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~CKD(慢性腎臓病)の発症予防・早期発見・重症化予防~ 平成28 年3 月 CKD の発症予防・早期発見・重症化予防に向けた提言 作成委員会 生活習慣病からの新規透析導入患者の減少に向けた提言 日本腎臓学会 編
~CKD(慢性腎臓病)の発症予防・早期発見・重症化予防~ 平成28 年3 月 CKD の発症予防・早期発見・重症化予防に向けた提言 作成委員会 生活習慣病からの新規透析導入患者の減少に向けた提言 日本腎臓学会 編
わが国における血液透析患者数は2014年(平成26年)末の時点で32万人を超え,なお増加の一途をたどっています。原因疾患は糖尿病性腎症,慢性糸球体腎炎,腎硬化症をはじめとする慢性腎臓病(CKD)であり,包括的かつ有効なCKD対策の実行が新規透析導入患者の有意な減少をもたらす重要な手段であることは確実に社会,行政,医療者に認識されてきたところであります。CKD対策の柱は,CKDの実態を正確に知ること,CKDに対するベストプラクティスを確立すること,市民・社会・医療者への情報発信を十分に行うこと,そして地域や国際的な連携を確立することです。なかでも,市民・社会・医療者への情報発信と地域の診療連携はCKD対策を進めていく基盤となるものであります。日本再興戦略において,すべての健康保険組合に対し,レセプトなどのデータの分析,それにもとづく加入者の健康保持増進のための事業計画として「データヘルス計画」の作成・公表,事業実施,評価などの取組を求めることが掲げられています。CKDの重症化予防対策の推進は,心臓血管疾患による死亡率減少,新規透析導入患者数減少につながることをこれまでに示してきており,このデータヘルス計画の目標とも重なります。現在,特定健診の必須項目に尿蛋白検査が含まれていますが,血清クレアチニン検査は入っておらず,一部の地域や健保で自主的に実施している状況です。このようななかで,尿検査異常,あるいは血清クレアチニンの異常がある場合の具体的な指導法などの指針を明確に示すことは,血清クレアチニン検査の必須項目への採用に向け,重要な点と考えられます。さらに,腎臓専門医が不在の地域でのCKD対策,健保組合や行政で働く保健師・管理栄養士・栄養士がCKD対策をどう進めるかについても指針が必要とされます。本提言は,CKDの発症予防・早期発見・重症化予防に向けた対策について,一般市民の皆様に具体的に示すと同時に, 特定健診を実施する保険者, 行政の皆様, その保健指導に携わる保健師・管理栄養士・栄養士・薬剤師などの医療従事者の皆様,そして地域のかかりつけ医の先生方に対して活用いただける内容として示しております。本提言が,関係する多くの皆様にとって有意義なものとなるよう,心から祈っております。最後に,今回の刊行にあたってご尽力いただいた委員および関係の皆様に深く御礼申し上げます。 一般社団法人日本腎臓学会 理事長 松尾 清一 2016年3月 発刊にあたって
作成委員会 委員長山縣邦弘筑波大学医学医療系腎臓内科学委 員守山敏樹大阪大学保健センター身体制御健康医学委 員伊藤貞嘉東北大学大学院医学系研究科腎・高血圧・内分泌学分野委 員宮崎正信宮崎内科医院委 員岡村智教慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学委 員安田宜成名古屋大学医学部CKD(慢性腎臓病)地域連携システム寄附講座顧 問菱田 明焼津市立総合病院 作業部会委員 腎臓専門医山縣邦弘筑波大学医学医療系腎臓内科学腎臓専門医守山敏樹大阪大学保健センター身体制御健康医学腎臓専門医宮﨑正信宮﨑内科医院腎臓専門医成瀬正浩玉名第一クリニック腎臓専門医今澤俊之独立行政法人国立病院機構千葉東病院腎センター腎臓専門医斎藤知栄筑波大学医学医療系腎臓内科学保健師松川洋子北海道 上川町役場保健師神谷民代岐阜県 高山市役所管理栄養士荒川愛子長野県 千曲市役所管理栄養士西沢由美長野県 坂城町役場 日本腎臓学会CKDの発症予防・早期発見・重症化予防に向けた提言 作成委員会・作業部会委員
発刊にあたって日本腎臓学会/CKDの発症予防・早期発見・重症化予防に向けた提言作成委員会・作業部会委員はじめに..................................................................................................................... 3 1.慢性腎臓病(CKD)の現状............................................................ 4 1)CKDとは............................................................................................................... 4 2)CKDと透析............................................................................................................ 6 3)CKDの原因とその治療............................................................................................. 7 2.発症予防,早期発見と重症化予防が可能なCKD... ........................ 8 1)CKDの発症予防...................................................................................................... 9 2)CKDの早期発見...................................................................................................... 10 3)CKDの重症化予防................................................................................................... 