および、「特定の病態による痛みに対する治療」に分かれている。「共通する疼痛治療」では、非オピオイド鎮痛薬(NSAIDsとアセトアミノフェン)・オピオイドによる疼痛治療に関する推奨をまとめており、これはどのような痛みの病態であっても共通して行うものであるため、「共通する疼痛治療」とした。「オピオイドによる副作用」では、嘔気・嘔吐、便秘、眠気、せん妄といったオピオイドによって発現する副作用への対策に関する推奨をまとめた。「がん疼痛マネジメントにおける患者教育」では、オピオイドの説明や服薬指導などの患者教育に関する推奨をまとめた。「特定の病態による痛みに対する治療」では、非オピオイド鎮痛薬・オピオイド以外の鎮痛手段が必要となることが多い病態として、神経障害性疼痛、骨転移による痛みなど、性質や部位による痛みごとに特徴となる推奨をまとめた。最後に、「IV章 資料」として、「作成過程」ではガイドラインを作成した経緯、各臨床疑問で使用した「文献の検索式」を掲載した。今回のガイドラインでは十分に検討できなかった課題を「今後の検討課題」としてまとめ、欧米で出版されているがん疼痛のガイドラインの主要部分を要約して「海外他機関による疼痛ガイドラインの抜粋」として示した。 3日本緩和医療学会の他の教育プログラムとの関連 本ガイドラインでは、現在得られる知見をもとに専門家の合意を得るためのコンセンサス法を用いた。そのため、いくつかの点において、「医師に対する緩和ケアの基本教育プログラム」(PEACE;Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education)において、本ガイドライン作成前に作成された教育資料と相違が認められる。それらの教育資料との整合性については随時日本緩和医療学会ホームページで情報を提供する。 (森田達也、的場元弘、志真泰夫)
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3 推奨の強さとエビデンスのレベル 1エビデンスのレベル 本ガイドラインでは、「エビデンスのレベル」を、「治療による影響がどれくらいかを推定した時の確実さの程度」と定義した。エビデンスのレベルは、委員会の合意に基づき、研究デザイン、研究の質、結果が一致しているか(consistency)、研究の対象・介入・アウトカムは想定している状況に近いか(directness)から総合的に臨床疑問ごとに判断した。エビデンスのレベルは、AからCに分けられており、それぞれ、「結果はほぼ確実であり、今後研究が新しく行われたとしても結果が大きく変化する可能性は少ない」、「結果を支持する研究があるが十分ではないため、今後研究が新しく行われた場合に結果が大きく変化する可能性がある」、「結果を支持する質の高い研究がない」ことを示す(表1)。研究デザインは、エビデンスのレベルを決定するための出発点として使用し、表2の区別をした。研究の質は、割り付けの隠匿、盲検化、追跡期間など研究そのものの質を指す。結果が一致しているか(consistency)は、複数の研究がある場合に、研究結果が一致しているかを指す。研究の対象・介入・アウトカムが想定している状況に近いか(directness)は、本ガイドラインの根拠となる研究を評価する際には特に問題となった。すなわち、対象(がん患者を対象としていない、痛みの種類が異なるなど)、介入(同じ種類の薬物での試験はあるが同じ薬物での試験はない、投与量が国内で使用される投与量と異なるなど)、アウトカム(消化管閉塞や骨合併症がアウトカムの研究結果を痛みの根拠としてよいか)の点について、結果を推奨の直接の根拠とすることができない場合が多かった。特に、対象については、緩和ケアの領域では、痛みなど症状の原因や病態による分類が確立していないため、均一の病態を対象とした研究は非常に限られていた。これらの研究をすべて除外して検討する選択もあるが、本ガイドラインでは、より適切な推奨を行うためには、類似のまたは均一ではない対象から得られた結果を問題に適用できるかを個々に検討することが望ましいと考えた。例えば、対象に関しては、がん疼痛を対象として非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用することにより痛みが緩和する複数の無作為化比較試験がある(エビデンスレベルA)が、この知見は突出痛に限定して実施された試験ではないため、突出痛ではエビデンスレベルはCとした。非がん患者の神経障害性疼痛に対して多くの鎮痛補助薬が鎮痛に有効であるとのメタアナリシスがある(エビデンスレベルA)が、がん患者には必ずしも当てはまるわけではないと考え、エビデンスレベルはBとした。介入に関しては、モルヒネの徐放性製剤と速放性製剤とで鎮痛効果に差がないとするメタアナリシスがある(エビデンスレベルA)が、使用量は国内で一般的に使用される量よりも高用量が使用されているため、国内での一般的な使用量での結果には当てはまらない可能性があるためエビデンスレベルはBとした。がん疼痛に対してNSAIDsが鎮痛効果を示すというメタアナリシスがある(エビデンスレベルA)が、国内で主に使用されているNSAIDsが試験されているわけではないためエビデンスレベルはBとした。アウトカムについては、骨合併症の減少をアウトカムとしたビスホスホネートのメタアナリシス(エビデンスレベルA)で痛みの改善も示されているが、痛みが主要評価項目ではないためエビデンスレベルはBとした。消化管閉塞の再開通や嘔気・嘔吐をアウトカムとしたソマトスタチンやコルチコステロイドの複数の無作為化比較試験やメタアナリシスがある(エビデンスレベルA)が、痛みが主要評価項目ではないためエビデンスレベルはBとした。
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I章はじめに 以上のように、本ガイドラインでは、エビデンスレベルを研究デザインだけでなく、研究の質、結果が一致しているか、研究の対象・介入・アウトカムは想定している状況に近いかを含めて総合的に判断した。 表1 エビデンスのレベルA(高い)結果はほぼ確実であり、今後研究が新しく行われたとしても結果が大きく変化する可能性は少ないB(低い)結果を支持する研究があるが十分ではないため、今後研究が新しく行われた場合に結果が大きく変化する可能性があるC(とても低い)結果を支持する質の高い研究がない 表2 エビデンスのレベルを決定する際に参考とした研究デザインA質の高い、かつ、多数の一致した結果の無作為化比較試験;無作為化比較試験のメタアナリシスB不一致な結果の無作為化比較試験;質に疑問のある、または、少数の無作為化比較試験;非無作為化比較試験*1;多数の一致した結果の前後比較研究や観察的研究*2 C少数の前後比較研究や観察的研究;症例報告;専門家の意見*1 クロスオーバー比較試験を含む*2 無作為化比較試験の治療群または対照群を前後比較研究や観察的研究として評価したものを含む 2推奨の強さ 本ガイドラインでは、「推奨の強さ」を、「推奨に従って治療を行った場合に患者の受ける利益が害や負担を上回ると考えられる確実さの程度」と定義した。推奨は、エビデンスのレベルや臨床経験をもとに、推奨した治療によって得られると見込まれる利益の大きさと、利益と治療によって生じうる害や負担とのバランスから総合的に判断した。治療によって生じる「負担」には、全国のすべての施設で容易に利用可能かどうか(利用可能性、availability)も含めて検討した。デルファイの過程において、委員が各推奨文を「1:強い推奨」と考えるか、「2:弱い推奨」と考えるかについての集計を行った。推奨の強さに対する意見が分かれた場合には、「専門家の合意が得られるほどの強い推奨ではない」と考え、「弱い推奨」とすることを原則とした。「強い推奨」とは、得られているエビデンスと臨床経験から判断して、推奨した治療によって得られる利益が大きく、かつ、治療によって生じうる害や負担を上回ると考えられることを指す(表3)。この場合、医師は、患者の多くが推奨された治療を希望することを想定し、患者の意向も踏まえたうえで、推奨された治療を行うことが望ましい。「弱い推奨」とは、得られているエビデンスと臨床経験から判断して、推奨した治療によって得られる利益の大きさは不確実である、または、治療によって生じうる害や負担と拮抗していると考えられることを指す(表3)。この場合、医師は、推奨された治療を行うかどうか、患者とよく相談する必要がある。例えば、「非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、オピオイドを使用する」ことは、エビデンスのレベルとしては、プラセボを用いた無作為化比較試験はほとんどないが、無作為化比較試験の1群を前後比較研究とみなす場合も含むと多数の観察的研究がある。「治療によって得られる利益」として、オピオイドの投与を受けることで鎮痛効果が見込まれる。一方、「治療によって生じうる害や負担」としては、嘔気、眠気、便秘が発現することがあるが、一過性であるか、あるいは、制吐薬や
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下剤の使用により対処することができる、また、せん妄など重篤な副作用が生じうるが頻度は少なく可逆性である、多くの場合は経口投与など負担の少ない方法で投与できると考えられる。以上から、「治療によって得られる利益は大きく、生じうる害や負担を上回る」と考えられるため、推奨度を「1:強い推奨」とした。「オピオイドを開始する時は、患者の排便状態について十分な観察を行い、水分摂取・食事指導や下剤の投与など便秘を生じないような対応を行う」ことは、これまでに該当する質の高い臨床研究はない。しかし、「治療によって得られる利益」として、オピオイドによる便秘を予防することが期待でき、「治療によって生じうる害や負担」としては、重篤なものは考えられない。すなわち、「治療によって得られる利益は大きく、生じうる害や負担を上回る」と考えられるため、推奨度を「1:強い推奨」とした。 表3 推奨の強さ1:強い推奨推奨した治療によって得られる利益が大きく、かつ、治療によって生じうる害や負担を上回ると考えられる2:弱い推奨推奨した治療によって得られる利益の大きさは不確実である、または、治療によって生じうる害や負担と拮抗していると考えられる 3エビデンスのレベルと推奨の強さの臨床的意味 以上より、本ガイドラインでは、エビデンスのレベルと推奨の強さから、以下の組み合わせの推奨文がある。それぞれの推奨文の意味を示す(表4)。 表4 エビデンスのレベルと推奨の強さの組み合わせの臨床的意味 臨床的意味 1A根拠のレベルが高く、治療によって得られる利益は大きく、かつ、生じうる害や負担を上回ると考えられるしたがって、医師は、推奨した治療を行うことが勧められる1B 1C根拠のレベルは低い(B)、または、とても低い(C)が、治療によって得られる利益は大きく、かつ、生じうる害や負担を上回ると考えられるしたがって、医師は、根拠が十分ではないことを理解したうえで、推奨した治療を行うことが勧められる2A 2B 2C推奨した治療によって得られる利益の大きさは不確実である、または、治療によって生じうる害や負担と拮抗していると考えられる。根拠のレベルは、高い(A)、低い(B)、とても低い(C)、以上のいずれかであるしたがって、医師は、治療を選択肢として呈示し、患者と治療を行うか相談することが勧められる (森田達也、小山 弘、四方 哲) 【参考文献】 1) Guyatt GH, Cook DJ, Jaeschke R, et al. Grades of recommendation for antithrombotic agents: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines(8th ed.). Chest 2008; 133(6 Suppl): S123-31 (Erratum in: Chest 2008; 134: 473) 2) Guyatt GH, Oxman AD, Vist GE, et al; GRADE Working Group. GRADE: an emerging consensus on rating quality of evidence and strength of recommendations. BMJ 2008; 336(7650): 924-6
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I章はじめに 4 用語の定義と概念 はじめに この項では、がん疼痛の薬物療法を考えるうえで、整理しておくべき用語の定義について本文から抜粋してまとめた。特に、国際的に定義が定まっていないものや、学会により異なる定義を採用しているものについて取り上げた。定義や日本語訳が概ね定まっているものは取り上げていないため、本文中のすべての用語の定義を抜粋したわけではない。ここに挙げた用語(日本語訳)や定義は、今後、日本緩和医療学会のみならず関連団体を含めて、用語の統一を行っていく過程で変更される可能性がある。 治療による影響がどれくらいかを推定した時の確実さの程度。 推奨に従って治療を行った場合に患者の受ける利益が害や負担を上回ると考えられる確実さの程度。 実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような、不快な感覚体験および情動体験(P14 参照)。〔注〕painの日本語訳として、「疼痛」または「痛み」が用 いられている。日本ペインクリニック学会では、「疼痛」は医学的によく用いられているがもともとは「うずくような痛み」を表す言葉で「痛み」の性状の一つとして理解されているため、painの日本語訳としては「痛み」がより適切であるとしている。本ガイドラインでは、日本ペインクリニック学会の提言に従い、painに対する日本語訳として「痛み」を用いた。ただし、「神経障害性疼痛」や「がん疼痛」のように単語の一部として一般的に使用されていると考えられる場合には、「疼痛」とした。 エビデンスのレベル 推奨の強さ 痛 み皮膚や骨、関節、筋肉、結合組織といった体性組織へ の、切る、刺すなどの機械的刺激が原因で発生する痛み(P14 参照)。 食道、胃、小腸、大腸などの管腔臓器の炎症や閉塞、肝臓や腎臓、膵臓などの炎症や腫瘍による圧迫、臓器被膜の急激な伸展が原因で発生する痛み(P15 参照)。 末梢、中枢神経の直接的損傷に伴って発生する痛み(P16 参照)。 病巣の周囲や病巣から離れた場所に発生する痛み。 痛覚に対する感受性が亢進した状態。通常では痛みを感じない程度の痛みの刺激に対して痛みを感じること。hyperalgesia 体性痛 内臓痛 神経障害性疼痛 関連痛 灼熱痛痛覚過敏
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痛覚に対する感受性が低下した状態。通常では痛みを生じる刺激に対して痛みを感じない・感じにくいこと。hypoalgesia 刺激に対する感受性が亢進した状態。hyperesthesia 刺激に対する感受性が低下した状態。hypoesthesia 自発的、または、誘発性に生じる痛みではない異常な感覚。不快を伴わない場合を『異常感覚【不快を伴わない】、paresthesia』、不快を伴う場合を『異常感覚【不快を伴う】、dysesthesia』と区別する。 通常では痛みを起こさない刺激(「触る」など)によって引き起こされる痛み。allodynia 「24 時間のうち12 時間以上経験される平均的な痛み」として患者によって表現される痛み(P18 参照)。 持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強(P18 参照)。breakthrough pain 予測可能な刺激に伴って生じる突出痛。predictable breakthrough pain 痛覚鈍麻 感覚過敏 感覚鈍麻 異常感覚 アロディニア 持続痛 突出痛 予測できる突出痛痛みの出現を予測できない突出痛。unpredictable breakthrough pain 痛みの誘因がない突出痛。spontaneous pain〔注〕spontaneous painとは、特定できる誘因がなく生じ る突出痛を指す言葉であり、idiopathic painと呼ばれることもある。本ガイドラインでは、「誘因のない突出痛」と訳した。 特定の動作や兆候に伴って生じる痛み。incident pain 意図的な体動に伴って生じる痛み。pain with movement, movement-related pain 消化管の攣縮に伴う痛み。ぜん動痛と呼ばれることがある。colicky pain 定時鎮痛薬の血中濃度の低下によって、定時鎮痛薬の投与前に出現する痛み。end-of-dose failure 「灼けるような」痛み。burning pain 発作的に生じる、「槍で突きぬかれるような」(lancinating pain)、「ビーンと走るような」(shooting pain)痛み。 予測できない突出痛 誘因のない突出痛 随伴痛 体動時痛 疝 痛 定時鎮痛薬の切れ目の痛み 灼熱痛 電撃痛
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I章はじめに がん自体が原因となって生じる痛み。〔注〕「がん患者にみられる痛み」は、がんによる痛み、が ん治療による痛み、がん・がん治療と直接関連のない痛みに分類される。本ガイドラインでは、そのうち、「がんによる痛み」を「がん疼痛」とした。 1痛みの原因の評価と2痛みの評価からなる一連の痛みの評価。〔注〕「包括的評価」には患者の精神・心理・スピリチュ アルな評価を含めるのが一般的であるが、本ガイドラインでは、最小限必要な評価として、痛みの原因の評価、痛みの評価について主に検討した。 適切で効果的な疼痛緩和を行うために、患者の体験に焦点をあてた包括的評価、痛みの治療やケア(薬物療法、その他の治療、非薬物療法、ケア)および、継続的な評価を含めた多職種で行う過程。 次のうちいずれか1つを含む行動によって特徴づけられる一次性の慢性神経生物学的疾患。1自己制御できずに薬物を使用する、2症状(痛み)がないにもかかわらず強迫的に薬物を使用する、3有害な影響があるにもかかわらず持続して使用する、4薬物に対する強度の欲求がある(P55 参照)。〔注〕「自己制御できずに薬物を使用する」、「有害な影 響があるにもかかわらず持続して使用する」などの行動によって特徴づけられる症候群は、英語圏では、psychological dependence(精神依存)、addiction(嗜癖)などと表現され、それぞれ詳細は異なるが類似した定義で用いられている。本邦では、「麻薬中毒」という言葉が法律用語として使用されているが、本来、「中毒」とは医学的には薬物の大量投与といった急性・慢性中毒を示す用語(intoxication)であるためこの症候群の呼称としては正確ではない。 がん疼痛 痛みの包括的評価 がん疼痛マネジメント 精神依存以上から本ガイドラインでは、医学的な記述の部分 では、最も適切だと考えたPortenoyらのaddiction(嗜癖)の定義を、よりわかりやすくかつ医学的な中毒とも区別できる「精神依存」という日本語訳を用いて使用することとした。一方、患者の言葉として表現される場合や研究論文として使用されている表現を引用している部分では、「麻薬中毒」や「依存症」と表現した。 突然の薬物中止、急速な投与量減少、血中濃度低下、および拮抗薬投与によりその薬物に特有な離脱症候群が生じることにより明らかにされる、身体の薬物に対する生理的順応状態(P57 参照)。 初期に投与されていた薬物の用量で得られていた薬理学的効果が時間経過とともに減退し、同じ効果を得るためにより多くの用量が必要になる、身体の薬物に対する生理的順応状態(P58 参照)。 麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬などのアルカロイドおよびモルヒネ様活性を有する内因性または合成ペプチド類の総称。〔注〕本ガイドラインでは、簡便のため「オピオイド鎮痛薬」 を「オピオイド」と記載した。 オピオイドの副作用により鎮痛効果を得るだけのオピオイドを投与できない時や、鎮痛効果が不十分な時に、投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更すること(P41参照)。〔注〕オピオイドの投与経路の変更をオピオイドローテー ションに含む場合があるが、本ガイドラインでは薬物の変更のみをオピオイドローテーションと定義する。日本語訳は「オピオイドの変更」とした。 身体依存 耐 性 オピオイド オピオイドローテーション
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疼痛時に臨時に追加する臨時追加投与量。rescue dose〔注〕「レスキュー投与」とも訳されるが、本ガイドラインで はレスキュー・ドーズとした。臨床現場では「レスキュー」と略されることも多い。 主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物(P66 参照)。〔注〕制吐薬など鎮痛薬の副作用対策を行う薬剤を含め て鎮痛補助薬と呼ぶ場合もあるが、本ガイドラインでは副作用対策の薬剤は除き、鎮痛効果をもつ薬剤を鎮痛補助薬とした。 ドパミンD2 受容体に対して高い親和性をもつ拮抗薬であり、ハロペリドールやクロルプロマジンなどに代表される抗精神病薬。 1980 年代後半より導入された新規抗精神病薬。従来の抗精神病薬と比較して、ドパミンD2 受容体以外の神経伝達物質受容体に対しても選択的に作用し、錐体外路症状を中心とした中枢神経に対する副作用が少ない。 オピオイド作動薬が存在しない状況では作動薬として作用するが、オピオイド作動薬の存在下ではその作用に拮抗する作用をもつ鎮痛薬。 レスキュー・ドーズ 鎮痛補助薬 定型抗精神病薬 非定型抗精神病薬 麻薬拮抗性鎮痛薬非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療のこ と。〔注〕本ガイドラインで使用するフローチャートなどの簡 便化のため、「特定の病態による痛みに対する治療」と異なり、どのような痛みであっても利用する疼痛治療である非オピオイド鎮痛薬とオピオイドによる疼痛治療を「共通する疼痛治療」と便宜的に表現した。 オピオイドを十分に増量しても鎮痛効果が得られない、または痛みがあるにもかかわらず副作用のためにオピオイドを増量できないこと。inadequate analgesia 局所麻酔薬や神経破壊薬、熱などにより神経の伝達機能を一時的・永久的に遮断することによって、または、オピオイドなど鎮痛薬の硬膜外腔・クモ膜下腔への投与によって鎮痛効果を得る手段(P88 参照)。〔注〕狭義の神経ブロックは一般的に前者を指し、後者 とあわせたものを麻酔科的鎮痛(anesthesiological procedure)と呼ぶことがあるが、本ガイドラインでは、簡便に、両方あわせて「神経ブロック」と呼ぶ。 腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態。 (森田達也、的場元弘、志真泰夫) 共通する疼痛治療 「適切な鎮痛効果が得られない」状態 神経ブロック 便 秘
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II章背景知識 1 がん疼痛の分類・機序・症候群2 痛みの包括的評価3 WHO方式がん疼痛治療法4 薬理学的知識 5 麻薬に関する法的・制度的知識6 患者のオピオイドについての認識7 がん疼痛マネジメントを改善するための組織的な取り組み8 薬物療法以外の疼痛治療法 1 放射線治療2 神経ブロック3 経皮的椎体形成術(骨セメント) 1 オピオイド2 非オピオイド鎮痛薬3 鎮痛補助薬
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(参考)椎体症候群骨転移、とくに脊椎の転移において、椎体症候群と呼ばれる特徴的な関連痛が発生する。頸椎の転移では後頭部や肩甲背部に、腰椎の転移では腸骨や仙腸関節に、仙骨の転移では大腿後面に痛みが見られる。機序は明らかになっていない。痛みの神経学的分類を表1に示す。 [定 義] 皮膚や骨、関節、筋肉、結合組織といった体性組織への、切る、刺すなどの機械的刺激が原因で発生する痛み。[痛みの特徴] 骨転移の痛み、術後早期の創部痛、筋膜や筋骨格の炎症や攣縮に伴う痛みなどが挙げられる。組織への損傷あるいは損傷の可能性が原因で発生し、ほとんどの人が急性あるいは慢性に経験する痛みである。損傷部位に痛みが限局しており、圧痛を伴う。一定の強さに加えて、時に拍動性の痛みやうずくような痛みが起こる。さらに体動に随伴して痛みが増強する。骨・関節などの深部体性組織に病巣がある場合は、病巣から離れた部位に痛みを認めることがある(関連痛*参照)。[痛みの機序](図1) 体性痛はAδ線維、C線維の2 種類の感覚神経で脊髄に伝えられる。 1 がん疼痛の分類・機序・症候群 1 体性痛 国際疼痛学会は「痛み」を「実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような、不快な感覚体験および情動体験」と定義している。痛みは主観的な症状であり心理社会的、スピリチュアルな要素の修飾を受ける。痛みの神経学的機序(性質の分類)、パターン、原因(疼痛症候群)の診断を的確に行い、診断結果に従って速やかに適切な薬物療法および原因治療を行うことが重要である。 1痛みの性質による分類 *:関連痛病巣の周囲や病巣から離れた場所に発生する痛みを関連痛と呼ぶ。内臓のがんにおいても病巣から離れた部位に関連痛が発生する。内臓が痛み刺激を入力する脊髄レベルに同様に痛み刺激を入力する皮膚の痛覚過敏、同じ脊髄レベルに遠心路核をもつ筋肉の収縮に伴う圧痛、交感神経の興奮に伴う皮膚血流の低下や立毛筋の収縮を認める。上腹部内臓のがんで肩や背中が痛くなること、腎・尿路の異常で鼠径部が痛くなること、骨盤内の腫瘍に伴って腰痛や会陰部の痛みが出現することなどが挙げられる。表1 痛みの神経学的分類 分 類侵害受容性疼痛 神経障害性疼痛体性痛内臓痛 障害部位皮膚、骨、関節、筋肉、結合組織などの体性組織食道、胃、小腸、大腸などの管腔臓器肝臓、腎臓などの被膜をもつ固形臓器末梢神経、脊髄神経、視床、大脳などの痛みの伝達路痛みを起こす刺激切る、刺す、叩くなどの機械的刺激管腔臓器の内圧上昇臓器被膜の急激な伸展臓器局所および周囲組織の炎症神経の圧迫、断裂例骨転移局所の痛み術後早期の創部痛筋膜や筋骨格の炎症に伴う筋攣縮消化管閉塞に伴う腹痛肝臓腫瘍内出血に伴う上腹部、側腹部痛膵臓がんに伴う上腹部、背部痛がんの腕神経叢浸潤に伴う上肢のしびれ感を伴う痛み脊椎転移の硬膜外浸潤、脊髄圧迫症候群に伴う背部痛化学療法後の手・足の痛み痛みの特徴局在が明瞭な持続痛が体動に伴って増悪する深く絞られるような、押されるような痛み局在が不明瞭障害神経支配領域のしびれ感を伴う痛み電気が走るような痛み随伴症状頭蓋骨、脊椎転移では病巣から離れた場所に特徴的な関連痛*を認める嘔気・嘔吐、発汗などを伴うことがある病巣から離れた場所に関連痛*を認める知覚低下、知覚異常、運動障害を伴う治療における特徴突出痛に対するレスキュー・ドーズの使用が重要オピオイドが効きやすい難治性で鎮痛補助薬が必要になることが多い
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II章背景知識 伝導速度の速いAδ線維は鋭い針で刺すような局在の明瞭な痛みを、伝導速度が遅いC 線維は局在の不明瞭な鈍い痛みを伝える。これらの神経の自由終末に侵害受容器が存在するが、がんが増殖すると、がん自体あるいはがんによって局所に誘導された免疫細胞、破壊された正常組織から侵害受容器を刺激する化学物質が放出される。また増大したがんが直接に侵害受容器を刺激するようになる。Aδ線維、C線維は脊髄後角に入力し、主に脊髄視床路ニューロンに痛みの情報を伝達する。この刺激が視床から大脳知覚領野に伝えられることで痛みと認識される。Aδ線維は体動などの機械的な刺激に伴う鋭い痛みの発生に、C線維はうずくような持続痛の発生に関与する。[治療薬の選択] 通常、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドといった鎮痛薬が有効であるが、体動時の痛みの増強に対してはレスキュー・ドーズの使用が重要である。また、骨転移痛に対するビスホスホネートや筋攣縮に対する筋弛緩作用のある薬剤など、病態に基づく鎮痛補助薬(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)の併用が必要な場合がある。 2 内臓痛 [定 義] 食道、胃、小腸、大腸などの管腔臓器の炎症や閉塞、肝臓や腎臓、膵臓などの炎症や腫瘍による圧迫、臓器被膜の急激な伸展が原因で発生する痛み。[痛みの特徴] 胸部・腹部内臓へのがんの浸潤、圧迫が原因で発生する。内臓は体性組織と異なり、切る、刺すなどの刺激では痛みを起こさない。固形臓器(肝や腎など)の場合は被膜の急激な伸展、管腔臓器の場合は消化管内圧の上昇を起こすような圧迫や伸展、内腔狭窄が原因で痛みが発生する。「深く絞られるような」あるいは「押されるような」などと表現される痛みで、局在が不明瞭である。嘔気・嘔吐、発汗などの随伴症状を認める場合がある。肝臓がんで肩が痛くなるなど、病巣から離れた部位に痛みが発生することがある(関連痛*参照)。[痛みの機序] (図1) 内臓の痛みもAδ線維、C線維といった末梢神経で脊髄に伝えられるが、体性組織よりも線維の数が少なく、C線維の割合が多いという特徴をもつ。また複数の脊髄レベルに分散して入力されることから、痛みが広い範囲に漠然と感じられるものと考えられる。そ 大脳皮質体性感覚野 視床 脊髄 延髄 中脳内臓痛 神経障害性疼痛 体性痛三次ニューロン 二次ニューロン(脊髄視床路) 一次ニューロン(末梢感覚神経) 図1 がん疼痛の種類と痛みの伝達
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の一方で内臓周囲に炎症が発生すると、神経の興奮閾値が低下してより興奮しやすくなる、いわゆる感作が発生する。また生理的状態では機能していないC線維(silent nociceptor)が活性化され、痛みを伝えるようになる。こうした状況下では痛みの程度も非常に強くなり、関連痛と呼ばれる病巣から離れた部位に痛みが発生する原因にもなると考えられる。[治療薬の選択] 非オピオイド鎮痛薬・オピオイドといった鎮痛薬が有効である。 [定 義] 末梢、中枢神経の直接的損傷に伴って発生する痛み。<解 説>神経障害性疼痛の定義は国際的に定まっていない。国際疼痛学会は1994 年に「末梢、中枢神経系の直接の損傷や機能障害や一過性の変化によって始まる、または起こる痛み」と定義した。しかし「機能障害」という言葉は、炎症性疼痛の二次性の神経可塑性変化や神経疾患の経過中の間接的原因で発生する筋・骨格由来の痛みも含めてしまう可能性があることから、直接的な神経損傷を伴うことを前提としたいくつかの再定義が提案された。最も新しい定義はTreedeらの「体性感覚システムに影響を及ぼすような直接損傷や疾患によって発生する痛み」であるが、本ガイドラインでは同じ内容で、より簡潔な「Textbook of Palliative Medicine」(Hodder Arnold, 2006)の定義を採用した。[痛みの特徴] 障害された神経の支配領域にさまざまな痛みや感覚異常が発生する。通常、疼痛領域の感覚は低下しており、しばしば運動障害や自律神経系の異常(発汗異常、皮膚色調の変化)を伴う。(1)刺激に依存しない自発痛「灼けるような」持続痛(灼熱痛*1)や、「槍で突きぬかれるような」、「ビーンと走るような」電撃痛*2 が混じることが多い。(2)刺激に誘発される痛み通常では痛みを感じない程度の痛み刺激に対しても痛みを感じる痛覚過敏*3や、刺激に対する感受性が亢進している感覚過敏*4、通常では痛みを起こさない刺激によって引き起こされる痛みであるアロディニア*5が特徴的である。(3)異常感覚自発的、または、誘発性に生じる痛みではない異常な感覚がみられる。不快を伴わない場合(異常感覚【不快を伴わない】、paresthesia)と、不快を伴う場合(異常感覚【不快を伴う】、dysesthesia)とがある。[痛みの機序] (図1) 神経障害性疼痛の発生には主に末梢性感作、中枢性感作、脱抑制の3 つの機序が関与している(図2)。末梢感覚神経が障害を受けると、障害局所や脊髄後根神経節にNa+チャネルが過剰に発現し、自然発火を繰り返すことにより持続的に障害された神経を刺激するようになり、興奮閾値が低下する(末梢性感作)。末梢感覚神経からは脊髄神経を興奮させるグルタミン酸(Glu)が放出されるが、通常はNa+の細胞内流入を起こすαamino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole (AMPA) 受容体のみが活性化され、強いCa2+の細胞内流入を起こすN-methyl-D-aspartate (NMDA) 受容体の活性化はMg2+によって遮断されている。しかし、いったん末梢性感作が形成されると、Gluに加えてサブスタンスP(SP)やニューロキニンAといったタキキニンも放出され、NMDA受容体に結合することにより受容体が活性化し、Mg2+がはずれ、脊髄神経細胞内にCa2+が流入するようになる。その結果、脊髄神経が通常より強く興奮するため、痛覚過敏やアロディニアが発生する(中枢性感作)と 3 神経障害性疼痛 *1:灼熱痛「灼けるような」痛みを指し、burning painと表現されることが多い。この他にも類似の表現が複数あるが、本ガイドラインでは、「灼けるような」(burning)を主に用いた。 *2:電撃痛発作的に生じる、「槍で突きぬかれるような」(lancinating pain)、「ビーンと走るような」(shooting pain)痛み。この他にも類似の表現が複数あるが、本ガイドラインでは、「槍で突きぬかれるような」(lancinating)、「ビーンと走るような」(shooting)を主に用いた。 *3:痛覚過敏(hyperalgesia)痛覚に対する感受性が亢進した状態。通常では痛みを感じない程度の痛みの刺激に対して痛みを感じること。(参考)痛覚鈍麻(hypoalgesia)痛覚に対する感受性が低下した状態。通常では痛みを生じる刺激に対して痛みを感じない・感じにくいこと。 *4:感覚過敏(hyperesthesia)刺激に対する感受性が亢進した状態(参考)感覚鈍麻(hypoesthesia)刺激に対する感受性が低下した状態 *5:アロディニア(allodynia)通常では痛みを起こさない刺激(「触る」など)によって引き起こされる痛み。異痛(症)と訳される場合があるが、本ガイドラインでは、アロディニアと表現した。
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II章背景知識 考えられている。さらに、内因性の下行性抑制系*1の機能低下や、末梢神経障害による抑制性介在ニューロンの消失によって抑制系が機能低下(脱抑制)することも痛みを増幅する原因となる。神経障害性疼痛の機序が体性痛や内臓痛などと根本的に異なるのは、侵害受容器が刺激されていない状況で痛みが発生することである。したがって、侵害受容器に作用する非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の効果が期待できない。また、神経障害性疼痛においてはオピオイド受容体の機能低下が示唆されており、オピオイドの作用が減弱している可能性がある。[治療薬の選択] 非オピオイド鎮痛薬・オピオイドといった鎮痛薬の効果が乏しいことがあるので、鎮痛補助薬*2の併用を考慮する(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。 【参考文献】 1) Treede RD, Jensen TS, Campbell JN, et al. Neuropathic pain: redefinition and a grading system for clinical and research purposes. Neurology 2008; 70: 1630-5 2) Bruera E, Higginson IJ, Ripamonti C, et al eds. Textbook of Palliative Medicine, Hodder Arnold, 2006 *1:下行性抑制系脳から脊髄を下行し、痛覚情報の伝達を抑制する系。脳から脊髄へ神経伝達物質のノルアドレナリンとセロトニンが放出されて抑制する。 *2:鎮痛補助薬主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物(抗うつ薬、抗けいれん薬、NMDA受容体拮抗薬など)。非オピオイド鎮痛薬やオピオイドだけでは痛みを軽減できない場合に選択される。P66参照。 図2 神経障害性疼痛と中枢性感作の発生機序 Glu AMPA受容体 NMDA受容体Mg2+ Na+ SP一次ニューロン 二次ニューロン Glu AMPA受容体 NMDA受容体Mg2+ Na+ SP Glu AMPA受容体 NMDA受容体 Na+ Ca2+ SP通常はNMDA 受容体はMg2+によって遮断されている 末梢性感作によってSP などがNMDA 受容体に結合することで受容体が活性化しMg2+が外れる 脊髄神経細胞内にCa2+が流入し、脊髄神経がより強く興奮するようになり痛覚過敏やアロディニアが発生する
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2痛みのパターンによる分類 痛みは1日の大半を占める持続痛と、突出痛(breakthrough pain)と呼ばれる一過性の痛みの増悪の組み合わせで構成される(図3)。 [定 義] 「24 時間のうち12 時間以上経験される平均的な痛み」として患者によって表現される痛み。[特 徴] 鎮痛薬により緩和されている持続痛と、鎮痛薬が不十分あるいは痛みの急速な増強のために緩和されていない持続痛がある。治療やがんの進行に伴い持続痛の程度も変化するため定期的な評価が必要である。 [定 義] 持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強。<解 説>突出痛には統一した定義がない。当初、「オピオイド投与により持続痛のコントロールされている患者に発生する一過性の痛み」という狭義の解釈がなされていた。その一方で、英国においては定時鎮痛薬の切れ目に出現する痛みを表す言葉であり、ラテン語圏(スペイン、イタリア、フランスなど)には突出痛に対応する言葉がないという問題も明らかになった。そこでヨーロッパ緩和ケア協会は、「持続痛の有無、程度にかかわらず発生する一過性の痛みの増強」という定義を推奨した。本ガイドラインではこの定義を痛みのパターンを表す言葉として用いる。ヨーロッパ緩和ケア協会ではepisodic painという表現を用いているが、本邦には対応する適切な言葉がないことから従来から使用されている「突出痛」を使用することとする。[特 徴] 痛みの発生からピークに達するまでの時間は3 分程度と短く、平均持続時間は15〜30 分で、90%は1時間以内に終息する。痛みの発生部位は約8 割が持続痛と同じ場所で 1 持続痛 2 突出痛(breakthrough pain) 図3 痛みのパターン/患者からみた痛み 10 0 1.ほとんど痛みがない。10 0 2.普段はほとんど痛みがないが、1日に何回か強い痛みがある。 10 3.普段から強い痛みがあり、1日の間に強くなったり弱くなったりする。10 4.強い痛みが1日中続く。 時間時間 時間時間 N R S N R S N R S N R S
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II章背景知識 あり、持続痛の一過性増悪と考えられている。[サブタイプと治療アプローチ] 突出痛は、発症が急速で持続が短いという一般的な特徴がある。いくつかのサブタイプに分類することが提案されているが国際的に定まった分類はない。本ガイドラインでは、治療に反映することができるという点から、「予測できる突出痛」、「予測できない突出痛」、「定時鎮痛薬の切れ目の痛み」の3つに分類する。特徴に合わせた治療を行うことが重要である(表2)。(1)予測できる突出痛(predictable breakthrough pain)予測可能な刺激に伴って生じる突出痛。意図的な体動に伴って生じる痛み(体動時痛)が代表的である。突出痛の誘因となる行為を予防して避けることが重要である。誘因が避けられない場合には30 〜60 分前にレスキュー・ドーズを使用することで予防するなどの治療を行う。(2)予測できない突出痛(unpredictable breakthrough pain)痛みの出現を予測できない突出痛。痛みの誘因があるがいつ生じるかを予測することができない場合と、痛みを引き起こす誘因そのものがない場合とがある。1痛みの誘因があるものミオクローヌス、咳、消化管や膀胱の攣縮など、意図的ではない体の動きに伴って生じる突出痛。誘因は同定できても出現を予測することができない。迅速なレスキュー・ドーズ対応に加えて、痛みの誘因の頻度を減少させるような病態へのアプローチを行う。2痛みの誘因がないもの(誘因のない突出痛, spontaneous pain*3)痛みの誘因がない突出痛。持続がやや長く、しばしば30 分を超えるものがある。痛みの特徴に応じてレスキュー・ドーズが迅速に使用できるような対応を行う。さらに、神経障害性疼痛に伴う発作痛はレスキュー・ドーズのみでは対応が困難な場合が多いので、効果的で副作用の少ない鎮痛補助薬を選択する必要がある。(3)定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)定時鎮痛薬の血中濃度の低下によって、定時鎮痛薬の投与前に出現する痛み。発現が緩徐で持続が最も長い。定時鎮痛薬の増量や、投与間隔の変更を考慮する。 (冨安志郎) *3:誘因のない突出痛(spontaneous pain) spontaneouspainとは、特定できる誘因がなく生じる突出痛を指す言葉であり、idiopathicpainと呼ばれることもある。本ガイドラインでは、「誘因のない突出痛」と訳した。 *2:随伴痛(incident pain)・体動時痛(pain with movement, movement-related pain)一般的に、「incident pain」とは「特定の動作や兆候に伴って生じる痛み」を指し、動作に伴って生じる痛み(体動時痛、動作痛;pain with movement, movement-related pain)としばしば区別せずに用いられてきた。しかし、「特定の動きや兆候」には、歩行や立位など随意的な動作ばかりではなく、随意的ではないミオクローヌスや咳、内臓の攣縮も含まれうるため混同が生じている。本ガイドラインでは、暫定的に、随伴痛(incident pain)を「特定の動作や兆候に伴って生じる痛み」、体動時痛を「意図的な体動に伴って生じる痛み」と定義する。すなわち、随伴痛とは、何らかの動作や兆候に伴って生じる痛みすべて含む概念とし、体動時痛は随伴痛の一部とした。「随伴痛」という言葉は混同されやすいため、ガイドライン本文では記載を避けた。 *1:疝痛(colicky pain)消化管の攣縮に伴う痛み。ぜん動痛と呼ばれることがある。 表2 突出痛のサブタイプ 体性痛内臓痛神経障害性疼痛 1 予測できる突出痛※歩行、立位、座位保持などに伴う痛み(体動時痛)排尿、排便、嚥下などに伴う痛み姿勢の変化による神経圧迫、アロディニアなどの刺激に伴う痛み2 予測できない突出痛1)痛みの誘因がある もの※ミオクローヌス、咳など不随意な動きに伴う痛み消化管や膀胱の攣縮などに伴う痛み(疝痛*1など)咳、くしゃみなどに伴う痛み(脳脊髄圧の上昇や、不随意な動きによる神経の圧迫が誘因となって生じる) 2)痛みの誘因がない もの特定できる誘因がなく生じる突出痛3 定時鎮痛薬の切れ目の痛み定時鎮痛薬の血中濃度の低下によって、定時鎮痛薬の投与前に出現する痛み※痛みの誘因のある、「予測できる突出痛」と、「予測できない突出痛」のうち「痛みの誘因があるもの」をあわせて、「随伴痛」*2と呼ぶことがある。
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【参考文献】 1)Payne R. Recognition and diagnosis of breakthrough pain. Pain Med 2007; 8: S3-7 2)McCarberg BH. The treatment of breakthrough pain. Pain Med 2007; 8: S8-13 3痛みの臨床的症候群 がん患者にみられる痛みは、1がんによる痛み、2がん治療による痛み、3がん・がん治療と直接関連のない痛みに分類される(表3)。「がんによる痛み」とは、がん自体が原因となって生じる痛みであり、内臓痛(膵臓がんの痛みなど)、体性痛(骨転移痛など)、神経障害性疼痛(腫瘍の浸潤によって生じる脊髄圧迫症候群や腕神経叢浸潤症候群など)が含まれる。「がん治療による痛み」とは、外科治療、化学療法、放射線治療など、がんに対する治療が原因となって生じる痛みであり、術後痛症候群、化学療法後神経障害性疼痛、放射線照射後疼痛症候群が含まれる。「がん・がん治療と直接関連のない痛み」とは、上記のいずれにも該当しない原因の痛みであり、もともと患者が有していた疾患による痛み(脊柱管狭窄症など)、新しく合併した疾患による痛み(帯状疱疹など)、あるいは、がんにより二次的に生じた痛み(廃用症候群による筋肉痛など)を含む。本ガイドラインでは、上記の「がんによる痛み」をがん疼痛とよび、ガイドラインの対象となる痛みを指す。また、がん患者に痛みを生じた場合には、腫瘍学的に緊急的対処が必要な「オンコロジーエマージェンシーに関係した痛み*」の場合があるため、オンコロジーエマージェンシーの診断は臨床的に重要である。 1 脊髄圧迫症候群 腫瘍の転移や浸潤、腫瘍自体が脊髄を圧迫することによって痛みや神経学的症状・徴候(筋力低下、感覚低下、自律神経障害、反射異常)が生じる。肺がん、乳がん、腎がんに多い。[特 徴] 本症候群では高頻度に背部痛が先行し、その後脊髄圧迫による神経学的徴候が現れることが多い。• 脊髄圧迫を早期診断し、放射線治療や整形外科的治療をすることで進行性の麻痺を回避 できる可能性が高くなる。• 椎体局所の痛みは骨膜が関連している鈍痛で、体動や咳などによって増強する。• 放散痛は圧迫・障害された神経根によるもので、頸椎・腰仙椎レベルでは片側性に、胸椎 *:オンコロジーエマージェンシーに関係した痛み・脊髄圧迫症候群、硬膜外転移・体重支持骨の骨折または切迫骨折・脳転移、軟髄膜転移・感染症に関係した痛み・消化管の閉塞・穿孔・出血表3 がん患者にみられる痛み 1 がんによる痛み内臓痛体性痛(骨転移痛、筋膜の圧迫、浸潤、炎症による痛み)神経障害性疼痛脊髄圧迫症候群(1) 腕神経叢浸潤症候群(2) 腰仙部神経叢浸潤症候群・悪性腸腰筋症候群(3) 2 がん治療による痛み術後痛症候群開胸術後疼痛症候群(4) 乳房切除後疼痛症候群(5)化学療法後神経障害性疼痛(6)放射線照射後疼痛症候群(7) 3 がん・がん治療と直接関連のない痛みもともと患者が有していた疾患による痛み(脊柱管狭窄症など)新しく合併した疾患による痛み(帯状疱疹など)がんにより二次的に生じた痛み(廃用症候群による筋肉痛など)〔日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学,南江堂,2009、NCCNClinicalPracticeGuidelinesinOncology,Adult cancerpain〕
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II章背景知識 レベルでは両側性(胸腹部の締め付け感として経験される)にみられることが多い。• 頸胸椎レベルでは肩甲背部・肩に、第12 胸椎〜第1 腰椎レベルでは仙腸骨部・腸骨稜に 関連痛がみられることがある。• 筋力低下:神経根障害(radiculopathy)は分節性、脊髄障害(myelopathy)は錐体路性に 生じる。筋力低下は外科治療、放射線治療、化学療法などにより腫瘍の圧迫を除去しなければ、短期間に対麻痺になることがある。• 感覚異常:感覚異常の皮膚分節上縁から障害された高位を推定できる。• 膀胱直腸障害:一般に脊髄圧迫の遅い時期に生じる。脊髄円錐・馬尾レベルの障害では 早期に生じる。• 反射異常:圧迫レベル以下の表在性皮膚反射の消失、深部腱反射亢進が生じる。• 馬尾レベルの障害では下肢の反射消失と非対称性の弛緩性筋力低下、感覚低下が生じる。• 脊髄円錐レベルの障害では急速進行性の対称性の会陰部痛、自律神経障害、臀部・会陰 部の感覚低下と運動障害が生じる。[治 療] • 脊髄圧迫症候群が疑われる場合には緊急MRI 検査を行い、責任病巣を同定する。• 神経障害の進行を回避するために放射線治療や外科治療の適応に関して放射線科医や 整形外科医に相談する。• 痛みに対して非オピオイド鎮痛薬・オピオイドなどの鎮痛薬に加えて、神経障害性疼痛の 合併が考えられる場合は鎮痛補助薬の併用を検討する。 2 腕神経叢浸潤症候群 肺尖部腫瘍が腕神経叢に浸潤することによって生じることが多い。リンパ腫、肺がん、乳がんに多い。[特 徴] 痛みは高頻度に認められ、神経学的異常に先行する。疼痛部位は肘、前腕中央、第4 指、5 指であることが多く、後に第7頸椎〜第1胸椎神経根領域のしびれ感や筋力低下が進行する。• 下位腕神経叢浸潤に由来した症状が多く、第5、6 頸椎神経根などの上位神経叢に由来す る症状はまれである。上位神経叢に由来する症状として上肢帯や指先、第1指や第2 指に痛みがみられることもあるが、多くの鎖骨上・腋窩部の転移性病変では神経学的異常を伴わない。• ホルネル症候群は傍脊椎部への浸潤を示唆する。[治 療] 「III-4-1神経障害性疼痛」 (P184 参照)に準ずる。 3 腰仙部神経叢浸潤症候群・悪性腸腰筋症候群 骨盤内腫瘍の腰仙部神経叢への浸潤によって両下肢の筋力低下・痛みが生じ、体動困難となる。下肢痛、下肢筋力低下、下肢浮腫、直腸腫瘤、水腎症などを合併することがある。大腸がん、婦人科がんなどに多い。[特 徴] 本症候群の多くの患者では、骨盤痛と両下肢痛がみられ、続いてしびれ感、感覚 障害、筋力低下が進行する。ただし、痛みしかみられず神経学的異常を伴わないこともしばしばある。• 上部腰仙部神経叢障害は第1〜第4腰椎への腫瘍浸潤で生じ、腰仙部神経叢浸潤症候 群の約3分の1を占める。主に大腸がんの直接浸潤によるものである。痛みは背部、下腹部、
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側腹部、腸骨稜、大腿前面〜外側に認められる。• 下部腰仙部神経叢障害は第4 腰椎〜第1仙骨への腫瘍浸潤で生じ、腰仙部神経叢浸潤 症候群の過半数を占める。直腸がん、婦人科がんなど骨盤内腫瘍による直接浸潤が原因となることが多い。疼痛部位は臀部、会陰部、大腿後面、下腿に認められる。筋力低下、感覚低下などは第5 腰椎、第1仙骨領域に認められ、アキレス腱反射の減弱、下肢浮腫、膀胱直腸障害、仙骨部圧痛、下肢伸展挙上テスト*(straight leg raising test)陽性などが認められる。自律神経系の異常として発汗異常、血管拡張などが認められることがある。• 画像上または病理学的に証明される患側腸腰筋内の悪性疾患の存在により、患側股関節 の屈曲位保持(股関節伸展にて疼痛増強)、ならびに第1 〜第4 腰椎の腰仙部神経叢障害を来すものとして悪性腸腰筋症候群が知られている(P210,III-4-6 悪性腸腰筋症候群による痛みの項参照)。[治 療] 「III-4-1神経障害性疼痛」 (P184 参照)に準ずる。 4 開胸術後疼痛症候群 開胸手術操作(肋骨の牽引、切除)に伴う肋間神経の牽引、切離を原因とした神経障害性疼痛と考えられている。[特 徴] • 開胸術創に沿った持続する感覚異常や自律神経障害を伴った痛みを呈する。• 手術後少なくとも2カ月以上持続するか、または少なくとも2カ月後に出現する術創に沿っ た痛みと定義されている。• 8カ月以上持続する痛みやいったん緩和がみられた後の痛みの再燃は腫瘍再発や感染を 疑う。 5 乳房切除後疼痛症候群 乳房手術患者における手術操作による肋間上腕神経(第1 〜2 胸椎の皮枝)の神経障害が主な原因と考えられている。[特 徴] 上腕後面、腋窩や前胸壁部などにおける、感覚低下を伴う締め付け感や灼熱感 などが多い。• 術後痛の強さや腋窩郭清が発現率に関連する。• しばしば上肢運動によって痛みが増強するため、有痛性肩拘縮症となる。• 腋窩郭清を行わずにセンチネルリンパ節切除を行うことで同症候群を減らすことができる との報告や、郭清を行わずに放射線治療をすることで同症候群を減らすことができるといった報告がある。• 術直後〜半年までに発症することが多い。年余を超えて発症するのはまれであるので胸 壁などに再発がないか特に注意する。 6 化学療法後神経障害性疼痛 化学療法による神経障害のうち末梢神経障害に伴って生じるものであり、手袋靴下型に分布する神経障害性疼痛である。[特 徴] • 手指・足趾の持続的で灼けるような痛みや電撃痛などが多い。 *:下肢伸展挙上テスト仰臥位で片脚を伸展させたまま他動的に挙上するテスト。挙上角度が70度以下なら陽性。下部腰仙部神経叢障害による筋力低下・痛みで歩行などが困難となる。
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II章背景知識 • 頻度はさまざまで、パクリタキセルやドセタキセルなどのタキサン系薬剤、オキサリプラチン やシスプラチンといった白金製剤、ビンカアルカロイドなどでみられることが多い。• 感覚低下、筋力低下、腱反射低下、自律神経障害などを伴うことがある。 放射線治療の晩期障害*(組織の線維化など)により痛みが生じる。[特 徴] • 照射線量(用いられた放射線の量、1回量と総量)や治療範囲の広さにより、発現率は異な る。• 照射後数カ月〜年単位で発生・徐々に進行する病態である。• 末梢神経障害、脊髄障害など、発症部位に応じた症状が出現する。• 腫瘍再発との鑑別が必要である。 (北條美能留、高田正史、冨安志郎) 7 放射線照射後疼痛症候群 *:放射線治療の晩期障害放射線治療後、数カ月以上経ってから現れる後遺症。頻度はごくまれだが、発症すると回復は難しい。
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2 痛みの包括的評価 がん患者の痛みのすべてががんによる痛みとは限らない。身体所見、画像所見、血液検査所見などを組み合わせ、痛みの原因について総合的に判断することが重要である。さらに、緊急の医学的対応が必要な「オンコロジーエマージェンシー」を見逃さないようにすることも重要である(P20,II-1-3 痛みの臨床的症候群の項参照)。 まず患者の全身状態をおおまかに評価する。皮膚色、体重減少の有無、全身衰弱、筋痙縮や筋萎縮などについて観察する。不安や恐れ、抑うつがみられないかについても注意を払う必要がある。全身状態を評価した後、疼痛部位の診察を行う。 1)視 診皮膚転移や帯状疱疹、褥瘡など皮膚に痛みの原因がないかを調べる。内臓の関連痛の場合、異常のある臓器が侵害刺激を入力する脊髄レベルの皮膚に色調の変化や立毛筋の収縮、発汗異常などの交感神経刺激症状を認めることがある。したがって、皮膚が侵害刺激を入力する脊髄レベル(デルマトーム)を理解しておくことが重要である(図1)。姿勢についても注意を払っておく必要がある。例えば股関節を屈曲位で保持し、股関節伸展にて痛みを訴える場合には、悪性腸腰筋症候群*1を念頭におき評価を進めていく必要がある。 2)触 診痛みのある部位の触診を行い、痛みの原因となる病変がないか評価する。また、痛みのある皮膚の感覚異常を、痛みのない部位と比較して評価する。痛覚過敏は鈍針による刺激で、アロディニア(allodynia) *2は刷毛やティッシュで皮膚表面を触れることで評価する。内臓の関連痛 1 身体所見 図1 デルマトーム 痛みの包括的評価は、1痛みの原因の評価と2痛みの評価からなる。「痛みの原因の評価」とは、身体所見や画像検査から痛みの原因を診断することであり、疼痛治療に加えて原因に対する治療が必要かどうかの判断などに役立てることができる。「痛みの評価」とは、患者の自覚症状としての痛みの強さや生活への影響、治療効果を評価するものであり、これを行うことで、患者に合わせた疼痛治療を計画することができるようになる。 V1 V1 C2 C3 C4 L1 L2 V3 V2 C2 C3 C4 C4 C5 C5 C5 C6 C6 C6 C6 C8 C8 C8 C8 C7 C7 T2 T2 T3 T4 T5 T6 T7 T8 T9 T9 T10 T11 T10 T11 T12 L1 L2 L3 L4 L5 S1 S1 T2 T2 T3 T4 T5 T6 T6 T8 T9 T10 T11 T12 T12 T7 T1 T1 S4 S4 S5 S5 S3 S2 S1 L4 L4 L4 L5 L3 L2 L2 L2 L3 L4 L5 L1 L2 L3 S3 S1 L4 L5 S3 S2 S1 L2 L3 L3 L5 1痛みの原因の評価 *1:悪性腸腰筋症候群腸腰筋内の悪性疾患の存在により起こる鼠径部・大腿・膝の痛み。身体所見として、患側の第1~4 腰椎神経領域の神経障害、腸腰筋の攣縮を示唆する股関節屈曲固定がみられる。P21参照。 *2:アロディニア(allodynia)通常では痛みを起こさない刺激(「触る」など)によって引き起こされる痛み。異痛(症)と訳される場合があるが、本ガイドラインでは、アロディニアと表現した。
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II章背景知識 においては、関連領域の筋収縮や、腹壁への炎症の波及に伴う圧痛を認める。骨転移では、転移部位に圧痛や叩打痛を認める。転移部位が神経を刺激している場合には、障害神経支配領域の異常感覚*1(paresthesiaやdysethesia)を触診によって確認することができる。 3)筋力低下の評価脊髄や神経根の障害で、筋力低下の原因となる脊髄レベルの同定に必要である。徒手筋力テストが標準的な方法だが、簡便に筋力低下を診断する方法として、上肢の近位筋の筋力低下は両上肢を挙上して「バンザイ」ができるかどうかによって、上肢の遠位筋は手の握力で、下肢の近位筋はしゃがんで手を使わずに立ち上がることができるかどうかをみるといった方法がある。 画像検査の診断能力には、疾患や病変により感度、特異度の優劣があるので、想定される病変の部位によって適切な検査方法を選択する必要がある。さらに患者の状態に応じて、検査を行うことのメリットとデメリットをよく考えたうえで検査計画を立てていく必要がある。例えば、腹部の痛みがある場合、腹部単純X 線写真で、消化管ガス像の分布や小腸ガス、液面形成(ニボー)の有無などから、イレウスや腹水貯留の有無の評価が可能である。さらに、CTやMRIでは腫瘍の大きさや性状、位置、神経叢との関係などをみることが可能であり、痛みと腫瘍の関連について評価することが可能である。骨転移による痛みがある場合、単純X 線写真では、骨皮質に病変が及んだ場合や、骨塩量が30 〜50%低下した場合に初めて所見として検出することができる。骨シンチグラフィは全身の骨の評価を一度に行える利点があるが、感度は高いものの特異度は高くなく、症状や身体所見、他の画像診断と合わせて評価することが重要である。CTは骨、軟部組織の詳細な情報を得ることができるため、特に初期の骨変化の同定に有用な検査方法である。MRIは特に、頭蓋内病変や脊髄・硬膜外病変の検出、脊髄圧迫への椎体転移の関与の評価などで有用性が高い。 2 画像所見 痛みの評価は、日常生活への影響、痛みのパターン、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子・軽快因子、現在行っている治療の反応、レスキュー・ドーズの効果と副作用に分けて行う。以下に各項目の評価のポイントについて述べる。 疼痛治療についての総合的な評価を行うために、痛みにより日常生活にどの程度支障を来しているのかをまず確認する。特に睡眠への影響については必ず聞くようにする。次に、どの程度の対応を希望しているかを確認する。具体的には、「痛みに関しては、今の生活で満足されていますか? それとも痛みで日常生活に支障があって何か対応したほうがいいですか?」と聞くとよい。症状が患者にとって許容できるものなのか、それとも対応したほうがよいかという評価はSupport Team Assessment Schedule日本語版(STAS-J*2)でも用いられている評価方法で、症状への対処の必要性について評価することができる(表1)。 1 日常生活への影響 2痛みの評価*1:異常感覚自発的、または、誘発性に生じる痛みではない異常な感覚。不快を伴わない場合を『異常感覚【不快を伴わない】、paresthesia』、不快を伴う場合を『異常感覚【不快を伴う】、dysesthesia』と区別する。P16参照。 *2:STAS-J英国で開発された評価尺度(Support Team Assessment Schedule;STAS)の日本語版。「痛みのコントロール」「患者の不安」などの9 項目を医療者が0 ~4の5 段階で評価する。『STAS-J症状版』もある。P27参照。
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痛みのパターンは、1日の大半を占める持続痛と、一過性の痛みの増悪である突出痛*とに分けられる。痛みのパターンを知ることは治療方針の決定に役立つ。例えば、持続痛の場合には鎮痛薬の定期投与や増量、突出痛の場合にはレスキュー・ドーズを使うなど、そのパターンによって治療方針が異なるからである。具体的には、「痛みは1日中ずっとありますか? それとも、たいていはいいけれど、時々ぐっと痛くなりますか?」といったように聞く(P18,II-1-2痛みのパターンによる分類,図3 参照)。 痛みの強さ(程度)は治療効果判定の意味からも初診時に評価しておくことが重要である。一番強い時の痛み、一番弱い時の痛み、1日の平均の痛みに分けて評価するとよい。評価法としてはさまざまなツールが開発されているが、信頼性、妥当性ともに検証され、臨床の場で用いられているものは、Numerical Rating Scale(NRS)、Visual Analogue Scale(VAS)、Verbal Rating Scale(VRS)である(図2)。NRSは、痛みを0 から10 の11段階に分け、痛みが全くないのを0、考えられるなかで最悪の痛みを10として、痛みの点数を問うものである。VASは、100mmの線の左端を「痛みなし」、右端を「最悪の痛み」とした場合、患者の痛みの程度を表すところに印を付けてもらうものである。VRSは3 段階から5 段階の痛みの強さを表す言葉を数字の順に並べ(例:痛みなし、少し痛い、痛い、かなり痛い、耐えられないくらい痛い)、痛みを評価するものである。これら3者では、VASが他に比べて使用するのが難しく、筆記用具が必要であるため、また、VRSは言語の問題や、段階が少なく痛みを詳細に評価できない可能性があることから、一般的にはNRSが推奨される。Faces Pain Scale(FPS)は、図2に示したような現在の痛みに一番合う顔を選んでもらうことで痛みを評価するものであり、3 歳以上の小児の痛みの自己評価において有用性が報告されている。しかし、痛み以外の気分を反映する可能性や段階が少なく痛みを詳細に評価できない可能性があることなどが指摘されている。痛みの程度を軽度、中等度、高度と分けるという考え方があり、NRSにおいてそれぞれのカットオフ値について検討されている。しかし例えば、Serinらは1〜4を軽度、5〜6を中等度、7〜10を高度、Givenらは1が軽度、2〜4が中等度、5〜10 が高度といったように基準はさまざまであり、統一した見解は得られていない。このガイドラインでは、NCCNのガイドラインと同様に、専門家の合意として1〜3を軽度、4〜6を中等度、7〜10を高度と便宜的に定める。 2 痛みのパターン 3 痛みの強さ *:突出痛(breakthrough pain)持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強。P18 参照。表1 STAS-J 0 なし 1時折のまたは断続的な単一の痛みで、患者が今以上の治療を必要としない痛みである。2中等度の痛み。時に調子の悪い日もある。痛みのため、病状からみると可能なはずの日常生活動作に支障を来す。3しばしばひどい症状がある。痛みによって日常生活動作や物事への集中力に著しく支障を来す。4持続的な耐えられない激しい痛み。他のことを考えることができない。
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II章背景知識 1)医療者による痛みの強さの評価医療者が痛みの強さを判定するために代理評価を行う場合には、信頼性・妥当性の確認された尺度としてSupport Team Assessment Schedule日本語版(STAS-J)がある。これは表1に示したような0 〜4 の5 段階で症状の程度を医療者が評価する方法である6)。なお、STASは主要項目として「痛みのコントロール」「症状が患者に及ぼす影響」「患者の不安」「家族の不安」「患者の病状認識」「家族の病状認識」「患者と家族のコミュニケーション」「医療専門職種間のコミュニケーション」「患者・家族に対する医療専門職とのコミュニケーション」の9 項目からなる評価尺度であり、ここで紹介したのは「痛みのコントロール」についての部分である。もともとはclinical audit(臨床監査)*1のためのツールとして開発されたものであり、患者に負担をかけずに評価を行うことができるという利点がある。 2)自分で痛みを訴えられない患者の痛みの強さの評価痛みは主観的なものであるので、自らが伝えた痛みを評価することが標準的な評価方法である。NRS、VAS、VRSはいずれもMini-Mental State Examination(MMSE) *2 が18点以上の軽度の認知機能低下患者において使用することが可能であることが示されている。*2:Mini-Mental State Examination(MMSE)認知機能や記銘力を測定する11項目からなる検査。30点満点で、21点以下の場合には認知症などの認知力障害がある可能性が高いと判断される。 *1:clinical audit(臨床監査)クリニカルオーディット。診断・治療・ケア、およびその成果、患者のQOLなどに関して、質の高い診療が行われているかどうかを多面的・包括的に評価すること。 Faces Pain Scale(FPS) Visual Analogue Scale(VAS)10cm Numerical Rating Scale(NRS) 〔Whaley L, et al. Nursing Care of Infants and Children, 3rd ed, ST. Louls Mosby, 1987〕 全く痛みがないこれ以上の強い痛みは考えられない、または最悪の痛み 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Verbal Rating Scale(VRS) 痛みなし少し痛い痛いかなり痛い耐えられないくらい痛い 図2 痛みの強さの評価法
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NRSとVRSは、さらに10〜17点の中等度の認知機能低下患者においても使用が可能であり、認知機能低下患者においてはNRSまたはVRSを用いるのがよいとされている。これらの評価尺度が使用できない場合には、Abbey pain scale(Abbey)、Checklist of Nonverbal Pain Indicators(CNPI)、Non-communicative Patient’s Pain Assessment Instrument (NOPPAIN)、Doloplus 2などさまざまな評価尺度が開発されているものの、現時点では本邦において日本語に翻訳され、信頼性、妥当性が検証されているものはない。痛みの評価には、患者の、1表情、2声や話し方、3体の動き、4様子や行動、他人との関わりの変化、5日常生活パターンの変化、6精神状態の変化−−−を観察することが参考になる。 4 痛みの部位 ボディチャートに痛みの部位を記録する。帯状疱疹、蜂窩織炎、外傷など、がんと関連しない痛みが合併することがあるので、身体所見や画像検査所見などから、痛みの原因となる病変の有無を確認する必要がある。 5 痛みの経過 いつから痛みが存在するようになったかを確認し、以前からある痛みかどうかを確認する。突然の痛みの出現は、骨折、消化管穿孔、感染症、出血などのオンコロジーエマージェンシー*である可能性があるので、必要に応じて合併症の検索を行う必要がある。 6 痛みの性状 痛みの性状は、痛みが体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛であるかを判断する参考となる。神経障害性疼痛は「灼けるような」、「ビーンと走るような」、「槍で突き抜かれたような」痛みのことがある(P14,II-1がん疼痛の分類・機序・症候群の項参照)。 7 痛みの増悪因子と軽快因子 痛みを強くする、または緩和する要因についても質問する。これによって、痛みが増悪する原因となるような刺激を避け、痛みを緩和する方法を取り入れることができる(P18,II-1-2 2突出痛の項参照)。痛みに影響する要因には以下のようなものがある。・増悪因子:夜間、体動、食事、排尿・排便、不安・抑うつなど・軽快因子:安静、保温、冷却、マッサージなど 8 現在行っている治療の反応 現在行っている疼痛治療の反応を確認する。定期的な鎮痛薬として何を使用しているか、指示どおり服用できているかを確認する。疼痛治療の副作用として、嘔気、便秘、眠気について確認する。嘔気は、「なし」「あり(経口摂取可能)」「あり(経口摂取不可能)」、便秘は「なし」「あり(便の硬さは普通、硬い、軟らかい)」、眠気は「なし」「あり(不快ではない)」「あり(不快である)」などと具体的に聞く。嘔気、便秘、眠気がある場合には、本ガイドラインの「III-2オピオイドによる副作用」(P150)を参照して治療を行う。 *:オンコロジーエマージェンシーに関係した痛み・脊髄圧迫症候群、硬膜外転移・体重支持骨の骨折または切迫骨折・脳転移、軟髄膜転移・感染症に関係した痛み・消化管の閉塞・穿孔・出血
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II章背景知識 9 レスキュー・ドーズの効果と副作用 疼痛増悪時に使用する薬剤が処方されている場合には、その使用回数、効果と副作用を確認する。効果は痛みの強さの評価を行った評価尺度(NRS、VASなど)、または、鎮痛薬の効果を評価する尺度(pain relief scale:完全に良くなった、だいたい良くなった、少し良くなった、変わらないの4 段階で鎮痛薬の効果について患者自身が判断する方法)などを用いて評価する。同時にレスキュー・ドーズを使用したことによる副作用についても評価する。特に、使用後に眠気が「なし」「あり(不快ではない)」「あり(不快である)」かを聞く。「あり」の場合には、本ガイドラインの「III-2オピオイドによる副作用」(P150)を参照して対応する。図3はこれらの評価項目をまとめた医療者が記入する評価シートの一例である。 (山本 亮) 【参考文献】 1) Williamson A. Pain: a review of three commonly used pain rating scales. J Clin Nurs 2005; 14: 798- 804 2) Caraceni A, Cherny N, Fainsinger R, et al. Pain measurement tools and methods in clinical research in palliative care: recommendations of an Expert Working Group of the European Association of Palliative Care. J Pain Symptom Manage 2002; 23: 239-55 3) Whaley L, et al. Nursing Care of Infants and Children, 3th ed, St. Louls, Mosby, 1987 4) Serlin RC, Mendoza TR, Nakamura Y, et al. When is cancer pain mild, moderate or severe? Grading pain severity by its interference with function. Pain 1995; 61: 277-84 5) Given B, Given CW, Sikorskii A, et al. Establishing mild, moderate, and severe scores for cancerrelated symptoms: how consistent and clinically meaningful are interference. based severity cutpoints? J Pain Symptom Manage 2008; 35: 126-35 6) Miyashita M, Matoba K, Sasahara T, et al. Reliability and validity of Japanese version STAS (STAS-J). Palliat Support Care 2004; 2: 379-85 7) Closs SJ, Barr B, Briggs M, et al. A comparison of five pain assessment scales for nursing home residents with varying degrees of cognitive impairment. J Pain Symptom Manage 2004; 27: 196-205 8) Herr K, Bjoro K, Decker S. Tools for assessment of pain in nonverbal older adults with dementia: a state-of-the-science review. J Pain Symptom Manage 2006; 31: 170-92
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10 0 NRS 10 0 NRS 10 0 NRS 10 NRS 0 ○ 痛みのパターン 痛みの評価シート ○ 痛みの部位 ○ 日常生活への影響 ●定期薬剤1.なしあり ̶̶̶ 2. オピオイド ( ) ) (ドイオピオ非. 3 ) (薬助補痛鎮. 4 ○副作用・眠気1. なし2. あり(不快ではない) 3. あり(不快である)・見当識障害1. なし2. あり・便秘1. なし2. あり(硬・普通・軟)・嘔気1. なし2. あり(経口摂取可能) 3. あり(経口摂取不可能) 氏名 ID 記入日 年 月 日 0:症状なし1:現在の治療に満足している2:時に悪い日もあり日常生活に支障を来す3:しばしばひどい痛みがあり日常生活に著しく支障を来す4:ひどい痛みが常にある ○ 痛みの強さ ○ 治療の反応 ○ 痛みの性状1日に回 1. ほとんど痛みがない2. 普段はほとんど痛みがないが、1日に何回か強い痛みがある3. 普段から強い痛みがあり、1日の間に強くなったり弱くなったりする4 強い痛みが1日中続く 痛み(一番強い時) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10痛み(一番弱い時) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10痛み(1日の平均) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 これ以上 考えられないほどひどかった全くなかった 鈍い重苦しい鋭いうずくような灼けるようなビーンと走るような刺されたような or 刺すような ○ 増悪因子 1. 夜間2. 体動3. 食事(前・後) 4. 排尿・排便5. 不安・抑うつ6. その他( ) ○ 軽快因子 1. 安静2. 保温3. 冷却4. マッサージ5. その他( ) ●レスキュー・ドーズ使用薬剤と量 ( ) ○使用回数と効果 ( )回/日使用前NRS( ) → 使用後( ) 1.完全によくなった2.だいたいよくなった3.少しよくなった4.変わらない○副作用・眠気1.なし2.あり(不快ではない) 3.あり(不快である)・嘔気1.なし2.あり(経口摂取可能) 3.あり(経口摂取不可能) 記入者 ( ) 図3 痛みの評価シートの例
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II章背景知識 3 WHO方式がん疼痛治療法 がん疼痛治療の成績向上を目指して作成された「WHO方式がん疼痛治療法」を普及するために、「がんの痛みからの解放」の第1版が1986 年に、そして第2 版が1996 年にWHO(世界保健機構)から出版された。「WHO方式がん疼痛治療法」が作成された意図は、全世界のあらゆる国に存在するがん患者を痛みから解放することである。これは、貧しい国でも、医療が十分に行き渡っていない国でも、痛みに苦しんでいるがん患者が存在するため、誰にでもできる疼痛治療法を普及させる、ということを意味する。その後、世界各国で翻訳されており、がん患者を痛みから解放することに貢献している。以下の記述は1996 年に発表されたWHO方式に準拠する。WHO方式がん疼痛治療法とは、次の6 項目から構成される治療戦略であり、緩和ケアの中の一要素としてがんの痛みのマネジメントを実践すべきであるとされている。1チームアプローチによる、がん患者の痛みの診断とマネジメントの重要性2詳細な問診、診察、画像診断などによる痛みの原因、部位、症状の十分な把握の必要性3 痛みの治療における患者の心理的、社会的およびスピリチュアルな側面への配慮と患者へ の説明の重要性4症状や病態に応じた薬物または非薬物療法の選択5段階的な治療目標の設定6臨床薬理学に基づいた鎮痛薬の使用法 2目標の設定 痛みのマネジメントで大切なことは、現実的かつ段階的な目標設定をすることである(表1)。第一の目標は、痛みに妨げられずに夜間の睡眠時間が確保できること、第二の目標は、日中の安静時に痛みがない状態で過ごせること、第三の目標は、起立時や体動時の痛みが消失することである。最終的にはこれらの目標を達成し、鎮痛効果の継続と平常の日常生活に近づけることが求められる。しかし、骨転移の体動時痛を、動いても痛くないようにすることは難しい場合がある。また神経障害性疼痛の場合、症状の完全な緩和が困難な場合もある。これらのことを患者に理解してもらえるように、繰り返し丁寧に説明することが重要である。 痛みの治療は薬物療法と非薬物療法の組み合わせが必要となるが、鎮痛薬(表2)の使用が主役となる。WHO方式がん疼痛治療法における「鎮痛薬の使用法」は、治療にあたって守るべき「鎮痛薬使用の5原則」(表3)と、痛みの強さによる鎮痛薬の選択ならびに鎮痛薬の段階的な使用法を示した「三段階除痛ラダー」(図1)から成り立っている。本項では以下に 1WHO方式がん疼痛治療法とは 3鎮痛薬の使用法 表1 がん疼痛治療の目標 第一目標痛みに妨げられない夜間の睡眠第二目標安静時の痛みの消失第三目標体動時の痛みの消失
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「鎮痛薬の使用法」について述べる。なおWHO方式がん疼痛治療法とは、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドの使用に加え、鎮痛補助薬*、副作用対策、心理社会的支援などを包括的に用いた鎮痛法であり、薬物に抵抗性の痛みには、神経ブロックなどの薬物以外の鎮痛法を三段階除痛ラダーの適用と並行して検討すべきであるとしている。 がんの痛みに使用する鎮痛薬は、簡便で、用量調節が容易で、安定した血中濃度が得られる経口投与とすることが最も望ましい。しかし、嘔気や嘔吐、嚥下困難、消化管閉塞などのみ 1 経口的に(by mouth) *:鎮痛補助薬主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物(抗うつ薬、抗けいれん薬、NMDA受容体拮抗薬など)。非オピオイド鎮痛薬やオピオイドだけでは痛みを軽減できない場合に選択される。P66参照。表3 鎮痛薬使用の5原則 ●経口的に(bymouth) ●時刻を決めて規則正しく(bytheclock) ●除痛ラダーにそって効力の順に(bytheladder) ●患者ごとの個別的な量で(fortheindividual) ●その上で細かい配慮を(withattentiontodetail)図1 三段階除痛ラダー 中等度から高度の強さの痛みに用いるオピオイド± 非オピオイド鎮痛薬± 鎮痛補助薬軽度から中等度の強さの痛みに用いるオピオイド± 非オピオイド鎮痛薬± 鎮痛補助薬 非オピオイド鎮痛薬± 鎮痛補助薬 がんの痛みからの解放 痛みの残存ないし増強 痛みの残存ないし増強 痛み3 2 1 表2 WHO方式がん疼痛治療法の鎮痛薬リスト 〔WHO,1996から引用、一部改変〕 薬剤群代表薬代替薬 非オピオイド鎮痛薬アスピリンアセトアミノフェンイブプロフェンインドメタシンコリン・マグネシウム・トリサルチレートa) ジフルニサルa)ナプロキセンジクロフェナクフルルビプロフェン※1 弱オピオイド(軽度から中等度の強さの痛みに用いる)コデインデキストロプロポキシフェンa) ジヒドロコデインアヘン末トラマドールb) 強オピオイド(中等度から高度の強さの痛みに用いる)モルヒネメサドンa) ヒドロモルフォンa)オキシコドンレボルファノールa)ペチジンc)ブプレノルフィンd)フェンタニル※2 a:日本では入手できない薬剤。b:日本では注射剤のみ入手可能。c:がん疼痛での継続的な使用(反復投与)は推奨されていないが、他のオピオイドが入手できない国があるため、表に残された薬。d:経口投与で著しく効果が減弱する薬。※1:原著では、基本薬リストにあげられていないが、非オピオイド鎮痛薬の注射剤としてはフルルビプロフェンの注射剤(ロピオン®)がある。※2:(強オピオイド)フェンタニルは、経皮吸収型製剤(貼付剤)と注射剤が使用できる。当時はフェンタニル貼付剤 を使える国が限られていたことから、原著では基本薬リストに挙げずに文中での記載にとどめている。
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II章背景知識 られる患者には、直腸内投与(坐剤)、持続皮下注、持続静注、経皮投与(貼付剤)などを検討する必要がある。 2 時刻を決めて規則正しく(by the clock) 痛みが持続性である時には、時刻を決めた一定の使用間隔で投与する。通常、がん疼痛は持続的であり、鎮痛薬の血中濃度が低下すると再び痛みが生じてくる。痛みが出てから鎮痛薬を投与する頓用方式は行うべきではない。加えて、突出痛に対しては、レスキュー・ドーズが必要になる。このため、鎮痛薬の定期投与と同時にレスキュー・ドーズを設定し、患者に使用を促すことも重要である。 3 除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder) 鎮痛薬は、図1に示した「WHO三段階除痛ラダー」が示すところに従って選択する。ある鎮痛薬を増量しても効果が不十分な場合は、効果が一段強い鎮痛薬に切り替える。重要なことは、患者の予測される生命予後の長短にかかわらず、痛みの程度に応じて躊躇せずに必要な鎮痛薬を選択することである。またオピオイド使用時も、非オピオイド鎮痛薬を併用すること、さらに必要に応じて鎮痛補助薬を併用することが重要である。1軽度の痛みには、第一段階の非オピオイド鎮痛薬を使用する。これらの薬剤は、副作用と天 井効果*により標準投与量以上の増量は基本的には行わない。なお、痛みの種類によっては、第一段階から鎮痛補助薬を併用する。2非オピオイド鎮痛薬が十分な効果を上げない時には、「軽度から中等度の強さの痛み」に用 いるオピオイドを追加する。この段階でも必要により鎮痛補助薬の使用を検討する。3第二段階で痛みの緩和が十分でない場合は、第三段階の薬剤に変更する。非オピオイド鎮 痛薬は可能な限り併用する。それぞれのオピオイドの特性を理解したうえで薬剤の選択を行うことが重要であり、基本的には1つの薬剤を選択する。モルヒネやフェンタニル、オキシコドンなどの強オピオイドは、増量すれば、その分だけ鎮痛効果が高まる。第三段階でも必要により鎮痛補助薬の使用を検討する。 4 患者ごとの個別的な量で(for the individual) 個々の患者の鎮痛薬の適量を求めるには効果判定を繰り返しつつ、調整していく必要がある。その際、非オピオイド鎮痛薬や弱オピオイドであるコデインには天井効果があるとされる一方で、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどの強オピオイドには標準投与量というものがないことを理解しておくことが重要である。適切なオピオイドの投与量とは、その量でその痛みが消え、眠気などの副作用が問題とならない量である。増量ごとに痛みが緩和すれば、その鎮痛薬を増量することで緩和できる可能性が大きい。レスキュー・ドーズを使用しながら、十分な緩和が得られる定期投与量(1日定期投与量とレスキュー・ドーズ1回量)を決定する。 5 その上で細かい配慮を(with attention to detail) 痛みの原因と鎮痛薬の作用機序についての情報を患者に十分に説明し協力を求める。時刻を決めて規則正しく鎮痛薬を用いることの大切さの説明と、予想される副作用と予防策についての説明はあらかじめ行われるべきである。また、治療による患者の痛みの変化を観察し続けていくことが大切である。痛みが変化したり、異なる原因の痛みが出現してくる場合には、再度評価を行う。その上で、効果と副作用*:天井効果(ceiling effect)ある程度の量以上、投与量を増やしても鎮痛効果が頭打ちになること。有効限界ともいう。
