GL検索 v0.1.0
「腎疾患患者の妊娠:診療ガイドライン2017」 日本腎臓学会・2017・84 ページ · 腎臓・透析 · 産科・婦人科・小児
p.1

        
p.2

        
p.3

        
p.4

        
p.5
妊娠という生命現象が,多くの臓器の生理的な変化を伴うことはよく知られています.腎臓でも,体液量の増加,血管抵抗の低下,血管内皮細胞の機能的変化などを介して,正常妊娠維持のために生理的な負荷がかかり,機能的な変化が起こります.妊娠前に異常のない女性でも,ある一定の割合(定義や母集団によって異なるが約10% 前後)で妊娠高血圧症候群が発症し,その一部は重症化します.一方,自己免疫疾患や原発性糸球体腎炎などは若年女性でも多い疾患であり,慢性腎臓病(CKD)等の腎疾患を持ちながら,妊娠・挙児を希望する症例は少なくありません.腎疾患を持つ女性の妊娠のリスクや合併症,薬剤使用,血圧コントロールなどについて,患者自身や専門医への紹介も含めて相談を受けることも多いと思われます.これに対応する手引きとして,日本腎臓学会から,『腎疾患患者の妊娠:診療の手引き』が2007 年に発刊されました.この手引きは,原疾患別に記載され,妊娠高血圧症候群などの合併症,妊娠時の食事や使用できる薬物もあげられ,妊娠を希望する腎疾患患者や妊娠した腎疾患患者の診療,および他科からのコンサルト対応の参考となっていました.その後,CKD のステージ分類が普及し,意志決定に際しての基本的な考え方の変化,また疾患によっては使用薬剤の変遷等があり,新たなガイドライン改訂を進める必要が生じておりました.このような状況のもと,日本腎臓学会学術委員会「腎疾患患者の妊娠:診療の手引き」改訂委員会が立ちあげられました.作成に際して,この領域におけるレベルの高い臨床研究(エビデンス)が不十分であることは予想されましたが,あえて“手引き”ではなく“ガイドライン”といたしました.日常診療におけるクリニカルクエスチョンを取り上げ,それに答える形式をとることとし,当初からアドバイザーとしてご参画いただいた福井次矢先生の,「たとえエビデンスが十分ではなくても,臨床上重要な問題点について,現状のコンセンサスをもって作成することが重要」というご示唆も拠り所といたしました.妊娠高血圧の一般的な事項に関しては,日本妊娠高血圧学会から詳細な診療指針が2015 年に発刊されており,そちらを参考にしていただきたいと思います.できるだけ重複を避けるため,本ガイドラインは,あくまで“腎疾患患者の妊娠”に焦点を絞りました.したがって,主な利用者は腎臓専門医を想定していますが,産科医や一般内科医にも参考にしていただければ幸いです.本書作成にご尽力いただいた多くの委員をはじめ,関連学会のアドバイザー,オブザーバー,事務局の皆様に深く感謝し,このガイドラインが有効に活用されることを念願しています.おわりに本ガイドラインの上梓に多大なご尽力をいただいた診断と治療社に感謝申し上げます.

日本腎臓学会理事長 柏原直樹腎疾患患者の妊娠:診療の手引き改訂委員会委員長 成田一衛

はじめに
p.6
はじめにiii前文vi腎疾患患者の妊娠:診療の手引き改訂委員会viii CQ 一覧ix主要略語一覧表

慢性腎臓病(CKD)の重症度分類1

妊娠が腎臓に及ぼす生理的な影響3

CKD 患者が妊娠を希望した場合のリスク評価7 CQ1ネフローゼ症候群の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 8 CQ2蛋白尿(3.5 g/日以下)が持続している患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 9 CQ3軽度から中等度の腎機能障害患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 11 CQ4顕微鏡的血尿が持続している患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 15 CQ5高血圧合併患者が妊娠を希望した場合,降圧薬は変更すべきか? 16 CQ6腎炎の病理組織診断により妊娠の予後に違いがあるか? 18 CQ7ループス腎炎の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 20 CQ8抗リン脂質抗体症候群の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 22 CQ9糖尿病性腎症の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 24 CQ10 多発性囊胞腎の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 27 CQ11 維持透析患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 29 CQ12 腎移植患者の妊娠は合併症のリスクが高いか? 32

CKD 患者の妊娠管理35 CQ1妊娠中の腎機能はどのように評価するか? 36 CQ2妊娠中の蛋白尿はどのように評価するか? 38 CQ3妊娠中の腎生検は推奨されるか? 40 CQ4 CKD 患者の妊娠中は腎臓専門医が併診すべきか? 42

I

II

III

IV目 次
p.7
CQ5糖尿病性腎症合併患者における血糖管理は非妊娠時と異なるか? 43 CQ6高血圧合併患者における降圧目標は非妊娠時と異なるか? 44 CQ7維持血液透析患者ではどのくらいの透析量(透析回数,時間など)が推奨されるか? 45 CQ8維持血液透析患者ではどのくらいの貧血管理,体重設定が推奨されるか? 48

妊娠中に使用できる薬物51 CQ1妊娠中の高血圧に対して推奨される降圧薬はどれか? 52 CQ2妊娠中に使用できる免疫抑制薬はどれか? 55

産褥期の注意点57 CQ1腎疾患関連薬で授乳中に禁忌となる薬は何か? 58 CQ2妊娠中に出現した蛋白尿が遷延した場合,出産後どのくらいで腎生検を考慮すべきか?  60 CQ3妊娠・出産は長期的な腎予後に影響があるか? 62

索 引65

V

VI
p.8
本ガイドライン作成の経緯腎疾患をもつ患者が妊娠した場合の診療指針として,日本腎臓学会から2007 年に「腎疾患患者の妊娠:診療の手引き」が発刊された.妊娠を希望する腎疾患患者の対応や,妊娠時の管理について,原疾患別に記載され,また妊娠高血圧症候群などの合併症,妊娠時の食事や使用できる薬物についても記されており,腎臓内科医にとって,妊娠を希望する腎疾患患者や妊娠した腎疾患患者の診療,および他科からのコンサルト対応の参考となっていた.しかし,腎機能障害の区分が統一されておらず,現在の慢性腎臓病(CKD)分類に即していなかった.また,他のガイドラインの改訂ともあわせ,他の学会との整合性をもったガイドラインの改訂が望まれ,2012 年より日本腎臓学会の改訂委員会において,改訂の準備を進めた.当初は,エビデンスが少ない領域であり,診療の手引きのように,テキスト形式での改訂を考えていたが,改訂委員会での会議の結果,臨床現場で役に立つよう,クリニカルクエスチョン形式のガイドラインを目指した.

本ガイドラインの対象腎疾患を診療する腎臓内科医を若手も含め,主に対象としている.産婦人科医や一般内科医からのコンサルトを受けた場合に参考にしてもらいたい.

改訂委員会の体制日本腎臓学会から,委員長1 名,委員6 名選出,日本産科婦人科学会から2 名,日本糖尿病学会から1 名,日本高血圧学会から1 名,日本小児科学会から1 名,日本移植学会から1 名,日本透析医学会から1 名,そのほかオブザーバー3 名,アドバイザー1 名,事務局1 名で委員会を組織した.

作成手順2012 年に改訂委員会を組織し,2012 年10 月13 日第1 回会議を行った.その際,他の学会から追加で委員に加え,2013 年5 月12 日の第2 回会議で,クリニカルクエスチョン形式のガイドラインとすることを決定した. 2013 年10 月4 日第3 回会議でアドバイザーの福井次矢先生からガイドライン作成に関し,講義を受けた.その後,クリニカルクエスチョンを作成し,2014 年6 月より文献検索を開始した.文献検索期間は2007 年1 月から2013 年12 月までとし,その他,必要に応じ,文献を追加した.2015 年4 月までにアブストラクトテーブルを作成し,その後,執筆を進め,2016 年10 月8 日第4 回会議にて,全体の内容について委員会で決定した. 2016 年12 月よりパブリックコメントを求め,対応を協議し,最終原稿を作成.2017 年3 月完成した.

ステートメントにおける推奨の強さ本ガイドラインではCQ に対するステートメントに推奨グレードを下記のように定義し,表記した.文献検索の結果,ランダム化比較試験はほとんどなく,Minds の提案するエビデンスの強さの評価とは,必ずしも一致しないが,メタ解析,システマティックレビューがあるものは最もエビデンスレベルが高いとした.後ろ向き研究,症例報告の順にエビデンスレベルは低いとみなし,その上で,統一した見解があるか,相反しているかにより,A~D のエビデンスの強さを決定した.推奨の強さは,「1 強く推奨する」,もしくは「2 弱く推奨する(提案する)」とした.明らかなエビデンスが認められず,明確な推奨ができないステートメントに関して

前 文
p.9
は,「グレードなし」と表記した.

資金源と利益相反本ガイドラインの作成に関する資金はすべて日本腎臓学会が負担した.すべての委員が学会規定に則った利益相反に関する申告書を提出し,開示すべき利益相反がないことを確認し,日本腎臓学会で管理している.

エビデンスの強さ

A(強)効果の推定値に強く確信があるB(中)効果の推定値に中程度の確信があるC(弱)効果の推定値に対する確信は限定的であるD(とても弱い)効果の推定値がほとんど確信できない

推奨の強さ

1 強く推奨する

2 弱く推奨する(提案する)

なし明確な推奨ができない
p.10
委員長

成田一衛新潟大学医歯学総合研究科腎・膠原病内科学委 員内田啓子東京女子医科大学保健管理センター・腎臓内科甲斐平康筑波大学医学医療系腎臓内科安田宜成名古屋大学循環器・腎臓・糖尿病(CKD)先進診療システム学寄附講座古家大祐金沢医科大学糖尿病・内分泌内科和田隆志金沢大学大学院腎臓内科学村島温子国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター/妊娠と薬情報センター執筆協力者岩田恭宜金沢大学附属病院腎臓内科日本産科婦人科学会関 博之埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター水上尚典北海道大学大学院医学研究科産科・生殖医学分野日本糖尿病学会守屋達美北里大学健康管理センター日本高血圧学会鈴木洋通医療法人沖縄徳洲会武蔵野徳洲会病院腎臓内科日本小児科学会和田雅樹新潟大学地域医療教育センター魚沼基幹病院 地域周産期母子医療センター日本移植学会剣持 敬藤田保健衛生大学医学部 移植・再生医学日本透析医学会松田昭彦松田内科クリニックアドバイザー福井次矢聖路加国際病院オブザーバー堀江重郎順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学守山敏樹大阪大学キャンパスライフ健康支援センター鶴屋和彦九州大学大学院医学研究院包括的腎不全治療学事務局川村和子新潟大学医歯学総合研究科腎・膠原病内科学

腎疾患患者の妊娠:診療の手引き改訂委員会
p.11
III. CKD 患者が妊娠を希望した場合のリスク評価

CQ1ネフローゼ症候群の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

ネフローゼ症候群を呈している患者は妊娠経過中に蛋白尿増加,腎機能悪化,早産,低出生体重児となるケースが多く,リスクが高い. (グレード1C)

CQ2蛋白尿(3.5 g⊘日以下)が持続している患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

蛋白尿が持続する患者は,母体合併症のリスクが高く,分娩後の腎機能低下に蛋白尿が関連している. (グレード1C)

CQ3軽度から中等度の腎機能障害患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

CKD 重症度分類のGFR 区分G1,G2 であっても,妊娠合併症のリスクは高い.(グレード1B) CKD 重症度分類のGFR 区分G3,G4,G5 は,腎機能障害が重症になるほど妊娠合併症のリスクは高く,腎機能低下,透析導入の可能性もあり,十分な説明が必要である. (グレード1B)

CQ4顕微鏡的血尿が持続している患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

血尿単独で,腎機能が正常である場合,CKD 重症度分類のGFR 区分G1 もしくはG2 の場合が多いため,IIICQ3 と同様に考え,妊娠合併症のリスクは高い.しかし分娩後の腎機能の悪化には影響しないと考えられる. (グレード2C)

CQ5高血圧合併患者が妊娠を希望した場合,降圧薬は変更すべきか?

ステートメント

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は,腎保護作用が催奇形性リスクを上回ることが期待される場合は,十分な説明と同意の上,妊娠成立まで使用可能である. (グレード2C) ACEI およびARB の胎児毒性は明らかであり,妊娠判明後,ただちに中止しなければならない.

(グレード1A)

Ca 拮抗薬に関し,妊娠初期の内服により,催奇形性は上昇しないとされる. (グレード2C)ラベタロール,メチルドパは妊娠中も安全に使用できる. (グレード1A)

CQ6腎炎の病理組織診断により妊娠の予後に違いがあるか?

ステートメント

腎炎の病理組織診断による妊娠への影響の違いは明らかではない. (グレードなし)

CQ 一覧
p.12
IgA 腎症では,尿蛋白が少なく,腎機能が保たれていれば,妊娠予後は良好である.(グレード2C)

CQ7ループス腎炎の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

SLE の疾患活動性およびループス腎炎の寛解が維持されていなければ,合併症のリスクは高い. (グレード1B)

寛解が維持できている状態では合併症のリスクは高くない. (グレード2C)

CQ8抗リン脂質抗体症候群の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

ループスアンチコアグラント陽性例,抗カルジオリピン抗体陽性例,抗β2GPI 陽性例,抗リン脂質抗体複数陽性例,抗リン脂質抗体高値陽性例,あるいはaPTT 延長例は妊娠予後不良の予測因子である. (グレード1B) APS 合併妊娠の基本的治療法は,妊娠初期からの低用量アスピリン+未分画ヘパリン療法である. (グレード1A)

APS の診断基準を満たさない全身性エリテマトーデス症例で,LA 陽性,LA に加えて抗カルジオリピン抗体またはaCL‒β2GPI 高値の場合,産科的APS の発症予防を目的として,低用量アスピリンあるいは低用量アスピリン+ヘパリンによる治療を行うことが容認される. (グレード2C)

CQ9糖尿病性腎症の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

糖尿病患者が挙児を希望する場合には,児の先天異常と母体の糖尿病合併症悪化を予防するため,妊娠前の治療・管理が必要である(計画妊娠). (グレード1A)糖尿病性腎症合併妊娠は,妊娠高血圧腎症や周産期合併症のリスクが高い.さらに糖尿病性腎症第3 期以上で腎機能低下症例は妊娠による腎機能増悪の可能性があり,妊娠を希望する場合は十分に説明する必要がある. (グレード1B)妊娠高血圧症候群(特に妊娠高血圧腎症)を発症した糖尿病合併女性は将来的に腎症や網膜症の増悪リスクが高いため,分娩後も慎重なフォローアップが必要である. (グレード1B)

CQ10多発性囊胞腎の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)患者の妊娠は高血圧や妊娠高血圧腎症の発症率が高い. (グレード2C)

CQ11維持透析患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

透析患者の妊娠は,健康な妊婦と比較して生児を得る確率が低く,早産,低出生体重児の頻度が高い. (グレード1A)患者が妊娠,出産を強く希望する場合は妊娠予後や合併症,頻回長時間透析による妊娠予後改善の可能性について情報提供をする必要がある. (グレード1C)
p.13
CQ12腎移植患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ステートメント

腎移植患者の妊娠合併症のリスクは正常妊婦よりも高いが,腎機能が安定している状態であれば,移植後1 年以上経過すれば妊娠は比較的安全である. (グレード2C)

IV. CKD 患者の妊娠管理

CQ1妊娠中の腎機能はどのように評価するか

ステートメント

妊娠中の正確な腎機能評価はクレアチニンクリアランスを測定することが望ましい.(グレード1C)相対的な変化としてeGFR でも簡易的に評価できる. (グレードなし)

CQ2妊娠中の蛋白尿はどのように評価するか?

ステートメント

妊婦では,尿中蛋白排泄量300 mg/日あるいは0.27 g/gCr 以上を病的蛋白尿と診断する.試験紙法では1+の場合は複数回の新鮮尿検体での確認が必要である.2+以上は病的蛋白尿の可能性が高い. (グレード1B)

CQ3妊娠中の腎生検は推奨されるか?

ステートメント

妊娠中に出現した尿異常や腎障害が糸球体腎炎によるものか妊娠高血圧腎症によるものかを鑑別するには腎生検が必要であるが,妊娠中に腎生検を施行することは母児の危険性を考慮すると慎重でなければならない. (グレードなし)

CQ4 CKD 患者の妊娠中は腎臓専門医が併診すべきか?

ステートメント

妊娠管理は産科医と腎臓内科医が連携して管理することが望ましい. (グレード2D)

CQ5糖尿病性腎症合併患者における血糖管理は非妊娠時と異なるか?

ステートメント

糖尿病性腎症合併患者に限らず,妊娠中の血糖管理は,母体や児の合併症を予防するため,朝食前血糖値70~100 mg/dL,食後2 時間血糖値120 mg/dL 未満,HbA1c6.2% 未満を目標とする. (グレード2D)

薬物療法にはインスリンを用いる. (グレード1A)

CQ6高血圧合併患者における降圧目標は非妊娠時と異なるか?

ステートメント

腎疾患患者における,妊娠時の降圧治療目標は確立されていない.『妊娠高血圧症候群の診療指針2015』および『高血圧治療ガイドライン2014』では,妊娠時の降圧目標は収縮期血圧軽症高血圧レベル(140~160/80~110 mmHg)とされている. (グレードなし)
p.14
CQ7維持血液透析患者ではどのくらいの透析量(透析回数,時間など)が推奨されるか?

ステートメント

確保すべき透析量の指標として,透析前のBUN を50 mg/dL 未満を目標に,週4 回以上,週当たりの透析時間は20 時間以上の透析を行うことを推奨する. (グレード1B)週6 回,週当たりの透析時間は24 時間以上が望ましい. (グレード2C)

CQ8維持血液透析患者ではどのくらいの貧血管理,体重設定が推奨されるか?

ステートメント

目標Hb 値10~11 g/dL を推奨する. (グレード1B)ドライウェイトは妊娠中期から末期にかけては,体液量の評価をしつつ,週当たり0.3~0.5 kg の増加を目安とする. (グレード1B)過度の除水による低血圧を予防するため,透析間の体重増加を抑える.そのためには頻回透析が必要となる. (グレード2C)

V. 妊娠中に使用できる薬物

CQ1妊娠中の高血圧に対して推奨される降圧薬はどれか?

ステートメント

妊娠前に関しては,IIICQ5 を参照,妊娠中に関しては,『高血圧治療ガイドライン2014』に則って治療を行う.高血圧治療ガイドラインの記載は下記のとおりである.妊娠高血圧症候群の第一選択の経口降圧薬としてメチルドパ,ラベタロール,ヒドララジンもしくは20 週以降であれば徐放性ニフェジピンを用いる. (グレード1B) 1 剤で十分な降圧が得られない場合,2 剤併用とする.交感神経抑制薬であるメチルドパとラベタロールと血管拡張薬であるヒドララジンとニフェジピンでは,異なる作用の組み合わせが望ましい.妊娠20 週以降では,メチルドパとラベタロールのいずれかと,ヒドララジンとニフェジピンいずれかの併用が推奨される. (グレード2C)妊婦あるいは産褥女性に収縮期血圧(SBP)180 mmHg 以上あるいは拡張期血圧(DBP)120 mmHg以上が認められたら「高血圧緊急症」と診断し,降圧療法を開始する.緊急に降圧が必要と考えられる場合は静注薬(ニカルジピン,ニトログリセリン,ヒドララジン)を用いる.(グレード1B)妊婦に対してはACEI,ARB のいずれも使用しない. (グレード1A)妊婦での静注薬による降圧は,経口薬で降圧が不良である場合,分娩時の緊急性高血圧の降圧に用いる.その場合,児の状態に留意し,胎児心拍モニタリングを行う. (グレード1A)

CQ2妊娠中に使用できる免疫抑制薬はどれか?

ステートメント

病状に応じて,副腎皮質ホルモン,シクロスポリン,タクロリムスは使用可能である.

(グレード2B)

ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は催奇形性があり妊娠前に中止すべきである.

(グレード1A)

シクロホスファミドは量と年齢により妊孕性に影響を及ぼすため,妊娠可能な女性への使用は控える. (グレード2B)
p.15
VI. 産褥期の注意点

CQ1腎疾患関連薬で授乳中に禁忌となる薬は何か?