12コラム1 尿蛋白定性検査の重要性........................................................................ 17 3.CKD対策における特定健診・特定保健指導の役割........................... 18 1)CKD発症予防のために............................................................................................. 18 2)CKD早期発見のために............................................................................................. 19 3)CKD重症化予防のために.......................................................................................... 19 4.CKD対策における医療保険者,行政の役割-データヘルス計画でCKD対策の推進を-... .............................. 21 5.提言:生活習慣病からの新規透析導入患者減少のために取組むこと............ 22 1)国民への提言... ...................................................................................................... 22コラム2 家庭血圧測定の意義.............................................................................. 22 2)医療従事者への提言... ............................................................................................. 22 3)かかりつけ医への提言... .......................................................................................... 23 4)医療保険者,行政(市町村)への提言........................................................................... 23 目 次
6.提言:CKD対策の更なる推進に向けて期待すること........................ 24 1)国への提言... ......................................................................................................... 24 2)都道府県への提言... ................................................................................................ 24 3)保険者協議会への提言... .......................................................................................... 24 4)国民健康保険中央会,国民健康保険団体連合会への提言................................................ 24 5)市町村・医療保険者への提言... ................................................................................. 25参考資料....................................................................................... 26・健診からのCKD精密検査紹介書式 熊本県... ............................................................... 26・事例1)新規透析導入患者数減少に向けた取組み 岐阜県高山市... .................................... 28・事例2)CKD重症化予防のための栄養指導の取組み 長野県千曲市.................................... 32・事例3)特定健診から始まるCKD患者の診療連携の仕組みづくり 静岡県焼津市... ............ 39 本提言作成にあたり参照した資料.............................................................................. 42
わが国の高齢者人口は今後も増え続け,2025年には全国民の約30%が65歳以上の高齢者になると言われています。同時に慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に罹患し,重症化したために新たに透析を開始される方々が年々増加し,2014年(平成26年)末には透析患者数は32万人を超えています。年齢が高くなるほどCKDの患者数は多くなることが明らかにされ,高齢化が進むわが国において着実にCKDの重症化を予防することは,新規透析導入患者減少実現のための大きな課題です。また,CKD患者は,脳卒中,心筋梗塞などの心血管疾患発症の危険性が極めて高いこと,その原因として,糖尿病,高血圧,動脈硬化症といった生活習慣病が関連したものが多くなっています。CKDは透析の大きな危険因子であるだけでなく,心血管疾患の危険も増やし,生活習慣病と深く関わっています。これまで厚生労働省と日本腎臓学会は,協同してCKDの重症化を予防する施策を検討してきました。われわれの検討からは,CKDの重症化予防を実現するには,1生活習慣を見直し腎臓に不必要な負担をかけない(発症予防),2健診でCKDを早期に発見する(早期発見), 3みつかったCKDを放置しないで,かかりつけ医や専門医によって適切な医療を実現する(重症化予防),が重要であることがわかってきました。その実現に向けて,それぞれの地域でCKD対策を視野に入れた健診・保健指導の実施や医療連携体制を構築し,CKDの発症予防・早期発見・重症化予防の取組みが行われ始めています。