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の評価と判定を頻回に行い、適宜、適切な鎮痛薬への変更や鎮痛補助薬の追加を考慮することが重要である。がんの病変の治療(外科治療や放射線治療、化学療法など)によって痛みの原因病変が消失あるいは縮小した場合は、オピオイドの漸減を行う。神経ブロックなどにより痛みが急激に弱まった時は、投与量の急激な減量(もとの量の25%程度に減量)が必要な場合もある。その際には突然の中止は避け、離脱症候群*に注意したうえでの計画的な減量が必要である。その他、患者の病態の把握は欠かすことができない。肝機能障害、腎機能障害のある場合は特に注意が必要である。高齢者はオピオイドの薬物動態が変化しているため少量からの開始が基本である。加えて、不安・抑うつなどの患者の精神状態に配慮していくことは、円滑な疼痛治療を行ううえで非常に重要である。 WHO方式がん疼痛治療法は、公表から20 年以上が経過しており、各国のフィールド調査で70〜80%以上の鎮痛効果が得られている。これは、オピオイドの定期投与、レスキュー・ドーズによる突出痛への対応、十分な副作用対策、適切な鎮痛補助薬の使用、および、患者教育などの複合的な支援が適切に行われれば、がん疼痛を緩和することが可能であることを示している。一方、近年、WHO方式がん疼痛治療法そのものは厳密な無作為化比較試験など科学的な検証を得たものではないことから、異なる枠組みの疼痛ガイドラインも提案されている。また、WHO方式がん疼痛治療法に含まれる推奨のいくつか(除痛ラダー二段階目の必要性、経口投与の優先など)については、再検討が必要であるとする意見がある。本ガイドラインでは、WHO方式がん疼痛治療法は今後検証されるべき部分を含んではいるが、がん疼痛の緩和治療において指針となる重要な役割を有していると考える。 (長 美鈴、林 章敏) 【参考文献】 1) World Health Organization. Cancer Pain Relief, 2nd ed, World Health Organization, Geneva, 1996 (世界保健機構 編. がんの痛みからの解放, 第2版, 東京, 金原出版, 1997) 2) Ventafridda V, Tamburini M, Caraceni A, et al. Validation study of the WHO method for cancer pain relief. Cancer 1987; 59: 850-6 3) Mercadante S. Pain treatment and outcomes for patients with advanced cancer who receive followup care at home. Cancer 1999; 8: 1849-58 4) Azevedo São Leão Ferreira K, Kimura M, Jacobsen Teixeira M. The WHO analgesic ladder for cancer pain control, twenty years of use. How much pain relief does one get from using it? Support Care Cancer 2006; 14: 1086-93 5) National Comprehensive Cancer Network: NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Adult cancer pain. http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/pain.pdf 4WHO方式がん疼痛治療法の有効性と課題 *:離脱症候/離脱症候群臨床では薬物の突然の休薬による身体症状を離脱症候群(withdrawal syndrome)と表現することが一般的である。退薬症状、退薬徴候ともいわれるが、本ガイドラインにおいては、ガイドラインを使用する医療従事者の混乱を避けるため、本文を通して離脱症候/ 離脱症候群に統一して使用する。
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II章背景知識 4 薬理学的知識 1 オピオイド 1オピオイドとは何か:薬理学的特徴 オピオイド(opioid)とは、麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬などのアルカロイドおよびモルヒネ様活性を有する内因性または合成ペプチド類の総称である。紀元前よりケシ未熟果から採取されたアヘン(opium)が鎮痛薬として用いられ、19 世紀初頭には、その主成分としてモルヒネが初のアルカロイドとして単離された。1970 年代には、オピオイドの作用点として受容体が存在することが証明され、初めて薬物受容体の概念として導入された。その後、内因性モルヒネ様物質の探索が行われ、エンケファリン、エンドルフィン、ダイノルフィン、最近ではエンドモルフィンなどが単離・同定された。1990 年代には、 μ、δおよびκオピオイド受容体の遺伝子が単離精製(クローニング)され 、その構造や機能が分子レベルから明らかにされている。 μ、δおよびκオピオイド受容体は、すべてGTP 結合蛋白質(G 蛋白質) *1と共役する7回膜貫通型受容体(GPCR)である。これらオピオイド受容体タイプ間の相同性は高く(全体で約60%)、特に細胞膜貫通領域では非常に高い。いずれの受容体も基本的にGi/o 蛋白質*2と関連しており、オピオイド受容体活性化により、さまざまな細胞内情報伝達系が影響を受けることにより、神経伝達物質の遊離や神経細胞体の興奮性が低下するために神経細胞の活動が抑制される(図1)。一方、近年、モルヒネによる鎮痛効果発現における興奮性神経伝達の関与も示され、下行性抑制系*3 の直接的活性化や、細胞内情報伝達系を活性化することで鎮痛効果を発現していることも明らかにされている(図1)。モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルは、すべてμオピオイド受容体に対する親和性が高いものの、それぞれの薬物間において、認められる薬理作用に違いがあることが知られている(P43,II-4-1-6 各オピオイドの薬理学的特徴の項参照)。これらの薬物間における薬理作用の違いに関しては、さまざまな見解がなされており、μオピオイド受容体はμ1およびμ2受容体、δオピオイド受容体はδ1およびδ2受容体、κオピオイド受容体はκ1、κ2、κ3受容体などのサブタイプの存在が提唱されてきた。しかし、μ、δおよびκオピオイド受容体をコードする遺伝子はそれぞれ1種類しか存在しないため、スプライスバリアント*4 依存性サブタイプやオピオイド受容体の多量体化*5に対する修飾の差異、あるいはオピオイド受容体に対する立体構造変形に基づいたリガンド*6 依存性サブタイプなどの新しい仮説(ligand biased efficacy仮説*7)が提唱されている。 3 オピオイド受容体を介した薬理作用(図1・表1) モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど多くのオピオイドによる鎮痛作用は、主にμオピオイド受容体を介して発現する。μオピオイド受容体を介した鎮痛作用は、脊髄における感覚神経による痛覚伝達の抑制や視床や大脳皮質知覚領域などの脳内痛覚情報伝導経路の興奮抑制といった上行性痛覚情報伝達の抑制に加え、中脳水道周囲灰白質、延髄網様 1 オピオイドとは 2 オピオイド受容体の構造と情報伝達(図1) *4:スプライスバリアントRNA前駆体中のイントロンを除去し、前後のエクソンを再結合する行程で生じる多様なmRNAにより生成される蛋白質群。 *3:下行性抑制系脳から脊髄を下行し、痛覚情報の伝達を抑制する系。脳から脊髄へ神経伝達物質のノルアドレナリンとセロトニンが放出されて抑制する。 *2:Gi/o蛋白質三量体Gタンパク質はαサブユニットの機能および遺伝子の相違から、Gs、Gi、Go、Gq、Gt、Golfなどのサブファミリーに分類されている。Giはアデニル酸シクラーゼを抑制し、Goは神経組織に多く発現している。また、Gi/o蛋白質から解離したβγサブユニットは、K+チャネルの開口促進、 Ca2+チャネルの開口抑制といった細胞内応答を引き起こす。 *1:GTP結合蛋白質(G蛋白質) GTPアーゼに属するグアニンヌクレオチド結合蛋白質の略称。膜受容体関連ヘテロ三量体G蛋白質と低分子量G蛋白質があるが、ここでは前者の三量体G蛋白質を指す。三量体G蛋白質はα、βおよびγサブユニットからなり、G蛋白質共役型受容体が刺激されるとαサブユニットに結合しているGDPとGTPの交換反応が起こり、GTP結合型αサブユニットとβγサブユニットに解離する。これらのサブユニットは、それらの標的蛋白質・酵素を活性化し、シグナルを下流へと伝達する。 *5:受容体の多量体化細胞膜に存在する受容体は、1分子によっても、細胞外の刺激を受容し、その情報を細胞内へ伝達することが可能であるが、複数の分子が会合(多量体化)することで、異なった細胞内情報伝達分子が活性化されるため、多彩な情報伝達が可能になっている。*6:リガンド受容体や酵素に結合し、生物活性を引き起こす物質。酵素に対する基質、補酵素、薬物(受容体作動薬や遮断薬)、ホルモン、サイトカイン、神経伝達物質など。*7:ligand biased efficacy仮説薬物(リガンド)の結合する受容体が同一であっても、リガンドと受容体が形成する複合体の立体構造が異なるために、活性化される細胞内応答がリガンドに依存して異なるという仮説。
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体細胞および大縫線核に作用し、延髄−脊髄下行性ノルアドレナリンおよびセロトニン神経からなる下行性抑制系の賦活化などによる。また、μオピオイド受容体は扁桃体や帯状回、腹側被蓋野、側坐核などの部位に高密度に存在していることから、情動制御にも深く関わっている。さらに、その他の中枢神経系作用として呼吸抑制作用(延髄呼吸中枢の直接抑制作用)、鎮咳作用(孤束核咳中枢への知覚入力抑制)、催吐作用〔延髄化学受容器引き金帯(chemoreceptor trigger zone;CTZ)への直接作用〕などが、末梢神経系への作用として消化管運動抑制作用(腸管膜神経叢でアセチルコリン遊離抑制)などが知られている。δおよびκオピオイド受容体の活性化によっても、μオピオイド受容体の活性化と同様に鎮痛作用が認められる。しかし、μオピオイド受容体の活性化は多幸感(報酬効果*1)が生じるのに対して、κオピオイド受容体では嫌悪感を引き起こし(中脳辺縁ドパミン神経前終末抑制によるドパミン遊離抑制)、モルヒネなどによる精神依存*2を抑制する。また、δおよびκオピオイド受容体の活性化による呼吸抑制作用は、μオピオイド受容体によるものと比べ弱い。 (大澤匡弘、中川貴之、成田 年) *1:報酬効果脳内の報酬系(ドパミン神経系)が、欲求が満たされたときや報酬を得ることを期待して行動しているときに活性化し、快の感覚(多幸感、陶酔感など)を与える効果。 *2:精神依存次のうちいずれか1つを含む行動によって特徴づけられる一次性の慢性神経生物学的疾患。1自己制御できずに薬物を使用する、2症状(痛み)がないにもかかわらず強迫的に薬物を使用する、3有害な影響があるにもかかわらず持続して使用する、4薬物に対する強度の欲求がある。P55参照。オピオイド受容体の細胞内情報伝達系はμ、δおよびκオピオイド受容体の間に大きな差は存在しないため、すべてのオピオイド受容体の細胞内情報伝達をまとめて記載した。なお、オピオイド受容体はすべて7回膜貫通型のG蛋白質共役形受容体であり、その細胞内情報伝達系はG蛋白質を介して進行する。図中のPIP2はホスファチジルイノシトール二リン酸を、IP3はイノシトール三リン酸を示す。また、各脳部位でのオピオイドによる薬理作用を図下にまとめた。 Ca Ca Ca Ca K K K K K K K K K Ca Ca Ca Ca Ca Ca Ca2+チャネルK+チャネルオピオイド受容体 開口促進G 蛋白質 αi/o 活性化 ATP PIP2 IP3 cAMP ジアシルグリセロール ホスホリパーゼC アデニル酸シクラーゼ 抑制 開口抑制 エンケファリンSNC-80 δオピオイドモルヒネフェンタニルオキシコドンコデインβ- エンドルフィンエンドモルフィン-1, 2 μオピオイド エプタゾシンナルフラフィンダイノルフィンA κオピオイド β γ オピオイド受容体を介した薬理作用の発現 情動制御(扁桃体・帯状回)報酬効果(腹側被蓋野・側坐核)下行性抑制系の賦活(中脳水道周囲灰白質・ 延髄網様体細胞・大縫線核)鎮咳作用(孤束核)催吐作用(延髄化学受容器引き金帯)呼吸抑制作用(延髄呼吸中枢)消化管運動抑制作用(末梢性作用) 図1 オピオイドリガンドとオピオイド受容体を介した細胞内情報伝達系
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II章背景知識 表1 オピオイド受容体サブタイプの特徴とリガンド 受容体タイプμオピオイド受容体δオピオイド受容体κオピオイド受容体薬理作用鎮痛作用鎮静作用消化管運動抑制呼吸抑制咳嗽反射抑制情動性徐脈利尿作用++ ++ ++ + + + +ー(抗利尿) + + +ーー(悪化) +ー(頻脈) ー++ ++ +ー+ー(嫌悪感) + + 細胞内情報伝達cAMP産生↓・Ca2+チャネル↓・K+チャネル↑(Gi/oα依存的) PLC活性化・PKC活性化(Gβγ依存的) cAMP産生↓・Ca2+チャネル↓・K+チャネル↑(Gi/o α依存的) PLC活性化・PKC活性化(Gβγ依存的) cAMP産生↓・Ca2+チャネル↓・K+チャネル↑(Gi/o α依存的) 主な発現部位大脳皮質、線条体、視床、視床下部、中脳、橋-延髄(青斑核、孤束核)、脊髄、一次感覚神経など大脳皮質、線条体、側坐核、中脳など線条体、側坐核、視床、視床下部、中脳、橋-延髄(青斑核、孤束核)、脊髄など
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1 製剤の特徴 2009 年10月現在、日本国内で利用可能なオピオイド製剤の一覧を表2に示す。 2国内で利用可能なオピオイドとその特徴 一般名商品名剤形・規格・濃度投与経路(適応内)投与間隔放出機構製剤としてのTmax*1(h) (mean±SD)製剤としての半減期(h) (mean±SD)特 徴 モルヒネ硫酸塩カディアン®カプセル: 20mg・30mg・60mgスティック粒: 30mg・60mg・120mg経口24 時間毎徐放性7.3±0.8 9.2±0.9 pH 依存型の放出制御膜でコーティングされた直径1.0~1.7mmの徐放性顆粒がカプセルまたはスティックに充填されている。 ピーガード®錠: 20mg・30mg・60mg・120mg経口24 時間毎徐放性6.3±4.1 21.6±5.9モルヒネ硫酸塩に、放出制御膜として水溶性微粒子を分散させた水不溶性高分子がコーティングされている。消化管内で水溶性微粒子が速やかに溶解して多数の細孔を形成し、pH 非依存的に徐放性を示す。高脂肪食食後に投与するとCmax*2およびAUC*3が減少、Tmaxが遅延するが、食前60 分投与であれば食事の影響は無視できるため、食間投与とされている。 MSコンチン®錠: 10mg・30mg・60mg経口12 時間毎徐放性2.7±0.8 2.58± 0.85高級アルコールをコーティングしたモルヒネ粒子を圧縮した構造で、これが腸管内の水分により徐々に溶解される。 MSツワイスロン® カプセル: 10mg・30mg・60mg経口12 時間毎徐放性1.9±1.3 ND直径0.6 ~1mmの徐放性顆粒をカプセルに充填した製剤で、腸管内の水分により徐々に製剤中のモルヒネが溶解する。 モルペス®細粒: 2% (10mg/0.5g/包、バラ) 6% (30mg/0.5g/包、バラ)経口12 時間毎徐放性2.4~2.8 6.9 ~8.7モルヒネを含む素粒子に徐放性皮膜をコーティングし、その上から甘味料をコーティングした構造で、直径約0.5mmの細粒である。経管投与可。 モルヒネ塩酸塩モルヒネ塩酸塩末錠: 10mg経口4 時間毎(定期投与)、 1時間(レスキュー・ ドーズ)速放性0.5~1.3 2.0 ~3.0定期投与またはレスキュー・ドーズとして使用する。 オプソ®内服液: 5mg/2.5mL/包10mg/5mL/包経口4 時間毎(定期投与)、 1時間(レスキュー・ ドーズ)速放性0.5±0.2 2.9±1.1モルヒネ経口投与開始時の用量調節および用量調節後の疼痛治療に使用でき、また、オピオイド徐放性製剤投与中のレスキュー・ドーズとしても使用する。 パシーフ®カプセル: 30mg・60mg・120mg経口24 時間毎徐放性速放部: 0.7~0.9 徐放部: 8.4~9.8 11.3~ 13.5速放性細粒と徐放性細粒がカプセルに充填され、1日1回投与で投与後早期から24 時間安定した鎮痛効果を維持できるように設計された製剤である。 アンペック®坐剤: 10mg・20mg・30mg直腸内6~12時間毎2 時間(レスキュー・ ドーズ) ― 1.3~1.5 4.2~6.0吸収が速やかで、投与後約8 時間まで有効血中濃度が保たれる。 モルヒネ塩酸塩アンペック®プレペノン®注: (モルヒネ・アンペック®) 10mg/1mL/A(1%) 50mg/5mL/A(1%) 200mg/5mL/A(4%) (プレペノン®) 50mg/5mL/本(1%) 100mg/10mL/本(1%) (モルヒネ・ アンペック®)皮下静脈内硬膜外くも膜下(プレペノン®) 皮下静脈内単回・持続―静脈内: <0.5静脈内: 2.0プレペノン®はプレフィルドシリンジであり、注射剤調製や投与の簡便性・安全性を向上させた製剤である。輸液剤に配合して投与するか、シリンジポンプまたは携帯型ディスポーザブル注入ポンプを用いて投与する。 表2 国内で利用可能なオピオイドとその特徴 *1:Tmax(maximum drug concentration time);最高血中濃度到達時間。薬物投与後、血中濃度が最大〔最高血中濃度(Cmax)〕に到達するまでの時間。*2:Cmax(maximum drug concentration);最高(最大)血中濃度。薬物投与後の血中濃度の最大値。*3:AUC(area under the drug concentration time curve);薬物血中濃度(時間)曲線下面積。薬物血中濃度を経時的に表した曲線グラフと 時間軸(横軸)に囲まれた部分の面積。血中に取り込まれた薬の量(吸収率)の指標として用いる。
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II章背景知識 (府川美沙子) 一般名商品名剤形・規格・濃度投与経路(適応内)投与間隔放出機構製剤として のTmax(h) (mean±SD)製剤としての半減期(h) (mean±SD)特 徴 オキシコドンオキシコンチン® 錠: 5mg・10mg・20mg・40mg経口12 時間毎徐放性4.0±2.5 9.2±2.6アクリル酸系高分子膜と高級アルコール膜の二重構造で、腸管内の水分が浸透し、オキシコドンが徐々に小腸内へ放出される。マトリックス基剤(抜け殻)が糞便中に排泄される場合があるが、成分はすでに吸収されているため、臨床上問題はない。 オキノーム®散(0.5%) : 2.5mg/0.5g/包5mg/1g/包・10mg/2g/包経口6 時間毎(定期投与)、 1時間毎(レスキュー)速放性1.7~1.9 4.5~6.0オキシコドン経口製剤を用いる際の用量調節や、突出痛へのレスキュー・ドーズとして使用する。 パビナール®注: (1A(1mL)あたり) オキシコドン8mgヒドロコタルニン2mg皮下単回・持続― NDオキシコドン: 4.1±1.9ヒドロコタルニン: 2.0±0.7オキシコドン、ヒドロコタルニンを含有する複方オキシコドン注射剤である。 フェンタニルデュロテップ®MT貼付剤: 2.1mg(12.5μg/h)・4.2mg(25μg/h)・8.4mg(50μg/h)・12.6mg(75μg/h)・16.8mg(100μg/h)経皮72 時間毎徐放性30 ~36 21~23マトリックスタイプの経皮吸収型製剤である。他のオピオイド鎮痛薬から切り替えて使用する。含量が異なる5 製剤(2.1mg、4.2mg、8.4mg(50 μg/h)、12.6mg(75 μ g/h)、16.8mg(100μg/h))があり、単位面積あたりの放出速度はいずれも同一である。 フェンタニル注: 0.1mg/2mL/A 0.25mg/5mL/A 0.5mg/10mL/A静脈内 硬膜外くも膜下静・硬: 持続くも膜下: 単回―静脈内:投与直後 硬膜外: <0.2~0.5静脈内: 3.65± 0.17 ― ペチジンオピスタン®末経口8時間毎速放性2.0 3.5 ―オピスタン®ペチロルファン®注: 35mg/1mL/A 50mg/1mL/A皮下 筋肉内静脈内3~4時間毎―筋肉内: 約1.0静脈内:投与直後筋肉内: 3.3 静脈内: α;0.1,β;3.9 コデインコデインリン酸塩散: 10mg/g(1%) 100mg/g(10%)錠: 5mg・20mg経口4~6 時間毎(定期投与)、 1時間毎(レスキュー)速放性0.8±0.2 2.2±0.2コデインは体内でモルヒネに代謝されることにより鎮痛効果を発揮すると考えられている。 ジヒドロコデインジヒドロコデイン リン酸塩末散: 10mg/g(1%) 100mg/g(10%)経口4~6 時間毎(定期投与)、 1時間毎(レスキュー)速放性1.6~1.8 3.3~3.7コデインに比べて鎮痛作用はほぼ同等。 トラマドールトラマール®注: 100mg/2mL/A筋肉内4~5時間毎― 0.5 ND ― ブプレノルフィンレペタン®坐剤: 0.2mg・0.4mg直腸内8~12時間毎― 1.0 ~2.0 ND 麻薬拮抗性鎮痛薬*4注: 0.2mg/1mL/A 0.3mg/1.5mL/A筋肉内6~8時間毎― <0.08 2~3 ペンタゾシンソセゴン® ペンタジン®錠: 25mg経口3~5時間毎速放性2.0 1.6~3.2麻薬拮抗性鎮痛薬錠剤には、不適切な使用法を防止するために麻薬拮抗薬であるナロキソン塩酸塩が添加されている。 注: 15mg/1mL/A 30mg/1mL/A皮下 筋肉内3~4時間毎―筋注: 0.2~0.5筋注: 1.3~2.0 エプタゾシンセダペイン®注: 15mg/1mL/A皮下 筋肉内単回―皮下・筋注: 0.4~0.5皮下・筋注: 1.7~1.8麻薬拮抗性鎮痛薬 ブトルファノールスタドール®注: 1mg/1mL/A 2mg/1mL/A筋肉内5~8時間毎―筋注:約0.1静脈内: 4~5麻薬拮抗性鎮痛薬 *4:麻薬拮抗性鎮痛薬(mixed agonist-antagonist);オピオイド作動薬が存在しない状況では作動薬として作用するが、オピオイド作動薬の 存在下ではその作用に拮抗する作用をもつ鎮痛薬。
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オピオイドの基本的な投与経路は経口であるが、口内炎、嚥下困難、消化管閉塞、嘔気・嘔吐などの原因から経口投与が継続できず、投与経路の変更が必要となる場合がある。代替経路としては直腸内投与、経皮投与、静脈内投与がある。注射の場合には一般的に持続投与が行われる。それぞれ使用できる薬物の種類、剤形に限りがあり、またその投与経路による特徴も異なるので、個々の患者に合わせて選択する。 侵襲がなく、簡便で経済的であり、オピオイド投与では基本の投与経路とされる。内服した薬剤は腸管から吸収される際、腸管の酵素によってある程度代謝され、さらに肝臓での初回通過効果(肝初回通過効果*1)を受ける。そのために他の経路と比較すると投与量は多く必要で、モルヒネでは代謝産物〔モルヒネ-6-グルクロニド(M6G) *2、モルヒネ-3-グルクロニド(M3G) *3〕が多くなる。口内炎、嚥下障害、消化管閉塞、嘔気・嘔吐、せん妄などで投与継続が困難な場合は他の投与経路に変更する。 2 直腸内投与 投与は比較的簡便で、吸収も速やかであるが、投与に不快感を伴うため、長期的な使用は適さないことがある。直腸炎、下痢、肛門・直腸に創部が存在する場合、重度の血小板減少・白血球減少時は投与を避ける。人工肛門を造設している患者の場合、人工肛門からの投与は、その生体内利用率にばらつきがあると報告されており、長期的な使用は推奨されない。静脈叢が乏しいため吸収が悪く不安定で、薬剤が便と混じりやすく、排出の調節も困難なことなどが理由と考えられている。 3 経皮投与 72 時間作用が持続するフェンタニル貼付剤が使用されている。この製剤での効果の発現は貼付開始後12〜14 時間後であり、貼付中止後(剥離後)16 〜24 時間は鎮痛効果が持続するので、投与開始時間や中止時間に注意する。迅速な投与量の変更が難しいため、原則として疼痛コントロールの安定している場合に使用する。突出痛に対しては他の投与経路でのオピオイド投与が必要となる。貼付部位の皮膚の状態が悪い場合、発汗が多い場合は、吸収が安定しないため投与を避ける。また、貼付部位の温度上昇でフェンタニルの放出が増すため、発熱している患者や貼付部位の加温に注意する。 4 持続皮下注 侵襲が少なく安全で簡便な投与経路である。投与量の変更が迅速に行えるので、疼痛コントロールの不安定な場合や、急速な用量の調整を必要とする場合に良い適応となる。皮膚からの吸収の上限は一般的に1mL/hとされている。レスキュー・ドーズ*4として早送りした場合にも、痛みを生じない流量での使用を考慮する。 1 経口投与 3投与経路の変更 *1:肝初回通過効果経口投与した薬物は小腸で吸収され、肝臓を経て全身を循環するが、このとき肝臓に存在する多くの酵素によって薬物が代謝されること。内用剤は肝初回通過効果が大きい。 *2:モルヒネ-6-グルクロニド(M6G)モルヒネの代謝産物の一つ。強力な鎮痛作用を有する。脳移行性がモルヒネよりも低く、ゆっくりと血液脳関門を通過するために作用持続時間が長い。 *3:モルヒネ-3-グルクロニド(M3G)モルヒネが肝臓で代謝されて生じる産物の一つ。鎮痛活性はないが、神経毒性を有しているとの報告もある。 *4:レスキュー・ドーズ(臨時追加投与量)オピオイドが定期投与されている状態で、疼痛時に臨時に追加する、いわゆる「頓用薬」、「疼痛時薬」のこと。「レスキュー投与」とも訳されるが、本ガイドラインではレスキュー・ドーズとした。臨床現場では「レスキュー」と略されることも多い。
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II章背景知識 5 持続静注 確実・迅速な効果(最大効果は5 〜15 分)が得られる。他の経路では困難な大量のオピオイド投与も可能である。持続皮下注ができない場合(針の刺入部に膿瘍、発赤、硬結ができる)、凝固能の障害がある場合、すでに静脈ラインがある場合に適応となる。 6 筋肉内投与 吸収が不安定で、投与の際に痛みが強いため、使用しない。皮下投与、持続皮下注・持続静注を用いる。 4オピオイドローテーション [定 義] オピオイドローテーションとは、オピオイドの副作用により鎮痛効果を得るだけのオピオイドを投与できない時や、鎮痛効果が不十分な時に、投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更することをいう。オピオイドの投与経路の変更をオピオイドローテーションに含む場合があるが、本ガイドラインでは薬物の変更のみをオピオイドローテーションと定義する。[適 応] オピオイドローテーションを行う適応は、1副作用が強くオピオイドの投与の継続や増量が困難な場合2鎮痛効果が不十分な場合である。(1)副作用が強くオピオイドの増量・継続が困難な場合オピオイドローテーションにより、現在投与中のオピオイドやその代謝物により引き起こされている副作用(せん妄、眠気、幻覚、嘔気・嘔吐、便秘など)が改善することが知られている。高度な腎機能障害のある患者で、モルヒネを使用した場合、代謝産物であるM6G、M3G の排泄が低下して蓄積し副作用が出現しやすい可能性があり、オキシコドン、フェンタニルへの変更が有効な場合がある。(2)鎮痛効果が不十分な場合同じオピオイドを投与し続けた場合、耐性が生じて、一定量のオピオイドによって得られる鎮痛効果が減弱し、オピオイドを増量しても鎮痛効果が得られないことがある。オピオイドローテーションを行うと鎮痛効果が適切に発揮され、疼痛治療に必要なオピオイドの投与量も減らすことができる場合がある。これは、異なるオピオイド間では交差耐性が不完全*なためと考えられている。 2 オピオイドローテーションの実際 基本的な方法は以下に述べるとおりである。オピオイドローテーションは患者の状態によって細やかな調整が必要であるため、十分な経験をもたない場合は、緩和ケアチームなどの専門家に相談することが望ましい。1 換算するオピオイドの、計算上等力価となる換算量を求める。換算表(表3)に従い、現在の オピオイドと新しいオピオイドの1 日投与量を計算する。現在のオピオイドの投与が比較的大量である場合は、一度に変更せず数回に分けてオピオイドローテーションを行う。 1 オピオイドローテーション *:不完全な交差耐性オピオイド間では、交差耐性が不完全である。交差耐性というのはある生物が、1種類の薬物に対して耐性を獲得すると同時に、同じような構造をもつ別の種類の薬剤に対する耐性も獲得してしまうことをいう。異なるオピオイド間ではこの交差耐性が不完全であるため、使用していた1種類のオピオイドに対してある患者が耐性を獲得し、鎮痛効果が低下した場合でも、オピオイドの種類を変更することによって、鎮痛効果の回復を期待できると考えられる。そのため、オピオイドローテーションでは新たなオピオイドが、計算上等力価となる換算量よりも少量で有効なことがある。一方、過量投与となったり、すでに耐性ができていた眠気などの副作用が再出現することもある。
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2 患者の状態に合わせて、目標とする換算量を設定する。 計算上の換算量は「目安」であり、オピオイド間の不完全な交差耐性や、薬物に対する反応の個体差が大きいことから、実際には換算表どおりにならないことを考慮し、患者個人に合わせた投与量へ調整することが重要である。一般的に、疼痛コントロールは良好だが、副作用のためにオピオイドローテーションを行う場合は、前述の不完全な交差耐性の存在により、計算上等力価となる量よりも少ない量で鎮痛が維持できる場合があるので注意を要する。また、患者の状態が重い、高齢である場合も、少量からの変更が望ましい。3 鎮痛効果の発現時間、最大効果の時間、持続時間を考慮して、新しいオピオイドの投与開始 時間、投与間隔を決定する。痛みの増強の可能性も考慮して、レスキュー・ドーズの指示を行う。4 オピオイドローテーション後の患者の痛みの増減、副作用の増減を注意深く観察し、最適な 投与量を決定する。[注 意] • オキシコドン、フェンタニルからモルヒネに変更する場合、腎機能障害のある患者では副作用 を生じる場合があるため、少量を投与して十分に観察する。• モルヒネからフェンタニルへの変更では腸蠕動の亢進が起こることが多いため、緩下薬の減 量などが必要なことがある。 5換算表 換算比に関しては多くの報告がなされており、その数値にはばらつきがある。また、多くの報告は痛みの安定している患者での対モルヒネでの単回投与の結果に基づいた換算となっている。実際の診療では、痛みの不安定な患者での変更が多く、換算表のみに頼った変更はするべきではない。換算表を目安に決定した変更後の投与量から、個々の患者の痛み、副作用を観察したうえできめ細かい調節をすることが必要である。本ガイドラインでは標準的な換算の目安として、ガイドラインなどの換算表をもとに検討し、使用しやすいと思われる数値を示すこととした(表3)。 ※ フェンタニル貼付剤については添付文書の換算表を参照。12.5μg/hに相当する。 (工藤尚子、的場元弘) 【参考文献】 1) National Comprehensive Cancer Network(Version 1. 2009): NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Adult cancer pain. 2) Hanks GW, de Conno F, Cherny N, et al. Morphine and alternative opioids in cancer pain; the EAPC recommendations. Br J Cancer 2001; 84: 587-93 3) Fine PG, Portenoy RK. Establishing“best practices” for opioid rotation: conclusions of an expert panel. J Pain Symptom Manage. 2009; 30: 418-25 表3 換算表 投与経路静脈内投与・皮下投与経口投与直腸内投与経皮投与モルヒネ10 ~15mg 30mg 20mgコデイン200mgオキシコドン15mg 20mgフェンタニル0.2 ~0.3mg ※モルヒネ経口30mgを基準とした場合に、計算上等力価となるオピオイドの換算量を示す。
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II章背景知識 1)モルヒネ[作用機序] 代表的なオピオイドであるモルヒネは、μオピオイド受容体に対する選択性が比較的高く(δ、κオピオイド受容体よりも数倍〜数十倍)、その作用のほとんどがμオピオイド受容体を介して発現する。[吸収・代謝・排泄] 経口投与されたモルヒネは、胃腸管から吸収される。速放性経口製剤は、約0.5 〜1.3 時間で最高血中濃度に到達する。また、徐放性経口製剤は、約1.9 〜7.3時間で最高血中濃度に到達する。吸収されたモルヒネは肝初回通過効果により代謝され、生体内利用率*1は19 〜47%(平均25%)である。全身循環に到達したモルヒネは、グルクロン酸抱合により、約44〜55%がモルヒネ-3-グルクロニド(M3G)に、約9 〜10%がモルヒネ-6-グルクロニド(M6G)に代謝され、8〜10%が未変化体(モルヒネ)として尿中から排泄される。M6GおよびM3Gは、ほとんど腎臓から排泄される(表5)。[特 徴] モルヒネは、多くのがん疼痛緩和ガイドラインにおいて、豊富な使用経験などから第一選択薬として推奨されている。また、経口や静脈内、直腸内、皮下、硬膜外、くも膜下腔内へ投与できる。モルヒネの代謝物であるM6Gは強力な鎮痛作用を有しており、また、脳移行性がモルヒネよりも低く、ゆっくりと血液脳関門を通過するために、作用持続時間が長い。一方、もう一つの代謝物であるM3Gは、オピオイド受容体に対してほとんど親和性をもたず、鎮痛作用は示さないが、がん疼痛患者へモルヒネを大量投与した際に認められる痛覚過敏*2やアロディニア*3 の発現に関与している可能性が示唆されている。主な副作用として、嘔気・嘔吐、便秘および眠気がある。 2)フェンタニル[作用機序] フェンタニルは、フェニルピペリジン関連の合成オピオイドであり、麻酔補助薬として使用されてきた。μオピオイド受容体に対する選択性が非常に高く、完全作動薬として作用する。フェンタニルの鎮痛効果は、モルヒネと類似しており、静脈内投与した場合、フェンタニルの鎮痛作用はモルヒネの約50 〜100 倍である。[吸収・代謝・排泄] 経皮吸収型製剤(フェンタニル貼付剤)の生体内利用率は計算上57〜146%(平均92%)である。初回貼付後1〜2 時間で血中にフェンタニルは検出され、17〜48時間で最高血中濃度に到達する。貼付2 回目以降に定常状態に到達する。フェンタニルはほとんど肝臓で代謝され、主にチトクロムP450*4 のCYP3A4により、ノルフェンタニルに代謝される。ノルフェンタニルは非活性代謝物である。フェンタニルは脂溶性が高く、血液脳関門を速やかに移行する(表5)。[特 徴] フェンタニルは、経皮、静脈内、皮下、硬膜外、くも膜下腔内へ投与することができる。静脈内投与したフェンタニルが最大鎮痛効果に達する時間は約5 分とモルヒネや他のオピオイドと比較して速効性がある。脂溶性が高く比較的分子量が小さいため、皮膚吸収が良好であり、貼付剤としても使用されている。副作用として、モルヒネと同様に、嘔気・嘔吐があるが、便秘および眠気は比較的弱い。 3)オキシコドン[作用機序] オキシコドンは、半合成テバイン誘導体であり、強オピオイドに分類される。そ 1 麻薬性鎮痛薬 6各オピオイドの薬理学的特徴(表4) *1:生体内利用率投与した薬物の何%が生体内(血中)に取り込まれ、無駄なく活用されるかという薬物の利用率(吸収率)。生物学的利用率、バイオアベイラビリティ(bioavailability)ともいう。 *2:痛覚過敏(hyperalgesia)痛覚に対する感受性が亢進した状態。通常では痛みを感じない程度の痛みの刺激に対して痛みを感じること。(参考)痛覚鈍麻(hypoalgesia)痛覚に対する感受性が低下した状態。通常では痛みを生じる刺激に対して痛みを感じない・感じにくいこと。 *3:アロディニア(allodynia)通常では痛みを起こさない刺激(「触る」など)によって引き起こされる痛み。異痛(症)と訳される場合があるが、本ガイドラインでは、アロディニアと表現した。 *4:チトクロムP450ほとんどすべての生物に存在する酸化酵素。ヒトでは現在約50 種が報告され、CYP3A4、CYP2A6(CYP =cytochrome)などがある。肝臓に多く存在し、薬物代謝の主要な酵素。
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の薬理作用は主にμオピオイド受容体を介して発現する。[吸収・代謝・排泄] 速放性経口製剤は約1.7〜1.9 時間で最高血中濃度に到達する。また、徐放性経口製剤は約4.0 時間で最高血中濃度に到達する。経口オキシコドンの生体内利用率は約60%(50 〜87%)である。チトクロムP450 のCYP2D6 およびCYP3A4により、ノルオキシコドンおよびオキシモルフォンに代謝される。ノルオキシコドンは、主代謝物であるが、非活性代謝物である。また、オキシモルフォンは鎮痛活性を示すが、そのAUC*〔薬物血中濃度(時間)曲線下面積〕は、オキシコドンAUCの約1.4%とごく微量である。オキシコドンはほとんど肝臓で代謝されるが、約5.5 〜19%が未変化体として尿中から排泄される(表5)。[特 徴] オキシコドンは、経口、静脈内および皮下へ投与することができる。また、静脈内投与におけるモルヒネとオキシコドンの鎮痛力価の比は約2:3である。経口投与時は、オキシコドンの生体内利用率がモルヒネの約2倍であるため、モルヒネとオキシコドンの鎮痛力価の比は約3:2となる。主な副作用として、嘔気・嘔吐、便秘および眠気があり、モルヒネとほぼ同等である。 4)コデイン[作用機序] コデインのオピオイド受容体に対する親和性は低く、その鎮痛効果はコデインの一部がO- 脱メチル化されたモルヒネによるものである。[吸収・代謝・排泄] 経口製剤は肝初回通過効果が少なく、約0.8 時間で最高血中濃度に到達する。コデインのオピオイド受容体への親和性は低いが、コデインが肝臓で代謝されると、約10%がチトクロムP450 のCYP2D6によりモルヒネとなり、鎮痛効果をもたらす。白人の約3.2〜10%、日本人の約0.7%はCYP2D6 活性が低く(poor metabolizers)、モルヒネがほとんど生成されないため、コデインの鎮痛効果は発揮されにくい(表5)。[特 徴] コデインは鎮咳作用を有し、これはコデインそのものの作用である。WHO の分類では弱オピオイドに分類され、中等度までの痛みの治療に使用され、モルヒネの1/6 〜1/10の鎮痛作用を有している。副作用として、主に嘔気・嘔吐、便秘および眠気がある。 5)トラマドール[作用機序] トラマドールはコデイン類似の合成化合物であり、その鎮痛効果は、μオピオイド受容体に対する弱い親和性とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用をあわせもつことで発揮されると考えられている。トラマドールの代謝物であるモノ-O-脱メチル体は、μオピオイド受容体に対して未変化体よりも高い親和性を有するため、トラマドールの鎮痛作用の一部に寄与すると考えられている。[吸収・代謝・排泄] トラマドール経口剤の生体内利用率は約75%であり、中枢移行性も良好である。主に肝臓チトクロムP450のCYP2D6 およびCYP3A4で代謝され、O-デスメチルトラマドールおよびN-デスメチルトラマドールに変換され、腎よりトラマドールとして約30%、代謝物として約60%が排泄される。O-デスメチルトラマドールは、μオピオイド受容体に作用しトラマドールの数倍の鎮痛効果を発揮する(表5)。[特 徴] トラマドールは、WHO方式がん疼痛治療法の第二段階薬群に分類されている。作用発現時間および持続時間はモルヒネと同程度である。トラマドールはその作用機序から神経障害性疼痛に効果的であることが報告されている。便秘、嘔気・嘔吐の発生頻度は低い。けいれん発作を引き起こすことがある。 *:AUC(area under the drug concentration time curve)薬物血中濃度(時間)曲線下面積。薬物血中濃度を経時的に表した曲線グラフと時間軸(横軸)に囲まれた部分の面積。血中に取り込まれた薬の量(吸収率)の指標として用いる。
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II章背景知識 2 麻薬拮抗性鎮痛薬 オピオイド作動薬が存在しない状況では作動薬として作用するが、オピオイド作動薬の存在下ではその作用に拮抗する作用をもつ鎮痛薬。 1)ペンタゾシン[作用機序] ペンタゾシンはκオピオイド受容体に対して作動薬として作用し、μオピオイド受容体に対しては拮抗薬*1もしくは部分作動薬*2として作用する。ペンタゾシンは鎮痛、鎮静、呼吸抑制を含めモルヒネなどのオピオイドとほぼ類似する作用を示す。その鎮痛作用は主にκオピオイド受容体を介して発現するが、一部μオピオイド受容体も介している。また、鎮痛作用の天井効果*3を有する。[吸収・代謝・排泄] 経口製剤は約2.0 時間で最高血中濃度に到達する。未変化体で腎より排泄されるペンタゾシンは5 〜8%であるため、ほとんど肝臓で代謝され、主な代謝経路はグルクロン酸との抱合である。代謝物には活性は存在しない(表5)。[特 徴] モルヒネを長期間投与されている患者に対して、ペンタゾシンを投与するとμオピオイド受容体拮抗作用により離脱症候*4や鎮痛効果低下を引き起こす可能性がある。嘔吐*1:拮抗薬受容体に作用して、他の生体内物質などが受容体に結合することを妨げる薬物。拮抗薬自体は受容体を活性化する作用をもたず、生体応答を起こさない。遮断薬、アンタゴニストともいう。 *2:部分作動薬受容体と結合して、受容体を活性状態にする薬剤を作動薬(アゴニスト)といい、このうち受容体に結合するが、100%の活性化を引き起こさない薬。 *4:離脱症候/離脱症候群臨床では薬物の突然の休薬による身体症状を離脱症候群(withdrawal syndrome)と表現することが一般的である。退薬症状、退薬徴候ともいわれるが、本ガイドラインにおいては、ガイドラインを使用する医療従事者の混乱を避けるため、本文を通して離脱症候/ 離脱症候群に統一して使用する。 *3:天井効果(ceiling effect)ある程度の量以上、投与量を増やしても鎮痛効果が頭打ちになること。有効限界ともいう。 表4 各オピオイドのオピオイド受容体タイプに対する結合親和性(結合しやすさ) オピオイドμ受容体δ受容体κ受容体モルヒネ+++ +フェンタニル+++オキシコドン+++コデイン+トラマドール+※ペンタゾシン++(P) + ++ブプレノルフィン+++(P) ++(P) +++(P) (P)部分作動薬であることを示す※トラマドール自体に結合親和性はなく、代謝物が部分作動薬として作用する 表5 オピオイドの代謝 オピオイド主な代謝 部位未変化体尿中排泄率(腎排泄率)物質としての 半減期主な代謝経路代謝物(鎮痛活性の有無) モルヒネ肝臓約8 ~10%約2~4時間グルクロン酸抱合M6G(有) グルクロン酸抱合M3G※ フェンタニル肝臓約10%約4時間CYP3A4ノルフェンタニル(無) オキシコドン肝臓約5.5 ~19%約3.5~4時間CYP3A4ノルオキシコドン(無) CYP2D6オキシモルフォン(有) コデイン肝臓約3 ~16%約2.5~3.5時間CYP2D6モルヒネ(有)トラマドール肝臓約30%約6時間CYP2D6 O-デスメチルトラマドール (有) ペンタゾシン肝臓約5 ~8%約2~3時間グルクロン酸抱合ペンタゾシングルクロニド (無) ブプレノルフィン肝臓約1%約2時間CYP3A4ノルブプレノルフィン (有:弱い) ※鎮痛活性はないが神経毒性を有しているとの報告もある
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はモルヒネほどはみられないが、不安、幻覚などの精神症状が発現することがある。 2)ブプレノルフィン[作用機序] ブプレノルフィンはμオピオイド受容体に対して作動薬として作用し、κオピオイド受容体に対しては拮抗作用を示す。モルヒネより25 〜50 倍強い効力をもち、モルヒネと類似する作用を示すが、天井効果を有する。ブプレノルフィンは、オピオイド受容体に対して親和性が高く、かつ高い脂溶性をもつため、受容体からの解離が緩やかであり、長時間の作用(約6 〜9 時間)を示す。[吸収・代謝・排泄] 坐剤は約1.0 〜2.0 時間で最高血中濃度に到達する。ブプレノルフィンは主に肝臓で代謝され、チトクロムP450 のCYP3A4によりノルブプレノルフィンに代謝される(表5)。[特 徴] ブプレノルフィンは直腸内、静脈内、皮下へ投与することができる。注射において2mg/日で天井効果がみられるため、強オピオイドに変更する必要がある。ブプレノルフィンは、μオピオイド受容体に対する親和性がモルヒネよりも強いため、大量にモルヒネを投与している患者にブプレノルフィンを投与すると、μオピオイド受容体に結合できるモルヒネと競合するために、総合的に鎮痛効果が弱まる可能性がある。主な副作用として、嘔気・嘔吐、便秘および眠気がある。 モルヒネは、肝臓で主にグルクロン酸抱合され、M3GとM6Gに変換される。M6Gは、鎮痛および鎮静作用を示すことが知られている。M3GおよびM6Gはほとんど腎から排泄されるため、腎機能障害患者にモルヒネを使用するとM3GおよびM6Gが蓄積し、鎮静などの副作用への対処が困難になる。そのため、腎機能障害患者にはモルヒネを使用しないほうが望ましい。使用する際は減量あるいは投与間隔を延長する。特に、高度な腎機能障害を有する患者では、モルヒネを使用すべきではない。同様にコデインは10%程度がモルヒネに変換され、さらにM3GおよびM6Gに変換されるため、腎機能障害患者にコデインを使用しないことが望ましい。使用する際は減量あるいは投与間隔を延長する。オキシコドンは、肝臓で代謝され主にノルオキシコドンおよびオキシモルフォンに変換される。オキシモルフォンは鎮痛活性を有するがごく少量しか生成されない。また、使用する際は十分に注意して慎重な観察が必要である。フェンタニルは、肝臓で主に非活性代謝物であるノルフェンタニルに変換される。臨床経験から比較的安全に腎機能障害患者に使用できるが、血中濃度が上昇するため減量して使用する。長期間に及ぶ際は効果および副作用を注意深く観察する必要がある。 2 透 析 モルヒネおよびその代謝物であるM3G、M6Gは、血液透析時に血液中から一部除去されるが、血液透析後に中枢神経系と血漿との間で再び平衡状態となる。そのため、非透析時にはM3GおよびM6Gが蓄積する。また、血液透析による一時的な血中濃度低下により、透析中あるいは透析後にオピオイドの追加投与が必要になる可能性がある。したがって、透析患 1 腎機能障害 7特殊な病態でのオピオイドの選択
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II章背景知識 *2:ドパミン脳内に存在する神経伝達物質の一つで、快の感情、運動調節、ホルモン調節、学習などにかかわる。アドレナリン・ノルアドレナリンの前駆体。 *3:ドパミンD2受容体現在、5つが知られているドパミンの受容体の一つ。脳内の嘔吐中枢や、胃腸の運動をコントロールする神経(副交感神経)に存在する。単にD2受容体とも呼ばれる。 *1:蛋白結合率血漿蛋白と結合している薬物を結合型薬物、結合していない薬物を遊離型薬物という。蛋白結合率とは総薬物量に対する結合型の割合のこと。結合型は生体膜を通過できないため、薬効は遊離型の総量により左右される。 者にはモルヒネを使用しないほうが望ましい。同様にコデインは前述の理由で、透析患者にコデインを使用しないほうが望ましいが、使用する際は減量あるいは投与間隔を延長する。オキシコドンは血液透析時のデータがない。使用する場合は減量あるいは投与間隔を延長する必要がある。また、モルヒネ同様に蛋白結合率が低いため血液中から一部除去され、一時的な血中濃度低下により、透析中あるいは透析後にオピオイドの追加投与が必要になる可能性がある。フェンタニルは、投与量の調節なしに比較的安全に透析患者に使用できる。蛋白結合率*1が高く透析膜に吸着することがあるため、疼痛の緩和が困難になる場合はオピオイドローテーションを検討する。また、長期間に及ぶ際は注意深く患者を観察する必要がある。 3 肝機能障害 モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、コデインはほとんど肝臓で代謝されるため、肝障害時には代謝能が減少する。したがって、肝機能障害時には投与量の減量あるいは投与間隔を延長して、薬物の蓄積を防止する必要がある。 (国分秀也) 【参考文献】 1) Dean M. Opioids in renal failure and dialysis patients. J Pain Symtom Manage 2004; 28: 497-504 2) Murtagh FE, Chai MO, Donohoe P, et al. The use of opioid analgesia in end-stage renal disease patients managed without dialysis: recommendations for practice. J Pain Palliat Care Pharmacother 2007; 21: 5-16 モルヒネをはじめとするオピオイドによる消化器系の主要な副作用は、嘔気・嘔吐と便秘である。 1 嘔気・嘔吐 ◦嘔気・嘔吐は、オピオイドがCTZに豊富に発現しているμ受容体を刺激することにより起 こる。活性化されたμ受容体がこの部位でのドパミン*2 遊離を引き起こし、ドパミンD2受容体*3が活性化され、その結果嘔吐中枢(vomiting center;VC)が刺激されることによる。また、前庭器に発現しているμ受容体を刺激することによりヒスタミン遊離が起き、遊離されたヒスタミンがCTZおよびVCを刺激することでも起こる。さらには、消化管において、消化管蠕動運動が抑制され胃内容物の停滞が起こることにより、求心性にシグナルが伝わりCTZおよびVCが刺激されることでも起こる(図2)。 8オピオイドによる副作用と対策−消化器系の副作用と対策
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◦嘔気・嘔吐はオピオイドの投与初期にしばしばみられる副作用である。◦通常はオピオイド投与初期、あるいは増量時に起こることが多く、数日以内に耐性*1を生 じ、症状が治まってくることが多い。◦患者にとって嘔気・嘔吐は最も不快な症状の一つであり、服薬アドヒアランス*2を損なうこ とにつながることも多いため、積極的な対策が必要である。[対 策] (表6) (副作用対策はP150,III-2-1嘔気・嘔吐の項参照) ◦オピオイドによるCTZ 部位でのμ受容体刺激はドパミン遊離を促し、ドパミンD2 受容体 を介して嘔吐中枢を刺激するため、抗ドパミン作用をもつ薬物(ハロペリドール、プロクロルペラジンなど)が制吐に用いられる。ヒスタミン遊離を介しても嘔気・嘔吐を起こすため、嘔気・嘔吐が体動時にふらつき感を伴って起こる場合には、抗ヒスタミン薬の投与を行う。胃内容物貯留・腸管運動抑制が原因となって嘔気・嘔吐が起こる場合には、消化管運動亢進作用をもつメトクロプラミド、ドンペリドンなどを投与する。◦オピオイドローテーションを行うことでも軽快することがある。オピオイド内用剤から注射 剤に投与経路を変えることでも軽快することがある。◦標準的制吐治療が無効の場合は、非定型抗精神病薬*3(オランザピン、リスペリドンなど) の投与で軽快することがある。 2 便 秘 ◦便秘はオピオイドを投与された患者に高頻度に起こり、耐性形成はほとんど起こらないため 下剤を継続的に投与するなどの対策が必要になる。◦オピオイドは、各種臓器からの消化酵素の分泌を抑制し、消化管の蠕動運動も抑制するた め、食物消化が遅滞し、腸管での食物通過時間は延長する。さらに食物が大腸で長時間とどまるなかで、水分吸収は一段と進むため便は固くなる結果、便秘が起こる。また、肛門括約筋の緊張も高まるため、排便しにくい状況となる。[対 策] (表7) (副作用対策はP158,III-2-2 便秘の項参照) ◦オピオイド処方時には便秘が高頻度に認められることを想定し、オピオイド処方時には下剤 を投与するなどの予防的対応が必要となる。◦患者の便の形状、排便回数、食事の状態などをきめ細かくチェックしながら、個人に合った *1:耐性初期に投与されていた薬物の用量で得られていた薬理学的効果が時間経過とともに減退し、同じ効果を得るためにより多くの用量が必要になる、身体の薬物に対する生理的順応状態である。P58参照。 *2:アドヒアランス患者が主体となって治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること。従来使われてきたコンプライアンス(遵守)よりも医療の主体を患者側に置いた考え方。 *3:非定型抗精神病薬1980 年代後半より導入された新規抗精神病薬。従来の抗精神病薬と比較して、ドパミンD2受容体以外の神経伝達物質受容体に対しても選択的に作用し、錐体外路症状を中心とした中枢神経に対する副作用が少ない。(参考)定型抗精神病薬ドパミンD2受容体に対して高い親和性をもつ拮抗薬であり、ハロペリドールやクロルプロマジンなどに代表される抗精神病薬。図2 オピオイドによる嘔吐の機序CTZ VC 抗ヒスタミン薬 胃腸 消化管 消化管運動改善薬延髄 第四脳室 大脳 大脳皮質(感情;暗示・連想・情動) 嘔吐 オピオイド 前庭器(運動) ドパミン受容体拮抗薬
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II章背景知識 下剤の投与を行う。◦下剤として、便をやわらかくする浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース)、腸蠕動運 動を促進させる大腸刺激性下剤(ピコスルファート、センノシド)が有効である。◦症状改善には、可能なら水分摂取、運動、食物繊維の摂取も有用である。◦状態に応じて浣腸や摘便なども行う。◦オピオイド製剤をモルヒネやオキシコドンからフェンタニル製剤に変更することで軽快する ことがある。 (北條美能留、上園保仁) ※トラベルミンRとして 表6 オピオイドによる嘔気・嘔吐の予防と治療薬一覧 主な作用部位薬剤名剤 形1回投与量 CTZ (ドパミン受容体拮抗薬)プロクロルペラジン錠5mg 注5mg ハロペリドール錠0.75mg 注2.5 ~10mg クロルプロマジン錠12.5mg 注5mg 前庭器(抗ヒスタミン薬)ジフェンヒドラミン/ジプロフィリン錠40mg/26mg ※ 注2.5 ~5mg マレイン酸クロルフェニラミン錠2mg 注5mg 消化管(消化管運動亢進薬)メトクロプラミド錠5 ~10mg 注10mg ドンペリドン錠5 ~10mg 坐剤60mg CTZ・VCなど(非定型抗精神病薬)オランザピン錠2.5mg リスペリドン錠0.5mg 液0.5mg 表7 オピオイドの副作用による便秘の治療薬一覧 分 類薬剤名1日用法・用量 浸透圧性下剤塩類下剤酸化マグネシウム1,000~2,000mg(分2~3回) 糖類下剤ラクツロース10~60mL(分2~3回) 大腸刺激性下剤センナ1~3g(分2~3回) センノシド12~48mg(就寝前または起床時と就寝前)ピコスルファートナトリウム5~30滴/2~6錠(分2~3回)ビサコジル1日1~2回(頓用) その他浣腸グリセリン10 ~150mL/回
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9オピオイドによる副作用と対策−その他の副作用と対策 1 眠 気 ◦オピオイドによる眠気は投与開始初期や増量時に出現することが多いが、耐性が速やかに 生じ、数日以内に自然に軽減ないし消失することが多い。◦相互作用を含む他の薬物、感染症、肝・腎機能障害、中枢神経系の病変、高カルシウム血 症など、他の原因を除外する必要がある。◦モルヒネの場合は腎機能低下によるM6G の蓄積が原因となることがある。[対 策] ◦痛みがなく強度の眠気がある場合は、オピオイドを減量する。眠気のためにオピオイドの 増量が困難な場合は、オピオイドローテーションを検討する。 2 せん妄・幻覚 ◦がん患者においては、さまざまな要因でせん妄*1などの認知機能障害が出現するといわれ ており、原因を鑑別する必要がある。◦オピオイドによる幻覚、せん妄は投与開始初期や増量時に出現することが多い。◦オピオイド以外の原因薬剤としてベンゾジアゼピン系抗不安薬、抗コリン薬*2などには特に 注意が必要である。◦オピオイドを含む薬剤性のせん妄は、原因薬剤の投与中止により数日から1 週間で改善す る場合が多い。◦非薬剤性の要因として、電解質異常、中枢神経系の病変、感染症、肝・腎機能障害、低酸素 症などが関与していることがある。[対 策] ◦オピオイドが原因薬剤である可能性が疑われる場合は、オピオイドの減量やオピオイドロー テーションを検討する。◦薬物療法としてブチロフェノン系抗精神病薬*3(ハロペリドールなど)、非定型抗精神病薬(クエチアピン)の投与を検討する。◦せん妄を生じている患者が安心できる環境の調整を行う。 3 呼吸抑制 ◦オピオイドによる呼吸抑制は、用量依存的な延髄の呼吸中枢への直接の作用によるもので、 二酸化炭素に対する呼吸中枢の反応が低下し、呼吸回数の減少が認められる。◦一般的にはがん疼痛の治療を目的としてオピオイドを適切に投与する限り、呼吸数は低下し ないか、または呼吸数が低下しても1回換気量が増加するので低酸素血症になることはまれである。ただし、急速静注などの投与法で血中濃度を急激に上昇させた場合や疼痛治療に必要な量を大きく上回る過量投与を行った場合には起こりうる副作用である。したがって、過量投与とならないように、効果と副作用を確認しながら増量を行う必要がある。またモルヒネ投与中、急激に腎機能が低下すると、M6G の蓄積により呼吸抑制を生じる可能性がある。◦痛みそのものがオピオイドの呼吸抑制と拮抗するとされており、外科治療や神経ブロックな どにより痛みが大幅に減少あるいは消失した場合には、相対的にオピオイドの過量投与の状態が生じ、呼吸抑制が発現する場合がある。 *1:せん妄周囲を認識する意識の清明度が低下し、記憶力、見当識障害、言語能力の障害などの認知機能障害が起こる状態。通常、数時間から数日の短期間に発現し、日内変動が大きい。 *2:抗コリン薬アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合するのを阻害する薬剤で、副交感神経を抑制する。作用が強い薬剤ではせん妄や幻覚などが現れやすい。 *3:ブチロフェノン系抗精神病薬強力なドパミンD2受容体阻害作用をもつ、定型抗精神病薬の一系列。代表的な薬剤としてハロペリドールなど。
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II章背景知識 ◦呼吸抑制が生じる前には眠気を生じるため、眠気を観察し、眠気が生じた段階で鎮痛手段 の見直しと評価を行うことが重要である。[対 策] ◦酸素投与、患者の覚醒と呼吸を促す。◦重篤な場合には、薬物療法としてオピオイド拮抗薬であるナロキソンを使用する。ナロキソ ンはオピオイドに比べ半減期が短く、作用持続時間は約30 分である。そのため、症状の再燃にあわせて30 〜60 分毎に複数回投与する必要がある。ナロキソンにより痛みの悪化、興奮、せん妄を生じることがあるため、少量ずつ(1回量として0.04〜0.08mg)使用する。 4 口内乾燥 ◦オピオイドは、用量依存的に外分泌腺における分泌を抑制する。◦進行がん患者の口内乾燥の発生頻度は30 〜97%とされる。その背景として、1唾液分泌 の減少(頭頸部への放射線照射、三環系抗うつ薬、抗コリン薬など)、2口腔粘膜の障害(化学療法や放射線治療による口内炎、口腔カンジダ症)、3脱水などが考えられる。[対 策] ◦可能であれば投与量の減量、口内乾燥を生じる薬物の変更を行う。◦頻回に水分や氷を摂取する、部屋を加湿するなど水分と湿度の補給を行い、人工唾液や口 腔内保湿剤を使用する。◦唾液分泌能が残っている場合、キシリトールガムを噛むなど、唾液腺の分泌促進を試みる。 5 瘙痒感 ◦オピオイドの硬膜外投与やくも膜下投与では、他の投与経路に比して瘙痒感が高率に認め られる。この反応では脊髄後角のオピオイド受容体を介した機序が考えられている。[対 策] ◦第一世代の抗ヒスタミン薬の投与が一般的に行われているが、無効であることが多い。◦オンダンセトロンなど5-HT3受容体拮抗薬が有効な場合がある。◦外用剤としては亜鉛華軟膏、サリチル酸軟膏や0.25 〜2%のメントールの混合製剤が有用 とされている。◦擦過による皮膚障害が強い場合は、弱〜中等度のコルチコステロイド外用剤の使用も考慮 する。強コルチコステロイド外用剤の長期投与は、皮膚の萎縮や二次感染を生じることがあるため、短期の使用にとどめるべきである。◦二次的な感染を最小限にするために、爪を短く切った手で軽くこする、手袋を着用するなど、 日常行動の教育も重要である。◦症状の改善がみられない場合はオピオイドローテーションを検討する。 6 排尿障害 ◦オピオイドの投与により尿管の緊張や収縮を増加させることがある。◦オピオイドは排尿反射を抑制し、外尿道括約筋の収縮および膀胱容量をともに増加させる。◦排尿障害は高齢の男性に多く認められ、前立腺肥大症の患者では尿閉に至る場合もあり 注意が必要である。[対 策] ◦薬物療法として排尿筋の収縮を高めるコリン作動薬や、括約筋を弛緩させるα1受容体遮
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断薬*1の投与が行われることがある。 7 ミオクローヌス ◦オピオイド投与時にミオクローヌス*2 が発現することがある。◦ミオクローヌスとは、1つあるいは複数の筋肉が短時間であるが不随意に収縮するものであ る(四肢がピクッとするなど)。◦モルヒネの場合、神経毒性のある代謝物の蓄積が要因の一つと考えられている。[対 策] ◦薬物療法としてはクロナゼパム、ミダゾラムなどが有効な場合がある。◦オピオイドローテーションを検討する。 8 痛覚過敏(hyperalgesia) ◦痛覚過敏(hyperalgesia)とは、通常痛みを感じる刺激によって誘発される反応が、通常よ りも強くなった状態のことをいう(P16,II-1-1 3神経障害性疼痛の項参照)。◦大量のオピオイドを硬膜外投与することにより、まれに生じることがあるといわれている。◦原因として、オピオイド代謝物などの関与が考えられている。◦オピオイドが原因の痛覚過敏の状態ではオピオイドを増量すると痛みが悪化する。◦オピオイドの増量に伴い急激に痛みが増強する場合は痛覚過敏の可能性を考慮する。[対 策] ◦オピオイドの減量または中止、オピオイド以外の鎮痛薬、オピオイドローテーションを検討 する。 (岡本禎晃、小宮幸子、加賀谷肇) 10 オピオイドの与える影響/薬物相互作用 1 薬物相互作用とは 薬物相互作用(以下、相互作用)とは、ある種の薬物の効果が他の薬物を併用することによって大きく変化することをいう。このような相互作用によって薬物の効果が毒性領域にまで増強されることがあり、一方では、薬物の効果が相殺されて治療効果が減弱してしまうこともある。薬物に対して予想外の反応が起こった場合は、常に相互作用を疑ってみるべきである。相互作用の発生機序を解明すれば、発現を予測することが可能となる。相互作用は、薬物動態学的相互作用と薬動力学的相互作用の2 種類に分類できる。[薬物動態学的相互作用 pharmacokinetic drug interaction] 薬物Aが薬物Bの吸収、分布、代謝、排泄に影響を与える結果、作用部位での薬物Bの濃度が変化し、その効果が増強または減弱するような場合をいう。[薬動力学的相互作用 pharmacodynamic drug interaction] 薬物Aと薬物Bが作用部位で協力あるいは拮抗する場合をいう。協力作用には相加作用(効果が各薬物の効果の和)と相乗作用(効果が各薬物の効果の和以上)がある。 2 オピオイド使用時に注意すべき相互作用(表8) オピオイドは、中枢神経抑制薬(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体、ベンゾジア *1:α1受容体遮断薬3つに分類されるアドレナリン受容体(α1、α2、β)のうち、α1受容体のみに遮断作用を示す薬剤。α1受容体は主に血管・尿路などの平滑筋に存在する。高血圧・排尿障害などが主な適応症である。 *2:ミオクローヌス不随意運動の一種。1つあるいは複数の筋肉が同時に素早く収縮する。全身あるいは特定の部位にだけに起こる場合がある。
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II章背景知識 ゼピン系薬剤など)、吸入麻酔薬、MAO阻害薬、三環系抗うつ薬、β遮断薬、アルコール、抗ヒスタミン薬との併用において相加的に中枢神経抑制作用を増強させるため、併用時は呼吸抑制、めまい、低血圧および鎮静が起こることがある。一方で、中枢神経抑制薬とオピオイドを併用している患者でオピオイドを中止する場合、中枢神経抑制作用が減弱する可能性がある。また、モルヒネおよびオキシコドンなどは抗コリン作用を有するため、抗コリン作用を有する薬物と併用することにより麻痺性イレウスに至る重篤な便秘または尿閉、せん妄などが起こることがあるため注意が必要である。その他、オピオイドは、麻薬拮抗性鎮痛薬*であるブプレノルフィンやペンタゾシンと併用するとオピオイド受容体への結合が阻害され、鎮痛作用の減弱や離脱症候が発現する可能性があるため、原則として両者を併用すべきでない。いずれもオピオイド間の薬動力学的相互作用によるものと考えられている。 キニジンは、吸収過程における薬物相互作用によりモルヒネ経口剤の薬物血中濃度(時間)曲線下面積(area under the drug concentration time curve;AUC)と最高血中濃度(maximum drug concentration;Cmax)を上昇させる。また、シメチジン、メトトレキサートおよびシスプラチンはグルクロン酸抱合を抑制するため、グルクロン酸抱合を受けて代謝されるモルヒネの作用を増強する。一方、リファンピシンはグルクロン酸抱合を亢進させるため、モルヒネの作用を減弱させる(いずれも代謝過程における薬物動態学的相互作用による)。そのため、これらの薬物とモルヒネを併用する場合は、モルヒネの鎮痛効果を十分に観察する必要がある。オキシコドンは、CYP2D6阻害薬と併用した場合O- 脱メチル化反応が阻害され、その結果オキシコドンの血中濃度が高まる可能性がある。例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害薬の多くはCYP2D6阻害薬であるため、代謝過程における薬物動態学的相互作用によりオキシコドンの効果が強まる可能性がある。ボリコナゾールなどのCYP3A4 阻害薬もまた、併用した場合N- 脱メチル化反応を阻害するため、オキシコドンの血中濃度が上昇する可能性がある。また、リファンピシンはオキシコドンのクリアランスを増加させ血中濃度を低下させ 3 特にモルヒネ/オキシコドン/フェンタニル使用時に注意すべき相互作用*:麻薬拮抗性鎮痛薬単独ではオピオイド受容体に作動薬として作用するが、他のオピオイドとの併用によっては拮抗作用を示す薬物。 表8 主なオピオイドの相互作用主なオピオイド併用薬モルヒネオキシコド ンフェンタニ ル主な機序 中枢神経抑制薬(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体など) ↑ ↑ ↑中枢抑制作用の増強抗凝固薬(ワルファリン) ↑ ↑不明麻薬拮抗性鎮痛薬(ブプレノルフィン、ペンタゾシンなど) ▽ ▽受容体結合 の変化 グルクロン酸抱合を抑制する薬物(シメチジン、メトトレキサート、シスプラチンなど) △肝代謝の変化CYP2D6 阻害薬〔選択的セロトニン再取り込み阻害薬(パロキセチン、フルボキサミン、ミルナシプランなど)〕△肝代謝の変化CYP3A4阻害薬(イトラコナゾール、アミオダロン、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、フルボキサミンなど) △ △肝代謝の変化↑/↓:併用薬の作用増強/減弱△/▽:オピオイドの作用増強/減弱
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るが、リトナビルやキニジンではクリアランスを低下させるため、オキシコドンの血中濃度が高まる可能性がある。一方、オキシコドンそのものはシクロスポリンの生体内利用率を減少させるため、併用する場合にはシクロスポリンの薬効が減弱する。フェンタニルは肝薬物代謝酵素CYP3A4に対する阻害作用を有するため、本酵素を阻害するリトナビル、アミオダロン、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、フルボキサミン、さらに、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾールなどのトリアゾール系抗真菌薬と併用することにより、薬物動態学的な相互作用を引き起こし、フェンタニルのAUCの増加、半減期が延長する。 11 非ステロイド性消炎鎮痛薬使用時に注意すべき相互作用(表9) 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、血漿中では大部分が血漿蛋白と結合した状態にある。したがって、血漿蛋白結合して存在する薬物が同時に投与された場合、遊離型となった薬物の作用が現れる場合がある。NSAIDsは主に肝臓において代謝されるため、同一酵素によって代謝される薬物が併用された場合、代謝過程における薬物動態学的相互作用により、酵素に対して結合競合が起こる。その結果、薬物の血中濃度が高まり、作用が強く現れる場合がある。例えば、セレコキシブはCYP2C9で代謝されるため、同酵素で代謝されるワルファリンの作用が増強され、出血傾向が発現する可能性がある。同様にフェニトイン、スルホニル尿素系血糖降下薬などと併用した場合、それらの作用を増強することが知られている。また尿細管分泌の競合により、メトトレキサート、リチウム、ジギタリス(腎機能低下時)の排泄が遅延し、それらの作用を増強する。NSAIDsは血管拡張作用やナトリウム利尿作用を有するプロスタグランジンの合成を抑制することから、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)や利尿薬の効果を減弱させる。 表9 主なNSAIDsの相互作用 主なNSAIDs 併用薬セレコキシブメロキシカムロキソプロフェンイブプロフェンフルルビプロフェンジクロフェナク主な機序ワルファリン↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑肝代謝の変化メトトレキサート↑ ↑ ↑腎排泄の変化ACE阻害薬↓ ↓腎におけるプロスタグランジン合成阻害チアジド系抗利尿薬↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓腎におけるプロスタグランジン合成阻害ループ利尿薬↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓腎におけるプロスタグランジン合成阻害ジゴキシン↑腎排泄の変化スルホニル尿素薬△ ↑腎排泄の変化ニューキノロン系抗菌薬×受容体結合の変化ペメトレキセド↑腎排泄の変化ミソプロストール▽吸収の変化↑/↓:併用薬の作用増強/減弱△/▽:NSAIDsの作用増強×:エノキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシンのみ併用禁忌、他は併用注意
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II章背景知識 *1:ニューキノロン系抗菌薬人工合成された抗菌薬の一系列。細菌のDNA複製に必須の酵素(DNAジャイレースなど)を阻害し殺菌的に作用する。幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌力が特徴(代表的な薬剤としてオフロキサシン,レボフロキサシンなど)。 *2:高脂肪食脂肪が多く含まれる食品をとる食事。明確な定義はないが、総摂取エネルギーのうち脂肪が占める割合(脂肪エネルギー比率)がおおよそ30 ~40%以上とされることが多い。 NSAIDsとニューキノロン系抗菌薬*1とを併用すると、ニューキノロン系抗菌薬の中枢神経作用であるγ-アミノ酪酸受容体(GABA受容体)応答抑制作用によるけいれん閾値を低下させ、けいれんを誘発することがある。一方、ミソプロストールは、吸収阻害を起こすことにより、ジクロフェナクナトリウムのAUCとCmaxを下降させる。抗血小板療法に伴う低用量アスピリンとNSAIDs、例えばイブプロフェンとの併用では、イブプロフェンによって血小板のCOX-1の活性部位が先に占有されると、アスピリンが血小板の標的部位に結合できないため不可逆的な血小板機能阻害が起こらなくなり、アスピリンの抗血小板作用が発揮されなくなる可能性がある。 12 オピオイドと食事の影響 オピオイドは一般的に食事の時間に関係なく、定期的に服用することが推奨されているが、なかには食事(高脂肪食*2 摂取)が吸収に影響(薬物動態学的相互作用)を生じる可能性が報告されている製剤がある。ピーガード®は、高脂肪食摂取20 分後または軽食摂取30 分前投与では、空腹時投与と比べてAUCおよびCmaxが約50%低下、パシーフ®は高脂肪食摂取後ではAUCが約18%減少、カディアン®は食後に服用すると、空腹時に服用した時と比較して最高血中濃度到達時間(maximum drug concentration time;Tmax)が約1.6 時間遅延することもある。その他にオキシコドン速放性製剤(オキノーム®)は、高脂肪食摂取後にAUCが約20%上昇する。したがって、患者の症状や生活に合わせて各薬剤の用法・用量を調節する場合、オピオイド製剤の鎮痛作用の減弱に注意する必要がある。 (高瀬久光、伊勢雄也、片山志郎) 13 精神依存・身体依存・耐性 オピオイドに関する誤解が疼痛治療の障害となっており、精神依存(psychological dependence)、身体依存(physical dependence)、耐性(tolerance)の3つの概念を正しく理解することが重要である。 1 定 義 精神依存、身体依存、耐性に関する定義は国際的にも統一されていない。本ガイドラインでは、American Pain Society、American Academy of Pain Medicine、American Society of Addiction Medicine が統一した見解をまとめるために設置したLiason Committee on Pain and Addictionの勧告を参考に、専門家の合意に基づき、以下の定義を用いる。 1) 精神依存次のうちいずれか1つを含む行動によって特徴づけられる一次性の慢性神経生物学的疾患である。その発現と徴候に影響を及ぼす遺伝的、心理・社会的、環境的要素がある。1自己制御できずに薬物を使用する2症状(痛み)がないにもかかわらず強迫的に薬物を使用する
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3有害な影響があるにもかかわらず持続して使用する4薬物に対する強度の欲求がある(Savageらの定義) [解 説] 上記の定義は、Savageらにより作成された「嗜癖(addiction)」の定義である。日本では、「麻薬及び向精神薬取締法第2条二十四、二十五」において、「麻薬中毒:麻薬、大麻又はあへんの慢性中毒をいう。」、「麻薬中毒者:麻薬中毒の状態にある者をいう。」と述べられている。ここでの「中毒(麻薬中毒)」という用語は法律上の用語である。医学的に「中毒」とは依存性とは関係なく、大量投与時あるいは慢性的に投与した時に現れる有害事象であり、「麻薬および向精神薬取締法」で述べられている「麻薬中毒」は、「嗜癖(addiction)」に近い概念であると考えられる。また、「がん緩和ケアガイドブック」(日本医師会監修)では「中毒(麻薬中毒)」を以下のように定義しており、これは、Portenoyらの「addiction(嗜癖)」の定義を邦訳したものである。 Portenoyら:中毒/嗜癖(addiction) 一方、WHOの統計基準に基づき分類された疾病や死因の分類である ICD-10 では「嗜癖(addiction)」は「依存症候群(dependence syndrome)」という用語として、また、精神医学の領域において ICD-10 とならび代表的な診断基準の一つである DSM-IVでは「物質依存(substance dependence)」という用語で定義されている。 WHO:依存症候群(dependence syndrome) 以下のような特徴をもつ心理的、行動的な症候群と定義する。1 薬物に対する極度の欲求と、それを持続的に使用できることに関する抗し難い心配。2 強迫的な薬物使用の証拠がある。例えば以下が挙げられる。a 目的なく薬物を増量する。b 明らかな副作用にもかかわらず使用量を減らさない。c 標的とした症状の治療以外の目的で薬物を使用する。d 症状がないときに薬物を不適切に使用する。かつ/または3 以下の一連の関連する行動が一つ以上みられる。a 薬物を手に入れるために、処方する医師や医療システムを巧みに操作する(例えば、処方 せんを改ざんする)。b 他の医療機関もしくは非医療機関から薬物を手に入れる。c 薬物を蓄えている。d 他の薬物の不適切な治療(例えば、アルコールや鎮静薬/催眠薬を乱用する)。 ある物質あるいはある種の物質使用が、その人にとって以前にはより大きな価値をもっていた他の行動より、はるかに優先するようになる一群の生理的、行動的、認知的現象のことである。依存症候群の中心となる特徴は、精神作用物質(医学的に処方されたものであってもなくても)、アルコールあるいはタバコを使用したいという欲望(しばしば強く、時に抵抗できない)である。ある期間物質を離脱したあとに再使用すると、非依存者よりも早くこの症候群の他の特徴が再出現することが明らかにされている。
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II章背景知識 DSM-IV:物質依存(substance dependence) 「中毒(麻薬中毒)」の定義は、学会や団体によって用語、定義がまちまちで統一されていない。本ガイドラインでは、これらのなかで最も簡潔なSavageらの「嗜癖(addiction)」の定義を、「精神依存」という一般的にわかりやすく、かつ医学的な「中毒」と区別できる表現を用いて定義した。また、「中毒(麻薬中毒)」という法律用語は医学的な急性中毒を意味する「中毒」と異なり、理解の混乱を生じさせる原因となるため使用しないこととした。 2) 身体依存[定 義] 突然の薬物中止、急速な投与量減少、血中濃度低下、および拮抗薬投与によりその薬物に特有な離脱症候群が生じることにより明らかにされる、身体の薬物に対する生理的順応状態である。[解 説] 身体依存は、オピオイドに限らず長期間薬物に曝露されることによって生じる生体の生理学的な適応状態である。身体依存が生じているかどうかは、薬物を中止した場合に、薬物に特徴的な離脱症候群が生じることで判断する。すなわち、薬物を中止した時に離脱症候がみられれば身体依存が形成されていることを示す。オピオイドの場合、下痢、鼻漏、発汗、身震いをふくむ自律神経症状と、中枢神経症状が離脱症候群として起こる。身体依存を形成する薬物はオピオイドのみではなく、バルビツール酸、アルコールがある。さらに、ニコチンも弱い身体依存を示す。身体依存はオピオイドの長期投与を受けるがん患者の多くで認められるが、痛みのためにオピオイドが投与されていれば生体に不利益を生じないこと、精神依存とは異なること、オピオイド以外の薬物でも生じる生理的な順応状態であることを理解する必要がある。 臨床的に重大な障害や苦痛を引き起こす物質の不適切な使用に伴って、以下の3 つ(またはそれ以上)が、同じ12カ月の期間内のどこかで起こることによって示される。(1) 耐性、以下のいずれかによって定義されるもの。 (a)酩酊または希望の効果を得るために、著しく増大した量の物質を必要とする。(b)物質の同じ量の持続使用により、著しく効果が減弱する。(2) 離脱、以下のいずれかによって定義されるもの。 (a) その物質に特徴的な離脱症候群がある。(b) 離脱症状を軽減したり回避したりするために、同じ物質(または、密接に関連した物質) を摂取する。(3)その物質を当初の見込みより大量に、またはより長期間使用する。(4)物質使用を中止、または制限しようとする持続的な欲求または努力の不成功があること。(5) その物質を得るために必要な活動(例:多くの医者を訪れる、長距離を運転する)、物質使用 (例:たてつづけに喫煙)、または、その作用からの回復に費やされる時間の大きいこと。(6) 物質の使用のために重要な社会的、職業的または娯楽的活動を放棄、または減少させてい ること。(7) 精神的または身体的問題が、その物質によって持続的、または反復的に起こり、悪化してい るらしいことを知っているにもかかわらず、物質使用を続ける(例:コカインによって起こった抑うつを認めていながら現在もコカインを使用、または、アルコール摂取による潰瘍の悪化を認めていながら飲酒を続ける)。