ステートメント

降圧薬に関して,授乳中,安全に使用できる降圧薬はラベタロール,メチルドパ,ヒドララジン,ニフェジピン,ニカルジピン,ジルチアゼム,アムロジピン,カプトプリル,エナラプリルである.免疫抑制薬に関して,エビデンスは少ないが,児に明らかに異常がみられたという報告はない.

(グレード2C)

個々の薬物については,国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」などの専門サイトを参照する. (グレードなし)

CQ2妊娠中に出現した蛋白尿が遷延した場合,出産後どのくらいで腎生検を考慮すべきか?

ステートメント

出産後12週以降も蛋白尿が持続している場合,妊娠高血圧腎症以外の腎疾患を念頭に腎生検をすべきである. (グレード2C)

CQ3妊娠・出産は長期的な腎予後に影響があるか?

ステートメント

腎機能低下例では,妊娠・出産は腎予後に影響を及ぼす. (グレード1B)妊娠高血圧症候群の既往は末期腎不全のリスクとなりうる. (グレード1A)

用語解説『妊娠高血圧症候群の診療指針2015』より,下記のように用語を定義し,使用した.

定 義妊娠高血圧症候群妊娠20 週以降,分娩12 週まで高血圧がみられる場合,または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで,かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないもの.

病型分類1妊娠高血圧腎症(preeclampsia)妊娠20 週以降に初めて高血圧を発症し,かつ蛋白尿を伴うもので分娩12 週までに正常に復する場合. 2妊娠高血圧(gestational hypertension)妊娠20 週以降に初めて高血圧を発症し,分娩12 週までに正常に復する場合. 3加重型妊娠高血圧腎症(superimposed preeclampsia)

1)高血圧が妊娠前あるいは妊娠20 週までに存在し,妊娠20 週以降蛋白尿を伴う場合. 2)高血圧と蛋白尿が妊娠前あるいは妊娠20 週までに存在し,妊娠20 週以降,いずれかまたは両症状が増悪す

る場合. 3)蛋白尿のみを呈する腎疾患が妊娠前あるいは妊娠20 週までに存在し,妊娠20 週以降に高血圧が発症する場

合. 4子癇(eclampsia)妊娠20 週以降に初めてけいれん発作を起こし,てんかんや二次性痙攣が否定されるもの.
p.16
略 語欧 文語 句ACEI angiotensin converting enzyme inhibitor ACE 阻害薬aCL anticardiolipin anibody抗カルジオリピン抗体ADPKD autosomal dominant polycystic kidney disease常染色体優性多発性囊胞腎ANCA anti‒neutrophil cytoplasmic antibody抗好中球細胞質抗体aPLs antiphospholipid antibodies抗リン脂質抗体APS antiphospholipid syndrome抗リン脂質抗体症候群ARB angiotensinII receptor blockerアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARPKD autosomal recessive polycystic kidney disease常染色体劣性多発性囊胞腎BUN blood urea nitrogen血液尿素窒素CKD chronic kidney disease慢性腎臓病Cr creatinineクレアチニンDM diabetes mellitus糖尿病eGFR estimated glomerular filtration rate推算糸球体濾過量(値) ESA erythropoiesis stimulating agent赤血球造血刺激因子製剤FF filtration fraction濾過率GFR glomerular filtration rate糸球体濾過量(値) Hb hemoglobinヘモグロビンHt hematocritヘマトクリットIgA immunoglobulin A免疫グロブリンA ISSHP International Society for the Study of Hyperten-

sion in Pregnancy国際妊娠高血圧学会

IUGR intrauterine growth restriction子宮内胎児発育遅延LA lupus anticoagulantループスアンチコアグラントLN lupus nephritisループス腎炎MDRD Modification of Diet in Renal Disease MDRD 式NS nephrotic syndromeネフローゼ症候群PKD polycystic kidney disease多発性囊胞腎RAS renin‒angiotensin systemレニン‒アンジオテンシン系RCT randomized controlled trialランダム化比較試験RPF renal plasma flow腎血漿量SLE systemic lupus erythematosus全身性エリテマトーデスSPE superimposed preeclampsia加重型妊娠高血圧腎症VEGF vascular endothelial growth factor血管内皮増殖因子

主要略語一覧表
p.17
I

慢性腎臓病(CKD)の重症度分類
p.18
2007 年に『CKD 診療ガイド』が発刊され,CKD の概念が広く普及している.腎機能障害について,CKD 分類に基づいて表記し,リスクを評価する必要があり,妊娠時におけるリスクについても,CKD 重症度に応じて,考慮する必要がある.『CKD 診療ガイド2012』より,CKD の定義は,1尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らか,特に0.15 g/gCr 以上の蛋白尿(30 mg/gCr 以上のアルブミン尿)の存在が重要,2GFR<60 mL/分/1.73 m2, 1,2のいずれか,または両方が3 か月以上持続するとされている.

CKD 重症度分類は,原疾患,GFR 区分,蛋白尿区分を合わせたステージにより評価される.CKD の重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑,黄,オレンジ,赤とし,ステージが上昇するほど,リスクは上昇する.

eGFR は推算式(男性:eGFR=194×血清クレアチニン[mg/dL]-1.094×年齢[歳]-0.287,女性:eGFR=男性のeGFR×0.739)を用いて,算出する.

I慢性腎臓病(CKD)の重症度分類

表CKD の重症度分類

原疾患蛋白尿区分A1 A2 A3糖尿病尿アルブミン定量(mg/日)

尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)正常微量アルブミン尿顕性アルブミン尿

30 未満30~299 300 以上

高血圧腎炎多発性囊胞腎腎移植不明その他尿蛋白定量(g/日)

尿蛋白/Cr 比(g/gCr)正常軽度蛋白尿高度蛋白尿

0.15 未満0.15~0.49 0.5 以上

GFR 区分(mL/分/1.73 m2) G1正常または高値>90

G2正常または軽度低下60~89

G3a軽度~中等度低下45~59

G3b中等度~高度低下30~44

G4高度低下15~29

G5末期腎不全(ESKD) <15

重症度は原疾患・GFR 区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKD の重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑■のステージを基準に,黄■,オレンジ■,赤■の順にステージが上昇するほど,リスクは上昇する.

(日本腎臓学会:CKD 診療ガイド2012.東京医学社.2012,p.3.)
p.19
II

妊娠が腎臓に及ぼす生理的な影響
p.20
正常な妊娠において,さまざまな要因により,腎の構造や機能,血行動態の変化がみられる.この変化に関し,様々な研究が行われているが,いまだにすべては解明されていない.

1.腎のサイズの変化妊娠中は,血管や間質の変化により,腎容積は約30% 増大し1),長径は1~1.5 cm 大きくなるといわれている.尿路系の拡張もみられ,特に右腎に水腎症を生じやすい2).

2.腎血漿流量,糸球体濾過量の変化妊娠前でもホルモンの影響で月経周期によって,腎機能に変化がみられる.卵胞期に比べ黄体期は平均血圧,全身血管抵抗が低下し,心拍出量,腎血漿流量(RPF),糸球体濾過値(GFR)は増加する3).この変化は妊娠成立後も継続し,GFR は妊娠4 週で20%,9 週で45% 増加,満期に40% 増加する.妊娠初期にはRPF のほうが増加するため,濾過率(FF)はやや低下する.妊娠12 週から妊娠後期にかけてRPF は非妊娠時レベルまで低下するが,GFR は上昇し続けるため,FF は上昇する4).これらの値は出産後4~6 週で非妊娠時の状態に戻る.妊娠初期には,プロゲステロンがRPF,GFR 増加に関与しており,妊娠中も継続して作用する.RPF とGFRの変化は,その他,いくつかのホルモンと多くの機序が関与している5).

3.循環血漿量,血圧の変化妊娠中は腎以外に卵巣と脱落膜からレニンが産生され,またエストロゲンの影響により肝でアンジオテンシノーゲンが産生されるため,レニンおよびアルドステロンは上昇する3‒6).RAS 系の活性化の影響で,ナトリウム貯留と循環血漿量の増加が起こる.ナトリウムは900~1,000 mEq 貯留され,体液は6~8 L 貯留される5).それにもかかわらず,様々な要因により,血管拡張が起こり血圧は低下する.プロゲステロンとプロスタサイクリンはアンジオテンシンIIに拮抗し,加えてアンジオテンシンIItype 1 受容体は感受性が低下する6).ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の刺激により黄体から産生されるレラキシンも血管拡張に関連しており,血管内皮増殖因子(VEGF)や,一酸化窒素(NO)の関与とともに研究が進められている7,8).

4.検査所見以上の変化により,検査所見としては,赤血球容量の増加に比べて,循環血漿量の増加の程度が大きいため,ヘマトクリット値の低下がみられるほか,クレアチニン(Cr),血液尿素窒素(BUN)も低下する.血清Na の低下,血清浸透圧の低下も認められる.また,尿酸クリアランスは妊娠時に上昇するため,妊娠初期には血清尿酸値はやや低下する.妊娠末期にかけて尿酸クリアランスは低下し,血清尿酸値が上昇する傾向にあるが,妊娠高血圧腎症ではさらに上昇する.尿酸値の絶対値をもって,妊娠高血圧腎症を予知するのは困難であるが,注意が必要である9).

II妊娠が腎臓に及ぼす生理的な影響
p.21
文 献1) Christensen T, et al. Changes in renal volume during normal pregnancy. Acta Obstet Gynecol Scand 1989;68:541‒543. PMID:2520811 2) Brown MA. Urinary tract dilatation in pregnancy. Am J Obstet Gynecol 1991;164:642‒643. PMID:1992717 3) Chapman AB, et al. Systemic and renal hemodynamic changes in the luteal phase of the menstrual cycle mimic early pregnancy. Am J

Physiol 1997;273:F777‒782. PMID:9374841 4) Chapman AB, et al. Temporal relationships between hormonal and hemodynamic changes in early human pregnancy. Kidney Int 1998;

54:2056‒2063. PMID:9853271 5) Hussein W, et al. Renal function in normal and disordered pregnancy. Curr Opin Nephrol Hypertens 2014;23:46‒53. PMID:24247824 6) Lumbers ER, et al. Roles of the circulating renin‒angiotensin‒aldosterone system in human pregnancy. Am J Physiol Regul Integr Comp

Physiol 2014;306:R91‒101. PMID:24089380 7) Tkachenko O, et al. Hormones and hemodynamics in pregnancy. Int J Endocrinol Metab 2014;12:e14098. PMID:24803942 8) Conrad KP, et al. The renal circulation in normal pregnancy and preeclampsia:is there a place for relaxin? Am J Physiol Renal Physiol

2014;306:F1121‒1135. PMID:24647709 9) 日本妊娠高血圧学会:妊娠高血圧症候群の治療指針2015.メジカルビュー社,2015.p.49.
p.22

        
p.23
III

CKD 患者が妊娠を希望した場合の

リスク評価
p.24
解 説

ネフローゼ症候群(NS)を呈している患者の妊娠出産に関するEBM は,ほとんどが症例報告である1)‒4).いずれも管理しだいで分娩は可能で生児を得ることはできるとコメントしているが,経過中蛋白尿の増加,原疾患の悪化,早産や低出生体重児であるケースがほとんどである.Wei らはCKD からではなく,分娩前後に妊娠高血圧腎症によりネフローゼ症候群を呈した22例を産科の立場で後ろ向き観察研究を行っている5).母体は分娩後6 週間でほぼ全例,血圧,尿蛋白も正常化したが,胎児の予後は悪く,7 例(31.8%)が胎児死亡,9 例(40.9%)が挿管され,15 例(68.2%)が低出生体重児であった.この報告は妊娠後に発症した妊娠高血圧腎症を原因としたNS に限定した検討ではあるが,母体の予後に比し児の予後は悪い.しかし,本来臨床の現場でよく遭遇するCQ は,NS を呈した既往のある患者が挙児を希望する場合である.挙児を希望した段階でNS でなければ,もしくはどれくらい寛解を維持できていれば,妊娠が安全かについて記載されたレベルの高いエビデンスはない.挙児を希望,もしくは妊娠した時点で蛋白尿がNS レベルでなくとも,腎機能等によってCKD 重症度分類を適用することは可能であり,次項以下のCKD のCQ を参考にしてほしい.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,nephrotic syndrome)と医中誌(キーワード:妊娠,ネフローゼ症候群)で,2007 年1月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 58,医中誌26 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

文 献1) Crovetto F, et al. Pregnancy in women with Alport syndrome. Int Urol Nephrol 2013;45:1223‒1227. PMID:22418765 2) Dudding S, et al. Use of continuous intravenous insulin infusion in type 1 diabetic pregnancy complicated by nephrotic syndrome.

Diabetes Res Clin Pract 2011;93:e53‒56. PMID:21543130 3) Kurdoglu M, et al. Successful management of membranoproliferative glomerulonephritis typeI in pregnancy. Arch Gynecol Obstet 2010;281:105‒109. PMID:19357862 4) 増山 寿,他.腎疾患合併妊娠における加重型妊娠高血圧腎症の検討.日本周産期・新生児医学会雑誌2010;46:

795‒801. 5) Wei Q, et al. Outcome of severe preeclampsia manifested as nephrotic syndrome. Arch Gynecol Obstet 2011;283:201‒204.

PMID:20033418

CQ1ネフローゼ症候群の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ネフローゼ症候群を呈している患者は妊娠経過中に蛋白尿増加,腎機能低下,早産,低出生体重児となるリスクが高い.グレード1C

ステートメント
p.25
解 説

NS レベル(3.5 g/日)以下の蛋白尿が持続している場合の妊娠出産の経過に関し,Bramham らはループス腎炎の有無によるSLE の妊娠予後を後ろ向きに検討している1).腎症があると早産または早期の妊娠高血圧腎症発症が多く,危険因子は妊娠前期の高血圧の有無,蛋白尿,妊娠前の腎機能(eGFR<90 mL/分/1.73 m2)があげられており,NS レベルでなくとも蛋白尿があれば,母体のリスクになると結論されている.OhらはIgA腎症合併妊娠について,分娩後の腎機能に与える因子について検討している2). 52 例のIgA 腎症合併妊婦の妊娠前の平均年齢は30.5 歳,平均血清Cr 値0.8 mg/dL,平均蛋白尿は0.7 g/ gCr でNS 以下の蛋白尿の症例は84.6% だった.分娩後,有意差をもって平均血清Cr 値,蛋白尿は上昇し,eGFR は低下した.腎機能低下に対し独立した悪化因子は蛋白尿で,分娩後に蛋白尿減少が顕著だった症例では有意に腎機能低下が軽度だった.以上より,IgA 腎症において蛋白尿は分娩後の母体の腎機能予後に強く影響するため,妊娠前および産褥後の蛋白尿減少に努める必要があると結論している.また,Limardo らはIgA 腎症合併妊娠症例の分娩後10 年の腎予後を後ろ向き観察研究にて検討している3).223 人のIgA 腎症症例を136 人(平均年齢26.7 歳)の妊娠出産例,87 人(平均年齢26.2 歳)が妊娠出産なし群にわけ,10 年間の腎機能低下に及ぼす因子を検討した.出産前の平均血清Cr 値は両群とも0.8 mg/dL で,10 年間の腎機能低下速度は約1.3 mL/分/年で両群に差はなく,妊娠の有無は結果に影響を与えなかった.以上より,この論文では,IgA 腎症合併妊娠症例の腎機能予後は妊娠に影響されない可能性が高く,1 g/日以上の蛋白尿の方が腎機能低下に関連しており,このことを挙児希望患者には伝えるべきと結論づけている.同様の結果がわが国からも報告されており4),観察期間は3 年だが腎機能低下に妊娠の有無は関連しておらず,管理されたIgA 腎症症例であればCKDG3 までは腎機能障害進行のリスク因子にはならないと結論している.以上より,蛋白尿の持続している患者は,母体合併症のリスクが高く,分娩後の腎機能低下のリスクも高いと考えられる.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,proteinuria,chronic kidney disease,risk)と医中誌(キーワード:妊娠,蛋白尿,慢性腎臓病,リスク)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 76,医中誌76 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

CQ2蛋白尿(3.5 g/日以下)が持続している患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

蛋白尿が持続する患者は,母体合併症のリスクが高く,分娩後の腎機能低下に蛋白尿が関連している.

グレード1C

ステートメント
p.26
文 献1) Bramham K, et al. Pregnancy outcomes in systemic lupus erythematosus with and without previous nephritis. J Rheumatol 2011;

38:1906‒1913. PMID:21632681 2) Oh HJ, et al. Reduced pre‒pregnancy proteinuria is associated with improving postnatal maternal renal outcomes in IgA nephrop-

athy women. Clin Nephrol 2011;76:447‒454. PMID:22105447 3) Limardo M, et al. Pregnancy and progression of IgA nephropathy:results of an Italian multicenter study. Am J Kidney Dis 2010;

56:506‒512. PMID:20599307 4) Shimizu A, et al. Effect of kidney disease stage on pregnancy and delivery outcomes among patients with immunoglobulin A

nephropathy. Am J Nephrol 2010;32:456‒461. PMID:20924168
p.27
解 説

CKD 患者と妊娠について,Nevis らのシステマティックレビューではCKD 合併妊娠の母体および胎児の予後に対するリスクを明らかにすることを目的として,2010 年のデータベースからCKD 合併妊娠の母体および胎児の予後が少なくとも1 論文に5 症例がコントロールとともに検討されている論文を抽出した.移植および透析症例は除き,最終的に13 論文を検討した.母体予後について,合併症(妊娠高血圧腎症,死亡)はCKD 合併妊娠2,682 例中312 例11.5% であるのに対し,CKD 非合併妊娠26,149 例中では500 例2% と,約5 倍,胎児の予後(早産,IUGR,死亡)は,CKD 合併例は非合併例の約2 倍であったと報告している.本論文では,この結果を医師が種々の決定やアドバイス,加療をする際の参考になるだろうと結論している1). Piccoli らのシステマティックレビューは,2000~2009 年に発表されたCKD における妊娠の文言で検索した2,840 論文から276 のフルペーパーを抽出し,そこから最終的に26 論文を用いて検討を行った.主要な患者背景は,CKD 症例が399 妊娠,ループス腎炎が431 妊娠,糖尿病性腎症(DM 腎症)が386妊娠,血尿が310 妊娠,腎移植ドナーが586 妊娠だった.それらの検討結果から導きだされた主要なリスクはCKD ステージ,蛋白尿,高血圧の3 つであり,それらが複合的になるとさらにリスクが上昇するとしている.また,母体の死亡リスクに関連していたのは,ループス腎炎とDM 腎症だった.この論文の結論はCKD と妊娠についてはEBM に基づいたカウンセリングが必要であり,そのために,母体の腎機能,腎疾患,分娩時のケア,母体と胎児の予後に関する共通の認識と必要な情報を共有することが求められているとしている2). CKD 重症度別のリスク評価については,いくつか報告があるが,いずれもGFR 区分による分類であり,蛋白尿の程度については言及されていない.したがってここではGFR 区分における表記とする. 2010 年のCJASN の報告は数少ない前向き試験である.2000 年から2009 年に妊娠・出産し,1 か月後まで経過を追えることができた91 症例の単胎妊娠を267 例の正常単胎妊娠と比較検討した.死亡や透析導入等のハードエンドポイントの設定はせず,代わりに帝王切開,早産,出産後の児の集中治療をエンドポイントとした.表1 に患者背景を,表2 に母体の腎機能,表3 に胎児の予後を示す.母体の予後は,全症例でもCKD ステージ毎であってもコントロールと比較して,蛋白尿は妊娠初期より分娩前に増加,腎機能も悪化,高血圧の合併も増加していた.児の予後は,CKD 症例では,帝王切開率,早産率,在胎週数,出生体重,集中治療室収容率のいずれも有意差をもってコントロールより悪かったが,

CQ3軽度から中等度の腎機能障害患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

CKD 重症度分類のGFR 区分G1,G2 であっても,妊娠合併症のリスクは高い.グレード1B

CKD 重症度分類のGFR 区分G3,G4,G5 は,腎機能障害が重症になるほど妊娠合併症のリスクは高く,腎機能低下,透析導入の可能性もあり,十分な説明が必要である.グレード1B