そこでこの提言では,新規透析導入患者減少のために,CKDの発症予防・早期発見・重症化予防をどう実現していくのか,実現に向けて今何をしなければならないのか,国民の皆様に具体的に示すと同時に,特定健診を実施する保険者,行政の皆様,その保健指導に携わる管理栄養士・栄養士,保健師,薬剤師などの医療従事者の皆様,そして特定健診の結果をもとに受診される患者の診察にあたっていただくかかりつけ医の先生方に対して,CKDの発症予防・早期発見・重症化予防の具体的方法を示しています。この提言は,いわゆる診療ガイドやガイドラインといった,医療・診療を対象としたものではなく,これらCKD対策の推進のために,最新の知見を提供し,地域の実情にあわせた対策をさらに推し進める原動力となるべく提案するものです。本提言の活用により,CKDの発症予防・早期発見・重症化予防を徹底することが,健康寿命の延伸と健康格差の縮小を含めた健康日本21の実現をより確実にすること,さらには増大する医療費への最適な対応策になること,そして,一人でも多くの住民の皆様が腎機能を維持してCKDの重症化を未然に防いで透析を必要としない生活ができることを願っております。 提言作成委員会 委員長 山縣 邦弘 はじめに
1 尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らか。特に蛋白尿の存在が重要2 糸球体濾過量(GFR)60 mL/分/1 .73 m 2未満1・2 のいずれか,または両方が3カ月以上持続するCKD 診療ガイド2012 より引用 CKDは,1つの病気の名前ではなく,腎臓の働きが徐々に低下していくさまざまな腎臓病の総称です。腎臓の障害が進行して腎臓の機能が果たせなくなる“腎不全”の患者さんの数が世界的に増えていること,CKDの患者さんは,脳卒中,心筋梗塞などの心血管疾患発症の危険性が極めて高いことから,予防啓発に積極的に取組むために提唱された呼び名です。CKDは,「腎臓の障害(蛋白尿など),もしくはGFR(糸球体濾過量)60 mL/分/1 .73 m 2未満の腎機能低下が,3カ月以上続くこと」と定義されています。尿蛋白は尿試験紙で蛋白の有無を判断します。腎機能は糸球体濾過量(glomerular filtration rate: GFR)で評価し,血液検査のクレアチニンの値から計算した推算糸球体濾過量(estimated GFR: eGFR)が用いられます。健康な若い人のGFRは1分間で100 mLであることから,血液検査でクレアチニンを測定すると,若いときの腎機能に比べ,今は何%になっているかを知ることができます。CKDは,尿蛋白と腎機能(GFR)を組み合わせた病期分類(CKDの重症度分類)を用いて,その経過をみていくことが重要です。現在,日本では約1 ,330万人がCKDと推計されており,これは成人の約8人に1人にあたり,新たな国民病とも言われ,厚生労働省や日本腎臓学会など関係団体でもその対策が進められております。 CKDの発症やその進行には,高血圧,糖尿病,脂質異常症などの生活習慣病が強く関係するほか,肥満,食塩の過剰摂取,過度の飲酒,喫煙などの生活習慣も深く関係しています。また,腎臓は年齢とともにその機能が低下するため,高齢化が進んでいることもCKDと診断される患者の増加要因となっています。もし,CKDを治療せずに放置したままにしておくと,最悪の場合は腎不全となり,人工透析が必要になる末期腎不全に至ることもあります。さらに,CKDは末期腎不全の危険因子だけでなく,脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患の強い危険因子であることがわかってきました。つまり,CKDは腎臓だけの問題ではなく,全身の血管系の問題として捉えることが必要になってきました。一方で,CKDは医療の進歩により,生活習慣の改善や早期から適切な治療を受けることで,CKDの発症や末期腎不全への進行を減らすことができる疾患となっています。多くの住民の皆様にCKDを知っていただき, CKDを発症させない生活習慣づくりに努め,CKDを早期に発見する仕組みと,発見されたCKDを重症化させない取組みを積極的に進めることが必要です。 1) CKDとは 慢性腎臓病(CKD)の定義 1 慢性腎臓病(CKD)の現状
CKDの重症度は原因(C),腎機能(G),尿蛋白(アルブミン尿) (A)によるCGA分類で評価します。重症度分類は,1CKDの原因を「糖尿病」と「それ以外」に分けます。2血清クレアチニンから推算した腎機能(eGFR)をGFR区分によりG1からG5に位置づけます。3蛋白尿区分(糖尿病は尿アルブミン)によりA1からA3に位置づけます。4蛋白尿区分とGFR区分の交点の色で末期腎不全(透析療法が必要となる状態)や心血管死亡のリスクを判断します。緑はリスクが最も低い状態で,黄,オレンジ,赤となるほど,末期腎不全や心血管死亡のリスクが高くなります。 eGFRは日本慢性腎臓病対策協議会(http://j-ckdi.jp/ckd/check.html)などのホームページで年齢,性別,血清クレアチニン検査を入力するだけで自動計算することができる。 KDIGO CKD ガイド2012 より引用改変CKDの重症度分類 CKD の重症度分類 原疾患蛋白尿区分A1 A2 A3糖尿病尿アルブミン定量 (mg/日)尿アルブミン/Cr比 (mg/gCr) 尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr比(g/gCr)正常微量アルブミン尿顕性アルブミン尿 30 未満30~299 300 以上 高血圧腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他正常軽度蛋白尿高度蛋白尿 0.15 未満0.15~0.49 0.50 以上 GFR区分(mL/分/ 1.73m2) G1正常または高値≧90 G2正常または軽度低下60~89 G3a軽度~中等度低下45~59 G3b中等度~高度低下30~44 G4高度低下15~29 G5末期腎不全(ESKD) <15