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3) 耐 性[定 義] 初期に投与されていた薬物の用量で得られていた薬理学的効果が時間経過とともに減退し、同じ効果を得るためにより多くの用量が必要になる、身体の薬物に対する生理的順応状態である。[解 説] 耐性は、オピオイドに限らず長期間薬物に曝露されることによって生じる生体の生理学的な適応状態である。耐性が生じているかどうかは、同じ効果が得られることが見込まれるにもかかわらず、薬物を増量しても同じ効果が認められなくなることで判断する。耐性形成は薬物の薬理作用ごとに異なる。モルヒネの場合、嘔気・嘔吐、眠気などには耐性を形成するが、便秘や縮瞳には耐性を形成しない。オピオイドの場合、痛みの原因となっている腫瘍の増大がないにもかかわらず鎮痛効果が弱くなること、あるいは、腫瘍の増大に伴った痛みに対してオピオイドを増量してもそれに見合った鎮痛効果が得られないことで判断される。 【参考文献】 1) Savage SR, Joranson DE, Covington EC, et al. Definitions related to the medical use of opioids: evolution towards universal agreement. J Pain Symptom Manage 2003; 26: 655-67 2) 木澤義之, 森田達也 編. 用語と解説. 日本医師会 監. 2008年度版がん緩和ケアガイドブック, 東京,青海社, 2008, p4 3) Portenoy RK. Chronic opioid therapy in non-malignant pain. J Pain Symptom Manage 1990; 5: S46- 62 4) WHO. Technical Reprot Series, No.915: 2003 5) 中根允文, 岡崎裕士, 藤原妙子 訳. ICD-10: 精神及び行動の障害, 東京, 医学書院, 2003 6) 高橋三郎, 大野 裕, 染矢俊幸 訳. DSM-IV-TR: 精神疾患の分類と診断の手引き, 東京, 医学書院, 2003 2 薬理学的基盤 薬理学的研究は、炎症性疼痛モデル動物や神経障害性疼痛モデル動物をがん疼痛の一部を反映したモデルとみなして行われている。 1) 精神依存基礎研究におけるオピオイドの精神依存の評価には、「条件づけ場所嗜好性試験(conditioned place preference法;CPP 法)」を用いて、オピオイドにより誘発される報酬効果を定量化している。炎症性ならびに神経障害性疼痛モデルマウスにおけるモルヒネ誘発報酬効果をこのCPP 法に従って精神依存を評価した研究によれば、炎症性疼痛モデル動物におけるモルヒネ誘発報酬効果はほぼ完全に抑制され、また、神経障害性疼痛モデル動物においてもモルヒネの全身投与あるいは脳室内投与によって誘発される報酬効果は全く認められないことが報告されている。さらに、最近より精度の高い精神依存の評価法である薬物の静脈内自己投与法を用い、モルヒネ、フェンタニルなどの精神依存が神経障害性疼痛モデルラットで抑制されることも報告されている。臨床経験上、がん疼痛治療においてオピオイドの精神依存が問題にならないことが知られており、動物試験において同様のことが実証され、さらに詳細な機序も明らかにされている。オピオイドの精神依存発現(図3)には、中脳辺縁ドパミン神経系*の活性化が重要な役割を果たしている。事実、非疼痛下では中脳辺縁ドパミン神経系の起始核である腹側被蓋野に投射しているγ-aminobutyric acid(GABA)介在神経上に多く分布しているμオピオイド受容体がモルヒネにより活性化され、抑制性GABA介在神経が抑制される。その結果、脱 *:中脳辺縁ドパミン神経系神経伝達物質としてドパミンを利用するドパミン神経系の一つ。脳幹の腹側被蓋野から、脳の辺縁系に軸索終末を投射する。快の情動や薬物依存などの神経機構などに関与。
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II章背景知識 抑制機構により中脳辺縁ドパミン神経系は活性化され、投射先である前脳辺縁部の側坐核においてドパミン遊離が促進され、精神依存が形成される。一方、κオピオイド受容体は主に側坐核領域に高密度に分布しており、活性化されると側坐核におけるドパミン遊離を抑制するために嫌悪効果を発現する。慢性炎症性疼痛下におけるモルヒネの精神依存の形成抑制はμ、δ、κオピオイド受容体のそれぞれの拮抗薬のなかで、κオピオイド受容体拮抗薬の処置によってのみ消失することから、炎症性疼痛下では内因性κオピオイド神経系の亢進が起きていると考えられる。前述のとおり、モルヒネは側坐核領域でのドパミンの著明な遊離を引き起こして精神依存を誘発するが、慢性炎症性疼痛モデルラットの側坐核におけるモルヒネ誘発ドパミン遊離は、非疼痛下のラットと比較して有意な抑制が認められた。これらの知見から、慢性炎症性疼痛下では、側坐核におけるκオピオイド神経系の亢進により、モルヒネによる中脳辺縁ドパミン神経系の活性化が抑制され、モルヒネの精神依存形成が抑制されるという機序が想定されている。一方、神経障害性疼痛モデルにおけるモルヒネの精神依存の形成抑制には、κオピオイド神経系が部分的にしか関わっていないことが示されている。神経障害性疼痛では、腹側被蓋野に投射しているμオピオイド受容体の内因性リガンド*であるβ- エンドルフィン含有神経が活性化され、β- エンドルフィンの遊離が持続的に生じるため、抑制性GABA介在神経上に分布しているμオピオイド受容体の脱感作/機能低下が引き起こされると考えられる。これらの結果から、神経障害性疼痛下では中脳辺縁ドパミン神経系がモルヒネなどのオピオイドで活性化されにくくなり、精神依存の形成が抑制されると想定される(図3)。 2) 身体依存炎症性疼痛モデル動物でモルヒネの身体依存を検討した研究では、炎症性疼痛下におけるモルヒネの離脱症候が非疼痛下と比較して、有意に抑制されている。さらに、炎症性疼痛下でも急激な休薬では弱い離脱症候が認められるが、モルヒネの投与量を漸減した場合、非疼痛下では弱い離脱症候を示すものの、炎症性疼痛下では全く離脱症候を示さないことが明らかにされている。このような炎症性疼痛下での身体依存形成抑制機構に関する検討が行われ、κオピオイド受容体の内因性リガンドであるダイノルフィンはモルヒネ依存動物における離脱症候の発現を抑制すること、さらに、κオピオイド受容体拮抗薬がモルヒネの身体依存形成を増強することが報告されている。したがって、慢性炎症性疼痛下におけるモルヒネの身体依存の形成抑制には内因性κオピオイド神経系の活性化が関与していると考えられる。 3) 耐性(鎮痛耐性)正常動物に対するオピオイドの慢性投与により鎮痛耐性が形成されることはあまりにも有名な現象である。一方、炎症性疼痛や神経障害性疼痛マウスを用いた検討では、オピオイドの鎮痛効果は反復投与でも正常動物に比べて比較的維持されており、鎮痛耐性は弱いと考えられる。各オピオイドによる鎮痛耐性の形成程度にはある程度の差があるものの、オピオイドの過量投与では明確な鎮痛耐性を形成することから適切な鎮痛用量を選択することが重要である。 (鈴木 勉) *:内因性リガンド受容体や酵素に結合し、生物活性を引き起こす物質(リガンド)のうち、特に体内で産生された物質を指す。
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【参考文献】 1) Suzuki T, Kishimoto Y, Misawa M, et al. Role of the kappa-opioid system in the attenuation of the morphine-induced place preference under chronic pain. Life Sci 1999; 64: 1-7 2) Narita M, Kishimoto Y, Ise Y, et al. Direct evidence for the involvement of the mesolimbic kappaopioid system in the morphine-induced rewarding effect under an inflammatory pain-like state. Neuropsychopharmacology 2005; 30: 111-8 3) Petraschka M, Li S, Gilbert TL, et al. The absence of endogenous beta-endorphin selectively blocks phosphorylation and desensitization of mu opioid receptors following partial sciatic nerve ligation. Neuroscience 2007; 146: 795-807 4) Martin TJ, Kim SA, Buechler NL, et al. Opioid self-administration in the nerve-injured rat. Anesthesiology 2007; 106: 312-22 図3 慢性疼痛下におけるオピオイドの精神依存不形成機構 前頭前野 側坐核 側坐核 モルヒネドパミンダイノルフィンβ-エンドルフィンμオピオイド 受容体κオピオイド 受容体 ドパミン神経 ドパミン神経 ドパミン神経 GABA神経細胞内陥入 GABA神経 2 ダイノルフィン神経1 β-エンドルフィン神経 GABA神経 モルヒネ モルヒネ GABA神経(活性低下)ドパミン神経(活性化)抑制性の調節ドパミン神経の活性低下 腹側被蓋野 腹側被蓋野 線条体黒質 非疼痛時腹側被蓋野 疼痛時 精神依存 不適切な使用 このような慢性疼痛時にモルヒネを使用した場合、側坐核におけるドパミンの過剰遊離は抑制される。 精神依存の形成抑制 非疼痛下では、ドパミン神経は恒常的にGABA神経により抑制を受けている。また、神経終末からある程度のドパミンの放出をしている。 モルヒネにより腹側被蓋野におけるGABA神経上のμオピオイド受容体が活性化され、GABA神経が抑制される。次いで、ドパミン神経の抑制が解除(脱抑制)されドパミンの遊離が促進される。この現象が薬物依存の引き金となる。1 慢性疼痛時、腹側被蓋野において μオピオイド受容体の内因性リガンドである βエンドルフィンの持続的な遊離によりμオピオイド受容体の機能低下(細胞内陥入)が誘発される。 2 さらに、側坐核においてはドパミン神経終末のシナプス前膜に対して κオピオイド受容体の内因性リガンドであるダイノルフィンの持続的遊離により、ドパミンの遊離が抑制される。 側坐核
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II章背景知識 3 臨 床 精神依存、身体依存、耐性に関する臨床的に重要な点は以下のことである。 1) 精神依存がん患者の痛みに対してオピオイドを長期間使用しても精神依存はまれである。しかし、物質依存の既往がある患者の場合、非がん疼痛に対する使用の場合を含め、精神依存を疑う行動がみられた場合には、精神医学的な評価を含めて、痛みに対するオピオイド投与の妥当性を再検討する。精神依存に関する専門的知識を有している精神科医などの専門家に相談することが望ましい。 2) 身体依存身体依存はがん疼痛が存在し、オピオイドが継続投与される限りは問題にならない。臨床上問題となるのは、経口摂取ができなくなり経口投与していたオピオイドが内服できなくなるなど急に中断した場合、誤って投与量を極端に減量した場合、オピオイドローテーションに伴い大量のオピオイドを一度に他のオピオイドに変更した場合に、離脱症候群を生じ得る。例えば、経口モルヒネ徐放性製剤からフェンタニル貼付剤へローテーションした場合、一時的な下痢症状を呈することがあるが、これはモルヒネ身体依存に伴った離脱症候群の一つと考えられる。オピオイドの離脱症候群は、投与されていたオピオイドを少量投与することで症状は消失する。離脱症候群の発現予防として、急にオピオイドを中断せず、減量が必要な場合には徐々に減量することが必要である。 3) 耐 性耐性は、痛みの評価を十分に行い、適切な量のオピオイドを投与していれば問題になることは少ない。予防としては、オピオイドの使用量をいたずらに増量しないようにし、痛みに応じた治療を併用する(NSAIDs、放射線治療、神経ブロック、鎮痛補助薬、非薬物的手段など)ことが重要である。増量に見合う鎮痛効果が認められない場合には、オピオイドローテーション、オピオイド以外の鎮痛手段などを検討する。 (塩川 満、葛巻直子、境 徹也、村田寛明、冨安志郎、鈴木 勉)
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2 非オピオイド鎮痛薬 NSAIDsはステロイド構造以外の抗炎症作用、解熱作用、鎮痛作用を有する薬物の総称である。[作用機序] NSAIDs の主な効果は、炎症がある局所におけるプロスタグランジン(prostaglandin;PG)の産生阻害である。組織が損傷されると、ホスホリパーゼA2により、細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が遊離される。遊離されたアラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase;COX)やペルオキシダーゼを含むPGH(prostaglandin H)合成酵素複合体の基質となり、PGG2、PGH2 へと変換される。さらに各組織に特異的なPG 合成酵素によりPGE2(prostaglandin E2)など種々の化学伝達物質が合成され、損傷組織へ放出される。PG自体に発痛作用はないが、ブラジキニンなどの発痛物質の疼痛閾値を低下させる。また、局所での血流増加作用や血管透過性の亢進、白血球の浸潤増加など、炎症を増強させる作用を有する。したがって、NSAIDsは遊離されたアラキドン酸からPGを合成する経路の律速酵素であるシクロオキシゲナーゼの働きを阻害することにより抗炎症・鎮痛作用を発揮する(図4)。また、発熱時には種々のサイトカインの産生が促進され、視床下部にある体温調節中枢におけるPGE2 の合成を増加させ、体温を上昇させるように視床下部に働きかける。NSAIDsは発熱時に産生されるPGE2の合成を阻害することで、解熱作用をもたらす。[作用時間] アスピリンはシクロオキシゲナーゼの活性部位をアセチル化して不可逆的に阻 1 薬理学的特徴 図4 アラキドン酸の代謝経路 細胞膜リン脂質 ホスホリパーゼA2 アラキドン酸 シクロオキシゲナーゼ (COX) リポキシゲナーゼ PGG2 LT類 ヒドロペルオキシダーゼ PGH2 PGF2α PGE2 TXA2 PGD2 PGI2 NSAIDs ・アナフィラキシー・気管支収縮・炎症反応 ・血管収縮・血小板凝集など・血管拡張・発熱・胃粘液分泌増加・子宮収縮・気管支拡張・利尿・子宮収縮・利尿など・血小板凝集抑制・中枢作用など・血管拡張・血小板凝集抑制・胃粘液分泌増加・利尿など PG :プロスタグランジンTX :トロンボキサンLT :ロイコトリエン 1非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)
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II章背景知識 害する。このためアスピリンの作用時間は種々の標的組織でシクロオキシゲナーゼが発現し、置き換わる速度と関係する。他のNSAIDsはシクロオキシゲナーゼの活性中心においてアラキドン酸と可逆的に拮抗して、その働きを阻害するために、作用時間は薬物の血中濃度半減期に依存する。[シクロオキシゲナーゼアイソザイム選択性] シクロオキシゲナーゼ(COX)には、COX-1とCOX-2の2 つのアイソザイムが存在する。COX-1は大部分の正常細胞や組織に定常的に発現し、身体機能の維持に関与している。一方、COX-2は炎症に伴いサイトカインや炎症メディエーターによって誘導されるが、腎臓や脳の特定の領域では定常的に発現している。胃粘膜の上皮細胞ではCOX-1が定常的に発現しており、細胞保護効果をもつPG の産生に関わっている。国内で利用可能なNSAIDsはいずれも程度の差はあるものの、COX-1およびCOX-2のどちらの活性も抑制する。選択的COX-2阻害薬としてセレコキシブがあり、比較的COX-2阻害の選択性が高いものにエトドラク、メロキシカムがある。 2 副作用 NSAIDsの副作用は共通してみられるものと、個々のNSAIDsに特異的にみられるものがある。共通する主な副作用を表10に示す。 1)胃腸障害消化性潰瘍形成は、ヘリコバクター・ピロリ感染やアルコールの過剰摂取、コルチコステロイドや抗凝固目的の低用量アスピリン併用などの粘膜損傷因子により危険度が高まる。NSAIDsによる胃腸障害には、胃粘膜上皮細胞におけるCOX-1阻害によって引き起こされる粘膜細胞保護効果をもつPGI2、PGE2などの減少が深く関わっている。選択的COX-2阻害薬は従来のNSAIDsより胃潰瘍発症の頻度が低いとされている。また経口投与時には、NSAIDsが胃粘膜に直接接触することでの局所刺激も関与している。胃潰瘍の予防薬として、プロスタグランジン製剤(ミソプロストール)、プロトンポンプ阻害薬、高用量のH2受容体拮抗薬などが使用されている。 表10 NSAIDsに共通する一般的な副作用 部位等症 状考えられる機序の一部 備考 胃 腸腹痛、嘔気、食欲不振、胃びらん・潰瘍、胃腸管出血、穿孔、下痢胃粘膜上皮細胞でのCOX-1の阻害によるPGI2、PGE2などの減少腎 臓水・電解質貯留、高K 血症、浮腫、間質性腎炎、ネフローゼ症候群腎におけるCOXの阻害によるPG 減少に伴う腎血流量と糸球体濾過速度の減少肝 臓肝機能検査値異常、肝不全ジクロフェナク、スリンダグなど特に注意血小板血小板活性化阻害、出血の危険増加血小板でのCOX-1の阻害によるTXA2の減少に伴う血小板凝集能の低下子宮(妊娠時)妊娠期間の延長、分娩阻害COXの阻害に伴うPGE2、PGF2αの減少妊娠後期では、NSAIDs禁忌血 管胎児の動脈管閉鎖COXの阻害に伴うPGの減少不耐(過敏)症血管(運動)神経性鼻炎、血管浮腫、喘息、じ んま疹、気管支喘息、潮紅、低血圧、ショックCOXの阻害に伴うLT 類の合成増加 中枢神経系頭痛、めまい、錯乱、抑うつ、けいれんの閾値低下けいれんの閾値低下:脳内でのGABAの受容体結合阻害皮膚・粘膜皮疹、光過敏症(特にフェニルプロピオン酸系)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症光毒性免疫・アレルギー的反応など
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2)腎機能障害うっ血性心不全、腹水を伴う肝硬変、慢性腎疾患、または循環血流量が減少している患者では腎血流量と糸球体濾過速度が減少し急性腎不全を起こすことがある。腎機能障害がある患者や高齢者に投与する際は、十分な注意をする必要がある。 3)肝機能障害肝機能障害の発症は投与開始数カ月後に起こるのが特徴とされる。肝細胞酵素の血中の値は増加するが、明らかな黄疸はまれである。使用薬物の中止により可逆的に回復する。 4)血小板、心血管系障害NSAIDsはシクロオキシゲナーゼを阻害し、トロンボキサンA2の血小板形成を抑制するため血小板機能が障害され、出血傾向が現れることがある。血小板では主にCOX-1が発現しているため、選択的COX-2阻害薬では血小板機能障害が軽減される。心血管障害の発症増加のリスクは、選択的COX-2阻害薬であるコキシブ系薬剤の大規模臨床試験で明らかとなった。さらに、非選択的なCOX阻害薬である従来のNSAIDs(アスピリンを除く)でも報告されている。 5)アスピリン不耐(過敏)症アスピリンやその他のNSAIDsに過敏で、血管浮腫、全身性じんま疹、気管支喘息、咽頭浮腫、ショックなどのさまざまな症状を示す場合がある。アスピリン不耐(過敏)症の症状はアナフィラキシーとも類似しているが、免疫反応ではなくシクロオキシゲナーゼの阻害が関わっていると考えられている。 2アセトアミノフェン 1 薬理学的特徴 アセトアミノフェンはアスピリンと同等の鎮痛、解熱作用をもつ有用な薬物であるが、抗炎症作用は非常に弱いと考えられている。消化管、腎機能、血小板機能に対する影響は少ないと考えられ、これらの障害でNSAIDsが使用しにくい場合にも用いることができる。 2 用法・用量 欧米およびアジアの一部ではがん疼痛に対して使用されるアセトアミノフェンの経口投与量は、1回650mgを4時間ごと、または1,000mgを6時間ごと、1日最大量は4,000mg/日である。これらの経口投与量では、肝細胞壊死は起こりにくいとされている。本邦では2,400mg 〜4,000mg/日程度が妥当な鎮痛量であり、肝機能障害に注意しながら4,000mg/日まで増量が可能だと考えられている。また投与は1日4回程度に分けて行い、1回投与量が1,000mgを超えないようにする。 3 副作用 一般的な投与量では副作用は起こりにくいが、まれに皮膚粘膜眼症候群皮疹、その他のアレルギー症状、過敏症状、肝機能障害、黄疸などが起こる。また、顆粒球減少症の報告例がある。最も重篤な急性の副作用は、過剰投与による肝細胞壊死である。成人では、1回に
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II章背景知識 150 〜250mg/kg 以上のアセトアミノフェンを経口投与すると肝細胞壊死が起こるとされており、アルコール常用者はそのリスクが高まる。アセトアミノフェン過剰摂取時の解毒にはアセチルシステインが使用される。 (龍 恵美、伊東俊雅)
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[定 義] 主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物である。[解 説] 「鎮痛補助薬」の定義には広義のものと狭義のものとがある。広義のものは、WHO方式がん疼痛治療法をはじめとして採用されているもので、制吐薬などの副作用対処薬を含む。2000 年に公表した日本緩和医療学会の「Evidenced based Medicineに則ったがん疼痛治療ガイドライン」では、鎮痛を目的として使用するものを第1種鎮痛補助薬、それ以外を第2 種鎮痛補助薬と定義した。本ガイドラインでは、LussierらのOxford Textbook of Palliative Medicineの記載を参考に、鎮痛補助薬として上記のように狭義の定義を用いた。 2鎮痛補助薬の概要 神経障害性疼痛をはじめとするオピオイド抵抗性の痛みに対して、現在、多くの薬剤が鎮痛補助薬として使用されているが、質の高い臨床試験は少なく、適正な使用方法についてはいまだに確立されていない。帯状疱疹後神経痛、糖尿病末梢神経障害は、対象の痛みの性質が比較的均一と考えられ、これらの非がん性神経障害性疼痛の試験成績をもとに、がんによる神経障害性疼痛に使用されることが多い。痛みの機序に基づき治療法を選択し、NNT *1(number needed to treat)が小さく、NNH*2(number needed to harm)が大きな薬物を選択することが、神経障害性疼痛に対する効果的かつ安全な治療戦略となるが、前述のとおり、十分な臨床試験に基づくデータが少ないうえに、本邦で使用できる薬剤は限られる。また現状においては、そのほとんどが保険適用外の使用となる。これらを踏まえたうえで、参考として、表11に鎮痛補助薬の投与方法の目安、表12に神経障害性疼痛と骨転移痛に対するNNTおよびNNHを記載した。 3各鎮痛補助薬の特徴 1 抗うつ薬 [作用機序・特徴] 中枢神経系のセロトニン、ノルアドレナリン再取り込みを阻害し、下行性抑制系を賦活することによって鎮痛効果を発揮する。鎮痛効果の発現は、通常の抗うつ作用が発現するとされている週単位よりも早く、投与開始1週間以内に効果発現し、かつ、うつ病の治療量よりも低用量で抗うつ作用を示さずに鎮痛効果が認められる。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(selective serotonin reuptake inhibitor;SSRI)、セロトニンとノルアドレナリンの両方の作用をあわせもつSNRI (serotonin noradrenaline reuptake inhibitor;SNRI)も鎮痛補助薬として有用な可能性が示唆する知見があるが、現在のところ一致した見解は得られていない。[副作用] アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬では、眠気、抗コリン作用(口内乾燥、便秘、排尿障害、霧視など)、起立性低血圧、せん妄がみられる。重篤な副作用としては心毒性があり、鎮痛効果を示す投与量ではまれであるが、用量依存的であり、高齢者や多剤併用の 3 鎮痛補助薬 *1:NNT(number needed to treat) 1例の効果を得るためにその治療を何人の患者に用いなければならないかを示す指標。 *2:NNH(number needed to harm)何人の患者を治療すると1例の有害症例が出現するかを示す指標。1鎮痛補助薬の定義
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II章背景知識 場合にリスクが高まる。パロキセチン、フルボキサミンなどのSSRIにおいては、投与開始時に嘔気、食欲不振の発現頻度が高く、その他の副作用として頭痛、不眠、興奮などがある。 表11 鎮痛補助薬の投与方法の目安(参考) 分 類薬 剤用法・用量備考(主な副作用) 抗うつ薬アミトリプチリンアモキサピンノルトリプチリン開始量:10mg/日 PO (就寝前)維持量:10 ~75mg/日 PO 1~3日ごとに副作用がなければ20mg→30mg→50mgと増量眠気、口内乾燥、便秘、排尿障害、霧視など パロキセチン開始量:20mg(高齢者は10mg)/日 PO嘔気(開始初期に多い)、食欲不振、頭痛、不眠、不安、興奮などフルボキサミン開始量:25mg/日 PO 抗けいれん薬カルバマゼピン開始量:200mg/日 PO (就寝前)維持量:200 ~1,200mg/日 PO 1~3日ごとに眠気のない範囲で、300mg就寝前→400mg夕・就寝前→600mg夕・就寝前と増量ふらつき、眠気、めまい、骨髄抑制など バルプロ酸開始量:200mg/日 PO (就寝前)維持量:400 ~1,200mg/日PO眠気、嘔気、肝機能障害、高アンモニア血症などフェニトイン維持量:150~300mg/日 PO(分3)眠気、運動失調、嘔気、肝機能障害、皮膚症状など ガバペンチン開始量:200mg/日 PO (就寝前)維持量:600 ~2,400mg/日 PO 1~3日ごとに眠気のない範囲で、400mg分2→600mg分2・・・と増量眠気、ふらつき、めまい、末梢性浮腫など クロナゼパム開始量:0.5mg/日 PO (就寝前)維持量:1~2mg/日 PO 1~3日ごとに眠気のない範囲で、1mg就寝前→1.5mg就寝前まで増量ふらつき、眠気、めまい、運動失調など 抗不整脈薬メキシレチン開始量:300mg/日 PO (分3)維持量:150 ~450mg/日PO(分3)嘔気、食欲不振、腹痛、胃腸障害など リドカイン開始量:5mg/kg/日CIV、CSC維持量:5 ~20mg/kg/日CIV、CSC 1~3日ごとに副作用のない範囲で、10 →15→20mg/kg/日まで増量不整脈、耳鳴、興奮、けいれん、無感覚など NMDA受容体拮抗薬ケタミン開始量:0.5~1mg/kg/日 CIV、CSC維持量:100 ~500mg/日CIV、CSC 1日ごとに精神症状を観察しながら0.5~ 1mg/kgずつ増量眠気、ふらつき、めまい、悪夢、嘔気、せん妄、けいれん(脳圧亢進)など 中枢性筋弛緩薬バクロフェン開始量:10~15mg/日 PO(分2~3)維持量:15 ~30mg/日 PO(分2 ~3)眠気、頭痛、倦怠感、 意識障害など コルチコステロイドベタメタゾンデキサメタゾン※ 1漸減法開始量:4~8mg/日(分1~2:夕方以降の投与を避ける) 維持量:0.5~4mg/日高血糖、骨粗しょう症、消化性潰瘍、易感染性など2漸増法開始量:0.5mg/日維持量:0.5 ~4mg/日 ベンゾジアゼピン系抗不安薬ジアゼパム2~10mg/回 1日3~4回ふらつき、眠気、運動失調など ビスホスホネートパミドロン酸90mgを4時間かけてDIV顎骨壊死、急性腎不全、うっ血性心不全、発熱、関節痛などゾレドロン酸4mgを15分以上かけてDIV その他オクトレオチド0.2~0.3mg/日 CSC、CIVまたはCS、IV(0.1mg×3回)注射部位の硬結・発赤・刺激感など ブチルスコポラミン臭化物開始量:10~20mg/日CSC、CIV維持量:40 ~120mg/日心悸亢進、口内乾燥、眼の調節障害など PO:経口、CIV:持続静注、CSC:持続皮下注、DIV:点滴静注※等力価の他のコルチコステロイド(プレドニン®など)を使用してもよい
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表12 鎮痛補助薬のNNTとNNH(NNQ) 薬剤の種類文献1より改変引用 CochraneReview 文献2〜8より引用神経障害性疼痛全般中枢性疼痛末梢性疼痛NNT注1 (95%CI)NNT注1 (95%CI)NNT注1 (95%CI)NNH注2 (95%CI)NNT注1 (95%CI)NNH注3 (95%CI)NNQ注4 (95%CI) 抗うつ薬抗うつ薬(全般) 3.3 (2.9~3.8)3.1 (2.7~3.7)3.1 (2.7~3.7)16.0 (12~25) 三環系抗うつ薬3.1 (2.7~3.7)4.0 (2.6~8.5)2.3 (2.1~2.7)14.7 (10~25) 3.6 (3.0~4.5) SSRI 6.8 (3.4~441) ND 6.8 (3.4~441) ns NA SNRI 5.5 (3.4~14) ND 5.5 (3.4~14) ns NDアミトリプチリン3.1 (2.5~4.2) 6 (4.2~10.7)28 (17.6~68.9)デシプラミン2.6 (1.9~4.5)イミプラミン2.2 (1.7~3.22) 抗てんかん薬抗てんかん薬(全般) 4.2 (3.8~4.8) ns 4.1 (3.6~4.8)10.6 (9~13) カルバマゼピン2.0 (1.6~2.5)3.4 (1.7~105)2.3 (1.6~3.9)21.7 (13~79) 2.5 (2.0~3.4)3.7 (2.4~7.8)バルプロ酸2.8 (2.1~4.2) ns 2.4 (1.8~3.4) nsフェニトイン2.1 (1.5~3.6) ND 2.1 (1.5~3.6) ns 3.2 (2.1~6.3)ガバペンチン4.7 (4.0~5.6) NA 4.3 (3.7~5.2)17.8 (12~30) 4.3 (3.5~5.7)3.7 (2.4~5.4) ns抗不整脈薬メキシレチン7.8 (4.0~129) NA 5.2 (2.9~26) ns NMDA受容体拮抗薬NMDA受容体拮抗薬(全般)注5 7.6 (4.4~27) ND 5.5 (3.4~14)12.5 (8~36) デキストロメトルファン4.4 (2.7~12) ND 3.4 (2.2~7.6)8.8 (6~21)オピオイド(参考)オピオイド(全般) 2.5 (2.0~3.2) ND 2.7 (2.1~3.6)17.1 (10~66) ビスホスホネートビスホスホネート(全般) 11※ (6 ~36) 16(12 ~27) <4週投与> 7※ (5 ~12) <12週投与> ND:nostudiesdone(研究なし) NA:dichotomizeddataarenotavailable(研究はあるが個々のデータがないためNNTを計算できなかった) ns:relativerisknotsignificant(有意差なし) ※:骨転移痛():95%信頼区間SSRI;selectiveserotoninreuptakeinhibitor SNRI;serotoninnoradrenalinereuptakeinhibitor注1:表中NNTの効果指標は、「50% 以上の疼痛改善」に準じている注2:文献1においては、有害事象のために治療中断となった事例をNNHとして表現しているため、文献2~8のNNQ(注4)と同様 よって、治療中止に至らない有害事象の発現頻度はより多く、注3を参照のこと注3:中断に至らない有害事象注4:副作用による中断注5:デキストロメトルファン、riluzole、memantineなどNNT(numberneededtotreat):1例の効果を得るためにその治療を何人の患者に用いなければならないかを示す指標。NNH(numberneededtoharm):何人の患者を治療すると1例の有害症例が出現するかを示す指標。NNQ(numberneededtoquit):何人の患者を治療すると1例の副作用による治療中断が出現するかを示す指標。 【文 献】 1) Finnerup NB, Otto M, McQuay HJ, et al. Algorithm for neuropathic pain treatment: an evidence based proposal. Pain 2005; 118: 289-305 2) Wiffen PJ, Collins S, McQuay HJ, et al. Anticonvulsant drugs for acute and chronic pain. Cochrane Database Syst Rev 2005; Issue 3 3)Saarto T, Wiffen PJ. Antidepressants for neuropathic pain. Cochrane Database Syst Rev 2007; Issue 4 4) Bell RF, Eccleston C, Kalso E. Ketamine as an adjuvant to opioids for cancer pain. Cochrane Database Syst Rev 2003; Issue 1 5) Challapalli V, Tremont-Lukats IW, McNicol ED, et al. Systemic administration of local anesthetic agents to reliece pain. Cochrane Database Syst Rev 2005; Issue 4 6) Wong R, Wiffen PJ. Bisphosphonates for the relief of pain secondary to bone metastasis. Cochrane Database Syst Rev 2002; Issue 2 7) Eisenberg E, McNicol ED, Carr DB. Opioids for neuropathic pain. Cochrane Database Syst Rev 2006; Issue 3 8) Wiffen PJ, McQuay HJ, Edwards JE, et al. Gabapentin for acute and chronic pain. Cochrane Database Syst Rev 2005; Isuue 3 【参考文献】 9)Lussier D, Portenoy RK. Adjuvant analgesics in pain management. Doyle D, Hanks GWC, Cherny NI, Calman K eds. Oxford Textbook of Palliative Medicine. 3rd ed, Oxford University Press, 2003, p349
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II章背景知識 *:Stevens-Johnson症候群高熱を伴う口唇、眼結膜、外陰部などの皮膚粘膜移行部における重篤な粘膜病変。皮膚の紅斑・びらんを伴い、しばしば水疱、表皮剥離などの壊死性障害を認める。原因の多くは医薬品とされるが、発症機序は明らかではない。 [作用機序・特徴] 主な作用機序として、• 神経細胞膜のNa+チャネルに作用し、Na+チャネルを阻害することにより、神経の興奮を抑 制する。• GABA受容体に作用し、過剰な神経興奮を抑制する。• 興奮性神経の前シナプスに存在する電位依存性Ca2+チャネルのα2δサブユニットに結合 し、Ca2+流入を抑制し、神経興奮を抑える。などが考えられる。さらに、ベンゾジアピン系で抗けいれん薬としても使用されるクロナゼパムは、GABAニューロンの作用を特異的に増強する。抗けいれん薬は、薬物相互作用を来す薬剤が多く、多剤併用に注意を要する。ガバペンチンは肝臓での代謝をほとんど受けないため、薬物相互作用の影響を受けにくいという利点がある。[副作用] 抗けいれん薬に共通する副作用として眠気、ふらつきがあるが、副作用の発現を抑えるためには低用量から開始することが望ましい。特徴的な副作用としては、以下のものがある。バルプロ酸では肝機能障害、高アンモニア血症を来すことがあるため、定期的な肝機能検査を行い、意識障害を認めた場合には血中アンモニア値の測定を行う。フェニトインでは、肝機能障害、皮膚症状(Stevens-Johnson症候群*)、運動失調が知られる。また、体内動態が非線形型であることから、増量の際に急激に血中濃度が上昇する場合があるため注意を要する。カルバマゼピンでは、心刺激伝導の抑制作用があるため、重篤な心障害(第II度以上の房室ブロック、高度の徐脈)のある患者は禁忌であるほか、骨髄抑制が認められるため化学療法・放射線治療・全身性骨転移で汎血球減少を来たしている患者では原則として使用しない。ガバペンチンでは、眠気、めまいなどがあり、腎機能低下により排泄が遅延されるため、特に腎機能により投与量の調節が必要である。 3 局所麻酔薬/抗不整脈薬 [作用機序・特徴] リドカイン、メキシレチンは、Vaughan-Williams 抗不整脈薬のクラスIb群に位置づけられており、Na+チャネルを遮断するという電気生理学的な作用機序が考えられている。末梢神経の神経障害性疼痛では、損傷した神経においてNa+チャネルの量、質が変化し、正常ではないNa+チャネルが発現し神経が過敏になることが関係している。全身投与されたリドカインは、正常な神経伝達を遮断せずに、これらのNa+チャネルを遮断し、神経の過敏反応を抑制する。また、C線維からの刺激により活性化する脊髄後角のニューロンの活動性を抑え、脊髄後根神経節の発火を抑えることにより、過剰な活動電位を抑制する。メキシレチンは、肝初回通過効果が小さく、腸管からの吸収が良好であり、生体内利用率が約90%と高いために、経口で効果が期待できる。[副作用] リドカインは、刺激伝導抑制作用と心筋抑制作用を有するため、重篤な刺激伝導障害のある患者には禁忌である。リドカインの心血管系の副作用としては、血圧低下、徐脈などがある。重大な副作用としては、中枢神経系の症状(不安、興奮、耳鳴、振戦、末梢知覚異常など)があり、高濃度では意識消失、全身けいれんを引き起こすこともある。抗不整脈薬 2 抗けいれん薬
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としての有効域は、1.5 〜5.0μg/mLとされ、10μg/mL 以上で副作用が発現しやすくなる。これらの副作用は用量依存的であるが、全身状態の低下したがん患者では少量でも生じることがあるので、十分な観察を行う。また本剤はCYP3A4で代謝され、活性を有する代謝物の蓄積が神経毒性を引き起こす。メキシレチンもまた、重篤な刺激伝導障害のある患者には禁忌である。その他の副作用としては、嘔気・嘔吐、食欲不振、胃部不快症状などの消化器症状の出現頻度が高い。 4 NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体拮抗薬 [作用機序・特徴] NMDA受容体は、グルタミン酸受容体のサブタイプの一つで、中枢性感作*1やワインドアップ現象*2の形成など、痛みなどの侵害情報伝達に重要な役割を果たしている(P16,II-1-13神経障害性疼痛の項参照)。神経障害性疼痛の発生には、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が遊離され、NMDA受容体を活性化することも関与している。オピオイドの鎮痛耐性*3に拮抗し、鎮痛効果を増強する。ケタミンは、従来、麻酔薬として使用されてきたが、帯状疱疹後神経痛、幻肢痛を含むさまざまな神経障害性疼痛を緩和する。本邦で入手可能なケタミン製剤は、静注・筋注製剤であり、2007年から麻薬指定となった。その他、鎮咳薬のデキストロメトルファン、抗パーキンソン薬・抗A 型インフルエンザウィルス薬のアマンタジン、脳循環・代謝改善薬であるイフェンプロジルなどがこの分類に含まれるが、臨床上の有用性についての知見は限られている。[副作用] ケタミンは、脳圧を亢進させるため、脳血管障害、高血圧、脳圧亢進症、重症の心代償不全の患者には禁忌である。主な副作用として、眠気、ふらつき、めまいがある。重大な副作用として急性腎不全、呼吸抑制、けいれんなどがあり、特徴的な症状として、幻覚、悪夢などの中枢性作用が知られる。 5 中枢性筋弛緩薬 [作用機序・特徴] バクロフェンは、GABAB受容体*4の作動薬であり、三叉神経痛、筋痙縮、筋痙性疼痛などに使用される。作用機序としては、シナプス前のカルシウム濃度を低下させ、興奮性アミノ酸の放出を減少させ、後シナプスではカリウムの伝導性を増加させて神経の過分極を起こす。[副作用] バクロフェンの主な副作用は、めまい、眠気、消化器症状である。中枢神経系に作用するため、重大な副作用として、意識障害、呼吸抑制などがある。腎排泄であるため腎機能低下時に注意が必要であり、また突然の中止により、離脱症候群(幻覚、興奮、けいれんなど)を呈することがあるため、中止に際しては漸減が必要である。 6 コルチコステロイド [作用機序・特徴] 骨転移痛、腫瘍による神経圧迫、関節痛、頭蓋内圧亢進、管腔臓器の閉塞などによる痛みに使用される。作用機序は明確ではないが、痛みを感知する部位の浮腫の軽減、コルチコステロイド反応性の腫瘍の縮小、侵害受容器の活動性低下(プロスタグランジン、ロイコトリエンを主とする炎症物質の軽減)などとされる。鎮痛補助薬としては、作用時間が長く、電解質作用*5が比較的弱いベタメタゾン、デキサメタゾンが広く使用される。プレドニゾロンを代替薬として使用することもある。 *2:ワインドアップ現象繰り返し痛みの刺激が加わると、痛覚神経終末(脊髄後角部)で伝達物質放出が増加し、最初の痛み情報が次に送られてくる痛み情報を増幅し、次第に痛みが増強する現象。 *3:鎮痛耐性初期に投与されていた薬物の用量で得られていた鎮痛効果が時間経過とともに減退し、同じ鎮痛効果を得るためにはより多くの用量が必要になること。 *4:GABAB受容体中枢神経系ニューロンや星状細胞に発現しているγ-アミノ酪酸(GABA)受容体の一つ。GABAB受容体はG蛋白共役型として機能する。GABAB受容体を介して作用する薬剤に三環系抗うつ薬などがある。 *1:中枢性感作興奮状態にある末梢神経からは二次ニューロンに刺激を伝える興奮性アミノ酸のグルタミン酸(Glu)が放出されるが、感作された末梢神経からはGluに加えてサブスタンスP やニューロキニンAといったタキキニンも放出される。これにより電位依存性Ca2+チャネルからCa2+が放出されるとNMDA受容体が活性化する。その結果、神経細胞が過敏化し、痛覚過敏やアロディニアが発生する。P16参照。 *5:電解質作用電解質のバランスを調整する作用。ステロイドは血中のNaを増加させ、Kを減少させる作用がある。Naの増加は血圧の上昇、Kの減少は脱力感や心不全などを引き起こすことがある。作用の強弱はステロイドの種類により異なる。
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II章背景知識 [副作用] 主な副作用として、口腔カンジダ症、高血糖、消化性潰瘍、易感染性、満月様顔貌、骨粗しょう症、精神神経症状(せん妄や抑うつ)などがある。投与が長期に及ぶに従い、副作用の頻度も高くなるため、高齢者や合併症を有するハイリスク患者の場合、生命予後を含めて投与開始時期についての十分な検討が必要である。 7 ベンゾジアゼピン系抗不安薬 [作用機序・特徴] ベンゾジアゼピン系抗不安薬の作用機序としては、大脳辺縁系、視床、視床下部などに作用し鎮静作用をもたらすとされている。この際に、特異的なベンゾジアゼピン受容体(GABA A受容体*-Clチャネル複合体)に作用し、抑制性神経伝達物質であるGABAAの親和性を高め、Clチャネルの開口により過分極を起こし、神経膜の興奮性が抑制される。また、脊髄反射抑制により、筋の過緊張を緩和するとされている。ジアゼパムは、筋痙縮の痛みに使用される。[副作用] ジアゼパムの主な副作用は、眠気、ふらつき、筋弛緩作用である。特に高齢者に対して、ジアゼパムのような長時間作用型薬を使用する場合は、作用が遷延することがあるので、少量から開始し、十分な観察が必要である。 8 ビスホスホネート [作用機序・特徴] 骨転移痛に使用されるビスホスホネート製剤の基本骨格は、無機のピロリン酸塩の誘導体であり、破骨細胞の活動を抑制し、骨吸収を阻害することにより鎮痛効果を得る。効果は用量依存性である。[副作用] 主な副作用は、嘔気、めまい、発熱、急性腎不全などであるが、重篤な副作用として顎骨壊死・顎骨骨髄炎が出現することがある。報告された症例のほとんどが抜歯などの歯科処置や局所感染に関連して発現しており、悪性腫瘍、化学療法、コルチコステロイド治療、放射線治療、口腔内の不衛生、歯科処置の既往歴が要因として挙げられる。必要に応じて適切な歯科検査を行い、本剤投与中は、侵襲的な歯科処置はできる限り避けること、患者に十分な説明を行い、異常が認められた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診するよう注意することが必要である。また、急速点滴により腎不全が出現することがあるため、投与速度にも注意し、投与開始前に腎機能検査を実施し、腎機能による投与量を調節する。 9 その他 消化管閉塞による痛みに対するオクトレオチド、ブチルスコポラミン臭化物など、特定の痛みに使用する上記以外の薬剤についてはIII章推奨の本文を、作用機序・特徴については他項を参照されたい。 (久原 幸、高田慎也) *:GABAA受容体γ-アミノ酪酸(GABA)受容体の一つ。GABA A受容体はClイオンチャネル型として機能する。ベンゾジアゼピン系薬剤などはGABAB受容体を介して作用し、鎮静、抗けいれん、抗不安などの作用をもつ。
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5 麻薬に関する法的・制度的知識 1 麻薬免許証 医療用麻薬を取り扱う者は、事前に免許を取得する必要がある。医療用として用いられる麻薬の免許には、「麻薬小売業者」、「麻薬施用者」、「麻薬管理者」などがある。いずれも所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。医師または歯科医師が同一都道府県内の2カ所以上の診療施設で麻薬を施用する場合には、主たる施設について麻薬施用者免許を取得する。また、同一都道府県内ではない診療施設で麻薬を施用する場合には、各々の都道府県で免許証を受けなければならない。(麻向法第2条、第3 条) 麻薬の管理は、麻薬の受払いを記録する帳簿を備え、麻薬の受払いを記録する必要がある。2 名以上の麻薬施用者が診療に従事する麻薬診療施設では麻薬管理者を置き、麻薬管理者が麻薬の受払いの管理や帳簿への記録を行う必要がある。麻薬の保管には、鍵のかかる堅固な保管庫を使用する。麻薬保管庫には麻薬のほか、覚せい剤を一緒に保管することはできるが、それ以外の医薬品や帳簿等を保管することはできない。(麻向法第33 条、第34条、第39 条) 麻薬施用者(医師・歯科医師)でなければ麻薬を施用できない。また、麻薬施用者でなければ、麻薬が記載された処方せんや施用のための麻薬を交付してはならない。ただし、麻薬施用者から施用のために交付を受けた麻薬を患者自身が施用する場合や、麻薬小売業者(保険薬局)から麻薬処方せんにより調剤された麻薬を譲り受けた患者がその麻薬を施用する場合はこの限りではない。(麻向法第27条) 麻薬を廃棄する場合は、都道府県知事に麻薬廃棄届を提出し、麻薬取締員等の立会いのもとで処理される。ただし、麻薬処方せんにより調剤された麻薬は、麻薬管理者が麻薬診療施設の他の職員の立会いのもとで廃棄でき、廃棄後30日以内に調剤済麻薬廃棄届を都道府県知事へ提出する。なお、施用残の廃棄については届け出る必要はないが、麻薬帳簿への記録は必要である。廃棄は焼却、酸・アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、麻薬の回収が困難かつ適切な方法で処理する。(麻向法第29 条、第35 条) 管理している麻薬に滅失、盗取、所在不明、その他の事故が起きた場合は、麻薬事故届に必要事項を記載し、速やかに都道府県知事に届け出る。また、麻薬の盗取にあった場合は、速やかに警察署にも届ける。ただし、医療事故(過量投与や誤薬等)は、管理上生じた事故と 2 麻薬管理 3 麻薬の施用・交付 4 麻薬の廃棄 5 麻薬管理における事故・盗難 麻薬及び向精神薬取締法(以下、麻向法)は、麻薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、一方でその有益性を活用するため、施用等について定められた法律である。医療用麻薬であるモルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、コデインおよびケタミンなどが、麻薬として規制されている。 1麻薬の取り扱いに関する一般的事項
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II章背景知識 2 薬局での取り扱いについて A A A A A 1 病院・診療所での取り扱いについて は異なるため、施設ごとに決められた対応となる。(麻向法第35 条) Q1 入院患者が麻薬内用剤を自己管理して服用することはできますか。 麻薬の使用や疼痛状況について自ら記録ができ、自己管理ができると判断した入院患者については、レスキュー・ドーズや数日分の麻薬を自己管理し、施用することができます。その際には、服用状況等の記録をとる必要があります。また、患者が自己管理する麻薬を不注意で紛失等した場合は、麻薬事故届などを提出する必要はありませんが、その原因や今後の自己管理の可否についての確認が必要です。 Q2 病棟、手術室、集中治療室等で麻薬を定数保管できますか。 緊急に麻薬を施用する部署では、注射剤、各種内用剤、坐剤、貼付剤を定数保管することができます。定数保管する麻薬は専用の保管庫を用い、施用した際には施設で取り決めた時間内に定数の確認、補充をしておく必要があります。 Q3 自己疾病治療のために麻薬を施用している患者が、海外に麻薬を持ち出すには どのような手続きが必要ですか。各地方厚生(支)局麻薬取締部に連絡の上、申請書類を入手し、出入国の2 週間前までに地方厚生(支)局長に申請書を提出して許可を受ければ患者自身が麻薬を携帯して出入国できます。ただし、この許可を受けても、郵送や知人などに託して麻薬を輸出入することはできません。渡航先によっては日本と異なる法規制が取られている場合がありますので、出発前に各国の大使館等に問い合わせください。 Q4 入院時に患者が麻薬を持参してきた場合、そしてそれを廃棄する場合は どのようにすればよいですか。麻薬帳簿に患者氏名と受け入れ麻薬の品名および数量を、残量に加えずに記載するとともに、麻薬施用者がその継続施用の可否を判断してください。持参麻薬を継続施用する際には、新たに麻薬処方せんを交付する必要はなく、麻薬帳簿に払出しの記録をつけ、診療録には施用状況を記載してください。持参麻薬を継続施用せずに廃棄する場合は、調剤済麻薬の廃棄の手順に従ってください。 Q1 在庫不足のため当該麻薬を調剤できない場合、近隣の薬局から借りることはできますか。 あらかじめ管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部に必要書類を提出し、麻薬小売業者間譲渡許可を受けた場合は、当該不足分を近隣の麻薬小売業者間で譲渡・譲受することができます。 2麻薬に関するよくある質問
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Q2 麻薬小売業者は麻薬卸売業者から郵送により麻薬を受け取ることはできますか。 麻薬小売業者が麻薬卸売業者の業務所から遠隔地にある場合は、麻薬を書留便等の郵送により麻薬卸売業者から譲り受けることができます。ただし、遠隔地の範囲については各都道府県の薬務主管課の指示に従ってください。 Q3 患者の病状等により直接、麻薬を譲り受けることができない場合、 患者を看護している看護師に渡すことはできますか。患者や患者家族等から依頼を受けた看護師、ホームヘルパー等にも麻薬を直接、譲り渡すことができ、手渡した時点で交付したことになります。その際、その看護師等が患者等から依頼を受けた者であることを確認してください。また、交付された麻薬を患者が指示どおりに服薬していることを患者または患者家族等に随時、確認してください。ただし、麻薬注射剤については、麻薬施用者から指示を受けた看護師に対してはアンプルのまま渡すことができますが、患者や患者家族、ホームヘルパー等には薬液を取り出せない構造で、注入速度の設定を変更できない状態で交付してください。 Q4 ファクスにより受けた処方せんで麻薬を調剤できますか。 ファクスにより送信された麻薬処方せんの内容に基づき、調剤を開始することができます。後刻、正式な麻薬処方せんを受領し、内容を確認してから麻薬を交付してください。患者等が受け取りに来ない場合は、調剤前の麻薬として再利用できますが、再利用できない液剤等を廃棄する場合は、麻薬廃棄届を都道府県知事に提出してください。 Q1 在宅で使用するために交付された麻薬充填済みの連続注入器の取り扱いや、 患者への指導はどのようにしたらよいでしょうか。在宅で施用するために交付された麻薬注射剤は、患者等の責任のもとで取り扱うこととなります。そのため、人目につかないところに保管すること、他の物と間違って使用しないように扉の閉まる棚等に他の物と区別して保管すること、製剤の安定性を考慮して直射日光を避けて保管することなどを指導してください。また、患者宅で紛失や盗難にあった場合には、交付された麻薬診療施設または麻薬小売業者に届け出るよう指導するとともに、特に盗難の場合には、速やかに警察に通報するよう説明してください。使用済みまたは未使用で不要となった持続注入器は、交付された麻薬診療施設または麻薬小売業者に持参するよう指導してください。 3 在宅医療での取り扱いについて A A A A
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II章背景知識 Q2 在宅患者に対して調剤された麻薬は、当該患者の死後、 どのように扱ったらよいでしょうか。飲み残しや不要となった麻薬は、交付を受けた麻薬診療施設または麻薬小売業者に持参するか、近くの麻薬診療施設、麻薬小売業者に持参するように指導してください。ご遺族等から麻薬を引き取った場合は、麻薬管理者または麻薬小売業者が、他の職員1名以上の立会いの下に回収が困難な方法で廃棄し、廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」により都道府県知事へ届け出てください。 Q3 在宅で使用するために麻薬診療施設および麻薬小売業者より交付された麻薬充填済み の持続注入器が、麻薬診療施設および麻薬小売業者に持参された場合、どのように廃棄すればよいでしょうか。返却された持続注入器は使用の有無にかかわらず、施用残として取り扱ってください。その際、患者氏名、返却および廃棄の年月日、品名等を帳簿に記載する必要があります。もし、患者自身が廃棄したとの報告を受けた場合には、その旨を備考欄等に記載してください。 Q4 院外麻薬処方せんのみを交付している麻薬診療施設でも、 麻薬保管庫を設置する必要がありますか。院外麻薬処方せんのみを交付し、麻薬を保管・施用する予定のない診療施設では、必ずしも麻薬保管庫を設置する必要はありません。このような場合、ご遺族等から麻薬を引き取った際は直ちに調剤済麻薬として廃棄してください。また、麻薬診療施設内で麻薬を施用する必要が生じた場合には、施設内に麻薬専用の保管庫を設置するようにしてください。(「3在宅医療での取り扱いについて」-Q2 参照) Q1 麻薬に関する問い合わせ先や参考資料を教えてください。 麻薬の取り扱い等で不明な点については、最寄りの保健所、各都道府県の薬務課もしくは地方厚生(支)局麻薬取締部にお問い合わせください。また、麻薬を取り扱う際には以下の資料を参考にしてください。・「病院・診療所における麻薬管理マニュアル」(平成18 年12月/厚生労働省医 薬食品局 監視指導・麻薬対策課)・「薬局における麻薬管理マニュアル」(平成18 年12月/厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課)・「麻薬・向精神薬・覚せい剤管理ハンドブック 第8 版」(財団法人 日本公定書 協会 監修/じほう)・「医療用麻薬適正使用ガイダンス―がん疼痛治療における医療用麻薬の使用と 管理のガイダンス」(平成21年3月/厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課) (佐野元彦、赤木 徹、細谷 治) 4 麻薬に関する問い合わせ先 A A A A
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1患者はオピオイドをどうとらえているか 1 オピオイドに対する患者の心配は何か 1)海外における患者のオピオイドについての認識がん患者はオピオイドの使用をためらうことが少なくない。患者の躊躇に関係した認識として、「麻薬中毒」になる心配、「徐々に効かなくなる」ことへの心配、鎮痛薬の「副作用が強い」ことへの心配、痛みが疾患の進行を予期させることによる不安、「医師は痛みについての話をよく思わない」との考えなどが挙げられる。患者がオピオイドの使用を躊躇する要因(barrier)を定量的に測定する手段として最もよく用いられるBarrier Questionnaireでは、患者がオピオイドの使用をためらう要因として8つの項目が抽出されている(表1)。終末期がん患者988 例を対象とした、痛みに関する治療についての米国の大規模調査で は、がん患者の約半数が中等度以上の強い痛みを体験していたが、疼痛治療をさらに求めていたのは約30%にすぎなかった。その理由には、「麻薬中毒の心配」が約40%、「オピオイドの副作用の心配」が約30%などが挙げられ、疼痛治療では、単に痛みを緩和するだけでなく、患者のオピオイドについての誤解に働きかけることや、オピオイドの副作用と鎮痛効果のバランスに配慮することが重要であると結論している。また、実際に「いま」痛みを体験しており、オピオイドを使用する選択肢を初めて提示された患者18 例を対象とした質的研究では、「モルヒネは最後の手段である」、「モルヒネの使用により痛みは取れるが、体が動かなくなることで生活ができなくなり死を早める」と認識している患者が多かった。そのような認識の理由として、「死亡した家族や友人の経験」や「人から聞いた話」、「医師からの説明」が挙げられた。一方、患者は、オピオイドについて「少量から始めて、体に合わなければやめてもいい」と説明されることで、よりオピオイドを受け入れやすくなると述べていた。また、「麻薬中毒」や「徐々に効果がなくなる」ことへの心配を挙げた患者は少なかったことから、「いま」痛みを体験している患者におけるオピオイドの使用の主要なバリアは、オピオイドが「死に向かう過程を安楽に過ごすためだけの手段」と思われることであると指摘している。以上より、海外の先行研究では、がん患者はオピオイドに対して、 1「麻薬中毒になる」といった誤解をもっているため、誤解に対する説明が必要であること、2鎮痛効果とバランスの取れた副作用対策に配慮すること、および3「最後の手段」といった、死を連想させることに対する配慮が重要であることが示唆される。 2)日本における患者のオピオイドについての認識患者のオピオイドについての認識に関して、日本でもいくつかの研究が行われている。 6 患者のオピオイドについての認識 この項では患者のオピオイドの認識や懸念を取り扱うため、欧米の研究におけるaddictionをより患者の表現に近い「麻薬中毒」と表現する。ただし医学的な術語についてはP55を参照。 表1 BarrierQuestionnaire8 項目 1. 精神依存(「麻薬中毒」)になる。2. 徐々に効果がなくなる。3. 副作用が強い。4. 痛みは病気の進行を示す。5. 注射がこわい。6. 痛みを治療しても和らげることができない。7. 痛みを訴えない患者は「良い患者」であり、良い患者でいたい。8. 医療従事者は痛みの話をすることを好まない。
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II章背景知識 Moritaらの一般人口5,000 名を対象とした全国調査では、約30%が「モルヒネは中毒になる」、「モルヒネは寿命を縮める」といったオピオイドについての「誤解」をもっていた。近藤らは、がん疼痛のためモルヒネを経口投与している外来通院患者32 例を対象として、Barriers Questionnaireを用いた調査を行った。モルヒネに関する心配として頻度が高かったのは、「病気の進行への心配(「痛みがあるのは病気が重くなっているためである」など)」、「耐性の心配(「痛みが強くなった時に効かなくなる」など)」、「習慣性の心配(「痛み止めの薬は習慣性が起こるので危ない」など)」であった。Moritaらは、緩和ケア病棟に入院中にモルヒネを開始したがん患者50 例を対象としてモルヒネに関する心配を同定したところ、「精神症状の副作用がある」、「寿命を縮める」、「麻薬中毒になる」との心配が約40%に認められ、心配の数はオピオイドを開始するかどうかの意思決定に関係していた。吉田は、がん疼痛で鎮痛薬を使用している49 例の患者を対象に面接調査を行った。その結果、患者は「痛みのコントロールに対する不満」をもっているが、「医療者に何もしてもらえないため痛みを訴えても無駄」と感じており、さらに、鎮痛薬の使用に関して「依存性に対する懸念」、「副作用への不安」をもっていた。以上より、海外の研究と同様に、本邦においても、がん患者はオピオイドに対して、1「麻薬中毒になる」、「寿命を縮める」といった誤解をもっているため、誤解に対する説明が必要であること、2鎮痛とバランスの取れた副作用、特に眠気などの精神症状に配慮すること、および3 「最後の手段」といった死を連想させることに対する配慮が重要であることが示唆される。 3)オピオイドに対する認識のまとめ表2にオピオイドに対する患者の認識と臨床的対応をまとめた。がん患者がもつオピオイドの認識として、医学的事実と一致しない「誤解」(「麻薬中毒になる」、「寿命が縮まる」、「徐々に効果がなくなる」など)がある場合には、その認識に至った患者個々の背景などを十分に把握したうえで、がん疼痛やオピオイドについての情報を提供していく必要がある。また、患者は痛みが取れることだけを希望しているわけではなく、「バランスの取れた疼痛治療」を希望していることを念頭に、副作用への配慮や対策を十分に行うことが必要である。さらに、オピオイドが最後の手段や死を連想させることによる不安に対しては、疼痛治療を行うことは単に「楽になる」だけではなく、「いまできないことができるようになること」を伝えることや、「いったん始めても、具合が悪ければ相談してやめてもよいこと」、死の不安を念頭に置いた精神的なサポート(否認への配慮)が必要になる。 (廣岡佳代) 表2 オピオイドに対する患者の認識と臨床的対応 患者の認識臨床的対応「麻薬中毒になる」、「寿命を縮める」などの誤解・誤解に対する患者の考えを把握する・上記をもとに、オピオイドに関する説明を行う副作用への心配・鎮痛効果とバランスの取れた副作用対策を行う・精神症状に配慮する 「最後の手段」など、死を連想させること・「楽になる」だけではなく、オピオイドを使用することで「できないことができる」 ようになることを伝える・死の不安に対する精神的サポートを提供する
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【参考文献】 1) Jacobsen R, Møldrup C, Christrup L, Sjogren P. Patient-related barriers to cancer pain management: a systematic exploratory review. Scand J Caring Sci 2009; 23: 190-208 2) Ward SE, Goldberg N, Miller-McCauley V, et al. Patient-relatied barriers to management of cancer pain. Pain 1993; 52: 319-24 3) Weiss SC, Emanuel LL, Fairclough DL, Emanuel EJ. Understanding the experience of pain in terminally ill patients. Lancet 2001; 357(9265): 1311-5 4) Reid CM, Gooberman-Hill R, Hanks GW. Opioid analgesics for cancer pain: symptom control for the living or comfort for the dying? A qualitative study to investigate the factors influencing the decision to accept morphine for pain caused by cancer. Ann Oncol 2008; 19: 44-8 5) Morita T, Miyashita M, Shibagaki M, et al. Knowledge and beliefs about end-of-life care and the effects of specialized palliative care: a population-based survey in Japan. J Pain Symptom Manage 2006; 31: 306-16 6) 近藤由香, 渋谷優子, 痛みのある外来がん患者のモルヒネ使用に対する懸念と服薬行動に関する研究.がん看護 2002; 16: 5-16 7) Morita T, Tsunoda J, Inoue S, et al. Concerns of Japanese hospice inpatients about morphine therapy as a factor in pain management: a pilot study. J Palliat Care 2000; 16: 54-8 8) 吉田みつ子. 痛みのある癌患者の日常生活の安寧感と痛みのコントロール. 日本看護学会誌 1997; 17 (4): 56-63 2 オピオイドの誤解についての医学的真実 1 「オピオイドを使用すると『麻薬中毒』になる」という誤解精神依存(いわゆる「麻薬中毒*」)とは、自己制御できずに薬物を使用する、症状(痛み)がないにもかかわらず強迫的に薬物を使用するなどの行動によって特徴づけられる一次性の慢性神経生物学的疾患である(P55,II-4-1-13 精神依存・身体依存・耐性の項参照)。オピオイドはがん疼痛に有効な薬剤であるが、がん患者にとってオピオイドの精神依存は大きな懸念であり、オピオイド導入への障害の一つの要因である。しかし、がん疼痛に対してオピオイドを使用した場合、精神依存が生じることはまれである。がん患者を対象にした4つの研究における「精神依存」(研究によってaddictionなど用いられた定義が異なっている)の発現率は、0/74例(横断研究)、0/148 例(後向き研究)、2/100 例(後向き研究)であった。特に、オピオイドを使用したがん患者を追跡したコホート研究では、550 例中1例(0.2%)がPortenoyのaddictionの基準を満たしたのみである(Højsted J)。したがって、がん疼痛で精神依存を生じる可能性は非常に低く、がん疼痛に対して精神依存になる懸念がオピオイドの使用を控える理由とはならない。 2 「オピオイドを使用すると寿命が縮まる」という誤解WHO方式がん疼痛治療が普及する以前は、「痛みに対してオピオイドを定期的に投与する」ことは少なかった。したがって、がん疼痛に対して、「痛みが耐えられなくなってから」、全身状態の悪化している患者に「いよいよモルヒネの注射」を行うことが多かった。そのため、急激に血中濃度が上昇し、副作用を生じる場合もあったと推測される。このことが「モルヒネは死を早める」という印象を一般の人たちだけでなく医療従事者にも与えたと考えられる。しかし、WHO方式がん疼痛治療法に基づき、痛みの強さに応じてオピオイドを定期的に鎮痛に必要な量で投与すれば、患者の生命予後に影響を与えないことを、3つのコホート研究が示唆している。Bercovitchらは、イスラエルの1つの緩和ケア病棟の終末期がん患者453 例を対象に、オピオイドの使用量と入院から死亡までの生存期間との相関を検討した。入院中に投与さ *:麻薬中毒医学的には「依存性とは関係なく、大量投与時あるいは慢性的に投与した時に現れる有害反応」、法律用語では「麻薬、大麻又はあへんの慢性中毒」をいう。
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II章背景知識 れた定期およびレスキュー・ドーズのオピオイドの平均投与量をモルヒネ経口投与換算して300mg/日以上の群と未満の群とでは、生存期間に有意な差はなかった(15日 vs 14日)。また、600mg/日以上を使用した群、300 〜599mg/日を使用した群、300mg 未満を使用した群の3 群で比較しても生存期間に有意差はなかった。したがって、オピオイドの投与量は生命予後に影響を与えないと結論した。Moritaらは、日本の1つの緩和ケア病棟の終末期がん患者209 例を対象に、オピオイドの使用量と入院から死亡までの生存期間との相関を検討した。死亡前48 時間にモルヒネ経口投与換算600mg以上を使用した群、240 〜599mgを使用した群、240mg 未満を使用した群の3 群で比較して生存期間に有意差はなかった。また、オピオイドの投与量を生命予後の予測式に追加しても説明率の有意な上昇はみられなかったことから、オピオイドの投与量は生命予後に影響を与えないと結論した。Portenoyらは、米国の在宅ホスピス13プログラムでケアを受けた1,306 例のうちオピオイドの投与を受けた725 例(がん患者307例、42%)を対象に、ホスピスプログラムに紹介されてから死亡までのオピオイドの最大使用量および最終のオピオイドの増加率と、生存期間との相関を検討した。モルヒネ静脈内投与換算200mg/日以上を使用した群と、200mg/日以下を使用した群とでは、モルヒネを大量使用しているほうが生存期間は長かった(47日 vs 28日)。生存期間を目的変数として、モルヒネ投与量を説明変数とした回帰分析を行うと、モルヒネ投与量は、原疾患の診断、意識水準、痛みの程度などと同様に生命予後の有意な説明要因であったが、どのモデルも説明率は10%未満であった。以上から、モルヒネの投与量は生命予後に相関したが、説明率は小さく、オピオイドを必要とした背景の要因(例えば呼吸困難など)の影響を受けている可能性があるため、「オピオイドが生命予後を短縮するかもしれない」との懸念はオピオイドによる鎮痛を差し控える理由にはならないと結論した。 ** 以上より、既存の研究の対象は、専門的な緩和ケアを受けている終末期のがん患者に限られているものの、オピオイドの使用が生命予後を短縮するという根拠はない。「オピオイドを使用すると寿命が縮まる」懸念のために、鎮痛のためのオピオイドを差し控えることは妥当ではないと考えられる。 (新貝夫弥子) 【参考文献】 1) Højsted J, Sjøgren P. Addiction to opioids in chronic pain patients: a literature review. Eur J Pain 2007; 11: 490-518 2) Bercovitch M, Waller A, Adunsky A. High dose morphine use in the hospice setting, A database survey of patient characteristics and effect on life expectancy. Cancer 1999; 86: 871-7 3) Morita T, Tsunoda J, Inoue S, et al. Effects of high dose opioids and sedatives on survival in terminally ill cancer patients. J Pain Symptom Manage 2001; 21: 282-9 4) Portenoy RK, Sibirceva U, Smout R, et al. Opioid use and survival at the end of life: a survey of a hospice population. J Pain Symptom Manage 2006; 32: 532-40
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7 がん疼痛マネジメントを改善するための組織的な取り組み *1:がん疼痛マネジメント適切で効果的な疼痛緩和を行うために、患者の体験に焦点をあてた包括的評価、痛みの治療やケア(薬物療法、その他の治療、非薬物療法、ケア)および、継続的な評価を含めた多職種で行う過程である。 *2:NRS(numerical rating scale)痛みを0から10の11段階に分け、痛みが全くないのを0、考えられるなかで最悪の痛みを10として、痛みの点数を問うもの。P26参照。がん疼痛マネジメント*1を改善するためには、基本的な知識や技術に加えて、それらを効 果的に活用できるような組織的な取り組みを行うことも重要である。本項では、がん疼痛マネジメントを改善するための組織的な取り組みに関する系統的レビューの結果を中心に要約する。また地域への介入についても取り上げる。 1 医療従事者への教育 がん疼痛マネジメントやオピオイドに関して、1多くの医師はがん疼痛マネジメントの重要性を認識しているが、自分の知識や技術が不足していると感じている、2医師は高用量のオピオイドの使用やオピオイドの副作用に不安をもっている、3系統的な疼痛アセスメントの手段を用いている医師は非常に少ない、4適切な副作用対策を行っている医師は少ない、ことが明らかになっており、がん患者の疼痛マネジメントの改善には、医療従事者への教育が重要であると思われる。1980年代以降、がん疼痛マネジメントに関する教育への関心が高まり、内科・外科の腫瘍学テキストや医学雑誌でも、がん疼痛が幅広く取り扱われるようになった。全国規模や地域で疼痛マネジメントの教育コースも開催され、医学生や研修医の教育プログラム、看護系教育にも疼痛マネジメントが取り入れられることが増えている。教育の効果に関する研究では、例えば、米国の医師20 名、看護師38 名、患者105 名を対象に無作為化比較試験が行われ、介入群の医療従事者に対して5 時間のカリキュラムが1回実施された。4カ月後、介入群の医療従事者から治療を受けた患者では、痛みのNRS*2の平均値が対照群の患者と比べ改善した(3.6 →2.8 vs 3.0 →3.0, p=0.05)。しかし医療従事者がカリキュラムを受けてから140日を過ぎるとその改善効果は減少した。また、米国の在宅看護師336 名、患者673 名を対象とした無作為化比較試験では、看護師を3 群に分け、基本介入群にはe-mailを使用して、個々の患者に推奨される疼痛マネジメントに関する情報提供が行われた。拡大介入群にはe-mailに加えて、疼痛アセスメントの情報が書かれたポケットカードなどが提供された。対照群には新たな情報提供は行われず、これまでと同じように患者ケアを行った。介入前の患者の痛みのNRSは3 群ともほぼ同レベルであった(5.3〜5.4)。45日後、痛みの最大値は、対照群4.5、基本介入群3.6、拡大介入群3.3となり、対照群と拡大介入群で有意差を認めた(p=0.03)。痛みの平均値は、対照群3.7、基本介入群2.2、拡大介入群3.1で、対照群と基本介入群で有意差を認めた(p=0.05)。その他、看護師を対象に、 1時間だけの講義から3時間のセッションを8週間行うものなど、さまざまな方法が試みられている。その結果、痛みや鎮痛薬処方に関する看護師の知識が増え誤解が減っているが、患者の痛みを改善し満足度を高める効果は証明されていない。医師だけを対象とした教育に関する研究はほとんどない。以上より、医師や看護師への教育は患者の痛みを緩和する一定の効果がある可能性があるが、どのような医療従事者を対象にどのような教育を行うことが、有効であるかについての十分なエビデンスはない。 2 がん疼痛アセスメントのルーチン業務化 適切な疼痛マネジメントを行うためには、まず患者の痛みを適切に認識し評価することが必要である。そこで、標準化した疼痛アセスメントを施設のルーチン業務として行い、疼痛マネジメントの改善を図ることが試みられている。例えば、痛みを5 番目のバイタルサインとして捉えて、ベッドサイドチャートにグラフで記入す
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II章背景知識 *:メタアナリシスあるテーマについて、過去に独立して行われた複数の臨床研究を系統的に収集し、データを統合・解析する統計的手法。 る方法、標準化した疼痛アセスメント用紙や疼痛管理シートを使用する方法、教育セッションとアセスメントツールを組み合わせる方法、施設規模での学際的多職種チームで介入する方法などが行われている。本邦では、電子カルテに痛みを取り入れることで病院内の痛みのある患者をスクリーニングするシステムが試みられている。こうした方法により、痛みの発見や記録方法について改善を得ることができる。また、疼痛マネジメントに関する患者と医療従事者の満足度を高め、鎮痛薬の適切な処方につながる場合もある。しかし、患者の痛みそのものを改善することは証明されていない。 3 がん疼痛治療の監査(audit)と医療従事者へのフィードバック 看護師や医師を含む多職種チームによる臨床行為の監査と実際に治療を担当している医療従事者へのフィードバックにより、術後患者の痛みの発見が早くなり、疼痛マネジメントが改善することが報告されている。がん患者を対象としたものでは、看護師や患者への教育、疼痛アセスメント、患者の満足度などを組み合わせて監査し、看護師にフィードバックする方法などが行われている。その結果、看護師の疼痛アセスメントの頻度が増え、看護師や患者の満足度を上げる可能性が示唆されている。しかし、患者の痛みの改善を示せた報告はない。 4 コンピューターを用いた診療支援システム(computerized decision support system;CDSS) コンピューターを用いた診療支援システムを用い、鎮痛薬の処方開始時期、薬剤の増量や変更、消化器症状への処方などのアドバイスを行うことで、医師の適切な薬剤処方を増やし、副作用を防ぐことが期待されている。しかし、CDSSを用いたこれまでの研究では、患者の痛みを改善する結果は得られていない。その理由として、CDSSでは自動的に薬剤が処方されるのではなく医師が最終的に処方を決定することや、対象患者が少数であったことなどが挙げられ、がん疼痛マネジメントにおけるCDSSの効果は、今のところ不明である。 5 専門家、専門チームへの相談 がん疼痛マネジメントの良し悪しは、患者を診療する医師の専門性や技量にも左右される。すなわち、痛みなどの症状マネジメントの訓練を受けた専門家やチームに相談することは、がん患者の疼痛マネジメントの有効な方法の一つと思われる。19 の研究を対象としたメタアナリシス*では、緩和ケアチームの関わりにより、患者の痛みの軽減(オッズ比:0.38)や他の症状の改善(オッズ比:0.51)が有意にみられ、患者の満足度の向上や疼痛マネジメントの改善が認められる傾向がある。また家族の満足度が向上することも報告されている。 6 地域に対する介入 米国ミネソタ州では、地域のオピニオンリーダーとなる医師と看護師が2日間の疼痛マネジメントに関する教育を受けた後、実行部隊(task force)として地域での啓発活動を15カ月間行った。対照群地域と比較して患者の痛みの出現率や疼痛治療の適切さを示す指標は改善する傾向がみられたが、痛みの強さは改善しなかった。ドイツのブレーメンでは、地域の医師、薬剤師、看護師、がん患者や家族、公共機関を対象に、がん疼痛について啓発活動が2 年間行われ、その前後でのオピオイドの処方状況が検討された。介入地域と対照地域ともに、オピオイド処方を受けた患者数は著変なかったが(19.1
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%→19.4% vs 15.9%→16.2%)、オピオイドの総処方量は介入地域で著増した(210%増 vs 20%増)。しかしこの増加は、以前より高用量の処方を行っていた医師の処方量が増加したものであり、地域全体の改善につながったとはいえないと結論している。 ** 以上のように、組織的な取り組みによりがん疼痛マネジメントを改善しようとする試みはいくつかあるが、今までのところ、いずれの方法も十分なエビデンスをもっているとはいえない。これまでに行われた研究の多くは、1サンプルサイズやサンプル選択が不適切である、2観察期間や追跡調査が不十分である、3痛みの原因やタイプを分析していない、4アウトカムとして痛みの強さが評価されていない、などの欠点をもっている。無作為化比較試験もほとんど行われていない。がん患者の疼痛マネジメントを改善するためには、個々の診療技術の向上とともに、本邦の医療現場に合った組織的な取り組み方法を開発し、検証していくことが期待される。 (西岡弘晶) 【参考文献】 1) Goldberg GR, Morrison RS. Pain management in hospitalized cancer patients: a systematic review. J Clin Oncol 2007; 25: 1792-1801 2) Jacobsen R, Sjøgren P, Møldrup C, Christrup L. Physician-related barriers to cancer pain management with opioid analgesics: a systematic review. J Opioid Manag 2007; 3: 207-14 3) Du Pen AR, Du Pen S, Hansberry J, et al. An educational implementation of a cancer pain algorithm for ambulatory care. Pain Manag Nurs 2000; 1(4): 116-28 4) McDonald MV, Pezzin LE, Feldman PH, et al. Can just-in-time, evidence-based “reminders” improve pain management among home health care nurses and their patients? J Pain Symptom Manage 2005; 29: 474-88 5) Morita T, Fujimoto K, Namba M, et al. Screening for discomfort as the fifth vital sign using an electronic medical recording system: a feasibility study. J Pain Symptom Manage 2008; 35: 430-6 6) Higginson IJ, Finlay IG, Goodwin DM et al. Is there evidence that palliative care teams alter endof-life experiences of patients and their caregivers ? J Pain Symptom Manage 2003; 25: 150-68 7) Zimmermann C, Riechelmann R, Krzyzanowska M, et al. Effectiveness of specialized palliative care: a systematic review. JAMA 2008; 299: 1698-709 8)Elliott TE, Murray DM, Oken MM, et al. Improving cancer pain management in communities: main results from a randomized controlled trial. J Pain Symptom Manage 1997; 13(4): 191-203 9) Hoffmann W, Munzinger H, Horstkotte E, Greiser E. A population-based evaluation of an intervention to improve advanced stage cancer pain management. J Pain Symptom Manage 2004; 28: 342-50