ステートメント
p.28
表1母体の患者背景

CKD stage 1 GFR>90 mL/ 分

(n=61) CKD stage 2

GFR60~89 mL/ 分

(n=15) CKD stage 3

GFR30~59 mL/ 分

(n=11) CKD stage 4~5

GFR<30 mL/ 分

(n=4)

妊婦の年齢mean±SD 30.95±5.58 31.26±5.02 33.36±4.12 28±4.96 BMI mean±SD 24.11±5.12 21.53±4.7 22.1±2.75 20.5±1.47高血圧 n(%) 16(26.23%) 6(40%) 8(72.7%) 1(25%)血清Cr 値 mg/dL平均(範囲) 0.65(0.4‒1.1) 0.89(0.64‒1.68) 1.45(1.12‒1.9) 2.82(2‒3.8) GFR,mL/分mean±SD 129.17±36.38 75.12±10.6 48.2±7.8 23.07±3.07蛋白尿,g/日平均(範囲) 0.10(0‒7.8) 0.15(0‒6.8) 0.7(0‒4) 0.56(0.3‒0.65)蛋白尿≦0.3 g/日N(%) 44(72.13%) 9(64.28%) 4(33.3%) 1(25%)蛋白尿>0.3 g≦1 g/日N(%) 11(18.03%) 2(14.28%) 2(16.6%) 3(75%)蛋白尿>1 g/日N(%) 6(9.83%) 4(26.66%) 5(45.4%) 3(75%)

腎疾患GN:13,PN:18,APN:5,

結石:6,移植後:2,PKD: 6,DM:2,その他:9 GS:5,PN:6,APN:

5,DM:2,その他:1 GN:2,PN:4,移植後:

1,DM:3,その他:1 PN:4

GN:糸球体腎炎,PN:血管炎,APN:急性腎盂腎炎,DM:糖尿病,PKD:多発性囊胞腎(文献3)Piccoli GB, et al. Pregnancy and chronic kidney disease:a challenge in all CKD stages. Clin J Am Soc Nephrol 2010;5:844‒ 855.より引用)

表2母体の妊娠前後の蛋白尿と血清Cr 値

CKD stage初回

蛋白尿(g/日)最終回

蛋白尿(g/日)初回

vs最終回初回

血清Cr 値(mg/dL)最終回

血清Cr 値(mg/dL)初回

vs最終回

1(n=45) 0.11 0.16 p=0.014 0.67 0.74 p=0.005 2(n=13) 0.13 0.35 p=0.084 0.89 1 p=0.142 3(n=11) 0.7 2.45 p=0.004 1.5 1.78 p=0.013 4~5(n=3) 0.63 1.63 NA 2.74 2.7 NA All cases(n=72) 0.19 0.31 p<0.001 0.74 0.79 p<0.001 (文献3)Piccoli GB, et al. Pregnancy and chronic kidney disease:a challenge in all CKD stages. Clin J Am Soc Nephrol 2010;5:844‒855.より引用)

表3胎児の予後

Controls (n=267) CKD stage 1

(n=61) CKD stage 2

(n=15) CKD stage 3

(n=11) CKD stage 4

(n=4) CKD

all stage

帝王切開率24.7% 57.4% 40% 81.8% 75% 58.2% 37 週前出産4.9% 32.9% 40% 90.9% 100% 44% 34 週前出産1.5% 14.8% 13.3% 54.5% 50% 20.9%在胎週数39.2±1.9 36.9±2.9 36.7±2.9 33.6±2.8 32±3.2 36.2±3.2出生体重3,268±500.4 2,795.7±745 2,671.3±518 2,050.5±696 1,246.3±397.1 2,631.7±786.5 NICU 入室率1.1% 18% 20% 54.5% 100% 26.7% (文献3)Piccoli GB, et al. Pregnancy and chronic kidney disease:a challenge in all CKD stages. Clin J Am Soc Nephrol 2010;5:844‒855.より引用)
p.29
CKDG1 とコントロールを比較してもすべてに有意差を認めていた.したがってCKD 症例の妊娠は,早期のステージであっても,妊娠中に厳重な管理が必要であるとしている3).また,Alsuwaida らはCKD の早期のステージが妊娠に与える影響について,87 人のCKD 症例の98 分娩を,GFR>90 mL/分のCKDG1 症例をコントロールに後ろ向き観察研究を行っている.CKDG2(60~ 89 mL/分)の症例はG1 の症例に比し,母体の合併症(腎機能の悪化,妊娠高血圧腎症発症)についてはオッズ比6.75(1.84‒24.80),児の合併症(早産,IUGR,胎児死亡)についてはオッズ比2.91(1.18‒ 7.09)であった.本論文の結論はCKDG2 も妊娠のリスクになる4). 2012 年のPiccoli らの報告では,225 人のCKD 症例の249 妊娠の経過を後ろ向き観察研究にて検討している.CKD の程度は,G1 が175 人,G2 が45 人,G3 が17 人,G4 が4 人で,CKD のない127 人と比較した.CKDG1 であっても,帝王切開による分娩2.73(1.72‒4.33),早産8.5(4.11‒17.57),NICU 収容率16.10(4.42‒58.66)と高いオッズ比であり,かつステージが上がればリスクも上昇した.母体の高血圧と蛋白尿も児の予後に対して独立した危険因子であった.以上より,CKD は妊娠の危険因子であり,ステージ1 の妊婦から特別なプログラムのもとでの管理が必要と結論している5).また中等度以上の腎機能障害について,Imbasciati らはeGFR 60 mL/分/1.73 m2未満の症例の妊娠の母体と児の予後を明らかにするために,妊娠20 週でDM 腎症を除いたCKDG3 以上の症例49 人を対象に後ろ向き観察研究を行った.対象の平均Cr 値は2.1 mg/dL だった.出産後の腎機能低下へのリスク因子は,妊娠前のeGFR<40 mL/分/1.73 m2と蛋白尿1 g/日以上の単独または両方であった.以上から本論文は妊娠前にeGFR<40 mL/分/1.73 m2で蛋白尿が1 g/日以上のCKD 症例には,あらかじめ母体および胎児の予後について十分な情報を提供しておくべきであると結論している6). Sato らは中等度から重度の腎機能障害もつ24 例の妊娠の予後を後ろ向きに検討している.29 例の平均年齢は30.2 歳,平均血清Cr 値は3.3 mg/dL,平均蛋白尿は1.5 g/日だった.妊娠前の血清Cr 値が2.5 mg/dL 以上の17 例は全例妊娠中に血液透析を必要とし,そのまま維持透析となった.22 名(75.9%)に妊娠高血圧腎症を合併し,19 名(82.6%)が36 週以前の分娩であり,そのうち8 名(42.1%)が32 週以前の出産だった.17 名(74%)が帝王切開による分娩だった.妊娠中の透析治療は有用ではあるが,そのまま維持透析にいたる可能性が高いことが示された.血清Cr 値が2.5 mg/dL 以上(CKDG4 以下相当)の症例が妊娠した場合は,透析中に血液透析導入になる可能性が高いことを十分に説明しておく必要がある7).さらにBramham らは後ろ向き観察研究で,CKD 合併妊婦の妊娠初期の予後と妊娠高血圧腎症発症リスクについて検討している.2003~2004 年に英国の25 施設で出産された2,404 例から,1Cr 値が1.1~

1.4 mg/dL,2Cr 値が1.4 mg/dL 以上,3Cr 値が1.1 mg/dL 以下で蛋白尿のみ陽性の3 群の症例を抽出

し,母体および胎児の予後を検討している.結果は表4 に示すとおりであり,CKD があると妊娠高血圧腎症の合併が多くなり,胎児予後が悪く,腎機能が低下するほど,その程度は悪化する.蛋白尿がある

表4母体・胎児の合併症

1.1<Cr<1.4 mg/dL

n=22 Cr>1.4 mg/dL

n=14 Cr<1.1 mg/dL かつUP(2+)

n=30

妊娠高血圧腎症40% 36% 60%胎児死亡5% 14% 1% 37 週未満の分娩54% 86% 40% ICU 入室率36% 57% 3% (文献8)Bramham K, et al. Pregnancy outcome in women with chronic kidney disease:a prospective cohort study. Reprod Sci 2011;18:623‒630.より引用)
p.30
だけで妊娠高血圧腎症の発症頻度は高い8).以上より,CKD はGFR 区分G1 から妊娠合併症のリスクが高く,G3 以上の腎機能障害があると,妊娠により腎機能低下,透析導入の可能性がある.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,chronic kidney disease,risk)と医中誌(キーワード:妊娠,慢性腎臓病)で,2007 年1月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 149,医中誌81 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

文 献1) Nevis IF, et al. Pregnancy outcomes in women with chronic kidney disease:a systematic review. Clin J Am Soc Nephrol 2011;

6:2587‒2598. PMID:21940842 2) Piccoli GB, et al. Pregnancy in chronic kidney disease:need for a common language. J Nephrol 2011;24:282‒299. PMID:

21534234 3) Piccoli GB, et al. Pregnancy and chronic kidney disease:a challenge in all CKD stages. Clin J Am Soc Nephrol 2010;5:844‒

855. PMID:20413442 4) Alsuwaida A, et al. Impact of early chronic kidney disease on maternal and fetal outcomes of pregnancy. J Matern Fetal Neonatal

Med 2011;24:1432‒1436. PMID:21663522 5) Piccoli GB, et al. Pregnancy in CKD:whom should we follow and why? Nephrol Dial Transplant 2012;27(Suppl 3):iii111‒

118. PMID:22773243 6) Imbasciati E, et al. Pregnancy in CKD stages 3 to 5:fetal and maternal outcomes. Am J Kidney Dis 2007;49:753‒762. PMID:

17533018 7) Sato JL, et al. Chronic kidney disease in pregnancy requiring first‒time dialysis. Int J Gynaecol Obstet 2010;111:45‒48.

PMID:20542271 8) Bramham K, et al. Pregnancy outcome in women with chronic kidney disease:a prospective cohort study. Reprod Sci 2011;18:

623‒630. PMID:21285450
p.31
解 説

CKD 患者で,とくに重症度が低い場合,その尿所見が顕微鏡的血尿だけであることが多い.その場合,腎生検が実施されていない症例は多く,そういった患者から挙児希望について相談されるまたは判断を求められることは稀ではない.また,腎機能が正常で顕微鏡的血尿が持続している場合はCKDG1, G2 の場合が多く,IIICQ3 のステートメントも参考にしてほしい. Hantush Zadeh らは,産婦人科の立場から,低出生体重児とそうでない児の母体の尿所見を後ろ向きに検討し,低出生体重児分娩の独立したリスク因子は,蛋白尿,血尿,白血球尿だった.このイランからの報告は腎機能については言及しておらず,腎機能による層別解析ができてはいないが,血尿単独であっても,低出生体重児のリスクになりうるという結果は,エビデンスレベルが低いとはいえ重要な情報である.また,顕微鏡的血尿や肉眼的血尿の原疾患としてナットクラッカー症候群があげられる2).EBM としては症例報告レベルがほとんどで,中には貧血が重度であることに対して妊娠前にステント治療を要した症例もあった.分娩に際しては,血栓症のリスクが高まるため注意が必要である.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy, hematuria)と医中誌(キーワード:妊娠,血尿)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 39,医中誌29 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

文 献1) Hantush Zadeh S, et al. Idiopathic urinary findings and fetal growth restriction in low risk pregnancy. Eur J Obstet Gynecol Reprod

Biol 2013;171:57‒60. PMID:24035321 2) Zapardiel I, et al. Clinical management of Nutcracker’s syndrome during pregnancy. J Matern Fetal Neonatal Med 2010;23:

589‒592. PMID:19670046

CQ4顕微鏡的血尿が持続している患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

血尿単独で,腎機能が正常の場合,CKD 重症度分類のGFR 区分G1 もしくはG2 の場合が多いため,III

CQ3 と同様に考え,妊娠合併症のリスクは高い.しかし分娩後の腎機能の悪化には影響しないと考えら

れる.グレード2C

ステートメント
p.32
解 説

腎疾患患者には,降圧および腎保護作用を目的としてレニン‒アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(ACEI,ARB)を用いられることが多い.妊娠中期以降のこれらの内服は児への薬理作用により,児の腎機能障害,羊水減少,死産,発育遅延などが認められ,禁忌であることは明らかである1‒6).妊娠初期の使用は問題ないとの見解であったが,2006 年のCooper らの報告ではACEI を使用した群で降圧薬を使用していない群と比較して,奇形が(特に心奇形,神経管奇形)2.7 倍であった1).しかし,妊娠中に服用していても,妊娠5~8 週に中止し正常な児を得た報告3),妊娠22 週に中止することにより羊水量が正常化し,児の合併症も認めず出産し得たとする報告がある6).また,妊娠初期では奇形の発生率に他の降圧薬(ACEI 8.5%,他の降圧薬6.9%,高血圧患者7.2%)と差はなく,高血圧患者は無治療でも,奇形率は正常者に比較すると上昇しており,ACEI の影響ではないとの報告7),妊娠初期の使用での奇形は増加していないが,自然流産が多かったとの報告がある8).さらに,1 型糖尿病患者の検討では,妊娠8週までにすべての薬剤を中止し,カンデサルタン群,プラセボ群で正期産,早産,自然流産,人工中絶はともに差はなかった.妊娠第1 期に限定すれば,1 型糖尿病におけるARB の使用で,胎児へのリスクは高くなかった9).胎児への安全性を鑑み,妊娠可能な女性へのRAS 阻害薬の投与には慎重になるべきであり,妊娠を希望した時点で薬剤の変更を考慮すべきである.内服中の患者への,妊娠に関する十分な教育も必要であり,内服中に妊娠が明らかとなった場合は,可及的速やかに中止すべきである.一方,腎保護作用を期待して内服継続している患者にとっては,妊娠を希望した時点での薬剤の変更は腎機能悪化の不利益を被る可能性もあり,催奇形性は他の降圧薬とほぼ同等であるという十分な説明の上,妊娠成立まで継続することも選択肢のひとつである. Ca 拮抗薬については,ニフェジピンに関するRCT 15 報を解析したシステマティックレビューにおいて,ニフェジピンは,ラベタロールおよびメチルドパと同等の降圧効果を示し,母体,胎児への副作用

CQ5高血圧合併患者が妊娠を希望した場合,降圧薬は変更すべきか?

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は,腎保護作用が催奇形性リスクを上回ることが期待される場合は,十分な説明と同意の上,妊娠成立まで使用可能である.グレード2C

ACEI およびARB の胎児毒性は明らかであり,妊娠判明後,ただちに中止しなければならない.

グレード1A

Ca 拮抗薬に関し,妊娠初期の内服により,催奇形性は上昇しないとされる.グレード2C

ラベタロール,メチルドパは妊娠中も安全に使用できる.グレード1A

ステートメント
p.33
も同等であることが報告されている10).またCa 拮抗薬は妊娠初期の使用に関して,奇形の発生率は高くなかったとの報告がある11). αβ遮断薬であるラベタロールに関しては,有効性と安全性を示す報告が数報ある12,13).メチルドパは妊婦,胎児への副作用はほとんど報告されておらず,現在最も使用されることが多い薬剤の一つであるa).ラベタロールとのRCT にて母体,胎児予後とも,メチルドパが良好であったとも報告されている14).ヒドララジンは血管拡張薬であり,『高血圧治療ガイドライン2014』では積極的適応がない場合の高血圧に対して,第一選択薬には挙げられていない.一方で,比較的多くの産科医が使用している点で,妊娠高血圧症候群に対する第一選択薬とされているa).メタ解析による結果では,ヒドララジンより,ラベタロール群において母体,胎児予後が良好であるとする報告15)がある.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,hypertension,antihypertensive agents,chronic kidney diease)と医中誌(キーワード:妊娠,慢性腎臓病,高血圧,降圧薬)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 24,医中誌35 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

◆参考にした2 次資料a) 日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2014.日本高血圧学会,ライフサイエンス出版,2014.

文 献1) Cooper WO, et al. Major congenital malformations after first‒trimester exposure to ACE inhibitors. N Engl J Med 2006;354:

2443‒2451. PMID:16760444 2) Hunseler C, et al. AngiotensinII receptor blocker induced fetopathy:7 cases. Klin Padiatr 2011;223:10‒14. PMID:21271514 3) Gersak K, et al. AngiotensinII receptor blockers in pregnancy:a report of five cases. Reprod Toxicol 2009;28:109‒112.

PMID:19491003 4) Sinelli MT, et al. Severe neonatal renal failure after maternal use of angiotensinII typeI receptor antagonists. Pediatr Med Chir

2008;30:306‒308. PMID:19431954 5) Kato K, et al. Oligohydramnios and pulmonary hypoplasia:a case in which involvement of an angiotensinII receptor antagonist

was suspected. J Obstet Gynaecol Res 2008;34:242‒246. PMID:18412789 6) Munk PS, et al. Reversible fetal renal failure after maternal treatment with Candesartan:a case report. Reprod Toxicol 2010;

29:381‒382. PMID:20132879 7) Li DK, et al. Maternal exposure to angiotensin converting enzyme inhibitors in the first trimester and risk of malformations in

offspring:a retrospective cohort study. BMJ 2011;343:d5931. PMID:22010128 8) Moretti ME, et al. The Fetal Safety of Angiotensin Converting Enzyme Inhibitors and AngiotensinII Receptor Blockers. Obstet Gynecol Int 2012;2012:658310. PMID:22203847 9) Porta M, et al. Exposure to candesartan during the first trimester of pregnancy in type 1 diabetes:experience from the placebo‒ controlled DIabetic REtinopathy Candesartan Trials. Diabetologia 2011;54:1298‒1303. PMID:21225239 10) Firoz T, et al. Oral antihypertensive therapy for severe hypertension in pregnancy and postpartum:a systematic review. BJOG

2014;121:1210‒1218. PMID:24832366 11) Weber‒Schoendorfer C, et al. The safety of calcium channel blockers during pregnancy:a prospective, multicenter, observational

study. Reprod Toxicol 2008;26:24‒30. PMID:18585452 12) Pickles CJ, et al. A randomised placebo controlled trial of labetalol in the treatment of mild to moderate pregnancy induced hyper-

tension. BJOG 1992;99:964‒968. PMID:1477017 13) Pickles CJ, et al. The fetal outcome in a randomized double‒blind controlled trial of labetalol versus placebo in pregnancy‒induced

hypertension. BJOG 1989;96:38‒43. PMID:2647130 14) Magee LA, et al. Do labetalol and methyldopa have different effects on pregnancy outcome? Analysis of data from the Control of

Hypertension In Pregnancy Study(CHIPS)trial. BJOG 2016;123:1143‒1151. PMID:26265372 15) Magee LA, et al. Hydralazine for treatment of severe hypertension in pregnancy:meta‒analysis. BMJ 2003;327:955‒960.

PMID:14576246
p.34
解 説

慢性腎臓病は妊娠高血圧腎症のリスク因子であることが報告されている.しかしながら,その基礎疾患によるリスクの違いについては明らかではない.そこで,腎組織型の違いが,妊娠に与える影響について検討した.腎病理組織型別に妊娠・出産のアウトカムを検討した報告はない.各組織型でケースシリーズや,症例報告が報告されている.