慢性腎不全による透析患者の数は増加を続け, 2014年12月には32万人に達しています。(図1.慢性透析患者数の推移 日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況) 新規透析導入患者も一貫して増加傾向にあり,毎年3万人以上の方に透析が導入されています。透析が必要となった方の原因としては,糖尿病性腎症(43 .5%),慢性糸球体腎炎(17 .8%),腎硬化症(14 .2%)の順に多く,特に糖尿病性腎症や腎硬化症など,生活習慣が関与して透析となった方は全体の約60%を占め,年々増加しています。透析治療は,血液透析の場合は週に3日,1回4時間もの時間を要し,患者さんの生活を大きく束縛し ます。そのため,患者さんのなかには転職や離職に至ったり,体力の低下から介護保険の対象となる方もおられ,個人の生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。また,透析の医療費は1人あたり年間500 〜600万円を要します。患者さんにとっては,高額な医療費を長期に要することになりますので,経済的な負担が軽減されるよう医療費の公的助成制度(自立支援医療制度)が確立していますが,その負担は国・都道府県・市町村・健保組合などが行うことになり,透析患者の増加は,医療費の増加に直結します。 2) CKDと透析 12/ 12 13/ 12 14/ 12 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 年 人 04/ 12 ※1989年の患者数の減少は,アンケート回収率が86%と例外的に低かったことによる見掛け上の影響である。 03/ 12 06/ 12 07/ 12 08/ 12 09/ 12 11/ 12 10/ 12 05/ 12 02/ 12 01/ 12 00/ 12 99/ 12 98/ 12 97/ 12 96/ 12 95/ 12 94/ 12 93/ 12 92/ 12 91/ 12 90/ 12 89/ 12 88/ 12 87/ 12 86/ 12 85/ 12 84/ 12 83/ 12 82/ 12 81/ 12 80/ 12 79/ 12 78/ 12 77/ 12 76/ 12 75/ 12 74/ 12 73/ 12 72/ 12 71/ 12 70/ 12 69/ 04 68/ 04 248,166 257,765 264,473 275,242 283,421 290,661 304,856 298,252 310,007 320,448 314,438 47,978 53,017 59,811 66,310 73,537 80,553 88,534 83,221 ※ 103,296 116,303 123,926 134,298 143,709 154,413 167,192 175,988 185,322 197,213 206,134 219,183 229,538 237,710 215 301 949 1,826 3,631 6,148 9,245 13,059 18,010 22,579 27,048 32,331 36,397 42,223 図1 慢性透析患者数の推移日本透析医学会編:図説 わが国の慢性透析療法の現況(2014 年12 月31 日現在)より引用
CKDは,脂質異常症や肥満をきたすメタボリックシンドローム,高血圧,糖尿病,高尿酸血症などの生活習慣病として知られている病態から発症することが多いほか,その管理が悪いとCKDの重症化が促進されます。また,喫煙,食塩の過剰摂取,過度の飲酒,鎮痛薬などの多用,生活習慣や不適切な薬剤の使用もCKDの発症と重症化に関与します。一つの腎臓には約100万の糸球体があるといわれております。糸球体は毛細血管が繭状に固まったもので,この糸球体の毛細血管壁が腎臓の基本的な働きである濾過膜の役割を担います。高血圧や糖尿病,脂質異常症といった病気は血管を傷つけ,血流の低下や閉塞を招き,次第に糸球体の機能を失わせて慢性腎不全へと進展させます。現在新たに透析導入となる慢性腎不全の最大の原因は糖尿病性腎症ですが,これは十分な血糖管理 と血圧管理を行うことで,その発症予防や進行の遅延が可能になります。また,高血圧や脂質異常症による腎障害も血圧や脂質の適切なコントロールによって,その発症予防や腎障害進行の遅延が可能です。また,免疫異常が関与して発症すると考えられている糸球体腎炎などについても,免疫を調節する治療や生活習慣を是正することにより重症化を予防することが可能であることが知られています。このように,CKDは生活習慣の改善によって予防すること,早期発見をして適切な治療を受けること,そして生活習慣を是正することによって,重症化し透析に至らないようにすることが可能な疾患となってきています。 3) CKDの原因とその治療 平成20年から開始された「特定健診・保健指導」において導入された概念。内臓脂肪に起因する生理活性物質により,高血圧,耐糖能異常,脂質異常となり,脳・心・腎の血管障害(脳梗塞、心筋梗塞、腎不全など)を引き起こす。 メタボリックシンドローム
わが国は皆保険制度のなか,誰もが何らかの健康保険に加入しています。今,すべての医療保険者では,レセプト・健診などのデータ分析にもとづき,加入者の健康づくりや予防活動を効率的・効果的に行う事業計画(データヘルス計画)の策定が行われています。データヘルス計画の基本的な考え(図2)にもとづく目標の1つに,“新規透析患者数の減少”があります。健診で発見された糖尿病や高血圧などの生活習慣病からCKDを発症・重症化させない具体的な 対策が必要になります。またCKD対策を進めることは,ほかの目標でもある“虚血性心疾患”や“脳血管疾患”の発症抑制にも効果的であることから,効率的な計画の推進が図れます。ここでは特に,データヘルス計画のなかで効果的な対策の推進が可能な透析予防のためのCKDの発症予防・早期発見・重症化予防について健診による対策を考えます。 図2 データヘルス計画の基本的な考え方とCKDとの関係 ○各地域,各職場特有の健康課題がわかる。○予防する対象者や疾患を特定できる。〈レセプトを分析すると〉○何の病気で入院しているか,治療を受けているか, ★なぜ医療費が高くなっているか知ることが できる。○自らのCKD発症リスク保有状況,CKDの重症度がわかる。○CKDを放置するとどうなるか,どの生活習慣を改善すると,リスクが減らせるかがわかる。○生活習慣の改善の方法がわかり,自分で選択できる。 標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)におけるCKD対策の方策と意義 特定健診・保健指導の実施率の向上 -特定健診・保健指導のメリットを活かし,健康日本21(第二次)を着実に推進- メタボリックシンドロームの減少CKD早期発見 CKD発症予防 CKD重症化予防 脂質異常の正常化血糖の正常化 目 標★重症化が予防できる○医療費の伸びを抑制できる未受診者への受診勧奨 健康のための資源(受診の機会,治療の機会) の公平性の確保 データの分析 ★重症化が予防できる○死亡が回避できる 地域・職場のメリット個々人のメリット ★新規透析患者数の減少糖尿病腎症による新規透析患者数の減少脳血管疾患死亡率の減少虚血性心疾患死亡率の減少 血圧の正常化 厚生労働省健康局資料より引用,一部改変 2 発症予防,早期発見と重症化予防が 可能なCKD