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II章背景知識 8 薬物療法以外の疼痛治療法 放射線治療は多くのがんに伴う局所の症状の改善に有効な手段である。放射線治療においては、治癒を目的とする「根治的」治療から、術後などに用いられる「予防的」治療、症状制御を目的とする「緩和的」治療などいろいろな目的の設定が可能である。この「緩和的」放射線治療の分野において、多くの疼痛緩和に対して放射線治療が有効であるが、有痛性骨転移を除き無作為化比較試験などエビデンスレベルの高い臨床研究は少ない。この理由として、臨床においては治療手段や治療目標が患者の病状や全身状態、心理社会的条件によって大きく変化するために「標準的治療」の確立が極めて困難であることが大きな要因である。がん疼痛治療における放射線治療としては、有痛性骨転移に対する有効性が最もよく知られているが、それ以外にも、痛みの原因が局所の腫瘍による場合は放射線治療の適応となる可能性がある。具体的には脳転移による頭痛、神経や軟部組織への腫瘍の浸潤に伴う痛み、腫瘍による管腔臓器の狭窄や閉塞に伴う痛みなどが挙げられる。これらの痛みについては責任病巣が明確であれば、放射線治療の適応となる。また、単発の骨転移は2 〜3%と比較的まれではあるが、根治的治療例も報告されている。近年、悪性疾患の診断・治療の早い段階からの緩和ケアの導入が望まれているが、放射線治療は疼痛緩和のみならず根治的治療としても極めて有用である。したがって、最適な放射線治療を行うためには、個々の痛みに対して責任病巣を画像診断的に正確に把握し、病状や他治療との組み合わせなども考慮することが重要である。放射線治療の治療範囲やあてる放射線の量(線量/分割)の設定は、治療に対して期待される効果や患者の病状などによってさまざまである。病状が進行し、放射線治療の効果にかかわらず予後が短いと考えられる場合には、有痛性骨転移の1回照射のように短期間で終了し、有害事象(副作用)が比較的起こりにくい治療法の選択が望ましい。また、放射線治療の対象となる腫瘍が大きい場合には痛みの原因となる部分だけの照射にとどめて全身状態への負担を軽減するようなことも検討する必要がある。痛みの責任病巣の局所制御により予後の改善が期待される場合や、比較的長期生存が期待される場合には根治的な放射線治療が必要とされる。この場合は、総線量が多く治療期間も長い治療が選択され、治療範囲も可及的に病巣を十分にカバーするように設定される。さらに、放射線治療による症状の改善によって患者の状態が好転した場合や、局所制御目的の治療中に何らかの原因で全身状態が悪化した場合には、治療目標の再設定とそれに伴う治療法の変更が必要である。 2 放射線治療の種類 放射線治療の種類について述べる前に、しばしば混同されるIVR(interventional radiology)との違いについて明らかにしておく。IVRとは、治療手技そのものに画像診断の 1 疼痛治療における放射線治療の基本的な考え方 1 放射線治療 本項は日本放射線腫瘍学会に依頼して作成したものである。 1がん疼痛治療における放射線治療概論
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介入が必要なものを指す。この場合のradiologyとは画像診断のことである。IVRの代表例である肝臓の経カテーテル動脈塞栓療法(transcatheter arterial embolization;TAE)の場合、治療手技は塞栓物質による動脈の血流遮断であるが、そのために血管造影が必要である。有痛性骨転移治療の領域で知られている経皮的骨形成術では骨セメントの注入に、X 線やCTによる透視が必要となる。これに対して、放射線治療というのは、治療手段そのものが「放射線」であり、何らかの方法で人体・組織に与えられた放射線が腫瘍組織や細胞に影響して、治療効果を得る。両者は本質的に全く異なるものである。放射線治療の手段としては、いくつかの種類がある。一概に治療手段別に適応を限ることはできないが、治療の適応や治療装置のある他病院・施設への紹介を考える場合にはそれぞれの特徴を理解しておく必要がある。 1)外照射(体外照射)一般的に放射線治療という場合、体の外から放射線をあてる体外照射(以下、外照射)を指すことが多い。リニアック(高エネルギー放射線治療装置)・ガンマナイフ®・サイバーナイフ®などというのは制御系などの機械的な特性の異なる装置名であって、外照射であるという点においては同じである。また、リニアック装置に特殊な機能を付加することによって放射線の集中性を非常に高めた、定位放射線治療(SRT)、強度変調放射線治療(IMRT)や臓器などの位置移動などを画像上で確認して治療位置の調整を行う画像誘導放射線治療(IGRT)といったものもあるが、いずれも外照射の一種である。この外照射においては、患者には治療中や治療計画(治療のやり方を決めるための画像検査など)にかかる数〜十数分(場合によっては数十分)の間、一定の体位を保持することが求められる。場合によっては、固定具などを作成する。がん疼痛治療においては、この体位保持が困難な場合が多く、鎮痛薬との併用を適切に検討することが必要である。前出のガンマナイフ®、サイバーナイフ®、SRT、IMRTおよびIGRTには治療範囲を極めて限局し、周辺臓器への影響を少なくした治療が行えるという利点がある。一方で、通常の治療よりも長時間にわたって十分な体位保持が必要であること、比較的高額の医療費がかかり保険適用のない場合も多いこと、施行できる施設に限りがあることなどの欠点もある。患者の社会的状況や放射線治療の目標に見合った手段の選択が必要である。さらに、陽子線治療・粒子線治療などの先端的な装置による体外照射も存在するが、根治的治療が目標となるような場合を除いては、がん疼痛治療としては一般的ではない。 2)密封小線源治療Ir-192(イリジウム)、Cs-137(セシウム)、Co-60(コバルト)などの放射線同位元素を含有した金属製の針や粒などを治療したい部位に留置あるいは刺入することで、局所的な放射線治療を行う方法である。非常にエネルギーの低い放射線を出す放射線同位元素を用いるため、放射線の影響を受ける範囲が限局されるという利点がある。近年普及してきたIr-192 (イリジウム)による高線量率組織内照射装置の場合、1 〜数cm程度の小さな病巣の場合には数十分の治療1回で腫瘍を縮小して鎮痛効果を得ることも可能である。しかし、放射性物質の管理上の問題や比較的特殊な治療技術であるために行える放射線腫瘍医(radiation oncologist)や施設が極めて限定されるという問題がある。また、症例によっては入院や全身麻酔が必要な場合があることや、多少観血的で侵襲性を伴うことも考慮しなくてはならない。
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II章背景知識 3)非密封小線源治療(内照射)放射性同位元素を含んだ内用剤〔I-131(ヨード)〕や注射剤〔Sr-89(ストロンチウム)〕を投与し、体内に入った放射性同位元素が一定の機序によって病巣に集積することで、放射線治療を行う方法である。使用される放射性同位元素の発生する放射線のエネルギーや半減期によって、外来での治療の可否や排泄物などの処理への配慮が異なってくるので詳細については各施設の核医学の専門家や放射線腫瘍医などに確認することが必要である。なお、比較的非侵襲的な治療法と考えられるが、現時点では臨床データの蓄積段階でもあるので、適応については十分に検討し、治療後は全身的な影響に関する経過観察が必要である。 1 有痛性骨転移に対する放射線治療 1)有痛性骨転移の機序と基本的な考え方骨転移は、がん疼痛の代表的なものであり、患者のQOLに大きく影響する。その頻度は原疾患により異なるが、例えば肺がん・乳がん・前立腺がんの患者ではその全経過中に高頻度で骨転移を有するようになると報告されている。骨転移による痛みの発生機序については十分に解明されているとはいえないが、全体像としては以下のように捉えられる。骨転移が成立する過程は、1原発巣から腫瘍細胞が遊離し血管内へ移動する、2腫瘍細胞が血流中で生き残る、3腫瘍細胞が血管から組織へ浸潤し、骨へ定着して微小転移巣を形成する、4転移巣で血管新生が起こり、腫瘍増大して骨融解を引き起こす、というように大別できる。細胞の遊離や移動にはカドヘリンなどの接着因子の機能状態、ケモカイン(白血球を遊走させるサイトカイン、白血球遊走因子)、低酸素や酸性環境、細胞形態の変化などの役割が大きい。骨転移巣の特徴の一つは、炎症時に見られるマクロファージや破骨細胞などの間質細胞間のシグナル伝達が、腫瘍細胞によっても引き出される点である。よって転移巣は炎症と同様に、骨の融解と造骨のいずれをももたらしうるが、破壊的骨融解に終わることが多い。PTH-rPは腫瘍細胞そのものが分泌し破骨細胞の活性を高める。腫瘍組織そのものは無痛である。骨転移巣がもたらす痛みは、まず影響を受けた骨に由来する痛みと巻き込まれた周辺の神経の痛みとに大別できる。前者は腫瘍細胞による発痛物質や、骨の内圧の上昇や骨の機械的強度の低下による骨内や骨膜にある感覚神経の終末装置への刺激による痛みであり、後者は腫瘍の直接神経根などへの浸潤・圧迫で生じる痛みと整理できる。しかしこれらの痛みを明確に区分できないことも多い。放射線治療による鎮痛効果の機序は十分に解明されているわけではないが、上記の骨転移痛発生のさまざまな段階に働きかけているものと考えられる。 2)有痛性骨転移に対する外照射有痛性骨転移に対する外照射は、緩和的放射線治療のなかでは最もエビデンスの得られている領域である。疼痛治療という観点での有効率は、原疾患にもよるが、60 〜90%である。鎮痛効果は、照射開始後2 週程度から出現し、4 〜8 週で最大になると考えられている。そのため、2 週〜1カ月を超える予後が期待されない症例は治療の適応とならない可能性が高い。標準的とされているのは1回3Gyを10 回、2 週間で治療する方法(30Gy/10 回/2 週)であ 2代表的ながん疼痛治療に対する放射線治療
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るが、鎮痛目的の放射線治療としては、8Gy/1回、12Gy/2回、20 〜24Gy/4 〜6回など数多くの線量分割法の報告があるが、鎮痛効果という点ではほぼ同等と考えられる。しかし、欧米などの無作為化比較試験などで8Gy 1回照射の疼痛再燃率や骨折のリスクは従来法より高いという報告もある。また、1回線量を多くした場合には、治療部位や治療範囲の大きさによっては副作用が大きくなる可能性が高い。実際の線量分割法を決定するにはこれらの要因を総合的に判断する必要がある。なお、緩和ケアの領域では患者の自己決定の尊重という観点も重要である。がんの病状の進行に伴って、痛みの明らかな原因となる骨転移が複数個所に及ぶ場合がある。このような場合、同時に何部位までの放射線治療を行えるかについては明らかな根拠はない。ただ、治療部位数が多くなれば結果として照射範囲が大きくなり全身への影響が出やすくなることや、1回の治療に時間がかかり体位保持が困難になりやすいことなどのデメリットもある。現行の保険診療では1回に2部位までしか認められていないという現実もふまえて、放射線治療部門と十分に相談し患者個々に応じた判断をする必要がある。また、一度放射線治療を施行した脊髄などの重要臓器が再度治療範囲に含まれてしまうような場合には、施設ごとに放射線脊髄症などの重篤な放射線障害のリスクに対する考え方に多少の違いはありうるが、現時点では数カ月以後の放射線障害の危険性を十分に考慮する必要がある。その上で、放射線脊髄症などの放射線障害について十分に説明がなされれば、治療を行うことも可能であるが、現状では障害発生も含めた説明同意書の作成などの配慮が不可欠である。放射線脊髄症などの放射線障害発生までの生存が見込めなければ同一部位再照射はより積極的な選択となりうるが、その場合でも障害発生リスクについての説明は必要である。有痛性骨転移の治療においては対象となる骨転移巣の性状を画像診断などで正確に評価することが不可欠である。対象となる骨転移巣の状態や期待される予後によっては、脊髄圧迫のリスクが高い病巣などの場合、照射目的として、鎮痛効果だけでなくある程度の局所制御も考慮することが好ましいと考えられる。また、末梢神経の圧迫や浸潤による神経障害を伴っている病変に対しては、放射線治療により鎮痛できる割合は40 〜60%と低く報告されているので、鎮痛薬、鎮痛補助薬の使用や神経ブロックなどの他治療の併用を検討することも必要である。全身に広がった多発性骨転移で痛みの責任病巣を明確にできない場合は、半身照射という選択肢がある。骨髄抑制や消化器症状(嘔気・嘔吐・下痢)などの急性期有害事象(副作用)が比較的強く、補液や制吐薬の前投薬などの十分な全身管理が必要な治療法である。鎮痛薬の改良や種々の治療方法の導入によって、現在ではほとんど行われなくなっている。そのため適応については、放射線腫瘍医に十分に相談し検討したうえで、慎重に判断する必要がある。 3)有痛性骨転移に対するRI(放射線同位元素)治療Sr-89はβ線という弱いエネルギーの放射線を出す物質で、骨転移巣の骨の改変に伴う再ミネラル化に伴って病巣に取り込まれ、治療効果を発現する。取り込まれたSr-89は病巣にとどまるため、有効期間は3カ月程度である。エネルギーが低いため、投与後数時間後には帰宅可能で外来にて使用可能である。有痛性骨転移の治療についてはいくつかの無作為化比較試験が報告され、外照射と同様の鎮痛効果が報告されている。本治療の適応を判断するにあたってはいくつかの点に留意することが必要である。第一に
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II章背景知識 無作為化比較試験の対象疾患がほとんど乳がん・前立腺がんであることで、有効性が明確なのは乳がん・前立腺がんの多発性造骨性病変という特定の病態である。しかし、本治療が治療戦略の主力として期待されるべき広汎な骨転移では効果が低かったという報告もある。第二に腫瘤を形成するような骨転移巣や骨折のリスクの高い溶骨性変化を示す病変に対しては外照射のように脊髄圧迫症候群や骨折を回避するだけの効果は期待できないことである。半身照射同様、骨髄抑制が重要な副作用である。すでに凝固系に異常を来しているような場合や、化学療法などの影響で骨髄抑制のリスクを有している場合は適応とならない。また、投与された放射性同位元素は体内に留まるため、骨髄抑制の回復には場合によっては数カ月を要する。そのため、化学療法や放射線治療が施行可能な場合には時期を慎重に検討する必要がある。特徴的な副作用としてはフレア現象と呼ばれる投与後の一過性の疼痛増悪で、20%前後に認められるので、患者への説明および十分な鎮痛薬の調整が必要である。有痛性骨転移に対するRI(放射線同位元素)治療としてはI-131による甲状腺がん骨転移の治療が古くから行われている。この治療は、I-131が放出するγ線の透過力が比較的強くて投与量が多いため、患者の体内および排泄物などの放射能レベルが低下するまで特殊病棟への入院を必要とする。そのため施行可能な施設がかなり限られている。 2 脳転移に対する放射線治療 脳転移は頭痛以外にもめまい、嘔気・嘔吐、種々の神経障害などを引き起こす。放射線治療はこれらの症状の緩和に用いられる。通常は25Gy 〜30Gy/8 〜10 回程度の外照射を行う。治療範囲は、疾患・病変の数と局在部位などによって決定し、線量も病状などによって増減する。脳以外の病変が制御されていて全身状態が良好な単発または3 個程度までの脳転移に対しては外科的切除や定位放射線治療などの局所治療が組み合わされる場合もある。 3 その他のがん疼痛に対する放射線治療 原発巣か転移巣かを問わず、痛みの責任病巣が局在する腫瘍として同定されれば、患者の全身状態が可能な限り放射線治療の適応となる。線量分割方法としては、30Gy/10 回前後が多いが、局所制御を得ることが好ましいと判断されれば50Gy/25回など根治的放射線治療と同様の治療を行う場合もある。体表に近い病変などでは、密封小線源治療の良い適応となる場合もある。 (日本放射線腫瘍学会 清水わか子)
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がん疼痛治療の基本はWHO方式がん疼痛治療法による薬物療法である。しかし、欧米、本邦のガイドラインのいくつかにも示されているように、適応を選べば神経ブロックが疼痛治療法として選択されることにより良好な鎮痛効果が得られる場合がある。神経ブロックが適応となるがん疼痛の病態・背景、適応は表1、2のとおりである。神経ブロックとは、「脳脊髄神経や脳脊髄神経節または交感神経節およびそれらの形成する神経叢に向かってブロック針を刺入し、直接、またはその近傍に局所麻酔薬または神経破壊薬を注入して、神経の伝達機能を一時的または永久的に遮断する方法」と定義される。現在では、高周波熱凝固による神経破壊も含まれ、さらに硬膜外腔やくも膜下腔へ麻薬や他の鎮痛薬を注入する方法(硬膜外ブロック、持続くも膜下オピオイド注入)も神経ブロックと手技が同じであることから、神経ブロックに含めるのが通常である。神経ブロックの適応を判断でき、技術的に施行可能な人材があれば、適切な時期に神経ブロックを行うことは極めて有効な鎮痛法で、早期から施行すべきであり、決して最後の手段ではない。ただし出血傾向や全身的感染症がある場合には施行できないことがある。 [適 応] 胃、小腸、肝臓、胆嚢、胆道、膵臓、脾臓、腎臓などの上腹部内臓痛。[処 置] 通常は後方からのアプローチである。 X 線透視下、 CTガイド下、エコーガイド下(以下、透視下)に横隔膜脚を越えて腹腔神経叢まで針を進める腹腔神経叢ブロックと、横隔膜脚、椎体、大動脈で囲まれるコンパートメント内で内臓神経をブロックする内臓神経ブロッ 1 腹腔神経叢、内臓神経ブロック 2 神経ブロック 1神経ブロックとは 2がん疼痛治療に行われる代表的な神経ブロック 表1 神経ブロックの適応となる病態・背景 1)大量のオピオイドの全身投与では鎮痛効果が得られない時2)オピオイドなどの鎮痛薬や鎮痛補助薬が副作用のために使用できない場合3)分節遮断(segmentalblock)や末梢神経ブロック、神経根ブロックが可能な限局した痛みで、神経ブロックにより鎮痛効果が得られると考えられる場合4)ときにオピオイド使用量があまりに多く、経済的効果を考慮せざるを得ない場合 表2 神経ブロックの適応となる痛み 1)膵臓がんなど上腹部腹腔内臓器による腹痛、背部痛などの内臓痛2)直腸、前立腺、子宮頸部などの骨盤内臓器による内臓痛3)骨転移に伴う体動時痛4)筋攣縮(こむら返りなどの筋けいれん)の痛み5)神経障害性疼痛6)消化管蠕動に伴う痛み7)入浴により緩和する痛み(交感神経ブロックが適応)
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II章背景知識 クとがある(図1、2)。いずれの場合も水溶性造影剤を注入して、的確なブロック針の位置、造影剤の広がりを確認し、さらに局所麻酔薬の投与で効果を確認してから、神経破壊薬 (50〜99.9%アルコール、 7〜10%フェノール) 10 〜20mLを注入する。[特 徴] 腹腔神経叢(内臓神経)は交感神経であるため、ブロックすると副交感神経が優位となることから内臓の血管が拡張し血圧低下や下痢を生じるが、オピオイドの副作用である便秘を解消し食欲が亢進することが多い。[有効率] 75〜85% [合併症] 一過性の低血圧および起立性低血圧(30〜40%)、酩酊(20〜30%)、下痢(60〜70%)、その他、血管損傷、後腹膜出血、くも膜下注入、腎損傷、アルコール性神経炎による胸痛などはいずれもまれで数%以下である。 図1 腹腔神経叢・内臓神経ブロック施工中の写真 腹臥位にて、右側腹腔神経叢ブロック、左側内臓神経ブロックを施行している。 上腹部内臓からの求心線維は大動脈から腹腔動脈が分枝する位置(第1腰椎レベル)で腹腔神経叢を形成し、横隔膜脚部を貫いて椎体、大動脈、横隔膜脚に囲まれたコンパートメントを通る大・小、最下内臓神経となり、交感神経幹を通って脊髄後角に入力する。 図2 腹腔神経叢・内臓神経 交感神経幹大・小内臓神経 大動脈 横隔膜 大動脈裂孔腹腔動脈 腹腔神経叢
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[適 応] 横行結腸左半分、下行結腸、S字結腸、直腸由来の内臓痛。大動脈リンパ節転移、腫瘍浸潤による下腹部痛、腰痛。[処 置] 下腸間膜動脈神経叢は総腸骨動脈分岐部から約4〜7cm程度上方の腹部大動脈全面(第3腰椎レベル)にある(図3)。椎体外側接近法と経椎間板法とがある。前者は側臥位か腹臥位で、後者は腹臥位で透視下に行う。水溶性造影剤を注入して、的確なブロック針の位置、造影剤の広がりを確認し、さらに局所麻酔薬の投与で効果を確認してから、神経破壊薬(50〜99.9%アルコール、7〜10%フェノール)8〜15mLを注入する。[有効率] 適応、手技が正しければ極めて高い。[合併症] 低血圧および起立性低血圧(約20%)、下痢(約25%)、アルコールによる酩酊(20〜30%)、その他、血管損傷、後腹膜出血、射精障害、経椎間板法では椎間板炎、椎体炎などはいずれもまれで数%以下である。 [適 応] 骨盤内臓器である直腸、前立腺、精嚢、膀胱後半部、子宮頸部、膣円蓋などの内臓痛。[処 置] 上下腹神経叢は第2、3腰内臓神経がほぼ大動脈分岐部で左右が合体して形成され、第5腰椎〜仙骨上部前面にある(図3)。椎体外側接近法と経椎間板法とがあるが、いずれも腹臥位で透視下に行う。水溶性造影剤を注入して、的確なブロック針の位置、造影剤の広がりを確認し、さらに局所麻酔薬の投与で効果を確認してから、神経破壊薬(50〜99.9%アルコール、7〜10%フェノール)5〜8mLを注入する。[特 徴] 知覚脱失や下肢筋力低下はない。[有効率] 約70〜90% [合併症] アルコールによる酩酊(20〜30%)、その他、血管穿刺、後腹膜出血、射精障害、膀 2 下腸間膜動脈神経叢ブロック 3 上下腹神経叢ブロック 下腸間膜動脈神経叢は総腸骨動脈分岐部から約4 ~7cm上方の腹部大動脈前面(第3腰椎レベル)にある。上下腹神経叢は左右の第2、3 腰内臓神経がほぼ大動脈分岐部で合体して形成され、第5腰椎~仙骨上部前面にある。 図3 下腸間膜動脈神経叢、上下腹神経叢 下腸間膜動脈 上・下腹神経叢 下腸間膜神経叢 下腹神経 第5 腰椎
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II章背景知識 胱直腸障害、椎間板炎、椎体炎などはいずれもまれで数%以下である。 [適 応] ◦オピオイドの全身投与では鎮痛効果が得られない時。◦高用量のオピオイドによる副作用のコントロールができない場合。◦具体的には、分節遮断が可能なため、後頭部から下肢、会陰部に至る広範な領域で、限局し た痛み。[処 置] 痛みのある分節もしくはその頭側にチューブを留置する。局所麻酔薬とモルヒネ塩酸塩などのオピオイドを混合するが、下肢の運動傷害や膀胱直腸障害を防ぐには、低濃度、低用量の局所麻酔薬でオピオイドを主体とする。長期に留置する場合は皮下ポートを使用する。[特 徴] ◦ 硬膜外腔へのオピオイド投与法はくも膜下腔投与と同様に、全身投与に比較して鎮痛力価が 極めて高い。◦局所麻酔薬は分節麻酔作用、オピオイドが脊髄オピオイドレセプターを介して鎮痛効果をもつ。◦持続投与、間欠投与が可能、PCAによるレスキュー・ドーズが可能。◦モルヒネなら経口モルヒネの1/5〜1/10の投与量である。[有効率] 短期間(数カ月)では極めて高い有効率である。[合併症] 嘔気、尿閉は初期にのみ現れ(50 〜70%)、数日〜2週間で改善する。呼吸抑制0.09〜0.9%、感染0〜15%(ほとんどの報告では1%未満)、瘙痒感、ミオクローヌスはまれ。 [適 応] ◦ 直腸がん、膀胱がんなど骨盤腔内腫瘍の局所再発による仙骨神経叢へのがん浸潤に伴う会 陰部や大腿後面の神経障害性疼痛。◦パンコースト腫瘍の頸神経叢、腕神経叢への浸潤による神経障害性疼痛。◦オピオイド、鎮痛補助薬などの副作用管理が困難な場合。◦主に第一胸椎神経より低いレベルに痛みがある場合。[処 置] 痛みのある分節もしくはその頭側にチューブを留置する。局所麻酔薬とモルヒネ塩酸塩などのオピオイドを混合するが、下肢の運動障害や膀胱直腸障害を防ぐには、低濃度、低用量の局所麻酔薬でオピオイドを主体とする。長期に留置する場合は皮下ポートを使用する。硬膜外穿刺針と硬膜外カテーテルを用いる。神経損傷を防ぐため第2腰椎レベル以下で穿刺する。透視下にくも膜下腔にまで穿刺針を進め脊髄液の逆流が確認できたら造影剤にて、くも膜下腔を確認する。カテーテル先端を透視下に目的部位に進める。長期に留置する場合は皮下ポートを使用する。低濃度の局所麻酔薬とオピオイドを主体とする持続注入を行う。[特 徴] ◦くも膜下腔へのオピオイド投与法は、全身投与に比較して鎮痛力価が極めて高い。◦局所麻酔薬は分節麻酔作用、オピオイドが脊髄オピオイドレセプターを介して鎮痛効果をも つが、オピオイドの作用が主である。◦PCAによるレスキュー・ドーズが可能。◦モルヒネなら経口モルヒネの1/50〜1/100の投与量で済む。[有効率] 長期間(数年)でも90%以上の高率で有効。 4 硬膜外鎮痛法 5 くも膜下鎮痛法(くも膜下オピオイド)
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【参考文献】1) Mercadante S, Radbruch L, Caraceni A, et al. Episodic(breakthrough)pain. Cancer 2002; 94: 832-9 2) Ambrosio F, Paoletti F, Savoia G, et al; SIAARTI. SIAARTI recommendations on the assessment and treatment of chronic cancer pain. Minerva Anestesiol 2003; 69: 697-729 3) Hanks GW, de Conno F, Cherny N, et al. Morphine and alternative opioids in cancer pain: the EAPC recommendations. Br J Cancer 2001; 84: 587-93 4) Dy SM, Asch SM, Naeim A, et al. Evidence-based standards for cancer pain management(Clinical Practice Guidelines in Oncology; Adult Cancer Pain: V-1 2008). J Clini Oncol 2008; 26 : 3879-85 5) がん疼痛に対する神経ブロックの役割と実際の治療法. 日本緩和医療学会がん疼痛治療ガイドライン作成委員会 編. Evidenced-Based Medicineに則ったがん疼痛治療ガイドライン, 真興交易医書出版部, 2000; pp104-17 6) A report by the American Society of Anesthesiologists. Task Force on pain management, cancer pain section. Practice guidelines for cancer pain management. Anesthesiology 1996; 84: 1243-57 7)Bonica JJ. 24. Cancer pain. The Management of Pain, 2nd ed, 1990; pp400-60 8) Baines M, Kirkham SR. 2.D.1 Carcinoma involving bone and soft tissue. Wall PD & Melzack R eds. Textbook of Pain, Churchl Livingstone 1984; pp453-9 9) Eisenberg E, Carr DB, Chalmers TC. Neurolytic celiac plexus block for treatment of cancer pain; A metaanalsis. Anesth Analg 1995; 80: 290-5 10) Rykowski JJ, Hilger M. Efficacy of neurolytic celiac plexus block in varying location of pancreatic cancer. Anesthesiology 2000; 92: 347-54 11) De Leon-Casasola A, Kent E, Lema MJ. Neurolytic superior hypogastric plexus block for chronic pelvic painassocisted with cancer. Pain 1993; 54: 145-51 12) Plancarte R, De Leon-Casasola OA, EL-Helaly M, et al. Neurolytic superior hypogastric plexus block for chronic pelvic pain associsted with cancer. Reg Anesth 1997; 22: 562-8 13) 井関雅子, 宮崎東洋. 経椎間板的上下腹神経叢ブロックの手技と除痛効果. ペインクリニック 1997; 18: 197-204 14) Dupen SL. Epidural techniques for cancer pain management: when, why and how? Curr Rev Pain 1999; 3: 183-9 15)Panchal SJ. Intrathecal Pumps. Tech Reg. Anesth Pain Manage 2000; 4: 137-42 16) Dougherty PM, Staats PS. Intrathecal drug therapy for chronic pain. Anesthesiology 1999; 91: 1891- 918 17) Cousins MJ, Suellen MW. Neural blockade and pain management. Mitchell M eds. Pain 1999. An update review. Seattle, IASP Press, 1999; pp289-91 [合併症] 呼吸抑制0.1%以下、感染0〜15%(ほとんどの報告では1%未満)、嘔気、尿閉は初期にのみ現れ、数日〜2週間で改善する。 [適 応] 限局した片側性の胸・上腹部、背部の体性痛や三叉神経領域のがん疼痛。[処 置] ◦ 透視下に放散痛を参考に目的とする神経近傍に針を進める。低電流の刺激を与え、痛みのあ る部位に放散痛または筋の攣縮が生じることや造影剤注入にて針先端を正しい位置に置く。◦高周波熱凝固装置を用いた熱凝固法が、現在では一般的でありアルコールやフェノールを用 いることは少ない。局所麻酔薬でブロック後、50〜90°C、 90〜180 秒で熱凝固を行う。[特 徴] ◦神経刺激による正確な針先の確認ができる。◦神経破壊領域が針先端に限局されるため安全である。◦神経破壊作用が針先の温度と凝固時間で決まるため、調節性に富む。[有効率] 針先が正しい位置にあれば、有効率は高いが、効果期間はアルコールやフェノールに比べると短い。 (細川豊史) 6 高周波熱凝固による神経根ブロック、末梢神経ブロック
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II章背景知識 経皮的椎体形成術は、椎体骨の脆弱化した部位に画像誘導下に経皮的に針を刺入し、骨セメント製剤を注入することにより、椎体骨の脆弱さを補強する治療法である。1984 年にフランスから報告されて以降、1990 年代に急速に普及し、現在は欧米を中心に骨粗しょう症の治療法の一つとして広く行われている。その原理は、骨セメント製剤の注入により骨を補強し、荷重による椎体骨の変形(きしみ)を抑制して、荷重時の痛みを緩和するものである。この他にも、骨セメント製剤の凝固時の発熱や化学毒性による直接的な抗腫瘍効果の可能性も指摘されているが、詳細は明らかになっていない。このため、骨粗しょう症に限らず、原発性あるいは転移性腫瘍により椎体骨が脆弱化した場合にも、同様の原理で痛みを緩和することが可能であり、がん疼痛としての椎体骨の腫瘍性疼痛に対する治療法として活用されている。 2適 応 明確なエビデンスをもって緩和ケアにおける椎体形成術の適応を示す資料はない。ここでは、日本腫瘍IVR研究グループで行われた臨床試験(JIVROSG- 0201)の結果から、現時点における臨床現場での判断に役立てることが可能なものを抜粋して示す。以下の5 項目すべてを満足する場合が、椎体形成術の適応と考えられる。(1)椎体の腫瘍性病変による体動時疼痛体動時に出現あるいは増強する痛みで、その原因が椎体骨の脆弱化に起因すると考えられるもの。現時点で、放射線照射や薬物療法などの既存の治療法に先行して行うことを妥当とするエビデンスはないが、荷重により椎体骨の破壊が進む可能性が強い場合、骨折の危険性から運動制限が必要な状況下では、先行しての施行を考慮することは許容されると考えられる。なお、活動性炎症(結核性椎体炎、感染性椎体炎)は否定されている必要がある。(2)腫瘍が脊柱管に大きく露出していない骨セメント製剤の脊柱管への漏出の危険性を回避するため、脊柱管との境界を形成する椎体後壁が概ね維持されていることが望ましい。ただし、骨セメント製剤漏出の危険性については技術的な要因が大きいため、最終的な判断は個々の症例の状況や術者の判断に委ねざるをえない。(3)著しい出血傾向がない(4)解剖学的に穿刺針の刺入が可能上部胸椎〜頸椎は技術的難易度が増し、相対的にリスクも高くなるため適応は慎重に判断する必要がある。また、圧迫骨折による椎体骨の扁平化が高度な場合は、穿刺針の刺入が難しい場合がある。(5)処置に要す体位の保持が可能多くは腹臥位で施行される。麻酔などの全身的な管理により可能であれば問題ない。 3 経皮的椎体形成術(骨セメント) 本項は日本インターベンショナルラジオロジー学会に依頼して作成したものである。 1痛みの原因の評価
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従来、整形外科で使用される骨セメント製剤が用いられていたが、2009 年12月に本治療用の製剤であるSpinePlexが本邦で薬事承認された。椎体骨の穿刺には骨生検針が使用され、X 線透視あるいはCT 誘導下に穿刺針を刺入する。注入された骨セメントの椎骨外への漏出を防ぐため、中部胸椎〜腰椎では横突起を介して刺入する方法が一般的である。穿刺針先端の位置についても、同様に骨セメントの漏出、特に脊柱管内への漏出を防ぐため、椎体骨の前1/3 付近が適切とされている。ただし、腫瘍による骨破壊部位に骨セメントを注入することが重要であるため、骨破壊部位の局在により最適とされる位置は変更される場合がある。また、十分な骨セメント製剤の注入を行うため左右両側から2 本の針を穿刺する場合もある。しかし、注入される骨セメント製剤の量と効果とは必ずしも一致せず、腫瘍による疼痛治療が目的の場合には1本で施行される場合が多い。骨セメントの注入は、X 線透視あるいはCT透視下に骨セメント製剤の広がりを確認しながら、用手あるいは専用の器具を用いて行われる(図4)。目的とする部位への骨セメント製剤の注入が完了したことをX 線透視あるいはCTにて確認した段階で、穿刺針を抜針する。抜針後は2 時間程度のベッド上安静の後、術前の安静度まで復帰し、翌朝からは鎮痛効果の度合いに合わせ活動範囲を拡大する。椎体形成術自体による痛みは一般に軽微であり、穿刺部の局所麻酔と必要に応じて軽い鎮痛薬を使用のみで十分である。しかし、手技中は原則として腹臥位を維持する必要があり、手技中の体位維持が問題となる場合には、全身的な鎮静や麻酔も考慮される必要がある。技術的な難しさにもよるが、1椎体骨に要する時間は概ね30 〜40 分程度であるため、複数部位の椎体形成術を一期的に行うことも可能である。しかしその分、同一体位を維持する時間が延長するため、局所麻酔のみで 4 椎体以上を同時に治療することは容易でない。 4成 績 海外、国内を問わず、悪性腫瘍症例に対する椎体形成術は、骨粗しょう症に混じる形で実臨床として行われた結果についての後向き集計による報告のみであり、前向き研究として行われたのは本邦で行われた前述のJIVRSG-0202だけである。よって、ここではその結果の 3手技の概要 図4 椎体に刺入された穿刺針(左:CT)と注入された骨セメント(右:単純X 線)
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II章背景知識 概要を示す。本試験は、有痛性椎体悪性腫瘍に対する経皮的椎体形成術の安全性ならびに臨床的有効性の評価を目的として、primary endpointを安全性の評価、secondary endpointsを臨床的有効性の評価、有害事象の発現頻度・程度として行われた第I/II相試験であり、国内10 施設より症例33例が登録された。登録例の内訳は、男性16、女性17、平均年齢62 歳、PS 0 が1例、PS 1が2例、PS 2 が12例、PS 3 が13例、原発巣は肺がん7例、乳がん7例、大腸がん7例、肝臓がん4例、骨髄腫3例、膵臓がん2例、舌がん1例、食道がん1例、皮膚がん1例であり、治療椎体数は42 椎体で、その内訳は、胸椎19 例、腰椎23例、溶骨性35 例、混合性5 例、造骨性2例、平均椎体圧潰率75.8%であった。結果として、原疾患の進行による30日以内死亡2例を除き、NCI-CTC Grade4以上の有害事象発現はなく、Grade3の穿刺部からの出血(用手圧迫により止血)、Grade2の低アルブミン血症が認められたのみであった。手技の完遂率は100%で、有効率は1 週間目の測定において、著効:VAS 値が0−2となる、または治療前より5以上低下、有効:VAS 値の低下が2 以上5未満、無効:上記以外の場合とする判定規準にて、著効20 例(61%)、有効3例(9%)、無効10 例(30%)、有効率70%(95%CI:51 〜84%)であり、疼痛緩和までの期間は、平均2.4日(SD:3.2日)、中央値1日であった。ちなみに、治療後4 週目の効果は、著効73%、有効12%、無効15%、有効率83%とさらに上昇していた。また、対象例の生存期間中央値は194日(SD:240日)であった。以上の結果より、 JIVROSG-0202 試験では、「有痛性椎体悪性腫瘍に対する経皮的椎体形成術は許容される安全性と実行性、70%程度の有効率を有し、かつ効果発現までの期間が1日程度と極めて短く有効な治療法である」と結論している。なお、文献的には、有害事象として、痛みの悪化、軽度の発熱、神経根の症状悪化、軽度の心機能低下などの軽度なものが10%程度に、また肺塞栓症、アナフィラキシーショック、脊髄圧迫による永久的脊髄障害、死亡などの重篤なものが 1%以下ながら報告されている。 5本邦の状況と椎体形成術の扱い 椎体形成術が有痛性椎体悪性腫瘍に対し、臨床的に良い結果を示す場合のあることは紛れもない事実である。しかしながら、その成績について十分な情報が蓄積されているとは言い難く、特に対象とすべき症状の範囲、安全に施行しえる限界、他の治療法との組み合わせ、まれな有害事象の頻度など、国内外を問わず多くの検討課題が残されている。一方、国内では、骨粗しょう症に対する椎体形成術と同列に語られる場合が多いため、整形外科医を含めさまざまな意見が混在し、十分なコンセンサスは形成されていない。他方、経皮的椎体形成術に使用する骨セメント製剤が2009 年12月に薬事承認されたものの保険収載はされていない。ただし、2008 年4月より高度医療評価制度の一貫として、これを申請した施設では、10数万円の患者自己負担のみで保険診療との併用が容認され、その成績についても前向き研究としての集積(JIVROSG-0703)が行われている。このため、今後も先進医療等、何らかの措置により本邦でもこの治療法が可能になるものと思われる。このような過渡期状況において最も重要なことは、「この治療法が有効性はあるものの一定のリスクをもち、かつ、その内容について十分な臨床データが蓄積されていない」という事実を正しく患者に伝え、その不確実性について十分な理解を得たうえで同意をとる慎重な姿勢である。また、実施については、可能であれば、前述の高度医療評価制度における椎体形
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【参考文献】1) Galibert P, Deramond H, Rosat P, et al. Preliminary note on the treatment of vertebral angioma by percutaneous acrylic vertebroplasty. Neurochirurgie 1987; 33: 166-8 2) Cotten A, Boutry N, Cortet B et al. Percutaneous vertebroplasty: state of the art. RadioGraphics 1998; 18: 311-20 3) 馬場康貴, 大久保幸一, 濱田健司, 他: 転移性溶骨性骨腫瘍に対する経皮的椎体形成術(経皮的骨セメント局注療法)の1経験例. 日医放会誌 1997; 57: 880-2 4) 小林 健, 高仲 強, 松井 修, 他: CT透視を用いた経皮的椎体形成術の有用性. IVR会誌 1999; 14: 343-8 5) Barr JD, Barr MS, Lemley TJ, et al. Percutaneous vertebroplasty for pain relief and spinal stabilization. Spine 2000; 25: 923-8 6) Weill A, Chiras J, Simon JM, et al. Spinal metastases; indications for and results of percutaneous injection of acrylic surgical cement. Radiology 1996; 199: 241-7 7) Murphy KJ, Deramond H. Percutaneous vertebroplasty in benign and malignant disease. Neuroimaging Clin N Am 2000; 10: 535-45 8) Padovani B, Kasriel O, Brunner P, et al. Pulmonary embolism caused by acrylic cement; a rarecomplication of percutaneous vertebroplasty. AJNR 1999; 20: 375-7 9) Chiras J, Depriester C, Weill A, et al. Percutaneous vertebral surgery. Technique and indication. J Neuroradiol 1997; 24: 45-59 10) Grados F, Depriester C, Cayrolle G, et al. Long-term observations of vertebral osteoporotic fractures treated by percutaneous vertebroplasty. Rheumatology 2000; 39: 1410-4 11) Jensen ME, Kallmes DE. Percutaneous vertebroplasty in the treatment of malignant spine disease. Cancer J 2002; 8: 194-206 12) Kaufmann TJ, Jensen ME, Ford G, et al. Cardiovascular effects of polymethyl methacrylate use in percutaneous vertebroplasty. AJNA 2002; 23: 508-9 13) McGraw JK, Heatwole EV, Strnad BL, et al. Predictive value of intraosseous venography beforepercutaneous vertebroplasty. J Vasc Interv Radiol 2002; 13: 137-8 14) Shimony JS, Gilula LA, Zeller AJ, et al. Percutaneous vertebroplasty for malignant compression fractures with epidural involvement. Radiology 2004; 232: 846-53 15) Cheung G, Chow E, Holden L, et al. Percutaneous vertebroplasty in patients with intractable pain from osteoporotic or metastatic fractures: A prospective study using quality-of-life assessment. Can Assoc Radiol J 2006; 57: 13-21 16) Kobayashi T, Arai Y, Takeuchi Y, et al. Japan Interventional Radiology in Oncology Study Group (JIVROSG): Phase I/II clinical study of percutaneous vertebroplasty(PVP)as palliation for painful malignant vertebral compression fractures(PMVCF): JIVROSG-0202. Ann Oncol 2009; 20: 1943-7 成術施行施設で行うことが望ましく、また、これが困難な場合にも、適応の判断も含め、その技術についての知識を有するIVR専門医と連携して行うことが望まれる。加えて痛みの原因についての判断には、神経内科医や整形外科医、麻酔科医などの判断が必要になる場合があり、さらに頻度が低いとはいえ、種々の合併症に対する緊急対応には整形外科医、麻酔科医の援助が不可欠であり、これらの診療科の連携が得られる状況下で行われる必要がある。 (日本インターベンショナルラジオロジー学会 荒井保明)
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III章推奨 III章推 奨 1 共通する疼痛治療 推奨の概要 1 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者2 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者3 オピオイドが投与されている患者1 持続痛が緩和されていない場合2 突出痛が緩和されていない場合 1 嘔気・嘔吐2 便 秘3 眠 気4 せん妄 1 神経障害性疼痛2 骨転移による痛み3 膵臓がんなどによる上腹部の痛み4 胸部の痛み5 直腸がんなどによる会陰部の痛み6 悪性腸腰筋症候群による痛み(腸腰筋へのがんの浸潤・転移に伴って起こる鼠径部・大腿・膝の痛み) 7 消化管閉塞による痛み 2 オピオイドによる副作用 3 がん疼痛マネジメントにおける患者教育4 特定の病態による痛みに対する治療
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●推奨の概要● OVERVIEW ●痛みの包括的評価...1(→P24) (痛みの原因の評価、痛みの評価) ●共通する疼痛治療...2(→P104) (非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療) ●非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用●オピオイドローテーション●他のオピオイドを追加●投与経路の変更●鎮痛補助薬とオピオイドを併用●神経ブロック 鎮痛効果不十分な場合 ●非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用●レスキュー・ドーズの増量●定期投与量の増量●神経ブロック 鎮痛効果不十分な場合 ●レスキュー・ドーズの投与●突出痛の分類による治療予測できる突出痛●誘発する刺激を避ける●刺激の前にレスキュー・ドーズを投与定時鎮痛薬の切れ目の痛み ●定期投与量の増量●投与間隔の短縮 ●患者教育...4(→P178) ○患者個別に応じた教育○継続して行う○教育内容・痛みとオピオイドに関する正しい知識・痛みの治療計画と具体的な鎮痛薬の使用方法・医療従事者への痛みの伝え方・非薬物療法と生活の工夫・セルフコントロール ●オピオイドの開始(コデイン、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル) ●嘔気・嘔吐、便秘の対策を検討 ●NSAIDsまたは アセトアミノフェン●消化性潰瘍の予防を検討 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛み(→P104) 持続痛が緩和されていない場合(→P128)突出痛が緩和されていない場合(→P140) 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛み(→P112) ●原因に応じた対応...1・がんによる痛み(外科治療、化学療法、放射線治療)・がん治療による痛み・がん・がん治療と関連のない痛み・オンコロジーエマージェンシー・特定の病態による痛み...5(→P184) 神経障害性疼痛(→P184) ●鎮痛補助薬(抗けいれん薬、抗うつ薬、NMDA受容体拮抗薬、抗不整脈薬、コルチコステロイド) ●神経ブロック骨転移による痛み(→P194) ●ビスホスホネート●神経ブロック上腹部の痛み(→P198) ●神経ブロック(腹腔神経ブロックなど) 会陰部の痛み(→P206) ●神経ブロック(サドルブロックなど)悪性腸腰筋症候群による痛み(→P210) ●筋弛緩薬●神経ブロック消化管閉塞による痛み(→P214) ●消化管分泌抑制薬●コルチコステロイド 胸部の痛み(→P202) ●神経ブロック ●副作用の対処と定期投与量の増量●オピオイドローテーション オピオイドによる副作用 ●定期投与量の増量 なしあり
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III章推奨 *1:神経障害性疼痛末梢、中枢神経の直接的損傷に伴って発生する痛み。灼熱痛、電撃痛、痛覚過敏、感覚過敏、アロディニアなどを伴うことがある。難治性で鎮痛補助薬の併用を必要とすることが多い。P16 参照。 *2:悪性腸腰筋症候群腸腰筋内の悪性疾患の存在により起こる鼠径部・大腿・膝の痛み。身体所見として、患側の第1 ~4 腰椎神経領域の神経障害、腸腰筋の攣縮を示唆する股関節屈曲固定がみられる。P21参照。 *3:鎮痛補助薬主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物(抗うつ薬、抗けいれん薬、NMDA受容体拮抗薬など)。非オピオイド鎮痛薬やオピオイドだけでは痛みを軽減できない場合に選択される。P66 参照。 *4:突出痛(breakthrough pain)持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強。P18 参照。 ●オピオイドによる副作用...3(→P150) 嘔気・嘔吐(→P150) ●原因の評価、原因に応じた対応●オピオイドの減量を検討●制吐薬便 秘(→P158) ●原因の評価、原因に応じた対応●オピオイドの減量を検討●下剤眠 気(→P164) ●原因の評価、原因に応じた対応●オピオイドの減量を検討せん妄(→P171) ●原因の評価、原因に応じた対応●オピオイドの減量を検討●抗精神病薬●オピオイドローテーション●投与経路の変更 ●制吐薬を併用、制吐薬を変更●オピオイドローテーション●投与経路の変更●神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討 効果不十分な場合効果不十分な場合効果不十分な場合 効果不十分な場合●下剤を併用●オピオイドローテーション●神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討 ●精神刺激薬●オピオイドローテーション●投与経路の変更●神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討●神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討 痛みの評価と原因に応じた対応1 痛みの包括的評価を行う。包括的評価には、痛みの原因の評価と痛みの評価が含まれる。 1)痛みの原因の評価痛みの原因の評価では、がんによる痛み、がん治療による痛み、がん・がん治療と直接関連のない痛み、オンコロジーエマージェンシー、特定の病態による痛みを評価する。がんによる痛みでは鎮痛薬の投与などの痛みに対する治療とともに、外科治療、化学療法、放射線治療などの腫瘍そのものに対する治療を検討する。がん治療による痛み(術後痛症候群、化学療法後神経障害性疼痛など)やがん・がん治療と直接関連のない痛み(脊柱管狭窄症、帯状疱疹など)では原因に応じた治療を行う。痛みがオンコロジーエマージェンシー(脊髄圧迫症候群、骨折・切迫骨折、感染症、消化管の閉塞・穿孔・出血など)の症状であることがあるので、痛みへの対応のみでなく、痛みを生じている病態の把握と原因への対応を行う。特定の病態による痛みとしては、神経障害性疼痛*1、骨転移による痛み、上腹部の痛み、胸部の痛み、会陰部の痛み、悪性腸腰筋症候群*2による痛み、消化管閉塞による痛みがある。それぞれ、鎮痛補助薬*3、神経ブロックなど異なる鎮痛手段があるので共通する疼痛治療を行うとともに検討する。 2)痛みの評価痛みの評価では、痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛*4か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。
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非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療(「共通する疼痛治療」) 2 1)鎮痛薬が投与されていない軽度の痛み鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みの患者に対しては、非オピオイド鎮痛薬(NSAIDsまたはアセトアミノフェン)を開始する。腎機能障害・消化性潰瘍・出血傾向がある患者には、アセトアミノフェンを使用する。NSAIDsを投与する場合には、消化性潰瘍の予防を検討する。鎮痛効果が不十分な場合には、オピオイドを開始することを原則とする。 2)非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または中等度以上の痛み非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みの患者に対してはオピオイドを開始する。オピオイドは、可能な投与経路、合併症、併存症状、痛みの強さなど患者の状態に応じて、コデイン、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルのいずれかを使用する。オピオイドの開始に伴って生じる可能性のある嘔気・嘔吐および便秘の対策を検討する。 3)オピオイドが投与されても十分な鎮痛効果が得られない痛みオピオイドが投与されている患者に痛みがあるときには、まず持続痛か突出痛かを区別する。(1)持続痛が緩和されていない場合持続的な痛みが緩和されていない場合は、オピオイドによる副作用(嘔気・嘔吐、眠気など)がなければ、オピオイドの定期投与量の増量を行う。オピオイドによる副作用がある場合は、副作用対策を行いながらオピオイドの定期投与量を増量するか、または、オピオイドローテーションを検討する。鎮痛効果が不十分な場合は、非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用、オピオイドローテーション、他のオピオイドを追加、投与経路の変更、鎮痛補助薬をオピオイドと併用、または神経ブロックなどを検討する。(2)突出痛が緩和されていない場合突出痛が緩和されていない場合は、予測できる突出痛、予測できない突出痛、および定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)に分類する。予測できる突出痛では、誘発する刺激を避け、痛みを誘発する刺激の前にレスキュー・ドーズの投与を行う。定時鎮痛薬の切れ目の痛みに対しては、定期投与量の増量・投与間隔の短縮を行う。いずれも、突出痛に対しては、オピオイドのレスキュー・ドーズを投与する。鎮痛効果が不十分な場合は、非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用、レスキュー・ドーズの増量、定期投与量の増量、神経ブロックなどを検討する。 オピオイドによる副作用3 オピオイドが投与された患者において発現しうる主な副作用は、嘔気・嘔吐、便秘、眠気、
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III章推奨 せん妄である。オピオイドが投与をされている患者に嘔気・嘔吐、便秘、眠気、せん妄が生じたときは、症状の原因を評価し、治療を検討する。オピオイド以外にこれらの症状を生じる合併症を見落とさないことが重要である。オピオイドによる症状の場合は、投与量が患者に適切であるかをまず検討し、減量を検討する。 1)嘔気・嘔吐オピオイドによる嘔気・嘔吐には、想定される嘔気・嘔吐の機序に合わせて制吐薬(ドパミン受容体拮抗薬、消化管蠕動亢進薬、または抗ヒスタミン薬)を投与する。効果不十分な場合は、制吐薬を併用、制吐薬を変更、オピオイドローテーション、投与経路の変更、神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止などを検討する。 2)便 秘オピオイドによる便秘には、下剤(浸透圧性下剤、または大腸刺激性下剤)を投与する。効果不十分な場合は、下剤の併用、オピオイドローテーション、神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討する。 3)眠 気オピオイドによる眠気には、眠気の強度と苦痛の程度を評価する。精神刺激薬、オピオイドローテーション、投与経路の変更、神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討する。 4)せん妄オピオイドによるせん妄に対しては、抗精神病薬の投与、オピオイドローテーション、オピオイドの投与経路の変更のいずれかを行う。効果不十分な場合は、神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討する。 がん疼痛マネジメントにおける患者教育4 疼痛治療を受ける患者に対しては、患者教育を行う。患者教育は、患者個別に応じて、継続して行うことが重要である。教育内容としては、痛みとオピオイドに関する正しい知識、痛みの治療計画と鎮痛薬の具体的な使用方法、医療従事者への痛みの伝え方、非薬物療法と生活の工夫、セルフコントロールを含める。 特定の病態による痛み5 特定の病態による痛みに対しては、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療(「共通する疼痛治療」)に加えて、それぞれの病態にそった治療を検討する。
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がんによる神経障害性疼痛には、鎮痛補助薬(抗けいれん薬、抗うつ薬、NMDA受容体拮抗薬、抗不整脈薬、コルチコステロイド)の投与を行う。鎮痛補助薬は、薬剤に生じやすい副作用と痛みを生じている病態から選択する。効果不十分な場合には、鎮痛補助薬の併用・変更、神経ブロックを検討する。骨転移による痛みには、予測される生命予後を検討したうえでビスホスホネートの投与の検討や、神経ブロックの適応を専門家に相談する。上腹部の痛みには、腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックの適応についてなるべく早い時期に専門家に相談する。胸部の痛みには、硬膜外ブロック、肋間神経ブロック、神経根ブロック、くも膜下フェノールブロックなどの神経ブロックの適応を専門家に相談する。会陰部の痛みには、サドルブロックなど神経ブロックの適応を専門家に相談する。悪性腸腰筋症候群で腸腰筋の攣縮がみられる場合には筋弛緩薬の投与を検討し、また神経ブロックの適応について専門家に相談する。消化管閉塞による痛みには、消化管分泌抑制薬(オクトレオチド、ブチルスコポラミン臭化物)とコルチコステロイドの投与を検討する。 (新城拓也)
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1 共通する疼痛治療 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か?鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンは、プラセボに比較して痛みを緩和するか?鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsは、プラセボに比較して痛みを緩和するか?鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、ある非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs・アセトアミノフェン)は、他の非オピオイド鎮痛薬に比較して痛みを緩和するか?痛みでNSAIDsが投与されているがん患者において、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、H2受容体拮抗薬は、プラセボに比較して胃潰瘍の発生を予防するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンを使用する。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル)鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsを使用する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、個々の患者において有効かつ認容性のある非オピオイド鎮痛薬を使用する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)痛みでNSAIDsが投与されているがん患者において、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、高用量のH2受容体拮抗薬のいずれかを使用する。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル) ● 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者1
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III章推奨 *:痛みの包括的評価本ガイドラインでいう「痛みの包括的評価」とは、1痛みの原因の評価と2痛みの評価からなる。痛みの原因の評価とは、身体所見や画像検査から痛みの原因を診断することであり、疼痛治療に加えて原因に対する治療が必要かどうかの判断などに役立てることができる。痛みの評価とは、患者の自覚症状としての痛みの強さや生活への影響、治療効果を評価するものであり、これを行うことで、患者に合わせた疼痛治療を計画することができるようになる。P24 参照。 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 解 説1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価するがんによる痛みでは鎮痛薬の投与などの痛みに対する治療とともに、外科治療、化学療法、放射線治療などの腫瘍そのものに対する治療を検討する。がん治療による痛み(術後痛症候群、化学療法後神経障害性疼痛など)やがん・がん治療と直接関連のない痛み(脊柱管狭窄症、帯状疱疹など)では原因に応じた治療を行う。痛みがオンコロジーエマージェンシー(脊髄圧迫症候群、骨折・切迫骨折、感染症、消化管の閉塞・穿孔・出血など)の症状であることがあるので、痛みの対応のみでなく、痛みを生じている病態の把握と原因への対応を行う。特殊な疼痛症候群(神経障害性疼痛、骨転移痛、上腹部の内臓痛、胸部痛、会陰部の痛み、消化管閉塞など)の場合にはそれぞれの対応を検討する(P184,III-4 各項を参照)。 臨床疑問1 推 奨 ●フローチャート ●原因に応じた対応・がんによる痛み(外科治療、化学療法、放射線治療)・がん治療による痛み・がん・がん治療と直接関連のない痛み・オンコロジーエマージェンシー・特定の病態による痛み(P184,IIIー4参照) 鎮痛効果が不十分な場合に検討すること●オピオイドの開始●痛みが軽度の場合、他のNSAIDsへの変更、アセトアミノフェンとNSAIDsの併用を検討してもよい※中等度以上の痛みの場合には、 オピオイドの開始を検討する。(P112,III-1-2参照) ●痛みの包括的評価* (痛みの原因の評価、痛みの評価) 腎機能障害・消化性潰瘍・出血傾向 ●NSAIDs または アセトアミノフェン●消化性潰瘍の予防薬の投与を検討する●アセトアミノフェン 軽度の痛み※ なしあり 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、非オピオイド鎮痛薬(NSAIDsまたはアセトアミノフェン)を開始する。NSAIDsを投与する場合には、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、および、高用量のH2受容体拮抗薬のいずれかを併用する。腎機能障害・消化性潰瘍・出血傾向がある場合にはアセトアミノフェンを使用する。鎮痛効果が不十分な場合には、オピオイドを開始することを原則とする。痛みが軽度の場合には、他のNSAIDsへの変更またはアセトアミノフェンとNSAIDsの併用を検討してもよい。
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鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンは、痛みを緩和する。鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンを使用する。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、系統的レビュー1件がある。McNicolら1)による系統的レビューでは、アセトアミノフェンはがん患者の痛みに対してプラセボに比較し鎮痛効果が得られると結論づけられている。Stambaughら2)による、転移性腫瘍による痛み(0 〜4 のVRSで約2.4)のあるがん患者29例を対象に、経口アセトアミノフェン650mg/回とプラセボを比較した無作為化比較試験では、治療6 時間後の治療前との痛みの差は、プラセボ群が2.0であったが、アセトアミノフェン群では2.3と、より鎮痛効果がみられた。29 例中、副作用(鎮静、嘔気、発疹、めまい)がみられたのは、プラセボ群が17%、アセトアミノフェン群が14%であり、群間差は認められなかった。 ** 以上より、鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンは、プラセボに比較して痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンを使用することを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性NCCN、ESMOのガイドラインでは、オピオイドが投与されていない軽度の痛みのある患者に対しては、アセトアミノフェン(650mgを4 時間ごと、または1,000mgを6 時間ごと)の投与を検討することが推奨されている。 臨床疑問2 推 奨 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子について評価する。
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III章推奨 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsは、痛みを緩和する。鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsを使用する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、系統的レビュー1件がある。McNicolら3)の系統的レビューでは単回投与試験の無作為化比較試験7件が含まれており、NSAIDsはプラセボに比べて有効であると結論づけられている。例えば、Moertelら(1971) 4)による無作為化比較試験では、膵臓がんおよび大腸がん患者34例を対象に、アスピリン650mg/回、コデイン60mg/回、プラセボを比較したところ、治療前の疼痛強度が6 時間後に50%以上低下した患者の割合は、プラセボ群21%に対し、アスピリン群では59%であった。Moertelら(1974) 5)による無作為化比較試験では、痛みのあるがん患者100 例を対象に、アスピリン650mg/回とプラセボを比較し、6 時間以内に疼痛強度が最小になった時の減少率は、プラセボ群が33%に対して、アスピリン群では51%であり、有意な鎮痛効果がみられた。Stambaughら6)による無作為化比較試験では、がん疼痛のある患者160 例を対象に、ケトプロフェン100mg/回、ケトプロフェン300mg/回、アスピリン+コデイン、プラセボを比較したところ、投与前の疼痛強度に対する投与前後の疼痛強度の差の割合〔(投与前の疼痛強度−投与後疼痛強度)÷投与前の疼痛強度〕は、プラセボ群が36%に対して、ケトプロフェン100mg 群が62%、ケトプロフェン300mg 群が54%、アスピリン+コデイン群が53%であり、有意な鎮痛効果がみられた。 ** 以上より、鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsは痛みを緩和すると考えられる。本邦において使用可能なNSAIDsについての研究は限られているが、本邦で一般に使用されているNSAIDsについても同様に有効であると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsを使用することを推奨する。ただし、上記のどの研究も単回投与の研究であることから、長期投与に関する有効性と副作用については十分明らかになっていないので、副作用には注意する。 既存のガイドラインとの整合性NCCN、ESMOのガイドラインでは、軽度のがん疼痛の第一段階としてNSAIDsの投与を検討するとされている。 臨床疑問3 推 奨
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鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、ある非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs・アセトアミノフェン)は、他の非オピオイド鎮痛薬に比較して痛みを緩和するか? 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、ある非オピオイド鎮痛薬が他の非オピオイド鎮痛薬に比較して、より痛みを緩和するとの根拠はない。鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、個々の患者において有効かつ認容性のある非オピオイド鎮痛薬を使用する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験11件を含む系統的レビュー1件があり、あるNSAIDsが他のNSAIDsに比較して優れていることを示唆する根拠はないと結論づけている(McNicolら7))。例えば、Saxenaら8)による無作為化比較試験では、痛みのある頭頸部がん患者50 例を対象に、経口ピロキシカム(20mgを12 時間ごと)と経口アスピリン(500mgを6時間ごと)を比較したところ、4日後の痛みのNRS*1に両者の差はなかった(7.1→5.2 vs 5.8→3.3, p >0.05)。副作用として、アスピリン群では31%に軽度の上部消化管障害がみられたのに対しピロキシカム群では認められなかった(p <0.05)が、このほかの副作用に差はなかった。Turnbullら9)による無作為化比較試験では、進行がん患者28 例を対象に、経口ナプロキセン(500mgを12 時間ごと)と経口アスピリン(600mgを4 時間ごと)を比較したところ、治療前後のVAS*2の比(治療後7日目のVAS÷治療前のVAS)に有意差は認められなかった(14% vs 14%, p >0.05)。副作用はなかった。Ventafriddaら(1990a) 10)による無作為化比較試験では、進行がん患者100 例を対象に、経口ナプロキセン(550mgを12 時間ごと)と経口ジクロフェナク(100mgを12 時間ごと)を比較したところ、14日後のintegrated score(0 〜240、疼痛強度(5 段階;0、2.5、5、7.5、10)と痛みの持続時間(0 〜24)を掛け合わせた値)の平均値において、両群間に差はなかった(44→16 vs 41→17,p値記載なし)。副作用は全体で胃痛40%、口渇31%、ジスペプシア(dyspepsia)26%、嘔気20%であり、両者で有意な差はなかった。Ventafriddaら(1990b) 11)による無作為化比較試験では、がん患者65 例を対象に、ナプロキセン250mg/回(1日3回)、ジクロフェナク100mg/回(1日2回)、インドメタシン50mg/回(1日3回)、イブプロフェン600mg/回(1日3回)、アスピリン600mg/回(1日3回)、スリンダク300mg/回(1日2 回)、アセトアミノフェン500mg/回(1日3回)を比較したところ、1週間の痛みのVASの減少率は、ナプロキセン群71%、ジクロフェナク群67%、インドメタシン群63%、イブプロフェン群59%、アスピリン群40%、スリンダク群38%、アセトアミノフェン群27%であった。副作用は、口渇39%、胸焼け15%、嘔気10%で、治療中止は37%であった。ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシンは比較的有効性が高いように思われたが、いずれかのNSAIDsが他のものに比較して優れていることを結論できなかった。 ** 臨床疑問4 推 奨 解 説 *1:NRS(numerical rating scale)痛みを0から10の11段階に分け、痛みが全くないのを0、考えられるなかで最悪の痛みを10として、痛みの点数を問うもの。P26 参照。 *2:VAS(visual analogue scale) 100mmの線の左端を「痛みなし」、右端を「最悪の痛み」とした場合、患者の痛みの程度を表すところに印を付けてもらうもの。P26 参照。
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III章推奨 以上より、国内で使用可能なNSAIDsを含む質の高い比較研究はほとんどないため結論を得ることはできないものの、ある非オピオイド鎮痛薬が他の非オピオイド鎮痛薬に比較して、鎮痛効果と副作用について、優れていることを示す根拠はない。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、個々の患者において、有効かつ認容性のある非オピオイド鎮痛薬を使用することを推奨する。あるNSAIDsで鎮痛効果が得られない場合には、オピオイドの開始を検討することを原則とするが、痛みが軽度である場合には、他のNSAIDsへの変更(NSAIDsの変更は2 種類までにとどめる)、あるいは、NSAIDsとアセトアミノフェンとの併用を検討してもよい。 [選択的COX-2 阻害薬]選択的COX-2*阻害薬については、非がん患者において従来のNSAIDsに比較して鎮痛効果は同等であることが示唆されているが、がん患者を対象として鎮痛効果を検討した無作為化比較試験がない。したがって、本ガイドラインでは、選択的COX-2 阻害薬の鎮痛効果については検討の対象としなかった。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、個々の患者において過去に有効かつ十分認容できることがわかっているNSAIDsであれば、どのNSAIDsを使用してもよいと推奨されている。さらに、2 種類のNSAIDsが無効な場合は、NSAIDs 以外の鎮痛法をとることが推奨されている。また、NSAIDsが有効ではあるが、重度ではない副作用がある場合には、他のNSAIDsへの変更を検討することが推奨されている。 痛みでNSAIDsが投与されているがん患者において、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、H2受容体拮抗薬は、プラセボに比較して胃潰瘍の発生を予防するか? 痛みでNSAIDsが投与されているがん患者において、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、および、高用量のH2受容体拮抗薬は、プラセボに比較して胃潰瘍の発生を予防する。痛みでNSAIDsが投与されているがん患者において、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、高用量のH2受容体拮抗薬のいずれかを使用する。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に対しては、胃潰瘍診療ガイドライン(2007) 12)を用いて検討した。プロスタグランジン製剤については無作為化試験12 件および系統的レビューから、プロトンポンプ阻害薬については無作為化試験3 件と系統的レビューから、プラセボに比較しNSAIDs潰瘍を予防すると結論づけられている。またH2受容体拮抗薬については、常用量で有効であるという根拠はないことが6 件の無作為化試験、系統的レビューから支持されて 臨床疑問5 推 奨*:COX-2 プロスタグランジン合成にかかわる酵素。1型と2 型がありCOX-2は炎症などの刺激で発現する。選択的COX-2阻害薬は、抗炎症・鎮痛作用を発揮する。
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おり、高用量のH2受容体拮抗薬は胃潰瘍の予防に有効であることが、1件の無作為化試験と1件の系統的レビューから支持されている。高用量のH2 受容体拮抗薬とは、消化性潰瘍の用量の2倍量を指す。 ** 以上より、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、高用量のH2受容体拮抗薬は、NSAIDsによる消化性潰瘍を予防すると考えられる。これらの根拠となった臨床研究の対象は変形性関節症や関節リウマチであり、がん患者に適応できるとは限らないが、がん疼痛でNSAIDsを投与する場合においても適用しうると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、がん疼痛でNSAIDsを投与する場合においては、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、および、高用量のH2受容体拮抗薬のいずれかを使用することを推奨する。また、薬物療法のみならず、NSAIDsに起因する消化性潰瘍を早期に発見するために、上腹部痛の身体所見、ヘモグロビン値などを定期的にチェックし、鎮痛効果が安定していれば、NSAIDsの継続投与が必要かを定期的に検討することが望ましい。具体的には、鎮痛効果が得られている場合にはNSAIDsをいったん減量し、鎮痛効果が変わらず得られていれば減量・中止を検討する。痛みが悪化する場合には継続投与する。 [選択的COX-2 阻害薬]選択的COX-2 阻害薬については、非がん患者において、従来のNSAIDsに比較して、胃十二指腸潰瘍の発現率が少ないことが示唆されているが、がん患者に関する臨床試験はない。したがって、本ガイドラインでは、選択的COX-2阻害薬の胃潰瘍予防については検討の対象としなかった。現在のところ、患者のリスク(胃潰瘍の既往、コルチコステロイドの併用、高齢者など)を個別に評価し、リスクがある場合には他のNSAIDsと同じように胃潰瘍の予防策をとることが妥当であると考えられる。 既存のガイドラインとの整合性ESMOのガイドラインでは、NSAIDsを継続的に使用する場合には、消化性潰瘍の予防薬の併用が推奨されている。NCCNのガイドラインでは、NSAIDs 投与中は常に消化性潰瘍について観察し、症状が出現するようならNSAIDsを継続すべきかどうかを検討し、可能なら中止することが推奨されている。 (余宮きのみ) 【文 献】臨床疑問2 1)McNicol E, Strassels SA, Goudas L, et al. NSAIDS or paracetamol, alone or combined with opioids, for cancer pain. Cochrane Database Syst Rev 2005; Issue 2: CD005180 2)Stambaugh JE Jr. Additive analgesia of oral butorphanol/acetaminophen in patients with pain due to metastatic carcinoma. Curr Ther Res 1982; 31: 386-92 臨床疑問3 3)McNicol E, Strassels SA, Goudas L, et al. NSAIDS or paracetamol, alone or combined with opioids, for cancer pain. Cochrane Database Syst Rev 2005; Issue 2: CD005180 4)Moertel CG, Ahmann DL, Taylor WF, Schwartau N. Aspirin and pancreatic cancer pain.