1.IgA 腎症日本の腎生検レジストリーでは,組織型としてIgA 腎症の頻度が一番多いことが報告されているa). IgA 腎症は若年での発症も多く,妊娠・分娩が可能な年齢の女性が罹患していることが多い腎疾患の一つと思われる.わが国のIgA 腎症の妊娠症例34 例の後ろ向き観察研究では,13 例(38.2%)の症例に加重型妊娠高血圧腎症(SPE)が発症し,1 例(3.0%)に胎児死亡を認めている.また,SPE 発症群では,児の在胎週数も短く出生時体重も低値であった.SPE 発症群では,収縮期血圧,血清Cr 値,BUN 値,尿酸値が有意に高値であり,組織学的には腎間質障害が強いこと,1 日尿蛋白が多いことがリスク因子としてあげられている1).また,血清Cr 値が1.2 mg/dL 以下の,腎機能が比較的保たれているIgA 腎症の妊娠症例12例の後ろ向き観察研究では,全例で,妊娠中に高血圧に対する加療が必要となったと報告されている.そのうち25% の症例でSPE が発症し,1 例が透析導入となった.全例で妊娠経過中に尿蛋白の増加(平均0.1 g→0.63 g/日)と,腎機能の低下(24 時間Ccr で88.6→77.4 mL/分)が認められたとされている.一方で,胎児の合併症は認められなかった2).これらの知見は,IgA 腎症では,尿蛋白が少なく,腎機能が保たれていることが,妊娠・分娩の予後を改善させることを示唆していると考えられる.一方,妊娠・分娩が,IgA 腎症の長期予後に及ぼす影響は,ほとんど認められないとする報告がある.妊娠・分娩歴のあるIgA 腎症136 例と,妊娠・分娩例のないIgA 腎症87 例を比較した後ろ向き研究により,分娩10 年後では,腎機能,蛋白尿,高血圧,いずれも,2 群で差はなかった3).また,妊娠前の尿蛋白が,妊娠後の腎機能低下のリスク因子であるとする報告もある4). 2.その他膜性増殖性糸球体腎炎に関して,腎機能正常で,尿蛋白が2.7 g/日の患者の妊娠・出産例の報告がある.妊娠前よりシクロスポリン,副腎皮質ホルモンで加療され,妊娠後も同薬剤が継続された.妊娠後,

CQ6腎炎の病理組織診断により妊娠の予後に違いがあるか?

腎炎の病理組織診断による妊娠への影響の違いは明らかではない.グレードなし

IgA 腎症では,蛋白尿が少なく,腎機能が保たれていれば,妊娠予後は良好である.グレード2C

ステートメント
p.35
尿蛋白は4.0 g/日へと増加し,児の子宮内発育不良が認められたため,妊娠33 週に帝王切開となった.児に先天奇形などは認められなかった5).膜性腎症の症例報告において,妊娠後に尿蛋白が増加し,妊娠22 週でステロイドパルス療法,アザチオプリンが開始された.妊娠33 週に腎機能障害および尿蛋白が増悪し,児の発育遅延も認められ,帝王切開にて出産した.出産3 か月後,母体の腎機能および尿蛋白は完全緩解した6).また,抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連急速進行性糸球体腎炎の妊娠・出産例が報告されている.妊娠前MPO‒ANCA 値は陰性で,血清Cr 値は1.4 mg/dL,尿蛋白は2 g/日であった.妊娠経過中,腎炎の再燃,腎機能障害の悪化はなく,副腎皮質ホルモンが継続された.児の発育不良のため,妊娠27 週に帝王切開にて出産した.児には特に先天奇形などは認めなかった7).なお,ループス腎炎に関しても報告があるが,詳細は次項IIICQ7 に譲る.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,chronic kidney disease,kidney biopsy,nephritis)と医中誌(キーワード:妊娠,慢性腎臓病,腎生検,臨床検査,病理診断)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 70,医中誌31 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

◆参考にした2 次資料a) Sugiyama H, et al. Japan Renal Biopsy Registry:the first nationwide, web‒based, and prospective registry system of renal biop-

sies in Japan. Clin Exp Nephrol 2011;15:493‒503.

参考文献1) 末次 靖子,他.IgA 腎症患者における加重型妊娠高血圧腎症の発症予測因子の検討.日本腎臓学会誌2011;53:

1139‒1149. 2) Waness A, et al. Increased risk of hypertension, proteinuria and preeclampsia in pregnant Saudi females with IgA nephropathy.

Hypertens Pregnancy 2010;29:385‒389. PMID:20701476 3) Limardo M, et al. Pregnancy and progression of IgA nephropathy:results of an Italian multicenter study. Am J Kidney Dis 2010;

56:506‒512. PMID:20599307 4) Oh HJ, et al. Reduced pre‒pregnancy proteinuria is associated with improving postnatal maternal renal outcomes in IgA nephrop-

athy women. Clin Nephrol 2011;76:447‒454. PMID:22105447 5) Kurdoglu M, et al. Successful management of membranoproliferative glomerulonephritis type I in pregnancy. Arch Gynecol

Obstet 2010;281:105‒109. PMID:19357862 6) Sebastyen A, et al. Successful management of pregnancy with nephrotic syndrome due to preexisting membranous glomerulone-

phritis:a case report. Fetal Diagn Ther 2008;24:186‒189. PMID:18753755 7) Oshima M, et al. Successful delivery in a patient with antineutrophil cytoplasmic antibody‒associated glomerulonephritis. Intern

Med 2013;52:1605‒1609. PMID:23857094
p.36
解 説

全身性エリテマトーデス(SLE)は比較的若年女性に好発するため,その経過中に,妊娠・出産することも少なくない.本項では,SLE,ことにループス腎炎(LN)が妊娠・出産に及ぼす影響について検討した.米国の入院患者のデータベース,National Inpatient Sample を用いた検討では,SLE 患者では,早期分娩,子宮内胎児発育遅延,妊娠高血圧症,子癇などのオッズ比が非SLE 患者に比し,2~4 倍であると報告されている1).さらにSLE の病態との関係について,SLE の疾患活動性,LN,抗リン脂質抗体陽性,高血圧などの存在が,妊娠合併症のリスク因子であることが報告されている2‒5).妊娠6 か月前のSLE- DAI≧4 であると,妊娠合併症が増えるとする報告3)もあり,妊娠前6 か月間の寛解維持が妊娠合併症のリスクを低下させる可能性があることが示されている.報告によりばらつきはあるが,72~90% の割合で挙児可能であった5‒7).抗SS‒A 抗体,抗SS‒B 抗体を有する場合,胎児に房室ブロックがみられることがあり,注意を要する.前述の通り,SLE のなかでも,LN の存在は妊娠経過中の合併症出現のリスク因子である.LN 群と非LN 群を比較した検討では,LN 群においてSLE の再燃,妊娠高血圧症,早期産,低出生体重児,胎児奇形などが多いことが報告されている8‒10).しかしながら,尿蛋白が0.5 g/日以下のLN 群では,非LN のSLE 患者と,妊娠経過中の合併症発症に差は認められなかったとする報告もあり11),SLE と同様,LN においても,寛解状態での妊娠が合併症出現のリスクを低下させるものと考えられる.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,lupus nephritis)と医中誌(キーワード:妊娠,ループス腎炎)で,2007 年1 月から2013年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 100,医中誌17 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

文 献1) Clowse ME, et al. A national study of the complications of lupus in pregnancy. Am J Obstet Gynecol 2008;199:127. e1‒6.

PMID:18456233 2) Smyth A, et al. A systematic review and meta‒analysis of pregnancy outcomes in patients with systemic lupus erythematosus and

CQ7ループス腎炎の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

SLE の疾患活動性およびループス腎炎の寛解が維持されていなければ,合併症のリスクは高い.

グレード1B

寛解が維持できている状態では合併症のリスクは高くない.グレード2C

ステートメント
p.37
lupus nephritis. Clin J Am Soc Nephrol 2010;5:2060‒2068. PMID:20688887 3) Kwok LW, et al. Predictors of maternal and fetal outcomes in pregnancies of patients with systemic lupus erythematosus. Lupus

2011;20:829‒836. PMID:21543513 4) Liu J, et al. Pregnancy in women with systemic lupus erythematosus:a retrospective study of 111 pregnancies in Chinese women.

J Matern Fetal Neonatal Med 2012;25:261‒266. PMID:21504337 5) Foocharoen C, et al. Pregnancy and disease outcome in patients with systemic lupus erythematosus(SLE):a study at Srinagarind

Hospital. J Med Assoc Thai 2009;92:167‒174. PMID:19253790 6) Carvalheiras G, et al. Pregnancy and systemic lupus erythematosus:review of clinical features and outcome of 51 pregnancies at

a single institution. Clin Rev Allergy Immunol 2010;38:302‒306. PMID:19603147 7) Cavallasca JA, et al. Maternal and fetal outcomes of 72 pregnancies in Argentine patients with systemic lupus erythematosus

(SLE). Clin Rheumatol 2008;27:41‒46. PMID:17516127 8) Saavedra MA, et al. Impact of previous lupus nephritis on maternal and fetal outcomes during pregnancy. Clin Rheumatol 2012;

31:813‒819. PMID:22278163 9) Bramham K, et al. Pregnancy outcomes in systemic lupus erythematosus with and without previous nephritis. J Rheumatol 2011;

38:1906‒1913. PMID:21632681 10) Gladman DD, et al. The effect of lupus nephritis on pregnancy outcome and fetal and maternal complications. J Rheumatol 2010;

37:754‒758. PMID:20231194 11) Wagner SJ, et al. Maternal and foetal outcomes in pregnant patients with active lupus nephritis. Lupus 2009;18:342‒347.

PMID:19276302
p.38
解 説

抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies:aPLs)は細胞膜の構成成分であるリン脂質に対する自己抗体である.この中で,ループスアンチコアグラント(LA),抗カルジオリピン抗体(aCL)のIgM もしくはIgG,抗β2‒GPI 抗体(aβ2GPI)のIgM もしくはIgG が抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)の診断基準の検査所見に含まれている.抗リン脂質抗体症候群の診断は,臨床所見と検査所見がどちらも陽性であり,臨床所見としては,血栓症および妊娠合併症のいずれかとされている.多施設観察研究のPROMISSE study では,aPLs 陽性妊娠144 例のうち28 例で妊娠予後不良であった.妊娠予後不良例において,LA 陰性3% であったのに対してLA 陽性は39% であった(p<0.0001).aPLs関連妊娠においてLA 陽性は妊娠12 週以降の妊娠予後不良予測因子になり得る1).LA 陰性の原発性APS女性の検討では,治療介入し,流産率はaCL+/aβ2GPI+群がaCL+/aβ2GPI-群に比べて有意に高かった(46.2% vs 22.1%;p<0.05).aβ2GPI はaCL より妊娠予後良好を示す指標となる可能性がある2).またdo Prado らのシステマティックレビューによると,aCL と妊娠高血圧腎症の関連はOR 2.86(95% CI 1.47‒ 5.98),重症妊娠高血圧腎症とはOR 11.15(95% CI 2.66‒46.75)であり,aCL との関連が示唆される3).初回妊娠が流産であった女性の2 回目の妊娠284 例による前向き研究では,aPLs 陽性では次回妊娠において流産,妊娠高血圧腎症,常位胎盤早期剝離,IUGR の発症しやすい傾向を認めた.LA のみ陽性では習慣性流産やIURG のリスクが高く,aPLs 複数陽性では妊娠高血圧腎症や常位胎盤早期剝離のリスクと強く関連した4).妊娠中もしくは産褥3 か月以内に初発の静脈血栓症と診断された妊婦313 例とコントロール353 例による症例対象研究では,aPLs が少なくとも1 つ陽性となったのは29 例(9.3%)とコントロール群24 例(6.8%)であり(OR 1.4,95% CI 0.8‒2.5),aPLs 複数陽性となったのは9 例(2.8%)でコントロール群では0 例であった.aPLs 複数陽性が周産期静脈血栓症と弱く相関した5).このように,LA 陽性例,aCL 陽性例,aβ2GPI 陽性例,aPLs 複数陽性例は,妊娠予後不良の予測因子

CQ8抗リン脂質抗体症候群の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

ループスアンチコアグラント陽性例,抗カルジオリピン抗体陽性例,抗β2GPI 陽性例,抗リン脂質抗体複数陽性例,抗リン脂質抗体高値陽性例,あるいはaPTT 延長例は妊娠予後不良の予測因子である.

グレード1B

APS 合併妊娠の基本的治療法は,妊娠初期からの低用量アスピリン+未分画ヘパリン療法である.

グレード1A

APS の診断基準を満たさない全身性エリテマトーデス症例で,LA 陽性,LA に加えて抗カルジオリピン抗体またはaCL‒β2GPI 高値の場合,産科的APS の発症予防を目的として,低用量アスピリンあるいは低用量アスピリン+ヘパリンによる治療を行うことが容認される.グレード2C

ステートメント
p.39
となりえ,aPTT 延長例も注意が必要とされている. APS 合併妊娠に対する治療は,諸外国のガイドラインでは,低用量アスピリン+未分画ヘパリンとなっている.わが国でもAPS 合併妊娠の基本的治療法は,妊娠初期からの低用量アスピリン+未分画ヘパリン療法とされている.海外では,未分画ヘパリンのかわりに低分子ヘパリンが使用されているが,わが国では保険収載の関係で未分画ヘパリンが使用されている. APS の診断基準を満たさない症例について,全身性エリテマトーデス(SLE)を有する例では産科的APS の発症が多いとされている. SLE 妊婦のaPLs 陽性例に対する低分子ヘパリン治療の介入による妊娠予後の後ろ向き研究では, SLE+APS 合併妊婦は低分子ヘパリン(dalteparin 5000 IU/日)と低用量アスピリン(100 mg/日)併用療法,SLE+aPLs 陽性妊婦は低用量アスピリン療法を施行し,SLE+aPLs 陰性妊婦は治療介入をしなかった.SLE+aPLs 陽性群においてループス腎炎と高血圧が高率に認められたが,それ以外の母体・胎児合併症に3 群間で有意差を認めなかった.予防的低分子ヘパリン療法は初回のSLE 合併妊娠において母体・胎児合併症を予防できる可能性がある6).したがって,SLE を有し,LA 陽性,あるいはLA に加えて抗カルジオリピン抗体またはaCL‒β2GPI高値かつAPS の診断基準を満たさない症例において,産科的APS の発症予防を目的として,低用量アスピリンあるいは低用量アスピリン+ヘパリンによる治療を行うことが容認される.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,anti‒phospholipid antibody syndrome,risk factor)と医中誌(キーワード:妊娠,抗リン脂質症候群)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 110,医中誌31 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

文 献1) Lockshin MD, et al. Prediction of adverse pregnancy outcome by the presence of lupus anticoagulant, but not anticardiolipin anti-

body, in patients with antiphospholipid antibodies. Arthritis Rheum 2012;64:2311‒2318. PMID:22275304 2) Liu XL, et al. Anti‒β2 glycoproteinI antibodies and pregnancy outcome in antiphospholipid syndrome. Acta Obstet Gynecol

Scand 2013;92:234‒237. PMID:23157457 3) do Prado AD, et al. Association of anticardiolipin antibodies with preeclampsia:a systematic review and meta‒analysis. Obstet

Gynecol 2010;116:1433‒1443. PMID:21099614 4) Chauleur C, et al. Observational study of pregnant women with a previous spontaneous abortion before the 10th gestation week

with and without antiphospholipid antibodies. J Thromb Haemost 2010;8:699‒706. PMID:20088936 5) Bergrem A, et al. The association of antiphospholipid antibodies with pregnancy‒related first time venous thrombosis‒‒a population‒based case‒control study. Thromb Res 2010;125:e222‒227. PMID:20051285 6) Mecacci F, et al. Pregnancy outcome in systemic lupus erythematosus complicated by anti‒phospholipid antibodies. Rheumatol-

ogy(Oxford)2009;48:246‒249. PMID:19109318
p.40
解 説

妊娠初期の血糖コントロールが不良の場合,児の先天異常や流産が高率になるため,妊娠前に血糖コントロールの指標が正常化されていることが望ましい.『糖尿病治療ガイド2014‒2015』によると,妊娠前の治療・管理が必要であり,計画妊娠が望まれる.血糖コントロールの指標が正常化していることが望ましいが,HbA1c 7.0% 未満が妊娠を許容できる目安とされているa).糖尿病性腎症の病期は尿中アルブミン排泄量で分類され,GFR(eGFR)30 mL/分/1.73 m2以上では, 30 mg/gCr 未満を第1 期(腎症前期),30~299 mg/gCr を第2 期(早期腎症期),300 mg/gCr 以上あるいは持続性蛋白尿(0.5 g/gCr)を第3 期(顕性腎症期)と分類し,第4 期はGFR(eGFR)30 mL/分/1.73 m2未満としている.『糖尿病治療ガイド2014‒2015』によると,妊娠前の母体の眼底所見が正常または単純網膜症に管理され,腎症は第1 期または第2 期であることが望ましいとされるa).しかし,糖尿病性腎症としては第1 期,第2 期であっても腎機能低下症例では,CKD 重症度も考え合わせ,リスク評価が必要である.糖尿病性腎症を合併している場合の合併症について,1 型糖尿病における糖尿病性腎症(顕性腎症期)と妊娠に関するシステマティックレビューでは,1 型糖尿病における糖尿病性腎症合併妊娠は死産や早産,帝王切開率,周産期死亡のリスクが増加している1).また,糖尿病妊婦43 例を,腎症を認めない32例と腎症(早期腎症期以上)を有する11 例に分け,糖尿病性腎症の進展や経過に対する妊娠の影響を検討した結果,腎症を有する群で慢性高血圧症,妊娠高血圧腎症,早産の発症率が高かったが,糖尿病性腎症の増悪には関連しなかった2).糖尿病の罹病期間に関する検討では,小児期発症糖尿病,および網膜症や腎症すなわち細小血管障害の存在が独立した妊娠高血圧症候群発症の予知因子と考えられた.この検討では腎症や網膜症といった糖尿病合併症は,両群とも妊娠による増悪を認めなかった3).糖尿病合併妊娠で腎症第3 期の11 例13 分娩(第3 期腎機能障害なし‒A 群5 例,第3 期腎機能障害あり‒B 群8 例)の検討では,B 群で妊娠中,腎機能低下が多くみられ,妊娠高血圧症候群の発症率も高

CQ9糖尿病性腎症の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

糖尿病患者が挙児を希望する場合には,児の先天異常と母体の糖尿病合併症悪化を予防するため,妊娠前の治療・管理が必要である(計画妊娠).グレード1A

糖尿病性腎症合併妊娠は,妊娠高血圧腎症や周産期合併症のリスクが高い.さらに糖尿病性腎症第3 期以上もしくは腎機能低下症例は妊娠による腎機能増悪の可能性があり,妊娠を希望する場合は十分に説明する必要がある.グレード1B

妊娠高血圧症候群(特に妊娠高血圧腎症)を発症した糖尿病合併女性は将来的に腎症や網膜症の増悪リスクが高いため,分娩後も慎重なフォローアップが必要である.グレード1B

ステートメント
p.41
く,出生体重も低かった.糖尿病性腎症第3 期で腎機能障害がみられる場合,妊娠高血圧症候群や腎機能低下の合併症が生じやすい4).また,糖尿病性腎症第3 期合併妊娠の長期追跡では,腎機能障害症例において,66% が分娩後5 年以内に腎機能悪化を認め,56% が透析導入されたが,妊娠自体が糖尿病性腎症の自然経過に大きな影響を与えなかった5).さらに,1 型糖尿病合併妊娠117 例を腎症前期群100 例,早期腎症群10 例,顕性腎症群7 例に分け,強化降圧療法と妊娠予後を検討した報告では,顕性腎症群では有意に血圧は高値であり,早産も顕性腎症群では有意に多かった.強化降圧療法および厳格な血糖コントロールを行うことで早期腎症までは良好な妊娠予後を得たが,糖尿病性腎症群ではより妊娠予後が不良であった6).以上より,糖尿病性腎症第2 期(早期腎症期)までで腎機能障害が認められない場合は,合併症のリスクは高いものの,腎機能に明らかな影響は認められないことが多いが,第3 期(顕性腎症期)以降の妊娠は,合併症リスクは高く,腎機能悪化の恐れがあり,十分な説明が必要となる.さらに,糖尿病患者が妊娠高血圧症候群を発症した後の腎予後に関しても,いくつか報告がみられる.妊娠以前から糖尿病を有する2,204 例を用いて妊娠予後と末期腎不全への進展との関連を検討した報告では,初回妊娠時に妊娠高血圧腎症,早産,低出生体重児を合併した妊婦は末期腎不全および死亡の長期的リスクが高くなった7).1 型糖尿病合併妊娠203 例において妊娠高血圧腎症および妊娠高血圧の既往が糖尿病性腎症発症の予測因子になるかについて検討した報告では,平均して妊娠後11 年で評価され,糖尿病性腎症発症率は正常血圧妊娠群に比べて妊娠高血圧腎症群で有意に高かったが,妊娠高血圧群では差を認めなかった.また,冠動脈疾患発症率も正常血圧の妊娠群に比べて妊娠高血圧腎症では高かった.妊娠高血圧腎症を発症した1 型糖尿病女性は分娩後も慎重にフォローアップするべきである8).また,糖尿病性網膜症に関しても,妊娠高血圧症候群を合併した1 型糖尿病女性で重症網膜症の発症率が上昇したとの報告がある9).したがって,妊娠高血圧症候群(特に妊娠高血圧腎症)を発症した糖尿病合併女性は将来的に腎症や網膜症の増悪リスクが高いため,分娩後も慎重なフォローアップが必要である.なお,海外では糖尿病性腎症合併妊娠において低用量アスピリン内服が妊娠高血圧腎症予防に有効である可能性が示唆されており,英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは妊娠12 週以降の低用量アスピリン内服(75 mg/日)を推奨している10).わが国の『妊娠高血圧症候群の治療指針2015』では,低用量アスピリンの内服による予防効果は限定的とされているb).