CKDの発症には,糖尿病,高血圧,脂質異常症,高尿酸血症などの生活習慣病が強く関係しています。例えば,高血圧では普段の血圧が高ければ高いほど,糖尿病ではHbA1 c値が高ければ高いほど,CKDの発症の危険性が高まることが明らかになっています。また,心血管疾患の発症リスクも高まります。これらの疾患に家族歴があるときは,若い頃から適正な体重を維持するなど,適切な対応をして生活習慣病を引き起こさない生活面での注意が必要です。生活習慣病から発症するCKDとしては,糖尿病の合併症である糖尿病性腎症や,高血圧が引き起こす腎硬化症,高尿酸血症からの痛風腎があります。生活習慣病は自覚症状に乏しいため,症状に頼っていると診断,治療が遅れがちです。また,一度治療が開始されても,症状がないために治療を中断する事例が非常に多くみられます。生活習慣病の陰で,ひそかに進行しているかもしれないCKDの発症予防のために,生活習慣病を早くみつけ, 治療を開始することが重要です。また,CKDの進行に関係する生活習慣として,食塩の過剰摂取,過度の飲酒,喫煙,鎮痛薬などの常用があります。生活習慣病にこれらの習慣が重なると,CKDの発症・進行を促進します。メタボリックシンドロームやその予備群,肥満がある場合は,生活習慣病がなくてもその是正がCKDの発症予防に重要です。特に,家族ですでにCKDを患っている患者さんがいる場合は注意が必要です。CKDの発症予防には,これまで受けてきた尿検査や健診の結果も重要です。妊娠経験のある女性であれば,妊娠中や産後の検尿結果を母子手帳で確認してみることを勧めます。過去の尿検査で,尿蛋白が陽性(+)になったことがある場合,今後CKDを発症するリスクは高く,現在の状況を健診あるいは医療機関で確認することを勧めます。 1) CKDの発症予防 平成25年に示された日本再興戦略にもとづき,すべての健康保険組合に対してレセプト・健診などのデータを分析することで,加入者の健康づくりや予防活動を効果的・効率的に行う事業計画(データヘルス計画)の策定が法制化されました。データヘルス計画の策定は,平成20年より開始されている特定健診・保健指導の「標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)」のなかにその基本的な考え方を置いてます。ご自分の市町村,健康保険組合のデータヘルス計画についてはHPなどでご確認ください。 ❶ 糖尿病,高血圧,脂質異常症,高尿酸血症などの生活習慣病の治療を適切に開始し,中断しない。❷ 適正な体重を維持する。❸ CKDを引き起こす生活習慣を是正する(過度の食塩摂取,大量飲酒,喫煙,鎮痛薬などの常用を避ける)。 データヘルス計画 CKDの発症予防:まとめ
CKDは進行して透析直前になるまで症状に乏しいため,自覚症状に頼ると発見が遅れてしまいます。CKDの早期発見のためには,CKDの有無を判断できる検査(健診)を受けることが必要です。CKDの有無は“尿蛋白”と“腎機能(eGFR)”で判断し,定義されています。現在,特定健診では,尿蛋白は試験紙法による定性検査が実施されていますが,腎機能(eGFR)を推算する血清クレアチニン検査は検査項目にありません。血清クレアチニン測定は,市町村や保険者 の自主性に委ねられ,選択的な検査項目になっているのが現状です。血清クレアチニン検査がなければ,CKDの有無の判断は尿検査のみで行うこととなり,多くのCKD患者を見逃すことになります(図3)。CKDの早期発見のためには,健診で血清クレアチニン検査を受診者全員に実施することが必須の条件です。 2) CKDの早期発見 図3 血清クレアチニン検査がないとCKDが見逃される数 例えば,受診数53 ,000人程のA市において,尿検査と血清クレアチニンによるeGFRとから判断すると緑を除く11 ,833人がCKDと診断されるが,尿検査だけでは,13 ,436人しかCKDと診断されず,残りの28 ,397人(CKDの71%)が見逃されることになる。 A1尿蛋白区分 尿検査 GFR 共に実施A2 A3 (-)or(±) (+) (2+)以上 50,139人53,575人2,489人947人1 2 6,141人6,462人 37,529人 8,496人 924人 141人 23人262人59人 35,601人1,492人436人 7,657人579人260人 686人127人111人 52人23人66人 2人6人15人 GFR区分(mL/分/1.73m2) G1 90以上 60~90未満45~60未満30~45未満15~30未満15未満 G2 G3a G3b G4 G5 厚生労働省健康局は,平成25年度からの第二期特定健診等実施計画策定の際に,追加健診項目として「各医療保険者がそれぞれ集団の特性を検討し,そこから見出された健康課題を踏まえたうえで,血清クレアチニンなどの検査項目を追加することが望ましい」と示しました。 特定健診の検査項目
なお,平成19年度まで実施していた老人保健法にもとづく基本健診では,血清クレアチニンが検査項目にありましたので,これらの健診を受けていた方は過去の腎機能の把握が可能です。健診結果をご確認ください(血清クレアチニン値からeGFRを計算するには,日本慢性腎臓病対策協議会のホームページのGFR自動換算機能を使うのが便利ですhttp://j-ckdi.jp/ckd/check.html)。また,生活習慣病ですでに治療中の場合は,かかりつけ医で受けた検査結果から,自分がCKDかどうかを確認することができます。CKDの重症度分類は,検査結果があれば自分自身で末期腎 不全になるリスクを評価できるようになっています。CKDの進行は,段階的に進むとは限りませんが,重症度の推移をみていくことは,重症化を防ぐための目安となります。健診実施者である保険者・市町村においては,発見されたCKDが放置されることがないように医療機関への確実な受診勧奨が必要です。