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III章推奨 Gastroenterology 1971; 60: 552-3 5)Moertel CG, Ahmann DL, Taylor WF, Schwartau N. Relief of pain by oral medications. A controlled evaluation of analgesic combinations. JAMA 1974; 229: 55-9 6)Stambaugh JE Jr, Drew J. A double-blind pararell evaluation of the efficacy and safety of a single dose of ketoprofen in cancer pain. J Clin Pharmacol 1988; 28(12 Suppl): S34-9 臨床疑問4 7)McNicol E, Strassels SA, Goudas L, et al. NSAIDS or paracetamol, alone or combined with opioids, for cancer pain. Cochrane Database Syst Rev 2005; Issue 2: CD005180 8)Saxena A, Andley M, Gnanasekaran N. Comparison of piroxicam and acetylsalicylic acid for pain in head and neck cancers: a double-blind study. Palliat Med 1994; 8: 223-9 9)Turnbull R, Hills LJ. Naproxen versus aspirin as analgesics in advanced malignant disease. J Palliat Care 1986; 1(2): 25-8 10)Ventafridda V, Toscani F, Tamburini M, et al. Sodium naproxen versus sodium diclofenac in cancer pain control. Arzneimittelforschung 1990a; 40: 1132-4 11)Ventafridda V, de Conno F, Panerai AE, et al. Non-steroidal antiinflammatory drugs as the first step in cancer pain therapy: double-blind, within-patient study comparing nine drugs. J Int Med Res 1990b; 18: 21-9 臨床疑問5 12)NSAIDs潰瘍; 予防. 胃潰瘍ガイドラインの適用と評価に関する研究班 編. EBMに基づく胃潰瘍診療ガイドライン, 第2版, 東京, じほう, 2007 ※本臨床疑問は胃潰瘍診療ガイドライン(2007年)から検討したため、胃潰瘍診療ガイドラインが更新された場合は更新されたガイドラインを参照されたい。 【参考文献】臨床疑問5 13)Rostom A, Dube C, Wells G, et al. Prevention of NSAID-induced gastroduodenal ulcers. Cochrane Database Syst Rev 2002(4): CD002296
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非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者2 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か?非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、オピオイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか?非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、あるオピオイドは、他のオピオイドに比較して痛みを緩和するか、副作用が少ないか?オピオイドの製剤や投与方法により、鎮痛効果や副作用に差があるか? モルヒネの速放性製剤は、徐放性製剤に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか?モルヒネのある徐放性製剤は、他の徐放性製剤に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか?モルヒネの24 時間徐放性製剤の朝1回投与は、夜1回投与に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか?オピオイドを開始する時に、制吐薬を投与することは、投与しないことに比較して嘔気・嘔吐を減少させるか?オピオイドを開始する時に、下剤を投与することは、投与しないことに比較して便秘を減少させるか?非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られないがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬を中止せずにオピオイドを開始することは、非オピオイド鎮痛薬を中止してオピオイドを開始することに比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、オピオイドを使用する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)患者の状態(可能な投与経路、合併症、併存症状、痛みの強さなど)から、個々の患者に合わせたオピオイドを選択する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 中等度以下かつ安定している痛みでは、モルヒネの徐放性製剤と速放性製剤のいずれを使用してもよい。ただし、痛みが高度または不安定な場合には速放性製剤や持続注射を用いる。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル)モルヒネ徐放性製剤はいずれのものを使用してもよい。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル) ● 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 6 7 8 9 10 11 12 9-1 9-2 9-3 -1 -2 6 7 8 9
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III章推奨 -3モルヒネの24時間徐放性製剤は朝、夜のいずれに投与してもよい。1B (強い推奨、 低いエビデンスレベル)オピオイドを開始する時は、嘔気・嘔吐について十分な観察を行い、嘔気時として制吐薬をいつでも使用できる状況にしておき、嘔気・嘔吐が継続する場合は数日間定期的に投与する。患者の状態によっては、オピオイドの開始と同時に制吐薬を定期的に投与してもよい。1C (強い推奨、とても低いエビデンスレベル)オピオイドを開始する時は、患者の排便状態について十分な観察を行い、水分摂取・食事指導や下剤の投与など便秘*を生じないような対応を行う。1C (強い推奨、とても低いエビデンスレベル)非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない患者の痛みに対してオピオイドを開始する時には、非オピオイド鎮痛薬と併用する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 9 10 11 12 ●フローチャート コデインモルヒネフェンタニル ●オピオイドの開始・患者の状態※に応じたオピオイドを選択する●嘔気・嘔吐、便秘の対策を検討する ※可能な投与経路、合併症、併存症状、痛みの強さなどオキシコドン ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) ●原因に応じた対応 ・がんによる痛み(外科治療、化学療法、放射線治療)・がん治療による痛み・がん・がん治療と直接関連のない痛み・オンコロジーエマージェンシー・特定の病態による痛み(P184参照) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、オピオイドを開始する。オピオイドは、可能な投与経路、合併症、併存症状、痛みの強さなど患者の状態に応じて、コデイン、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルのいずれかを使用する。痛みが強度で不安定な場合は経口速放性製剤や持続静注・持続皮下注によるオピオイドを使用する。オピオイドの開始に伴って生じる可能性のある嘔気・嘔吐および便秘の対策を検討する。 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 臨床疑問6 推 奨
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解 説1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価するがんによる痛みでは鎮痛薬の投与などの痛みに対する治療とともに、外科治療、化学療法、放射線治療などの腫瘍そのものに対する治療を検討する。がん治療による痛み(術後痛症候群、化学療法後神経障害性疼痛など)やがん・がん治療と直接関連のない痛み(脊柱管狭窄症、帯状疱疹など)では原因に応じた治療を行う。痛みがオンコロジーエマージェンシー(脊髄圧迫症候群、骨折・切迫骨折、感染症、消化管の閉塞・穿孔・出血など)の症状であることがあるので、痛みの対応のみでなく、痛みを生じている病態の把握と原因への対応を行う。特殊な疼痛症候群(神経障害性疼痛、骨転移痛、上腹部の内臓痛、胸部痛、会陰部の痛み、消化管閉塞など)の場合にはそれぞれの対応を検討する(P184,III-4 各項を参照)。 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの鎮痛効果と副作用について評価する。この他に、特に、オピオイドの選択のために、鎮痛薬の投与が可能な経路、合併症(特に腎機能障害)、併存症状(特に便秘、呼吸困難)などについて評価する。 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、オピオイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、オピオイドは、痛みを緩和する。非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、オピオイドを使用する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説1)弱オピオイドを使用し効果が不十分であれば強オピオイドへ変更する方法非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上のがん疼痛をもった患者に対して、WHO方式がん疼痛治療法では、弱オピオイドを使用し、効果が不十分であれば強オピオイドへ変更する方法を推奨しており、複数の観察研究で有効性が示唆されている(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。したがって、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上のがん疼痛のある患者に対して、弱オピオイドを使用し鎮痛効果が不十分であれば強オピオイドへ変更する方法は、安全で有効であると考えられる。 2)強オピオイドを最初から投与する方法一方、がん疼痛の患者に対して強オピオイドを最初から投与する方法の有効性を検討した 臨床疑問7 推 奨
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III章推奨 臨床研究として、2 つの無作為化比較試験がある。Marinangeliら1)による無作為化比較試験では、VAS(0 〜10)で6までのがん疼痛のある患者100 例を対象に、非オピオイド鎮痛薬と弱オピオイドを最初に投与し効果が不十分であれば強オピオイドを投与する治療と、強オピオイドを最初から投与する治療とを比較したところ、強オピオイドを最初から使用した群で1 週間後の痛みのVASはより改善した(治療後変化値:−2.6 vs −1.9,p=0.041)。嘔気は強オピオイドを最初から使用した群で多かったが(437回 vs 315回,p=0.0001)、嘔吐、便秘、せん妄について有意差はなかった。いずれの群でも重篤な副作用は生じなかった。Maltoniら2)による無作為化比較試験では、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない中等度の痛みのあるがん患者54例を対象に、弱オピオイドを最初に投与し効果が不十分であれば強オピオイドを投与する治療と、強オピオイドを最初から投与する治療を比較したところ、強オピオイドを最初から使用した群で、観察した42日間で痛みのNRSの最大が5点以上になる日の割合は有意に少なく(29% vs 23%,p <0.001)、7点以上になる割合も有意に少なかった(11% vs 8.6%,p =0.023)。しかし、重度の食欲不振、便秘の頻度はいずれも強オピオイドを最初から投与した群に多かった(7.0% vs 13%,5.9% vs 18%)。以上より、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られないがん疼痛のある患者に対して強オピオイドを最初から投与する方法は、弱オピオイドを使用し鎮痛効果が不十分であれば強オピオイドへ変更する方法と同様に安全で有効であることが示唆される。 ** 以上より、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上のがん疼痛のある患者に対して、弱オピオイドを最初に投与し鎮痛効果が不十分であれば強オピオイドを投与する方法と、強オピオイドを最初から投与する方法とは、いずれも、安全で有効であると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上のがん疼痛のある患者に対して、オピオイドを使用することを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、痛みが中等度の場合は強オピオイドを最初に投与することを推奨している。ESMOのガイドラインでは、中等度の痛みに対して、弱オピオイドと同じように、強オピオイドも選択できるとしている。ACCPのガイドラインでは、軽度から中等度の痛みには非オピオイド鎮痛薬を使用するが、より強い痛みにはオピオイドを使用することを推奨している。
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解 説 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、あるオピオイドは、他のオピオイドに比較して痛みを緩和するか、副作用が少ないか? 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、あるオピオイドが他のオピオイドに比較してより痛みを緩和する根拠はない。副作用に関しては、オキシコドンとモルヒネはほぼ同等であり、フェンタニルはモルヒネに比べて便秘が少ない。患者の状態(可能な投与経路、合併症、併存症状、痛みの強さなど)から、個々の患者に合わせたオピオイドを選択する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 1)オピオイドの選択(1)コデインコデインは、WHO方式がん疼痛治療法で使用する弱オピオイドの代表的な薬物として挙げられている。Dhaliwalら3)による無作為化クロスオーバー比較試験では、がん患者35 例を対象に、コデイン徐放性製剤200 〜400mg/日とプラセボとを比較したところ、痛みのVASの平均値はコデイン群で有意に低かった(22 vs 36,p<0.0001)。副作用はコデイン投与群では便秘31%、嘔気40%、眠気14%、嘔吐14%などを認めたが、副作用による治療中止はなかった。以上より、コデインは、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上のがん疼痛のある患者に対して、安全で有効であると考えられる。しかし、コデインは弱オピオイドであり、鎮痛効果をもたらす投与量に上限があるため、強度の痛みでは強オピオイドを使用することが望ましいと考えられる。(2)モルヒネモルヒネのがん疼痛に対する鎮痛効果については、Wiffenら4)が行った54 の無作為化比較試験(患者3,749 例)を対象として行った系統的レビューがある。試験のほとんどはモルヒネの剤形や投与方法の違いと効果についての検討であり、モルヒネをプラセボと比較した研究はなかったが、モルヒネががん疼痛に対して有効と考える相応の根拠がある、と結論づけている。副作用による治療中止は4%に認められた。例えば、Mercadanteら5)による前向き研究では、非オピオイド鎮痛薬で鎮痛効果が不十分な中等度以上の痛みのある患者110 例を対象に、初回量としてモルヒネ速放性製剤を15mg/日、レスキュー・ドーズを1日量の1/6と設定したところ、モルヒネ投与量は1週間で30(26 〜52)mg/日、4 週間で45(22〜65)mg/日まで増量された。痛みの強さは、治療前NRS 6.1、1週間後3.2(p<0.01)、4 週間後3.0(p <0.01)であった。以上より、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上のがん疼痛のある患者に対して、モルヒネは、安全で有効であると考えられる。(3)オキシコドンオキシコドンのがん疼痛に対する効果については、Reidら6)が行ったオキシコドンのがん 臨床疑問8 推 奨
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III章推奨 疼痛に対する系統的レビューがある。オキシコドンと他のオピオイドの効果を比較した4つの無作為化比較試験の患者276 例を対象として検討したところ、オキシコドンは、鎮痛効果と副作用ともモルヒネと差がないと結論づけた。この他に、Laurettiら7)による無作為化比較試験では、がん患者26 例を対象に、モルヒネ徐放性製剤とオキシコドン徐放性製剤を比較したところ、モルヒネとオキシコドンの鎮痛効果はほぼ同等であった。これらは、オピオイドがすでに投与された患者を対象として含んでおり、必ずしもオピオイド初回投与の患者を比較した研究ではない。オキシコドン初回投与の患者を対象とした研究としては、Silvestriら8)による前後比較研究がある。痛みのNRSが5以上のがん疼痛のある390 例を対象に、オキシコドン徐放性製剤を平均23mg/日より開始し、良好な鎮痛効果(直前NRSの30%以上の低下、または7日前の平均NRSより3点以上低下と定義)が得られるまで24 時間ごとに25 〜50%増量を行ったところ、痛みのNRSは、投与前7.2 から、1日目4.5、7日目2.8、21日目2.1に改善した。7日目の平均投与量は32mg/日であった。オキシコドンによる有害事象は4%に認められ、嘔気・嘔吐、便秘が多かった。重篤な副作用は認められなかった。以上より、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上のがん疼痛のある患者に対して、オキシコドンは、安全で有効であると考えられる。(4)フェンタニルフェンタニルの鎮痛効果に関する研究は、1速放性製剤で増量を行った後にフェンタニルとモルヒネの効果を比較したものなど、および、2フェンタニルの初回投与の鎮痛効果を評価したものがある。1 速放性製剤で増量を行った後にフェンタニルとモルヒネの効果を比較したものなどWongら9)による無作為化比較試験では、がん患者47例を対象に、モルヒネ徐放性製剤とフェンタニル貼付剤の効果を比較したところ、5 段階の疼痛評価で鎮痛効果に両群に有意差はなく、いずれの群でも鎮痛効果を得ることができた(4.0 →0.85 vs 3.9 →0.9)。投与量は、モルヒネ群が156mg/日から174mg/日に、フェンタニル群が40μg/hから61μg/hに増加していた。同様に、Kressら10)による無作為化比較試験でも、がん疼痛患者220 例を対象に、マトリックス型フェンタニル貼付剤と従来型フェンタニル貼付剤/ 経口モルヒネ製剤の効果を比較したところ、どの製剤を使用しても鎮痛効果と有害事象は、ともに有意差は認められなかった。Ahmedzaiら11)による無作為化比較試験では、48 時間以上一定用量のモルヒネが投与されていた202 例を対象に、モルヒネ徐放性製剤とフェンタニル貼付剤との効果を比較したところ、鎮痛効果は同等で、便秘と眠気はフェンタニル群のほうが少なかった(便秘27% vs 45%,p <0.001、眠気34% vs 44%,p=0.015)。また、フェンタニルの持続注射による鎮痛効果を評価した研究として、Huntら12)による無作為化比較試験がある。ホスピスに入院中の強オピオイドが投与されていた23 症例を対象に、モルヒネ10mg/日に対する等力価のフェンタニルを150μg/日と設定して3日間はモルヒネ、次の3日間はフェンタニル(もしくは反対)を持続皮下注した。鎮痛効果、嘔気、せん妄について有意差は認められなかったが、先にフェンタニルを投与され、次にモルヒネが投与された群では、有意にフェンタニル投与時に排便回数が多かった(3日間の平均排便回数:フェンタニル3回 vs モルヒネ0 回,p=0.015)。以上より、速放性製剤で増量を行った後にフェンタニル貼付剤を使用する方法は、モルヒネと同等の鎮痛効果があり、便秘が少ない可能性があると考えられる。
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2フェンタニルの初回投与の効果を評価したものvan Seventerら13)による無作為化比較試験では、中等度から強度の痛みのあるオピオイドの初回投与を受けるがん患者131例を対象にフェンタニル貼付剤とモルヒネ徐放性製剤の初回投与の効果を比較したところ、鎮痛効果は同等で、有害事象による中止を含む試験の中止はモルヒネ群で有意に多かった(59% vs 27%,p <0.001)。また、モルヒネ群は治療開始後1週間での便秘の割合が高かった(57%vs 27%,p=0.003)。Mystakidouら14)による観察研究では、がん患者589 例を対象に、オピオイドの初回投与としてフェンタニルを投与された患者268 例中評価可能であった153 例を対象に、患者が鎮痛効果を4 段階(悪い、普通、よい、とてもよい)で評価したところ、「よい」と「とてもよい」が89%であった。初回投与では32%に有害事象を認めたが、CTCAEによる評価でGrade 3以上の有害事象を認めなかった。Vielvolye-Kermerら15)による前後比較研究では、オピオイドの初回投与を受ける患者14例を対象に、フェンタニル貼付剤25μg/hを使用した。27日後の投与量の中央値は50μg/hであり、鎮痛効果は、患者が4 段階で評価した結果、「よい」と「とてもよい」が71%であった。主な副作用は便秘、嘔気、嘔吐、眠気であった。呼吸抑制など重篤な副作用はみられなかった。以上より、確立した知見ではないが、フェンタニル貼付剤を初回投与として使用する方法は、安全であり鎮痛に有効な可能性があることが示唆される(Tassinari D, 200916))。 ** 以上より、コデイン、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルのなかで、あるオピオイドが他のオピオイドに比較してより痛みを緩和する根拠はなく、いずれも鎮痛効果について同等であると考えられる。また、副作用に関しては、オキシコドンとモルヒネはほぼ同等であるが、フェンタニルはモルヒネに比べて便秘が少ない可能性がある(Tassinari D, 200817))。欧米では、モルヒネがオピオイドの第一選択薬として記載される場合が多いが、その主な理由は、鎮痛効果が優れているという根拠からではなく、安価である、使い慣れていることなどである。しかし、本邦において、モルヒネが「安価である」、多くの医師にとって「使い慣れている」とは必ずしもいえないため、本ガイドラインでは、専門家の合意により、モルヒネとそれ以外のオピオイドとの優劣は明確ではないと考えた。したがって、本ガイドラインでは、患者の状態(可能な投与経路、合併症、併存症状、痛みの強さなど)から、個々の患者に合わせたオピオイドを選択することを推奨する。 2)オピオイドの選択にあたって検討する事項オピオイドの選択にあたっては、可能な投与経路、合併症、併存症状、痛みの強さなどを総合的に検討する。(1)可能な投与経路患者にオピオイドが投与できる投与経路のうち、最も簡便で患者が好む投与経路から投与できるオピオイドを選択する。一般的には、経口投与を優先する。経口投与ができない場合は、持続静注・持続皮下注、経皮投与、または、直腸内投与の可能な薬剤を選択する。(2)合併症腎機能障害のある患者では、モルヒネとコデインは避けることが望ましい(P46,II-4-1-7 1腎機能障害の項参照)。(3)併存する症状強い便秘や腸蠕動を低下させることを避ける必要がある病態では、フェンタニルが望まし
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III章推奨 い。また、呼吸困難を緩和する効果があることが確認されているオピオイドは今のところモルヒネであるため(Ben-Aharon I, et al. 2008)、呼吸困難がある場合にはモルヒネが望ましい。(4)痛みの強さフェンタニル貼付剤の効果発現は貼付開始後12〜14 時間後であり投与量の迅速な変更が難しいため、痛みが不安定な場合には原則として使用しない。コデインは弱オピオイドであり有効限界があることから、強度の痛みでは強オピオイドを使用する。 既存のガイドラインとの整合性オピオイドの選択EAPCのガイドラインではモルヒネを第一選択としている。理由として、モルヒネが他のオピオイドよりも鎮痛効果が優れているからではなく、さまざまな剤形があり投与の選択肢が多い、使い慣れている、安価であることを挙げている。オキシコドンはモルヒネの代わりに投与可能であり、フェンタニル貼付剤は痛みが安定している患者で代わりになるとしている。NCCNのガイドラインでは、中等度以上の痛みに対してモルヒネ速放性製剤を推奨し、モルヒネ以外に利用可能なオピオイドとしてオキシコドン、フェンタニル貼付剤(痛みが安定している場合)などを挙げている。ESMOのガイドラインでは、経口モルヒネが最も一般的であるとし、オキシコドン、フェンタニル貼付剤(痛みが安定している場合)などを利用できるとしている。
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※本臨床疑問に対する臨床研究としてはモルヒネ以外を対象としたものはなかったためモルヒネについて検討した。オピオイドの製剤や投与方法により、鎮痛効果や副作用に差があるか?※ 9-1モルヒネの速放性製剤は、徐放性製剤に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか? 高用量のモルヒネの速放性製剤と徐放性製剤とでは、鎮痛効果と副作用に臨床的に意味のある差はない。低用量のモルヒネの速放性製剤と徐放性製剤とで、鎮痛効果と副作用に差があるかを判断できるだけの十分な根拠がない。中等度以下かつ安定している痛みでは、モルヒネの徐放性製剤と速放性製剤のいずれを使用してもよい。ただし、痛みが高度または不安定な場合には速放性製剤や持続注射を用いる。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 9-2モルヒネのある徐放性製剤は、他の徐放性製剤に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか? モルヒネ徐放性製剤では鎮痛効果と副作用に臨床的に意味のある差はない。モルヒネ徐放性製剤はいずれのものを使用してもよい。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル) 9-3モルヒネの24 時間徐放性製剤の朝1回投与は、夜1回投与に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか? モルヒネの24 時間徐放性製剤の朝1回投与と夜1回投与とでは、鎮痛効果と副作用に臨床的に意味のある差はない。モルヒネの24 時間徐放性製剤は朝、夜のいずれに投与してもよい。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 9-1 モルヒネの速放性製剤と徐放性製剤との比較本臨床疑問に関連した臨床試験としては、1つの系統的レビューがある。Wiffenら18)の系統的レビューでは、モルヒネの速放性製剤と徐放性製剤との効果を比較した15の無作為化比較試験(患者460 例)を検討し、徐放性製剤を定期投与とした治療は、速放性製剤を定期投与とした治療と、鎮痛効果と副作用の点で同等であると結論づけた。例えば、Klepstadら19)による無作為化比較試験では、弱オピオイドの投与を受けている 臨床疑問9 推 奨 推 奨 推 奨 解 説
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III章推奨 *:アドヒアランス患者が主体となって治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること。従来使われてきたコンプライアンス(遵守)よりも医療の主体を患者側に置いた考え方。 がん患者40 例を対象として、モルヒネの速放性製剤と徐放性製剤の鎮痛効果を比較した。60mg/日より開始し、痛みが完全に除去されるまで90、120、180、270、360mg/日と増量する計画としたところ、痛みが除去されるまで要した時間と投与量は、速放性製剤(2.1日, 94mg)、徐放性製剤(1.7日, 82mg)で有意差がなかった。痛みのVASはいずれの群でも低下した(62→26 vs 55 →22,p 値記載なし)。嘔気、便秘、睡眠についても有意差はなかった。しかし、これらの研究で使用された徐放性製剤の開始量は60mg/日以上のものが多く、低用量の徐放性製剤を使用した場合を判断できるだけの研究がない。 ** 以上より、高用量のモルヒネの速放性製剤と徐放性製剤とでは、鎮痛効果と副作用に臨床的に明らかな差はないが、本邦で通常使用されている低用量での速放性製剤と徐放性製剤とで、鎮痛効果と副作用に差があるかを判断できるだけの十分な根拠がないと考えられる。欧米では、オピオイドを開始するときは、モルヒネ速放性製剤を第一に検討するべきであるとするものが多いが、質の高いエビデンスに支持されたものではない。経口投与の回数が増えると患者のアドヒアランス*が低下することが予測され、また、本邦ではモルヒネ速放性製剤が他のオピオイドに比較して多くの医師にとって「最も使い慣れている」とは必ずしもいえない。また、中等度以下かつ安定している痛みの患者においては、定期投与薬として徐放性製剤を用いても、レスキュー・ドーズとして速放性製剤を用いることにより、十分な鎮痛効果が得られると考えられる。したがって、オピオイドの開始の場合にモルヒネ速放性製剤を使用することを原則とする利点は大きくないと考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意として、中等度以下かつ安定している痛みでは、徐放性製剤と速放性製剤のいずれを使用してもよいと考えた。ただし、徐放性製剤を用いるときには、レスキュー・ドーズとして速放性製剤を必ず使用する。一方、痛みが高度または不安定な場合には、速やかに増量を行い鎮痛効果に必要なオピオイド投与量を判断することのできる速放性製剤や持続注射を用いることを推奨する。 9-2 モルヒネ徐放性製剤間の比較本臨床疑問に関連した臨床試験としては、1つの系統的レビューがある。Wiffenら18)の系統的レビューでは、複数のモルヒネ徐放性製剤の効果を比較した12の無作為化比較試験(患者1,010 例)を検討した結果、徐放性製剤のいずれが他のものに優れているとの根拠はなく、いずれも同等であると結論づけた。例えば、Hagenらによる無作為化クロスオーバー比較試験では、痛みのあるがん患者29 例を対象に、モルヒネの24 時間徐放性製剤と12 時間徐放性製剤の効果を比較したところ、治療後の痛みのVASは両群で差がなかった(最小:13±15 vs 9.6±8.8,p=0.15、最大:36± 23 vs 30±17,p=0.14)。 ** 以上より、国内で利用できるすべての徐放性製剤で十分な研究があるわけではないものの、異なるモルヒネ徐放性製剤で鎮痛効果と副作用に臨床的に意味のある差はないと考えられる。したがって、本ガイドラインでは、モルヒネ徐放性製剤はいずれのものを使用してもよいと推奨する。 9-3 モルヒネの24 時間徐放性製剤の朝1回投与と夜1回投与の比較本臨床疑問に関連した臨床試験としては、1つの無作為化比較試験がある。Currowら19)
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による無作為化比較試験では、がん疼痛ですでにオピオイドが導入されている患者42 例を対象に、モルヒネの24 時間徐放性製剤とプラセボを使用し、朝、夜経口投与での鎮痛効果の違いを比較したところ、1週間後の痛みのVASは朝経口投与群が16mm、夜経口投与群が14mmと有意差はなかった(p=0.34)。 ** 以上より、限られた知見であるが、モルヒネの24 時間徐放性製剤の朝1回投与と夜1回投与とでは、鎮痛効果と副作用に差はないことが示唆される。本ガイドラインでは、専門家の合意により、モルヒネの24 時間徐放性製剤は朝、夜のいずれに投与してもよいと推奨する。しかし、個々の患者において、予測される血中濃度を参考にして、臨床症状を確かめながら投与時間を変更することを妨げるものではない。 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001a)では、徐放性製剤を定期投与薬として開始すると増量間隔が長くなるために鎮痛効果に必要なオピオイド量に到達する時間が長くなることが予測されることと、処方を単純にするために、オピオイドの初回の投与の場合には、定期投与薬をレスキュー・ドーズとして、モルヒネの速放性製剤を使用することを推奨している。NCCNのガイドラインでも、開始時には速放性製剤の使用を推奨している。EAPCのガイドライン(2001a)では複数のモルヒネの徐放性製剤で薬物動態的な違いはあるものの臨床効果の差がある根拠がないことから、いずれの徐放性製剤を用いてもよいとしている。24 時間徐放性製剤の朝夜投与について言及しているガイドラインはない。 オピオイドを開始する時に、制吐薬を投与することは、投与しないことに比較して嘔気・嘔吐を減少させるか? オピオイドを開始する時に、制吐薬を投与することが、投与しないことに比較して嘔気・嘔吐を減少させることを示す根拠はない。オピオイドを開始する時は、嘔気・嘔吐について十分な観察を行い、嘔気時として制吐薬をいつでも使用できる状況にしておく。嘔気・嘔吐が継続する場合は数日間定期的に投与する。患者の状態によっては、オピオイドの開始と同時に制吐薬を定期的に投与してもよい。1C (強い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する無作為化比較試験、質の高い前後比較研究のいずれもない。すなわち、オピオイドを開始する時に、制吐薬を投与することが、投与しないことに比較して嘔気・嘔吐を減少させることが可能であるかは不明である。本ガイドラインでは、専門家の合意により、オピオイドを開始する時は、嘔気・嘔吐について十分な観察を行い、嘔気時として制吐薬をいつでも使用できる状況にしておき、嘔気・嘔吐 臨床疑問10 推 奨
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III章推奨 が継続する場合は数日間定期的に投与することを推奨する。ただし、制吐薬により生じうる副作用(眠気、ふらつき、パーキンソン症候群、アカシジアなど)の可能性よりも、嘔気・嘔吐を予防する利益が上回ると考えられる患者では、オピオイドの開始と同時に制吐薬の定期的な投与を検討してもよい。その理由は、1嘔気・嘔吐はオピオイドのアドヒアランスを悪化させるので、積極的に予防するほうがよい、2制吐薬の短期間の投与により生じうる害より嘔気・嘔吐を予防できる有益性が高い場合があると考えられるためである。このような場合としては、消化器がんや化学療法を受けている患者など嘔気・嘔吐を生じやすい患者、全身状態が良好な若年者など制吐薬の副作用が重篤になる可能性が少ない患者などが挙げられる。オピオイド開始時に制吐薬を定期的に使用した場合には、オピオイドの嘔気・嘔吐に対しては耐性が生じるため、投与後1〜2 週間で減量・中止することを検討し、漫然と長期投与にならないようにする。使用する制吐薬は、ドパミン受容体拮抗薬(ハロペリドール、プロクロルペラジン)、消化管蠕動亢進薬(メトクロプラミド、ドンペリドン)、または、抗ヒスタミン薬のいずれかを選択する。 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001b)および、 ESMOのガイドラインでは、オピオイド開始時の制吐薬の定期的な併用については記載されていない。嘔気が生じた場合には、メトクロプラミド、ハロペリドール、プロクロルペラジンなどの制吐薬で対応するとしている。NCCNのガイドラインでは、オピオイド開始時に制吐薬が利用できるようにしておくことを推奨している。すなわち、オピオイドの処方と同時に制吐薬を処方し、嘔気時の頓用、または、嘔気が継続する場合は数日間定期投与することを推奨している。 ●嘔気・嘔吐に関する各ガイドラインの記載 ガイドラインオピオイドを開始時の制吐薬の 定期的な併用使用する制吐薬 EAPC(2001b)のガイドライン記載はないメトクロプラミド、ハロペリドール、プロクロルペラジン、ジメンヒドリナート、フェノチアジン、シサプリド、オンダンセトロン、デキサメサゾン(どの制吐薬が最も有用かという根拠はない) ESMOのガイドライン記載はない特定の薬剤名の記載はない NCCNのガイドラインオピオイド開始時に制吐薬が利用できるようにしておくプロクロルペラジン、チエチルペラジン、ハロペリドール、メトクロプラミド(効果がない場合は、セロトニン拮抗 薬)
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*:便秘の定義便秘とは「腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態」を指す。排便の習慣は個人差が大きいため、もともとの排便習慣と比較し、排便回数の低下、便の量の減少やかたさ、残便感、排便の困難感などから判断する。オピオイドを開始する時に、下剤を投与することは、投与しないことに比較して便秘を減 少させるか? オピオイドを開始する時に、下剤を投与することは、投与しないことに比較して便秘を減少させる根拠はない。オピオイドを開始する時は、患者の排便状態について十分な観察を行い、水分摂取・食事指導や下剤の投与など便秘*を生じないような対応を行う。1C (強い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する無作為化比較試験、質の高い前後比較研究のいずれもない。すなわち、オピオイドを開始する時に、下剤を投与することは、投与しないことに比較して便秘を減少させることが可能であるかは不明である。本ガイドラインでは、専門家の合意により、オピオイドを開始するときには、患者の排便状態を観察し、便秘を生じないように水分摂取・食事指導や下剤の投与など対応を行うことを推奨する。すなわち、便が軟らかかったり下痢をしている患者では、オピオイド開始時に下剤の定期的な併用は必ずしも必要ないが、投与後便秘が生じる可能性を念頭に置き、患者の排便状態を観察する。もともと便秘傾向のある患者や、経口モルヒネまたはオキシコドンを投与する患者など便秘を生じる可能性が高いと考えられる場合には、オピオイドの開始時に下剤を定期的に投与し、患者の排便状態を観察して調節する。推奨の理由は、1便秘は頻度の高い症状であり、オピオイドのアドヒアランスを悪化させるので、積極的に予防するほうがよい、2下剤の投与を含む便秘の予防により生じうる害より有益性が高い場合が多いと考えられるためである。下剤として、便の硬さに応じて、便を軟らかくする浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース)や、腸蠕動運動を促進させる大腸刺激性下剤の(ピコスルファートナトリウム、センノシド)を使用する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNとACCPのガイドラインでは便秘を防ぐために、水分・食物繊維の摂取や下剤の投与を含む「予防的な対策(preventive measure)」を推奨している。EAPCとESMOのガイドラインでは、便秘がよくある副作用であるという認識のもとに、適宜下剤を使用すると記載されている。 臨床疑問11 推 奨
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III章推奨 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られないがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬を中止せずにオピオイドを開始することは、非オピオイド鎮痛薬を中止してオピオイドを開始することに比較して痛みを緩和するか? 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛が得られないがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬を中止せずにオピオイドを開始することは、鎮痛効果を中等度改善する。非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない患者の痛みに対してオピオイドを開始する時には、非オピオイド鎮痛薬と併用する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に対する無作為化比較試験はない。関連する臨床研究として、オピオイドを使用している患者に対して、非オピオイド鎮痛薬を上乗せして併用することによる鎮痛効果を比較した4件の無作為化比較試験がある。Björkmanら20)による、モルヒネ持続投与が行われている16 例を対象に、ジクロフェナク坐剤50mg/日とプラセボの併用を比較した無作為化比較試験では、2日後の痛みのVASの改善率はジクロフェナク群でより高く、モルヒネ使用量もより少なくなった(96 mg/日→83 mg/日vs 96 mg/日→95 mg/日, p=0.01)。Mercadanteら21)による無作為化比較試験では、がん患者156 例を(解析対象は47例)対象に、オピオイド単剤とketorolac 60mg/日とオピオイドとの併用とを比較したところ、3週間後の痛みのNRSは両群で増加したが、ketorolac 併用群ではモルヒネの使用量がより少なかった。痛みに大きな差はなく、便秘は減ったが、胃部不快(gastric discomfort)の頻度が上昇した。Stambaughら22)による無作為化比較試験では、オキシコドンとアセトアミノフェン投与中の骨転移痛を有するがん患者30 例を対象に、イブプロフェン600mgの上乗せ効果を比較したところ、平均疼痛強度はイブプロフェン群で低く(数値の記載なし,p <0.05)、オキシドコンの使用量も少なかった。 臨床疑問12 推 奨 ●便秘に関する各ガイドラインの記載 ガイドラインオピオイドを開始時の下剤の 定期的な併用使用する下剤 EAPC(2001b)のガイドライン明確な記載はないセンナ、ビサコジル、フェノールフタレイン、ラクツロース(どの下剤が最も有用かという根拠はない) ESMOのガイドライン明確な記載はない特定の薬剤名の記載はない NCCNのガイドライン水分・食物繊維の摂取、下剤の投与を含めて予防的対策をとる(prophylacticmedication)刺激性下剤と塩類下剤を使用する ACCPのガイドライン便秘を予期し、予防的にな対策をとり(treatprophylactically)、継続的な観察をする
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Stocklerら23)による無作為化比較試験では、強オピオイドを使用しているがん患者30 例を対象に、アセトアミノフェン5,000mg/日とプラセボの併用を比較したところ、アセトアミノフェン群が痛みをより改善した〔投与開始2日目と4日目の痛みのNRS の平均差は0.4(95%信頼区間では0.1〜0.8),p=0.03〕。 ** 以上より、非オピオイド鎮痛薬を投与されている患者にオピオイドを開始する場合に、非オピオイド鎮痛薬を中止した場合と中止せずに併用した場合のどちらが鎮痛効果がよいかは不明である。しかし、オピオイドによる疼痛治療をされている患者に非オピオイドを上乗せすることは、消化管への有害作用の頻度が増加する可能性があるが、中等度の鎮痛効果があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、上記の知見と専門家の合意により、非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない患者の痛みに対してオピオイドを開始する時には、非オピオイド鎮痛薬を中止せずに併用することを推奨する。ただし、鎮痛効果は中等度であり、NSAIDsでは消化管への有害作用などの副作用の出現頻度が高くなる可能性があるため、長期投与は鎮痛効果と副作用を評価して判断する。 既存のガイドラインとの整合性いずれのガイドラインでも明確な記載はない。 (温泉川真由、村上敏史) 【文 献】臨床疑問7 1)Marinangeli F, Ciccozzi A, Leonardis M, et al. Use of strong opioids in advanced cancer pain: a randomized trial. J Pain Symptom Manage 2004; 27: 409-16 2)Maltoni M, Scarpi E, Modonesi C, et al. A validation study of the WHO analgesic ladder: a two-step vs three-step strategy. Support Care Cancer 2005; 13: 888-94 臨床疑問8 3)Dhaliwal HS, Sloan P, Arkinstall WW, et al. Randomized evaluation of controlled-release codeine and placebo in chronic cancer pain. J Pain Symptom Manage 1995; 10: 612-23 4)Wiffen PJ, McQuay HJ. Oral morphine for cancer pain. Cochrane Database Syst Rev 2007 (4): CD003868 5)Mercadante S, Porzio G, Ferrera P, et al. Low morphine doses in opioid-naive cancer patients with pain. J Pain Symptom Manage 2006; 31: 242-7 6)Reid CM, Martin RM, Sterne JA, et al. Oxycodone for cancer-related pain: meta-analysis of randomized controlled trials. Arch Intern Med 2006; 166: 837-43 7)Lauretti GR, Oliveira GM, Pereira NL. Comparison of sustained-release morphine with sustainedrelease oxycodone in advanced cancer patients. Br J Cancer 2003; 89: 2027-30 8)Silvestri B, Bandieri E, Del Prete S, et al. Oxycodone controlled-release as first-choice therapy for moderate-to-severe cancer pain in Italian patients: results of an open-label, multicentre, observational study. Clin Drug Investig 2008; 28: 399-407 9)Wong JO, Chiu GL, Tsao CJ, Chang CL. Comparison of oral controlled-release morphine with transdermal fentanyl in terminal cancer pain. Acrta Anesthesiol Sin 1997; 35: 25-32($) 10)Kress HG, Von der Laage D, Hoerauf KH, et al. A randomized, open, parallel group, multicenter trial to investigate analgesic efficacy and safety of a new transdermal fentanyl patch compared to standard opioid treatment in cancer pain. J Pain Symptom Manage 2008; 36: 268-79 11)Ahmedzai S, Brooks D. Transdermal fentanyl versus sustained-release oral morphine in cancer pain: preference, efficacy, and quality of life. The TTS-Fentanyl Comparative Trial Group. J Pain Symptom Manage 1997; 13: 254-61($) 12)Hunt R, Fazekas B, Thorne D, Brooksbank M. A comparison of subcutaneous morphine and fentanyl in hospice cancer patients. J Pain Symptom Manage 1999; 18: 111-9($)
p.147
III章推奨 13)van Seventer R, Smit JM, Schipper RM, et al. Comparison of TTS-fentanyl with sustained-release oral morphine in the treatment of patients not using opioids for mild-to-moderate pain. Curr Med Res Opin 2003; 19: 457-69($) 14)Mystakidou K, Tsilika E, Parpa E, et al. Long-term cancer pain management in morphine pretreated and opioid naive patients with transdermal fentanyl. Int J Cancer 2003; 107: 486-92 15)Vielvoye-Kerkmeer AP, Mattern C, Uitendaal MP. Transdermal fentanyl in opioid-naive cancer pain patients: an open trial using transdermal fentanyl for the treatment of chronic cancer pain in opioid-naive patients and a group using codeine. J Pain Symptom Manage. 2000; 19: 185-92($) 16)Tassinari D, Sartori S, Tamburini E, et al. Transdermal fentanyl as a front-line approach to moderate-severe pain: a meta-analysis of randomized clinical trials. J Palliat Care. 2009; 25: 172-80 17)Tassinari D, Sartori S, Tamburini E, et al. Adverse effects of transdermal opiates treating moderate-severe cancer pain in comparison to long-acting morphine: a meta-analysis and systematic review of the literature. J Palliat Med. 2008; 11: 492-501 注: 以下の文献はReid CM(2006)の系統的レビューの対象となっているため個々に検討を行わなかった。 ・Heiskanen T, Kalso E. Controlled-release oxycodone and morphine in cancer related pain. Pain 1997; 73: 37-45・Mucci-LoRusso P, Berman BS, Silberstein PT, et al. Controlled-release oxycodone compared with controlledrelease morphine in the treatment of cancer pain: a randomized, double-blind, parallel-group study. Eur J Pain 1998; 2: 239-49・Bruera E, Belzile M, Pituskin E, et al. Randomized, double-blind, cross-over trial comparing safety and efficacy of oral controlled-release oxycodone with controlled-release morphine in patients with cancer pain. J Clin Oncol 1998; 16: 3222-9・Hagen NA, Babul N. Comparative clinical efficacy and safety of a novel controlled-release oxycodone formulation and controlled-release hydromorphone in the treatment of cancer pain. Cancer 1997; 79: 1428-37・Kalso E, Vainio A. Morphine and oxycodone hydrochloride in the management of cancer pain. Clin Pharmacol Ther 1990; 47: 639-46 臨床疑問9 18)Wiffen PJ, McQuay HJ. Oral morphine for cancer pain. Cochrane Database Syst Rev 2007 (4): CD003868 19)Currow DC, Plummer JL, Cooney NJ, et al. A randomized, double-blind, multi-site, crossover, placebo-controlled equivalence study of morning versus evening once-daily sustained-release morphine sulfate in people with pain from advanced cancer. J Pain Symptom Manage 2007; 34: 17-23 注:以下の文献はWiffen PJの系統的レビューに含まれている論文を例として示した。 ・Klepstad P, Kaasa S, Jystad A, et al. Immediate- or sustained-release morphine for dose finding during start of morphine to cancer patients: a randomized, double-blind trial. Pain 2003; 101: 193-8・Hagen NA, Thirlwell M, Eisenhoffer J, et al. Efficacy, safety, and steady-state pharmacokinetics of once-a-day controlled-release morphine (MS Contin XL) in cancer pain. J Pain Symptom Manegement 2005; 29: 80-90($) 臨床疑問12 20)Bjõrkman R, Ullman A, Hedner J. Morphine-sparing effect of diclofenac in cancer pain. Eur J Clin Pharmacol. 1993; 44: 1-5 21)Mercadante S, Fulfaro F, Casuccio A. A randomised controlled study on the use of antiinflammatory drugs in patients with cancer pain on morphine therapy: effects on dose-escalation and a pharmacoeconomic analysis. Eur J Cancer 2002; 38: 1358-63 22)Stambaugh JE Jr, Drew J. The combination of ibuprofen and oxycodone/acetaminophen in the management of chronic cancer pain. Clin Pharmacol Ther 1988; 44: 665-9 23)Stockler M, Vardy J, Pillai A, Warr D. Acetaminophen (paracetamol) improves pain and well-being in people with advanced cancer already receiving a strong opioid regimen: a randomized, doubleblind, placebo-controlled cross-over trial. J Clin Oncol 2004; 22: 3389-94 【参考文献】臨床疑問8 24)Ben-Aharon I, Gafter-Gvili A, Paul M, et al. Interventions for alleviating cancer-related dyspnea: a systematic review. J Clin Oncol 2008; 26: 2396-404 $:製薬会社からの資金提供を受けて行われた研究を示す。
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*:「適切な鎮痛効果が得られない」状態オピオイドを十分に増量しても鎮痛効果が得られない、または痛みがあるにもかかわらず副作用のためにオピオイドを増量できないことと定義した。オピオイドが投与されている患者3 持続痛のある患者において、行うべき評価は何か?オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用することは、併用しない場合に比較して痛みを緩和するか?オピオイドの定期投与により鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、定期投与量の増量は痛みを緩和するか?あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない*患者において、他のオピオイドへの変更(オピオイドローテーション)や、他のオピオイドの追加は痛みを緩和するか? あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更することは、痛みを緩和するか?あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドを追加することは、痛みを緩和するか?あるオピオイドの経口投与または貼付剤で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更することは、痛みを緩和するか?オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとケタミンの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和するか?オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとコルチコステロイドの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを併用する。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル)オピオイドの定期投与により鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、定期投与量を増量する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 増量幅: 前日のレスキュー・ドーズ合計量を参考にしながら、定期投与量の30 〜 50%増量を原則とし、患者の状況に応じて増減する。 増量間隔: 速放性製剤、持続静注・持続皮下注では24 時間、徐放性製剤では48 時間、フェンタニル貼付剤では72 時間を原則とする。 投与経路: 定期投与と同じ経路を原則とする。痛みが強く迅速な鎮痛効果が必要 な場合は、持続静注・持続皮下注または経口速放性製剤による疼痛治療を行う。 あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、専門家に相談したうえで、他のオピオイドを追加する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 関連する臨床疑問 推 奨 13 14 15 16 17 18 19 13 14 15 16 16 -1 -2 ● オピオイドが投与されている患者で、持続痛が緩和されていない場合、有効な治療は何か? 1 16-1 16-2
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III章推奨 あるオピオイドの経口投与または貼付剤で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル)オピオイドを増量しても適切な鎮痛効果が得られない場合、専門家に相談したうえで、オピオイドにケタミンを併用する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル)オピオイドが投与されていても鎮痛効果が得られない患者において、特定の病態*においては、副作用に注意しながらコルチコステロイドを投与する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 17 18 19 ●フローチャート ●副作用の対処を行い定期投与量を増量●オピオイドローテーションオピオイドによる副作用 ●定期投与量の増量 なしあり ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) 鎮痛効果が不十分な場合に検討すること●非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用●オピオイドローテーション●他のオピオイドを追加●投与経路の変更●鎮痛補助薬とオピオイドを併用●神経ブロック ●原因に応じた対応・がんによる痛み(外科治療・化学療法・放射線治療)・がん治療による痛み・がん・がん治療と直接関連のない痛み・オンコロジーエマージェンシー・特定の病態による痛み(P184,III-4参照) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、オピオイドによる副作用(嘔気・嘔吐、眠気など)がない場合は、オピオイドの定期投与量の増量を行う。オピオイドによる副作用がある場合は、副作用の対処をしながらオピオイドの定期投与量を増量するか、または、他のオピオイドへ変更(オピオイドローテーション)する。鎮痛効果が不十分な場合には、非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用、他のオピオイドに変更(オピオイドローテーション)、他のオピオイドを追加、オピオイドの投与経路を変更、鎮痛補助薬とオピオイドを併用、または神経ブロックなどを検討する。 持続痛のある患者において、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 臨床疑問13 推 奨*:コルチコステロイドの効果が期待できる病態脊髄圧迫症候群など神経への圧迫による痛み、炎症による痛み、頭蓋内圧亢進に伴う頭痛、臓器の被膜伸展痛、骨転移に伴う痛みなどを指す。
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解 説1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価するがんによる痛みでは鎮痛薬の投与などの痛みに対する治療とともに、外科治療、化学療法、放射線治療などの腫瘍そのものに対する治療を検討する。がん治療による痛み(術後痛症候群、化学療法後神経障害性疼痛など)やがん・がん治療と直接関連のない痛み(脊柱管狭窄症、帯状疱疹など)では原因に応じた治療を行う。痛みがオンコロジーエマージェンシー(脊髄圧迫症候群、骨折・切迫骨折、感染症、消化管の閉塞・穿孔・出血など)の症状であることがあるので、痛みの対応のみでなく、痛みを生じている病態の把握と原因への対応を行う。特殊な疼痛症候群(神経障害性疼痛、骨転移痛、上腹部の内臓痛、胸部痛、会陰部の疼痛、消化管閉塞など)の場合にはそれぞれの対応を検討する(P184,III-4 各項を参照)。 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。特に痛みが持続的にあり、持続痛を伴わない突出痛ではないことを確認する。鎮痛薬が確実に使用されているか(定期的に経口投与しているか、貼付剤がはがれていないかなど)を確認する。また、レスキュー・ドーズの効果を知ることにより、オピオイドに反応しにくい痛みなのか、オピオイドに反応する痛みであるが投与量が足りないのかを区別することができる。 オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用することは、併用しない場合に比較して痛みを緩和するか? オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドの併用は、痛みを中等度緩和する。オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを併用する。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル) 臨床疑問14 推 奨 解 説本臨床疑問に関する臨床研究として、オピオイドを使用している患者に対して、非オピオイド鎮痛薬を上乗せして併用することにより鎮痛効果を比較した4件の無作為化比較試験がある(P125,臨床疑問12 参照)。いずれも、オピオイドを使用している患者に非オピオイドを上乗せすることにより、中等度の鎮痛効果を確認している。 ** 以上より、オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドの併用は、中等度痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、上記の知見と専門家の合意により、オピオイドで鎮痛効果
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III章推奨 オピオイドの定期投与により鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、定期投与量の増量は痛みを緩和するか? オピオイドの定期投与により鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、定期投与量の増量は痛みを緩和する。オピオイドの定期投与により鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、定期投与量を増量する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)増量幅: 前日のレスキュー・ドーズ合計量を参考にしながら、定期投与量の30 〜 50%増量を原則とし、患者の状況に応じて増減する。 増量間隔: 速放性製剤、持続静注・持続皮下注では24 時間、徐放性製剤では48 時間、フェンタニル貼付剤では72 時間を原則とする。 投与経路: 定期投与と同じ経路を原則とする。痛みが強く迅速な鎮痛効果が必要 な場合は、持続静注・持続皮下注または経口速放性製剤による疼痛治療を行う。 解 説本臨床疑問に関する臨床研究として、オピオイドの定期投与により鎮痛効果が十分に得られない持続痛のある患者において、オピオイドの異なる増量幅や増量間隔を比較した無作為化比較試験はない。しかし、WHO方式がん疼痛治療法に基づくオピオイドの増量により、鎮痛効果が得られることが複数の観察研究で示されている(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。 ** 以上より、オピオイドの定期投与により鎮痛効果が十分に得られない持続痛のある患者において、定期投与量の増量は、痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、オピオイドの定期投与により鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、定期投与量を増量することを推奨する。オピオイド定期投与量の増量を検討する場合としては、1日4回以上の経口レスキュー・ドーズをほぼ等間隔で使用する時、定期的に投与している鎮痛薬の投与前になると必ず痛みが来る時などがある。増量幅は、専門家の意見から、前日のレスキュー・ドーズ合計量を参考にしながら、定期投与量の30〜50%増量を原則とし、患者の状況に応じて増減することを推奨する。増量間隔は、速放性製剤、持続静注・持続皮下注では24 時間、徐放性製剤では48 時間、フェンタニル貼付剤では72 時間を原則とすることを推奨する。投与経路は、定期投与と同じ経路を原則とする。痛みが強く迅速な鎮痛効果が必要な場合は、調節のしやすい持続静注・持続皮下注または経口速放性製剤を使用する。 臨床疑問15 推 奨 が得られない患者において、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを併用することを推奨する。ただし、鎮痛効果は中等度であり、NSAIDsでは消化管への有害作用などの副作用の発現頻度が高くなる可能性があるため、長期投与は鎮痛効果と副作用を評価して判断する。
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既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001a)では、直前24 時間に使用したオピオイドの総量(定期投与量とレスキュー・ドーズ合計量)に基づいて増量を計算するとしている。NCCNのガイドラインではNRS ≧4 の場合は、速やかに経口速放性製剤や持続注射で増量したうえで、直前24 時間に使用したオピオイドの総量(定期投与量とレスキュー・ドーズ合計量)に基づいて増量を計算するとしている(詳細の方法はP250,IV-4-1,図1参照)。ESMOのガイドラインでは、高度の痛みで迅速な鎮痛効果が必要な時は持続静注・持続皮下注を推奨している。また、経口レスキュー・ドーズ1日4回以上の使用でオピオイド徐放性製剤の定期投与量を増量するとしている。 あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドへの変更(オピオイドローテーション)や、他のオピオイドの追加は痛みを緩和するか? 16-1あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更することは、痛みを緩和するか? あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更することは、痛みを緩和する場合がある。あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更する。 1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 16-2あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドを追加することは、痛みを緩和するか? あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドを追加することは、痛みを緩和するかどうかについて、根拠は不十分である。あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、専門家に相談したうえで、他のオピオイドを追加する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説16-1 オピオイドの変更(オピオイドローテーション)本臨床疑問に関する臨床研究としては、前後比較研究21件(そのうち、12件は本邦では利用できないmethadoneへの変更)を含む系統的レビューが2件ある。Quigley1),Mercadanteら2)の系統的レビューでは、無作為化比較試験など質の高いエビ 臨床疑問16 推 奨 推 奨
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III章推奨 デンスではないが、オピオイドの変更は鎮痛効果の改善に有効な手段であると結論づけている。これらの研究では、モルヒネからオキシコドン、モルヒネからフェンタニルへの変更により鎮痛効果が得られている。例えば、Narabayashiら3)による前後比較研究では、副作用のためモルヒネを増量できず、中等度以上のがん疼痛のある患者25 例を対象として、経口オキシコドンに変更を行ったところ、変更後2.3日で84%の患者において痛みが軽度以下となった。Rileyら4)による前後比較研究では、モルヒネで鎮痛効果が得られないか、副作用がコントロールできない患者で、神経障害性疼痛が明らかな患者を除いた48 例を対象として、モルヒネからオキシコドンに変更し、無効な場合はフェンタニルかmethadoneに変更、さらに無効な場合はフェンタニルかmethadoneのうち前回使用しなかったほうに変更を行ったところ、オキシコドンへの変更で79%の患者が、他のオピオイドへの変更3回以内で87%の患者において鎮痛効果が得られた。 ** 以上より、あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更することは、痛みを緩和する場合があること示す相応の根拠があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない場合には、他のオピオイドに変更することを推奨する(P41,II-4-1-4オピオイドローテーションの項参照)。 16-2 オピオイドの追加本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験はなく、前後比較研究が1件あるのみである。Mercadanteら5)は、1週間以内にオピオイドを100%増量してもNRS ≧4 の痛みのあるがん患者14 名を対象に、他のオピオイドを追加する研究を行った。5 例はフェンタニル貼付剤に20%の経口モルヒネを追加し、痛みのNRSは6.7から2.7に低下した。5 例は経口モルヒネにフェンタニル貼付剤を追加し、痛みのNRSは6.4から3.3に低下した。副作用の増強はなかった。 ** 以上より、あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドを追加することが、痛みを緩和する可能性はあるが根拠は不十分である。したがって、本ガイドラインでは専門家の合意として、あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、専門家に相談したうえで他のオピオイドを追加することを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001b)では、オピオイドの変更について、モルヒネの副作用で十分な鎮痛効果が得られない場合は、オピオイドを変更することを推奨している。オピオイドの追加については、既存のガイドラインでオピオイドの併用についての記載はない。
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あるオピオイドの経口投与または貼付剤で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更することは、痛みを緩和するか? あるオピオイドの経口投与または貼付剤で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更することは、痛みを緩和する可能性がある。あるオピオイドの経口投与または貼付剤で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、前後比較研究が2件ある。Entingら6)による前後比較研究では、オピオイドによる疼痛治療が不十分な100 例の患者を対象とし、経口投与・経皮オピオイドを静脈内投与・皮下投与に変更した。主な変更方法は、経口モルヒネを静脈内投与・皮下投与に変更、フェンタニル貼付剤をフェンタニルかモルヒネの静脈内投与・皮下投与に変更であった。変更後、安静時痛NRSが6.3→3.4、体動時痛NRSが8.4→4.6に減少した。嘔気、便秘、眠気、混乱、幻覚などの副作用は変更前78%で認められ、変更後25%で消失したが12%で新たに生じた。重篤な副作用は生じなかった。Drexelら7)による前後比較研究では、モルヒネ徐放性製剤や4 時間毎のモルヒネ単回皮下投与をされていても重度の眠気や嘔気があったり鎮痛効果が得られない患者36 例を対象とし、モルヒネを持続皮下注に変更した。全例で痛みの改善とQOLの改善、モルヒネ投与量の減少が認められた。鎮痛効果は持続皮下注に変更後10 時間以内にもたらされ、NRS ≧5の痛みのある患者はいなくなった。 ** 以上より、十分な知見はないが、あるオピオイドの経口投与または貼付剤で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更することは、痛みを緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、あるオピオイドの経口投与または経皮投与で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更することを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性EAPCガイドライン(2001b)では、モルヒネの副作用で十分な鎮痛効果が得られない場合は投与経路を変更することを推奨している。NCCNガイドラインでは、モルヒネ速放性製剤の経口投与を1時間おきに2〜3回繰り返しても疼痛緩和できないときは痛みの評価を再度やり直すとともに、持続静注・持続皮下注に変更することを推奨している。 臨床疑問17 推 奨
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III章推奨 オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとケタミンの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和するか? オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとケタミンの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和する可能性がある。オピオイドを増量しても適切な鎮痛効果が得られない場合、専門家に相談したうえで、オピオイドにケタミンを併用する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、1件の系統的レビューがある。Bellら8)による系統的レビューでは、大規模な質の高い無作為化比較試験はなく、根拠としては不十分であるが、ケタミンの有効性を示唆した4つの無作為化比較試験と32の記述的研究を抽出した。ケタミンの使用量は1mg/kg/日〜600mg/日であった。例えば、Mercadanteら9)による無作為化比較試験では、モルヒネで緩和されない神経障害性疼痛のあるがん患者10 名を対象としたところ、ケタミンは用量依存性に痛みを緩和した〔NRS 6.6 →3.8(ケタミン0.25mg/kg 投与群)、5.9 →1.8(ケタミン0.5mg/kg 投与群)、 6.5 →6.6(プラセボ群)〕。副作用として、幻覚が30 〜40%、酩酊感が20%に認められた。ま た、ケタミン投与群ではプラセボ群より眠気が多く認められた〔1.7(ケタミン0.25mg/kg投与群)vs 1.9(ケタミン0.5mg/kg投与群)vs 0.3(プラセボ投与群), 投与後30分の0〜3スケール〕。Jacksonら10)による前後比較研究では、オピオイドで鎮痛効果が不十分ながん患者39 例を対象に、ケタミン100 〜500mg/日を3〜5日間持続皮下注を行ったところ、体性痛17例中15 例(88%)、神経障害性疼痛23 例中14例(61%)に有効であった。有効の定義は、NRSが50%以上低下し、さらに1日のオピオイド使用量または疼痛時オピオイド使用回数が50%以上減少するか生活機能が明らかに改善する場合とした。副作用として、浮遊感15%、幻覚7.7%、眠気5.1%、めまい2.5%が認められた。Kannanら11)による前後比較研究では、アミトリプチリンやバルプロ酸ナトリウムとモルヒネを副作用の耐えられる最大投与量まで使用していてもNRSが6 以上の神経障害性疼痛のあるがん患者9 例を対象に、経口ケタミン(1回0.5mg/kgを3 回/日)による鎮痛効果をみたところ、痛みのNRSは24 時間後には7.6 →3.6に減少した(p=0.0092)。Ogawaら12)による前後比較研究では、モルヒネで鎮痛効果が得られないか、またはモルヒネの耐えがたい副作用のある終末期がん患者15 例を対象に、ケタミン持続静注を行ったところ、投与後6時間で1例が幻覚を伴うせん妄で、もう1例が全身衰弱でケタミン投与中止となったが、残りの13例は3〜20mg/hのケタミン投与で、痛みのVASは5.9 から0.3に低下した。 ** 以上より、十分な知見ではないが、オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない神経障害性疼痛やオピオイド耐性を生じた可能性がある患者において、オピオイドとケタミンの併用は、精神症状の発現の可能性があるものの痛みを緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、オピオイドを増量しても鎮痛効果が得られない場合は、 臨床疑問18 推 奨(ケタミン・コルチコステロイド 以外の鎮痛補助薬についてはP184,神経障害性疼痛参照)
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専門家に相談したうえでオピオイドにケタミンを併用することを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性ACCPのガイドラインでは、ケタミンの少量投与は特にオピオイドに耐性のある患者に鎮痛効果をもたらすが、ケタミンの使用経験が少ない医師は専門家に相談するべきとしている。ESMOのガイドラインでは、ケタミンの少量投与は十分ではないがある程度の根拠があるとしている。 オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとコルチコステロイドの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和するか? オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、特定の病態*ではオピオイドとコルチコステロイドの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和する可能性がある。オピオイドが投与されていても鎮痛効果が得られない患者において、特定の病態においては、副作用に注意しながらコルチコステロイドを投与する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に対する臨床研究としては、2 件の無作為化比較試験(Mercadnteら13)、Brueraら14))と複数の記述的研究(Hardy15)、Watanabeら17))がある。Brueraら14)による、弱オピオイド(propoxyfenとdipyroneの合剤)の経口投与を受けている終末期がん患者40 例を対象とした無作為化クロスオーバー比較試験では、メチルプレドニゾロン32mg 5日間の投与により、痛みのVASが低下した(58→37 vs 58→50,p <0.01)。Mercadanteら13)による、緩和ケア病棟に入院した中等度以上のがん疼痛のある患者76例を対象とした無作為化比較試験では、オピオイド投与に加えてデキサメタゾン8mg/日の投与は消化器症状(嘔気・嘔吐、便秘)と全般的快適さ(sense of well-being)に短期的効果をもたらしたが、鎮痛効果はオピオイド単独と同等であり(NRS7.1→1.9 vs 5.4→2.2,2 週間後)、コルチコステロイドによる鎮痛効果を示せなかった。しかし本研究は、オピオイドで鎮痛効果が不十分な患者だけを対象としているわけではなく、1カ月以内にコルチコステロイド投与を受けた患者と、痛み以外の症状に対してコルチコステロイドの適応がある患者は除外されているので、痛みに対するコルチコステロイドの適応と考えられる患者は除外されている可能性がある。 ** 以上より、オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、がん疼痛全体としては鎮痛効果を向上するという根拠は乏しいが、脊髄圧迫症候群など神経への圧迫による痛み、炎症による痛み、頭蓋内圧亢進に伴う頭痛、臓器の被膜伸展痛、骨転移に伴う痛みなどの病態においてはオピオイドとコルチコステロイドの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和する可能性があると考えられる。 臨床疑問19 推 奨 (ケタミン・コルチコステロイド以外の鎮痛補助薬についてはP184,神経障害性疼痛参照) *:コルチコステロイドの効果が期待できる病態脊髄圧迫症候群など神経への圧迫による痛み、炎症による痛み、頭蓋内圧亢進に伴う頭痛、臓器の被膜伸展痛、骨転移に伴う痛みなどを指す。
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III章推奨 したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、長期使用に伴う副作用(高血糖、胃潰瘍、易感染性、口腔カンジダ症、満月様顔貌など)に注意しつつ、コルチコステロイドの適応と考えられる病態であれば、オピオイドとコルチコステロイドの併用を推奨する。併用の効果が認められれば効果の認められる最少量で併用し、効果がなければ漫然と使用せずに一定期間で減量・中止する。 既存のガイドラインとの整合性ESMOのガイドラインでは、神経圧迫による痛みの場合はコルチコステロイド投与を推奨している。ACCPのガイドラインでは、急性の腰痛に対しては、MRIで転移の診断を行い、コルチコステロイドを投与したうえで放射線科に相談すること、脊髄圧迫症候群と診断された場合は脊髄外科に相談することを推奨している。NCCNのガイドラインでは、神経圧迫、多発骨転移による痛み、炎症による痛みに対するコルチコステロイドの投与を推奨している。EAPCのガイドライン(2002b)では、骨転移による痛み、粘膜や皮膚の痛み、末梢神経の周辺の浮腫による痛みに対するコルチコステロイドの投与を推奨している。 (須賀昭彦) 【文 献】臨床疑問16 1)Quigley C. Opioid switching to improve pain relief and drug tolerability. Cochrane Database Syst Rev. 2004(3): CD004847 2)Mercadante S, Bruera E. Opioid switching: a systematic and critical review. Cancer Treat Rev 2006; 32(4): 304-15 3)Narabayashi M, Saijo Y, Takenoshita S, et al. Opioid rotation from oral morphine to oral oxycodone in cancer patients with intolerable adverse effects: an open-label trial. Jpn J Clin Oncol 2008; 38: 296-304 4)Riley J, Ross JR, Rutter D, et al. No pain relief from morphine? Individual variation in sensitivity to morphine and the need to switch to an alternative opioid in cancer patients. Support Care Cancer 2006; 14: 56-64 5)Mercadante S, Villari P, Ferrera P, et al. Addition of a second opioid may improve opioid response in cancer pain: preliminary data. Support Care Cancer 2004; 12: 762-6 臨床疑問17 6)Enting RH, Oldenmenger WH, van der Rijt CC, et al. A prospective study evaluating the response of patients with unrelieved cancer pain to parenteral opioids. Cancer 2002; 94: 3049-56 7)Drexel H, Dzien A, Spiegel RW, et al. Treatment of severe cancer pain by low-dose continuous subcutaneous morphine. Pain 1989; 36: 169-76 臨床疑問18 8)Bell R, Eccleston C, Kalso E. Ketamine as an adjuvant to opioids for cancer pain. Cochrane Database Syst Rev 2003(1): CD003351 9)Mercadante S, Arcuri E, Tirelli W,et al. Analgesic effect of intravenous ketamine in cancer patients on morphine therapy: a randomized, controlled, double-blind, crossover, double-dose study. J Pain Symptom Manage 2000; 20: 246-51 10)Jackson K, Ashby M, Martin P, et al. “Burst” ketamine for refractory cancer pain: an open-label audit of 39 patients. J Pain Symptom Manage 2001; 22: 834-42 11)Kannan TR, Saxena A, Bhatnagar S, et al. Oral ketamine as an adjuvant to oral morphine for neuropathic pain in cancer patients. J Pain Symptom Manage 2002; 23: 60-5 12)Ogawa S, Kanamaru T, Noda K, et al. Intravenous microdrip infusion of ketamine in subanaesthetic doses for intractable terminal cancer pain. Pain Clinic 1994; 7: 125-9
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臨床疑問19 13)Mercadante SL, Berchovich M, Casuccio A, et al. A prospective randomized study of corticosteroids as adjuvant drugs to opioids in advanced cancer patients. Am J Hosp Palliat Care 2007; 24: 13-9 14)Bruera E, Roca E, Cedaro L, et al. Action of oral methylprednisolone in terminal cancer patients: a prospective randomized double-blind study. Cancer Treat Rep 1985; 69: 751-4 15)Hardy JR, Rees E, Ling J, et al. A prospective survey of the use of dexamethasone on a palliative care unit. Palliat Med 2001; 15: 3-8 【参考文献】臨床疑問18 16)Bell RF, Eccleston C, Kalso E. Ketamine as adjuvant to opioids for cancer pain. A qualitative systematic review. J Pain Symptom Manage. 2003; 26: 867-75.臨床疑問19 17)Watanabe S, Bruera E. Corticosteroids as a adjuvant analgesics. J Pain Symptom Manage 1999; 18: 347-52
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突出痛のある患者において、行うべき評価は何か?突出痛のある患者において、オピオイドのレスキュー・ドーズは、プラセボに比較して痛みを緩和するか?定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量・投与間隔の短縮は、増量・投与間隔の短縮をしない場合に比較して、痛みを緩和するか?レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量は、増量しない場合に比較して痛みを緩和するか?突出痛のある患者において、オピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用することは、併用しない場合に比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。突出痛のある患者において、オピオイドのレスキュー・ドーズを投与する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)投与量: 経口投与では1日投与量の10 〜20%の速放性製剤を、持続静注・持続 皮下注では1時間量を急速投与する。 投与間隔: 経口投与の場合は1時間ごと、持続静注・持続皮下注の場合は15 〜30 分ごととする。 投与経路: 定期投与と同じ経路を原則とする。発現から最大になるまでの時間の 短い突出痛に対しては、持続静注・持続皮下注を検討する。 レスキュー・ドーズの効果が不十分であった場合、眠気が許容できる範囲で、レスキュー・ドーズの投与量を増量する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル)定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量、または、投与間隔の短縮を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛のある患者において、専門家へ相談のうえ、眠気が許容できる範囲でオピオイドの定期投与量を増量する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル)突出痛のある患者において、オピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 関連する臨床疑問 推 奨 20 21 22 23 24 20 21 22 23 24 ● オピオイドが投与されている患者で、突出痛が緩和されていない場合、有効な治療は何か? 2
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III章推奨 臨床疑問20 推 奨 突出痛のある患者において、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 解 説1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価するがんによる痛みでは鎮痛薬の投与などの疼痛治療とともに、外科治療、化学療法、放射線治療などの腫瘍そのものに対する治療を検討する。がん治療による痛み(術後痛症候群、化学療法後神経障害性疼痛など)やがん・がん治療と直接関連のない痛み(脊柱管狭窄症、帯状疱疹など)では原因に応じた治療を行う。痛みがオンコロジーエマージェンシー(脊髄圧迫症候群、骨折・切迫骨折、感染症、消化管の閉塞・穿孔・出血など)の症状であることがあるので、痛みへの対応のみでなく、痛みを生じている病態の把握と原因への対応を行う。特殊な疼痛症候群(神経障害性疼痛、骨転移痛、上腹部の内臓痛、胸部痛、会陰部の痛み、消化管閉塞など)の場合にはそれぞれの対応を検討する(P184,III-4 各項を参照)。 ●フローチャート 定時鎮痛薬の切れ目の痛み●定期投与量の増量・投与間隔の短縮●レスキュー・ドーズを投与 予測できる突出痛●誘発する刺激を避ける●刺激の前にレスキュー・ドーズを投与●レスキュー・ドーズを投与予測できない突出痛●レスキュー・ドーズを投与 突出痛の鑑別 ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) ●原因に応じた対応 ・がんによる痛み(外科治療・化学療法・放射線治療)・がん治療による痛み・がん・がん治療と関連のない痛み・オンコロジーエマージェンシー・特定の病態による痛み(P184参照) 鎮痛効果が不十分な場合に検討すること●非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用●レスキュー・ドーズの増量●定期投与量の増量●神経ブロック 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。痛みが持続痛ではなく突出痛であることを確かめ、予測できる突出痛、予測できない突出痛、および、定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)に分類する。予測できる突出痛では、誘発する刺激を避け、誘発する刺激の前にレスキュー・ドーズの投与を行う。定時鎮痛薬の切れ目の痛みでは、オピオイドの定期投与量の増量・投与間隔の短縮を行う。いずれも、突出痛に対してはオピオイドのレスキュー・ドーズを投与する。鎮痛効果が不十分な場合は、非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用、レスキュー・ドーズの増量、オピオイドの定期投与量の増量、または神経ブロックなどを検討する。
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突出痛のある患者において、オピオイドのレスキュー・ドーズは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 突出痛のある患者において、オピオイドのレスキュー・ドーズは痛みを緩和する。突出痛のある患者において、オピオイドのレスキュー・ドーズを投与する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)投与量: 経口投与では1日投与量の10 〜20%の速放性製剤を、持続静注・持続 皮下注では1時間量を急速投与する。 投与間隔: 経口投与の場合は1時間ごと、持続静注・持続皮下注の場合は15 〜30 分ごととする。 投与経路: 定期投与と同じ経路を原則とする。発現から最大になるまでの時間の 短い突出痛に対しては、持続静注・持続皮下注を検討する。 レスキュー・ドーズの効果が不十分であった場合、眠気が許容できる範囲で、レスキュー・ドーズの投与量を増量する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説1)レスキュー・ドーズの鎮痛効果に関する臨床研究本臨床疑問に関する臨床研究は、1件の系統的レビュー、5 件の前後比較研究(2件は無作為化比較試験の対照群)がある。(1)系統的レビューZeppetellaら1)の系統的レビューでは、現在本邦では未発売のoral transmucosal fentanyl citrate(以下、OTFC)に関するものであり、突出痛に対するオピオイドは有効であると結論し、レスキュー・ドーズの投与量は定期投与量から一律に決めることはできず患者個々に合わせた増量が必要であるとしている。(2)経口投与に関する研究Coluzziら2)による、突出痛に対する無作為化比較試験の対照群では、突出痛に対して、レスキュー・ドーズとして平均31±14mgのモルヒネ速放製剤を投与し、15 分後に32%の例に 臨床疑問21 推 奨 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの鎮痛効果と副作用について評価する。突出痛が生じる経過を明らかにし、体動時痛など予測できる突出痛、予測できない突出痛、定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)に分類する。さらに突出痛の発現から最大になるまでの時間と持続時間を評価することにより、レスキュー・ドーズの投与経路などを決める参考にする。
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III章推奨 おいて痛みの強度が33%以上低下し、投与前と比較して投与60 分後の痛みのNRSは約3.5 (図による表示のみで正確な数値の記載はなし)低下した。モルヒネ速放製剤の投与量は漸増法により有効なレスキュー・ドーズ投与量を決定し、定期投与量と有効なレスキュー・ドーズ投与量に関連は認めなかった。副作用に関するデータは示されていない。(3)静脈内投与に関する研究Mercadanteら(2007) 3)による無作為化比較試験では、突出痛のある患者25 例を対象に、経口モルヒネ換算1日投与量の1/5 相当のモルヒネ静注(静注:経口=1:3の換算比を使用、例えば、経口モルヒネ 90mg/日は、モルヒネ静注換算30mg/日相当であり、その1/5であるモルヒネ6mgを静脈内投与)とOTFCの効果を比較したところ、モルヒネ静注群では投与前、15 分後、30 分後の平均の痛みのNRSは、それぞれ、6.9、3.3、1.7であった。有効な疼痛緩和(NRS 33%以上の低下と定義)は15 分後で74%、30 分後で87%であった。副作用スケール2〜3の副作用として、嘔気3.7%、眠気19%、混乱5.6%が認められた。Mercadanteら(2004) 4)による前後比較研究では、突出痛のある患者48 例(突出痛171例)を対象に、経口モルヒネ換算1日投与量の1/5 相当のモルヒネ静注の突出痛に対する効果を検討したところ、95%の症例で有効な疼痛緩和(NRS 33%以上の低下と定義)が得られた。有効例における最大効果発現までの平均時間は17.7分であった。副作用スケール2〜3 の副作用は、嘔気・嘔吐7.0%、眠気15%、混乱0.6%で認められた。Mercadanteら(2008) 5)による前後比較研究では、突出痛のある患者99 例(突出痛469 例)を対象に、経口モルヒネ換算1日投与量の1/5 相当のモルヒネ静注の突出痛に対する効果を検討したところ、平均疼痛強度はNRSで投与前7.2 から15 分後2.7へ低下し、全体の61%で有効な疼痛緩和(NRS 33%以上の低下と定義)が得られた。重大な副作用は認められなかった。(4)皮下投与に関する研究Entingら6)による前後比較研究では、突出痛のある患者58 例を対象に、皮下計算量での総オピオイド1日投与量の10 〜15%相当のhydromorphone(43 例)、モルヒネ(11例)、sufentanil(4例)を自己注射し、副作用(具体的な記載なし)のない範囲で有効な投与量まで増量したところ、有効率は「よい」84%、「まあまあ」14%、「変わらない」2%であった。1日投与量は経口モルヒネ換算 280mg/日、平均レスキュー・ドーズ投与量は皮下モルヒネ換算25mgであった。効果発現までの時間は5〜10分であった。副作用による中止は1例であった。 ** 以上より、突出痛に対してオピオイドのレスキュー・ドーズ投与は痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、突出痛に対して、オピオイドのレスキュー・ドーズを投与することを推奨する。 2)レスキュー・ドーズの投与量、投与間隔、投与経路(1)投与量前述の臨床研究では、レスキュー・ドーズとして経口・静脈内・皮下投与のいずれにおいても1日オピオイドの1日投与量の10 〜20%相当の量を投与しており、この投与量は安全かつ有効であることが示唆される。一方、持続静注・持続皮下注の場合、本邦では1時間量(定期投与量の1/24)の急速投与がレスキュー・ドーズとして広く用いられており、経験的に安全で効果があると考えられている。
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したがって、これらの知見と専門家の合意から、本ガイドラインでは、初回のレスキュー・ドーズの投与量として経口投与では1日投与量の10 〜20%相当のオピオイド速放性製剤を、持続静注・持続皮下注では1時間量を初回の投与量として投与することを推奨する。ただし、体格が小さい、高齢である、全身状態が不良である場合は、より少量から開始することが望ましい。レスキュー・ドーズ投与量は、鎮痛効果と副作用を評価し、患者の状態に応じて調節する。(2)投与間隔薬物の投与間隔に関しては、根拠となる臨床研究はない。本ガイドラインでは、それぞれの最高血中濃度到達時間(Tmax)を勘案し、専門家の合意から、経口の場合は1時間ごと、経静脈投与・皮下投与の場合は15 〜30 分ごととすることを推奨する。レスキュー・ドーズの追加がほぼ等間隔で必要な場合は、持続痛の緩和が不十分であると考えられるため、オピオイドの定期投与量の増量を検討する(P128,III-1-3オピオイドが投与されている患者の項参照)。(3)投与経路投与経路は、定期投与されているオピオイドと同じ経路を使用することを原則とする。経口投与が最も簡便であるが、効果発現までに時間がかかるため、痛みが発現してから最大になるまでの時間の短い突出痛に対しては、効果発現までの時間が短い静脈内・皮下投与(患者自己調節鎮痛法:patient control analgesia;PCA)を行うことを検討する。直腸内投与に関しては、他の投与経路が困難な場合の投与経路の選択肢となりうる。レスキュー・ドーズを直腸内投与する場合、投与量はオピオイド1日投与量の10 〜20%を1回投与量とし、投与間隔は最高血中濃度到達時間(Tmax) *から2 時間を目安とする。 3)レスキュー・ドーズの鎮痛効果が不十分であった時の対応突出痛に対するレスキュー・ドーズの鎮痛効果が不十分であった場合の治療を比較した臨床研究はない。関連する臨床研究として、ColuzziらによるOTFCとモルヒネ速放性製剤を比較した無作為化比較試験では、突出痛を緩和するのに有効なレスキュー・ドーズ投与量は必ずしもオピオイドの1日の定期投与量の一定の割合ではないことが示唆されている2)。また、Zeppetellaらのオピオイドのレスキュー・ドーズ投与に関する系統的レビューでは、OTFCの投与量は定期投与量から一律に決めることはできず、患者個々に合わせた調節が必要であると結論している1)。 ** 以上より、確立した知見ではないが、レスキュー・ドーズ投与量の増量により突出痛に対する効果が改善する可能性がある。したがって、本ガイドラインでは、これらの知見と専門家の合意より、レスキュー・ドーズの鎮痛効果が不十分であった場合、眠気が許容できる範囲で、レスキュー・ドーズの投与量を増量することを推奨する。ただし、レスキュー・ドーズの増量方法は安全性と有効性が確認された標準化された方法がないので、患者の個々に合わせた評価と観察が必要である。すなわち、レスキュー・ドーズ投与後、血中濃度が最高となる時間の鎮痛効果、眠気、呼吸数などを評価し、眠気、呼吸数の低下がみられずに痛みが緩和できない場合に、50%を目安として漸増し、鎮痛効果と副作用を継続的に評価する。 *:Tma x(ma ximum d rug concentration time)最高血中濃度到達時間。薬物投与後、血中濃度が最大〔最高血中濃度(Cmax)〕に到達するまでの時間。
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III章推奨 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001a)では、オピオイドの定期投与を行っている患者における突出痛に対しては、1日投与量の1/6の30 〜100%(1日投与量の5 〜17%)のオピオイドを経口投与することを推奨しており、簡便な方法としては1日投与量の1/6を投与し、患者の痛みに合わせて投与量を調節することを推奨している。投与間隔に関しては記載がない。EAPCのガイドライン(2002b)では、レスキュー・ドーズは、経口で1日投与量の5 〜10%の速放性製剤を2〜3 時間ごとに投与すること、患者に適した投与量は患者ごとに投与量を調節して決定することを推奨している。皮下投与は静脈内投与と比較すると効果発現が幾分緩徐であるが、効果はほぼ同等であり、経口投与では効果発現が遅い場合に有効であると記載されている。NCCNのガイドラインでは、オピオイドの1日投与量の10 〜20%のオピオイドを経口もしくは静脈内・皮下投与することを推奨している。経口投与では投与1時間後に、静脈内投与では投与15 分後に、皮下投与では投与30 分後に再評価を行い、NRS 4〜6までの改善にとどまれば同量を、効果なし、もしくは痛みが悪化した場合はレスキュー・ドーズ投与量を50 〜100%増量してさらに追加投与を行うことを推奨している。 定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量・投与間隔の短縮は、増量・投与間隔の短縮をしない場合に比較して、痛みを緩和するか? 定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量、または、投与間隔の短縮は、痛みを緩和する。定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量、または、投与間隔の短縮を行う。1B(強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する無作為比較試験、前後比較研究はともにないが、定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)を含むがん疼痛に対するWHO方式がん疼痛治療法の有用性を示した複数の観察研究があり、これらには定期投与量の増量または投与間隔の短縮を行ったものが含まれている(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。さらに関連した臨床研究として、モルヒネ速放性製剤を就寝前に倍量投与することで、夜間の突出痛が減少するかをみた無作為化比較試験が2件ある。 1)速放性製剤Todら7)による無作為化比較試験では、モルヒネ速放性製剤を定期投与されているがん患者20 例を対象に、4 時間ごとのモルヒネ投与と就寝前の倍量投与を比較した。夜間のレス 臨床疑問22 推 奨
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キュー・ドーズ使用が必要であった患者の割合、朝・夜間の痛みとも、就寝前に倍量投与した群に痛みが強く(それぞれ、20% vs 55%,p=0.016;0.8 vs 2.5,p <0.01;0.5 vs 2.3,p < 0.01)、夜間の突出痛の予防を目的とした場合には就寝前の倍量投与よりも投与間隔の短縮が有効であると結論した。一方、Daleら8)による無作為化比較試験では、がん疼痛に対してモルヒネ速放性製剤を定期投与されている患者19 例を対象に、十分なオピオイド定期投与量の増量を行った後に、4時間ごとのモルヒネ速放性製剤の投与と就寝前の倍量投与を比較した。両群において疼痛強度は同等(1.3 vs 0.8,p=0.058)であり、投与間隔の短縮と比較して就寝前の倍量投与の有効性を否定できないとしている。 ** 以上より、速放性製剤を定期オピオイドとして使用する場合に定時鎮痛薬の切れ目の痛みを防ぐために、オピオイドの定期投与量を増量する方法と投与間隔を短くする方法のいずれが有効かは知見が一致しておらず結論できない。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意として、速放性製剤を使用している場合、定時鎮痛薬の切れ目の痛みが発現する場合にはオピオイドの定期投与量の増量、または、投与間隔の短縮のいずれかを行い、鎮痛効果を評価することを推奨する。 2)徐放性製剤徐放性製剤に関して、本臨床疑問に関する臨床研究は、無作為化比較試験、前後比較研究ともにない。すなわち、徐放性製剤を定期オピオイドとして使用する場合に、定期投与量の増量または投与間隔の短縮が定時鎮痛薬の切れ目の痛みを緩和するかは明らかではない。しかし、がん疼痛に対するWHO方式がん疼痛治療法の有用性を示した複数の観察研究があり、これらには定期投与量の増量または投与間隔の短縮を行ったものが含まれていると考えられる(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。また、徐放性製剤は作用時間が長いため投与量の増量により血中濃度の維持が可能となり、定時鎮痛薬の切れ目の痛みを防ぐ可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意として、定時鎮痛薬の切れ目の痛みに対して徐放性製剤によるオピオイド定期投与量の増量を推奨する。オピオイドの定期投与量の増量によっても定時鎮痛薬の切れ目の痛みがなくならない、もしくは増量によって副作用が出現する場合は、24 時間徐放性製剤であれば12 時間ごとに、12時間徐放性製剤であれば8 時間ごとに投与することを検討する。 ** 以上より、定時鎮痛薬の切れ目の痛みに対して、オピオイドの定期投与量の増量、または、投与間隔の短縮は、いずれも、痛みを緩和する可能性があると考えられる。本ガイドラインでは、定時鎮痛薬の切れ目の痛みに対して、オピオイドの定期投与量の増量、または、投与間隔の短縮を行うことを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001a)では、定期オピオイドとして速放性製剤を4 時間ごと使用している場合は就寝前の倍量投与を推奨している。EAPCのガイドライン(2002b)では、次回の定期オピオイド投与前に痛みが悪化する場合には、効果が得られる、もしくは、副作用が出現しない範囲でオピオイド定期投与量を増量する、
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III章推奨 レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量は、増量しない場合に比較して痛みを緩和するか? レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量は、痛みを緩和するという根拠は不十分である。レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛のある患者において、専門家へ相談のうえ、眠気が許容できる範囲でオピオイドの定期投与量を増量する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究はない。関連した臨床研究として1件の前後比較研究がある。Mercadanteら9)による前後比較研究では、骨転移に関連した体動によって誘発される突出痛のある患者25 例を対象とし、モルヒネ持続静注による増量を行い、安静時痛が消失(NRSで4以下と定義)した後、体動時痛がNRSで4以下となるのを目標に定期の経口モルヒネを副作用が許容できる範囲で増量したところ、治療前の安静時痛・体動時痛の平均NRSはそれぞれ5.3、9.2であったが、安静時痛が緩和された翌日には1.8、4.8へ改善し、退院日にはそれぞれ2.0、4.6であった。平均経口モルヒネ量は102mg/日から125mg/日に増量された。オピオイドの増量を妨げる副作用としては、嘔気・嘔吐が12%、眠気が4%で認められた。 ** 以上より、オピオイドの定期投与量の増量により骨転移による体動時痛の痛みが低下することが示唆されるが、この研究は「レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛」を対象としたものではなく、また、骨転移による体動時痛に関する研究であり、骨転移による体動時痛以外の突出痛でも同様に鎮痛効果が得られるかは不明である。また、入院による安静などオピオイド定期投与量の増量以外の介入による鎮痛効果が関与している可能性もある。さらに、安静時の持続痛が緩和されている状況でのオピオイドの定期投与量の増量は過量投与の危険性があり、増量を行う場合に、どのくらいの増量を行えばよいかについて、判断材料となる根拠は存在しない。すなわち、レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛に対して、オピオイドの定期投与量の増量が痛みを緩和する可能性はあるが根拠は不十分であると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、これらの知見と専門家の合意から、レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛に対して、専門家への相談のうえ、眠気などの副作用が出現しない範囲でオピオイドの定期投与量の増量を検討することを推奨する。増量幅は、安全性の点から20%を目安とした慎重な増量を行い、継続して十分な観察を行うことが望ましい。 臨床疑問23 推 奨 あるいは投与間隔を短くすることを推奨している。NCCNのガイドラインでは、定期投与量を増量することを推奨している。
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突出痛のある患者において、オピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用することは、併用しない場合に比較して痛みを緩和するか? 突出痛のある患者において、オピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用することは、痛みを緩和する可能性がある。突出痛のある患者において、オピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する無作為化比較試験、前後比較研究はともにない。すなわち、突出痛に対してオピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用することが、オピオイド単独投与と比較して痛みを改善するかは明らかではない。しかし、関連した知見として、全般的な痛みに対して非オピオイド鎮痛薬・オピオイドの併用により、鎮痛効果が増強することが示されている(P125,臨床疑問12 参照)。したがって、本ガイドラインでは、非オピオイド鎮痛薬が投与されていない場合はオピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用することを推奨する。ただし、その鎮痛効果は中等度であり、特にNSAIDsを使用する場合は長期投与により副作用の発現頻度が高くなるため、鎮痛効果と副作用を評価し長期投与を行うか判断するのが望ましい。 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2002b)では、NSAIDsなどの抗炎症薬は、骨転移による痛みや粘膜・皮膚病変に関連する突出痛に対しては有効である可能性があるとしている。 (山口 崇) 臨床疑問24 推 奨 既存のガイドラインとの整合性既存のガイドラインにおいて突出痛に対してオピオイドの定期投与量の増量に関して言及しているものはない。 【文 献】臨床疑問21 1)Zeppetella G, Ribeiro MD. Opioids for the management of breakthrough(episodic)pain in cancer patients. Cochrane Database of Syst Rev 2008; Issue 2 2)Coluzzi PH, Schwartzberg L, Conroy Jr JD, et al. Breakthrough cancer pain: a randomized trial comparing oral transmucosal fentanyl citrate(OTFC(R))and morphine sulfate immediate release (MSIR(R)). Pain 2001; 91: 123-30 3)Mercadante S, Villari P, Ferrera, P et al. Transmucosal fentanyl vs intravenous morphine in doses proportional to basal opioid regimen for episodic ? breakthrough pain. B J Cancer 2007; 96: 1828- 33 4)Mercadante S, Villari P, Ferrera P, et al. Safety and effectiveness of intravenous morphine
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III章推奨 for episodic(breakthrough)pain using a fixed ratio with the oral daily morphine dose. J Pain Symptom Manage 2004; 27: 352-9 5)Mercadante S, Intravaia G, Villari P, et al. Intravenous morphine for breakthrough(episodic-)pain in an acute palliative care unit: a confirmatory study. J Pain Symptom Manage 2008; 35: 307-13 6)Enting RH, Mucchiano C, Okdenmenger WH, et al. The “pain”for breakthrough cancer pain: a promising treatment. J Pain Symptom Manage 2005; 29: 213-7 臨床疑問22 7)Tod J, Rees E, Gwilliam B, et al. An assessment of the efficacy and tolerability of a “double dose” of normal-release morphine sulphate at bedtime. Palliat Med 2002; 16: 507-12 8)Dale O, Piribauer M, Kaasa S, et al. A double-blind, randomized, crossover comparison between single-dose and double-dose immediate-release oral morphine at bedtime in cancer patients. J Pain Symptom Manage 2009; 37: 68-76 臨床疑問23 9)Mercadante S, Villari P, Ferrera P, Casuccio A. Optimization of opioid therapy for preventing incidental pain associated with bone metastases. J Pain Symptom manage 2004; 28: 505-10