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,diabetic nephropathy)と医中誌(キーワード:妊娠,糖尿病性腎症)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 59,医中誌49 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

◆参考にした二次資料a) 日本糖尿病学会:糖尿病治療ガイド2014‒2015.文光堂,2014. b) 日本妊娠高血圧学会:妊娠高血圧症候群の治療指針2015.メジカルビュー社,2015.

文 献1) Piccoli GB, et al. Type 1 diabetes, diabetic nephropathy, and pregnancy:a systematic review and meta‒study. Rev Diabet Stud

2013;10:6‒26. PMID:24172695 2) Young EC, et al. Effects of pregnancy on the onset and progression of diabetic nephropathy and of diabetic nephropathy on preg-
p.42
nancy outcomes. Diabetes Metab Syndr 2011;5:137‒142. PMID:22813566 3) 杉山 隆,他.小児期発症糖尿病女性における妊娠合併症に関する検討.糖尿病と妊娠2007;7:141‒145. 4) 切原奈美,他.1 型糖尿病11 症例における糖尿病腎症合併妊娠の検討.糖尿病と妊娠2007;7:77‒80. 5) 上塘 正,他.母児の長期予後を知ろう:糖尿病腎症第3 期(顕性腎症)合併妊娠の母体予後と児の2 歳時における

発達予後.糖尿病と妊娠2013;13:45‒50. 6) Nielsen LR, et al. Improved pregnancy outcome in type 1 diabetic women with microalbuminuria or diabetic nephropathy:effect

of intensified antihypertensive therapy? Diabetes Care 2009;32:38‒44. PMID:18945922 7) Sandvik MK, et al. Are adverse pregnancy outcomes risk factors for development of end‒stage renal disease in women with dia-

betes? Nephrol Dial Transplant 2010;25:3600‒3607. PMID:20494895 8) Gordin D, H et al. Pre‒eclampsia but not pregnancy‒induced hypertension is a risk factor for diabetic nephropathy in type 1 dia-

betic women. Diabetologia 2007;50:516‒522. PMID:17216281 9) Gordin D, et al. Pre‒eclampsia and pregnancy‒induced hypertension are associated with severe diabetic retinopathy in type 1 dia-

betes later in life. Acta Diabetol 2013;50:781‒787. PMID:22955518 10) Mathiesen ER, et al. Obstetric nephrology:pregnancy in women with diabetic nephropathy‒‒the role of antihypertensive treat-

ment. Clin J Am Soc Nephrol 2012;7:2081‒2088. PMID:22917698
p.43
解 説

多発性囊胞腎(polycystic kidney disease:PKD)は常染色体優性多発性囊胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)と常染色体劣性多発性囊胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease: ARPKD)に区別される.ADPKD は最も頻度の高い遺伝性腎疾患であり(3,000~7,000 人に1 人),加齢とともに両腎の囊胞が増加・増大し,進行性に腎機能が低下し,70 歳までに約半数が腎不全に至る.第16 染色体短腕に存在するPKD1 遺伝子異常によるPKD1 と,第4 染色体長腕に存在するPKD2 遺伝子異常によるPKD2 が知られている.ADPKD は30~40 歳代までは無症状のことが多いが,40 歳以降はeGFRが低下し始める. ADPKD 患者の妊娠に関して,1994 年Chapman らの報告では,ADPKD 合併妊娠235 例と非合併妊娠108 例を比較し,生児獲得率や流産,死産率に有意差を認めなかったが,ADPKD 合併妊婦は非合併妊婦に比べて,高血圧発症や高血圧増悪,妊娠高血圧腎症発症率が高く,特に母体合併症は30 歳以上や妊娠前に高血圧合併するADPKD 合併妊婦で多かった1).また,1983 年の報告でPKD1 の変異が遺伝するリスクがある女性137 人を,ADPKD と診断された76 人(55%)と未診断の61 人(45%)とで比較すると,妊娠率や流産率,死産率,尿路感染発症率に有意差を認めなかった.しかし,ADPKD 群では妊娠関連および非関連の高血圧発症が有意に高かった.またADPKD 群において妊娠がPKD の増悪と関与することなく,妊娠回数と腎不全発症に関連を認めなかった2). 2013 年Vellanki の総説によると,多発性囊胞腎の症例は高血圧症,妊娠高血圧症候群,帝王切開の合併が多く,ADPKD には約7% で脳動脈瘤の合併を認めるため,ADPKD 合併妊娠では分娩前に脳動脈瘤の精査を施行し,分娩方法も検討するべきであろうとされている3).多発性囊胞腎に対し,囊胞の増殖と腎不全の進行を抑制するため,V2 受容体拮抗薬の一つであるトルバプタンが,2014 年3 月に承認された.添付文書より,トルバプタンは動物実験で,催奇形性,胚・胎児死亡が認められており,妊娠および妊娠を希望する患者には投与しないこと,適切な避妊をすることとされている. ARPKD は6p21.1‒p12 領域の遺伝子異常が原因であり,1/20,000 人に生じる.集合管拡張により生じる腎囊胞や先天性肝線維症や門脈圧亢進症に特徴づけられる.患者は早ければ胎生18週頃より腎臓肥大や羊水過少が認められ,絨毛や羊水検査により遺伝子検査も可能である.ARPKD 患者は胎児期の腎肥大による胸腔の狭小化に伴い肺低形成となり,新生児期に30% の患児が呼吸器合併症により死亡する.生存した70% の児も10 歳までに1/3 が透析もしくは腎移植を必要とする.15 歳まで生存できるのは

CQ10多発性囊胞腎の患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)患者の妊娠は,高血圧や妊娠高血圧腎症の発症率が高い.グレード2C

ステートメント
p.44
50~80% との報告がある4,5).そのためARPKD 合併妊娠の報告は症例報告のみ6,7)であり,評価困難である.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,polycystic kidney disease)と医中誌(キーワード:妊娠,多発性囊胞腎)で,2007 年1月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 69,医中誌18 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

文 献1) Chapman AB, et al. Pregnancy outcome and its relationship to progression of renal failure in autosomal dominant polycystic kid-

ney disease. J Am Soc Nephrol 1994;5:1178‒1185. PMID:7873727 2) Milutinovic J, et al. Fertility and pregnancy complications in women with autosomal dominant polycystic kidney disease. Obstet

Gynecol 1983;61:566‒570. PMID:6835610 3) Vellanki K. Pregnancy in chronic kidney disease. Adv Chronic Kidney Dis 2013;20:223‒228. PMID:23928386 4) Fonck C, et al. Autosomal recessive polycystic kidney disease in adulthood. Nephrol Dial Transplant 2001;16:1648‒1652.

PMID:11477168 5) Banks N, et al. Pregnancy in autosomal recessive polycystic kidney disease. Arch Gynecol Obstet 2015;291:705‒708. PMID:

25214022 6) Parfrey PS. Autosomal‒recessive polycystic kidney disease. Kidney Int 2005;67:1638‒1648. PMID:15780130 7) Tsunoda M, et al. Pregnancy complicated by Caroli’s disease with polycystic kidney disease:a case report and following observa-

tions. J Obstet Gynaecol Res 2008;34:599‒602. PMID:18840161
p.45
解 説

透析患者の妊娠の予後と合併症について2002 年から2008 年まで報告された症例集積とコホート研究をまとめたシステマティックレビューが2010 年に報告されている1).このシステマティックレビューによると,透析患者78 例の90 妊娠中,人工中絶が10 例,自然流産が5 例,胎児死亡あるいは新生児死亡が14 例,生児61 例であり,生児率は68%,人工中絶例を除くと生児率は76% であった.このシステマティックレビューに含まれる2004 年以降の論文2‒8)と2009 年以降に報告された症例集積9‒11)とレジストリー12)を加えた結果の要約を表に示す.結果をまとめると,妊娠205 例中,人工中絶が21 例,自然流産が13 例,胎児死亡14 例,新生児あるいは乳児死亡が16 例,生児141 例であり,生児率は69%,人工中絶例を除くと生児率は77% であった.オーストラリアとニュージーランドのレジストリーからの報告12)では,妊娠49 例中(1996~2008 年に妊娠43 例),30 例に生児が得られ,生児率は62%,人工中絶例を除くと生児率は79%であった.1998~1999年に報告されたレジストリー13‒15)の結果と比較して生児を得る確率は増加しており,透析患者の妊娠出産成功例が増加していると考えられる.しかしながら,健康な妊婦と比較して人工流産,自然流産,胎児死亡,新生児死亡の頻度が高く,生児を得る確率は低く,透析患者の妊娠予後は依然として良好とはいえない.透析患者では早産の頻度が高く,このことが胎児死亡と新生児死亡の頻度が高いことと関連する.出生時体重は妊娠週数に相応するので,透析患者では妊娠週数が32 週以下,出生時体重2,000 g 以下の低出生体重児の頻度が高い(表).生児率や出生時体重を改善するためには妊娠期間を延長する必要がある.カナダからの週5~7 回,平均透析時間48 時間/週の夜間家庭血液透析の報告2)において,他の報告と比較して妊娠週数が長く,出生時体重が多く,100% の生児率が得られたことが示されている.明確なエビデンスはないが,頻回長時間透析をすると,生児率や出生時体重が改善することが示唆される.羊水過多の合併頻度は高いが,母体の高BUN 血症による胎児の浸透圧利尿が原因と想定されている.透析量を増やし,BUN 値を低下させることにより羊水過多が改善する可能性が示唆されている2,10).母体の死亡例については前述の論文では報告がなく,稀であると思われる.しかしながら,高血圧の合併頻度は高い(表).透析患者の妊娠率はオーストラリアとニュージーランドのレジストリーから報告されている12).この報告の妊娠率は1976~1985 年,1986~1995 年,1996~2008 年がそれぞれ0.54,0.67,3.3/1,000 患者年

CQ11維持透析患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

透析患者の妊娠は,健康な妊婦と比較して生児を得る確率が低く,早産,低出生体重児の頻度が高い.

グレード1A

患者が妊娠,出産を強く希望する場合は妊娠予後や合併症,頻回長時間透析による妊娠予後改善の可能性について情報提供をする必要がある.グレード1C

ステートメント
p.46
であり,近年の妊娠率は増加している.前述の夜間家庭血液透析の報告2)では妊娠率は15.6% であり,標準透析の妊娠率1.0~3.4%13‒15)と比較して高い.以上より透析患者の妊娠は,健康な妊婦と比較して生児を得る確率が低く,早産,低出生体重児の頻度が高い.したがって患者が妊娠,出産を強く希望する場合は妊娠予後や合併症,頻回長時間透析による妊娠予後改善の可能性について情報提供をする必要がある.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,dialysis,risk)と医中誌(キーワード:妊娠,透析)で,2007 年1 月から2013 年12 月

表透析患者の妊娠予後および合併症

報告者報告

年研究

期間国研究

デザイン妊娠数人工

流産(%)自然

流産(%)§胎児

死亡(%)§新生児

・乳児死亡(%)§生児

(%)§出生時

体重(g)妊娠週数早産

(%)母体

高血圧(%)羊水

過多(%)

Shahir AK 2013 1966~

2008 Australia

and New Zealandレジスト

リー49 22 6 10 5 79 2,131

(800‒ 4,200) ― 53 ― 5

Bahadi A 2010 1999~

2007 Morocco症例集積,

単施設,後ろ向き9 0 22 22 0 56 2,380

(1,800‒ 2,900)# 35 (34‒36)# 100 56 44

Luders C 2010 1988~

2008 Brazil症例集積,

単施設,後ろ向き52 0 0 8 6 87 1,554±

663 32.7±3.1 85 70 40

Asamiya Y 2009 1986~

2007 Japan症例集積,

単施設,後ろ向き33 15 14 4 18 64 1,414±

759 28.3±9.0 92 39 39

Barua M 2008 2001~

2006 Canadaコホート,

多施設,後ろ向き7 14 0 0 0 100 2,417±

657 36.2±3.0 50 33 0

Chou CY 2008 1999~

2006 Taiwan症例集積,

単施設,後ろ向き13 23 0 30 20 50 1,511±

284 30.8±1.6 100 40 60

Tan LK 2006 1995~

2004 Singapore症例集積,

単施設,後ろ向き11 0 18 0 0 82 1,390±

705 31

(2‒36) 100 64 18

Haase M 2005 2000~

2004 Germany症例集積,

単施設,前向き5 0 0 0 0 100 1,765±

554 32.8±3.3 80 40 40

Malik GH 2005 1992~

2003 Saudi

Arabia症例集積,

単施設,前向き12 0 25 0 17 58 1,700

(1,115‒

2,300) 31.5 (27‒36)100 67 42

Eroglu D 2004 2000~

2002 Turkey症例集積,

単施設,後ろ向き7 0 0 0 14 86 1,400

(420‒ 2,640) 32 (26‒36)100 43 29

Moranne O 2004 1995~

2001 France不明7 14 0 0 17 83 1,495

(660‒ 1,920) 31 (24‒34)100 50 83

平均値±SD,平均値あるいは中央値(最小値‒最大値) ―記載なし,§ 人工中絶例を除いた%,# 生児のみの値
p.47
までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 101,医中誌102 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.また,適宜,文献検索を追加した.

文 献1) Piccoli GB, et al. Pregnancy in dialysis patients:is the evidence strong enough to lead us to change our counseling policy? Clin J

Am Soc Nephrol 2010;5:62‒71. PMID:19965547 2) Barua M, et al. Successful pregnancies on nocturnal home hemodialysis. Clin J Am Soc Nephrol 2008;3:392‒396. PMID:

18308997 3) Chou CY, et al. Pregnancy in patients on chronic dialysis:A single center experience and combined analysis of reported results.

Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 2008;136:165‒170. PMID:17560006 4) Tan LK, et al. Obstetric outcomes in women with end‒stage renal failure requiring renal dialysis. Int J Gynaecol Obstet 2006;

94:17‒22. PMID:16756981 5) Haase M, et al. A systematic approach to managing pregnant dialysis patients‒‒The importance of an intensified haemodiafiltra-

tion protocol. Nephrol Dial Transplant 2005;20:2537‒2542. PMID:16115858 6) Malik GH, et al. Pregnancy in patients on dialysis:Experience at a referral center. J Assoc Physicians India 2005;53:937‒941.

PMID:16515231 7) Eroğlu D, et al. Pregnancy during hemodialysis:Perinatal outcome in our cases. Transplant Proc 2004;36:53‒55. PMID:

15013299 8) Moranne O, et al. Pregnancy and hemodialysis. Nephrologie 2004;25:287‒292. PMID:15584638

9) Bahadi A, et al. Pregnancy during hemodialysis:a single center experience. Saudi J Kidney Dis Transpl 2010;21:646‒651.

PMID:20587867 10) Luders C, et al. Obstetric outcome in pregnant women on long‒term dialysis:a case series. Am J Kidney Dis 2010;56:77‒85.

PMID:20382457 11) Asamiya Y, et al. The importance of low blood urea nitrogen levels in pregnant patients undergoing hemodialysis to optimize birth

weight and gestational age. Kidney Int 2009;75:1217‒1222. PMID:19242506 12) Shahir AK, et al. An observational outcomes study from 1966‒2008, examining pregnancy and neonatal outcomes from dialysed

women using data from the ANZDATA Registry. Nephrology(Carlton)2013;18:276‒284. PMID:23441694 13) Okundaye I, et al. Registry of pregnancy in dialysis patients. Am J Kidney Dis 1998;31:766‒773. PMID:9590185 14) Bagon JA, et al. Pregnancy and dialysis. Am J Kidney Dis 1998;31:756‒765. PMID:9590184 15) Toma H, et al. Pregnancy in women receiving renal dialysis or transplantation in Japan:a nationwide survey. Nephrol Dial Trans-

plant 1999;14:1511‒1516. PMID:10383016
p.48
解 説

腎移植後は腎機能の改善により,妊孕性の回復がみられ,妊娠率は上昇する.腎移植患者の妊娠について,Deshpande らの2000 年から2010 年の報告でのシステマティックレビューでは,50 の報告より,3,570 患者の4,706 妊娠を検討した.生児率73.5%,流産率14%,合併症に関しては妊娠高血圧腎症27%,妊娠糖尿病8%,帝王切開56.9%,早産45.6% と,一般人口よりも高かった.妊娠のアウトカムは妊娠年齢が低いほど良好であり,腎移植と妊娠の期間が短い方が,合併症が多かった.腎移植後患者の妊娠は可能であるが,合併症の頻度は高く,カウンセリングと医学的決定を考慮しなければならないとされている1). 2013 年のオーストラリアとニュージーランドのレジストリーの報告では447 人の移植患者の692 妊娠が検討された.コントロール群と比較すると早産や低出生体重が多く,周産期生存は94%(コントロール99%)であり,腎移植患者の妊娠はおおむね成功しているが,正常妊婦と比較すると腎機能が良好であってもハイリスクであった2).2013 年のイギリスのレジストリーの報告では101 患者の105 妊娠で検討され,妊娠高血圧腎症24%,早産52% といずれもコントロール群と比較し高く,2% で急性拒絶があった.妊娠のアウトカムが不良な因子は,2 回以上の腎移植,妊娠初期のCr 1.38 mg/dL 以上,妊娠中期以降の拡張期血圧90 mmHg 以上であった3).日本からはToma らが1999 年に報告し,腎移植後患者189 例の妊娠で生児率は82%,流産率(自然,人工)14.4%,周産期死亡1% であった.妊娠中の腎機能の低下が19.2% でみられ,その30% が出産後も低下し,移植腎の廃絶に至った症例もあった.早産率は59.1%で,先天奇形は2.6% でみられた4).またHou の総説によると,アメリカの移植患者のレジストリーでは,生児率73.8%,新生児死亡率1.1%,自然流産率17.3%,人工中絶率4.5%,死産率2.5% であり,早産率は52% と高かった5).移植腎機能の予後に関しては,Aivazoglou らの報告で,31 患者34 妊娠中,15 例で腎機能の低下がみられ,そのうち10 例は妊娠高血圧腎症,2 例は拒絶,1 例はグラフト閉塞,1 例は尿路感染と関連,1 例原因不明,1 例は拒絶から廃絶に至った.妊娠初期と出産後のCr は両群ともに明らかな差はなかった.妊娠中に腎機能低下が一時的に起こる可能性があり,妊娠中の拒絶が移植腎廃絶の原因となる可能性がある6).また腎移植患者を出産群と非出産群で比較した検討では,19 患者22 出産の出産群と38 患者非妊娠群で,Cr の差はみられず,免疫抑制薬の使用も差はなかった.慢性高血圧,蛋白尿,ESA の使用,尿路感染も明らかな差はなく,移植腎や患者の予後に変わりはなかった7).

CQ12腎移植患者の妊娠は合併症のリスクが高いか?