受診勧奨の際は,医療機関で必要な検査(尿蛋白定量検査など)が受けられるような精密検査の依頼が必要になります(熊本県で使われている紹介状の例は26,27頁に記載)。 尿蛋白陽性(1+)以上,もしくはeGFR 60 mL/分/1 .73 m 2未満 ただし,地域の実情や対象者の背景に応じて変更することが必要です。例えば,以下のような対象者は紹介対象としてではなく,保健指導のみで経過観察することも考慮してよいでしょう。eGFR:70歳未満では,その値が50以上60未満で安定している者 70歳以上では,その値が40以上60未満で安定している者尿蛋白:尿蛋白の再検査が実施され,尿試験紙法で(−)や(±)となった者,もしくは尿蛋白定量検査が実施され,その値が0 .15 g/gCr未満の者早期介入こそが透析導入阻止,心血管疾患予防に重要であることが明らかである以上,上記下線の紹介基準を順守すべきと考えますが,これでは余りにも対象者が多く実情に即しないとの意見も聞かれます。現実的には,1地域の実情,例えば,かかりつけ医療機関の数など,2対象者の背景,例えば,年齢,eGFR低下速度,CKD進展因子であるメタボリックシンドロームの有無,心血管疾患既往,急性腎障害(AKI)の既往,腎疾患の家族歴,鎮痛薬などの常用者,尿路結石などの泌尿器疾患の既往,妊娠高血圧症候群の既往などを考慮しながら,受診を勧めていくべき対象者を絞っていくことも必要になるでしょう。 CKD 診療ガイド2012 より引用健診からかかりつけ医療機関への紹介基準 CKDの早期発見には,最低でも年1回は尿検査と,血清クレアチニン測定によるeGFR算出が必要です。特定健診で尿検査とともに血清クレアチニンを測定して,CKDの有無を判断することが重要です。 CKD の早期発見:まとめ
1 かかりつけ医によるリスク管理 かかりつけ医のもとには,健診から発見された方や,すでに生活習慣病などで治療中の方など,多くのCKD患者が受診します。健診から精密検査となり初めて受診した方で,尿蛋白の異常があった場合は,尿蛋白定量検査を実施し,CKDの重症度を把握することが必要です。 CKDと診断した場合には,まず原疾患の診断を行うことになります。原疾患を明らかにすることにより,CKDの重症化予防で最も効果的な“CKDに至った原因のコントロール”が可能になります。また, 健診を受けるだけでは,必ずしもCKDの重症化予防につながりません。健診でみつかったCKDは原因疾患を含めて治療の必要性を判断するために,医療機関の受診が必要です。かかりつけ医においては,CKDの重症度分類を 活用し,ステージごとの診療方針にもとづきCKD診療ガイドを順守して適切な治療を進めていきます。 3) CKDの重症化予防-かかりつけ医と専門医の連携で適切な医療の推進を- 特定健診のなかで,毎年血清クレアチニンを測定している方,あるいは毎年同じ時期に人間ドックを受けている方は是非前年のeGFRから今年のeGFRの値を引いてみてください。これが1年間のeGFRの変化(ΔeGFR)という指標になります。 ・横軸に年,縦軸にeGFRをプロットしてみましょう。なるべく昔のデータも使ってプロットすると, 1年間あたりの腎臓の働きの推移がみえてきます。・腎疾患が進行して腎機能が悪化していく場合,eGFRは直線的に低下していきます。また,年間5 mL/分/1 .73 m2以上低下している場合,25%以上低下している時には急速な腎臓機能の悪化の可能性があり,しっかり治療を行う必要があります。eGFRの絶対値,ΔeGFR,蛋白尿定量を行うことで,かかりつけ医と腎臓専門医,そして栄養士などとの連携がより良いものとなります。 前年のeGFRと比較してみると GFR中等度低下60 50 40 30 20 15 ※GFRが50未満で,一度腎臓専門医へ GFR高度低下 腎不全
原疾患の鑑別の過程で,即座に専門医への紹介が必要な腎疾患の早期徴候を発見することもあります。CKDの原因疾患で重要な疾患は, 透析導入が多い糖尿病性腎症, 慢性糸球体腎炎, 腎硬化症です。原疾患の診断後は, CKDの治療と重症化予防のための治療を行うことになります。治療によって蛋白尿を減らすこと,生活習慣病の治療目標を良好に保つことは,CKD重症化予防の重要なポイントです。CKD進行のリスクと治療目標は,各学会の ガイドラインと整合性をとり,表1のように決められています。かかりつけ医においては,CKDが多くの疾患の陰に潜み,進行している可能性があることから,どの診療科においても年1回の尿蛋白定量検査と血清クレアチニン検査の実施による重症度分類の評価をお願い致します。 表1 かかりつけ医におけるCKD 患者の管理目標 ステージごとの 適切な治療CKDの診療方針 ● かかりつけ医が専門医と協力して治療● 専門医による治療 ● CKDの原因精査 ● CVDを含む合併症の検査と治療 ● 腎代替療法(透析,移植)の情報提供と準備
かかりつけ医において治療を続けているCKD患者さんが,次の要件に該当した場合は,腎臓専門医へ紹介して治療連携していくことが,CKDの重 症化・透析予防のために重要です。 一般の健診では尿試験紙法で蛋白尿を調べており,同時に尿潜血も調べられています。蛋白尿と血尿がともに陽性(1 +)以上であると腎予後が不良といわれています。平成27年7月発足の「日本健康会議」では,「健康なまち・職場づくり宣言2020」が採択されました。その宣言2には,「かかりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に取組む自治体を800市町村,広域連合を24団体以上とする。」とあり,かかりつけ医における重症化予防の役割には大きな期待が寄せられていることが伺えます。■ ■ 糖尿病を合併したCKDの重症化予防 ■ ■ CKDの重症度は,糖尿病の場合,糖尿病性腎症の早期診断のために,尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)の定量検査で判断することが必要です。特に,尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)が30 ~299 mg/gCrの微量アルブミン尿は,心血管疾患の危険因子でもあり,この段階での腎障害の発見が非常に重要になります。微量アルブミン尿の段階で発見される腎障害は,可逆的で治療効果が高いことが明らかとなっています。