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2 オピオイドによる副作用 オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、行うべき評価は何か?オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、制吐薬は、プラセボに比較して嘔気・嘔吐を改善するか?オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して嘔気・嘔吐を改善するか?オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較して嘔気・嘔吐を改善するか? 嘔気・嘔吐を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、想定される機序から制吐薬を選択し、投与する。1C (強い推奨、とても低いエビデンスレベル)オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドを変更する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの経口投与を持続静注・持続皮下注に変更する。 2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) ● オピオイドが投与された患者において、嘔気・嘔吐が発現した時に有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 25 26 27 28嘔気・嘔吐1 25 26 27 28
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III章推奨 *:補正カルシウム値=カルシウム値+(4.0-アルブミン値)。がん患者ではアルブミンが低下していることが多いため注意する。 オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 嘔気・嘔吐を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。 解 説がん患者の嘔気・嘔吐の原因としてオピオイド以外に、薬物(ジギタリス・抗菌薬・鉄剤・抗がん剤など)、消化器疾患(胃潰瘍、消化管閉塞、便秘など)、電解質異常(高カルシウム血症、低ナトリウム血症など)、感染症、高血糖、中枢神経系の病変(脳転移、がん性髄膜炎など)、放射線治療などがある。これらの原因には治療可能なものもあるため、オピオイドによる嘔気・嘔吐と判断する前に治療可能な原因を評価し、治療を検討する。具体的には、投与薬物を確認し、嘔気の発現や増悪との時間関係を検討する。また、腹部所見や神経所見など理学所見をとり、血液検査(補正カルシウム値*を含む)、腹部単純X 線写真、頭部画像検査を検討することにより、主要な嘔気・嘔吐の原因を鑑別することができる。 臨床疑問25 推 奨 ●フローチャート ●制吐薬の投与想定される主な機序に合わせて制吐薬を投与(第一選択の制吐薬:ドパミン受容体拮抗薬、消化管蠕動亢進薬、または抗ヒスタミン薬) ●オピオイドローテーション●投与経路の変更●第一選択の制吐薬を2種類併用または●第二選択の制吐薬に変更(非定型抗精神病薬、フェノチアジン系抗精神病薬、セロトニン拮抗薬) ●原因の評価と原因に応じた対応・オピオイドの減量の検討 効果が不十分な場合に検討すること●神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討 嘔気・嘔吐の原因を評価し、原因に応じた対応を行う。オピオイドによる嘔気・嘔吐の場合は、想定される主な機序により第一選択の制吐薬として、ドパミン受容体拮抗薬、消化管蠕動亢進薬、または抗ヒスタミン薬のいずれかをオピオイドと併用する。第一選択の制吐薬が無効であった場合には、オピオイドは継続し、第一選択の制吐薬を2 種類併用するか、または第二選択の制吐薬として、非定型抗精神病薬、フェノチアジン系抗精神病薬、またはセロトニン拮抗薬のいずれかを使用する。あるいはオピオイドローテーション、または、オピオイドの投与経路の変更(必要に応じて制吐薬を併用)を検討する。効果が不十分な場合、神経ブロックなどによりオピオイドを減量・中止できるか検討する。
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オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、制吐薬は、プラセボに比較して嘔気・嘔吐を改善するか? オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、制吐薬は、嘔気・嘔吐を改善する。オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、想定される機序から制吐薬を選択し、投与する。1C (強い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関して3件の系統的レビューがあるが(Glareら1)、Naeimら2)、McNicolら3))、質の高い臨床研究はほとんどないとしている。 1)想定される機序に応じた制吐薬の使用想定される機序により制吐薬を使用することの有用性を検討した研究として、3 つの前後比較研究がある。Bentleyら4)は、緩和ケア病棟に入院している37例のがん患者に対して、想定される病態に応じて制吐薬を投与したところ、嘔気は82%、嘔吐は84%に臨床的な改善がみられた。Lichterら(1993) 5)は、87例(100 症例)の終末期がん患者に対して、想定され 臨床疑問26 推 奨 オピオイドが原因と考えられる場合は、初回投与や増量の直後では数日間で耐性ができることが多いため可能であれば経過をみる。鎮痛効果が十分であればオピオイドを徐々に減量し、鎮痛効果が不十分であれば非オピオイド鎮痛薬・神経ブロック*・放射線治療など他の鎮痛手段を加えてオピオイドを減量できるかを検討する。モルヒネが投与されている場合、腎機能障害が生じるとモルヒネの投与量は同一でもモルヒネの代謝産物が蓄積することにより嘔気・嘔吐を発現することがある。 既存のガイドラインとの整合性NCCN のガイドラインでは、嘔気がみられた場合、オピオイド以外の嘔気の原因(便秘、中枢神経系の病変、化学療法、放射線治療、高カルシウム血症など)を除外することを推奨している。EAPC のガイドライン(2001b)では、痛みが緩和されている患者において、モルヒネによる副作用が問題となっている場合は、モルヒネ投与量を減量することで、これらの副作用を軽減できる可能性があるとしている。また、中枢神経系の病変、代謝性障害(高カルシウム血症など)、敗血症、消化管閉塞、薬物(抗菌薬、NSAIDs、化学療法)、放射線治療の可能性を評価し、代謝性疾患(高カルシウム血症など)、脱水、敗血症は治療し、必要性がなく副作用を生じているかもしれない薬物は中止するべきとしている。ESMO のガイドラインでは、神経ブロックや放射線治療、他の鎮痛薬を併用することでオピオイド投与量を減らし嘔気を改善できることがあるとしている。 *:神経ブロック局所麻酔薬や神経破壊薬、熱などにより神経の伝達機能を一時的・永久的に遮断することによって、または、オピオイドなど鎮痛薬の硬膜外腔・クモ膜下腔への投与によって鎮痛効果を得る手段。(注釈)狭義の神経ブロックは一般的に前者をさし、後者とあわせたものを麻酔科的鎮痛(anesthesiological procedure)と呼ぶことがあるが、本ガイドラインでは、簡便に、両方を合わせて「神経ブロック」と呼ぶ。
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III章推奨 る病態に応じた嘔気・嘔吐の治療を行ったところ、48 時間以内に93%の患者において嘔気・嘔吐が臨床的に改善した。 Stephensonら6)は、緩和ケア病棟に入院している61例のがん患者に対して病態に応じた嘔気・嘔吐の治療を行った。原因は、消化管運動の低下(44%)、オピオイドを含む薬物などによる化学受容体の刺激(33%)などであり、1 週間以内に嘔気の56%、嘔吐の89%がコントロールされた。 2)第一選択の制吐薬オピオイドによる嘔気・嘔吐に関する質の高い臨床研究はない。(1)ドパミン受容体拮抗薬(ハロペリドール、プロクロルペラジンなど)オピオイドによる嘔気・嘔吐に限定した報告はない。ハロペリドールについては、オピオイドによる嘔気には限定されていないが、Critchleyら7)による系統的レビューでは、消化管閉塞、モルヒネの硬膜外投与、原因がわからないがん患者の嘔気・嘔吐に対して有効である可能性があると結論されている。(2)消化管蠕動亢進薬(メトクロプラミド、ドンペリドン)オピオイドによる嘔気・嘔吐に限定した報告はない。Brueraら8)による、持続的な嘔気を訴える26 例のがん患者を対象とした無作為化比較試験では、プラセボに比較して徐放性メトクロプラミドが嘔気VAS*1を有意に低下させた(治療前後のVAS:17 vs 12,p=0.04)。(3)抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン/ジプロフィリン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、 ヒドロキシジンなど)オピオイドによる嘔気・嘔吐に限定した報告はない。嘔気を対象とした前後比較研究ではcyclizineやクロルフェニラミンマイレン酸塩が使用されている(Moritaら)。 3)第二選択の制吐薬第一選択の制吐薬が無効である場合に、制吐薬として使用されている薬剤は、非定型抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン)、フェノチアジン系抗精神病薬(クロルプロマジンなど)、セロトニン拮抗薬などである。これらの薬剤に関する質の高い臨床研究はほとんどない。Hardyら9)による、オピオイド投与を受けている終末期がん患者で嘔気・嘔吐を訴えている92例を対象に、オンダンセトロン24mg、メトクロプラミド30mg、プラセボを用いた無作為化比較試験では、プラセボ群、オンダンセトロン群、メトクロプラミド群でそれぞれ33%、48%、52%で24 時間以内に嘔吐が完全に消失したが、群間差はなかった。また、難治性嘔気に対する少数例の記述的研究で、オランザピンやリスペリドンなどの非定型抗精神病薬の有用性が示唆されている。Passikら10)はオピオイドを使用している15 例のがん患者を対象として、オランザピン2.5、5、10mgをそれぞれ2日間ずつ投与したところ、すべての用量において投与前と比較して嘔気の改善を認めた。Okamotoらによる後向き研究では、オピオイドによる嘔気・嘔吐を訴えるがん患者20 例に対してリスペリドン1mg/日を使用し、50%で嘔気、64%で嘔吐が消失した。Eisenchlasら11)の前向き研究では、がん患者の難治性嘔気70 例(オピオイドによる嘔気2例)に対してレボメプロマジン3〜25mg/日(中央値6mg)皮下投与し2日後には嘔気NRS*2の中央値が8から1に低下し、86%でNRS 6 以上の嘔気の改善、92%で嘔吐が消失した。主な副作用としては、中央値2/10の鎮静がみられた。 ** 以上より、オピオイドによる嘔気・嘔吐に対して制吐薬の効果があることを示す質の高い知見はほとんどないが、臨床経験から、オピオイドの投与を受け嘔気・嘔吐を生じた患者に*1:VAS(visual analogue scale) 100mmの線の左端を「痛みなし」、右端を「最悪の痛み」とした場合、患者の痛みの程度を表すところに印を付けてもらうもの。P26 参照。 *2:NRS(numerical rating scale)痛みを0から10の11段階に分け、痛みが全くないのを0、考えられるなかで最悪の痛みを10として、痛みの点数を問うもの。P26 参照。
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対して制吐薬を投与することは、嘔気・嘔吐を改善することに有用な可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意から、オピオイドの投与を受け嘔気・嘔吐を生じた患者に対して、想定される主な機序から制吐薬を選択し投与することを推奨する。制吐薬としては、使用経験が豊富なドパミン受容体拮抗薬、消化管蠕動亢進薬、または、抗ヒスタミン薬を第一選択とする。選択の目安として、持続的な嘔気・嘔吐にはドパミン受容体拮抗薬、食後の嘔気・嘔吐には消化管蠕動亢進薬、動作時の嘔気・嘔吐には抗ヒスタミン薬を使用する。第一選択の制吐薬が無効であった場合には、第一選択の制吐薬を2 種類併用するか、または、第二選択の制吐薬として、非定型抗精神病薬、フェノチアジン系抗精神病薬、またはセロトニン拮抗薬のいずれかを使用する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、第一選択薬として、プロクロルペラジン10mgの6 時間毎の投与、ハロペリドール0.5 〜1mgの6 〜8 時間毎の投与、または、メトクロプラミド10 〜20mgの6 〜8 時間毎の投与を推奨している。第二選択薬として、セロトニン拮抗薬を1週間定時内服としその後頓用とすることを推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、メトクロプラミド、ハロペリドール、プロクロルペラジン、ジメンヒドリナート、フェノチアジン、経皮スコポラミン、シサプリド、セロトニン拮抗薬などが並列で推奨されており、優劣を判断する研究はないとしている。 臨床疑問27 推 奨 オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して嘔気・嘔吐を改善するか? オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの変更は、嘔気・嘔吐を改善する。オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドを変更する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、系統的レビューが2件ある。無作為化比較試験はなく、前後比較研究が3件である。Quigeyら12)による系統的レビューでは、痛みのある患者に対するオピオイドの変更の有効性について52件の文献をレビューし、オピオイドを変更することは疼痛緩和とオピオイドによる副作用を軽減するために有効な手段であると結論づけている。Mercadanteら13)による系統的レビューでは、31件の文献を検討し、1種類のオピオイドで疼痛緩和が不十分な患者に対してオピオイドの変更を行うことで50%以上の患者において臨床的な改善が認められ、オピオイドの変更は70 〜80%の患者の疼痛緩和と副作用のバランスを改善するかもしれないと結論づけた。
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III章推奨 Ashbyら14)による、オピオイドのため耐えられない副作用(嘔気・嘔吐、眠気、せん妄)を生じているがん患者49 例を対象とし、オピオイドの変更を行った前後比較研究では、制吐薬も併用しながら嘔気・嘔吐が軽減したか、あるいは、制吐薬を必要とせず嘔気・嘔吐が消失したものが68% (19例中13例)であった。モルヒネからフェンタニルへ変更した場合は73%(11例中8 例)、オキシコドンからフェンタニルへ変更した場合は100%(2例中2例)、モルヒネからオキシコドンへ変更した場合は60%(5 例中3例)で嘔気・嘔吐が臨床的に改善もしくは消失した。Narabayashiら15)による、経口モルヒネで疼痛緩和が不十分もしくは副作用により継続が困難な27例のがん患者を対象とし、オキシコドンへの変更を行った前後比較試験では、嘔気を認めた13 例、嘔吐を認めた5 例の全例で嘔気・嘔吐が消失した(2.3→0.4、2.2 →0.2、4段階)。 ** 以上より、いずれも質の高いエビデンスではないが、オピオイドが投与され嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの変更は、嘔気・嘔吐を改善する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、オピオイドが投与され嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドを変更することを推奨する。オピオイドは、モルヒネからオキシコドンまたはフェンタニルに、あるいは、オキシコドンからフェンタニルに変更する。 既存のガイドラインとの整合性NCCN、EAPC(2001b)、ESMOのそれぞれのガイドラインにおいて、オピオイドの減量、制吐薬の併用などを行っても嘔気が続く場合は、嘔気の原因と程度を再評価し、オピオイドを変更することで鎮痛効果を維持しながら副作用を減らすことができる可能性があるとして推奨している。 臨床疑問28 推 奨 オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較して嘔気・嘔吐を改善するか? オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、嘔気・嘔吐を改善する可能性がある。オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの経口投与を持続静注・持続皮下注に変更する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験はなく、前後比較研究が2件ある。Entingら16)による前後比較研究では、オピオイドによる疼痛緩和が不十分な100 例の患者を対象とし、オピオイドを静脈内投与・皮下投与に変更(主な変更は、経口モルヒネを静脈内投与・皮下投与、フェンタニル貼付剤をフェンタニルかモルヒネの静脈内投与・皮下投与)した
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【文 献】臨床疑問26 1)Glare P, Pereira G, Kristjanson LJ, et al. Systematic review of the efficacy of antiemetics in the treatment of nausea in patients with far-advanced cancer. Support Care Cancer 2004; 12: 432-40 2)Naeim A, Dy SM, Lorenz KA, et al. Evidence-based recommendations for cancer nausea and vomiting. J Clin Oncol 2008; 26: 3903-10 3)McNicol E, Horowicz-Mehler N, Fisk RA, et al. Management of opioid side effects in cancer-related and chronic noncancerpain: a systematic review. J Pain 2003; 4: 231-56 4)Bentley A, Boyd K. Use of clinical pictures in the management of nausea and vomiting: a prospective audit. Palliat Med 2001; 15: 247-53 5)Lichter I. Results of antiemetic management in terminal illness. J Palliat Care 1993; 9(2): 19-21 6)Stephenson J, Davies A. An assessment of aetiology-based guidelines for the management of nausea and vomiting in patients with advanced cancer. Support Care Cancer 2006; 14: 348-53 7)Critchley P, Plach N, Grantham M, et al. Efficacy of haloperidol in the treatment of nausea and vomiting in the palliative patient: a systematic review. J Pain Symptom Manage 2001; 22: 631-4 8)Bruera E, Belzile M, Neumann C, et al. A double-blind, crossover study of controlled-release metoclopramide and placebo for the chronic nausea and dyspepsia of advanced cancer. J Pain Symptom Manage 2000; 19: 427-35 9)Hardy J, Daly S, McQuade B, et al. A double-blind, randomised, parallel group, multinational, multicentre study comparing a single dose of ondansetron 24 mg p.o. with placebo and metoclopramide 10mg t.d.s. p.o. in the treatment of opioid-induced nausea and emesis in cancer patients Support Care Cancer 2002; 10: 231-6 10)Passik SD, Lundberg J, Kirsh KL, et al. A pilot exploration of the antiemetic activity of olanzapine for the relief of nausea in patients with advanced cancer and pain. J Pain Symptom Manage 2002; 23: 526-32 11)Eisenchlas JH, Garrigue N, Junin M, De Simone GG. Low-dose levomepromazine in refractory emesis in advanced cancer patients: an open-label study. Palliat Med 2005; 19: 71-5 臨床疑問27 12)Quigley C. Opioid switching to improve pain relief and drug tolerability. Cochrane Database Syst Rev 2004(3): CD004847 13)Mercadante S, Bruera E. Opioid switching: a systematic and critical review. Cancer Treat Rev 2006; 32: 304-15 14)Ashby MA. Opioid substitution to reduce adverse effects in cancer pain management. Med J Aust 1999; 170: 68-71 15)Narabayashi M, Saijo Y, Takenoshita S, et al. Opioid rotation from oral morphine to oral oxycodone in cancer patients with intolerable adverse effects: an open-label trial.Jpn J Clin Oncol 2008; 38: 296-304 ところ、痛みの改善とあわせて、66%(23例中20 例)で嘔気・嘔吐の臨床的な改善もしくは消失が認められた。新たに副作用が出現したのは12名であったが、重篤な副作用は認めなかった。 ** 以上より、限られた知見であるが、オピオイドが投与され嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、嘔気・嘔吐を改善する可能性があると考えられる。本ガイドラインでは、専門家の合意から、オピオイドが投与され嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、経口投与を持続静注・持続皮下注に変更することを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001b)では、経口モルヒネから皮下投与に変えることで嘔気・嘔吐が改善することがあるとしている。ESMOのガイドラインでは、投与経路の変更で同様の鎮痛効果を保ちながら嘔気・嘔吐を軽減できる可能性があるとしている。 (浜野 淳)
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III章推奨 臨床疑問28 16)Enting RH, Oldenmenger WH, van der Rijt CC, et al. A prospective study evaluating the response of patients with unrelieved cancer pain to parenteral opioids. Cancer 2002; 94: 3049-56 【参考文献】臨床疑問26 17)Lichter I. Which antiemetic? J Palliat Care 1993; 9: 42-50 18)Morita T, Tei Y, Shishido H, Inoue S. Chlorpheniramine maleate as an alternative to antiemetic cyclizine. J Pain Symptom Manage 2004; 27: 388-9 19)Okamoto Y, Tsuneto S, Matsuda Y, et al. A retrospective chart review of the antiemetic effectiveness of risperidone in refractory opioid-induced nausea and vomiting in advanced cancer patients. J Pain Symptom Manage 2007; 34: 217-22 20)Khojainova N, Santiago-Palma J, Kornick C, et al. Olanzapine in the management of cancer pain. J Pain Symptom Manage 2002; 23: 346-50 21)Mystakidou K, Befon S, Liossi C, Vlachos L. Comparison of the efficacy and safety of tropisetron, metoclopramide, and chlorpromazine in the treatment of emesis associated with far advanced cancer. Cancer 1998; 83: 1214-23
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便 秘2 オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、行うべき評価は何か?オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤は、プラセボに比較して便秘を改善するか?オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して便秘を改善するか? 便秘を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。また、排便の状況を聴取し、腹部を診察し、腸閉塞と宿便の有無について評価する。オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤を投与する。下剤は、便の性状に合わせて、主に便が硬い場合は浸透圧性下剤を、主に腸蠕動が低下している場合は大腸刺激性下剤を使用する。効果が不十分であれば両者を併用する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤の投与や経直腸的処置で便秘が改善しない場合は、オピオイドを変更する(モルヒネやオキシコドンからフェンタニルへ)。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) ● オピオイドが投与された患者において、便秘*が発現した時に有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 29 30 31 29 30 31 *:便秘の定義便秘とは「腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態」を指す。排便の習慣は個人差が大きいため、もともとの排便習慣と比較し、排便回数の低下、便の量の減少やかたさ、残便感、排便の困難感などから判断する。
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III章推奨 オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 便秘を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。また、排便の状況を聴取し、腹部を診察し、腸閉塞と宿便の有無について評価する。 オピオイドが投与されている患者に便秘が発現した場合、まず排便状況や便秘の原因を評価する。排便状況の評価として、最近と現在の便の回数、量、硬さ、排便時の不快感(排便困難感、痛み、残便感)を聴取する。特に、腸閉塞と宿便の有無を評価する。腹部の診察では、腸蠕動、腸管内のガス貯留の有無、便塊の有無、圧痛を確認する。腸閉塞が疑われる場合は、腹部単純X 線撮影を行い、腸閉塞が診断されれば腸閉塞に対する治療と処置を行う。宿便は、排便がみられていても宿便の周囲や下部腸管狭窄部を通って下痢便が出る「溢流性便秘」の場合があり、見逃して悪化すると消化性潰瘍形成による出血や穿孔の原因となるので注意が必要である。宿便が疑われる場合(排便時の不快感がある、溢流性便秘を認める、下剤を投与しても3日間以上排便を認めないなど)は、直腸診で直腸内の便貯留を確認し、宿便がみられる場合は経直腸的処置(坐剤投与、浣腸、摘便など)を行う。 臨床疑問29 推 奨 解 説 ●フローチャート ●原因の評価と原因に応じた対応・腸閉塞の有無と評価・宿便を認める場合は経直腸的処置・オピオイドの減量の検討 ●下剤の投与・便が硬い:浸透圧性下剤・腸蠕動が低下:大腸刺激性下剤 ●浸透圧性下剤と大腸刺激性下剤の併用●オピオイドローテーション効果が不十分な場合に検討すること●神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討 便秘の原因を評価し、原因に応じた対応を行う。腸閉塞を除外し、また、宿便を認める場合は経直腸的処置を行う。オピオイドによる便秘の場合は、下剤を投与する。便が硬い場合は浸透圧性下剤を、腸蠕動が低下している場合は大腸刺激性下剤を投与し、十分な効果があるまで増量する。効果が不十分であれば両者を併用、オピオイドローテーションを検討する。さらに効果が不十分な場合、神経ブロックなどによりオピオイドを減量・中止できるか検討する。
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臨床疑問30 推 奨 オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤は、プラセボに比較して便秘を改善するか? オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤は、便秘を改善する。オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤を投与する。下剤は、便の性状に合わせて、主に便が硬い場合は浸透圧性下剤を、主に腸蠕動が低下している場合は大腸刺激性下剤を使用する。効果が不十分であれば両者を併用する。 1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関連した臨床研究としては、2件の系統的レビューと包括的レビューに基づくガイドライン、および無作為化比較試験1件、前後比較研究1件がある。Larkinら1)によるレビューでは、緩和ケアを受けている患者における便秘に対して浸透圧性下剤のみでは不十分な可能性があり、浸透圧性下剤と大腸刺激性下剤を併用することを専門家の意見より推奨している。しかし、McNicolら2)による系統的レビューでは、オピオイドの副作用対策として、推奨されている浸透圧性下剤と大腸刺激性下剤の併用は一般的にエビデンスが不十分であり経験に基づいていると結論づけている。さらに、Milesら3)による系統的レビューでは、緩和ケアを受けている患者の便秘治療に対する下剤、またはある下剤の組み合わせによる治療が、他の治療より優れているかを示すエビデンスはないと結論している。Agraら4)による無作為化比較試験では、米国の緩和ケア病棟に入院しオピオイドの投与を受けた終末期がん患者91例を対象とし、センナとラクツロースとの効果を比較したところ、オピオイド開始と同時にセンナあるいはラクツロース投与を開始し、観察期間において72 時間以上排便を認めない回数(0.9 vs 0.9,p=0.85)、排便のあった日数(0.9 vs 1.0,p=0.72)は 便秘を悪化させる原因として、脱水、代謝異常(高カルシウム血症、糖尿病、低カリウム血症、尿毒症、甲状腺機能低下症など)、薬物(抗コリン薬、利尿薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、制酸薬、鉄剤、降圧薬、セロトニン拮抗薬など)の有無を確認する。可能であれば原因の治療として、脱水の補正、代謝異常の治療、便秘を悪化させる薬物の変更や中止を行う。十分な鎮痛効果が得られている場合、オピオイドの減量を検討する。また、生活習慣について聴取し、水分の十分な摂取や食物繊維の多い食事摂取、軽い運動や散歩を促す。また、腹部のマッサージや保温を勧め、排便習慣が保たれるようにし、定期的に排便状況を評価する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、便秘を生じた場合、便秘を引き起こすオピオイド以外の原因を治療すること、オピオイドを減量するために非オピオイド鎮痛薬を使用することを推奨している。また、便秘が持続した場合に原因を再評価することと、宿便の確認を推奨している。便秘の予防として水分摂取の増量、食物繊維摂取、運動を推奨している。
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III章推奨 両者で差異を認めなかった。副作用は、センナ投与の7.0%、ラクツロース投与の6.3%で下痢、嘔吐などを認めたがいずれも容易に改善した。効果と副作用とも同等のため、費用の点からセンナを利用することが望ましいと結論した。また、Twycrossら5)による前後比較研究では、悪性腫瘍の患者で60mg/日以上の硫酸モルヒネを投与されており、治療を要する便秘を生じた23 例を対象に、ピコスルファートナトリウムを患者の状態に応じて5、10、15mgの1日1回投与で開始し、2.5 〜5mg/日で増減し上限を60mg/日として投与量を調整したところ、75%で14日間の観察期間中に普通便がみられた。浣腸、坐剤、摘便が必要でなく副作用を認めない満足のいく投与量の中央値は15mgであった。投与後最初の排便までの平均は12 時間でその時点での投与量の中央値は15mgであった。5%に下痢を認めた。 ** 以上より、浸透圧性下剤であるラクツロース、大腸刺激性下剤であるセンナ、ピコスルファートナトリウムはいずれもオピオイドによる便秘に有効であると考えられる。これ以外の一般的な下剤として、浸透圧性下剤では、塩類下剤である酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウムがあり、大腸刺激性下剤では、センノシド、大黄末がある。いずれもエビデンスは限られているが、同等の効果が期待できると考えられるため、オピオイドが投与され便秘が発現した患者に対して、下剤の投与は、便秘を改善すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、オピオイドが投与され便秘が発現した患者に対して、下剤を投与することを推奨する。下剤の選択について十分な根拠はないが、専門家の合意として、便が硬い場合は、まず便を軟らかくする作用をもつ浸透圧性下剤を使用し、一方、腸蠕動が低下している場合は、まず腸管運動を促進する作用をもつ大腸刺激性下剤を使用することを推奨する。いずれも十分な効果があるまで増量し、効果が不十分な場合は作用機序の異なる両者を併用する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、浸透圧性下剤(docusate)と大腸刺激性下剤(センナ)を併用し、オピオイドを増量するときには下剤も増量し、便秘が持続した場合に他の下剤(マグネシウム製剤、ビサコジル、ラクツロース、ソルビトール、坐剤)やメトクロプラミドの追加投与を推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、オピオイドが原因の便秘に対してどの下剤がより優れているかを示す臨床研究はないとしたうえで、センナ、ビサコジル、ラクツロースの有効性が示唆されるとしている。
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オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して便秘を改善するか? オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、オピオイドの変更は、便秘を改善する。オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤の投与や経直腸的処置で便秘が改善しない場合は、オピオイドを(モルヒネやオキシコドンからフェンタニルへ)変更する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験はなく、オープン試験1件を含むコクランデータベースと、前後比較研究1件とオープン試験1件を含む系統的レビューがある(Quigley6)、Mercadanteら7))。Donnerら8)による前後比較研究では、疼痛治療にオピオイドが必要ながん患者98 例を対象とし、モルヒネ徐放性製剤からフェンタニル貼付剤への変更を行ったところ、便秘の頻度が59%から35%へ減少し、下剤治療の使用頻度が62%から38%へ減少した。便秘以外の副作用は違いを認めなかった。3例で悪寒、寒気、発汗、頭痛を伴うモルヒネの離脱症候*を認めたが3日以内に改善した。Mystakidouら9)による単一施設前向き観察研究では、痛みに対しオピオイド投与が必要ながん患者321例を対象とし、経口モルヒネを開始しフェンタニル貼付剤に変更したところ、便秘の頻度がモルヒネ投与時は17%、フェンタニルへ変更7日後は8.1%であった。Radbruchら10)による前後比較研究では、痛みに対しモルヒネ徐放性製剤投与を受けているがん患者46 例を対象とし、フェンタニル貼付剤への変更を行ったところ、便秘の頻度は有意差を認めなかった。しかし観察日ごとの下剤(ラクツロース、ピコスルファートナトリウム、ビサコジルなど)を使用している患者はモルヒネ投与中の78〜87%から、フェンタニルへ変更後は22〜48%へ低下した。フェンタニル変更後12日、17日では変更前に比べて有意差を認めた(p <0.001)。 ** 以上より、モルヒネからフェンタニル貼付剤へ変更することは便秘の改善に有効であると考えられる。一方、オキシコドンからフェンタニル貼付剤への変更が便秘の改善に有効であることを示すエビデンスはない。しかしオキシコドンはモルヒネと同程度の便秘を生じると考えられていることから、オキシコドンからフェンタニル貼付剤へ変更することが便秘の改善に有効であると考えられる。すなわち、オピオイドの投与を受け便秘を生じた患者に対して、オピオイドの変更は、便秘を改善すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、オピオイドの投与を受け便秘を生じた患者に対して、下剤の投与や経直腸的処置で便秘が改善しない場合は、オピオイドを(モルヒネやオキシコドンからフェンタニルへ)変更することを推奨する。 臨床疑問31 推 奨 解 説
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III章推奨 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、オピオイドの減量を検討し、便秘に対する治療を行っても改善しない場合、オピオイドの変更を考慮するとしている。ESMOのガイドラインでは、オピオイドの減量、下剤投与、オピオイドの変更が有用であるとしている。 (今井堅吾) 【文 献】臨床疑問30 1)Larkin PJ, Sykes NP, Centeno C, et al. The management of constipation in palliative care: clinical practice recommendations. Palliat Med 2008; 22: 796-807 2)McNicol E, Horowicz-Mehler N, Fisk RA, et al. Management of opioid side effects in cancer-related and chronic noncancer pain: a systematic review. J Pain 2003; 4: 231-56 3)Miles CL, Fellowes D, Goodman ML, Wilkinson S. Laxatives for the management of constipation in palliative care patients. Cochrane Database Syst Rev 2006(4): CD003448 4)Agra Y, Sacristàn A, Gonzàlez M, et al. Efficacy of senna versus lactulose in terminal cancer patients treated with opioids. J Pain Symptom Manage. 1998; 15: 1-7 5)Twycross RG, McNamara P, Schuijt C, et al. Sodium picosulfate in opioid-induced constipation: results of an open-label, prospective, dose-ranging study. Palliat Med 2006; 20: 419-23 臨床疑問31 6)Quigley C. Opioid switching to improve pain relief and drug tolerability. Cochrane Database Syst Rev 2004(3): CD004847 7)Mercadante S, Bruera E. Opioid switching: a systematic and critical review. Cancer Treat Rev 2006; 32: 304-15 8)Donner B, Zenz M, Tryba M, et al. Direct conversion from oral morphine to transdermal fentanyl: a multicenter study in patients with cancer pain. Pain 1996; 64: 527-34 9)Mystakidou K, Tsilika E, Parpa E et al. Long-term cancer pain management in morphine pretreated and opioid naïve patients with transdermal fentanyl. Int J Cancer 2003; 107: 486-92 10)Radbruch L, Sabatowski R, Loick G, et al. Constipation and the use of laxatives: a comparison between transdermal fentanyl and oral morphine. Palliat Med 2000; 14: 111-9
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眠 気3 オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、行うべき評価は何か?オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、精神刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、カフェインは、プラセボに比較して眠気を改善するか?オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して眠気を改善するか?オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較して眠気を改善するか? 眠気の強度と苦痛の程度を評価する。眠気を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。オピオイドの投与量が多くないかを評価する。オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、専門家に相談したうえで、精神刺激薬を追加する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル)オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドを変更する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの経口投与を持続静注・持続皮下注に変更する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) ● オピオイドが投与された患者において、眠気が発現した時に有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 32 33 34 35 32 33 34 35 ●フローチャート 眠気の強度と苦痛の程度を評価する。眠気の原因を評価し、原因に応じた対応を行う。特に鎮痛効果が十分に得られている場合にはオピオイドの減量を検討する。初回投与や増量後の軽度の眠気であれば経過を観察する。オピオイドによる眠気の場合は、眠気に対する薬物療法(精神刺激薬の投与)、オピオイドローテーション、または、投与経路の変更を検討する。効果が不十分な場合、神経ブロックなどによりオピオイドを減量・中止できるか検討する。 ●眠気の強度と苦痛の程度を評価する●原因の評価と原因に応じた対応・オピオイドの減量の検討 ●オピオイドローテーション± 眠気に対する薬物療法 ●投与経路の変更± 眠気に対する薬物療法●眠気に対する薬物療法(精神刺激薬) 効果が不十分な場合に検討すること●神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討
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III章推奨 オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 眠気の強度と苦痛の程度を評価する。眠気を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。オピオイドの投与量が多くないかを評価する。 解 説オピオイドが投与された患者に眠気が発現した場合には、眠気がオピオイドの過量投与の兆候の可能性があるので、投与量が適切であるかをまず確認する。次に、眠気を生じる他の要因を鑑別し、治療を検討する。がん患者の眠気の原因としてオピオイド以外に、薬物(向精神薬、中枢作用のある制吐薬など)、中枢神経系の病変、電解質異常(高カルシウム血症、低ナトリウム血症など)、内分泌疾患、血糖値異常、腎機能障害、肝機能障害、高アンモニア血症、脱水、感染症、低酸素血症などがある。これらの原因には、治療可能なものもあるため、オピオイドによる眠気と判断する前に治療可能な原因を評価し、治療を検討する。例えば、薬物では、日中に投与されている眠気の原因となる薬物を中止・減量、または、夜間の投与とする。具体的には、投与薬物を確認し、眠気の悪化との時間関係を確認する。また、神経学的所見など理学所見をとり、血液検査(補正カルシウム値を含む)、頭部画像検査を検討することにより、主要な眠気の原因を鑑別することができる。そのうえで、眠気に対する患者の受け取り方が患者によって異なるため、眠気が患者にとって苦痛となっていないかを患者自身に評価してもらい、眠気を治療対象とするかを判断する。オピオイドが原因と考えられる場合は、初回投与や増量後では数日間で耐性ができることが多いため可能であれば経過を観察する。鎮痛効果が十分であればオピオイドの減量を検討する。鎮痛効果が不十分であれば、非オピオイド鎮痛薬・神経ブロック・放射線治療など他の鎮痛手段を加えてオピオイドを減量できるかを検討する。モルヒネが投与されている場合、腎機能障害が生じるとモルヒネの投与量は同一でもモルヒネの代謝産物が蓄積することにより眠気を発現することがある。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、オピオイド開始後1 週間以上経過しても眠気が改善しない場合、オピオイド以外の原因を評価することを推奨している。また、より少ない投与量で疼痛緩和が維持できるならばオピオイド投与量を減量する、オピオイドの投与量を減らすために非オピオイド鎮痛薬などの投与を考慮する、最高血中濃度を減らす目的でオピオイドをより少量の投与量で頻回に投与することを推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、最初の対処として、中枢神経系の病変、脱水、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、肝機能障害、腎機能障害、低酸素血症、感染症、薬物などによる眠気を鑑別すること、モルヒネの投与量を減量することを推奨している。その際に、痛みがある場合には非オピオイド鎮痛薬の追加、鎮痛補助薬の追加、痛みの原因となる疾患への治療、神経ブロックなどにより、モルヒネの投与量を減量することを推奨している。 臨床疑問32 推 奨
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オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、精神刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、カフェインは、プラセボに比較して眠気を改善するか? オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、精神刺激薬は眠気を改善するが、コリンエステラーゼ阻害薬、カフェインについて眠気を改善する根拠はない。オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、専門家に相談したうえで、精神刺激薬を追加する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に対する臨床研究としては、系統的レビューが1件、無作為化比較試験2 件、前後比較研究1件がある。 1)精神刺激薬複数の無作為化比較試験と前後比較研究で、オピオイドによる眠気に対する精神刺激薬の効果が示されている。McNicolら1)の系統的レビューでは、オピオイドが投与され眠気が発現した患者に対して、精神刺激薬が有効であるとしている。Wilwerdingら2)による無作為化クロスオーバー比較試験では、痛みに対してオピオイドを必要とするがん患者43 例(必ずしも眠気を苦痛としているわけではない)を対象とし、メチルフェニデート15mg/日とプラセボの全般的な症状への効果を比較したところ、鎮痛効果などに差はみられなかったが、眠気を有意に改善した(絶対値の記載なし, p=0.01)。副作用として、メチルフェニデートに関連したものは認めなかった。Brueraら(1987) 3)による無作為化クロスオーバー比較試験では、痛みに対してオピオイドを必要とするがん患者32 例を対象とし、メチルフェニデート15mg/日とプラセボの鎮痛効果と眠気への効果を比較したところ、中等度の鎮痛効果とともに、眠気のVAS(0 が最悪、100が最良)を有意に改善した(36 →58 vs 36 →45,p <0.01)。メチルフェニデートに関連した重度の副作用は認めなかった。この他に、Brueraら(1992) 4)による前後比較研究では、メチルフェニデートにより、オピオイドの投与を受けているがん患者の眠気が改善することが示唆されている。 2)コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル)オピオイドの眠気にドネペジルが中等度有効であったが、副作用が高頻度にみられたことが1件の前後比較研究で示唆されている。Brueraら(2003) 5)による前後比較研究では、痛みに対してオピオイドが使用され眠気を訴えているがん患者27例を対象とし、ドネペジル5mg/日を7日間投与したところ、7日後の眠気NRSが改善した(6.4→4.8, p=0.035)。副作用としては、20 例中嘔気を6 例、嘔吐を5 例、下痢を5 例、筋けいれんを3例、食欲不振を3例、腹痛を1例で認め、中止後に消失した。 臨床疑問33 推 奨
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III章推奨 オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して眠気を改善するか? オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの変更は、眠気を改善する。オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドを変更する。 1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、系統的レビューが2件ある。無作為化比較試験はなく、前後比較研究が3件ある。 臨床疑問34 推 奨 3)カフェインオピオイドの眠気に対するカフェインの効果については、1件の無作為化比較試験がある。Mercadanteら(2001) 6)による無作為化クロスオーバー比較試験では、痛みに対して一定量のモルヒネを使用しているがん患者12例を対象とし、モルヒネ投与後のカフェイン200mgとプラセボの効果を比較したところ、眠気についてのNRSは有意な変化はみられなかった(28→28 vs 22→24, p 値の記載なし)。一方、認知機能検査に用いられるtapping speed testには有意な改善が認められた(120 →129 vs 133→123,p=0.041)。カフェインによる副作用はみられなかった。 ** 以上より、オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、精神刺激薬は、眠気を改善する相応の根拠があると考えられるが、コリンエステラーゼ阻害薬、カフェインについて眠気を改善するとする十分な根拠はない。本邦では、精神刺激薬であるメチルフェニデートとモダフィニルはナルコレプシーと注意欠陥/多動性障害以外には使用が厳しく規制されている。同効薬としてペモリンがある。ペモリンは、中枢神経系のドパミン作動性ニューロンの神経終末でのドパミン取り込み阻害により効果を発現するため、オピオイドによる眠気を改善する可能性があるが、根拠となるエビデンスがほとんど存在していない(宮澤ら)。したがって、本ガイドラインでは、専門家に相談したうえで使用を検討することを推奨する。一方、コリンエステラーゼ阻害薬やカフェインは、十分なエビデンスがないため、推奨しない。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、オピオイド開始後1 週間以上経過しても眠気が改善しない場合、カフェイン、メチルフェニデート、モダフィニルなどを推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、オピオイド以外の原因の鑑別、オピオイドの減量について検討した後に、精神刺激薬(メチルフェニデートなど)の使用を推奨している。
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Quigeyら7)による系統的レビューでは、痛みを訴える患者に対するオピオイドの変更の有効性について52件の文献に関してレビューしている。前後比較研究14件、後ろ向き研究15件、症例報告23件を検討した結果、1つの報告を除き、オピオイドを変更することは疼痛緩和とオピオイドによる副作用を軽減するために有効な手段であると結論付けている。また、Mercadanteら8)による系統的レビューでは、前後比較研究13件、後ろ向き研究10件などを含む31件の文献を検討し、1種類のオピオイドで疼痛緩和が不十分な患者に対してオピオイドの変更を行うことで50%以上の患者において臨床的な改善が認められると結論づけた。例えばNarabayashiら9)による前後比較研究では、鎮痛効果が不十分であったり耐えがたい副作用のためにモルヒネ内服の継続が困難ながん患者25 例を対象とし、オキシコドン内服への変更を行ったところ、変更前に耐えがたい眠気を訴えていた7 例全例で耐えがたい眠気は消失した(0 〜3の4 段階の評価で、2.1→0.9, p=0.031)。McNamara10)による前後比較研究では、痛みに対してモルヒネが投与されており、モルヒネによる眠気やせん妄などの精神症状のあるがん患者19 例を対象とし、モルヒネからフェンタニル貼付剤に変更を行ったところ、4 項目からなる眠気尺度(0 〜12点、9.4→7.3, p=0.0012)、眠気によるわずらわしさのVAS(68→49, p=0.017)が改善した。観察期間中に、19 例中17例の患者で36 件の有害事象がみられた。そのうち、治療に関連するものは、重篤なものとして呼吸抑制が1件あり、その他、倦怠感、発汗、嘔気、嘔吐、便秘、下痢、ミオクローヌス、モルヒネの離脱症候を12件認めたが一過性であり回復した。Ashbyら11)による前後比較研究では、オピオイドが原因と考えられる副作用のある患者49例を対象とし、モルヒネからフェンタニルへ変更したところ、眠気を有する10 例中4例で臨床的な改善がみられ、うち2例で消失した。モルヒネからオキシコドンへの変更では、眠気のある2例中2例で臨床的な改善がみられた。副作用に関する記載は特になかった。 ** 以上より、オピオイドが投与され眠気が発現した患者に対して、オピオイドの変更は、眠気を改善する相応の根拠があると考えられる。いずれも質の高いエビデンスではないが、モルヒネからオキシコドンまたはフェンタニルに、オキシコドンからフェンタニルに変更することで眠気の改善が認められると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、オピオイドによる眠気に対して、オピオイドの変更を推奨する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、オピオイド開始後1 週間以上経過しても眠気が改善しない場合、他の対応に加えて、オピオイドの変更を検討することを推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、オピオイド以外の原因の鑑別、オピオイドの減量について検討した後に、オピオイドの変更を推奨している。
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III章推奨 オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較して眠気を改善するか? オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、眠気を改善する可能性がある。オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの経口投与を持続静注・持続皮下注に変更する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験はなく、前後比較研究が1件ある。Entingら12)による前後比較研究では、オピオイドによる鎮痛効果が不十分な100 例の患者を対象とし、オピオイドを静脈内・皮下投与に変更(主な変更は、経口モルヒネを静脈内・皮下投与、フェンタニル貼付剤をフェンタニルかモルヒネの静脈内投与)したところ、鎮痛効果の改善とあわせて、眠気の改善または消失が60%(45 例中27例)でみられたが、最終的に眠気は38 例でみられた。重篤な副作用はなかった。 ** 以上より、質の高いエビデンスではないが、オピオイドが投与され眠気が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、眠気を改善する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、オピオイドによる眠気に対してオピオイドの投与経路の変更を推奨する。すなわち、経口投与を持続静注・持続皮下注に変更する。ただし、投与ラインにより、患者が生活するうえで不便となる可能性があり、患者とよく相談して投与経路の変更を行う必要がある。 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001b)では、最初の対応(他の原因の鑑別、オピオイドの減量)で緩和しない場合に、投与経路の変更(経口→皮下投与)を推奨している。 (松本禎久、小笠原利枝、川村三希子) 臨床疑問35 推 奨 【文 献】臨床疑問33 1)McNicol E, Horowicz-Mehler N, Fisk RA, et al. Management of opioid side effects in cancer-related and chronic noncancer pain: A systematic review. J Pain 2003; 4: 231-56 2)Wilwerding MB, Loprinzi CL, Mailliard JA, et al. A randomized, crossover evaluation of methylphenidate in cancer patients receiving strong narcotics. Support Care Cancer 1995; 3: 135-8 3)Bruera E, Chadwick S, Brennels C, et al. Methylphenidate associated with narcotics for the treatment of cancer pain. Cancer Treat Rep 1987; 71: 67-70 4)Bruera E, Fainsinger R, MacEachern T, et al. The use of methylphenidate in patients with incident cancer pain receiving regular opiates. A preliminary report. Pain 1992b; 50: 75-7 5)Bruera E, Driver L, Barnes EA, et al. The effect of donepezil on sedation and other symptoms in
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patients receiving opioids for cancer pain: a pilot study. J Clin Oncol 2003; 21: 4439-43 6)Mercadante S, Serretta R, Casuccio A. Effects of caffeine as an adjuvant to morphine in advanced cancer patients. A randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover study. J Pain Symptom Manage 2001; 21: 369-72 臨床疑問34 7)Quigley C. Opioid switching to improve pain relief and drug tolerability. Cochrane Database Syst Rev. 2004(3): CD004847 8)Mercadante S, Bruera E. Opioid switching: a systematic and critical review. Cancer Treat Rev 2006; 32: 304-15 9)Narabayashi M, Saijo Y, Takenoshita S, et al; Advisory Committee for Oxycodone Study. Opioid rotation from oral morphine to oral oxycodone in cancer patients with intolerable adverse effects: an open-label trial. Jpn J Clin Oncol 2008; 38: 296-304 10)McNamara P. Opioid switching from morphine to transdermal fentanyl for toxicity reduction in palliative care. Palliat Med 2002; 16: 425-34 11)Ashby MA, Martin P, Jackson KA. Opioid substitution to reduce adverse effects in cancer pain management. Med J Aust 1999; 170: 68-71 臨床疑問35 12)Enting RH, Oldenmenger WH, van der Rijt CC, et al. A prospective study evaluating the response of patients with unrelieved cancer pain to parenteral opioids. Cancer 2002; 94: 3049-56 【参考文献】臨床疑問33 13)Homsi J, Walsh D, Nelson KA. Psychostimulants in supportive care. Support Care Cancer 2000; 8: 385-97 14)宮澤真帆,郡由起子,赤穂理絵,他.オピオイド・鎮痛補助薬に起因する,がん患者の眠気に対するペモリンの有効性と安全性の検討.第14回日本緩和医療学会総会.2009
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III章推奨 せん妄4 オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、行うべき評価は何か?オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬は、プラセボに比較してせん妄を改善するか?オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較してせん妄を改善するか?オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較してせん妄を改善するか? せん妄を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬を投与する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル)オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドを変更する。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの経口投与を持続静注・持続皮下注に変更する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) ● オピオイドが投与された患者において、せん妄*が発現した時に有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 36 37 38 39 36 37 38 39 *:せん妄周囲を認識する意識の清明度が低下し、記憶力、見当識障害、言語能力の障害などの認知機能障害が起こる状態。通常、数時間から数日の短期間に発現し、日内変動が大きい。 ●フローチャート ●原因の評価と原因に応じた対応・オピオイドの減量の検討 ●抗精神病薬の投与●オピオイドローテーション± 抗精神病薬●投与経路の変更± 抗精神病薬 効果が不十分な場合に検討すること●神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討 せん妄の原因を評価し、原因に応じた対応を行う。オピオイドによるせん妄の場合は、抗精神病薬の投与、オピオイドローテーション、あるいはオピオイドの投与経路の変更を行う。効果が不十分な場合、神経ブロックなどによりオピオイドを減量・中止できるか検討する。
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オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬は、プラセボに比較してせん妄を改善するか? オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬は、せん妄を改善する。オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬を投与する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 臨床疑問37 推 奨 オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? せん妄を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。 がん患者のせん妄の原因として、薬物(ベンゾジアゼピン系薬剤、コルチコステロイド、抗うつ薬など)、中枢神経系の病変、電解質異常(高カルシウム血症、低ナトリウム血症など)、高アンモニア血症、脱水、感染症、低酸素血症などがある。このうち、薬物、高カルシウム血症、脱水によるせん妄は可逆性が高いので、治療する価値が高い。ビタミンB 群欠乏、内分泌疾患は、がん患者における頻度は少ないと考えられるが、原因治療により改善する可能性がある。具体的には、投与薬物を確認し、せん妄の発現や悪化との時間関係を確認する。また、神経学的所見など理学所見をとり、血液検査(補正カルシウム値を含む)、頭部画像検査を検討することにより、主要なせん妄の原因を鑑別することができる。オピオイドが原因と考えられる場合は、十分な鎮痛効果が得られていれば、鎮痛が得られる範囲でオピオイドの減量を検討する。鎮痛効果が不十分であれば非オピオイド鎮痛薬・神経ブロック・放射線治療など他の鎮痛手段を加えてオピオイドを減量できるかを検討する。モルヒネが投与されている場合、腎機能障害が生じるとモルヒネの投与量は同一でもモルヒネの代謝産物が蓄積することにより眠気を発現することがある。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、オピオイド以外の原因を鑑別すること、オピオイドの投与量を減らすために非オピオイド鎮痛薬を考慮することを推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、最初の対処として、中枢神経系の病変、脱水、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、肝機能障害、腎機能障害、低酸素血症、感染症、薬物によるものかを鑑別すること、オピオイドを減量することを推奨している。痛みがある場合には、非オピオイド鎮痛薬の追加、鎮痛補助薬の追加、痛みの原因となる疾患への治療、神経ブロックなどによりオピオイドの投与量を減量することを推奨している。 臨床疑問36 推 奨 解 説
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III章推奨 *1:Delirium Rating Scaleせん妄の診断を目的として開発された評価尺度。10項目からなり、13点以上(最大32 点)でせん妄と診断される。 解 説オピオイドによるせん妄に対する薬物療法に関しては、McNicolらによる系統的レビューが行われているが、無作為化比較試験はない(McNicolら) 1)。原因をオピオイドと限定しないせん妄については、抗精神病薬投与に関する系統的レビューが2件、ベンゾジアゼピン系薬剤投与に関する系統的レビューが1件ある。 1)抗精神病薬(1)定型抗精神病薬定型抗精神病薬とは、ドパミンD2受容体に対して高い親和性をもつ拮抗薬であり、ハロペリドールやクロルプロマジンなどに代表される抗精神病薬のことを指す。Breitbartら2)による無作為化比較試験では、せん妄が出現したAIDS 患者30 例を対象とし、ハロペリドール2.8mgとクロルプロマジン50mgとロラゼパム3mgの効果を比較したところ、せん妄の重症度の評価指標であるDelirium Rating Scale*1が、ハロペリドール群、クロルプロマジン群では改善したが、ロラゼパム群では改善しなかった〔20 →12(p <0.001) vs 21→12 (p <0.001) vs 18→17(p <0.63)〕。ハロペリドール群とクロルプロマジン群においては副作用を認めなかったが、ロラゼパム群には過鎮静やせん妄が悪化するなどの有害事象がみられた。クロルプロマジン群では長期的には認知機能を悪化させた。Jacksonら3)による、終末期患者に生じたせん妄に対する系統的レビューでは、1件の無作為化比較試験の結果から、せん妄の治療薬としてハロペリドールが最も適切であり、クロルプロマジンは軽度の認知機能障害が許容できるのであれば使用可能と結論した。 ** 以上より、オピオイドによるせん妄に限定した知見ではないが、定型抗精神病薬はオピオイドによるせん妄を改善する可能性があると考えられる。 (2)非定型抗精神病薬非定型抗精神病薬とは、1980 年代後半より導入された新規抗精神病薬を指す。従来の抗精神病薬と比較して、ドパミンD2受容体以外の神経伝達物質受容体に対しても選択的に作用し、錐体外路症状を中心とした中枢神経に対する副作用が少ない。Lonerganら(2007) 4)による、非定型抗精神病薬のせん妄に対する効果と副作用をみた系統的レビューでは、無作為化比較試験3件を検討し、3mg/日以下のハロペリドールとリスペリドン、オランザピンは効果と副作用の点で同等であり、4.5mg/日以上のハロペリドールはオランザピンと比較して、錐体外路症状が多いと結論した。例えば、ハロペリドール1.7mg/日とリスペリドン1.0mg/日とでは、せん妄の重症度の評価指標であるMemorial Delirium Assessment Scale(MDAS)*2の低下には顕著な差はなく(75% vs 42% good response, p=0.11)、ハロペリドール7.1mg/日とオランザピン4.5mg/日とでは、Delirium Rating Scaleの低下率はいずれも同等であり、プラセボと比較して有意に改善した(ハロペリドール70% vs オランザピン72% vs プラセボ30%,p <0.01)。 ** 以上より、非定型抗精神病薬であるリスペリドンとオランザピンは、せん妄に対してハロペリドールと同等の効果があることが示唆される。また、クエチアピンやペロスピロンに関しては臨床研究がないが、薬理学的に他の非定型抗精神病薬と同種の薬剤として効果が期待できると考えられる。すなわち、オピオイドによるせん妄に限定した知見ではないが、非定型抗*2:MDASせん妄の重症度を測定するために開発された評価尺度。10 項目からなり、MDAS日本語版では10点以上(最大30点)でせん妄と診断される。
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精神病薬はオピオイドによるせん妄を改善する可能性があると考えられる。 2)ベンゾジアゼピン系薬剤Breitbartら2)による無作為化比較試験では、せん妄が出現したAIDS 患者30 例を対象とし、ハロペリドール、クロルプロマジンと比較して、ロラゼパムの単独投与では、せん妄の症状が改善しなかった。Lonerganら(2004) 5)によるせん妄に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用に関する系統的レビューでは、せん妄に対するベンゾジアゼピン系薬剤の単独投与の効果を示した臨床研究は、アルコール離脱性せん妄以外のせん妄にはないと結論している。したがって、ベンゾジアゼピン系薬剤は、単独投与でせん妄は改善せず、悪化させる可能性もある。 ** 以上より、オピオイドが投与され、せん妄が発現し患者に対して、抗精神病薬は、せん妄を改善する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、オピオイドが投与され、せん妄が発現し患者に対して、抗精神病薬の投与を推奨する。投与薬物は、がん患者に対するエビデンスはないが、非がん患者に対するエビデンスから、定型抗精神病薬または非定型抗精神病薬を選択する。投与量に関しては、錐体外路症状や眠気など副作用を防ぐために、必要最少量にとどめる。抗精神病薬は少量から開始し、症状に合わせて増量する。投与時間については、眠気を来す作用もあることから、定期投与を行う場合には夕または就寝前の投与が望ましいが、症状に合わせて分割投与を検討する。1種類の抗精神病薬によってもせん妄が改善しない場合には、専門家の合意から、他の抗精神病薬へ変更するか、または、焦燥感・不眠などの症状が緩和されない場合は抗精神病薬とベンゾジアゼピン系薬剤を併用する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、ハロペリドール(0.5 〜2mg、4〜6 時間ごとに経口投与)もしくは他の抗精神病薬の投与を検討することを推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、他の原因の鑑別、オピオイドの減量を検討した後に、抗精神病薬(具体的にはハロペリドール、焦燥が著しい時にはベンゾジアゼピン系薬剤の併用)の使用を推奨している。日本総合病院精神医学会が作成した「せん妄の治療指針(2005 年)」では、薬物療法としてハロペリドールの使用が推奨されている。
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III章推奨 オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較してせん妄を改善するか? オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの変更は、せん妄を改善する。オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドを変更する。 1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、系統的レビューが2件ある。無作為化比較試験はなく、前後比較研究が5 件ある。Quigeyら6)による系統的レビューでは、痛みを訴える患者に対するオピオイドの変更の有効性について、前後比較研究14件、後ろ向き研究15 件、症例報告23 件を含む52 件の文献を検討した結果、1つの報告を除き、オピオイドを変更することは疼痛緩和とオピオイドによる副作用を軽減するために有効な手段であると結論づけている。また、Mercadanteら7)による系統的レビューでは、オピオイドの変更に関して、前後比較研究が13 件、後ろ向き研究10 件などを含む31件の文献を検討し、1種類のオピオイドで疼痛緩和が不十分な患者に対してオピオイドローテーションを行うことで50%以上の患者において臨床的な改善が認められると結論づけた。Moritaら8)による前後比較研究では、モルヒネによるせん妄と診断されたがん患者20 例を対象とし、モルヒネをフェンタニルに変更したところ、MDASが10点以上である患者は治療前85%であったが、治療3日後に15%、治療7日後に5%に減少した(p <0.001)。副作用は特にみられなかった。Gagnonら9)による前後比較研究では、オピオイドによる副作用のためにオピオイドの変更を行ったがん患者63 例を対象とし、せん妄のためにオキシコドン皮下投与に変更した38 例のうち、13 例(34%)でせん妄は臨床的に改善した。注射部位の局所反応以外の副作用は認めなかった。Maddocksら10)による前後比較研究では、モルヒネが原因と考えられるせん妄のある患者13例を対象とし、オキシコドン皮下投与へ変更したところ、6日後には13例中9 例(69%)でせん妄が消失した。変更に伴う副作用はみられなかった。Ashbyら11)による前後比較研究では、オピオイドが原因と考えられる副作用のある患者49例を対象とし、モルヒネからフェンタニルへ変更したところ、せん妄は15 例中12 例で臨床的な改善がみられ、2 例は消失した。オキシコドンからフェンタニルへの変更では、せん妄は2例中1例で臨床的に改善した。モルヒネからオキシコドンへの変更では、4例中3例でせん妄が消失した。副作用に関する記載は特になかった。ほかに、McNamara12)による前後比較研究では、痛みに対してモルヒネが投与されており、モルヒネによる眠気やせん妄などの精神症状のあるがん患者19 例を対象とし、モルヒネからフェンタニル貼付剤に変更を行ったところ、認知機能検査における記憶の項目で改善が認められている。 臨床疑問38 推 奨
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** 以上より、オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの変更は、せん妄を改善する相応の根拠があると考えられる。いずれも質の高いエビデンスではないが、モルヒネからオキシコドンまたはフェンタニルに、あるいは、オキシコドンからフェンタニルに変更することでせん妄の改善を認めている。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、オピオイドによるせん妄に対してオピオイドの変更を推奨する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、オピオイドの変更を検討することを推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、他の原因の鑑別とオピオイドの減量などを検討した後に、オピオイドの変更を推奨している。 オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較してせん妄を改善するか? オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、せん妄を改善する可能性がある。オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの経口投与を持続静注・持続皮下注に変更する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験はなく、前後比較研究が1件ある。Entingら13)による前後比較研究では、オピオイドによる疼痛緩和が不十分な100 例の患者を対象とし、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更したところ、鎮痛効果の改善とあわせて、混乱および幻覚の改善または消失がそれぞれ87%(15 例中13例)、70%(10 例中7例)でみられた。 ** 以上より、質の高いエビデンスではないが、オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更はせん妄を改善する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、オピオイドによるせん妄に対してオピオイドの投与経路の変更を推奨する。ただし、せん妄が発現している患者では、投与ルートによる拘束感などにより、せん妄症状が悪化する場合や、転倒やルート抜去などの危険性が増加する場合があるため、投与経路の変更の際には十分に注意する。 臨床疑問39 推 奨
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III章推奨 既存のガイドラインとの整合性EAPCのガイドライン(2001b)では、他の原因の鑑別、オピオイドの減量を検討した後に、投与経路の変更を推奨している。 (松本禎久、小笠原利枝、川村三希子) 【文 献】臨床疑問37 1)McNicol E, Horowicz-Mehler N, Fisk RA, et al. Management of opioid side effects in cancer-related and chronic noncancer pain: A systematic review. J Pain 2003; 4: 231-56 2)Breitbart W, Marotta R, Platt MM, et al. A double-blind trial of haloperidol, chlorpromazine, and lorazepam in the treatment of delirium in hospitalized AIDS patients. Am J Psychiatry 1996; 153: 231-7 3)Jackson KC, Lipman AG. Drug therapy for delirium in terminally ill patients. Cochrane Database Syst Rev 2004(2): CD004770 4)Lonergan E, Britton AM, Luxenberg J, Wyller T. Antipsychotics for delirium. Cochrane Database Syst Rev 2007(2): CD005594 5)Lonergan E, Luxenberg J, Areosa Sastre A et al. Benzodiazepines for delirium. Cochrane Database Syst Rev 2004 臨床疑問38 6)Quigley C. Opioid switching to improve pain relief and drug tolerability. Cochrane Database Syst Rev 2004 7)Mercadante S, Bruera E. Opioid switching: a systematic and critical review. Cancer Treat Rev 2006; 32: 304-15 8)Morita T, Takigawa C, Onishi H, et al; Japan Pain, Rehabilitation, Palliative Medicine, and PsychoOncology(PRPP)Study Group. Opioid rotation from morphine to fentanyl in delirious cancer patients: an open-label trial. J Pain Symptom Manage 2005; 30: 96-103 9)Gagnon B, Bielech M, Watanabe S, et al. The use of intermittent subcutaneous injections of oxycodone for opioid rotation in patients with cancer pain. Support Care Cancer 1999; 7: 265-70 10)Maddocks I, Somogyi A, Abbott F, et al. Attenuation of morphine-induced delirium in palliative care by substitution with infusion of oxycodone. J Pain Symptom Manage 1996; 12: 182-9 11)Ashby MA, Martin P, Jackson KA. Opioid substitution to reduce adverse effects in cancer pain management. Med J Aust 1999; 170: 68-71 12)McNamara P. Opioid switching from morphine to transdermal fentanyl for toxicity reduction in palliative care. Palliat Med 2002; 16: 425-34 臨床疑問39 13)Enting RH, Oldenmenger WH, van der Rijt CC, et al. A prospective study evaluating the response of patients with unrelieved cancer pain to parenteral opioids. Cancer 2002; 94: 3049-56 【参考文献】臨床疑問37 14) せん妄の治療指針, 日本総合病院精神医学会 編, 星和書店, 2005
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3 III章 推 奨 がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行うことで、痛みは緩和するか?がん疼痛マネジメントについての教育は、どのように行うべきか? がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行う。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル)がん疼痛マネジメントについての教育は、その患者が実際に心配していることを明らかにし、患者個別に応じた教育を行う。がん疼痛マネジメントについての患者教育は、継続して行う。がん疼痛マネジメントについての患者教育の内容には、痛みとオピオイドに関する正しい知識、痛みの治療計画と具体的な鎮痛薬の使用方法、医療従事者への痛みの伝え方、非薬物療法と生活の工夫、セルフコントロールなどを含める。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) ● がん疼痛マネジメント*を受けている患者に、疼痛マネジメントについて教育を行うことは有効か? 関連する臨床疑問 推 奨 40 41 40 41 41 41 臨床疑問40 推 奨 がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行うことで、痛みは緩和するか? がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行うことで、痛みは緩和する。がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行う。1A (強い推奨、高いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関連した臨床研究は、複数の系統的レビューと無作為化比較試験がある。Allardら1)による系統的レビューでは、がん疼痛のある患者を対象として、患者個々に応じた教育とフォローアップを行う(オピオイドについての認識を把握し誤解を修正する、オピオイドの内服方法をコーチングするなど)ことにより、痛みやオピオイドについての正しい知識の習得のみならず、痛みの改善にも効果的であることが示唆されている。また、Goldbergら2)による入院中のがん患者への患者教育についての系統的レビューでは、患者に対してカウンセリングなどを用いた教育的な介入は、痛みを改善し、痛みやオピオイドについての正しい知識を習得したと結論された。また、Devineら3)の成人がん患者への心理教育的介入についての系統的レビューでは、リラクゼーション、鎮痛薬使用についての患者教育、カウンセリングには、患者の痛みを緩和する効果があることが示されている。がん患者を対象として、疼痛マネジメントについての患者教育が痛みに及ぼす効果を評価した無作為化比較試験は8 件ある(表1)。このすべてにおいて痛みの強さが軽減されており、 がん疼痛マネジメントにおける患者教育 *:がん疼痛マネジメント適切で効果的な疼痛緩和を行うために、患者の体験に焦点をあてた包括的評価、痛みの治療とケア(薬物療法、その他の治療、非薬物療法、ケア)および、継続的な評価を含めた多職種で行う過程をさす。 -1 -2 -3
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III章推奨 教育プログラムとして、冊子を用いた説明やビデオ、録音テープ、痛み日記、継続したフォローアップなどさまざまな方法が組み合わせて実施されていた。 ** 以上により、がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行うことで、痛みは緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、がん疼痛マネジメントを受ける患者には、がん疼痛マネジメントについて教育を行うことを推奨する。 *:NRS(numerical rating scale)痛みを0から10の11段階に分け、痛みが全くないのを0、考えられるなかで最悪の痛みを10として、痛みの点数を問うものP26 参照。 表1 がん患者を対象とした痛みが緩和された教育プログラムde Witらのプログラム(1997) 4)対象がん専門病院の患者 313例(オランダ) 方法介入群では、1痛みや疼痛マネジメントに関する情報提供や教育、2痛み日記を用いた痛みの記録方法の説明、3痛みについて医療従事者とどのようにコミュニケーションをとるかなどに関する説明を行った。説明を録音したテープと、冊子を用いて、個々の患者のニーズに合わせたプログラムを入院中に行った。介入群は、プログラムを受けた後、退院3日目、7日目に看護師が電話によるフォローアップを行った。退院後は介入群、対照群ともに訪問看護師が関わった群と関わらなかった群に振り分けられ、1訪問看護なしの対照群(n=103)、2訪問看護なしの介入群(n=106)、3訪問看護ありの対照群(n=51)、4訪問看護ありの介入群(n=53)の4群を比較した。データ収集は、ベースライン,退院2週後,4週後,8週後に行った。結果退院後75%の患者が冊子を全部読み、62%がテープをすべて聴き、86%が痛み日記を記録していた。訪問看護なしの群での比較では、5以上の痛みを訴える割合が低下した(2週間目:16%vs29%,p <0.05;4週目:15%vs32%,p <0.01)。訪問看護ありの群での有意差はなかった。Laiらのプログラム(2004) 5)対象腫瘍病棟に入院している患者30 例(台湾) 方法10~15分の教育セッションを5日間、痛みについて訓練を受けた腫瘍看護師が16ページの冊子を用いて行った。最後の2日間では、患者の個別の疑問に応じて、これまで学習してきたことの振り返りや、今後に向けた話し合いを行った。冊子の内容は、1痛みの日々の生活への影響、2痛みの緩和方法や処方薬剤、3オピオイドの誤解、4副作用への対処、5痛みが長引くことの弊害、6非薬物療法、7痛みの強さを観察することの重要性、8NRS*を用いて医療従事者に痛みを伝える方法、9医療従事者に痛みを訴える権利、10患者自身が行うこと、11がんの痛みは緩和できることであった。結果介入前後の比較で、介入群では対照群と比べ平均的な痛みの強さが低下していた(5.0→2.8vs4.3→3.7, p <0.05)。また、オピオイドへの正確な知識が増え、「痛みはコントロールできる」という認識が増えていた。Rimerらのプログラム(1987) 6)対象外来通院中のがん患者230 例(米国) 方法介入群の患者は、訓練を受けた腫瘍看護師とのセッションを受けた。セッションでは、1看護師が作成した重要事項記載カード(薬剤名と起こりうる副作用などが記載されている)と、2「No More Pain」の冊子(個別の鎮痛薬の服薬計画や説明が記載されている)をもとに15分間のカウンセリングを行った。冊子には、その患者に使用される鎮痛薬の種類や方法が記載され、看護師はこの冊子を枠組みとしてカウンセリングを行った。 結果 介入群では対照群と比較して、介入後1カ月後の痛みについて「痛みがない、あるいは、軽い痛み」と回答した患者が多かった(44%vs24%,p=0.07)。また、介入群の患者は、対照群の患者と比して、正確なスケジュールで、正確な薬剤量を服薬する傾向にあった。介入群では医療用麻薬に対する心配をもっている患者の割合が減少した:精神依存(addiction)に関する心配(95%vs82%,p=0.02)、耐性に関する心配(95%vs 75%,p=0.0002)。Miaskowskiらのプログラム(PRO-SELP) (2004) 7)対象骨転移のあるがん患者174例(米国) 方法トレーニングを受けた看護師が、第1週に訪問し、1冊子を用いた鎮痛薬の誤解の相談、2ピルボックスを使用した内用剤の整理、3痛み日記を利用した疼痛評価の方法、4痛みが緩和しないときの医師とのコミュニケーション方法などについて、患者の個別性に合わせた面接を行った。その後、フォローアップとして、2、4、5週目に電話で痛みの強さと鎮痛薬の使用方法を確認し、3、6週目に患者の自宅を訪問した。結果 介入群では対照群に比較して、6 週目までの痛みのNRS が有意に減少した(グラフで示されており数値の記載はない, p <0.0001)。また、介入群では、定期使用薬と頓用薬の合計使用量がより増加していた。Oliverらのプログラム(2001) 8)対象痛みのある外来通院中の患者64例(米国) 方法痛みに関する知識や自己管理、疼痛コントロールについて、個別教育とコーチングセッション(約20分)を行った。セッションには、1患者の痛みやオピオイドについての認識を確認、2誤解に対する教育、3WHOの疼痛コントロールガイドラインに関する説明、4治療目標を確認、5目標に到達するための方法を具体的にすることが含まれている。結果介入群では、対照群と比較して2 週間後の痛みの平均の強さが改善した(グラフで示されており数値の記載 はない,p=0.014)。痛みによる障害、痛みの頻度、痛みの知識に関しては、群間差はみられなかった。
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がん疼痛マネジメントについての教育は、どのように行うべきか? 41-1 がん疼痛マネジメントについての教育は、その患者が実際に心配していること を明らかにし、患者個別に応じた教育を行う。41-2 がん疼痛マネジメントについての患者教育は、継続して行う。41-3 がん疼痛マネジメントについての患者教育の内容には、痛みとオピオイドに関す る正しい知識、痛みの治療計画と具体的な鎮痛薬の使用方法、医療従事者への痛みの伝え方、非薬物療法と生活の工夫、セルフコントロールなどを含める。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説がん疼痛マネジメントについての患者教育をどのように行うべきかについての具体的な方法と方法を比較した質の高い臨床試験はない。したがって、どのような方法がどのような方法と比較して効果があるかは明らかではない。本ガイドラインでは、専門家の合意として、がん疼痛マネジメントの教育は実際には複数の方法が組み合わせて行われるため、表1に挙げた無作為化比較試験で実施されていた介入プログラムに共通していた内容や方法を整理し、推奨する。また、がん患者の家族は、患者の疼痛マネジメントへの不安を持っており(Ferrellら)、患者が痛みを経験していても、家族が鎮痛薬の服薬にためらいや不安をもち、患者に鎮痛薬を服用させたくないという考えをもつことがある(Lin)。したがって、がん疼痛マネジメントについての患者教育においては、可能な限り、家族も含め行うことが望ましい。 41-1 患者個別に応じた教育を行う有効性が実証された教育プログラムでは、痛みに対する「全般的な情報」よりも「その患者が実際に心配していることを明らかにし対応すること」が要素として含められている(Rimerら、de Witら、Oliverら、Laiら)。例えば、「一般的にオピオイドでは麻薬中毒にはならない」と指導するだけではなく、「どういう心配をしていますか」などと、オピオイドを使用するうえで心配している内容やその理由を患者から具体的に聞いたうえでその患者の有している誤解を解消すること、患者がレスキュー・ドーズの使用方法がわからないのであればその方法を一緒に確認することなどカウンセリング技法も用い、冊子や要点を記載したカード、定期的な服用が確認できるピルボックスなどを活用して患者個別に応じた教育を行うことが重要である。 41-2 継続して教育を行う有効性が実証された教育プログラムでは、1回だけではなく、時間の経過に伴ってフォローアップを電話や訪問で行ったり、初回の説明内容の録音や視聴覚教材を使用したり、痛み日記を確認したりして繰り返し教育を行っている(de Witら、Miaskowskiら)。つまり、患者の痛みや鎮痛薬についての理解は一度で得られるものでなく、また、レスキュー・ドーズの使用などは痛みのタイミングに合わせた継続した教育が必要であることが示唆される。 臨床疑問41 推 奨
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III章推奨 41-3 教育内容として、痛みとオピオイドに関する正しい知識、痛みの治療計画と具 体的な鎮痛薬の使用方法、医療従事者への痛みの伝え方、非薬物療法と生活の工夫、セルフコントロールを含める有効性が実証された教育プログラムに含まれていた教育内容を整理し表2に示した(Rimerら、de Witら、Oliverら、Laiら、Moiaaskowskiら、Wardら9)、Clotfelterら10)、Yatesら11))。(1)痛みとオピオイドに対する正しい知識患者の痛みやオピオイドに関する認識を確認し、痛みを緩和することの意義や痛みを我慢することの悪影響を伝え、また、疼痛緩和の障害となっている誤解に関する正しい知識を説明する。特に、オピオイドについての誤った認識(「麻薬中毒になる」、「寿命が縮まる」、「徐々に鎮痛効果がなくなる」など)がしばしばみられることがあり、その認識に至った患者個々の背景などを十分に把握したうえで、がん疼痛やオピオイドについての情報を提供していく必要がある(P78,II-6-2オピオイドの誤解についての医学的真実の項参照)。(2)痛みの治療計画と具体的な鎮痛薬の使用方法患者の痛みを緩和するための治療計画、すなわち患者の痛みの原因、疼痛治療の目標、鎮痛の治療計画、具体的な鎮痛薬の使用方法、特に、定期的な鎮痛薬の服用方法、レスキュー・ドーズの使用方法、副作用の対策について説明する。(3)医療従事者への痛みの伝え方痛みを医療従事者に伝えることの意義を伝え、痛みの評価、痛み日記など患者が痛みを医療従事者に伝える方法を習得することである。疼痛マネジメントがうまくいかなかったときの連絡方法についてもここに含まれる。具体的な痛みの強さを伝える方法としては、NRSが一般的に推奨される(P25,II-2-2 痛みの評価の項参照)。(4)非薬物療法と生活の工夫患者や家族が行っている有効な薬物以外の疼痛緩和方法を確認し、疼痛緩和につながる薬物療法以外の方法をみつけて行うように促す。例えば、「どのようにすれば痛みが和らぎますか、痛みが強くなりますか」などと評価し、生活のうえで痛みが悪化する要因や軽快する要因(温める、移動の仕方など)を観察し、生活に取り入れるように促す。(5)セルフコントロール疼痛マネジメントを行うために患者が自分で痛みを観察するように促す。例えば、痛み日記やフローシートを用い、患者自身がコントロールしている実感をもてるように、一緒に患者が遂行しやすい方法を選択する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、がん疼痛マネジメントにおける患者教育について、痛みを緩和することの重要性、疼痛緩和に用いられる医療用麻薬では精神依存は問題にならないこと、患者と家族に痛みの程度や副作用、および、疼痛マネジメントに関する疑問について医療従事者に伝えることが重要であることを教育することが推奨されている。また、鎮痛薬の種類と使用方法、副作用対策、医療従事者に連絡すべき症状と連絡先の一覧を書面で情報提供すること、継続的にフォローアップすることが推奨されている。
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(梅田 恵、細矢美紀) 【文 献】1)Allard P, Maunsell E, Labbé J, Dorval M. Educational interventions to improve cancer pain control: a systematic review. J Palliat Med 2001; 4: 191-203 2)Goldberg GR, Morrison RS. Pain management in hospitalized cancer patients: a systematic review. J Clin Oncol 2007; 25: 1792-801 3)Devine EC. Meta-analysis of the effect of psychoeducational interventions on pain in adults with cancer. Oncol Nurs Forum 2003; 30: 75-89 4)de Wit R, van Dam F, Zandbelt L, et al. A pain education program for chronic cancer pain patients: follow-up results from a randomized controlled trial. Pain 1997; 73: 55-69 5)Lai YH, Guo SL, Keefe FJ, et al. Effects of brief pain education on hospitalized cancer patients with moderate to severe pain. Support Care Cancer 2004; 12: 645-52 6)Rimer B, Levy MH, Keintz MK, et al. Enhancing cancer pain control regimens through patient education. Patient Educ Couns 1987; 10: 267-77 7)Miaskowski C, Dodd M, West C, et al. Randomized clinical trial of the effectiveness of a self-care intervention to improve cancer pain management. J Clin Oncol 2004; 22: 1713-20 8)Oliver JW, Kravitz RL, Kaplan SH, Meyers FJ. Individualized patient education and coaching to improve pain control among cancer outpatients. J Clin Oncol 2001; 19: 2206-12 9)Ward S, Donovan HS, Owen B, et al. An individualized intervention to overcome patient-related barriers to pain management in women with gynecologic cancers. Res Nurs Health 2000; 23: 393- 405 10)Clotfelter CE. The effect of an educational intervention on decreasing pain intensity in elderly people with cancer. Oncol Nurs Forum 1999; 26: 27-33 11)Yates P, Edwards H, Nash R, et al. A randomized controlled trial of a nurse-administered educational intervention for improving cancer pain management in ambulatory settings. Patient Educ Couns 2004; 53: 227-37 【参考文献】12)Ferrell BR, Grant M, Chan J, Ahn C, et al. The impact of cancer pain education on family caregivers of elderly patients. Oncol Nurs Forum 1995; 22: 1211-8 13)Lin CC. Barriers to the analgesic management of cancer pain: a comparison of attitudes of Taiwanese patients and their family caregivers. Pain 2000; 88: 7-14 *:神経ブロック局所麻酔薬や神経破壊薬、熱などにより神経の伝達機能を一時的・永久的に遮断することによって、または、オピオイドなど鎮痛薬の硬膜外腔・クモ膜下腔への投与によって鎮痛効果を得る手段。(注釈)狭義の神経ブロックは一般的に前者をさし、後者とあわせたものを麻酔科的鎮痛(anesthesiological procedure)と呼ぶことがあるが、本ガイドラインでは、簡便に、両方を合わせて「神経ブロック」と呼ぶ。表2 がん疼痛マネジメントについての患者教育に含まれるべき教育内容 痛みとオピオイドに対する正しい知識以下の誤った認識がないかを確認する。1精神依存になる。2徐々に効果がなくなる。3副作用が強い。4痛みは病気の進行を示す。5注射がこわい。6痛みの治療しても緩和することができない。7痛みを訴えない患者は「良い患者」であり、良い患者でいたい。8医療従事者は痛みの話をすることを好まない。痛みの治療計画と鎮痛薬の具体的な使用方法1患者の痛みの原因2痛み治療の目標3痛みの治療計画(化学療法、薬物療法、神経ブロック*など) 4鎮痛薬の具体的な使用方法・定期的な鎮痛薬の服薬方法・レスキュー・ドーズの使用・副作用の出現と対策(嘔気・嘔吐、便秘、眠気、精神症状)医療従事者への痛みの伝え方1痛みを医療従事者に伝えることの意義2痛みを医療従事者に伝える方法(NRS、痛み日記など) 3疼痛マネジメントがうまくいかなかったときの連絡先非薬物療法と生活の工夫1患者や家族が行っている薬物以外の有効な疼痛緩和方法の確認2疼痛緩和につながる薬物療法以外の方法をみつけて行うように促す(温める、移動の仕方など)。セルフコントロール1自分で痛みを観察し、コントロールするように促す。
p.203
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4 特定の病態による痛みに対する治療 ● がんによる神経障害性疼痛*1に対する有効な治療は何か? 神経障害性疼痛1 関連する臨床疑問 がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、行うべき評価は何か?がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか?がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、ある鎮痛補助薬を増量しても効果がない場合、他の鎮痛補助薬への変更や併用は、行わないことに比較して痛みを緩和するか? 推 奨 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照)。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬*2、コルチコステロイドのうちいずれかを投与する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル)がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、ある鎮痛補助薬*3を増量しても効果がない場合、専門家に相談したうえで、他の鎮痛補助薬への変更や併用を行う。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 42 43 44 45 42 43 44 45 *1:神経障害性疼痛末梢、中枢神経の直接的損傷に伴って発生する痛み。灼熱痛、電撃痛、痛覚過敏、感覚過敏、アロディニアなどを伴うことがある。難治性で鎮痛補助薬の併用を必要とすることが多い。P16 参照。 *2:NMDA受容体拮抗薬興奮性の神経伝達物質としても機能するグルタミン酸が、グルタミン酸受容体の一つであるNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体に結合するのを阻害して鎮痛作用などを発揮する薬剤。P70 参照。 *3:鎮痛補助薬主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物(抗うつ薬、抗けいれん薬、NMDA受容体拮抗薬など)。非オピオイド鎮痛薬やオピオイドだけでは痛みを軽減できない場合に選択される。P66 参照。
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III章推奨 がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 解 説1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価する神経障害性疼痛は、中枢神経系・末梢神経系の障害によって引き起こされる。原因は、1がんによる神経障害性疼痛、2がん治療による神経障害性疼痛、3がん・がん治療と直接関係のない神経障害性疼痛がある。これらは原因によって対処する方法が異なる。本ガイドラインの薬物療法では、「がんによる神経障害性疼痛」を扱う。(1)がんによる神経障害性疼痛脊髄圧迫症候群、腕神経叢浸潤症候群、腰仙部神経叢浸潤症候群、悪性腸腰筋症候群などが含まれる(P14,II-1がん疼痛の分類・機序・症候群の項参照)。薬物療法を行うとともに、外科治療、化学療法、放射線治療の適応について検討する。 臨床疑問42 推 奨*:痛みの包括的評価本ガイドラインでいう「痛みの包括的評価」とは、1痛みの原因の評価と2痛みの評価からなる。痛みの原因の評価とは、身体所見や画像検査から痛みの原因を診断することであり、疼痛治療に加えて原因に対する治療が必要かどうかの判断などに役立てることができる。痛みの評価とは、患者の自覚症状としての痛みの強さや生活への影響、治療効果を評価するものであり、これを行うことで、患者に合わせた疼痛治療を計画することができるようになる。P24 参照。 ●フローチャート ●併用・変更●神経ブロック 抗けいれん薬抗うつ薬NMDA受容体 拮抗薬抗不整脈薬コルチコステロイド ●鎮痛補助薬の副作用や、痛みの病態から鎮痛補助薬を選択する ●原因に応じた対応 ●痛みの包括的評価* (痛みの原因の評価、痛みの評価) ●非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。特に脊髄圧迫症候群が疑われる場合には、疼痛治療のみならず原因の評価と対応を行う。疼痛治療としては非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを投与する。効果が不十分な場合は、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドの中から、副作用と病態から患者に最も適した鎮痛補助薬を選択して投与する。コルチコステロイドは脊髄圧迫症候群など神経への圧迫や炎症による痛みの場合に検討する。1種類の鎮痛補助薬を増量しても十分に効果がない場合には、他の鎮痛補助薬への変更や併用、または神経ブロックの適応について専門家に相談する。
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痛みが脊髄圧迫症候群など神経麻痺の症候であるかを判断する。脊髄圧迫症候群による痛みの場合、下肢麻痺に進展した場合は患者のQOLが大きく損なわれるため、診断精度の高いMRIなどを施行し、早急に放射線治療科・整形外科などの専門家に相談する。(2)がんの治療による神経障害性疼痛化学療法による神経障害性疼痛(ビンアルカロイド系薬剤、タキサン系薬剤で多くみられる)、乳房切除後疼痛・開胸術後疼痛など外科治療による痛みなどがある。(3)がん・がん治療と直接関連のない神経障害性疼痛帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症などが痛みの原因となっていないかを評価する 2)疼痛の評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。 臨床疑問43 推 奨 がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和する。がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究として、がん患者を対象とした質の高い臨床研究はない。オピオイドを中心としたWHO方式がん疼痛治療法の神経障害性疼痛への鎮痛効果を評価した観察研究がある。例えば、Grondら1)は、オピオイドを中心としたWHO方式がん疼痛治療法に基づいた治療は、侵害受容性疼痛*、混合性疼痛、神経障害性疼痛のいずれにおいても、同程度の鎮痛効果が得られたと報告した(入院時と3日後の痛みのNRS(0 〜100):侵害受容性疼痛66 →26 vs 混合性疼痛65 →30 vs 神経障害性疼痛70 →28)。同様に、Mercadanteら2)は、在宅治療において、神経障害性疼痛を含む痛みの多くは、WHO方式がん疼痛治療法で死亡前1週間前まで緩和できたとしている。また、Caraceniら(2004) 3)によるガバペンチンの効果をみた無作為化比較試験では、オピオイドによる治療が対照群として用いられ、痛みの33%低下を有効とした有効率は、投与後10日目に約60%であった。非がん患者の神経障害性疼痛に関するオピオイドの鎮痛効果を評価したEisenberg4)の系統的レビューでは、オピオイドは中等度の鎮痛効果があることが確認されている。 ** *:侵害受容性疼痛体性痛と内臓痛に分類される。末梢神経終末の侵害受容器が、熱や機械的・化学的な刺激によって受けた侵害を電気信号に変換し、脳に伝えることで自覚する痛み。P14 参照。
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III章推奨 以上より、知見は十分ではないものの、がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和すると考えられる。したがって本ガイドラインでは、がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、他の機序によるがん疼痛と同様に、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。 がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬*1、抗うつ薬*2、抗不整脈薬*3、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイド*4は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 推 奨がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドは、痛みを緩和する可能性がある。がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドのうちいずれかを投与する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説鎮痛補助薬としては、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、およびコルチコステロイドなどがある。本臨床疑問に関する臨床研究として、非がん疼痛については、比較的豊富な臨床研究により、期待される鎮痛効果と副作用の程度が明らかにされている(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。一方、がんによる神経障害性疼痛についての知見は限られているが、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドの一部について、無作為化比較試験を含む知見がある。 1)抗けいれん薬(1)ガバペンチン非がん患者の神経障害性疼痛に対して、Wiffen5)の系統的レビューでは、ガバペンチンには、めまい、眠気、頭痛、下痢、混乱、嘔気の副作用があるが、中等度の鎮痛効果があることが確認されている。プラセボは19%、ガバペンチンは42%に有効であり、NNT*5は4.3であった。治療中断はプラセボと有意差はなく(14% vs 10%)、重度ではない副作用のNNH*6は3.7である。一方、がん患者の神経障害性疼痛への有効性に関しては、無作為化比較試験が2 件、前後比較研究が2件ある。Caraceniら(2004) 6)による無作為化比較試験では、オピオイド治療中で神経障害性疼痛のあるがん患者121例を対象に、ガバペンチン600 〜1,800mg/日とオピオイドの併用治療と、オピオイド単独治療の効果を比較したところ、痛みのNRSは、ガバペンチン併用群でより低下した(7.0 → 4.6 vs 7.7→ 5.4, p=0.025)。痛みの33%低下を有効とした有効率は、投与 臨床疑問44 *5:NNT(Number Needed to Treat) 1例の効果を得るためにその治療を何人の患者に用いなければならないかを示す指標。 *6:NNH(Number Needed to Harm)何人の患者を治療すると1例の有害症例が出現するかを示す指標。 *1:抗けいれん薬けいれん(てんかん)発作に用いる薬剤で、鎮痛補助薬としても用いられる。神経の興奮や神経伝達物質を抑制する作用機序により鎮痛効果を発揮する。P69 参照。 *2:抗うつ薬主にうつ症状を緩和する薬剤で、鎮痛補助薬としても用いられる。中枢神経系のセロトニン、ノルアドレナリン再取り込みを阻害し、下行性抑制系を賦活することによって鎮痛効果を発揮する。P66 参照。 *3:抗不整脈薬不整脈の治療に使用する薬剤で、鎮痛補助薬としても用いられる。痛みによる神経の過敏反応を抑制し、また脊髄後角ニューロンの過剰な活動電位を抑制する。P69 参照。 *4:コルチコステロイド副腎皮質ステロイド。骨転移痛、腫瘍による神経圧迫、関節痛、頭蓋内圧亢進、管腔臓器の閉塞などによる痛みに使用される。痛みを感知する部位の浮腫の軽減、ステロイド反応性の腫瘍の縮小などが作用機序と考えられている。P70 参照。
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後1〜5日にガバペンチン群で高かったが(3日目、57% vs 31%)、10日目には差はなくなった(62% vs 64%)。副作用として、眠気(23% vs 9.7%)、立ちくらみ(8.8% vs 0%)、嘔気・嘔吐(6.3% vs 0%)が多かった。治療中断による症状はいずれも約7%に認められ、鎮静、呼吸抑制、血圧低下などであった。ガバペンチンは、オピオイド単独治療と比較してある期間に限って、がんによる神経障害性疼痛をより緩和した。Keskinboraら7)による無作為化比較試験では、オピオイド治療中のがんによる神経障害性疼痛のある患者75 例を対象に、ガバペンチン平均629mg/日(4日目)〜1,287mg/日(13日目)とオピオイドとの併用治療と、オピオイド単独治療の13日間の鎮痛効果を比較したところ、治療4日、13日後にガバペンチン群により強い鎮痛効果が認められた(ベースラインと比較したNRSの変化:灼熱痛:−7.4 vs −5.8,p=0.018;電撃痛:−6.8 vs −4.7, p=0.009)。ガバペンチン併用での副作用は、眠気(13% vs 6.2%)が多かったが、嘔気は少なく(3.2% vs 19%)、めまい(13% vs 13%)は同等であった。呼吸抑制による治療中断はガバペンチン併用群で1例認めた。この他に、前後比較研究では、オピオイド治療中のがんによる神経障害性疼痛患者22例を対象に、ガバペンチン1,004mg(600 〜1,800mg)の併用を行ったところ、NRS が6.4から3.2 に低下した報告(Caraceniら,19998))や、がんによる神経障害性疼痛に対して300 〜1,800mg のガバペンチンとオピオイド併用が45%に有効(痛みの程度がBrief Pain Inventoryで33%以上低下)であったという報告(Rossら9))などがある。(2)ガバペンチン以外の抗けいれん薬ガバペンチン以外の抗けいれん薬については、非がん患者での鎮痛効果は中等度であることが示されている。非がん患者の神経障害性疼痛を主としたFinnerup10)の系統的レビューでは、50%以上の痛みの改善を有効とし定義した場合のNNTはカルバマゼピン2.0、フェニトイン2.1、バルプロ酸2.8などであり、抗けいれん薬全体で4.2であった。副作用による治療中断のNNHは11である(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。一方、がん患者では質の高い臨床研究はほとんどなく、フェニトイン、バルプロ酸、クロナゼパムについて少数の研究があるにすぎない。Yajnikら11)の無作為化比較試験では、がん疼痛患者75 例を対象とし、ブプレノルフィン単独0.4mg/日、フェニトイン単独200mg/日、ブプレノルフィン0.2mg/日とフェニトイン100mg/日併用を比較したところ、50%以上の程度で痛みが改善した比率に差はなかった(84% vs 72% vs 88%)。フェニトイン単独群での副作用は頭痛とめまいがそれぞれ1例に、併用群では副作用は観察されなかった。Hardyら12)による無作為化比較試験では、WHO方式がん疼痛治療法でオピオイドを使用しても痛みの改善がみられない神経障害性疼痛患者25 例を対象に、バルプロ酸400 〜1200mg/日併用の効果をみたところ15日後の有効率は、1Brief Pain Inventory(BPI)による痛みを4 段階に分け、「痛みなし」、「少し痛い(1〜4)」、「やや痛い(5〜7)」、「ひどく痛い(8〜10)」に分類し1段階以上軽快したのは56%、2NRSで平均の痛みが絶対値1以上低下したのは67%、3痛みの低下の程度を%で問い50%以上の低下がみられたのは28%だった。1例が振戦のために中止、5 例が病状の悪化のために中止した。副作用は眠気(8日目30%、15日目47%)が最も多く、次いで、ふらつき(8日目10%、15日目41%)、食欲不振(8日目25%、15日目25%)であった。Hugel13)らによる前後比較研究では、オピオイドにより鎮痛効果が十分でない神経障害性疼痛のがん患者10 例を対象に、クロナゼパム0.5 〜2mg(5日後平均1mg)の併用投与の効