腎移植患者の妊娠合併症のリスクは正常妊婦よりも高いが,腎機能が安定している状態であれば,移植後1 年以上経過すれば妊娠は比較的安全である.グレード2C

ステートメント
p.49
Abe らによる日本の報告では20 患者29 妊娠中,3 例自然流産,5 例人工中絶があった.平均出産週数

35.4 週,平均出生体重2,229 g,児の合併症は子宮体内発育遅延3 例,1 例発育遅延のため生後3 か月で

死亡した.1 例で心奇形,1 例で尿路奇形が認められた.母体合併症は38.1% で妊娠高血圧症候群,4 例で出産後腎機能悪化がみられた.移植腎予後は1 年100%,5 年85.1%,10 年74.4% であった.妊娠前に高血圧があった症例の予後が悪かった8).以上より,腎機能が安定している腎移植患者の妊娠は合併症の頻度は高いが,生児を得る確率も高く,出産後も移植腎機能は保持される.しかし,Cr 上昇例や高血圧例では,妊娠経過中あるいは出産後に腎機能の低下をきたす場合があり,注意が必要である.また,妊娠の時期について,Kim らの48 患者74 妊娠の検討で,74 妊娠中11 例(15%)は移植から1年以内であり,7 例で生児,2 例で流産,2 例で中絶,10 年予後は1 年以内に妊娠した11 例と,1 年以降に妊娠した37 例とで差はなかったとの報告がある9).移植し2 年たつと拒絶のリスクは低く,腎機能も安定するという理由で,その間は妊娠を避けるとされてきた.しかし,2 年という間に妊娠期間を逃してしまうこともあり,拒絶がなく,腎機能が安定し,感染症や催奇形性のある薬剤の使用なく,免疫抑制薬も維持量の患者に対しては,移植後1 年でも妊娠は安全との見解が出ている10).

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,kidney transplantation,cohort study,disease progression,prognosis,risk factor)と医中誌(キーワード:妊娠,腎移植)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 58,医中誌26 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

文 献1) Deshpande NA, et al. Pregnancy outcomes in kidney transplant recipients:a systematic review and meta‒analysis. Am J Trans-

plant 2011;11:2388‒2404. PMID:21794084 2) Wyld ML, et al. Pregnancy outcomes for kidney transplant recipients. Am J Transplant 2013;13:3173‒3182. PMID:24266970 3) Bramham K, et al. Pregnancy in renal transplant recipients:a UK national cohort study. Clin J Am Soc Nephrol 2013;8:290‒

298. PMID:23085724 4) Toma H, et al. Pregnancy in women receiving renal dialysis or transplantation in Japan:a nationwide survey. Nephrol Dial Transplant 1999;14:1511‒1516. PMID:10383016 5) Hou S. Pregnancy in renal transplant recipients. Adv Chronic kidney Dis 2013;20:253‒259. PMID:23928390 6) Aivazoglou L, et al. Pregnancy after renal transplantation:an evaluation of the graft function. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol

2011;155:129‒131. PMID:21183269 7) Gorgulu N, et al. Does pregnancy increase graft loss in female renal allograft recipients? Clin Exp Nephrol 2010;14:244‒247.

PMID:20091332 8) Abe T, et al. Pregnancy after renal transplantation:a single‒center experience. Int J Urol 2008;15:587‒592. PMID:18462355 9) Kim HW, et al. The experience of pregnancy after renal transplantation:pregnancies even within postoperative 1 year may be

tolerable. Transplantation 2008;85:1412‒1419. PMID:18497680 10) Josephson MA, et al. Women and transplantation:fertility, sexuality, pregnancy, contraception. Adv Chronic Kidney Dis 2013;

20:433‒440. PMID:23978550
p.50

        
p.51
IV

CKD 患者の妊娠管理
p.52
解 説

血清クレアチニン(Cr)値は酵素法とヤッフェ法によって測定されるが,近年は酵素法によって測定されることが多い.酵素法では正常値は概ね0.8 mg/dL 以下であるが,妊娠中は低下する.また,血液尿素窒素(BUN)も妊娠中は低下する.初版の『CKD 診療ガイド』(2007 年)には推算GFR(eGFR)に関しては年齢,血清Cr 値,性別を考慮した改訂MDRD(the Modification of Diet in Renal Disease)簡易式が用いられていた1).これまでにMDRD 推算式は妊娠中の正常経過,妊娠高血圧腎症経過においてともに過小評価されることが報告されており,妊娠時の評価に適さないとされている2).現在日本腎臓学会より提唱され,幅広く臨床現場で用いられている日本人用のeGFR 推算式は,改訂MDRD 簡易式同様に血清Cr 値,年齢,性別より計算される3).しかしながら,現在のところ妊娠中のeGFR と真の糸球体濾過量(GFR)との関係は十分な検討がなされていない.臨床的にはGFR を蓄尿によりクレアチニンクリアランスを測定し,指標としている.しかし,蓄尿が困難な場合,個々の相対的な変化としては,eGFR でも簡易的に評価できると考えられる.シスタチンC は,現在Cr 同様にeGFR を求める指標となっている.妊娠高血圧腎症において胎盤から産生されているとの報告があり4),妊娠高血圧腎症との関連が示唆されている5,6).妊娠中のシスタチンC はイヌリンクリアランスと関連しないとの報告もあり7),妊娠における腎機能の指標としては適切でないと考えられる.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,kidney function test,symptom assessment)と医中誌(キーワード:妊娠,腎機能)で, 2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 105,医中誌52 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

文 献1) 日本腎臓学会:CKD 診療ガイド.東京医学社,2007. 2) Smith MC, et al. Assessment of glomerular filtration rate during pregnancy using the MDRD formula. BJOG 2008;115:109‒ 112. PMID:17970797 3) Matsuo S, et al. Revised equations for estimated GFR from serum creatinine in Japan. Am J Kidney Dis 2009;53:982‒992.

PMID:19339088

CQ1妊娠中の腎機能はどのように評価するか?

妊娠中の正確な腎機能評価はクレアチニンクリアランスを測定することが望ましい.グレード1C

相対的な変化としてeGFR でも簡易的に評価できる.グレードなし

ステートメント
p.53
4) Kristensen K, et al. Increased cystatin C expression in the pre‒eclamptic placenta. Mol Hum Reprod 2007;13:189‒195. PMID:

17227816 5) Novakov Mikic A, et al. Cystatin C in pre‒eclampsia. J Matern Fetal Neonatal Med 2012;25:961‒965. PMID:21740322 6) Saleh S, et al. Second trimester maternal serum cystatin C levels in preeclamptic and normotensive pregnancies:A small case‒

control study. Hypertens Pregnancy 2010;29:112‒119. PMID:20132026 7) Saxena AR, et al. Correlation of cystatin‒C with glomerular filtration rate by inulin clearance in pregnancy. Hypertens Pregnancy

2012;31:22‒30. PMID:22008011
p.54
解 説

尿検査は妊娠中においても腎の状態を判断する方法として重要である.蛋白尿スクリーニングには随時尿の試験紙法による尿蛋白半定量法を用いる.試験紙法はアルブミン検出には優れているがグロブリンなどは感知が難しいという欠点がある.また,中間尿を採取することが望ましく,腟分泌物の混入や尿路感染などが存在している場合は正確に判定できないことに留意する必要がある.随時尿における蛋白尿スクリーニングでは,しばしば偽陽性になることが知られており,1+の場合は複数回の新鮮尿検体での確認が必要である1).2+以上は病的蛋白尿の可能性が高い.蛋白尿を正確に測定するためには蓄尿を行い,1 日尿量×尿蛋白定量にて可能である.随時尿での尿蛋白/Cr 比(g/gCr)は1 日尿蛋白量とよく相関することから,妊婦における蛋白尿評価においても24時間尿中蛋白定量法の代替法として活用すべきであるという報告が数多くみられ2‒6),実際に実臨床において用いられ,臨床研究における尿蛋白評価方法としても報告されている7).特に濃縮尿では試験紙法にて尿蛋白陽性の場合でも尿中Cr が高値となっていることがあることなどから,尿蛋白/Cr 比が有効であることが報告されている8).したがって尿蛋白/Cr 比は尿蛋白量を把握するうえで有用な指標と考えられる.しかしながら,一部に否定的な報告も存在している9,10).健常者においても生理的に微量の尿蛋白が排泄されている.糖尿病以外の慢性腎臓病においては,尿蛋白定量(g/日)あるいは尿蛋白/Cr 比が0.15 以上を軽度蛋白尿,0.5 以上を高度蛋白尿としている11).糖尿病においては,尿アルブミン定量(mg/日)あるいは尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)が30 以上を軽度蛋白尿,300 以上を高度蛋白尿としている.正常妊娠の1 日尿蛋白排泄量は非妊娠時に比して多いとされている.2014 年に国際妊娠高血圧学会(ISSHP)では0.27 g/gCr は尿蛋白300 mg/日にほぼ相当すると報告されていることなどから,0.27 g/gCr 以上は病的蛋白尿としてよいとの見解を表明した12).欧米人よりも小柄な日本人女性では,尿中Cr 排泄量も少ないと推測されるため,このカットオフ値がわが国においても適切であるかどうかは今後の検討が必要である.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,proteinuria,symptom assessment)と医中誌(キーワード:妊娠,蛋白尿,評価)で, 2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 161,医中誌69 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

CQ2妊娠中の蛋白尿はどのように評価するか?

妊婦では,尿中蛋白排泄量300 mg/日あるいは0.27 g/gCr 以上を病的蛋白尿と診断する.試験紙法では1+の場合は複数回の新鮮尿検体での確認が必要である.2+以上は病的蛋白尿の可能性が高い.

グレード1B

ステートメント
p.55
文 献1) Ginsberg JM, et al. Use of single voided urine samples to estimate quantitative proteinuria. N Engl J Med 1983;309:1543‒1546.

PMID:6656849 2) Sanchez‒Ramos L, et al. The protein‒to‒creatinine ratio for the prediction of significant proteinuria in patients at risk for pre-

eclampsia:a meta‒analysis. Ann Clin Lab Sci 2013;43:211‒220. PMID:23694798 3) Wilkinson C, et al. Spot urinary protein analysis for excluding significant proteinuria in pregnancy. J Obstet Gynaecol 2013;33:

24‒27. PMID:23259873 4) Khazardoost S, et al. Comparison of 8‒h urine protein and random urinary protein‒to‒creatinine ratio with 24‒h urine protein in

pregnancy. J Matern Fetal Neonatal Med 2012;25:138‒140. PMID:21689049 5) Eslamian L, et al. Random urine protein creatinine ratio as a preadmission test in hypertensive pregnancies with urinary protein

creatinine ratio. Acta Med Iran 2011;49:81‒84. PMID:21598214 6) Roudsari FV, et al. Protein/creatinine ratio on random urine samples for prediction of proteinuria in preeclampsia. Hypertens

Pregnancy 2012;31:240‒242. PMID:21174580 7) Yamada T, et al. Isolated gestational proteinuria preceding the diagnosis of preeclampsia‒ an observational study. Acta Obstet

Gynecol Scand 2016;95:1048‒1054. PMID:27109750 8) Baba Y, et al. Urinary protein‒to‒creatinine ratio in pregnant women after dipstick testing:prospective observational study. BMC

Pregnancy Childbirth 2015;15:331. PMID:26667089 9) Aggarwal N, et al. A prospective comparison of random urine protein‒creatinine ratio vs 24‒hour urine protein in women with

preeclampsia. Medscape J Med 2008;10:98. PMID:18504482 10) Durnwald C, et al. A prospective comparison of total protein/creatinine ratio versus 24‒hour urine protein in women with sus-

pected preeclampsia. Am J Obstet Gynecol 2003;189:848‒852. PMID:14526328 11) 日本腎臓学会:エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013.東京医学社,2013. 12) Tranquilli AL, et al. The classification, diagnosis and management of the hypertensive disorders of pregnancy:A revised statement

from the ISSHP. Pregnancy Hypertens 2014;4:97‒104. PMID:26104417
p.56
解 説

1.適応妊娠中の腎生検の適応は定められていない.Lindheimer らは,1)妊娠30~32 週以前,2)妊娠により腎機能が悪化,3)妊娠高血圧腎症以外の疾患が疑われる,4)分娩以外の治療が考慮されることを適応としている1).過去の報告では,腎生検施行時期は妊娠早期~40 週まで様々であるが,糸球体腎炎と妊娠高血圧腎症の鑑別,尿所見の出現あるいは増悪,腎機能の悪化にて施行された報告が多い2‒4).Chen らの2001 年の報告によると,妊娠中腎生検を施行した15 例中11 例にステロイド治療が必要であったとしている5).

2.合併症Piccoli らが報告したシステマティックレビューによると,分娩後腎生検合併症が1% 程度であったのに対し,妊娠中は7% と有意に合併症の出現率が高いことが報告されている2).妊娠週数別での報告では,妊娠0~21 週では1 例の肉眼的血尿と血腫が報告されているが,重篤な合併症は報告されなかった.一方で,23~26 週では,5 例の輸血を必要としない血腫,4 例は輸血が必要な大量出血が生じ,1 例は血管塞栓術が必要であったと報告している6,7).また,腎生検に伴う合併症により早期産や死産も報告されている.27 週以降では,6 例の腰腹部痛,5 例の血腫が報告されている2).

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,kidney biopsy,risk)と医中誌(キーワード:妊娠,腎生検)で,2007 年1 月から2013年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 42,医中誌69 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

文 献1) Lindheimer MD, et al. Renal biopsy in pregnancy‒induced hypertension. J Reprod Med 1975;15:189‒194. PMID:1206658 2) Piccoli GB, et al. Kidney biopsy in pregnancy:evidence for counselling? A systematic narrative review. BJOG 2013;120:412‒ 427. PMID:23320849 3) Day C, et al. The role of renal biopsy in women with kidney disease identified in pregnancy. Nephrol Dial Transplant 2008;23:

201‒206. PMID:17720987

CQ3妊娠中の腎生検は推奨されるか?

妊娠中に出現した尿異常や腎障害が糸球体腎炎によるものか妊娠高血圧腎症によるものかを鑑別するには腎生検が必要であるが,妊娠中に腎生検を施行することは母児の危険性を考慮すると慎重でなければならない.グレードなし

ステートメント
p.57
4) Wide‒Swensson D, et al. Antepartum percutaneous renal biopsy. Int J Gynaecol Obstet 2007;98:88‒92. PMID:17586507 5) Chen HH, et al. Renal biopsy in pregnancies complicated by undetermined renal disease. Acta Obstet Gynecol Scand 2001;80:

888‒893. PMID:11580732 6) Piccoli GB, et al. Pregnancy and chronic kidney disease:a challenge in all CKD stages. Clin J Am Soc Nephrol 2010;5:844‒

855. PMID:20413442 7) Packham D, et al. Renal biopsy:indications and complications in pregnancy. Br J Obstet Gynaecol 1987;94:935‒939. PMID:

3689726
p.58
解 説

定期的な産科医による妊婦健診,腎臓内科医による尿所見や腎機能の評価が必要である.腎臓内科医は降圧薬,免疫抑制薬等の投薬治療中であれば,産科医と連携して妊娠中継続可能な適切な薬剤を決定し,用量を調整する必要がある.また,食事を含めた生活習慣に関しても産科医と連携して指導していく必要がある1).

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,nephrologist,chronic kidney disease)と医中誌(キーワード:妊娠,腎専門医)で,2007年1 月から2013 年12 月の期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 18,医中誌4 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

文 献1) Smyth A, et al. Women, kidney disease, and pregnancy. Adv Chronic Kidney Dis 2013;20:402‒410. PMID:23978545

CQ4 CKD 患者の妊娠中は腎臓専門医が併診すべきか?

妊娠管理は産科医と腎臓内科医が連携して管理することが望ましい.グレード2D

ステートメント
p.59
解 説

『糖尿病治療ガイド2014‒2015』a)に基づき,妊娠中の血糖管理は,母体や児の合併症を予防するため,朝食前血糖値70~100 mg/dL,食後2 時間血糖値120 mg/dL 未満,HbA1c 6.2% 未満を目標とする.また,妊娠前,妊娠中,周産期,授乳期の薬物治療にはインスリンを用いる.日本では,添付文書上すべてのインスリン製剤が妊婦に対して慎重投与となっている.今まで,米国食品医薬品局(FDA)分類の分類B に該当する速効型インスリン,超速効型インスリンのインスリンアスパルト,インスリンリスプロ,中間型インスリン,持効型溶解インスリンのインスリンデテミル,混合型インスリンが使用されてきた.一方,超速効型インスリンのインスリングルリジン,持効型溶解インスリンのインスリングラルギンは分類C であった.現在FDA 分類は廃止されており,今後,個々の症例において,十分なインフォームド・コンセントの上,治療方針を決定する必要があるb).妊娠時における糖尿病管理の詳細は,2016 年6 月に『糖尿病治療ガイドライン2016』が発刊されており,そちらを参照してほしい.

◆参考にした二次資料a) 日本糖尿病学会:糖尿病治療ガイド2014‒2015.文光堂,2014. b) 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2016 17.妊婦の糖代謝異常,p.371‒373.南江堂,2016.

CQ5糖尿病性腎症合併患者における血糖管理は非妊娠時と異なるか?

糖尿病性腎症合併患者に限らず,妊娠中の血糖管理は,母体や児の合併症を予防するため,朝食前血糖値70~100 mg/dL,食後2 時間血糖値120 mg/dL 未満,HbA1c 6.2% 未満を目標とする.グレード2D

薬物療法にはインスリンを用いる.グレード1A

ステートメント
p.60
解 説

『妊娠高血圧症候群の診療指針2015』では,血圧160/110 mmHg 以上の重症高血圧で降圧療法が必要とされ,降圧目標は拡張期血圧90~100 mmHg,収縮期血圧155~160 mmHg,平均血圧15~20% 以内の降圧にとどめるとされているa).また,『高血圧治療ガイドライン2014』では,160/110 mmHg 未満のコントロールを奨めているb).蛋白尿が認められない軽症高血圧に対して治療を行うべきかに関しては,厳格なコントロールでも母体予後,胎児予後に差がなかったとする報告1)がある一方,母体予後を改善したという報告もある2).推奨する根拠となるエビデンスはない.腎疾患患者に限定した降圧目標に関するエビデンスはなく,降圧目標は確立されていないが,これらのガイドラインに則り,治療を行うことを推奨する.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy, hypertension, chronic kidney disease)と医中誌(キーワード:妊娠,高血圧,慢性腎臓病),2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 84,医中誌25 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

◆参考にした二次資料a) 日本妊娠高血圧学会:妊娠高血圧症候群の診療指針2015.メジカルビュー社,2015. b) 日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2014.日本高血圧学会,ライフサイエンス出版,2014.

文 献1) Nabhan AF, et al. Tight control of mild‒moderate pre‒existing or non‒proteinuric gestational hypertension. Cochrane Database

Syst Rev 2011;7:CD006907. PMID:21735406 2) Molvi SN, et al. Role of antihypertensive therapy in mild to moderate pregnancy‒induced hypertension:a prospective randomized

study comparing labetalol with alpha methyldopa. Arch Gynecol Obstet 2012;285:1553‒1562. PMID:22249781

CQ6高血圧合併患者における降圧目標は非妊娠時と異なるか?

腎疾患患者における,妊娠時の降圧治療目標は確立されていない.『妊娠高血圧症候群の診療指針2015』および『高血圧治療ガイドライン2014』では,妊娠時の降圧目標は収縮期血圧軽症高血圧レベル(140~ 160/80~110 mmHg)とされている.グレードなし

ステートメント
p.61
解 説

透析患者の妊娠管理に関する症例報告やコホート研究は存在するが,RCT は存在しない.また,腹膜透析患者の透析量,透析処方に関する報告は少数しか存在せず,判断する材料が乏しいため,本ガイドラインでは血液透析のみを考察した.透析量を増やすことで妊娠期間が延長し,その結果出生時体重の増加,胎児生児率の増加,児の合併症減少につながることはよく知られている.週当たりの透析時間を20時間以上に増やすことで生児率が上昇することが示されている1).また,透析前のBUN 値を50 mg/dL 未満に保つことで生児率が上昇することが複数の症例報告やコホート研究から報告されている2).透析患者の妊娠の管理と予後について2002 年から2008 年まで報告された症例集積とコホート研究をまとめたシステマティックレビューが2010 年に報告されている3).このシステマティックレビューに含まれる2004 年以降の論文4‒10)と2009 年以降に報告された症例集積11‒13)を加えた結果の要約を表に示す.透析スケジュールは週5~6 回,1 回3~4 時間の報告が多い,ドイツからの報告7)では,週6 回,週当たりの透析時間を24 時間以上に増加することによりBUN 値を50 mg/dL 未満に保つことができ,100% の生児率が得られている.また,カナダからの週5~7 回,平均透析時間48 時間/週の夜間家庭血液透析の報告4)において,他の報告と比較して妊娠週数が長く,出生時体重がより大きく,100% の生児率が得られたことが示されている.報告により透析量に差があり,推奨する透析量を決定できないが,頻回長時間透析をすると,生児率が上昇することが示唆される3).また,頻回透析は体液管理を容易にし,透析間の体重増加を抑え,血圧の安定を可能にする2).日本からの報告13)では,透析前のBUN 値と妊娠週数および出生時体重との間に負の相関が認められ, 32 週以上の妊娠週数および1,500 g 以上の出生時体重が透析前のBUN 値48 mg/dL 以下に相当することが示され,従来の推奨を実証した.以上より,最低確保すべき透析量として,透析前のBUN を50 mg/dL 未満を目標に,週4 回以上,週当たりの透析時間は20 時間以上の透析を行うことを推奨する.目標透析量は週6 回,週当たりの透析時間は24 時間以上が望ましい.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,dialysis)と医中誌(キーワード:妊娠,透析)で,2007 年1 月から2013 年12 月まで

CQ7維持血液透析患者ではどのくらいの透析量(透析回数,時間など)が推奨されるか?