糖尿病の方は,尿蛋白定性検査の結果で重症度を判断していると,持続的な蛋白尿の出る顕性腎症まで発見されずに,予防可能な時期を逃してし ❶ 高度蛋白尿:尿蛋白/Cr比 0 .50 g/gCr以上,または2+以上❷ 尿蛋白と血尿がともに陽性(1+)以上❸ eGFR 50 mL/分/1 .73 m 2未満(40歳未満ではeGFR<60,腎機能の安定した70歳以上ではeGFR<40) ❶は高度蛋白尿となった場合であり,将来の腎機能(eGFR)低下の最も危険性が上がった状態です。❷の場合には,蛋白尿に加え血尿も伴う場合で,進行性の糸球体障害が加わったことが疑われます。いずれの場合も無症状ですが,患者にCKDの重要性,今後進行することをよく説明し,腎臓専門医への紹介へつなげてください。eGFRは変動するので,経過を追うことが重要になります。eGFRが50前後でCKDの悪化因子がある場合には1 ~3カ月おきに腎機能を測定し,紹介が遅れることを防ぐことが重要です。 CKD 診療ガイド2012 より引用かかりつけ医療機関から腎臓専門医への紹介基準 ・糖尿病性腎症は,糖尿病になって10数年経って発症することが多く,同時に糖尿病性網膜症の合併 も多くみられます。尿検査では初期に微量アルブミン尿,その後顕性蛋白尿が出現し,血尿は原則陰性です。肥満,高血圧を合併することが多く,これらの腎障害と鑑別が難しいことがあります。・高血圧,糖尿病,脂質異常症,肥満などの生活習慣病は一人の患者が同時に持っていることが多く, その経過でCKDを発症した場合には原因を特定するのが困難な場合も少なくありません。・高血圧は腎硬化症のほか,糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎にも合併します。糖尿病は高血圧合併 が多く,慢性糸球体腎炎では腎機能が低下すると高率に高血圧を合併します。 CKDの原疾患の特徴
まう危険性があります。そのため糖尿病治療ガイド2014−2015では,定期的な尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)検査(3 ~6カ月に1回)の実施を勧めていますが,必ずしも必要な間隔で実施されていないことも多いのが現状です。糖尿病で治療中の方は,アルブミン尿検査の必要性をご理解いただき,糖尿病連携手帳やかかりつけ医で確認するなど,自分のCKD重症度を知ることが必要です。また,保険者がデータヘルス計画の取組みとして糖尿病性腎症予防のために,アルブミン尿や尿蛋 白定量検査を実施することは,尿蛋白定性検査を補完し,CKDの重症度分類を重視する先進的な取組みであり,そのような取組みの効果を確認したうえで予防の施策に反映することも重要と考えます。特にアルブミン尿の程度によって,同じeGFRステージでも心血管死亡や末期腎不全のオッズ比が異なることから,糖尿病におけるCKD重症化予防を予測するうえでは重要な指標です(図4)。 図4 CKD における心血管死亡と末期腎不全のステージ別オッズ比 2 腎臓専門医との連携 腎臓専門医は,全国で4 ,000人ほどしかいないため,1330万人と推測されるCKD患者のすべてをフォローすることはできません。住民の皆さんには, CKDだからすぐに腎臓専門医を受診するのではなく,まずかかりつけ医で必要な検査を実施し,CKDの重症度分類に応じて紹介されることをご理解いただかなければなりません。また,地域によっては腎臓専門医を紹介するにも紹介医療機関が遠隔である場合も多いため,重症度が進んでいても,かかりつけ医によって治療 を継続していることも多いと考えます。CKDの診療連携については,それぞれの地域の実地診療の立場を踏まえて,一つひとつの事例から連携を始め,地域に適した体制を整えていくことが必要です。市町村においては,地域のCKDの診療連携体制構築のために関係者を組織し,透析予防を実現していく体制づくりを期待します。腎臓専門医においては,CKD診療連携の推進のために, 心血管死亡ACR <10 ACR 10~29 ACR 30~299 ACR ≧300 eGFR ≧105 0.9 1.3 2.3 2.1 eGFR 90~104 Ref 1.5 1.7 3.7 eGFR 75~89 1.0 1.3 1.6 3.7 eGFR 60~74 1.1 1.4 2.0 4.1 eGFR 45~59 1.5 2.2 2.8 4.3 eGFR 30~44 2.2 2.7 3.4 5.2 eGFR 15~29 14 7.9 4.8 8.1末期腎不全 ACR <10 ACR 10~29 ACR 30~299 ACR ≧300 eGFR ≧105 Ref Ref 7.8 18 eGFR 90~104 Ref Ref 11 20 eGFR 75~89 Ref Ref 3.8 48 eGFR 60~74 Ref Ref 7.4 67 eGFR 45~59 5.2 22 40 147 eGFR 30~44 56 74 294 763 eGFR 15~29 433 1,044 1,056 2,286 ACR:尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr) Levey AS. Kidney Int 2011;80:17-28 より引用,一部改変
その中心的な役割を発揮していただくよう望みます。腎臓専門医が不在の地域においても,この提言によってCKDの発症・早期発見・重症化の進行が抑制されることを期待します。(事例1 新規透析 患者数減少に向けた取組み 岐阜県高山市 28頁参照) ❶ かかりつけ医による生活習慣病の管理の徹底❷ 患者さんには年1回の尿検査と血清クレアチニン測定でCKDの評価をする(CKDの重症度分類の活用) ❸ 糖尿病治療者は,尿アルブミン定量検査の実施で糖尿病性腎症の早期発見を❹「腎臓専門医への紹介基準」を参考に腎臓専門医と診療の連携を図る CKDの重症化予防:まとめ ❶ CKDを早期に発見,早期に治療介入(蛋白尿を減らす努力) ❷ CKD対策の中心は生活習慣病管理の徹底❸ 定期的に腎臓専門医が関与する診療連携の体制整備を目指す 腎臓専門医がいない地域でのCKD対策