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III章推奨 果をみたところ、5 例から評価が得られ、4 段階痛みの評価方法(0 〜3)で、治療前平均3から治療後1に低下した。3例は痛みの悪化、2例は眠気の悪化のために試験を中止した。 ** 以上より、ガバペンチンは、がんによる神経障害性疼痛に対して、中等度痛みを緩和すると考えられる。ガバペンチン以外の抗けいれん薬は、がんによる神経障害性疼痛に対して、痛みを緩和する根拠は不十分であるが、非がん患者の神経障害性疼痛での知見と臨床経験から有効な可能性がある。 2)抗うつ薬(1)三環系抗うつ薬*非がん患者の神経障害性疼痛の系統的レビューでは、アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬は、副作用として眠気、口渇、霧視、便秘、排尿障害が観察されるが、非がん患者の神経障害性疼痛に対して中等度の鎮痛効果があることが確認されている。Saartoら14)のレビューでは、「中等度の鎮痛効果」を有効と定義した場合のNNTは3.6であり、治療中断のNNHは28、重篤でない副作用のNNHは6である(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。一方、がん患者の神経障害性疼痛の有効性に関する知見は限られており、これまでに無作為化比較試験が1件あるのみである。Mercadanteら15)による無作為化クロスオーバー比較試験では、比較的全身状態の良いがんによる神経障害性疼痛でモルヒネ投与中の患者16 例を対象に、アミトリプチリン25mg 3日間に続き50mg 4日間とプラセボとを比較したところ、平均の痛みの強さ(NRS 5.5 →4.7 vs 5.4,p 値記載なし)や、痛みの最小値、痛みの緩和は変わらなかった。NRSでの痛みの最大値はアミトリプチリンのほうが少なくなった(8.4→7.0 vs 7.9, p=0.035)。しかし、副作用はアミトリプチリンのほうが多く、眠気(1→1.6 vs 0.8, p=0.036)、混乱(0.06 →0.6 vs 0.06, p=0.003)、口渇(1.1→1.8 vs 1.3, p=0.034)が観察された。以上より、がん患者におけるアミトリプチリンの効果は少なく、慎重に投与するべきであると結論した。(2)その他の抗うつ薬三環系抗うつ薬以外の抗うつ薬として、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor;SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin noradrenalin reuptake inhibitor;SNRI)は、非がん患者の神経障害性疼痛ではある程度の鎮痛効果があることが確認されている。非がん患者の神経障害性疼痛を主としたSaartoら14)の系統的レビューでは、「中等度の鎮痛効果」を有効とし定義した場合のNNTは3.1であり、治療中断のNNHは16、重篤でない副作用のNNHは9.6であった(P66, II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。一方、がん患者の神経障害性疼痛に対するこれらの抗うつ薬の有効性に関する知見は無作為化比較試験、前後比較研究ともにない。 ** 以上より、抗うつ薬については、がん患者における有効性の根拠は不十分であるが、非がん患者の神経障害性疼痛での知見と臨床経験から、がんによる神経障害性疼痛を緩和する可能性があると考えられる。 3)抗不整脈薬リドカインなどの抗不整脈薬は、非がんの神経障害性疼痛では軽度の鎮痛効果があるこ*:三環系抗うつ薬従来から使われてきた抗うつ薬の一種。中枢神経系のセロトニン、ノルアドレナリン再取り込みを阻害し、下行性抑制系を賦活することによって鎮痛効果を発揮する(代表的な薬剤としてアミトリプチリンなど)。
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とが確認され、副作用として眠気、倦怠感、嘔気、末梢のしびれ感、金属味がある。非がん患者の神経障害性疼痛を主としたChallapalliら16)の系統的レビューでは、治療前後でのVAS*の減少の平均値が−11mmであり、副作用のOdds 比は4.2(32% vs 12%;めまいがリドカインで30%、メキシレチン16%、嘔気がメキシレチンで17%)であった(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。一方、がんによる神経障害性疼痛への有効性に関する臨床試験としては、無作為化比較試験が3件、前後比較研究が2件ある。Ellemannら17)による無作為化比較試験では、10 例のがんによる神経障害疼痛のある患者を対象に、5mg/kgのリドカインとプラセボを30 分間で投与することを1週間継続した効果を比較したところ、有効率(痛みのVASが15mm以上の減少と定義)は、リドカイン群で20% (2例)、プラセボで30%(3 例)であり、リドカインはプラセボより有効であるとはいえなかった。また、Brueraら18)による無作為化比較試験では、オピオイドによる鎮痛効果が不十分ながんによる神経障害性疼痛のある患者10 例を対象に、5mg/kgのリドカインとプラセボの30 分単回投与を比較したところ、痛みのVASは2日後まで有意差はなかった。重篤な副作用も観察されなかった。一方、Sharmaら19)による無作為化比較試験では、オピオイドによる鎮痛効果が不十分ながん疼痛のある患者50 例(混合性疼痛52%、侵害受容性疼痛30%、神経障害性疼痛18%)を対象に、リドカイン4mg/kg(2mg/kgボーラス後2mg/kgを1時間かけて投与)とプラセボを比較したところ、痛みのNRSはリドカイン投与後に有意に減少し(投与前8.5、8.7から、それぞれ、投与後−6.3 vs −2.3,p<0.0001)、50%以上痛みの改善の自覚がみられたのは、リドカイン群82%に対しプラセボ群16%であった(p=0.0001)。減少したNRS 値の半分が再び増加する時間はリドカイン群で9.3日に対し、プラセボ群は3.8日であった。リドカイン群の副作用として口周囲の感覚低下(14%)、耳鳴り(8%)がプラセボ群より多く観察された。この他に、フレカイニド100 〜200mgの効果をみた前後比較研究では、NRSで最大の痛みの強さが3点以上、あるいは50%以上の程度が減少することを有効と定義すると、30%の患者で有効であった(von Guntenら20))。副作用は軽度の白血球減少症が観察された。 ** 以上より、抗不整脈薬については、がんによる神経障害性疼痛に対して有効であるとするものと効果がないとするものとがあり、有効性は明らかではない。非がん患者の神経障害性疼痛での知見から、抗不整脈薬はがんによる神経障害性疼痛を緩和する可能性がある。 4)NMDA 受容体拮抗薬NMDA受容体拮抗薬には、ケタミン、アマンタジン、デキストロメトルファン、イフェンプロジルなどがある。このうち、ケタミンには、がんによる神経障害性疼痛について有効なある程度の根拠がある(P135,臨床疑問18 参照)。 5)コルチコステロイドコルチコステロイドが神経障害性疼痛について有効であることを示す質の高い臨床試験はない。脊髄圧迫症候群など神経への圧迫や炎症による痛みの場合に有効であることが経験的に示唆されている(P136,臨床疑問19 参照)。 ** 以上より、がんによる神経障害性疼痛に対して、ガバペンチンとケタミンはがん患者を対象 *:VAS(visual analogue scale) 100mmの線の左端を「痛みなし」、右端を「最悪の痛み」とした場合、患者の痛みの程度を表すところに印を付けてもらうもの。P26 参照。
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III章推奨 とした臨床試験により中等度の鎮痛効果があることが示唆されている。ガバペンチン以外の抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、ケタミン以外のNMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドに関しては、十分な知見がないが、非がん患者での知見や臨床経験から、がんによる神経障害性疼痛を緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、がんによる神経障害性疼痛に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドのうちいずれかを使用することを推奨する。どの薬物が他の薬物に比較して鎮痛効果が優れるという十分な根拠はないため、薬物の選択は、薬物の副作用、および、痛みを生じている病態から選択する。すなわち、副作用を含む薬物の効果が、患者にとって好ましいものを優先して選択する。例えば、不眠がある場合には鎮静作用のあるものを優先する、便秘がある場合には抗コリン作用の少ないものを優先する(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。病態としては、コルチコステロイドは、脊髄圧迫症候群など神経への圧迫や炎症による痛みの場合に検討する(P136,臨床疑問19 参照)。いずれの薬物も少量で開始して、眠気などの副作用が出ない範囲で、3〜5日ごとに増量する。増量の条件として、1痛みがある程度緩和しており、増量により鎮痛効果が得られると考えられる、2許容できる範囲の副作用である、3使用量が一般的な用量の上限に達していないことを目安とする。 がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、ある鎮痛補助薬を増量しても効果がない場合、他の鎮痛補助薬への変更や併用は、行わないことに比較して痛みを緩和するか? がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、ある鎮痛補助薬を増量しても効果がない場合、他の鎮痛補助薬への変更や併用が痛みを緩和するかについて十分な根拠がない。がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、ある鎮痛補助薬を増量しても効果がない場合、専門家に相談したうえで、他の鎮痛補助薬への変更や併用を行う。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関する臨床研究として、がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して鎮痛補助薬の変更や併用を検討した報告はなく、非がん患者の神経障害性疼痛においても、鎮痛補助薬の変更や併用を検討した質の高い臨床試験は限られている(Gilsonら21))。 ** 以上より、がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、鎮痛補助薬を増量しても十分に効果がない場合に、他の鎮痛補助薬への変更や併用が痛みを緩和するか、また、どのような方法で変更・併用するかについては、十分な根拠がないと考えられる。 臨床疑問45 推 奨
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したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、がんによる神経障害性疼痛に対して、1種類の鎮痛補助薬を増量しても十分に効果がない場合は、専門家に相談したうえで、他の鎮痛補助薬への変更や併用を行うことを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、抗うつ薬 および/または 抗けいれん薬を第一選択とし、副作用が許容でき効果が得られるまで、常用投与量の範囲内(アミトリプチリンで50〜150mg、ガバペンチンで900〜3,600mg)で増量することを推奨している。脊髄圧迫症候群が疑われる場合には、迅速に専門家へ紹介することと、コルチコステロイドを投与することを推奨している。ESMOのガイドラインでは、オピオイドと抗うつ薬、抗けいれん薬の併用を推奨している。神経への圧迫による痛みの場合はコルチコステロイドの使用を推奨している。EAPCのガイドライン(2001a)では、オピオイドと抗うつ薬、抗けいれん薬を併用することを推奨している。脊髄圧迫症候群にはコルチコステロイド、放射線治療、化学療法を検討することを推奨している。ACCPのガイドラインでは、鎮痛補助薬(三環系抗うつ薬、抗けいれん薬)を使用し、無効な場合は専門家へ相談することを推奨している。新しく生じた腰背部痛に対しては、MRIで脊髄圧迫症候群の有無を精査し、放射線治療科、脊髄外科などの専門家へ迅速に相談することを推奨している。 (瀧川千鶴子) 【文 献】臨床疑問43 1)Grond S, Radbruch L, Meuser T, et al. Assessment and treatment of neuropathic cancer pain following WHO guidelines. Pain 1999; 79: 15-20 2)Mercadante S. Pain treatment and outcomes for patients with advanced cancer who receive follow-up care at home. Cancer 1999; 85: 1849-58 3)Caraceni A, Zecca E, Bonezzi C, et al. Gabapentin for neuropathic cancer pain: a randomized controlled trial from the gabapentin cancer pain study group. J Clin Oncol 2004; 22: 2909-17 4)Eisenberg E, Mcnicol E, Carr DB. Opioid for neuropathic pain. Cochrane Database Syst Rev 2008; 2 臨床疑問44 5)Wiffen PJ, McQuay HJ, Moore RA, et al. Gabapentin for acute and chronic pain(Review). Cochrane Database Syst Rev 2008; 4 6)Caraceni A, Zecca E, Bonezzi C, et al. Gabapentin for neuropathic cancer pain: a randomized controlled trial from the gabapentin cancer pain study group. J Clin Oncol 2004; 22: 2909-17 7)Keskinbora K, Pekel AF, Aydinli I, et al. Gabapentin and an opioid combimation versus opioid alone for the management of neuropathic cancer pain: a randomized open trial. J Pain Sym Manage 2007; 34: 183-9 8) Caraceni A, Zecca E, Martini C, et al. Gabapentin as an adjuvant to opioid analgesia for neuropathic cancer pain. J Pain Sym Manage 1999; 17: 441-5 9)Ross JR, Goller K, Hardy J, et al. Gabapentin is effective in the treatment of cancer-related neuropathic pain: a prospective, open-label study. J Palliat Med 2005; 8: 1118-26 10)Finnerup NB, Otto M, Mcuay, et al. Algorithm for neuropathic pain treatment: a evedence based proposal. Pain 2005; 118: 289-305 11)Yajnik S, Singh GP, Singh G, Kumar M. Phenytoin as a coanalgesic in cancer pain. J Pain Symptom Manage 1992; 7: 209-13 12)Hardy JR, Rees EAJ, Gwilliam B, Ling J. A phase II study to establish the efficacy and toxicity of sodium valproate in patients with cancer-related neuropathic pain. J Pain Symptom Manage 2001; 21: 204-9 13)Hugel H, Ellershaw JE, Dickman A. Clonazepam as an adjuvant analgesic in patients with cancerrelated neuropathic pain. J Pain Symptom Manage 2003; 26: 1073-4
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III章推奨 14)Saarto T, Wiffen PJ. Antidepressants for neuropathic pain. Cochrane Database Syst Rev 2008; 2 15)Mercadante S, Arcuri E, Tirelli W. Amitriptyline in neuropathic cancer pain in patients on morphine therapy: a randomized placebo-controlled,double-blind crossover study. Tumori 2002; 88: 239-42 16)Challapalli V, Tremont-Lukats IW, McNicol et al. Systemic administration of local anesthetic agents to relieve pain. Cochrane Database Syst Rev 2005; 4 17)Ellemann K, Sjogren P, Banning AM, et al. Trial of intravenous lidocaine on painful neuropathy in cancer patients. Clin J Pain 1989; 5: 291-4 18)Bruera E, Ripamonti C, Brenneis C, et al. A randomized double-blind crossover trial of intravenous lidocaine in the treatmentof neuropathic cancer pain. J Pain Symptom Manage 1992; 7: 138-40 19)Sharma S, Rajagopal MR, Palat G, et al. A phase II pilot study to evaluate use of intravenous lidocaine for opioid-refractory pain in cancer patients. J Pain Symptom Manage 2009 ; 37 : 85-93 20)von Gunten CF, Eappen S, Cleary JF, et al. Flecainide for the treatment of chronic neuropathic pain: a Phase II trial. Palliat Med 2007; 21: 667-72 臨床疑問45 21)Gilron I, Bailey JM, Tu D, et al. Nortriptyline and gabapentin, alone and in combination for neuropathic pain: a double-blind, randomised controlled crossover trial. Lancet 2009; 374(9697): 1252-61
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骨転移による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か?骨転移による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?骨転移による痛みのあるがん患者に対して、ビスホスホネートは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。骨転移による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照)。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)骨転移による痛みのあるがん患者に対して、予測される生命予後を検討したうえで鎮痛効果を目的としてビスホスホネートを投与する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) ● 骨転移による痛みに対する有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 46 47 48 46 47 48骨転移による痛み2 ●フローチャート ●ビスホスホネート●神経ブロック ●非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(P104,IIIー1共通する疼痛治療の項参照) ●原因に応じた対応・外科治療 ・化学療法・放射線治療 ± ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを投与する。予測される生命予後を検討したうえでビスホスホネートを投与する。神経ブロックの適応について専門家に相談する。
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III章推奨 骨転移による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価する痛みの原因として、がんによる痛み以外の可能性も含めて評価する。骨転移であれば、病変の部位、進展範囲(周囲の神経、血管、筋肉との関係)、単発性か多発性かなどの評価が必要である。画像検査は単純X 線写真が基本となるが、脊椎であればMRI、骨盤骨であればCTを追加することでより詳細な評価が期待できる。さらに、骨シンチグラフィを加えることにより正確な診断が可能となり、全身の多発転移の有無も確認できる。骨転移による骨折は患者の身体機能とQOLを著しく障害することになるため、骨折あるいは切迫骨折の有無を評価する。特に、荷重のかかる大腿骨、臼蓋、脛骨、椎体、上腕骨などへの転移の場合には、外科治療も検討する。骨転移を正確に評価することは、非薬物療法である放射線治療、放射性同位元素(Sr)、経皮的椎体形成術、神経ブロック*1などの適応を検討する際に必要である(P83,II-8 薬物療法以外の疼痛治療法の項参照)。 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛*2 か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状(神経障害性疼痛の混在など)、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。特に痛みが持続痛なのか突出痛なのか評価し、神経障害性疼痛の要素があるかを評価する。さらに増悪因子・軽快因子を評価する。これにより生活の仕方、コルセットや杖などの補助具を使うなど、患者の苦痛を増悪させる要因を避け、軽快させる要因を生活に取り入れることができる。 臨床疑問46 推 奨 骨転移による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 骨転移による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和する。骨転移による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 臨床疑問47 推 奨 解 説 *1:神経ブロック局所麻酔薬や神経破壊薬、熱などにより神経の伝達機能を一時的・永久的に遮断することによって、または、オピオイドなど鎮痛薬の硬膜外腔・クモ膜下腔への投与によって鎮痛効果を得る手段。(注釈)狭義の神経ブロックは一般的に前者をさし、後者とあわせたものを麻酔科的鎮痛(anesthesiological procedure)と呼ぶことがあるが、本ガイドラインでは、簡便に、両方を合わせて「神経ブロック」と呼ぶ。 *2:突出痛(breakthrough pain)持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強。P18 参照。
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骨転移による痛みのあるがん患者に対して、ビスホスホネートは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 骨転移による痛みのあるがん患者に対して、ビスホスホネートは、投与後4〜12 週では鎮痛効果がある。投与後4 週以内では鎮痛効果があるという根拠はない。骨転移による痛みのあるがん患者に対して、予測される生命予後を検討したうえで鎮痛を目的としてビスホスホネートを投与する。 2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に対する臨床研究としては、無作為化比較試験30 件を含む系統的レビューがある(Petcuら1))。(1)投与後4〜12 週の効果ビスホスホネート投与後4 週から12 週での有効率については8 件で検討されている。有効の定義は、それぞれの研究で16点のスコア方式において、2 回以上連続して1点以上減少あるいは1回の測定で2点以上減少、20 〜5 段階のスコア方式において、2 回以上連続してスコアが20%以上減少、3無痛になった場合などと異なっている。これらを原著の定義のまま「有効」とした場合、4 週において有効であった患者数は、ビスホスホネート治療群214例中40 例(18%)、対照群194例中18例(9%)で、NNT11(95%信頼区間:6 〜36)であった。一方、12 週においては、ビスホスホネート治療群317例中103 例(32%)、対照群317例中55 例(17%)で、NNTは7(95%信頼区間:5 〜12)であった。副作用は、治療群の16%、対照群の15%に嘔気・嘔吐を認めたが有意差はなかった。副作用による治療中断は、治療群の6%、対照群の0.6%に生じ、治療中止を要するような有害事象に関するNNHは16(95%信頼区間:12 〜27)であった。(2)投与後4週以内の効果投与後4 週以内の鎮痛効果に関する臨床研究としては、無作為化比較試験、前後比較研究はなく、pamidronate 投与後6日目に鎮痛効果を得たという症例報告がある程度である(Eugenら)。 臨床疑問48 推 奨 解 説本臨床疑問に関する無作為化比較試験、前後比較研究はともにないが、骨転移による痛みを含むがん疼痛に対するWHO方式がん疼痛治療法の有用性を示した複数の観察研究がある(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。 ** 以上より、骨転移による痛みに対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は有効であると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、骨転移による痛みに対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。
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III章推奨 ** 以上より、骨転移による痛みのあるがん患者において、ビスホスホネートは、投与後4〜12週では中等度の鎮痛効果があるが、投与後4 週以内に鎮痛効果があるという根拠はない。また、これらは現在痛みのある患者に対しての鎮痛効果の目的で用いられたものではない。したがって、本ガイドラインでは、骨転移による痛みに対して、予測される生命予後を検討したうえで鎮痛を目的としてビスホスホネートを投与することを推奨する。すなわち、投与後4〜12 週の鎮痛効果を期待する場合には投与を行う。一方、投与後4 週以内の鎮痛効果に関するエビデンスは確立されていないため、「現在の痛み」を緩和するためにはビスホスホネート以外の疼痛治療を十分に行うことが必要である。 NCCNのガイドラインでは、NSAIDsは脊髄圧迫のない骨転移による痛みに対して推奨されており、ビスホスホネート、コルチコステロイドは多発性骨転移による痛みに対して推奨されている。ACCPのガイドラインでは、骨転移による痛みのある肺がん患者に対して、放射線治療とビスホスホネートの併用を推奨している。EAPCのガイドラインでは、十分なエビデンスはないとしながらも骨転移による痛みに対してNSAIDsおよびコルチコステロイドの投与を推奨している。 (大坂 巌) 既存のガイドラインとの整合性 【文 献】 1)Petcu EB, Schug SA, Smith H. Bisphosphonates for the relief of pain secondary to bone metastases. Cochrane Database Syst Rev 2002; Issue 2: CD002068 【参考文献】 2)Eugen B, Stephan A. Clinical evaluation of onset of analgesia using intravenous pamidronate in metastatic bone pain. J Pain Symptom Manage 2002; 24: 281-4 3)Yuen KY, Shelley M, Sze WM, et al. Bisphosphonates for advanced prostate cancer. Cochrane Database Syst Rev 2006; Issue 4: CD006250 4)Pavlakis N, Schmidt RL, Stockler MR. Bisphosphonates for breast cancer. Cochrane Database Syst Rev 2005; Issue 3: CD003474 5)Djulbegovic B, Wheatley K, Ross J, et al. Bisphosphonates in multiple myeloma. Cochrane Database Syst Rev 2002; Issue 4: CD003188
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膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、行うべき評価は何か?膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照)。1B(強い推奨、低いエビデンスレベル)膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックを行う。 (弱い推奨、高いエビデンスレベル) ● 膵臓がんなどによる上腹部の痛みに対する有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 49 50 51 49 50 51膵臓がんなどによる上腹部の痛み3 2A ●フローチャート ●神経ブロック・腹腔神経叢ブロック・その他の神経ブロック●鎮痛補助薬± ●非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照) ●原因に応じた対応 ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを投与する。腹腔神経叢ブロックによって痛みが緩和する可能性があるため、神経ブロックの適応についてなるべく早い時期に専門家に相談する。病態に合わせて鎮痛補助薬を使用する。
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III章推奨 膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価する痛みの原因として、がんによる痛み以外の可能性も含めて評価する。身体所見、画像検査(単純X 線、CT、MRIなど)から、原因となる病態の評価を行う。がん以外の原因として、胃十二指腸潰瘍、胆のう炎、膵炎などが考えられる場合には、原因の治療を検討する。がんによる痛みの場合、がんに対する治療(化学療法、放射線治療など)の適応を検討する。腹腔神経叢ブロックの施行を検討する場合には、腹腔神経叢周囲の腫瘍浸潤の程度が問題となる。鎮痛効果を確実に得るためには、腹腔神経叢周囲に適度なスペースがある時期に神経ブロックを行うことが望ましいため、CT 検査などにより、後腹膜腔が腫瘍の腫大により充満されていないかを確認する。 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。さらに、鎮痛薬以外の鎮痛手段(神経ブロックなど)を患者が希望するかどうかを確認する。 臨床疑問49 推 奨 膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和する。膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関連した臨床研究として、膵臓がんなどによる上腹部の痛みに限定して非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療の効果を評価した無作為化比較試験、前後比較研究はない。膵臓がんなどによる上腹部の痛みを含むがん疼痛に対して、WHO方式がん疼痛治療法が有用であることが複数の観察研究で示唆されている(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。 臨床疑問50 推 奨 解 説
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膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックは、痛みを緩和する。膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックを行う。 (弱い推奨、高いエビデンスレベル) [腹腔神経叢ブロック] (P88,II-8-2-2 1腹腔神経叢、内臓神経ブロックの項参照)本臨床疑問に対する臨床研究としては、膵臓がんによる痛みに対して腹腔神経叢ブロック*と薬物療法の鎮痛効果を比較した無作為化比較試験5件を含む系統的レビュー1件(Yanら1))と、系統的レビューの作成後に出版された無作為化比較試験1件がある(Zhangら2))。Yanら1)の系統的レビューでは、対象患者は302例でブロック前の痛みのVASは5.0であった。腹腔神経叢ブロックを受けた患者群では、薬物療法を受けた患者群に比較して、痛みのVASの差は、2 週間後で−0.3、4 週間後で−0.5、8週間後で−0.6(各群の数値の記載なし)であった。オピオイド使用量は治療前30mgであったが、薬物療法単独の場合と比較して、2 週目で40mg、4週目で54mg、8週目で80mgと、使用量が少なかった。便秘の発現率が低かったが(オッズ比, 0.7)、その他の副作用(低血圧、嘔気・嘔吐、下痢、眠気)に有意差は認められず、生存率にも有意差は認められなかった。QOLに関しては、それぞれの研究で異なる評価方法を用いていたために、共通して評価できなかった。著者らは腹腔神経叢ブロックには中等度の鎮痛効果があると結論した。 ** 以上より、腹腔神経叢ブロックは、膵臓がんなどによる上腹部の痛みを中等度緩和するとともに、オピオイド使用量を低下させることにより便秘を軽減する可能性があると考えられる。このほかに膵臓がんなどによる上腹部痛に対して有効と考えられる神経ブロックとして、硬膜外腔またはくも膜下腔へのオピオイドや局所麻酔薬の持続投与がある。したがって、本ガイドラインでは、膵臓がんなどによる上腹部の痛みに対して、腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックの適応についてなるべく早い時期に専門家に相談することを推奨する。「なるべく早い時期に」とした理由は、以下のとおりである。1腹腔神経叢ブロックが有効に行われるためには、腹腔神経叢周囲にアルコールを注入するための適度なスペースがある 臨床疑問51 推 奨 解 説** 以上より、膵臓がんなどによる上腹部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、膵臓がんなどによる上腹部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。 2A *:腹腔神経叢ブロック神経ブロックの一つ。胃、小腸、肝臓、胆嚢、胆道、すい臓、脾臓、腎臓などの上腹部内臓痛に適応。横隔膜脚を越えて腹腔神経叢まで針を進め局所麻酔薬や神経破壊薬を注入する。P88 参照。
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III章推奨 【文 献】 1)Yan BM, Myers RP. Neurolytic celiac plexus block for pain control in unresectable pancreatic cancer. Am J Gastroenterol 2007; 102: 430-8 2)Zhang CL, Zhang TJ, Guo YN, et al. Effect of neurolytic celiac plexus block guided by computerized tomography on pancreatic cancer pain. Dig Dis Sci 2008; 53: 856-60 注:以下の文献はYanらの系統的レビューの対象となっているため個々に検討を行わなかった。 ・Mercadante S. Celiac plexus block versus analgesics in pancreatic cancer pain. Pain 52 1993; 187-92・Lillemoe KD, Cameron JL, Kaufman HS, et al. Chemical splanchnicectomy in patients with unresectable pancreatic cancer. A prospective randomized trial. Ann Surg 1993; 217: 447-57・Kawamata M, Ishitani K, Ishikawa K, et al. Comparison between celiac plexus block and morphine treatment on quality of life in patients with pancreatic cancer pain. Pain 1996; 64: 597-602・Polati E, Finco G, Gottin L, et al. Prospective randomized double blind trial of neurolytic coeliac plexus block in patients with pancreatic cancer. Br J Surg 1998; 85: 199-201・Wong GY, Schroeder DR, Carns PE, et al. Effect of neurolytic celiac plexus block on pain relief, quality of life, and survival in patients with unresectable pancreatic cancer. A randomized controlled trial. JAMA 2004; 291: 1092-9 時期に行うことが望ましい、2ブロック後に一過性に腸蠕動が亢進するため、蠕動痛が問題となる腸閉塞の症状が合併する前に施行することが望ましい、3膵臓がんの痛みの発現機序は、膵管や間質の内圧上昇、血管内圧の上昇と虚血、侵害受容器を刺激するさまざまな化学物質による末梢感覚神経の感作と考えられている。したがって、痛みを長期間体験することで、末梢、脊髄、中枢へと感作され、痛み閾値が低下する可能性が示唆されているため、早期に行う方が鎮痛効果を期待できる。4腹水の著しい貯留や刺入部位に椎体転移があるとブロック処置を行うこと自体が困難になる。 既存のガイドラインとの整合性NCCNによるガイドラインでは、腹腔神経叢ブロックを推奨している。 (山口敬介,井関雅子)
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胸部の痛み4 ● 胸部の痛みに対する有効な治療は何か? 胸部の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か?胸部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。胸部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照)。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックを行う。 (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 関連する臨床疑問 推 奨 52 53 54 52 53 54 2C ●フローチャート ●神経ブロック●鎮痛補助薬± ●非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照) ●原因に応じた対応 ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを投与する。硬膜外ブロック、肋間神経ブロック、神経根ブロック、くも膜下フェノールブロックなどの神経ブロックが有効な場合があるので専門家に相談する。病態に合わせて鎮痛補助薬を使用する。
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III章推奨 胸部の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 解 説1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価する痛みの原因として、がんによる痛み以外の可能性も含めて検討する。身体所見、画像検査(単純X 線、CT、MRI、骨シンチグラフィ、超音波など)から、原因となる病態の評価を行う。特に脊髄圧迫症候群を来す病変があるかどうかに注意する。 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。特に体性痛(骨転移、皮膚転移など)か、内臓痛(胸膜浸潤、胸水など)か神経性障害性疼痛かを評価する。がん疼痛以外の原因(心疾患、肺塞栓、帯状疱疹、胸膜炎、気胸、胃十二指腸潰瘍など)が考えられる場合には原因の治療を検討する。 臨床疑問52 推 奨 胸部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 胸部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和する。胸部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に対する無作為化比較試験、前後比較研究はない。胸部の痛みを含むがん疼痛に対するWHO方式がん疼痛治療法の有用性を示した複数の観察研究がある(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。 ** 以上より、胸部の痛みに対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、胸部の痛みに対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。 解 説 臨床疑問53 推 奨
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胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和する場合がある。胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックを行う。 (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に関する無作為化比較試験、前後比較研究はない。本邦の7つの緩和ケア病棟と5つの緩和ケアチームを対象とした多施設研究では、紹介された3,553 例の患者のうち136 例(3.8%)が神経ブロックを受けており、痛み、performance statusの改善がみられ、生命予後が28日以上の患者で、より効果が認められた。そのうち12%が胸部の痛みに関するものであった(Teiら)。 ** 以上より、十分な知見はないが、胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは薬物療法に比較して痛みを緩和する場合があると考えられる。本ガイドラインでは、専門家の合意により、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療の効果が不十分な場合、痛みが胸部に限局している場合には、神経ブロックなどによる疼痛緩和が可能か専門家に相談することを推奨する。推奨される神経ブロックには、硬膜外ブロック、肋間神経ブロック、神経根ブロック*1、くも膜下フェノールブロックがあるが、どのブロックが適しているかは専門家に相談する。一般的には、肋間神経ブロック、高周波熱凝固は1神経根毎に針の刺入が必要であるため限局された範囲の痛みに、くも膜下フェノールブロック*2は、2−3 神経分節の痛みに用いられる。硬膜外ブロックは複数分節にまたがる痛みに用いられる。これらの対応で鎮痛効果が不良の場合や、鎮痛効果は得られていても眠気などの許容できない副作用が生じている場合は、硬膜外・くも膜下腔内への持続オピオイド投与、局所麻酔薬の併用を検討する。いずれの手技においても、ブロック針の刺入部位に感染巣がある場合、出血傾向および凝固異常、ショック状態、患者の同意が得られない場合、全身状態が著しく悪化している場合は禁忌となる。したがって、神経ブロックの効果を十分に活かすためには、適切な施行時期に行うことが重要であり、胸部の限局した痛みを訴える患者は、早期に専門家に相談することが望ましい。 NCCNのガイドラインでは、胸壁に限局した痛みに対して硬膜外ブロックや肋間神経ブロックを、体幹に分布しているような痛みに対して硬膜外またはくも膜下腔へのオピオイドの持続投与を推奨している。 (八戸すず、井関雅子) 2C 解 説 既存のガイドラインとの整合性 臨床疑問54 推 奨 *1:神経根ブロック神経ブロックの一つ。神経根に局所麻酔薬やステロイドを注入し、その神経根が支配している領域の痛みを緩和する治療法。現在では高周波熱凝固装置を用いた熱凝固法が一般的。P92 参照。 *2:くも膜下フェノールブロック神経ブロックの一つ。くも膜下腔に神経破壊薬のフェノールを注入する治療法。肛門や会陰部の除痛に有効。通常の局所麻酔薬を使用する神経ブロックより効果の持続期間が長い。
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III章推奨 【参考文献】 1)Tei Y, Morita T, Nakaho T, et al. Treatment efficacy of neural blockade in specialized palliative care services in Japan: a multicenter audit survey. J Pain Symptom Manage 2008; 36: 461-7
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直腸がんなどによる会陰部の痛み*のある患者に対して、行うべき評価は何か?直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照)。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、サドルブロック、上下腹神経叢ブロックなどの神経ブロックを行う。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) ● 直腸がんなどによる会陰部の痛みに対する有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 55 56 57 55 56 57直腸がんなどによる会陰部の痛み5 *:会陰部の痛み骨盤内臓器の内臓知覚は、腹膜内臓器では交感神経線維を求心性に入力。胸腰脊髄神経節に入り、腹膜外臓器では副交感神経線維に混じり、第2から第4仙骨神経の脊髄神経節に入る。会陰部の知覚は、陰部神経(S2-4)など体性神経の支配を受ける。 ●フローチャート ●神経ブロック・サドルブロック・その他の神経ブロック●鎮痛補助薬± ●非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照) ●原因に応じた対応 ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを投与する。尿路変更・人工肛門などすでに排尿・排便機能が廃絶している場合にはサドルブロックによって鎮痛効果を得ることができる可能性があるので専門家に相談する。このほか、その他の神経ブロック(上下腹神経叢ブロックなど)の適応について専門家に相談する。病態に合わせて鎮痛補助薬を使用する。
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III章推奨 直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 解 説1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価する痛みの原因として、がんによる痛み以外の可能性も含め評価する。局所の感染、出血、骨盤内の骨転移、腫瘍の局所再発の有無を検索する。原因に応じて、抗菌薬、放射線治療、化学療法などが疼痛緩和に有効なことがある。神経ブロックを行う場合には、排尿・排便機能が維持されているかどうかによって選択する方法が異なるため、現在と将来予測される排尿・排便機能を把握しておくことが望ましい。 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。また鎮痛薬以外の鎮痛手段(神経ブロックなど)を患者が希望するかどうかを確認するさらに、増悪因子・軽快因子を評価する。坐位をとると増悪する場合は、環境調整で改善する場合がある。排便時に増悪する場合は、下剤による排便調整で改善する場合がある。直腸腫瘍に対するマイルズ術後の旧肛門部における灼熱痛(burning pain)、アロディニアや異常感覚を伴うなど、体性痛、神経障害性疼痛の要素が大きいと判断される場合は、サドルブロックが有効な場合がある。入浴して温まると痛みが減弱するなど、交感神経の関与の要素が大きいと判断される場合は、上下腹神経叢ブロック・不対神経節ブロックのような交感神経ブロックの効果がある場合がある。 臨床疑問55 推 奨 直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和する。直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 臨床疑問56 推 奨
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直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、サドルブロック、上下腹神経叢ブロックなどの神経ブロックは、痛みを緩和する。直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、サドルブロック、上下腹神経叢ブロックなどの神経ブロックを行う。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 解 説1)サドルブロックサドルブロックは、座位にてくも膜下腔に高比重のフェノールグリセリンを注入することで、第4、5 仙髄神経や尾骨神経を遮断し会陰部の鎮痛効果を得る神経ブロックである。合併症として、膀胱直腸障害が起こる可能性が高い。本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験や前後比較研究はないが、複数の症例報告や記述的研究がある(Slatkinら、杉ら)。 ** 以上より、質の高いエビデンスは存在しないが、臨床経験から、直腸がんなどによる会陰部の痛みに対して、サドルブロックは、膀胱直腸障害を生じうるが、痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、直腸がんなどによる会陰部の痛みに対して、尿路変更・人工肛門などすでに排尿・排便機能が廃絶している場合に、サドルブロックが有効な場合があるので専門家に相談することを推奨する。人工肛門があるが尿路変更がなされていない場合には、患者が尿路変更になること(導尿など)を了解すれば、選択できる場合がある。 2)上下腹神経叢ブロック上下腹神経叢ブロック*は、骨盤内臓器の交感神経由来の痛みに対する疼痛治療法である。 臨床疑問57 推 奨 解 説本臨床疑問に関連した臨床研究として、直腸がんなどによる会陰部の痛みに限定して非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療の効果を比較した無作為化比較試験、前後比較研究はない。直腸がんなどによる会陰部の痛みを含むがん疼痛に対するWHO方式がん疼痛治療法の有用性を示した複数の観察研究がある(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。 ** 以上より、直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。 *:上下腹神経叢ブロック神経ブロックの一つ。骨盤内臓器由来の痛みに対する治療法。くも膜下フェノールブロックに比べて、会陰部知覚脱出や排泄障害などが少ない。P90参照。
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III章推奨 本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験はないが、前後比較研究が1件ある。Plancarteら1)の研究では、VAS 値が7〜10で、オピオイドで十分に鎮痛効果が得られないか、または許容できない眠気のためオピオイドを増量できない骨盤腫瘍の患者227例のうち局所麻酔薬の試験的な投与で鎮痛効果が得られた159 例(79%)を対象に、上下腹神経叢ブロックを施行した。72%の患者で3週間後のVAS 値が7以上から4以下へと低下した。オピオイド投与量は経口モルヒネ換算量で治療前56mg/日、治療後32mg/日と低下した。残りの患者ではVAS 値は4〜7へと中等度の低下にとどまったが、オピオイド投与量は治療後に65mg/日から48mg/日と低下した。眠気の強かった18 例の患者のうち16 例において、眠気の強さが0 〜3 の評価で2(しばしば眠そうで容易に覚醒しない)から0 〜1(清明〜ときに眠そうだが容易に覚醒)へ改善した。排尿・排便困難などの副作用は出現しなかった。 ** 以上より、質の高いエビデンスは存在しないが、直腸がんなどによる会陰部の痛みに対して、上下腹神経叢ブロックは、痛みを緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、直腸がんなどによる会陰部の痛みに対して、上下腹神経叢ブロックが有効な場合があるので専門家に相談することを推奨する。この他の神経ブロックとして、上下腹神経叢ブロックと同じ交感神経ブロックとして、肛門部からの交感神経由来の痛みに対する、不対神経節ブロックがある。さらに、硬膜外腔またはくも膜下腔へのオピオイドや局所麻酔薬の持続投与が選択肢になる場合がある。患者にどのブロックが適しているのかは専門家に相談することが望ましい。 NCCNのガイドラインでは、局在性の直腸肛門痛の場合は、神経破壊薬によるサドルブロック、上下腹神経叢ブロック、オピオイドの硬膜外またはくも膜下投与などが推奨されている。 (奥津輝男、井関雅子) 既存のガイドラインとの整合性 【文 献】 1)Plancarte R, de Leon-Casasola OA, El-Helaly M, et al. Neurolytic superior hypogastric plexus block for chronic pelvic pain associated with cancer. Reg Anesth 1997; 22: 562-8 【参考文献】 2)Slatkin NE, Rhiner M. Phenol saddle blocks for intractable pain at end of life: report of four cases and literature review. Am J Hosp Palliat Care 2003; 20: 62-6 3) 杉 崇史, 他. サドルフェノールブロックにより大量のオピオイド減量に成功した2症例. 日本ペインクリニック学会誌 2005; 12: 429
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悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か?悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照)。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、筋弛緩薬を投与する。2C (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル)悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、神経ブロックを行う。 (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) ● 悪性腸腰筋症候群*による痛みに対する有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 58 59 60 61 58 59 60 61悪性腸腰筋症候群による痛み6 (腸腰筋へのがんの浸潤・転移に伴って起こる鼠径部・大腿・膝の痛み) 2C *:悪性腸腰筋症候群腸腰筋内の悪性疾患の存在により起こる鼠径部・大腿・膝の痛み。身体所見として、患側の第1 ~4 腰椎神経領域の神経障害、腸腰筋の攣縮を示唆する股関節屈曲固定がみられる。P21参照。 ●フローチャート ●鎮痛補助薬●筋弛緩薬 ●神経ブロック± ●非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照) ●原因に応じた対応 ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを投与する。神経障害性疼痛が認められる場合などには鎮痛補助薬の使用を検討する。腸腰筋の攣縮がみられる場合は、筋弛緩薬を使用する。神経ブロックの適応について、専門家に相談する。
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III章推奨 悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価する痛みの原因として、がんによる痛み以外の可能性も含めて評価する。悪性腸腰筋症候群による痛みであれば、身体所見として、患側の第1 〜4 腰椎神経領域の神経障害、腸腰筋の攣縮を示唆する股関節屈曲固定がみられることが多い。画像検査では、患側腸腰筋内の悪性腫瘍の存在がみられる。必要に応じて、外科治療、化学療法、放射線治療の適応について検討する。腸腰筋症候群を示すがん以外の原因として腸腰筋膿瘍などを除外する。 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。特に痛みが持続痛なのか突出痛なのか評価し、神経障害性疼痛の要素があるのかを評価する。さらに増悪因子・軽快因子を評価する。悪性腸腰筋症候群では、股関節を伸展すると痛みが増強し、屈曲すると痛みが軽快することが多いため、痛みの増強する姿勢を避けるようにする(P16,II-1-13神経障害性疼痛の項参照)。 臨床疑問58 推 奨 悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和する。悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験や前後比較研究はなく、少数の後ろ向き研究や症例報告しかない。Agarらによる症例報告およびレビューでは、WHO方式がん疼痛治療法に基づいた非オピオイド鎮痛薬・オピオイドの投与に加えて、抗けいれん薬(ガバペンチン、バルプロ酸ナトリ 解 説 臨床疑問59 推 奨 解 説
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悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬は、痛みを緩和する可能性がある。悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬を投与する。2C 弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験や前後比較研究はなく、少数の後ろ向き研究や症例報告しかない。Agarらによる症例報告およびレビューでは、腸腰筋の攣縮に伴う股関節の有痛性屈曲固定(股関節を屈曲位にしている、伸展位にすると痛みを訴える)に対してジアゼパムの投与が有効であった症例が報告されている。この他に、骨格筋の攣縮に対する治療薬として、バクロフェン、チザニジン、ダントロレンナトリウムが記載されている。 ** 以上より、十分な知見ではないが、悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、筋弛緩薬は、痛みを緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、特に腸腰筋の攣縮に伴う股関節の有痛性屈曲固定が認められた場合に筋弛緩薬を投与することを推奨する。筋弛緩薬として、最も一般的に使用されるものはジアゼパムである。ジアゼパムの効果が不十分な場合は、専門家に相談のうえ、バクロフェン、チザニジン、またはダントロレンナトリウムを検討する。 解 説 臨床疑問60 推 奨 ウム、カルバマゼピン)、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)、デキサメタゾンの投与が有効であった症例が報告されている。一方、がん疼痛に対するWHO方式がん疼痛治療法の有用性を示した複数の観察研究がある(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。 ** 以上より、悪性腸腰筋症候群による痛みに対する知見は限られているが、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、悪性腸腰筋症候群による痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、悪性腸腰筋症候群による痛みに対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。
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III章推奨 悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和する可能性がある。悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、神経ブロックを行う。 (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験や前後比較試験はなく、少数の後ろ向き研究や症例報告しかない。Agarらによる症例報告およびレビューでは、持続硬膜外ブロックが有効であった症例が報告されている。しかし、薬物療法との比較は行われていない。 ** 以上より、確実な知見ではないが、悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、神経ブロックは、痛みを緩和する可能性があると考える。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意として、悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、神経ブロックによる疼痛治療が可能か、専門家に相談することを推奨する。神経ブロックとしては、持続硬膜外ブロックや神経根ブロックがある。 既存のガイドラインでは、悪性腸腰筋症候群による痛みに対する記述はみられない。 (松田陽一、池永昌之) 2C 解 説 既存のガイドラインとの整合性 臨床疑問61 推 奨 【参考文献】 1)Agar M, Broadbent A, Chye R. The management of malignant psoas syndrome: case reports and literature review. J Pain Symptom Manage 2004; 28: 282-93 2)Ampil FL, Lall C, Datta R. Palliative management of metastatic tumors involving the psoas muscle: case reports and review of the literature. Am J Clin Oncol 2001; 24: 313-4
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消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か?消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、消化管分泌抑制薬(オクトレオチド、ブチルスコポラミン臭化物)は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、コルチコステロイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う。消化管閉塞による痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照)。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)消化管閉塞による痛みのある患者に対して、オクトレオチドまたはブチルスコポラミン臭化物のいずれかを使用する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル)消化管閉塞による痛みのある患者に対して、コルチコステロイドを使用する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) ● 消化管閉塞による痛みに対する有効な治療は何か? 関連する臨床疑問 推 奨 62 63 64 65 62 63 64 65消化管閉塞による痛み7 ●フローチャート ●消化管分泌抑制薬 ●コルチコステロイド± ●非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(P104,III-1共通する疼痛治療の項参照) ●原因に応じた対応 ●痛みの包括的評価(痛みの原因の評価、痛みの評価) 痛みの原因の評価と痛みの評価を行い、原因に応じた対応を行う。疼痛治療としては、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドを投与する。消化管分泌抑制薬、コルチコステロイドの投与を行う。
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III章推奨 消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 痛みの原因の評価と痛みの評価を行う(P24,II-2 痛みの包括的評価の項参照)。 解 説1)痛みの原因を身体所見や画像検査から評価する痛みの原因として、がんによる痛み以外の可能性も含めて評価する。病歴・身体所見・腹部単純X 線・腹部超音波検査などから、消化管閉塞の外科治療適応について検討する。便秘、腹水、腸管の拡張など、痛みに関連する治療可能な他の要因があるかについて評価を行い、それぞれ、排便コントロール、腹水のコントロール、腸管の減圧などを検討する。 2)痛みの評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。特に、持続痛か突出痛か(消化管の蠕動による突出痛があるか)、増悪因子・軽快因子(食事や排便が影響しているか)、行っている治療の効果や副作用について評価する。 臨床疑問62 推 奨 消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる鎮痛治療は痛みを緩和する。消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説消化管閉塞による痛みに限定した臨床研究は限られている。しかし、消化管閉塞による痛みを含むがん疼痛に対するWHO方式がん疼痛治療法が有用性を示した複数の観察研究がある(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。 ** 以上より、消化管閉塞による痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、消化管閉塞による痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。 臨床疑問63 推 奨
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消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、消化管分泌抑制薬(オクトレオチド、ブチルスコポラミン臭化物)は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、消化管分泌抑制薬(オクトレオチド、ブチルスコポラミン臭化物)は、痛みを緩和する可能性がある。消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、オクトレオチドまたはブチルスコポラミン臭化物のいずれかを使用する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関連する臨床研究としては無作為化比較試験が3件ある。いずれの研究もオクトレオチドとブチルスコポラミン臭化物の効果を比較したものであり、オピオイドの単独治療と、消化管分泌抑制薬とオピオイドとの併用治療の効果を比較したものではない。Mystakidouら1)による、外科治療不能のがんによる消化管閉塞のある患者68 例を対象に、痛みを含む腹部症状に対するブチルスコポラミン臭化物60 〜80mg/日とオクトレオチド 0.6 〜0.8mg/日の効果を比較した無作為化比較試験では、いずれも痛みのVAS 値(0−10) が3日後に改善し、両群に有意差はなかった(5.4→1.3 vs 5.1→1.1,p>0.05)。両群ともオピオイドやクロルプロマジンなどが併用されていた。重篤な副作用はなかった。Ripamontiら(2000) 2)による、外科治療不能の胃管が挿入されたがんによる消化管閉塞のある患者17例を対象に、持続痛・蠕動痛を含む腹部症状に対するブチルスコポラミン臭化物60mg/日とオクトレオチド0.3mg/日の効果を比較した無作為化比較試験では、いずれも痛みのVRS 値(4 段階)が3日後に改善し(持続痛:1.4→0.4 vs 1.4→0.3,p>0.05;蠕動痛: 0.9 →0.1 vs 0.7→0.1,p>0.05)、両群に有意差はなかった。副作用について記載がない。Mercadanteら3)による、外科治療不能のがんによる消化管閉塞患者18 例を対象に、持続痛・蠕動痛を含む腹部症状に対するブチルスコポラミン臭化物60mg/日とオクトレオチド0.3mg/日の効果を比較した無作為化比較試験では、いずれも、痛みのVRS 値(4 段階)が2日後により改善傾向であり(持続痛:1.8→1.2 vs 0.6 →0.3;蠕動痛:0.4→0.2 vs 0.4→0.1, p>0.05)、両群に有意差はなかった。患者死亡およびデータ欠損による脱落症例が17%あった。副作用については記載がない。 ** 以上より、痛みを評価項目としてプラセボとの比較による無作為化比較試験がないため十分な根拠ではないものの、消化管閉塞による痛みのある患者に対して、消化管分泌抑制薬(オクトレオチド、ブチルスコポラミン臭化物)は、痛みを緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、鎮痛効果が期待され、重篤な副作用が少ないという理由で、消化管閉塞の痛みに対して、オクトレオチドまたはブチルスコポラミン臭化物のいずれかを使用することを推奨する。特に、蠕動痛に対しては、抗コリン作用の強いブチルスコポラミン臭化物の使用を検討する。 臨床疑問64 推 奨
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III章推奨 消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、コルチコステロイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 消化管閉塞による痛みのある患者に対して、コルチコステロイドは、痛みを緩和する可能性がある。消化管閉塞による痛みのある患者に対して、コルチコステロイドを使用する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説本臨床疑問に関連する臨床研究として、1件の系統的レビューがある。Feuerら4)の系統的レビューでは、がんによる消化管閉塞のある患者を対象に、コルチコステロイドとプラセボの効果を比較した2件の無作為化比較試験を検討した。対象患者は97例であり、消化管閉塞の再開通(嘔吐や蠕動痛などの症状の消失、軽食の摂取が可能、排ガスあるいは蠕動の存在と定義)のNNTは6であり、コルチコステロイドは消化管閉塞の症状緩和に有用な可能性が示唆されると結論している。これらの研究は直接、腹痛に対する効果を評価したものではないものの、再開通の結果として腹痛の改善が得られる可能性がある。Hardyら5)による、がんによる消化管閉塞患者39 例を対象に、デキサメタゾン16mg/日とプラセボの効果を比較した無作為化比較試験では、デキサメタゾン群で消化管閉塞の再開通が多く認められる傾向であった(62% vs 57%)。副作用は1例が胃腸障害で中断、数例で肛門周囲の不快感が生じたが、重篤な副作用はなかった。Lavalら6)による、がんによる消化管閉塞患者58 例を対象に、メチルプレドニゾロン40mg/日 静脈内投与(または240mg 経口投与)とプラセボの効果を比較した無作為化比較試験では、メチルプレドニゾロン群で消化管閉塞の再開通が多く認められた(59% vs 33%, p=0.080)。副作用はなかった。 ** 以上より、消化管閉塞による痛みのある患者に対して、コルチコステロイドは、痛みを緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、上記の知見と専門家の合意により、消化管閉塞による痛みのある患者に対して、コルチコステロイドを投与することを推奨する。 既存のガイドラインとの整合性EAPCの消化管閉塞についてのガイドラインでは、悪性腫瘍による消化管閉塞に伴う持続痛および蠕動痛は、WHO方式がん疼痛治療法に従ったオピオイド投与、消化管分泌抑制薬を投与し、オピオイド投与により残存する蠕動痛に対してはブチルスコポラミン臭化物などの抗コリン作用薬を推奨している。コルチコステロイドの有用性については、まだ結論がでておらず、痛みに限定する記載ではないが、制吐効果および腫瘍や神経周囲の浮腫を改善することで症状緩和に有用な可能性があるとしている。 (久永貴之、志真泰夫) 臨床疑問65 推 奨
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【文 献】臨床疑問64 1)Mystakidou K, Tsilika E, Kalaidopoulou O, et al. Comparison of octreotide administration vs conservative treatment in the management of inoperable bowel obstruction in patients with far advanced cancer: a randomized, double- blind, controlled clinical trial. Anticancer Res 2002; 22(2B) : 1187-92 2)Ripamonti C, Mercadante S, Groff L, et al. Role of octreotide, scopolamine butylbromide, and hydration in symptom control of patients with inoperable bowel obstruction and nasogastric tubes: a prospective randomized trial. J Pain Symptom Manage 2000; 19: 23-34 3)Mercadante S, Ripamonti C, Casuccio A, et al. Comparison of octreotide and hyoscine butylbromide in controlling gastrointestinal symptoms due to malignant inoperable bowel obstruction. Support Care Cancer 2000; 8: 188-91 臨床疑問65 4)Feuer DJ, Broadley KE. Corticosteroids for the resolution of malignant bowel obstruction in advanced gynaecological and gastrointestinal cancer. Cochrane Database Syst Rev 2000(2): CD001219 5)Hardy J, Ling J, Mansi J, Isaacs R, et al. Pitfalls in placebo-controlled trials in palliative care: dexamethasone for the palliation of malignant bowel obstruction. Palliat Med 1998; 12: 437-42 6)Laval G, Girardier J, Lassaunière JM, et al. The use of steroids in the management of inoperable intestinal obstruction in terminal cancer patients: do they remove the obstruction? Palliat Med 2000; 14: 3-10 【参考文献】臨床疑問65 7)Ripamonti C, Twycross R, Baines M, et al. Clinical-practice recommendations for the management of bowel obstruction in patiens with end stage cancer: the EAPC recommendations. Supportive Care Cancer 2001; 9: 223-33
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IV章資 料 4 海外他機関による疼痛ガイドラインの抜粋 2 1 3 文献の検索式 作成過程 今後の検討課題
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1 作成過程 1 作成過程 表1 文献の適格基準 ・成人を対象としている・日本語または英語で記載されている・主な対象患者はがん患者である※・国内で利用できる方法・薬物である・系統的レビュー、メタアナリシス、無作為化比較試験、または前向きの観察的研究・前後比較研究 である・抗がん治療(外科治療、化学療法、放射線治療)の効果としての痛みをみているもの、および、処置 に伴う痛みをみているものは除外する。 ※該当論文がほとんどない神経障害性疼痛やせん妄などの項目については非がん患者を対象とした研究も含めて検討 したが、対象患者はがん患者であるか、非がん患者であるかを区別して記述した。 本ガイドラインは、日本緩和医療学会の「緩和医療ガイドライン作成委員会 がん疼痛ガイドライン作業部会」(以下、委員会)が、2001年に発行された「診療ガイドラインの作成の手順」(福井次矢・丹後俊郎)に準じて作成した。エビデンスのレベルと推奨の強さに関しては、緩和ケアの性質やガイドラインの研究に関する現状を考慮し、後述のように定めた。作成後、AGREE 評価法(2001)による評価を行った。 日本緩和医療学会において委員会を組織し、ガイドラインの作成のための手順を作成にした。次に、各委員から臨床疑問案を収集し、委員会において臨床疑問を作成した。続いて、委員が分担して、系統的文献検索を行い該当文献を収集し、基準を満たす論文を抽出し、臨床疑問に対する原案を作成した。原案は、デルファイ法に従って合意が得られるまで修正した。さらに、外部委員の評価を得た後に、再びデルファイ法を行い最終版を作成した。 収集した臨床疑問案をPECO 形式(P:患者、E:暴露、C:比較、O:結果)に定式化した。定式化された臨床疑問を解決できる臨床研究が存在しなかった場合には、より包括的な臨床疑問を作成した。合計65の臨床疑問をおいた。 臨床疑問ごとに行った。文献のソースは、1PUBMEDを用いた系統的文献検索(詳細はP227,IV-2 文献の検索式の項参照)とそのrelated articles、22000 年1月1日〜2008 年7月31日までのJournal of Pain and Symptom ManagementおよびPalliative Medicineのhand search、3Cochrane databaseのPaPaS category(Cochrane Pain, Palliative and Supportive Care)の該当項目、4委員会で参考資料として選択したガイドラインと教科書に引用されている文献、および作成委員のデータベースとそれらの引用文献とした。これらから、担当者が適格基準(表1)に満たすものをすべて選択した。製薬会社などからの資金提供を 1 概 要 2 臨床疑問の設定 3 系統的文献検索
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IV章資料 受けている文献はわかるように同定した。原則として、基準に該当しない研究は参考文献とした。文献検索の対象とした期間については、各項目ごとに設定した(P227,IV-2 文献の検索式参照)。 参考資料として、既存のガイドラインと教科書として、以下のものを選択した。1)ガイドライン◦ EAPC(European Association for Palliative Care)ガイドライン(本ガイドラインでは「EAPCガイドライン(2001a)」と表記する。以下、同様) Hanks GW, de Conno F, Cherny N, et al. Morphine and alternative opioids in cancer pain: the EAPC recommendations. Br J Cancer 2001; 84: 587-93 ◦EAPCガイドライン〔EAPCガイドライン(2002b)〕Mercadante S, Radbruch L, Caraceni A, et al. Episodic(breakthrough)pain. Cancer 2002; 94: 832-9 ◦ EAPCガイドライン〔EAPCガイドライン(2001b)〕Cherny N, Ripamonti C, Pereira J, et al. Strategies to manage the adverse effects of oral morphine: An evidence-based report. J Clin Oncol 2001; 19: 2542-54 ◦NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドライン〔NCCNガイドライン〕National Comprehensive Cancer Network: NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology, Adult cancer pain. http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/ PDF/pain.pdf ◦ ESMO(European Society for Medical Oncology)ガイドライン〔ESMOガイドライン(2007)〕ESMO Guidelines Working Group, Jost L. Management of cancer pain: ESMO clinical recommendations. Ann Oncol 2007; 18(2 Suppl): ii92-4 ◦ ACCP(American College of Chest Physicians)ガイドライン〔ACCPガイドライン(2007)〕Kvale Pa, Selecky PA, Prakash UB; American College of Chest Physicians. Palliative care in lung cancer: ACCP evidence-based clinical practice guidelines (2nd edition). Chest 2007; 132(3 Suppl): S368-403 2)教科書◦ Loeser JD. eds; Butler SH, Chapman CR, Turk DC. associate eds. Bonica's Management of Pain, 3rd ed, Lippincott Williams & Wilkins, 2001 ◦ Berger AM, Shuster JL, Von Roenn JH eds. Principles and Practice of Palliative Care and Supportive Oncology, 3rd ed, Lippincott Williams & Wilkins, a Wolters Kluwer business, 2007 ◦ Doyle D, Hanks GWC, Cherny NI, Calman K eds. Oxford Textbook of Palliative Medicine, 3rd ed, Oxford University Press, 2005 ◦ McMahon SB, Koltzenburg M eds. Wall and Melzack's Textbook of Pain, 5th ed, Elsevier Churchill Livingstone, 2006 ◦Walsh D. eds. Palliative Medicine, Saunders Elsevier, 2009 ◦ Bruera E, Higginson IJ, Ripamonti C, von Gunten C eds. Textbook of Palliative Medicine, Hodder Arnold, 2006 4 ガイドラインと教科書
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(1) デルファイ法前の検討背景知識、推奨全体にわたるガイドライン全体を130 項目に分け、それぞれについて、わかりやすさ、妥当性を3件法で評価を求めた。項目ごとに回答の分布を各委員に公開し、16 時間の会議によって相違点を議論した。(2) 1回目のデルファイ法「背景」、「推奨」の185 項目それぞれについて妥当性を1(適切でない)から9(適切である)の9 件法で評価を求めた。その結果、中央値8 以上の項目が162 項目(最小と最大の差が6以上:96 項目)、中央値が7以上8未満の項目が14 項目であり、中央値が7未満の項目が9 項目であった。項目ごとに中央値、最小値、最大値を各委員に公開し、会議によって相違点を議論した。議論の議事録を委員に配布し、原稿の修正を行った。(3) 2 回目のデルファイ法「背景」、「推奨」の184 項目それぞれについて妥当性を1(適切でない)から9(適切である)の9 件法で評価を求めた。その結果、中央値8 以上の項目が177 項目(最小と最大の差が6以上:43 項目)、中央値が7以上8未満の項目が5 項目であり、中央値が7未満の項目が2 項目であった。1回目のデルファイ法に比較してコンセンサスが得られていると考えられ、全体として大きな意見の相違を認めないと考えられた。項目ごとに中央値、最小値、最大値を各委員に公開し、会議によって相違点を議論した。相違点の修正を含めて、全体の統一をとるために、 3 名からなるタスクフォース(山本 亮、新城拓也、森田達也)により「推奨」を内容を変更しない形で一貫して加筆修正した。修正した原稿を委員会の暫定稿とした。(4) 3 回目のデルファイ法と評価委員による評価委員会の暫定稿に対して、評価委員(本ガイドラインの作成に関与していなかった医師と看護師)12 名に評価を求めた。あわせて、再び、「背景」、「推奨」の180 項目それぞれについて妥当性を1(適切でない)から9(適切である)の9 件法で評価を求めた。その結果、中央値8以上の項目が178 項目(そのうち最小と最大の差が6:14 項目;7:1項目)、中央値が7以上8未満の項目が2 項目であった。中央値が8未満の2 つの項目については本文から削除した。以上の結果、大きな意見の相違を認めず、一致がみられたと考えられた。(5) 委員会による修正評価委員の評価とデルファイ法の結果をもとに、作成委員による2日間の会議を行い、修正を加えたものを委員会で承認した。最終原稿を、作成委員6 名(志真泰夫、新城拓也、細矢美紀、的場元弘、森田達也、山本 亮)で小修正を加え、的場元弘が集約した。(6) 背景の関連学会の記載背景知識のうち、薬物療法以外の疼痛治療法に関しては、「放射線治療」、「経皮的椎体形成術(骨セメント)」を、それぞれ、日本放射線腫瘍学会、日本インターベンショナルラジオロジー学会に依頼した。(7) AGREEガイドラインによる評価最終原稿について、小山 弘、四方 哲により、AGREEガイドライン(2001)による評価を行った〔AGREE 共同計画ガイドラインの研究・評価用チェックリストAppraisal of Guidelines for Research & Evaluation(AGREE) instrument、2001年9月、http://www. mnc. toho-u.ac.jp/mmc/guideline/AGREE-final.pdf〕。AGREEに基づきガイドラインを評価したところ、作成過程は厳密であると考えられ、編集 5 妥当性の検証
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IV章資料 の独立性も十分であると考えられた。一方、適用可能性(applicability)についての記載は不十分であり、特に次回改訂時には、ガイドライン遵守をモニタリングする方法に関する提案がなされることが望まれると評価された。 日本緩和医療学会において承認した。 [緩和医療ガイドライン作成委員会]【委員長】 志真 泰夫 筑波メディカルセンター病院緩和医療科【担当委員】 細矢 美紀 国立がん研究センター中央病院看護部的場 元弘 国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科森田 達也 聖隷三方原病院緩和支持治療科 [がん疼痛ガイドライン作業部会]【部会長】 志真 泰夫 筑波メディカルセンター病院緩和医療科【副部会長】 細矢 美紀 国立がん研究センター中央病院看護部的場 元弘 国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科森田 達也 聖隷三方原病院緩和支持治療科【委 員】 赤木 徹 国立がん研究センター中央病院薬剤部荒井 保明 国立がん研究センター中央病院放射線診断科、日本インターベンショ ナルラジオロジー学会〔外部委員〕 新幡 智子 慶應義塾大学看護医療学部有賀 悦子 帝京大学医学部内科学講座緩和医療科、帝京がんセンター/ 医療情 報システム研究センター 池永 昌之 淀川キリスト教病院ホスピス井沢 知子 京都大学医学部附属病院看護部伊勢 雄也 日本医科大学付属病院薬剤部井関 雅子 順天堂大学医学部麻酔科・ペインクリニック伊東 俊雅 東京女子医科大学病院薬剤部射場 典子 NPO 法人健康と病いの語りディペックス・ジャパン今井 堅吾 淀川キリスト教病院ホスピス上園 保仁 国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究部上田 敬子 恵佑会札幌病院緩和ケア科梅田 恵 株式会社緩和ケアパートナーズ大坂 巌 静岡県立静岡がんセンター緩和医療科大澤 匡弘 星薬科大学薬物治療学教室 6 緩和医療学会の承認 7 ガイドライン作成者
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大畑 美里 聖路加国際病院看護部小笠原利枝 横浜市立みなと赤十字病院看護部岡本 禎晃 大阪大学大学院薬学研究科実践薬学教育研究センター病院薬学教 育研究部 奥津 輝男 静岡県立静岡がんセンター緩和医療科奥出有香子 順天堂大学医学部附属順天堂医院看護部加賀谷 肇 済生会横浜市南部病院薬剤部風間 郁子 国際医療福祉大学三田病院看護部片山 志郎 日本医科大学付属病院薬剤部加藤 恵 武蔵野赤十字病院看護部川地香奈子 癌研究会有明病院看護部川村三希子 北海道医療大学看護福祉学部木下 寛也 国立がん研究センター東病院緩和医療科・精神腫瘍科葛巻 直子 星薬科大学薬品毒性学教室工藤 尚子 国立がん研究センター研究所国分 秀也 北里大学病院薬剤部小島 圭子 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科小原 弘之 県立広島病院緩和ケア科小宮 幸子 横浜市立大学附属病院薬剤部小山 弘 国立病院機構京都医療センター教育研修部長〔外部委員〕小山富美子 近畿大学医学部附属病院がんセンター看護部境 徹也 長崎大学医学部麻酔学教室坂元 敦子 杏林大学医学部付属病院看護部坂本 雅樹 名古屋市立大学病院緩和ケア部佐々木聡美 みどり内科クリニック佐野 元彦 埼玉医科大学総合医療センター薬剤部塩川 満 聖路加国際病院薬剤部四方 哲 蘇生会総合病院外科〔外部委員〕宍戸 英樹 宍戸内科医院篠 道弘 静岡県立静岡がんセンター薬剤部篠原 明子 帝京大学医学部附属病院緩和医療科清水わか子 君津中央病院放射線治療科、日本放射線腫瘍学会白髭 豊 白髭内科医院新貝夫弥子 愛知県がんセンター中央病院看護部新城 拓也 社会保険神戸中央病院緩和ケア病棟須賀 昭彦 静岡済生会総合病院緩和医療科鈴木 勉 星薬科大学薬品毒性学教室髙瀬 久光 福岡大学病院薬剤部高田 慎也 国立病院機構北海道がんセンター薬剤科高田 正史 長崎大学病院麻酔科瀧川千鶴子 KKR札幌医療センター緩和ケア科田口 賀子 大阪府立成人病センター看護部
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IV章資料 田中 桂子 がん・感染症センター都立駒込病院緩和ケア科長 美鈴 聖路加国際病院緩和ケア科敦賀 健吉 北海道大学医学研究科麻酔・周術期医学分野冨安 志郎 長崎市立市民病院麻酔科・緩和ケアチーム中川 貴之 京都大学薬学研究科生体機能解析学分野中西 真理 在宅看護研究センターLLP日本在宅看護システム成田 年 星薬科大学薬品毒性学教室西岡 弘晶 名古屋記念病院総合内科能勢 誠一 長崎大学病院薬剤部浜野 淳 大和クリニック林 章敏 聖路加国際病院緩和ケア科林 ゑり子 藤沢湘南台病院看護部久永 貴之 筑波メディカルセンター病院緩和医療科久原 幸 手稲渓仁会病院がん治療管理センター緩和ケア室・緩和ケアチーム尾藤 誠司 NHO東京医療センター教育研修部/臨床疫学研究室廣岡 佳代 聖路加看護大学看護実践開発研究センター府川美沙子 北里大学病院薬剤部北條美能留 長崎大学病院麻酔科・緩和ケアチーム細川 豊史 京都府立医科大学麻酔科細谷 治 城西大学薬学部薬剤学講座本田 晶子 聖路加看護大学看護実践開発研究センター前堀 直美 株式会社レーベンプラン レモン薬局三方原店松坂 俊 手稲渓仁会病院総合内科/感染症科・緩和ケアチーム松田 陽一 大阪大学大学院医学系研究科麻酔・集中治療医学講座松本 直子 聖路加看護大学図書館松本 禎久 国立がん研究センター東病院緩和医療科・精神腫瘍科三浦 里織 慶應義塾大学病院看護部村上 敏史 国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科村田 寛明 長崎大学医学部麻酔学教室森脇 俊和 筑波大学大学院消化器内科〔外部委員〕八戸 すず 順天堂大学がん治療センター緩和ケアチーム山口 敬介 順天堂大学医学部麻酔科ペインクリニック講座山口 崇 筑波メディカルセンター病院緩和医療科山本 亮 佐久総合病院総合診療科・緩和ケアチーム温泉川真由 国立がん研究センター研究所腫瘍ゲノム解析・情報研究部余宮きのみ 埼玉県立がんセンター緩和ケア科龍 恵美 長崎大学病院薬剤部・緩和ケアチーム渡邊 紘章 静岡県立静岡がんセンター緩和医療科渡邉 眞理 神奈川県立がんセンター地域医療連携室【評価委員】 飯野 京子 国立看護大学校成人看護学加藤 裕久 昭和大学薬学部医薬品情報学教室〔外部委員〕
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川越 正平 あおぞら診療所木澤 義之 筑波大学大学院人間総合科学研究科下山 直人 国立がん研究センター東病院緩和医療科・精神腫瘍科茶谷 正史 大阪労災病院放射線科〔外部委員〕恒藤 暁 大阪大学大学院医学系研究科緩和医療学中島 康雄 聖マリアンナ医科大学放射線医学教室〔外部委員〕中山 健夫 京都大学健康情報学〔外部委員〕奈良林 至 埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター緩和医療科向山 雄人 癌研有明病院緩和ケア科村川 和重 兵庫医科大学疼痛制御科学・ペインクリニック部
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IV章資料 共通する疼痛治療1 ● 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、有効な治療は何か? 鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者1 [臨床疑問1] (P105 参照)鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問2] (P106 参照)鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、アセトアミノフェンは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、36 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす2 件につき検討した。 #1. Cancer #2. Pain #3. Acetaminophen Limits: 1965/01/01 to 2008/12/31, Humans, English, Japanese, Meta-analysis/Randomized controlled trial [臨床疑問3] (P107参照)鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、NSAIDsは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、90 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす4 件につき検討した。 #1. Cancer #2. Pain #3. NSAIDs Limits: 1965/01/01 to 2008/12/31, Humans, English, Japanese, Meta-analysis/Randomized controlled trial [臨床疑問4] (P108 参照)鎮痛薬が投与されていない軽度の痛みのあるがん患者に対して、ある非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs・アセトアミノフェン)は、他の非オピオイド鎮痛薬に比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、113 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす5 件につき検討した。 #1. Cancer #2. Pain #3. NSAIDs OR Acetaminophen OR Coxibs Limits: 1965/01/01 to 2008/12/31, Humans, English, Japanese, Meta-analysis/Randomized controlled trial [臨床疑問5] (P109 参照)痛みでNSAIDsを投与されているがん患者において、プロスタグランジン製剤、プロトンポンプ阻害薬、H2 受容体拮抗薬は、プラセボに比較して胃潰瘍の発生を予防するか? 系統的文献検索を新たには行わなかった。胃潰瘍診療ガイドライン(2007年)を用いて検討を行った。 2 文献の検索式
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● 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、有効な治療は何か? 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者2 [臨床疑問6] (P113 参照)非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問7] (P114 参照)非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、オピオイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、584 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、ペンタゾシン、ブプレノルフィンに関するものを除き、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす2 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR oxycodone OR fentanyl OR codeine OR opioid #4. #1 AND #2 AND #3 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問8] (P116 参照)非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない、または、中等度以上の痛みのあるがん患者に対して、あるオピオイドは、他のオピオイドに比較して痛みを緩和するか、副作用が少ないか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、584 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、ペンタゾシン、ブプレノルフィンに関するものを除き、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす15 件につき検討した。系統的レビューに含まれる重複する論文はなかった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR oxycodone OR fentanyl OR codeine OR opioid #4. #1 AND #2 AND #3 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問9] (P120 参照)オピオイドの製剤や投与方法により、鎮痛効果や副作用に差があるか? 9-1 (P120 参照)モルヒネの速放性製剤は、徐放性製剤に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか? 9-2 (P120 参照)モルヒネのある徐放性製剤は、他の徐放性製剤に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか? 9-3 (P120 参照)モルヒネの24時間徐放性製剤の朝1回投与は、夜1回投与に比較して、痛みを緩和するか、副作用が少ないか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、584 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Library
p.249
IV章資料 の該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす2 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR oxycodone OR fentanyl OR codeine OR opioid #4. #1 AND #2 AND #3 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問10] (P122 参照)オピオイドを開始する時に、制吐薬を投与することは、投与しないことに比較して嘔気・嘔吐を減少させるか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、26 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献を検索したが、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR oxycodone OR fentanyl OR codeine OR opioid #4. Metclopramide OR prochlorperazine OR diphenhydramine OR haloperidol OR promethazine OR Steroid OR Risperidone OR Domperidone #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問11] (P124 参照)オピオイドを開始する時に、下剤を投与することは、投与しないことに比較して便秘を減少させるか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、19 件が該当した。hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献を検索したが、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR oxycodone OR fentanyl OR codeine OR opioid #4. laxative OR preventive #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問12] (P125 参照)非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られないがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬を中止せずにオピオイドを開始することは、非オピオイド鎮痛薬を中止してオピオイドを開始することに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、55 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす4 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR
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analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR oxycodone OR fentanyl OR codeine OR opioid #4. sparing effect OR addition #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial ❶ オピオイドが投与されている患者で、持続痛が緩和されていない場合、有効な治療は何 か? オピオイドが投与されている患者3 [臨床疑問13] (P129 参照)持続痛のある患者において、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問14] (P130 参照)オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用することは、併用しない場合に比較して痛みを緩和するか? 新たに文献検索は行わなかった。臨床疑問12(P125)を参照した。P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照。[臨床疑問15] (P131参照)オピオイドの定期投与により鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において、定期投与量の増量は痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、97件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献を検索したが、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. dose titration OR titrated OR escalation OR elevation OR increment #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問16] (P132 参照)あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドへの変更(オピオイドローテーション)や、他のオピオイドの追加は痛みを緩和するか? 16-1 (P132 参照)あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更することは、痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、25 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす4 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp]
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IV章資料 #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. switching OR substitution OR rotation #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial 16-2 (P132 参照)あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドを追加することは、痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、194 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす1件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. addition OR additive OR combi* #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問17] (P134 参照)あるオピオイドの経口投与または貼付剤で適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドを持続静注・持続皮下注に変更することは、痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、4 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす2 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. switching OR substitution OR rotation #5. parenteral OR intravenous OR subcutaneous #6. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問18] (P135 参照)オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとケタミンの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和するか? 系統的レビューが存在したため、系統的文献検索を新たには行わなかった。系統的レビューの中の引用文献から、適格基準を満たす5 件につき検討した。 [臨床疑問19] (P136 参照)オピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、オピオイドとコルチコステロイドの併用は、オピオイド単独に比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、20 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす3 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR
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lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. steroids #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial ❷ オピオイドが投与されている患者で、突出痛が緩和されていない場合、有効な治療は何か? [臨床疑問20] (P141参照)突出痛のある患者において、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問21] (P142 参照)突出痛のある患者において、オピオイドのレスキュー・ドーズは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、62 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす6 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati*[tiab]OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR remifentanil OR oxycodone OR codeine OR dihydrocodeine OR pentazocine OR buprenorphine OR tramadol OR opioid OR opiate OR opioids OR opiates #4. breakthrough OR episodic OR transient OR transitory OR incident OR flare #5. rescue OR as-needed OR supplemental OR breakthrough #6. research design[mh]OR clinical trials[mh]OR comparative study[pt]OR placebos[mh]OR multicenter study[pt]OR clinical trial[pt]OR random*[tiab]OR placebo*[tiab]OR clinical trial* [tiab]OR controlled clinical trial[pt]OR randomized controlled trial[pt]OR practice guideline[pt]OR feasibility studies[mh]OR clinical protocols[mh]OR single blind*[tiab] #7. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 AND #6 Limits:human, English, Japanese [臨床疑問22] (P145 参照)定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dosefailure)のあるがん患者において、オピオイドの定期投与量の増量・投与間隔の短縮は、増量・投与間隔の短縮をしない場合に比較して、痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、14 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす2 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati*[tiab]OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR remifentanil OR oxycodone OR codeine OR dihydrocodeine OR pentazocine OR buprenorphine OR tramadol OR opioid OR opiate OR opioids OR opiates #4. “end of dose”OR night OR“bed time” #5. research design[mh]OR clinical trials[mh]OR comparative study[pt]OR placebos[mh]OR multicenter study[pt]OR clinical trial[pt]OR random*[tiab]OR placebo*[tiab]OR clinical trial* [tiab]OR controlled clinical trial[pt]OR randomized controlled trial[pt]OR practice guideline[pt]OR feasibility studies[mh]OR clinical protocols[mh]OR single blind*[tiab] #6. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 Limits:human, English, Japanese
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IV章資料 [臨床疑問23] (P147参照)レスキュー・ドーズの投与で鎮痛効果が不十分な突出痛のある患者において、オピオイドの定期投与量の増量は、増量しない場合に比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、18 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす1件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati*[tiab]OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR remifentanil OR oxycodone OR codeine OR dihydrocodeine OR pentazocine OR buprenorphine OR tramadol OR opioid OR opiate OR opioids OR opiates #4. breakthrough OR episodic OR transient OR transitory OR incident OR flare #5. “dose up”OR“base up”OR“increase dose”OR titration #6. research design[mh]OR clinical trials[mh]OR comparative study[pt]OR placebos[mh]OR multicenter study[pt]OR clinical trial[pt]OR random*[tiab]OR placebo*[tiab]OR clinical trial* [tiab]OR controlled clinical trial[pt]OR randomized controlled trial[pt]OR practice guideline[pt]OR feasibility studies[mh]OR clinical protocols[mh]OR single blind*[tiab] #7. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 AND #6 Limits:human, English, Japanese [臨床疑問24] (P148 参照)突出痛のある患者において、オピオイドに非オピオイド鎮痛薬を併用することは、併用しない場合に比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、28 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。あわせて、臨床疑問12を参照した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati*[tiab]OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. breakthrough OR episodic OR transient OR transitory OR incident OR flare #4. “non steroid anti inflammatory drug”OR nsaid OR nsaids OR acetaminophen #5. research design[mh]OR clinical trials[mh]OR comparative study[pt]OR placebos[mh]OR multicenter study[pt]OR clinical trial[pt]OR random*[tiab]OR placebo*[tiab]OR clinical trial* [tiab]OR controlled clinical trial[pt]OR randomized controlled trial[pt]OR practice guideline[pt]OR feasibility studies[mh]OR clinical protocols[mh]OR single blind*[tiab] #6. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 Limits:human, English, Japanese オピオイドによる副作用2 ● オピオイドが投与された患者において、嘔気・嘔吐が発現した時に有効な治療は何か? 嘔気・嘔吐1 [臨床疑問25] (P151参照)オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問26] (P152 参照)オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、制吐薬は、プラセボに比較して嘔気・嘔吐を改善するか?