確保すべき透析量の指標として,透析前のBUN を50 mg/dL 未満を目標に,週4 回以上,週当たりの透析時間は20 時間以上の透析を行うことを推奨する.グレード1B

週6 回,週当たりの透析時間は24 時間以上が望ましい.グレード2C

ステートメント
p.62
の期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 218,医中誌102 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

文 献1) Hou S. Modification of dialysis regimens for pregnancy. Int J Artif Organs 2002;25:823‒826. PMID:12403396 2) Reddy SS, et al. The importance of increased dialysis and anemia management for infant survival in pregnant women on hemodi-

alysis. Kidney Int 2009;75:1133‒1134. PMID:19444267 3) Piccoli GB, et al. Pregnancy in dialysis patients:is the evidence strong enough to lead us to change our counseling policy? Clin J

Am Soc Nephrol 2010;5:62‒71. PMID:19965547 4) Barua M, et al. Successful pregnancies on nocturnal home hemodialysis. Clin J Am Soc Nephrol 2008;3:392‒396. PMID:

18308997 5) Chou CY, et al. Pregnancy in patients on chronic dialysis:A single center experience and combined analysis of reported results.

Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 2008;136:165‒170. PMID:17560006 6) Tan LK, et al. Obstetric outcomes in women with end‒stage renal failure requiring renal dialysis. Int J Gynaecol Obstet 2006; 94:17‒22. PMID:16756981 7) Haase M, et al. A systematic approach to managing pregnant dialysis patients‒‒The importance of an intensified haemodiafiltra-

tion protocol. Nephrol Dial Transplant 2005;20:2537‒2542. PMID:16115858 8) Malik GH, A et al. Pregnancy in patients on dialysis‒‒Experience at a referral center. J Assoc Physicians India 2005;53:937‒

941. PMID:16515231 9) Eroğlu D, et al. Pregnancy during hemodialysis:Perinatal outcome in our cases. Transplant Proc 2004;36:53‒55. PMID:

15013299 10) Moranne O, et al. Pregnancy and hemodialysis. Nephrologie 2004;25:287‒292. PMID:15584638 11) Bahadi A, et al. Pregnancy during hemodialysis:a single center experience. Saudi J Kidney Dis Transpl 2010;21:646‒651.

PMID:20587867 12) Luders C, et al. Obstetric outcome in pregnant women on long‒term dialysis:a case series. Am J Kidney Dis 2010;56:77‒85.

表妊娠中の透析条件報告者報告

年研究

期間国妊娠中透析回数週当たりの

透析時間透析前BUN

(mg/dL) Hb

(g/dL)体重増加生児

(%)§

Bahadi A 2010 1999

~2007 Morocco 4~6 18(12‒24) <50 >11 0.3~0.5 kg/週 第2,3 三半期56

Luders C 2010 1988

~2008 Brazil 1988~99:4~6

1988~99:6 15(9‒21) 86.4±27.4 Ht

31.7±4.8 ― 87

Asamiya Y 2009 1986

~2007 Japan ― 18.2±3.9 50.7±12.9 9.3±1.3 127.1±167.4 g/週 第2 三半期

193.6±111.0 g/週 第3 三半期

64 Barua M 2008 2001

~2006 Canada 5~7 48±5 22.4±11.2 11.4±0.8 ― 100

Chou CY 2008 1999

~2006 Taiwan 5~6 15~27 ― ―妊娠中の体重増加 9.7±2.7 kg 50

Tan LK 2006 1995

~2004 Singapore 6 18 <56 ― ― 82

Haase M 2005 2000

~2004 Germany 6~7 28.6±6.3 36±14 10.7±0.5 200~400 g/10 日間100

Malik GH 2005 1992

~2003 Saudi

Arabia 4~6 ― <50 >10 ― 58

Eroglu D 2004 2000

~2002 Turkey 4~6 20(16‒24) <60 >9 ≦300 g/週 第2 三半期

300~500 g/週 第3 三半期

86 Moranne O 2004 1995

~2001 France ― 15~24 59.3† ― 83

平均値±SD,平均値あるいは中央値(最小値‒最大値) ―記載なし,§人工中絶例を除いた%,†中央値,><目標値
p.63
PMID:20382457 13) Asamiya Y, et al. The importance of low blood urea nitrogen levels in pregnant patients undergoing hemodialysis to optimize birth

weight and gestational age. Kidney Int 2009;75:1217‒1222. PMID:19242506
p.64
解 説

透析患者の妊娠の貧血に関するコホート研究はほとんど存在しない.健常女性の妊娠では母体の貧血(Hb 10 g/dL 以下)が早産,低出生体重の危険因子であることが報告されている1).日本からの報告2)では,生児が得られた群では得られなかった群と比較し,ヘモグロビン(Hb)値が有意に高値であったと報告されている(9.6±0.9 vs 8.3±1.9 g/dL).ドイツからの報告3)では,週当たりの透析時間を24 時間以上に増やし,ヘマトクリット(Ht)値35% 以上を目標にerythropoiesis stimulating agent(ESA)を調節することでHb 値が8.9±1.9 g/dL から10.7±0.5 g/dL に上昇し,生児率が100% 得られている. Hb 値10~11 g/dL を達成するためには,ESA 投与量を非妊娠時より50~100% ほど増加する必要がある4).鉄剤の必要量も非妊娠時より増加する.しかしながら,鉄剤の投与基準,方法に関する研究は存在せず,日本透析医学会の『慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン』5)に準拠することが妥当と考えられる.以上より,目標Hb 値10~11 g/dL を推奨する.(2015 年版『慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン』では目標Hb 値10~12 g/dL6)となっているが,妊娠時における検討は含まれていない.)ドライウェイトは胎児の体重を定期的に評価し,調節されるべきである.欧米の報告では,ドライウェイトは第1 三半期(妊娠14 週未満)では1~1.5 kg の増加,第2(妊娠14 週~28 週未満)および第3 三半期(妊娠28 週以降)では,週当たり0.3~0.5 kg までの増加が目安といわれている2,3,7‒14).日本からの報告2)では,ドライウェイトの増加は第2 三半期では,生児が得られた群では146.2±

183.0 g/週,得られなかった群では65.0±94.3 g/週であった.第3 三半期(生児が得られた群のみ)では

193.6±111.0 g/週であった.欧米人と比べ体格の違いを考慮する必要があるが,日本人の健康な妊婦の妊娠中期から末期の体重増加量は週当たり0.3~0.5 kg が推奨されている15).本ガイドラインでも体液量の評価をしつつ週当たり0.3~0.5 kg の増加を目安とする.過度の除水は低血圧をきたし,胎盤血流を低下させるので避ける.血圧を安定させるためにも,透析間の体重増加を抑えられる頻回透析を行うことが必要である.

CQ8維持血液透析患者ではどのくらいの貧血管理,体重設定が推奨されるか?

目標Hb 値10~11 g/dL を推奨する.グレード1B

ドライウェイトは妊娠中期から末期にかけては,体液量の評価をしつつ,週当たり0.3~0.5 kg の増加を目安とする.グレード1B

過度の除水による低血圧を予防するため,透析間の体重増加を抑える.そのためには頻回透析が必要となる.グレード2C

ステートメント
p.65
以上より,ドライウェイトは妊娠中期から末期にかけて週当たり0.3~0.5 kg の増加を目安とすることを推奨する.過度の除水による低血圧を予防するため,透析間の体重増加を抑える.そのためには頻回透析が必要となる.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,dialysis)と医中誌(キーワード:妊娠,透析,貧血,体重)で,2007 年1 月から2013年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 218,医中誌26 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

文 献1) Levy A, et al. Maternal anemia during pregnancy is an independent risk factor for low birthweight and preterm delivery. Eur J

Obstet Gynecol Reprod Biol 2005;122:182‒186. PMID:16219519 2) Asamiya Y, et al. The importance of low blood urea nitrogen levels in pregnant patients undergoing hemodialysis to optimize birth

weight and gestational age. Kidney Int 2009;75:1217‒1222. PMID:19242506 3) Haase M, et al. A systematic approach to managing pregnant dialysis patients‒The importance of an intensified haemodiafiltration

protocol. Nephrol Dial Transplant 2005;20:2537‒2542. PMID:16115858 4) Reddy SS, et al. The importance of increased dialysis and anemia management for infant survival in pregnant women on hemodi-

alysis. Kidney Int 2009;75:1133‒1134. PMID:19444267 5) 日本透析医学会第二次腎性貧血治療ガイドライン作成ワーキンググループ.2008 年版日本透析医学会「慢性腎臓病

患者における腎性貧血治療のガイドライン」.透析会誌2008;41:661‒716. 6) 日本透析医学会慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン改訂ワーキンググループ.2015 年版日本透析

医学会「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」.透析会誌2016;49:89‒158. 7) Barua M, et al. Successful pregnancies on nocturnal home hemodialysis. Clin J Am Soc Nephrol 2008;3:392‒396. PMID:

18308997 8) Chou CY, et al. Pregnancy in patients on chronic dialysis:A single center experience and combined analysis of reported results.

Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 2008;136:165‒170. PMID:17560006 9) Tan LK, et al. Obstetric outcomes in women with end‒stage renal failure requiring renal dialysis. Int J Gynaecol Obstet 2006;

94:17‒22. PMID:16756981 10) Malik GH, et al. Pregnancy in patients on dialysis‒‒Experience at a referral center. J Assoc Physicians India 2005;53:937‒941.

PMID:16515231 11) Eroğlu D, et al. Pregnancy during hemodialysis:Perinatal outcome in our cases. Transplant Proc 2004;36:53‒55. PMID:

15013299 12) Moranne O, et al. Pregnancy and hemodialysis. Nephrologie 2004;25:287‒292. PMID:15584638

13) Bahadi A, et al. Pregnancy during hemodialysis:a single center experience. Saudi J Kidney Dis Transpl 2010;21:646‒651.

PMID:20587867 14) Luders C, et al. Obstetric outcome in pregnant women on long‒term dialysis:a case series. Am J Kidney Dis 2010;56:77‒85.

PMID:20382457 15) 厚生労働省.妊産婦のための食生活指針:「健やか親子21」推進検討会報告書.2006.http://www.mhlw.go.jp/houdou/

2006/02/h0201‒3a.html.2006.
p.66

        
p.67
V

妊娠中に使用できる薬物
p.68
解 説

海外での妊娠中における降圧治療の報告は,わが国で使用されていない薬剤も含まれており,現時点では,妊娠中の降圧治療は,『高血圧治療ガイドライン2014』および『妊娠高血圧症候群の治療指針2015』に則った治療が推奨される.平成23 年にラベタロールとニフェジピンの添付文書が改訂され,ラベタロールは「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」に,ニフェジピンは長時間作用型製剤(徐放性ニフェジピン)の使用を基本とし,「妊娠20 週以降の妊婦に治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること」とされた.これらを踏まえて,第一選択の経口降圧薬はメチルドパ,ラベタロール,ヒドララジン,徐放性ニフェジピン(妊娠20 週以降)のいずれかを用い,1 剤で十分な降圧が得られない場合,2 剤併用とする.メチルドパとラベタロールは交感神経抑制薬であり,ヒドララジンとニフェジピンは血管拡張薬に分類される.併用にあたっては異なる降圧作用機序の組み合わせが望ましく,妊娠20 週未満ではメチルドパとヒドララジン,あるいはラベタロールとヒドララジンの組み合わせが推奨される.妊娠20 週以降では,交感神経抑制薬(メチルドパ,ラベタロール)のいずれかと,血管拡張薬(ヒドララジン,

CQ1妊娠中の高血圧に対して推奨される降圧薬はどれか?

妊娠前に関しては,IIICQ5 を参照,妊娠中に関しては,『高血圧治療ガイドライン2014』に則って治療を行う.高血圧治療ガイドラインの記載は下記のとおりである.

妊娠高血圧症候群の第一選択の経口降圧薬としてメチルドパ,ラベタロール,ヒドララジンもしくは20週以降であれば徐放性ニフェジピンを用いる.グレード1B

1 剤で十分な降圧が得られない場合,2 剤併用とする.交感神経抑制薬であるメチルドパとラベタロールと血管拡張薬であるヒドララジンとニフェジピンでは,異なる作用の組み合わせが望ましい.妊娠20 週以降では,メチルドパとラベタロールのいずれかと,ヒドララジンとニフェジピンいずれかの併用が推奨される.グレード2C

妊婦あるいは産褥女性に収縮期血圧(SBP)180 mmHg 以上あるいは拡張期血圧(DBP)120 mmHg 以上が認められたら「高血圧緊急症」と診断し,降圧療法を開始する.緊急に降圧が必要と考えられる場合は静注薬(ニカルジピン,ニトログリセリン,ヒドララジン)を用いる.グレード1B

妊婦に対してはACEI,ARB のいずれも使用しない.グレード1A

妊婦での静注薬による降圧は,経口薬で降圧が不良である場合,分娩時の緊急性高血圧の降圧に用いる.その場合,児の状態に留意し,胎児心拍モニタリングを行う.グレード1A

ステートメント
p.69
ニフェジピン)のいずれかの併用が推奨される.静注薬による降圧は,経口薬で降圧が不十分である場合,もしくは分娩時の緊急性高血圧の降圧に用いる.静注薬は,ニカルジピン,ニトログリセリン,ヒドララジンを用いる.その場合,児の状態に留意し,胎児心拍モニタリングを行う.妊娠時に禁忌となる薬剤は,IIICQ5 にも記載したが,ACEI およびARB である.それらの胎児毒性は明らかであり,妊娠判明後,ただちに中止しなければならない.

1.妊娠中に用いられる経口降圧薬(1)メチルドパ中枢性交感神経抑制薬で現在でも妊娠高血圧症候群の治療に最もよく用いられている降圧薬である.明確なエビデンスはないが,40 年以上にわたり使用されており,母体および児にほとんど重篤な副作用の報告がされていない.一般の副作用としては眠気,口渇感,全身倦怠感,溶血性貧血,肝障害などがあげられている.250~2,000 mg/日,1~3 回分割経口投与する. (2)ヒドララジン血管拡張薬で,副作用としては頭痛,心悸亢進,心不全などがある.最近報告されたメタ解析ではあらゆる面においてラベタロールよりも妊娠高血圧症候群の降圧薬としては劣ることが報告されている1).30~200 mg/日,3~4 回分割経口投与する. (3)ラベタロールα1β遮断薬で,欧米諸国では比較的よく用いられており,少なくとも安全性の面では大きな問題はないと思われる.さらにヒドララジンと比較して主に母体への副作用の面で優れていることがメタ解析で示されている1).150~450 mg/日,3 回分割経口投与する. (4)徐放性ニフェジピンニフェジピンは添付文書では,妊娠20週未満または妊娠している可能性のある婦人では以前と同様に禁忌とされている(動物実験ではあるが催奇形性が報告されている).しかし,妊娠20 週以降の妊婦に投与する場合には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与することと改訂された.急激かつ過度の血圧低下とならないよう,長時間作用型製剤の使用を基本とし,剤形毎の特徴を十分理解した上で投与すること,また,母体や胎児および新生児の状態を十分に観察し,過度の血圧低下や胎児胎盤循環の低下等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこととされている.ニフェジピン以外のCa 拮抗薬に関しては,添付文書上,妊婦および妊娠している婦人では禁忌とされている.20~ 40 mg/日,1 日1 回経口投与する.

2.妊娠中に用いられる静注薬(1)ニカルジピンCa 拮抗薬で,手術時の異常高血圧の救急処置,高血圧性緊急症,および急性心不全に主に使用されている.副作用としては麻痺性イレウス,低酸素症,肝機能障害がある.Seki らによると高血圧緊急症を避けるための短期投与20 例と妊娠期間の延長を図る30 例に対して,収縮期血圧,拡張期血圧を15% 程度降下させることを目標にニカルジピンを点滴静注した.長期間投与できた10例でのニカルジピンの平均投与期間は115.5±72.3 日(31~250 日),その総投与量も平均5,428±4,424 mg(1,240~16,000 mg)と長期に大量の投与を行ったが,ニカルジピンによる母児双方の副作用(頭痛,頻脈,ノンストレステスト(NST)上の異常など)は,長期投与群には認められなかった.動物実験で示されたsevere fetal acidosis や胎児死亡などの副作用はなかった.いままで,胎児の奇形や異常は経験していない.ニカルジピン
p.70
は,その降圧効果は十分で母児双方に対する副作用はほとんどみられず,安全で有効な降圧薬と考えられると報告している2).使用方法は,生理食塩液または5% ブドウ糖注射液で希釈し,ニカルジピン塩酸塩として0.01~0.02%(1 mL 当たり0.1~0.2 mg)溶液を0.5~6μg/kg/分の点滴速度で投与を開始し,血圧をモニターしながら速度を調整する. (2)ニトログリセリン手術時の低血圧維持,手術時の異常高血圧の救急処置,急性心不全および不安定狭心症に使用されている.重大な副作用としては急激な血圧低下,心拍出量低下などがある. (3)ヒドララジン経口投与と静脈投与が可能であることから古くより使用されており,経験的に安全とされている.しかし,ニフェジピン内服の方が,高血圧緊急症に望ましいとの報告もある3). (4)硫酸マグネシウム(MgSO4)降圧薬ではないが,子癇治療薬MgSO4は軽い降圧作用を有する.子癇の切迫症状の有する重症の妊娠高血圧腎症患者では子癇発症予防効果も証明されており4),分娩誘導を行うときや産褥24 時間など子癇発症のリスクが高い状況で広く使用されている.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy, hypertension, antihypertensive agents)と医中誌(キーワード:妊娠,降圧薬)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 82,医中誌42 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

◆参考にした二次資料a) 日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2014.日本高血圧学会,ライフサイエンス出版,2014. b) 日本妊娠高血圧学会:妊娠高血圧症候群の診療指針2015.メジカルビュー社,2015.

文 献1) Magee LA, et al. Hydralazine for treatment of severe hypertension in pregnancy:meta‒analysis. BMJ 2003;327:955‒960. PMID:14576246 2) Seki H, et al. Long‒term treatment with nicardipine for severe pre‒eclampsia. Int J Gynaecol Obstet 2002;76:135‒141. PMID:

11818107 3) Rezaei Z, et al. Comparison of the efficacy of nifedipine and hydralazine in hypertensive crisis in pregnancy. Acta Med Iran 2011;

49:701‒706. PMID:22131238 4) Duley L, et al. Magnesium sulphate and other anticonvulsants for women with pre‒eclampsia. Cochrane Database Syst Rev. 2010

Nov 10;(11):CD000025. PMID:21069663
p.71
解 説

副腎皮質ホルモンは,添付文書上,「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とされており,病状の維持に必要な場合,妊娠中も継続して使用可能である.シクロスポリン,タクロリムスは,催奇形性は特に認められておらず,病状の維持に必要な場合は,継続して使用可能である1).アザチオプリン(AZA)に関しては,妊娠時の早産や奇形率は高いものの,同じ疾患患者で比較すると,AZA の使用よりは原疾患によるという報告2),ミコフェノール酸モフェチル(MMF)から,AZA への変更は,妊娠合併症を併発せず,LN の寛解を維持し得たとする報告があり3),妊娠中でも使用可能と考えられる.しかし,妊娠中のAZA 使用は,出生児の発達障害のリスク(OR 6.6)があるとの報告もみられ4),ステートメントには含めなかった.腎移植後23 患者の29 妊娠で,使用した免疫抑制薬(シクロスポリン,タクロリムス,MMF,AZA)で比較した報告では,どの免疫抑制薬も妊娠合併症に差はなく,移植腎機能にも差はなかった.1 奇形(口蓋裂)がMMF を使用していた25 歳患者で報告されている5).MMF の使用に関しては,胎児奇形の危険性が多く報告されており,妊娠中の使用は禁忌である6‒9).その他,シクロホスファミドは催奇形性が認められ,計3.5~7 g 投与での無月経の報告があり(25 歳以下の投与ではまれであるが,26 歳から30 歳で12%,31 歳以上で25%)量と年齢により,妊孕性に影響を及ぼす.したがって妊娠を希望する際には,使用を控えるべきである1).メトトレキサートは,催奇形性が認められるため,妊娠前に中止すべきであり1),レフルノミドは胎児に関する安全性が確立されておらず,妊娠前に中止すべきとされている1,7).また,ミゾリビンは催奇形性を疑う症例報告があり,添付文書上,妊婦には使用禁忌である.なお,2015 年7 月,わが国でも全身性エリテマトーデス(SLE)に対し,ヒドロキシクロロキンの使用が認可された.『ヒドロキシクロロキン適正使用の手引き』10)によると,欧米でのSLE 治療アルゴリズムでは,ループス腎炎に対する第一選択薬として記載されている.今後,わが国でも使用の増加が見込まれる.妊婦に対しては,添付文書では,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与することとなっている.SLE 患者では妊娠中本剤を継続した群が中止した群より病勢が安定し,ステロ

CQ2妊娠中に使用できる免疫抑制薬はどれか?

病状に応じて,副腎皮質ホルモン,シクロスポリン,タクロリムスは使用可能である.(グレード2B )

ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は催奇形性があり妊娠前に中止すべきである.(グレード1A )

シクロホスファミドは量と年齢により妊孕性に影響を及ぼすため,妊娠可能な女性への使用は控える. (グレード2B )

ステートメント
p.72
イドの増量が不要で,児の予後もよかったとの報告が多数あり,原病の治療に必須な場合には,妊娠中であっても本剤を使用することは可能と考えられている.また,乳汁移行もわずかにあるため授乳は控えることを考慮するが,米国小児学会の声明をはじめ欧米の臨床では授乳可とされている場合が多く,母乳栄養との両立が容認されている.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,immunosuppressive therapy,adverse effect)と医中誌(キーワード:妊娠,免疫抑制薬)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 141,医中誌235 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.その他,適宜,文献検索を追加した.

文 献1) Østensen M, et al. Anti‒inflammatory and immunosuppressive drugs and reproduction. Arthritis Res Ther 2006;8:209. PMID:

16712713 2) Langagergaard V, et al. Birth outcome in women treated with azathioprine or mercaptopurine during pregnancy:A Danish nation-

wide cohort study. Aliment Pharmacol Ther 2007;25:73‒81. PMID:17229222 3) Fischer‒Betz R, et al. Low risk of renal flares and negative outcomes in women with lupus nephritis conceiving after switching

from mycophenolate mofetil to azathioprine. Rheumatology(Oxford)2013;52:1070‒1076. PMID:23382355 4) Marder W, et al. In utero azathioprine exposure and increased utilization of special educational services in children born to mothers

with systemic lupus erythematosus. Arthritis Care Res(Hoboken)2013;65:759‒766. PMID:23139238 5) Perales‒Puchalt A, et al. Pregnancy outcomes after kidney transplantation‒immunosuppressive therapy comparison. J Matern

Fetal Neonatal Med 2012;25:1363‒1366. PMID:22117162 6) Buell C, et al. Long‒term safety of mycophenolate mofetil and cyclosporine:a review. J Drugs Dermatol 2008;7:741‒748.

PMID:18720690 7) Østensen M, et al. Update on safety during pregnancy of biological agents and some immunosuppressive anti‒rheumatic drugs.

Rheumatology(Oxford)2008;47(Suppl 3):iii28‒31. PMID:18504282 8) Huang SY, et al. Sonographic diagnosis of fetal malformations associated with mycophenolate mofetil exposure in utero. Am J

Obstet Gynecol 2008;199:e6‒8. PMID:18486091 9) Stanhope TJ, et al. Obstetric nephrology:lupus and lupus nephritis in pregnancy. Clin J Am Soc Nephrol 2012;7:2089‒2099.

PMID:22879437 10) 古川福実,他.ヒドロクロロキン適正使用の手引き.日皮会誌2015;125:2049‒2060.https://www.dermatol.or.jp/

uploads/uploads/files/guideline/hcqtekiseishiyounotebiki.pdf
p.73
VI

産褥期の注意点
p.74
解 説

腎疾患関連薬について,現時点で文献は数編あるが,限られた薬剤の情報しか得られない.アムロジピンの使用を検討した報告によれば,28 週以降にアムロジピンを使用した2 例,妊娠中に使用した本剤が胎児へ移行することが確認されたが,児への影響は認められなかった.母乳中薬物濃度はそれぞれ5.8 ng/mL,8.0 ng/mL で,Relative Infant Dose は1.57%,1.2% となり,非常に少ないことが明らかとなった.母乳育児を行った1 例を含めて,6 歳時における成長,発達に問題はなかった1).免疫抑制薬として,タクロリムスを検討した報告では,すべての乳児でタクロリムス濃度は約15% 低下していた.母乳を与えられていた乳児はミルクを与えられていた乳児と比較し,タクロリムス濃度は高くなかった.予測される母乳からの最大吸収量は母体量の0.23% であった.母乳からの乳児のタクロリムスの摂取量は無視できるほどである.出生時からタクロリムスは低下していくが,母乳育児によっても,その低下速度は変わりなかった.タクロリムス内服中の女性は,乳児のモニタリングが可能であれば,母乳育児をやめさせるべきではないとされている2).『産婦人科診療ガイドライン産科編2014』や「妊娠と薬情報センター」ホームページによると,ほとんどすべての薬剤は,程度の差異はあるが,母乳中へ分泌される.しかし,量的にはごく少量であり,児に与える影響は少ない.授乳中の治療に適さない薬は,ヨウ化ナトリウム(131I,123I),コカイン,アミオダロンとされており,その中に腎疾患関連薬は含まれていない.安全に使用できると思われる薬として,降圧薬では,ラベタロール,メチルドパ,ヒドララジン,ニフェジピンと妊娠中に使用できる薬に加え,他のCa 拮抗薬であるニカルジピン,ジルチアゼム,アムロジピンおよびACEI である,カプトプリル,エナラプリルがあげられている(表).他に,腎疾患関連薬として,安全に使用できるとされるのは,アロプリノール(痛風治療薬),カルシトリオール(ビタミンD 薬),スピロノラクトン(利尿薬)である.新しい情報が追加されているので,LactMed(https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/lactmed.htm)での検索や「妊娠と薬情報センター」のホームページが有用である.

CQ1腎疾患関連薬で授乳中に禁忌となる薬は何か?

降圧薬に関して,授乳中,安全に使用できる降圧薬はラベタロール,メチルドパ,ヒドララジン,ニフェジピン,ニカルジピン,ジルチアゼム,アムロジピン,カプトプリル,エナラプリルである.免疫抑制薬に関して,エビデンスは少ないが,児に明らかに異常がみられたという報告はない.グレード2C

個々の薬物については,国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」などの専門サイトを参照する.グレードなし

ステートメント
p.75
文献検索Pubmed(キーワード:breast feeding, antihypertensive agents, antimicrobial agent, anticoagulant agent, hydroxymethylglutaryl‒CoA reductase inhibitor, non‒steroidal anti‒inflammatory agent, phenobarbital)と医中誌(キーワード:腎臓疾患,薬物,母乳,降圧薬,副腎皮質ステロイド薬,免疫抑制薬)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 93,医中誌22 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

◆参考にした二次資料a) 日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン産科編2014.日本産科婦人科学会,2014. b) 妊娠と薬情報センター https://www.ncchd.go.jp/kusuri/

文 献1) 石井真理子,他.高血圧合併妊娠におけるアムロジピンの胎児移行および母乳移行に関する検討:2 例報告.日本病

院薬剤師会雑誌2009;45:817‒820. 2) Bramham K, et al. Breastfeeding and tacrolimus:serial monitoring in breast‒fed and bottle‒fed infants. Clin J Am Soc Nephrol

2013;8:563‒567. PMID:23349333

表授乳中でも安全に使用できる降圧薬

薬物群薬品名αβ遮断薬ラベタロール中枢性交感神経抑制薬メチルドパ血管拡張薬ヒドララジンCa 拮抗薬ニフェジピン,ニカルジピン,ジルチアゼム,アムロジピンACEIカプトプリル,エナラプリル
p.76
解 説

妊娠中に出現した蛋白尿は,妊娠高血圧症候群による蛋白尿であれば,出産後12 週までにほぼ消失するとされ,『妊娠高血圧症候群の診療指針2015』によると,産褥12 週までフォローアップするとされているa).妊娠高血圧腎症106 例の報告では,12 週まで経過観察できた66 症例のうち,2 例を除き,高血圧,蛋白尿,腎機能障害は出産後平均35.8 日で改善した.改善しなかった2 例は腎生検が施行され,巣状糸球体硬化症と膜性増殖性糸球体腎炎であった1).また,妊娠中に蛋白尿を呈し,出産後も蛋白尿が持続した34 症例(7 例腎疾患既往あり)に対する検討で,14 例で出産後に腎生検を施行したところ,10 例で腎臓病と診断された.4 例は妊娠高血圧腎症だった.腎臓病があったうちでは4 例で膜性増殖性糸球体腎炎,4 例でIgA 腎症,1 例で巣状糸球体硬化症,1 例でアミロイドーシスであった.血尿が8 例で認められ,5 例でCr 上昇が認められた.出産後の蛋白尿の持続は腎臓病の重要な予測因子となるため,すべての妊娠高血圧腎症患者は出産後も蛋白尿の持続,血尿の持続または腎機能について考慮し,腎臓病が疑われる場合は腎生検すべきとされている2).一方,症例報告であるが,妊娠中,血圧正常で蛋白尿を呈した症例の出産後の腎生検で,糸球体基底膜の二重化がみられ内皮細胞腫脹があり,電顕でも内皮下にメサンギウム細胞嵌入がみられ,妊娠高血圧症候群の腎障害が認められた.高血圧なしで妊娠高血圧腎症といえない病態であっても,妊娠高血圧腎症と思われる内皮障害をきたす可能性があることが示唆された3).以上より,持続する蛋白尿は妊娠高血圧腎症の可能性もあるが,12 週以降も持続する場合,腎疾患の可能性が高く,腎生検を検討すべきである.しかし,高度の蛋白尿が持続する場合や妊娠高血圧腎症が否定的な場合などは,出産後12 週以前であっても専門医の判断で腎生検を考慮すべきである.

文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy, proteinuria, kidney biopsy, pathology)と医中誌(キーワード:蛋白尿,出産,分娩,妊娠,腎生検)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 67,医中誌25 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

CQ2妊娠中に出現した蛋白尿が遷延した場合,出産後どのくらいで腎生検を考慮すべきか?

出産後12週以降も蛋白尿が持続している場合,妊娠高血圧腎症以外の腎疾患を念頭に腎生検を検討すべきである.グレード2C

ステートメント
p.77
◆参考にした二次資料a) 日本妊娠高血圧学会:妊娠高血圧症候群の診療指針2015.メジカルビュー社,2015.

文 献1) Prakash J, et al. Spectrum of kidney diseases in patients with preeclampsia‒eclampsia. J Assoc Physicians India 2010;58:543‒

546. PMID:21391373 2) Unverdi S, et al. Postpartum persistent proteinuria after preeclampsia:a single‒center experience. Wien Klin Wochenschr 2013;

125:91‒95. PMID:23334478 3) Koizumi M, et al. Glomerular endotheliosis in a pregnant woman with severe gestational proteinuria. Intern Med 2013;52:1943‒

1947. PMID:23994988
p.78
解 説

CKD 重症度別の妊娠の合併症リスクに関しては,IIICQ1~4 に詳細が記載されている.妊娠・出産による腎への負荷が腎予後に影響を及ぼすかに関し,eGFR 60 mL/分/1.73 m2未満の49 例の観察研究では,eGFR<40 mL/分/1.73 m2以下,尿蛋白1 g 以上で腎機能低下のリスクが高いとの報告があり1),CKD 重症度分類によると,G3bA3 以上に相当する.さらに重症CKD 症例として,29 例の観察研究では,血清Cr<1.4 mg/dL:5 人中1 人(20%),1.4~2.5 mg/dL:7 人中4 人(57.1%),>2.5 mg/ dL:17 人中17 人(100%)が透析導入となったとの報告があり,血清Cr>1.4 mg/dL で妊娠中に透析導入となるリスクが高いとされている2).血清Cr>1.4 mg/dLは20歳代の女性で換算するとeGFR 42 mL/分/

1.73 m2程度であり,やはりG3b 相当である.また,糖尿病性腎症第3 期合併妊娠15 例の検討では,糖

尿病性腎症病期分類改訂前の3B 群(持続性蛋白尿あり,腎機能低下あり)の66% が5 年以内に腎機能悪化,56% で透析が導入されていた.A 群(持続性蛋白尿あり,腎機能正常)では適切な管理により良好な予後が望める可能性があるとの報告がある3).したがって,CKDG3bA3 以上の腎機能低下がある場合,腎予後は不良であり,透析導入の可能性が高くなることを,十分に説明する必要がある. CKDG3a よりも軽度であれば,腎機能への影響は少ないと考えられるが,割合は少ないものの,妊娠中,出産後に透析導入になる例もあり,注意が必要である.また,妊娠高血圧症候群の既往が腎予後に関連するかに関しては,妊娠中に高血圧をきたした症例に対する検討で,慢性腎臓病に至る危険率9.38(7.09‒12.4),末期腎不全に至る危険率12.4(8.54‒18.0)であり,そのうち妊娠高血圧腎症,子癇だった患者が末期腎不全に至る危険率14.0(9.43‒20.7),高血圧のみの患者が末期腎不全に至る危険率9.03(5.20‒15.7)であった.したがって,妊娠中の高血圧は末期腎不全のハイリスクであり,妊娠高血圧腎症,子癇ではさらにリスクとなると考えられる4).また出産レジストリーと末期腎不全レジストリーをリンクさせた検討では,妊娠高血圧腎症の既往は末期腎不全のリスクを上昇させた5).さらに糖尿病性腎症合併妊娠症例では,妊娠高血圧腎症や低出生体重児を合併する頻度は高く,その後37 年の経過観察では,糖尿病非合併妊娠症例に比べ,腎不全,死亡へのリスクが非常に高かった.糖尿病合併妊娠症例は,妊娠高血圧腎症の合併や早産があると,腎不全への進展および死亡のリスクとなると考えられた6).以上より,妊娠高血圧症候群の既往は末期腎不全のリスクとなりうる.

CQ3妊娠・出産は長期的な腎予後に影響があるか?

腎機能低下例では,妊娠・出産は腎予後に影響を及ぼす.グレード1B

妊娠高血圧症候群の既往は末期腎不全のリスクとなりうる.グレード1A

ステートメント
p.79
文献検索Pubmed(キーワード:pregnancy,renal insufficiency,prognosis,cohort study)と医中誌(キーワード:出産,分娩,妊娠,腎臓疾患,予後,縦断研究)で,2007 年1 月から2013 年12 月までの期間で検索を実施した.文献検索数Pubmed 97,医中誌46 で,システマティックレビューメンバーで,本CQ に関する文献を抽出した.

参考文献1) Imbasciati E, et al. Pregnancy in CKD stages 3 to 5:fetal and maternal outcomes. Am J Kidney Dis 2007;49:753‒762. PMID:

17533018 2) Sato JL, et al. Chronic kidney disease in pregnancy requiring first‒time dialysis. Int J Gynaecol Obstet 2010;111:45‒48.

PMID:20542271 3) 上塘正人,他,糖尿病腎症第3 期(顕性腎症)合併妊娠の母体予後と児の2 歳時における発達予後.糖尿病と妊娠

2013;13:45‒50. 4) Wang IK, et al. Association between hypertensive disorders during pregnancy and end‒stage renal disease:a population‒based

study. CMAJ 2013;185:207‒213. PMID:23339156 5) Vikse BE, et al. Preeclampsia and the risk of end‒stage renal disease. N Engl J Med 2008;359:800‒809. PMID:18716297 6) Sandvik MK, et al. Are adverse pregnancy outcomes risk factors for development of end‒stage renal disease in women with dia-

betes? Nephrol Dial Transplant 2010;25:3600‒3607. PMID:20494895
p.80

        
p.81
索 引

▋あ

IgA 腎症9,18アザチオプリン19,55アムロジピン58アロプリノール58 1 型糖尿病25インスリン43エナラプリル58

▋か

カプトプリル58カルシトリオール58 Ca 拮抗薬16急性拒絶32クレアチニンクリアランス36血尿11顕性腎症期24顕微鏡的血尿15抗カルジオリピン抗体22抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連

急速進行性糸球体腎炎19抗β2-GPI 抗体22抗リン脂質抗体22抗リン脂質抗体症候群22

▋さ

シクロスポリン18,55シクロホスファミド55シスタチンC 36常染色体優性多発性囊胞腎27常染色体劣性多発性囊胞腎27ジルチアゼム58腎移植患者32腎移植ドナー11腎症前期24腎生検40,60ステロイドパルス療法19スピロノラクトン58全身性エリテマトーデス(SLE) 20早期腎症期24 ▋た

タクロリムス55多発性囊胞腎27蛋白尿9低用量アスピリン23透析患者29糖尿病性腎症11,24ドライウェイト48トルバプタン27

▋な

ニカルジピン53,58ニトログリセリン53ニフェジピン16,52,58尿蛋白/Cr 比38尿中アルブミン排泄量24ネフローゼ症候群8

▋は

ヒドララジン17,52,53,58ヒドロキシクロロキン55 V2 受容体拮抗薬27副腎皮質ホルモン18,55

▋ま

膜性腎症19膜性増殖性糸球体腎炎18ミコフェノール酸モフェチル(MMF) 55未分画ヘパリン23メチルドパ16,52,58

▋や

夜間家庭血液透析29羊水過多29

▋ら

ラベタロール16,52,58硫酸マグネシウム54ループスアンチコアグラント22ループス腎炎9,11,20レニン-アンジオテンシン系阻害薬16
p.82
・〈(社)出版者著作権管理機構 委託出版物〉本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています.複写される場合は,そのつど事前に,(社)出版者著作権管理機構(電話03-3513‒6969,FAX03‒3513‒6979,e-mail:info@jcopy.or.jp)の許諾を得てください.・本書を無断で複製(複写・スキャン・デジタルデータ化を含みます)する行為は,著作権法上での限られた例外(「私的使用のための複製」など)を除き禁じられています.大学・病院・企業などにおいて内部的に業務上使用する目的で上記行為を行うことも,私的使用には該当せず違法です.また,私的使用のためであっても,代行業者等の第三者に依頼して上記行為を行うことは

違法です.

腎

じん疾

しっ患

かん患

かん者

じゃの妊

にん娠

しん:診

しん療

りょうガイドライン2017 ISBN978‒4‒7878‒2286‒4

2017 年4 月15 日 初版第1 刷発行

編   集日

に本

ほん腎

じん臓

ぞう学

がっ会

かい学

かく術

じゅつ委

い員

いん会

かい腎

じん疾

しっ患

かん患

かん者

じゃの妊

にん娠

しん:診

しん療

りょうの手

て引

びき改

かい訂

てい委

い員

いん会

かい

発 行 者藤実彰一発 行 所株式会社 診断と治療社〒100‒0014 東京都千代田区永田町2‒14‒2 山王グランドビル4 階TEL:03‒3580‒2750(編集) 03‒3580‒2770(営業) FAX:03‒3580‒2776 E-mail:hen@shindan.co.jp(編集) eigyobu@shindan.co.jp(営業) URL:http://www.shindan.co.jp/表紙デザイン株式会社 ジェイアイ印刷・製本三報社印刷株式会社© 一般社団法人日本腎臓学会, 2017. Printed in Japan.乱丁・落丁の場合はお取り替えいたします. [検印省略]
p.83

        
p.84
定価(本体1,800 円+税)