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以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、176 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす11件について検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. antiemetic ORlevomepromazine OR haloperidol OR metoclopramide OR domperidone OR prochlorperazine OR ondansetron OR dexamethasone OR serotonin antagonists OR nausea OR vomiting OR emesis OR emetics #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問27] (P154 参照)オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して嘔気・嘔吐を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、185 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす4 件について検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. opioid switching OR opioid rotation OR dexamethasone OR nausea OR vomiting OR emesis OR emetics #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問28] (P155 参照)オピオイドが投与され、嘔気・嘔吐が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較して嘔気・嘔吐を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、32 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす1件について検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. opioid OR opiate #4. switch OR switching OR rotate OR rotation OR substitute OR substitution #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial
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IV章資料 便 秘2 ● オピオイドが投与された患者において、便秘が発現した時に有効な治療は何か? [臨床疑問29] (P159 参照)オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問30] (P160 参照)オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、下剤は、プラセボに比較して便秘を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、71件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす5 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. constipation OR sodium picosulfate OR lactulose OR senna OR laxante #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問31] (P162 参照)オピオイドが投与され、便秘が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して便秘を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、93 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす5 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR codeine OR opioid #4. opioid switching OR opioid rotation OR constipation OR bowel dysfunction OR laxante #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial ● オピオイドが投与された患者において、眠気が発現した時に有効な治療は何か? 眠 気3 [臨床疑問32] (P165 参照)オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった [臨床疑問33] (P166 参照)オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、精神刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、カフェインは、プラセボに比較して眠気を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、19 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Library
p.256
の該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす6 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. drowsiness OR drowsy OR sleepiness OR sleepy OR somnolence OR somnolent OR narcosis OR sedation OR sedated #4. methylphenidate OR donepezil OR modafinil OR pemoline OR caffeine OR “central nervous system stimulants”OR rotat* OR switch* OR substitut* #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問34] (P167参照)オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較して眠気を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、19 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす5 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. drowsiness OR drowsy OR sleepiness OR sleepy OR somnolence OR somnolent OR narcosis OR sedation OR sedated #4. methylphenidate OR donepezil OR modafinil OR pemoline OR caffeine OR “central nervous system stimulants”OR rotat* OR switch* OR substitut* #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問35] (P169 参照)オピオイドが投与され、眠気が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較して眠気を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、19 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす1件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. drowsiness OR drowsy OR sleepiness OR sleepy OR somnolence OR somnolent OR narcosis OR sedation OR sedated #4. methylphenidate OR donepezil OR modafinil OR pemoline OR caffeine OR “central nervous system stimulants”OR rotat* OR switch* OR substitut* #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial
p.257
IV章資料 ● オピオイドが投与された患者において、せん妄が発現した時に有効な治療は何か? せん妄4 [臨床疑問36] (P172 参照)オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問37] (P172 参照)オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬は、プラセボに比較してせん妄を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、8 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす5 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. delirium OR “cognitive impairment”OR “cognitive disorder”OR “cognitive dysfunction”OR cognitive OR confusion* OR hallucination* OR delusion* OR delirious OR agitat* OR delirious OR “consciousness disorders”OR disorient* OR dysorient* #4. haloperidol OR risperidone OR aripiprazole OR chlorpromazine OR fluphenazine OR olanzapine OR perospirone OR perphenazine OR pimozide OR quetiapine OR sulpiride OR thioridazine OR trifluoperazine OR zotepine OR tiapride OR levomepromazine OR droperidol OR neurolept* OR “dopamine antagonists”OR rotat* OR switch* OR substitut* #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問38] (P175 参照)オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの変更(オピオイドローテーション)は、変更しないことに比較してせん妄を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、8 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす7件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. delirium OR “cognitive impairment”OR “cognitive disorder”OR “cognitive dysfunction”OR cognitive OR confusion* OR hallucination* OR delusion* OR delirious OR agitat* OR delirious OR “consciousness disorders”OR disorient* OR dysorient* #4. haloperidol OR risperidone OR aripiprazole OR chlorpromazine OR fluphenazine OR olanzapine OR perospirone OR perphenazine OR pimozide OR quetiapine OR sulpiride OR thioridazine OR trifluoperazine OR zotepine OR tiapride OR levomepromazine OR droperidol OR neurolept* OR “dopamine antagonists”OR rotat* OR switch* OR substitut* #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問39] (P176 参照)オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、オピオイドの投与経路の変更は、変更しないことに比較してせん妄を改善するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、8 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの
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該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす1件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. delirium OR “cognitive impairment”OR “cognitive disorder”OR “cognitive dysfunction”OR cognitive OR confusion* OR hallucination* OR delusion* OR delirious OR agitat* OR delirious OR “consciousness disorders”OR disorient* OR dysorient* #4. haloperidol OR risperidone OR aripiprazole OR chlorpromazine OR fluphenazine OR olanzapine OR perospirone OR perphenazine OR pimozide OR quetiapine OR sulpiride OR thioridazine OR trifluoperazine OR zotepine OR tiapride OR levomepromazine OR droperidol OR neurolept* OR “dopamine antagonists”OR rotat* OR switch* OR substitut* #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial がん疼痛マネジメントにおける患者教育3 ● がん疼痛マネジメントを受けている患者に、疼痛マネジメントについて教育を行うことは有効か? [臨床疑問40] (P178 参照)がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行うことで、痛みは緩和するか? [臨床疑問41] (P180 参照)がん疼痛マネジメントについての教育は、どのように行うべきか? 文献データベースOvid MEDLINE(1950 −)、Ovid CINAHL(1950 −)、医学中央雑誌WEB版(1983 −)を用いた。文献検索の対象と検索日は、Ovid MEDLINEは1950 年以降〜2007年3月17日(検索日2007年4月17日)、Ovid CINAHLは1982 年〜2007年4月23日(検索日2007年4月23日)、医学中央雑誌WEB 版は1983 〜2007年(検索日2007年4月23日)とした。検索語は、「がん」に関連する語は[cancer, malignant, neoplasms,neoplasia, tumor, tumour, 癌, がん, 腫瘍]、「疼痛」は[pain, 疼痛, 痛み]、「患者教育」は[education, intervention, advocate, coaching, needsassessment, program, focus group, knowledge, encouragement, information,management, support, follow up, guidance, 教育, 介入, アドボケート, 患者の権利擁護, コーチング, 指導, 需要評価, ニーズアセスメント, プログラム,自助グループ, サポートグループ, フォーカスグループ, 知識, 情報, フォローアップ, ガイダンス]を選択した。検索項目はタイトル、抄録、件名標目(シソーラスの用語)とした。さらにOvid MEDLINE、Ovid CINAHLは、Rochester 大学図書館による検索フィルターを参考に、ランダム化比較試験、メタアナリシスの絞込みを行った。さらにハンドサーチを追加し、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす11件につき検討した。 特定の病態による痛みに対する治療4 ● がんによる神経障害性疼痛に対する有効な治療は何か? 神経障害性疼痛1 [臨床疑問42] (P185 参照)がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問43] (P186 参照)がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?
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IV章資料 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、47 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす4 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp] OR neopas*[tiab] OR cancer*[tiab] OR carcinoma*[tiab] OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab] OR tumors[tiab] OR adenocarcinoma*[tiab] OR leukemi*[tiab] OR leukaemi*[tiab] OR lymphoma*[tiab] OR malignan*[tiab] OR oncolog*[tiab] OR metastati* OR metastas* (humans[mh]) #2. neuropathic pain #3. opioid #4. randomized controlled trial[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR (clinical trials as topic[mesh:noexp])OR (controlled clinical trial[pt])OR randomly[tiab] OR trial[ti] #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese [臨床疑問44] (P187参照)がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? <ガバペンチン>以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、25 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす5 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp] OR neopas*[tiab] OR cancer*[tiab] OR carcinoma*[tiab] OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab] OR tumors[tiab] OR adenocarcinoma*[tiab] OR leukemi*[tiab] OR leukaemi*[tiab] OR lymphoma*[tiab] OR malignan*[tiab] OR oncolog*[tiab] OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab] OR nocicept*[tiab] OR neuropath*[tiab] OR analgesi*[tiab] OR pain[mesh:exp] OR analgesics[mesh:exp] OR analgesia[mesh:noexp] #3. gabapentin #4. randomized controlled trial[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR (clinical trials as topic[mesh:noexp])OR (controlled clinical trial[pt])OR randomly[tiab] OR trial[ti] #5. humans[mh] #6. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese <ガバペンチン以外の抗てんかん薬>以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、19 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす4 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp] OR neopas*[tiab] OR cancer*[tiab] OR carcinoma*[tiab] OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab] OR tumors[tiab] OR adenocarcinoma*[tiab] OR leukemi*[tiab] OR leukaemi*[tiab] OR lymphoma*[tiab] OR malignan*[tiab] OR oncolog*[tiab] OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab] OR nocicept*[tiab] OR neuropath*[tiab] OR analgesi*[tiab] OR pain[mesh:exp] OR analgesics[mesh:exp] OR analgesia[mesh:noexp] #3. opioid #4. anticonvulsant #5. randomized controlled trial[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR (clinical trials as topic[mesh:noexp])OR (controlled clinical trial[pt])OR randomly[tiab] OR trial[ti] #6. humans[mh] #7. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 AND #6 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese < 抗不整脈薬>以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、30 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす5 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp] OR neopas*[tiab] OR cancer*[tiab] OR carcinoma*[tiab] OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab] OR tumors[tiab] OR adenocarcinoma*[tiab] OR leukemi*[tiab] OR leukaemi*[tiab] OR lymphoma*[tiab] OR malignan*[tiab] OR oncolog*[tiab] OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab] OR nocicept*[tiab] OR neuropath*[tiab] OR analgesi*[tiab] OR pain[mesh:exp] OR analgesics[mesh:exp] OR analgesia[mesh:noexp] #3. opioid
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#4. lolal anesthetic agents #5. randomized controlled trial[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR (clinical trials as topic[mesh:noexp])OR (controlled clinical trial[pt])OR randomly[tiab] OR trial[ti] #6. humans[mh] #7. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 AND #6 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese < 抗うつ薬>以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、9 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす2 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp] OR neopas*[tiab] OR cancer*[tiab] OR carcinoma*[tiab] OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab] OR tumors[tiab] OR adenocarcinoma*[tiab] OR leukemi*[tiab] OR leukaemi*[tiab] OR lymphoma*[tiab] OR malignan*[tiab] OR oncolog*[tiab] OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab] OR nocicept*[tiab] OR neuropath*[tiab] OR analgesi*[tiab] OR pain[mesh:exp] OR analgesics[mesh:exp] OR analgesia[mesh:noexp] #3. opioid #4. antidepressants #5. randomized controlled trial[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR (clinical trials as topic[mesh:noexp])OR (controlled clinical trial[pt])OR randomly[tiab] OR trial[ti] #6. humans[mh] #7. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 AND #6 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese [臨床疑問45] (P191参照)がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、ある鎮痛補助薬を増量しても効果がない場合、他の鎮痛補助薬への変更や併用は、行わないことに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、86 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす1件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp] OR neopas*[tiab] OR cancer*[tiab] OR carcinoma*[tiab] OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab] OR tumors[tiab] OR adenocarcinoma*[tiab] OR leukemi*[tiab] OR leukaemi*[tiab] OR lymphoma*[tiab] OR malignan*[tiab] OR oncolog*[tiab] OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab] OR nocicept*[tiab] OR neuropath*[tiab] OR analgesi*[tiab] OR pain[mesh:exp] OR analgesics[mesh:exp] OR analgesia[mesh:noexp] #3. randomized controlled trial[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR (clinical trials as topic[mesh:noexp])OR (controlled clinical trial[pt])OR randomly[tiab] OR trial[ti] #4. humans[mh] #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese ● 骨転移による痛みに対する有効な治療は何か? 骨転移による痛み2 [臨床疑問46] (P195 参照)骨転移による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問47] (P195 参照)骨転移による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、51件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp] OR neoplas*[tiab] OR cancer*[tiab] OR carcinoma*[tiab] OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab] OR tumors[tiab] OR adenocarcinoma*[tiab] OR leukemi*[tiab] OR leukaemi*[tiab] OR lymphoma*[tiab] OR malignan*[tiab] OR oncolog*[tiab] OR metastati* OR metastas*
p.261
IV章資料 #2. pain*[tiab] OR nocicept*[tiab] OR neuropath*[tiab] OR analgesi*[tiab] OR pain[mesh:exp] OR analgesics[mesh:exp] OR analgesia[mesh:noexp] #3. opioid OR morphine OR fentanyl OR oxycodone #4. bone pain OR bone metastasis #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問48] (P196 参照)骨転移による痛みのあるがん患者に対して、ビスホスホネートは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 系統的文献検索は行わずCochrane Libraryから該当するタイトル1件を選択した。 ● 膵臓がんなどによる上腹部の痛みに対する有効な治療は何か? 膵臓がんなどによる上腹部の痛み3 [臨床疑問49] (P199 参照)膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問50] (P199 参照)膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、340 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. opioid OR morphine OR fentanyl OR oxycodone #4. abdominal OR epigastrium OR middle OR upper abdomen OR pancreas cancer #5. anesthesia OR medication #6. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問51] (P200 参照)膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、340 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは2 件であった。系統的レビューに含まれる重複する論文は除いた。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. opioid OR morphine OR fentanyl OR oxycodone #4. abdominal OR epigastrium OR middle OR upper abdomen OR pancreas cancer #5. anesthesia OR medication #6. nerve block #7. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 AND #7 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese,
p.262
clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial ● 胸部の痛みに対する有効な治療は何か? 胸部の痛み4 [臨床疑問52] (P203 参照)胸部の痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問53] (P203 参照)胸部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、239 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. opioid OR morphine OR fentanyl OR ocycodone #4. chest OR thoracic OR back OR mamma OR esophagus OR mediastinum #5. anesthesia OR medication #6. #1 AND #2 AND #3 AND #4 AND #5 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問54] (P204 参照)胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、239 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. chest OR thoracic OR back OR mamma OR esophagus OR mediastinum #4. opioid OR morphine OR fentanyl OR ocycodone #5. anesthesia OR medication #6. block OR cordotomy OR ablation #7. #1 AND #2 AND #3 AND #4 #8. #1 AND #2 AND #4 AND #5 #9. #1 AND #2 AND #3 AND #6 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial
p.263
IV章資料 ● 直腸がんなどによる会陰部の痛みに対する有効な治療は何か? 直腸がんなどによる会陰部の痛み5 [臨床疑問55] (P207参照)直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。 [臨床疑問56] (P207参照)直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、301件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. block OR anesthesia #4. rectal OR pelvis OR pelvic OR perineal OR perineum OR anal OR anus OR perianal OR genital OR genitalia OR urogenital OR lumbosacral OR sacral OR coccygeal OR saddle #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問57] (P208 参照)直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、301件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす1件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. block OR anesthesia #4. rectal OR pelvis OR pelvic OR perineal OR perineum OR anal OR anus OR perianal OR genital OR genitalia OR urogenital OR lumbosacral OR sacral OR coccygeal OR saddle #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial ● 悪性腸腰筋症候群による痛みに対する有効な治療は何か? 悪性腸腰筋症候群による痛み(腸腰筋へのがんの浸潤・転移に伴って起こる鼠径部・大腿・膝の痛み) 6 [臨床疑問58] (P211参照)悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。
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[臨床疑問59] (P211参照)悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、3 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. psoas syndrome OR malignant psoas syndrome #4. #1 AND #2 AND #3 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問60] (P212 参照)悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、3 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. psoas syndrome OR malignant psoas syndrome #4. #1 AND #2 AND #3 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial [臨床疑問61] (P213 参照)悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、3 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh:exp]OR neoplas*[tiab]OR cancer*[tiab]OR carcinoma*[tiab]OR tumour*[tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma*[tiab]OR leukemi*[tiab]OR leukaemi*[tiab]OR lymphoma*[tiab]OR malignan*[tiab]OR oncolog*[tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain*[tiab]OR nocicept*[tiab]OR neuropath*[tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh:exp]OR analgesics[mesh:exp]OR analgesia[mesh:noexp] #3. psoas syndrome OR malignant psoas syndrome #4. #1 AND #2 AND #3 Limits: 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, clinicaltrial/Meta-analysis/Randomized controlled trial/Controlled clinical trial ● 消化管閉塞による痛みに対する有効な治療は何か? 消化管閉塞による痛み7 [臨床疑問62] (P215 参照)消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、行うべき評価は何か? 文献検索は行わなかった。
p.265
IV章資料 [臨床疑問63] (P215 参照)消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、16 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たすものは0 件であった。 #1. neoplasms[mesh: exp]OR neoplas[* tiab]OR cancer[* tiab]OR carcinoma[* tiab]OR tumour[* tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma[* tiab]OR leukemi[* tiab]OR leukaemi[* tiab]OR lymphoma[* tiab] OR malignan[* tiab]OR oncolog[* tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain[* tiab]OR nocicept[* tiab]OR neuropath[* tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh: exp]OR analgesics[mesh: exp]OR analgesia[mesh: noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR opioid OR opiate OR pentazocine OR buprenorphine OR tramadol OR codeine #4. Intestinal obstruction OR((bowel OR intestine OR gastrointestinal OR colon OR colorectal OR retrosigmoid)AND(obstruct OR blockage)) #5. #1 AND #2 AND #3 AND #4 Limits: Publication Date from 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, All Adult: 19+ years [臨床疑問64] (P216 参照)消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、消化管分泌抑制薬(オクトレオチド、ブチルスコポラミン臭化物)は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、12 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす3 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh: exp]OR neoplas[* tiab]OR cancer[* tiab]OR carcinoma[* tiab]OR tumour[* tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma[* tiab]OR leukemi[* tiab]OR leukaemi[* tiab]OR lymphoma[* tiab]OR malignan[* tiab]OR oncolog[* tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain[* tiab]OR nocicept[* tiab]OR neuropath[* tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh: exp]OR analgesics[mesh: exp]OR analgesia[mesh: noexp] #3. somatostatin OR octreotide #4.“scopolamine butylbromide”OR“hyoscinebutylbromide”OR“Butylscopolammonium Bromide” #5. Intestinal obstruction OR((bowel OR intestine OR gastrointestinal OR colon OR colorectal OR retrosigmoid)AND(obstruct OR blockage)) #6.#1 AND #2 AND #5 AND(#3 OR #4) Limits: Publication Date from 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, All Adult: 19+ years [臨床疑問65] (P217参照)消化管閉塞による痛みのあるがん患者に対して、コルチコステロイドは、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 以下の検索式でPUBMEDを検索したところ、12 件が該当した。これに加えて、hand search、Cochrane Libraryの該当項目、既存のガイドラインなどの引用文献のうち、臨床疑問に関連し、適格基準を満たす3 件につき検討した。 #1. neoplasms[mesh: exp]OR neoplas[* tiab]OR cancer[* tiab]OR carcinoma[* tiab]OR tumour[* tiab] OR tumor[tiab]OR tumors[tiab]OR adenocarcinoma[* tiab]OR leukemi[* tiab]OR leukaemi[* tiab]OR lymphoma[* tiab]OR malignan[* tiab]OR oncolog[* tiab]OR metastati* OR metastas* #2. pain[* tiab]OR nocicept[* tiab]OR neuropath[* tiab]OR analgesi*[tiab]OR pain[mesh: exp]OR analgesics[mesh: exp]OR analgesia[mesh: noexp] #3. morphine OR fentanyl OR oxycodone OR opioid OR opiate OR pentazocine OR buprenorphine OR tramadol OR codeine #4. Adrenal Cortex Hormones OR(17-ketosteroids OR androstenedione OR androsterone OR(estrone next sulphate)OR etiocholanolone OR prasterone OR dehydroepiandrosterone OR hydroxycorticosteroids OR(11 next hydroxycorticosteroid)OR 17-hydrocorticosteroids OR deoxycorticosterone OR deoxycorticosterone OR pregnenolone OR corticosteroids OR hydrocortisone OR budesonide OR prednisolone OR methylprednisolone OR efcortesol OR hydrocortisone OR(solu next cortex)OR budesonide OR entocort* OR budenofalk OR(deltacortril next enteric)OR equllenin OR 18-hydroxycorticosterone OR aldosterone OR corticosterone OR hydrocortisone OR hydrocortisone OR tetrahydrocortisol OR tetrahydrocortisol OR cortisone OR cortodoxone) #5. Intestinal obstruction OR((bowel OR intestine OR gastrointestinal OR colon OR colorectal OR
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retrosigmoid)AND(obstruct OR blockage)) #6. #1 AND #2 AND #4 AND #5 Limits: Publication Date from 1995/01/01 to 2008/07/31, Humans, English, Japanese, All Adult: 19+ years (篠原明子、有賀悦子)
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IV章資料 3 今後の検討課題 1 今後の検討課題 以下の案件については今回のガイドラインの作成過程において、議論したが収束できなかったためか、取り上げられたが十分な議論を行う時間がなかったため、次回の改訂の際に再度検討することとした。「背景」では用語の統一に関するいくつかの議論が不十分であり、今後、日本ペインクリニック学会などの関連学会とも協力したうえで用語の整理を行う必要がある。「推奨」では詳細を具体的に記載できなかった項目で、エビデンスが不十分であったためこれらの領域の臨床研究を推進する必要がある。 ◦ いわゆるトータルペインとしての痛みの評価や対応を検討すること◦ 患者・家族との痛みに関するコミュニケーションについて事項を検討すること◦ 緩和ケアを担当する医師と、がんの治療に当たる医師など緩和ケアを専門としない医師、看 護師、薬剤師などの連携やチーム医療についての項目を検討すること◦ 特に在宅医療での疼痛治療について検討すること◦ ダイジェスト版などより簡便な普及版を作成すること◦ 個々の薬剤の具体的な使用方法を詳細に、簡便に記載すること◦ ガイドラインに基づく診療の質を評価する方法(clinical indicator)を作成すること◦ 日本緩和医療学会の提示している他の事業で使用されている疼痛ガイドラインとの整合性 について詳細な記載をすること◦ 推奨の強さとエビデンスレベルの評価のプロセスの詳細を記載すること ◦ 「疼痛」と「痛み」の区別について詳細に検討すること◦ 「がん疼痛」と「がん性疼痛」の区別について詳細に検討すること◦ 「がん疼痛」の分類(「がんによる疼痛」や「がん自体による疼痛」の表記など)と、がん疼 痛がどの範囲を指すのかについて詳細に検討を行うこと◦ Oncology emergencyの最も適切な日本語訳について詳細の検討を行うこと◦ 突出痛のサブタイプの分類と、「随伴痛」、「体動時痛」の定義についてより詳細に検討する こと◦ 突出痛のうち、痛みの誘因のないもの(誘因のない突出痛、spontaneous pain)の日本語訳 を詳細に検討すること◦ End-of-dose failureの日本語訳として、「定時鎮痛薬の・定期鎮痛薬の」「切れ際の・切れ 目の」「痛み・疼痛」の組み合わせのいずれが最も適切かを詳細に検討すること◦ End-of-dose failureを突出痛として扱うべきか、持続痛として扱うべきかをさらに詳細に 検討すること◦ 臨時追加投与量の記載方法が、「臨時追加投与量(レスキュー・ドーズ)」、「レスキュー・ドー ズ」などいずれが適切かについて詳細に検討すること◦ 「蠕動痛」と「疝痛」の異同について詳細に検討すること◦ 「痛みの包括的評価」といった場合に、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛の検討を含 める点にまで言及するかを検討すること、および、「痛みの包括的評価」という表現を見直し 1 今回のガイドラインでは、対応しなかったことについて 2 背景、用語の定義について
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てより適切な表現に修正すること◦ 痛みの性状の表現として、「灼けるような」、「ビーンと走るような」、「槍で突きぬかれるよう な」以外の表現について盛り込むこと◦ 痛みを評価するための複数の尺度や方法のうちどの使用を推奨するかを明確に記載するこ と◦ オピオイドの大量投与に伴って生じる痛覚過敏を含む症候群(paradoxical pain, opioid- induced neurotoxicity、opioid hyperalgesiaなど)の診断基準を明記すること◦ 「疼痛治療」と「疼痛マネジメント」の定義について詳細を検討すること◦ オピオイドローテーション、オピオイドの変更、opioid switchingのいずれの用語が適切で あるかを詳細に検討すること◦ 「共通する疼痛治療」を便宜的に置いたことの妥当性を詳細に検討すること◦ 悪性腸腰筋症候群を個別に扱う意義について詳細に検討すること◦ 腎不全、透析患者に対するオピオイドの選択や使用方法を具体的に記載すること◦ ブプレノルフィン、ペンタゾシンなど、本ガイドラインの推奨で触れなかったオピオイドについ ての詳細を記載すること ◦ 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を効果不十分なため変更するときの、具体的な NSAIDsの種類と、変更回数について記載すること◦ オピオイド未投与の患者に、フェンタニル貼付剤を投与する対象や適応などについて記載す ること◦ オピオイドを開始する時に、下剤を併用し便秘を予防するより具体的な方法について記載 すること◦ オピオイドを開始する時に、制吐薬を併用し嘔気・嘔吐を予防するより具体的な方法につい て記載すること◦ オピオイドで適切な鎮痛効果が得られないとき、オピオイドとコルチコステロイドが有効で ある、患者の特性、病態、痛みの性状、特徴について詳細を記載すること◦ 定時鎮痛薬の切れ目の痛み(end-of-dose failure)のある患者に対して、どのような治療を 行うか、より具体的に記載すること◦ オピオイドを開始後に、嘔気・嘔吐がある患者に対して、想定される病態に応じて制吐薬を 投与することは、一律に同一の制吐薬を投与することと比較して、嘔気・嘔吐を改善するかを検討すること◦ 便秘の定義について詳細に検討し、操作的な定義を記載すること◦ オピオイドを開始後に、せん妄がある患者に対して、抗精神病薬を投与することの推奨度を 検討すること◦ 神経障害性疼痛に対して、鎮痛補助薬を投与することの推奨度を検討すること◦ 神経障害性疼痛に対して、鎮痛補助薬が有効である、患者の特性、病態、痛みの性状、特 徴を記載すること◦ 神経障害性疼痛に対して、鎮痛補助薬を投与後に、効果不十分であった場合に、鎮痛補助 薬を変更、増量、併用することの臨床的妥当性を記載すること・ 消化管閉塞による痛みのある患者に対して、NSAIDsが有効であるかを記載すること (新城拓也) 3 今後の検討や、新たな研究の必要なこと
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IV章資料 はじめに 本ガイドラインでは、がん疼痛に関して、学会またはそれに準じる組織が作成・承認している英文のガイドラインをガイドラインプールとした(P255,ガイドラインプール・リストの項参照)。そのなかから、作成プロセスの方法論が述べられており、臨床的に有意義と思われる6 編を選択し、それらの記載のうち薬物療法に関連する基本的な部分(特に推奨レベルが記載された部分)、臨床的に意義のあると思われる部分(他の専門家に相談するために知っておくべきことなど)を抜粋し適宜補足して、参考となるように以下に要約した。 1 NCCNの成人のがん疼痛に対する臨床ガイドライン(2008, Web) ◦ National Comprehensive Cancer Network(NCCN)のパネルメンバーにより作成された コンセンサスレポートで、推奨カテゴリーはすべて2Aである(推奨カテゴリーは1、2A、2B、3の4 段階で、2Aは「臨床経験を含むやや低いレベルのエビデンスに基づき、推奨が適切であるという点でNCCN 内のコンセンサスが統一している」とされる)。疼痛重症度による治療アルゴリズム(図1)を示している点、個別的な多様性を認めたうえで具体的な処方量や増量のタイミングなどを例示している点を特徴とする。 1)包括的評価◦ 痛みの重症度を、Numeric Rating Scale(NRS)などを使用して評価する。さらに、痛みの 部位、生活への支障、時間因子 (発症時期、発症からの経過、持続痛か突出痛か)、性状(電気が走るようなど)、増悪因子と軽快因子、併存症状、現在の疼痛治療とその効果などを評価する。 2)NSAIDs とアセトアミノフェン◦ 患者が効果を実感する薬剤のいずれかを使用する。一般には、イブプロフェン400mg/日(最大3,200mg/日)、または、アセトアミノフェン650mgを4 時間ごとまたは1,000mgを6時間ごと(最大4,000mg/日)を使用する。選択的COX-2 阻害剤は、血小板機能に影響がなく、消化管の影響も少ないが、腎機能障害を軽減することは示されていない。 3)オピオイド◦ 非オピオイド鎮痛薬を上限量使用時、またはNRS≧4の時、オピオイドを開始する。突出痛(体動時痛を含む)、定時服用前の疼痛増悪の時などに、経口レスキュー・ドーズとして1日量の10 〜20%量の速放性製剤を必要時1時間以上あけて服用し、直近24 時間の使用量をもとに至適量を決定して増量する。増量の速さは重症度により異なる(図1)。◦ オピオイドローテーションの際、疼痛コントロールが良好だった場合は交差耐性が不完全で ある可能性を考慮して計算上等力価の換算量より25 〜50%減量し、コントロール不良だった場合は25%増量、または同等量で開始する。ブプレノルフィン、ペンタゾシンは推奨されない。◦ フェンタニル貼付剤の使用は、鎮痛効果が不安定な場合は推奨されない。増量は直近72 時間のレスキュー・ドーズ使用量をもとに決定する。ローテーションの際は、個人差が大き 海外他機関による疼痛ガイドラインの抜粋 IV章資 料4
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いので適宜調整が必要である。 4)オピオイドの副作用対策◦ オピオイドの副作用のうち便秘以外は一般に耐性が生じるが、副作用が継続し難治性の場 合は、他の原因を除外したうえでオピオイドローテーションを検討する。◦ 便 秘: センナなどの大腸刺激薬を使用し、飲水・食物繊維の摂取や運動を促して便秘 を予防する。他にマグネシウム剤、ビサコジル剤、ラクツロース、メトクロプラミドなどで治療する。 ◦ 嘔 気: オピオイド処方時には制吐薬(プロクロルペラジン、ハロペリドール、メトクロプラミ ドなど)を頓用処方し、いつでも使用できるようにする。 ◦ せん妄: ハロペリドール(0.5 〜2mgを4〜6 時間ごとに経口)またはその他の抗精神病薬で 治療する。◦ 呼吸抑制:意識障害が生じる場合、ナロキソン(生食で希釈し、0.04〜0.08mgを30 〜60 秒ごとに、症状が改善するまで繰り返す)で対応する。オピオイドの半減期はナロキソンの半減期より長いので注意する。10 分以内に1mg 使用しても意識が戻ら 〔NCCNガイドラインより改変〕 図1 疼痛重症度とオピオイド使用の有無による治療アルゴリズム 疼痛重症度 評価と治療・ケアを継続 中等度(NRS4~6)重度(NRS7~10)軽度(NRS1~3) 速放性製剤で調整 15分後評価次回診察時に評価60分後評価 速やかに速放性製剤で調整 点滴使用経口投与可能 不変NRS4~6に低下NRS0~3に低下 オピオイド未使用者 モルヒネ速放性製剤 5~15mg オピオイド既使用者 前24時間のモルヒネ使用量の 10~20%の速放性製剤 モルヒネを50~100% 増量して再度治療再度同治療を繰り返し必要時に同治療 オピオイド未使用者 モルヒネ注2~5mg オピオイド既使用者 前24時間のモルヒネ使用量の 10~20%量 NSAIDsまたはアセトアミノフェンで調整 速放性製剤も検討 【2~3回繰り返しても緩和しない場合】・包括的に再度評価し、他の方法を検討・経口投与の場合は、点滴に変更することを検討
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IV章資料 ない場合は別の原因を考える。◦ 眠気・鎮静: カフェインの併用、オピオイドの減量、頻回分割投与などを試みる。 5)神経障害性疼痛に対する鎮痛補助薬◦ 神経障害性疼痛に対する鎮痛補助薬としては、抗うつ薬と抗けいれん薬が第一選択であ る。モルヒネの効果が不十分な時に鎮痛補助薬の併用は有効であるが、がん患者のデータはまだ不十分であり、神経障害性疼痛の種類や個人により効果の差が大きい。薬剤の選択は、副作用のプロフィールと併存疾患・全身状態による。◦抗うつ薬: 一般にうつ病の治療の場合より比較的少量で効果があり効果出現も早い。オピ オイドとの併用で、三環系抗うつ薬を低用量で開始し、抗コリン作用による副作用に注意しながら3〜5日ごとに増量する(例えばノルトリプチリン10 〜25mgを就寝前で開始し、50 〜150mgまで増量する)。 ◦ 抗けいれん薬:オピオイドと併用で、ガバペンチン100 〜300mg 就寝前で開始し、3日ごと に900 〜3,600mg(分2〜3)まで増量するが、高齢者・腎不全症例では注意が必要である。 ◦ コルチコステロイド:緊急性の高い激痛や骨・神経叢が障害されたことによる激痛の場合 に有用とされる。 6)病態による薬剤の選択◦ 炎症に伴う痛みにはNSAIDsまたはコルチコステロイド、骨転移痛にはNSAIDs・放射線 治療・神経ブロック・ビスホスホネート・感受性がある場合には内分泌療法や化学療法・コルチコステロイドなど、神経圧迫にはコルチコステロイド、神経障害性疼痛には抗うつ薬・抗けいれん薬を使用する。 7)薬物療法以外の対応◦ 理学療法的なサポート(理学療法、日常生活動作のサポート、マッサージ、温寒刺激、鍼灸 など)、精神的なサポート(イメージ療法、リラクセーション、認知行動療法、スピリチュアルケアなど)を行う。◦ 神経ブロックで鎮痛効果の可能性がある場合(膵臓がん、上部消化器がんの腹腔神経叢 ブロックや、肋間神経ブロックなど)や、オピオイド治療で鎮痛効果を得るのが困難な場合、インターベンション治療を相談する。 2 経口モルヒネの副作用対策:エビデンスに基づいたレポート (2001, JCO) ◦ European Association of Palliative Care(EAPC) の専門家作業部会が作成したオピニ オンレポートである。◦ オピオイド使用時に副作用症状が出現した際は、他の原因との鑑別診断が重要である。1 中枢神経性(脳転移、髄膜播種、脳血管障害、硬膜外出血)、2代謝性(脱水、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、肝不全、低酸素血症)、3敗血症/感染症、4消化管閉塞、5医原性(三環系抗うつ薬・ベンゾジアゼピン・抗菌薬・コルチコステロイド・NSAIDsなどの薬剤性、化学療法、放射線治療)を除外診断する。
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◦ 副作用の対応として、1オピオイドの減量、2副作用症状に対する対症療法の強化、3オピ オイドローテーション、4薬物投与経路の変更、を検討する。◦ 1のオピオイドの減量に関しては、疼痛緩和が良好で副作用が軽度から中等度の場合は、 20 〜50%の減量を検討する。それ以外の場合は、痛みの原因に対する化学療法・放射線治療、神経ブロック、非オピオイド鎮痛薬や鎮痛補助薬の併用により、減量が可能か検討する。◦ 2の副作用症状に対する対症療法の強化としては、以下のように、個々の症状に対応する。◦ 嘔気・嘔吐(経口モルヒネ服用者の15 〜30%で生じる)は、メトクロプラミド、ハロペリドー ル、プロクロルペラジン、ジメンヒドリナート、オンダンセトロンなどが推奨される。モルヒネの皮下投与への変更で嘔気・嘔吐が減少する場合がある。◦ 便秘(経口モルヒネ服用者の40 〜70%で生じる)は、代謝性疾患(糖尿病、高カルシウム血 症、低ナトリウム血症、尿毒症、甲状腺機能低下症)、脱水、高齢、活動量の低下、食物繊維摂取の低下、利尿薬などの薬剤で増悪する。センナ、ビサコジル、ラクツロースの投与が推奨される。◦ 眠気(経口モルヒネ服用者の20 〜60%で生じ、用量依存性である)は、皮下投与への変更 やオピオイドローテーションで改善する場合がある。◦ 軽度の認知障害(オピオイドの開始時・増量時に生じやすく、用量依存性である)は、ハロペ リドールが治療薬として推奨されるが、オピオイドローテーションで改善する可能性がある。 3 突出痛:EAPC working groupによるコンセンサス・レポート (2002, Cancer) ◦ European Association for Palliative Care(EAPC)の専門家作業部会が作成したコンセ ンサス・レポートである。◦ 突出痛はオピオイドを含む鎮痛薬を使用しても40 〜80%の高頻度に出現する。◦ 突出痛では、痛みの強さ、頻度、持続時間、性質、増悪因子や軽快因子を正確に評価する 必要がある。突出痛の治療には、背景にある痛みの状態に応じて分類する図2の評価アルゴリズムが有用である。◦ 突出痛の治療では、1オピオイドの量や投与スケジュールの見直し、2鎮痛補助薬の併用、 3定期オピオイドの増量や投与間隔の短縮、4レスキュー・ドーズの調整、5活動方法の見直しを検討する。◦ 原因に対する治療として、ホルモン療法、化学療法、放射線治療、外科治療、コルセットを 検討する。◦ 神経障害性疼痛の薬物療法には、図3のアルゴリズムが提唱されている。痛みの性質では 特定の薬剤の効果は予測できないことが示唆されているが、アルゴリズムでは便宜的に、「灼熱痛」(burning pain)には抗うつ薬、「電撃痛」(lancinating pain)には抗けいれん薬と示されている。その他、病態や副作用により、NSAIDs、アセトアミノフェン、コルチコステロイド、オピオイドを使用し、ビスホスホネート、ケタミン、抗不整脈薬などを組み合わせる。◦ 経口投与の場合、効果が最大になるのは投与後概ね60 分であるため、突発的に発症し持 続しない痛みの治療には不適である。皮下投与は、静脈内投与より効果発現が遅い。
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IV章資料 4 がん疼痛におけるモルヒネと代替オピオイド: EAPCの推奨(2001, BJC) ◦ European Association for Palliative Care (EAPC)が作成した、モルヒネに関する推奨 である (A:質のよい1つ以上の無作為化比較試験に基づく。B:良くデザインされた臨床研究に基づく。C:専門家委員会の報告や意見、またはエキスパートの臨床経験に基づく)。◦ 中等度から重度のがん疼痛に対する第一選択はモルヒネであり(C)、最適な投与経路は経 図2 突出痛の評価アルゴリズム 〔EAPCガイドラインより一部改変〕 電撃痛(lancinating, shooting pain) 体動時の痛み(pain with movement)灼熱痛(burning pain) 骨・骨膜痛神経障害性疼痛 腸蠕動による痛み (colicky)内臓痛接触による痛み(pain with contact)軟部組織痛 痛みの緩和が不十分 あり なし なし あり 突出痛 重度の持続する痛みWHOガイドラインを使用 患者の教育と情報提供痛みの増悪・軽快因子 痛みの種類随伴する痛み(incident pain) 図3 神経障害性疼痛の治療アルゴリズム 〔EAPCガイドラインより一部改変〕 ケタミン・抗不整脈薬なし なし あり 電撃痛(lancinating pain)灼熱痛(burning pain) オピオイドの増量レスキュー・ドーズの適切な使用 抗うつ薬 オピオイド・局所麻酔薬・クロニジンの硬膜外・くも膜下投与 痛みの緩和が不十分 痛みの緩和が不十分 痛みの緩和が不十分 あり 神経障害性疼痛 鎮痛補助薬抗けいれん薬 コルチコステロイド・理学療法 (放射線治療・化学療法)浮腫・腫脹 鎮痛薬による副作用
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口で、徐放性製剤(維持用)と速放性製剤(レスキュー・ドーズ用)の2種類が必要である(C)。◦ 最も簡便な至適量の調整法は、4 時間ごとにモルヒネ速放性製剤を経口投与し、疼痛時に も同量を経口投与する方法である。レスキュー・ドーズは1時間あけて必要時何度でも経口投与し、毎日、必要量を調整していく(C)。就寝前に2倍量経口投与するのは、夜間の突出痛を防ぐ簡便で有効な方法である(C)。◦ 徐放性製剤服用時刻の前に痛みが増悪する場合は、徐放性製剤を増量する。種々のモル ヒネ徐放性製剤があるが、持続時間や鎮痛効果に優劣の差はない(A)。徐放性製剤で安定した鎮痛効果が得られていても、突出痛に対してレスキュー・ドーズ処方が必要である(A)。◦ 経口投与が困難な場合は、代替経路として皮下投与に変更する。筋肉内投与は推奨され ない(C)。静脈内投与が推奨されるのは、静脈カテーテルが留置されている場合、全身性浮腫がある場合、持続皮下注により発赤・痛み・膿瘍が生じた場合、凝固異常がある場合、末梢循環不全の場合である(C)。口腔粘膜下、舌下、吸入でのモルヒネ投与は推奨されない(B)。◦ 経口投与と持続皮下注の鎮痛力価の比は、1:2〜1:3 である(モルヒネ経口投与20 〜 30mg がモルヒネ皮下投与10mgに相当する) (C)。経口投与と静脈内投与の鎮痛力価の比も、1:2〜1:3である(A)。◦ 経口モルヒネ使用時に副作用のため十分な鎮痛効果が得られない場合は、オピオイドの変 更や投与経路の変更を検討する(B)。オキシコドンは経口モルヒネの代替薬として有用である(A)。フェンタニル貼付剤は、必要量が安定している場合には、モルヒネの代替薬として有用である(B)。◦ これらモルヒネ代替薬の適切な使用にもかかわらず副作用が強く鎮痛効果が得られない 場合は、神経ブロックなどを検討する(B)。 5 がん疼痛のマネジメント:ESMOの臨床的推奨(2004,ESMO) ◦ European Society of Medical Oncology Guidelines (ESMO)working group が作成 したがん疼痛に関する推奨報告である。◦ 頻 度: 進行がん患者の80%以上で、主に腫瘍の直接浸潤による痛みを生じる。痛みは がんの進行度の指標にもなるので重要である。がん患者の痛みの20%はがん治療に起因するものである。 ◦ 増量スケジュール:疼痛時に、1日量の10%までの量をレスキュー・ドーズとして使用する。 1日4回以上必要なら、定時徐放性製剤の増量を検討する。 ◦ 副作用の対処:鎮痛補助薬、神経ブロック、放射線治療を併用してオピオイドを減量し、オ ピオイドローテーション・投与経路の変更や、制吐薬などの対症療法を行う。オピオイド過量による副作用症状が重症化した場合はナロキソンを使用する。 ◦ 放射線治療:特に骨転移痛・神経圧迫・脳転移による痛みに有効である。◦ 外科治療:特に骨折時や管腔臓器の閉塞時の痛みに有効である。◦ 難治性の 痛みの治療:神経障害性疼痛はオピオイドの効果が不十分な場合が多く、鎮痛 補助薬の併用が必要である。非オピオイド鎮痛薬・オピオイドに、抗うつ薬、抗精神病薬・抗けいれん薬を組み合わせる。神経圧迫にはコルチコステロイドを、骨転移痛にはビスホスホネートを使用する。痛みが緩和されない患者には、ケタ
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IV章資料 1) National Comprehensive Cancer Network: NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology, Adult cancer pain. http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/pain.pdf, 2008 2) Strategies to manage the adverse effects of oral morphine: An evidence-based report. J Clin Oncol 2001; 19: 2542-54 3) Episodic(breakthrough)pain. Consensus Conference of an Expert Working Group of the European Association for Palliative care. Cancer 2002; 94: 832-9 4) Morphine and alternative opioids in cancer pain; the EAPC recommendations. Br J Cancer 2001; 84: 587-93 5) Management of cancer pain: ESMO clinical recommendations. Ann Oncol 2007; 18(2 Suppl): ii92-4 6) Palliative care in lung cancer: ACCP evidence-based clinical practice guidelines(2nd edition). Chest 2007; 132(3 Suppl): S368-403 7) Acute pain management: Scientific evidence. Australian and New Zealand College of Anaesthetists and Faculty of Pain Medicine, 2nd Edit. http://www.anzca.edu.au/resources/books-and-publications/acutepain.pdf, 2005 8) SIAARTI recommendations on the assessment and treatment of chronic cancer pain. Minerva ミンや神経ブロックなどが有効な時があり、終末期には鎮静が必要な場合がある。 6 肺がんの緩和ケア:エビデンスに基づいたACCPの臨床ガイドライン (2007, Chest Online) ◦ American College of Chest Physicians (ACCP)作成の文献レビューによる推奨で、肺 がん患者を対象としている(エビデンスの質により、強い推奨(1A〜1C)、弱い推奨(2A〜2C)の6 段階に分類されている)。◦ 軽度から中等度の痛みには、禁忌でなければアセトアミノフェンまたはNSAIDsを開始し、 重度な場合・増悪する場合はオピオイドを開始する(1B)。鎮痛薬のみで鎮痛困難な場合、三環系抗うつ薬・抗けいれん薬などの鎮痛補助薬の併用で鎮痛効果が上がる(1C)。◦ 簡便で安価なので経口投与を優先するが、経口困難な場合は坐剤・貼付剤を使用する。 筋肉内投与は痛みがあり吸収が不安定なので推奨されない(1C)。◦ 便秘は一般的な副作用であり、予測して予防的に下剤を使用し、定期的に評価する(IB)。◦ 可能な限り運動を促し、寝たきりを避ける(1B)。◦ 筋緊張に関連する痛みの場合は、皮膚刺激(温寒刺激)、鍼灸、心理的サポートの併用が推 奨されるが、これらは薬物療法に取って代わるものではない(1C)。◦ 疼痛緩和目的で放射線治療や化学療法を行うことを検討する(1B)。標準的な薬物療法 で鎮痛困難な場合、麻酔科や緩和ケアの専門家に相談する(1C)。◦ 骨転移痛に対しては、鎮痛目的の放射線治療を行い、ビスホスホネートを併用する(1A)。 鎮痛困難な場合は、放射線医薬品(ストロンチウム)の使用を検討する(1B)。固定術の適応は、長管骨や荷重がかかる骨の転移で、4 週以上の生存が見込まれ全身状態が良好な場合である(1C)。◦ 脊髄圧迫の確定診断には、単純X 線、骨シンチグラフィ、CT ではなく全脊髄のT1強調 MRIを撮ることが推奨される(1C)。 (小原弘之、田中桂子) ガイドラインプール・リスト
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Anestesiol 2003; 69: 697-729 9) Practice guideline Summary version of the standards, options and recommendations for the use of analgesia for the treatment of nociceptive pain in adults with cancer(update 2002). Br J Cancer 2003; 89(1 Suppl)S67-72 10) Evidence-based interventions to improve the palliative care of pain, dyspnea, and depression at the end of life: A clinical practice guideline from the American college of physicians. Ann Intern Med 2008; 148: 141-6 11) Pain measurement tools and methods in clinical research in palliative care: recommendations of an expert working group of the European association of palliative care. J Pain Symptom Manage 2002; 23: 239-55 12) Evidence-based standards for cancer pain management. J Clin Oncol 2008; 26: 3879-85
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索 引 ◆和文◆ あアセトアミノフェン 64,106,108 ―― による肝細胞壊死 64 ―― の副作用 64アマンタジン 190アミオダロン 53,54アミトリプチリン 67,68,189,192,212アモキサピン 67アラキドン酸代謝経路 62アルコール 57アロディニア 16,43 ―― の定義 10アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬) 54アンペック 38亜鉛華軟膏 51悪性腸腰筋症候群 21,185,210 ―― による痛み,筋弛緩薬 212 ―― による痛み,神経ブロック 213 ―― による痛み,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド (の使用) 211 いイトラコナゾール 53イフェンプロジル 190イブプロフェン 54,125イミプラミン 68痛み―― のパターン 18,26 ―― の経過 28 ―― の軽快因子 28 ―― の神経学的分類 14 ―― の性状 28 ―― の増悪因子 28 ―― の強さ 26 ―― の定義 9,14 ―― の伝達 15 ―― の日常生活への影響 25 ―― の部位 28 ―― の臨床的症候群 20 痛みの評価 25 ―― ,原因の評価 24 ―― ,強さの評価 27 ―― ,評価シート 30痛みの包括的評価 24 ―― の定義 11依存症候群(dependence syndrome) 56異常感覚 16 ―― の定義 10胃潰瘍 109 えエビデンスレベル 6,7 ―― の定義 9エプタゾシン 39会陰部の痛み 206 ―― ,神経ブロック 208 ―― ,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(の使用) 207 おオキシコドン 35,39,43,155 ―― ,肝機能障害患者への使用 47 ―― ,腎機能障害患者への使用 46 ―― ,透析患者への使用 47 ―― の最高血中濃度 44 ―― の生体内利用率 44 ―― の注意すべき相互作用 53 ―― の薬物相互作用 53オキシコンチン 39オキシモルフォン 44オキノーム 39,55オクトレオチド 67,216オピオイド 35,68,114,116 ―― とケタミンの併用 135 ―― とコルチコステロイドの併用 136 ―― と抗うつ薬の併用 192 ―― と抗けいれん薬の併用 192 ―― と食事の影響 55 (太字は主要ページ)
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―― と非オピオイド鎮痛薬の併用 130,148 ―― ,持続痛 130 ―― ,突出痛 148 ―― による身体依存 61 ―― による精神依存 61 ―― による耐性 59,61 ―― による副作用 41,47,50,150 ―― ,嘔気・嘔吐 47,49 ―― ,幻覚 50 ―― ,呼吸抑制 50 ―― ,口内乾燥 51 ―― ,せん妄 50 ―― ,瘙痒感 51 ―― ,対策(消化器系の) 47 ―― ,対策(消化器系以外の) 50 ―― ,痛覚過敏 52 ―― ,眠気 50 ―― ,排尿障害 51 ―― ,便秘 48,49 ―― ,ミオクローヌス 52 ―― に対する患者の認識 77,178 ―― の1日投与量 41 ―― の一覧 38 ―― の開始 125 ―― の換算表 42 ―― の誤解 78,178 ―― ,生存期間 78 ―― ,生命予後 79 ―― ,麻薬中毒 78 ―― の選択 116 ―― ,オキシコドン 116 ―― ,コデイン 116 ―― ,特殊な病態での 46 ―― ,フェンタニル 117 ―― ,モルヒネ 116 ―― の代謝 45 ―― の定義 11 ―― の貼付剤 134 ―― の投与経路 40 ―― ,経口投与 40,134 ―― ,経皮投与 40 ―― ,硬膜外投与 52 ―― ,静脈内投与 40,134,169 ―― ,直腸内投与 40 ―― ,皮下投与 134,169 ―― の変更 40,155 ―― の薬物相互作用 52,53オピオイドローテーション 41,132 ―― ,嘔気・嘔吐 154 ―― ,せん妄 175 ―― ,眠気 167 ―― ,便秘 162 ―― の定義 11,41 ―― の適応 41オピオイド受容体 35,37 ―― の構造 35オピスタン 39オプソ 38オランザピン 48,49,153,173オンコロジーエマージェンシー 20,24オンダンセトロン 51,153嘔気・嘔吐 58,122,150 ―― ,オピオイドの投与経路の変更 155 ―― ,オピオイドローテーション 154 ―― ,制吐薬(の使用) 152 ―― の原因 151嘔吐中枢 47かカディアン 38,55カフェイン 167カルバマゼピン 67,68,188,212ガバペンチン 67,68,187,192,211ガンマナイフ 84がん疼痛 14 ―― の種類 15 ―― の定義 11がん疼痛アセスメント 80がん疼痛マネジメント 31,80,178,180 ―― における患者教育 178,180,181 ―― の改善 80 ―― の定義 11がん疼痛治療―― の目標 31下行性抑制系 17,36下肢伸展挙上テスト 22下腸間膜動脈神経叢ブロック 90化学療法―― による神経障害性疼痛 22画像所見 24 ―― による痛みの原因の評価 25画像誘導放射線治療(IGRT) 84開胸術 22 ―― による神経障害性疼痛 22
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―― 後疼痛症候群 22外照射 84肝機能障害 47肝初回通過効果 40,43浣腸 49感覚過敏 16 ―― の定義 10感覚鈍麻―― の定義 10関連痛 14,16 ―― の定義 9き拮抗作用 46拮抗薬 45共通する疼痛治療 104 ―― の定義 12胸部の痛み 202 ―― ,神経ブロック 204 ―― ,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(の使用) 203 強オピオイド 32,114強度変調放射線治療(IMRT) 84局所麻酔薬 69 ―― の作用機序 69 ―― の副作用 69筋力低下による痛み 25 ―― ,原因の評価 25くクエチアピン 50,173クエン酸マグネシウム 161クラリスロマイシン 53クロナゼパム 52,67,188クロルフェニラミンマレイン酸塩 153クロルプロマジン 49,153,173,174グリセリン 49グルクロン酸抱合抑制薬物 53くも膜下オピオイド 91くも膜下鎮痛法 91くも膜下フェノールブロック 204けケタミン 67,190 ―― とオピオイドの併用 135けいれん 55下剤 49,124,160,162経口投与(鎮痛薬の) 32 経皮的椎体形成術 93 ―― の手技 94 ―― の成績 94 ―― の適応 93こコデイン 39,44 ―― ,肝機能障害患者への使用 47 ―― ,腎機能障害患者への使用 46 ―― ,透析患者への使用 47 ―― の最高血中濃度 44 ―― の鎮咳作用 44コリン作動薬 51コルチコステロイド 67,70,187,190,192 ―― とオピオイドの併用 136 ―― の作用機序 70 ―― の副作用 71 ―― 外用剤 51股関節有痛性屈曲固定 212呼吸抑制作用 36,53口腔内保湿剤 51交差耐性 41抗うつ薬 66,67,68,187,189 ―― の作用機序 66 ―― の副作用 66抗けいれん薬 67,69,187,211 ―― の作用機序 69 ―― の副作用 69抗てんかん薬 68抗ヒスタミン薬 123,153抗凝固薬 53抗不整脈薬 67,68,69,187,189 ―― の作用機序 69 ―― の副作用 69高エネルギー放射線治療装置 84高脂肪食摂取 55高周波熱凝固 92硬膜外鎮痛法 91硬膜外ブロック 204合成オピオイド 43骨セメント 93骨転移―― ,脊髄圧迫のない 197 ―― による痛み 194 ―― ,体動時痛 147 ―― ,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(の使用)
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195 ―― ,ビスホスホネート 196骨盤内腫瘍 22混合性疼痛 186さサイバーナイフ 84サドルブロック 208サリチル酸軟膏 51作動薬 45,46最高血中濃度到達時間(Tmax) 55催吐作用 36在宅医療での麻薬の取り扱い 74三環系抗うつ薬 68,189,212酸化マグネシウム 49,124,161しシクロスポリン 54シスプラチン 53シメチジン 53ジアゼパム 67,212ジギタリス 54ジクロフェナク 54,125ジゴキシン 54ジヒドロコデイン 39ジフェンヒドラミン 49,153ジプロフィリン 49,153ジルチアゼム 53視診―― による痛みの原因の評価 24嗜癖(addiction) 56自律神経症状 57持続硬膜外ブロック 213持続痛 18,26,33,128,130 ―― ,オピオイドと非オピオイド鎮痛薬の併用 130 ―― ,レスキュー・ドーズ 131 ―― ,定期投与量の増量 131 ―― の定義 10,18灼熱痛 16 ―― の定義 10弱オピオイド 32,114終末期がん患者 152,153除痛ラダー 32,33徐放性製剤―― の定期投与 146消化管運動抑制作用 36消化管蠕動亢進薬 123,153消化管閉塞による痛み 214 ―― ,コルチコステロイド 217 ―― ,消化管分泌抑制薬 216 ―― ,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(の使用) 215 消化性潰瘍 110上下腹神経叢ブロック 90,208上腹部の痛み 198 ―― ,神経ブロック 200 ―― ,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(の使用) 199 触診 ―― による痛み原因の評価 24身体依存 57 ―― の定義 11 ―― の薬理学的基盤 59身体所見 24 ―― による痛み原因の評価 24侵害受容性疼痛 14,186神経ブロック 88 ―― の定義 12 ―― の適応 88神経根ブロック 92,204,213神経障害性疼痛 14,16,184 ―― ,化学療法による 22 ―― ,開胸術による 22 ―― ,鎮痛補助薬による治療 187 ―― ,鎮痛補助薬の増量 191 ―― ,鎮痛補助薬の併用 191 ―― ,鎮痛補助薬の変更 191 ―― ,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(の使用) 186 ―― におけるモルヒネの精神依存 59 ―― の機序 16 ―― の定義 9,16 ―― の発生機序 17浸透圧性下剤 49,124,160 ―― と大腸刺激性下剤の併用 160進行がん 108人工唾液 51腎がんによる痛み(の症候群) 20腎機能障害 46すスタドール 39ストロンチウム(Sr-89) 86スプライスバリアント 35
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スルホニル尿素薬 54水酸化マグネシウム 161推奨の強さ 7,8 ―― の定義 9膵臓がん 107,198 ―― ,神経ブロック 200 ―― ,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(の使用) 199 ―― ,腹腔神経叢ブロック 200随伴痛―― の定義 10せセダペイン 39セレコキシブ 54セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用44 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 189セロトニン拮抗薬 153センナ 49,160センノシド 49,124,161せん妄 53,171 ―― ,オピオイドの投与経路の変更 176 ―― ,オピオイドローテーション 175 ―― ,抗精神病薬(の使用) 172 ―― の原因 172制吐薬 122,155精神依存 55 ―― の形成抑制 59 ―― の定義 11 ―― の薬理学的基盤 58脊髄圧迫症候群 20,185疝痛 10 ―― の定義 10選択的COX-2阻害薬 109,110選択的セロトニン再取り込み阻害薬 53,189そソセゴン 39ゾレドロン酸 67たダントロレンナトリウム 212体外照射 84体性痛 14 ―― の機序 14 ―― の定義 9,14 ―― の特徴 14 体動時痛―― の定義 10耐性 41,58 ―― の定義 11 ―― の薬理学的基盤 59大黄末 161大腸がん 107 ―― による痛み(の症候群) 21大腸刺激性下剤 49,124,160脱抑制 16ちチアジド系抗利尿薬 54チザニジン 212チトクロムP450 43,44,46地方厚生(支)局麻薬取締部 75中枢神経症状 57中枢神経抑制薬 53中枢性感作 16中枢性筋弛緩薬 67,70 ―― の作用機序 70 ―― の副作用 70中毒(麻薬中毒) 56中脳辺縁ドパミン神経系 58調剤済麻薬廃棄届 72直腸がん 206 ―― ,神経ブロック 208 ―― ,非オピオイド鎮痛薬・オピオイド(の使用) 207 ―― による痛み(の症候群) 22鎮咳作用 36鎮静 53 ―― 効果低下 45 ―― 耐性 59鎮痛補助薬 33,66,187 ―― のNNH 68 ―― のNNQ 68 ―― のNNT 68 ―― の定義 12,66 ―― の投与方法 67 ―― ,経口投与 32 ―― の使用法 31 ―― ,5原則 32 ―― の適量 33
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つ痛覚過敏 16,43 ―― の定義 9痛覚鈍麻―― の定義 10てデキサメタゾン 67,136,212,217デキストロメトルファン 68,190デシプラミン 68デスメチルトラマドール 44デュロテップ 39デルファイ法 222デルマトーム 24低血圧 53低用量アスピリン 55定位放射線治療(SRT) 84定型抗精神病薬 173 ―― の定義 12定時鎮痛薬 19定時鎮痛薬の切れ目の痛み 19,145 ―― ,定期投与量の増量 145 ―― ,投与間隔の短縮 145 ―― の定義 10「適切な鎮痛効果が得られない」状態の定義 12天井効果 33,45,46転移性腫瘍 106電撃痛 16 ―― の定義 10とトラマール 39トラマドール 39,44 ―― によるけいれん発作 44トリアゾール系抗真菌薬 54ドネペジル 166ドパミン 47ドパミンD2受容体 47ドパミン受容体拮抗薬 123,153ドンペリドン 48,49,123,153透析 46頭頸部がん 108突出痛 18,26,33,140 ―― ,オピオイドと非オピオイド鎮痛薬の併用 148 ―― ,オピオイドの定期投与 147 ―― ,レスキュー・ドーズ 142,147 ―― のサブタイプ 19 ―― の定義 10,18 なナロキソン 51内照射 85内臓神経ブロック 88内臓痛 14,15 ―― の機序 15 ―― の定義 9,15 ―― の特徴 15にニコチン 57ニューキノロン系抗菌薬 54乳がんによる痛み(の症候群) 20,21乳房切除後疼痛症候群 22尿閉 53ね眠気 58 ―― ,オピオイドの投与経路の変更 169 ―― ,オピオイドローテーション 167 ―― ,カフェイン(の使用) 166 ―― ,コリンエステラーゼ阻害薬(の使用) 166 ―― ,精神刺激薬(の使用) 166 ―― の原因 165のノルオキシコドン 44ノルトリプチリン 67ノルフェンタニル 43ノルブプレノルフィン 46脳転移 87 ―― ,放射線治療 87はハロペリドール 48,49,50,123,153,173,174バクロフェン 67,212バルビツール酸 57 ―― 誘導体 53バルプロ酸 67,68,188 ―― ナトリウム 211パシーフ 38,55パビナール 39パミドロン酸 67パロキセチン 53,67肺がんによる痛み(の症候群) 20,21
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肺尖部腫瘍 21半合成テバイン誘導体 43晩期障害 23ひヒドロキシジン 153ヒドロコタルニン 39ビサコジル 49,162ビスホスホネート 67,68,71,196 ―― の作用機序 71 ―― の副作用 71ピーガード 38,55ピコスルファート 49 ―― ナトリウム 124,161,162非オピオイド鎮痛薬 32,62,113,114,116 ―― とオピオイドの併用 130,148 ―― ,持続痛 130 ―― ,突出痛 148非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs) 54,62,107, 108 ―― によるアスピリン不耐(過敏)症 64 ―― による胃腸障害 63 ―― による肝機能障害 64 ―― による血小板機能障害 64 ―― による心血管障害 64 ―― による腎機能障害 64 ―― の作用機序 62 ―― の注意すべき相互作用 54 ―― の副作用 63 ―― の薬物相互作用 54非定型抗精神病薬 48,50,153,173 ―― の定義 12非密封小線源治療 85ふフェニトイン 54,67,68,188フェニルピペリジン 43フェノチアジン系抗精神病薬 53,153フェンタニル 35,39,43,58,155 ―― ,肝機能障害患者への使用 47 ―― ,腎機能障害患者への使用 46 ―― ,透析患者への使用 47 ―― の最高血中濃度 43 ―― の生体内利用率 43 ―― の注意すべき相互作用 53 ―― の薬物相互作用 53フルコナゾール 54フルボキサミン 53,67 フルルビプロフェン 54フレア現象 87フレカイニド 190ブチルスコポラミン臭化物 67,216ブチロフェノン系抗精神病薬 50ブトルファノール 39ブプレノルフィン 39,46,53,188プレペノン 38プロクロルペラジン 48,49,109,123,153プロトンポンプ阻害薬 109不対神経節ブロック 209婦人科がんによる痛み(の症候群) 21部分作動薬 45腹腔神経叢ブロック 88,200複方オキシコドン注射剤 39物質依存(substance dependence) 57文献検索式 227へベタメタゾン 67ベンゾジアゼピン系抗不安薬 52,67,71,174 ―― の作用機序 71 ―― の副作用 71ペチジン 39ペチロルファン 39ペメトレキセド 54ペモリン 167ペロスピロン 173ペンタジン 39ペンタゾシン 39,45,53 ―― の最高血中濃度 45便秘 47,53,124,158 ―― ,オピオイドローテーション 162 ―― ,下剤(の使用) 160 ―― の原因 159 ―― の定義 12ほボリコナゾール 53,54放射線照射後疼痛症候群 23放射線治療 83放射線同位元素 84,86まマレイン酸クロルフェニラミン 49麻痺性イレウス 53
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麻薬―― の海外への携帯 73 ―― の管理 72 ―― の交付 72 ―― の自己管理 73 ―― の譲渡・譲受(小売業者間での) 73 ―― の施用 72 ―― の定数保管 73 ―― の取り扱い(病院・診療所での) 73 ―― の取り扱い(薬局での) 73 ―― の廃棄 72,73 ―― の郵送 74麻薬拮抗性鎮痛薬 39,45,53 ―― の定義 12麻薬事故届 72麻薬処方せん 72 ―― ,ファックスによる 74麻薬性鎮痛薬 43麻薬中毒 56麻薬免許証 72末梢神経ブロック 92末梢性感作 16慢性炎症性疼痛 59みミソプロストール 54ミダゾラム 52ミルナシプラン 53密封小線源治療 84めメキシレチン 67,68,190メチルフェニデート 166メチルプレドニゾロン 136,217メトクロプラミド 48,49,123,153メトトレキサート 53,54メロキシカム 54メントール 51めまい 53もモダフィニル 167モルヒネ 35,38,43,58,155 ―― ,肝機能障害患者への使用 47 ―― ,腎機能障害患者への使用 46 ―― ,透析患者への使用 46 ―― の最高血中濃度 43 ―― の生体内利用率 43 ―― の精神依存の形成抑制 59 ―― の注意すべき相互作用 53 ―― の薬物相互作用 53モルヒネ-3-グルクロニド(M3G) 40モルヒネ-6-グルクロニド(M6G) 40モルヒネ徐放性製剤 120 ―― の比較 121モルヒネ速放性製剤 120 ―― の定期投与 145モルヒネ硫酸塩 38モルペス 38や薬動力学的相互作用 52薬物動態学的相互作用 52薬務課 75ゆ有痛性骨転移 85 ―― の放射線治療 85有痛性椎体悪性腫瘍―― の経皮的椎体形成術 95誘因のない突出痛―― の定義 10よヨード(I-131) 87予測できない突出痛 19 ―― の定義 10予測できる突出痛 19 ―― の定義 10陽子線治療 84腰仙部神経叢浸潤症候群 21,185らラクツロース 49,124,160,162りリスペリドン 48,49,153,173リチウム 54リトナビル 54リドカイン 67,190リニアック 84リファンピシン 53リンパ腫による痛み(の症候群) 21離脱症候/離脱症候群 34,45,57,59
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粒子線治療 84るループ利尿薬 54れレスキュー・ドーズ 33 ―― ,増量間隔 131 ―― ,増量幅 131 ―― の効果 29 ―― の定義 12 ―― の投与間隔 144 ―― の投与経路 131,144 ―― ,経口投与 142 ―― ,静脈内投与 143 ―― ,皮下投与 143 ―― の投与量 143 ―― の副作用 29レペタン 39ろロキソプロフェン 54ロラゼパム 174肋間神経ブロック 204わワルファリン 53,54腕神経叢浸潤症候群 21,185 ◆欧文◆ A ACCPのガイドライン 255 ―― ,肺がんの緩和ケア 255 ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬) 54 Aδ線維 14 addiction 56 AGREEガイドライン 222 AIDS患者 174 AMPA受容体 16 B Barrier Questionnaire 76 breakthrough pain 18 C C線維 14,15 computerized decision support system(CDSS) 81 CTZ 47 CYP2D6 44 ―― 阻害薬 53 CYP3A4 43,44,46 ―― 阻害薬 53 D Delirium Rating Scale 173 dependence syndrome 56 DSM-IV 57 E EAPCのガイドライン 251,252,253 ―― ,突出痛 252 ―― ,副作用対策 251 ―― ,モルヒネと代替オピオイド 253 end-of-dose failure 19,145 ESMOのガイドライン 254 ―― ,がん疼痛のマネジメント 254 F Faces Pain Scale(FPS) 26,27 G Gi/o蛋白質 35 GTP結合蛋白質(G蛋白質) 35 H H2受容体拮抗薬 109 I I-131(ヨード) 87 ICD-10 56 IGRT(画像誘導放射線治療) 84 IMRT(強度変調放射線治療) 84 K ketorolac 125 M M3G(モルヒネ-3-グルクロニド) 40 M6G(モルヒネ-6-グルクロニド) 40 maximum drug concentration time(Tmax) 55 Memorial Delirium Assessment Scale(MDAS) 173 methadone 133 MSコンチン 38
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MSツワイスロン 38 N N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体 16 ―― 拮抗薬 67,68,70,187,190 ―― の作用機序 70 ―― の副作用 70 N-デスメチルトラマドール 44 NCCNのガイドライン 249 ―― ,NSAIDs 249 ―― ,アセトアミノフェン 249 ―― ,オピオイド 249 ―― ,オピオイドの副作用対策 250 ―― ,神経障害性疼痛に対する鎮痛補助薬 251 ―― ,病態による薬剤の選択 251 ―― ,包括的評価 249 ―― ,薬物療法以外の対応 251 NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬) 54,62,107, 108 ―― によるアスピリン不耐(過敏)症 64 ―― による胃腸障害 63 ―― による肝機能障害 64 ―― による血小板機能障害 64 ―― による心血管障害 64 ―― による腎機能障害 64 ―― の作用機序 62 ―― の注意すべき相互作用 54 ―― の副作用 63 ―― の薬物相互作用 54 number needed to harm(NNH) 66 number needed to quit(NNQ) 68 number needed to treat(NNT) 66 Numerical Rating Scale(NRS) 26,27 O O-デスメチルトラマドール 44 oral transmucosal fentanyl citrate(OTFC) 142,144 P predictable breakthrough pain 19 S selective serotonin reuptake inhibitor(SSRI) 68,189 serotonin noradrenalin reuptake inhibitor(SNRI) 68, 189 spontaneous pain 19 Sr-89(ストロンチウム) 86 SRT(定位放射線治療) 84 substance dependence 57 Support Team Assessment Schedule日本語版(STAS-J) 25,26,27 T Tmax(maximum drug concentration time) 55 U unpredictable breakthrough pain 19 V Verbal Rating Scale(VRS) 26,27 Visual Analogue Scale(VAS) 26,27 vomiting center(VC) 47 W WHO方式がん疼痛治療法 31 ―― の鎮痛薬リスト 32 ◆数字・ギリシャ文字◆ 5-HT3受容体拮抗薬 51 α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole(AMPA)受容体 16 α1受容体遮断薬 51 δオピオイド受容体 35 κオピオイド受容体 35 μオピオイド受容体 35 ―― ,呼吸抑制作用 36 ―― ,催吐作用 36 ―― ,消化管運動抑制作用 36 ―― ,鎮咳作用 36 ―― ,鎮痛作用 35
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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010 年版定価(本体2,800 円+税) 2010 年6 月 20 日 第1 版第1 刷発行2010 年8 月 15 日 第2 刷発行2011 年3 月 10 日 第3 刷発行2011 年9 月 15 日 第4 刷発行2013 年2 月 25 日 第5 刷発行 編 集 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会 発行者 古谷 純朗 発行所 金原出版株式会社 〒113-8687 東京都文京区湯島 2-31-14電話 編集 (03)3811-7162営業 (03)3811-7184 FAX (03)3813-0288振替口座 00120-4-151494 http://www.kanehara-shuppan.co.jp/ © 2010 検印省略Printed in Japan ISBN 978-4-307-10149-3印刷・製本/三報社印刷(株) <(社)出版者著作権管理機構 委託出版物>本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。複写される場合は,そのつど事前に,(社)出版者著作権管理機構(電話 03-3513-6969,FAX 03-3513- 6979,e-mail : info@jcopy.or.jp)の許諾を得てください。小社は捺印または貼付紙をもって定価を変更致しません。乱丁,落丁のものはお買上げ書店または小社にてお取り替え致します。
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