コラム 1コラム 1 ● ● ● 尿蛋白定性検査の重要性 ● ● ● CKDの重症度分類の尿蛋白区分は,尿蛋白量で決められます。尿蛋白の検査は,尿蛋白定性検査と定量検査の2つがありますが,特定健診を始め多くの健診で行われているのは,尿試験紙を使って調べる尿蛋白定性検査です。尿試験紙法は,尿の濃縮状態によってバラつきがあるため,必ずしも正確な尿蛋白量を反映する結果とはならないことがあります。そのため,CKDの重症度分類は,尿の濃さによる結果のバラつきを補正し,随時尿でも尿蛋白の評価ができるように,尿中クレアチニン濃度で補正した蛋白尿定量検査[尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)]を指標にしています。尿試験法は簡便で安価なことから,非常に優れたスクリーニング法として活用されており,現在,国内で販売されている尿蛋白試験紙は,どこのメーカーのものでも(1 +)は尿蛋白量30mg/dL,(2 +)は100 mg/dLで統一されています。そこで,健診の尿蛋白定性検査から,CKDの重症度分類を活用する際には,A1を試験紙法(−)と(±),A2を(1 +),A3を(2 +)以上と便宜上区分して,重症化予防の対象者を明らかにすることは健診の場では大変有用です(詳しくはp10 図3を参照)。また,実際には,コラム図のように,A2の区分であっても,試験紙法では(-)または(±)となる場合があることがわかっています(Clin Exp Nephrol(2015)19:152 -153)。尿蛋白定性検査は尿希釈の影響を受け,必ずしも正確ではないことを考慮し,尿蛋白および尿中クレアチニンの定量検査による尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)を,特に二次検査で導入する努力が望まれます。 コラム図 CKD 蛋白尿ステージと試験紙法定性との関連 試験紙法蛋白尿定性□ D1:(-)or(+/-) ■ D2:(+) ■ D3:(2+)or more 1 0 A1 30> A2 30~300 A3 >300 300 1217 23 9 1 9 21
特定健診・特定保健指導は,メタボリックシンドロームに着目したうえで,生活習慣病予防のための保健指導を抽出することを目的とした健診です。保健指導は,リスクにもとづく優先順位をつけ,効果的・効率的に行う必要があります。特定健診・特定保健指導のなかでCKD対策は必ずしも明確であるとは言えません。保健指導の対象者を選定する検査項目に尿蛋白やeGFRの判定基準は示されていませんし,そもそもeGFRを推算するために必要な血清クレアチニン検査が必須化されていません。しかし,高血圧や糖尿病といった生活習慣病の重症化の過程にCKDが発生すること,特定健診・特定保健指導で予防しようとする脳卒中や心筋梗塞の発症の強い危険因子としてCKDがあることを考えると,特定健診・特定保健指導のなかにCKDを正しく位置づけることは極めて大切なことと考えます。特定健診・特定保健指導において,CKDをリスクとして位置づけ,保健指導を実施することは,生活習慣病からの透析予防への戦略的な取組みと 考えます。生活習慣病予防は,そのままCKDの発症予防・早期発見・重症化予防につながりますが,CKDをリスクとして捉えることでより重症化しやすい対象者が明確になります。そして,重症化の指標となるCKDの重症度分類を活用することで,心血管疾患の危険性も予測しやすくなり,効果的・効率的です。一方,CKD対策を推進するうえで,特定健診・特定保健指導はCKDの早期発見の場であり,発症・重症化予防の保健指導を受ける機会であり,その果たす役割はCKD対策のなかでは最重要と考えます。具体的な保健指導は,新規透析導入患者数の減少を目標に,ハイリスク者から,CKD対象者に至るすべての方に,生活習慣によるリスクファクターの軽減を中心に,科学的根拠にもとづき実施することが必要です。 CKDは高血圧や糖尿病,脂質異常症といった生活習慣病を背景として発症する場合が多く,透析導入患者の60 %近くが,これらの疾患を原疾患としています。また,メタボリックシンドロームはこれら生活習慣病やCKD発症の強い危険因子です。CKD 発症予防のためには,メタボリックシンドロームや高血圧,糖尿病,脂質異常症といった生活習慣病に対する保健指導が極めて重要であり,特定健診・特定保健指導はCKD発症予防の中心に位置づけられます。発症予防のためには,住民が普段の血圧を知ること,自分の体重が適正なのか判断できること, 年齢や活動に応じた食事量がわかること,適正な塩分やアルコールの量がわかることなど,適切な生活習慣を継続できるための保健指導が必要です。また腎疾患の家族歴や妊娠高血圧症候群の既往などがCKDの素因となることがあり,特定健診の対象となる前の年代からのCKDの啓発も重要です。健診度の保健指導は,個々人に応じて健診データを読み解いて進めます。データの背景にある地域の食習慣や慣習の把握は指導に不可欠であり,さらにCKDの発症予防には長期にわたる支援が必 1) CKD発症予防のために 3 CKD対策における特定健診・ 特定保健指導の役割
CKD重症化予防の保健指導は,精密検査の受診勧奨の後に,受診や治療の状況を確認して,必要な治療が継続できるよう支援することが重要です。特に,CKDの重症化予防に重要な保健指導が,管理栄養士・栄養士の担う栄養指導です。栄養指導は,かかりつけ医や腎臓専門医からの指示により,必要な対象者が明確になります。具体的には,医師の指示にもとづき,「日本人の食事摂取基準2015版」ならびに,「日本腎臓学会編慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」,「医師・医療従事者のための慢性腎臓病 生活・食事指 導マニュアル」,「慢性腎臓病生活・食事指導マニュアル 栄養指導実践編」などにもとづきCKDの重症度分類のステージに応じて,腎機能を表す検査データを確認しながら実施することが必要です。また,原疾患を持っている場合は,各学会のガイドラインにも整合させた総合的な栄養指導が必要となり,献立提示にとどまらない,高度で個別性を重視した専門的な内容が求められます。さらに医療機関と地域,患者さん自身も含め,3者が 3) CKD重症化予防のために CKDは自覚症状での早期発見は不可能で,尿検査の実施と血清クレアチニンをもとに算出したeGFRの検査が必要です。したがって,CKDを早期に,そして確実に発見するためには,まず特定健診を多くの方に受けていただくことが重要です。特定健診の未受診者は,生活習慣や生活習慣病のリスクが不明確なために,保健指導のアプローチが困難で,CKDが重症化してからの発見となりがちです。また,特定健診では血清クレアチニン検査が必須化されていないため,加入している保険によっては健診を受けてもCKDの有無の判断ができない場合があります。しかし,生活習慣病で治療中の場合やその他の疾患で医療機関を受診した際,尿検査や血清クレ アチニン検査が行われる機会も決して少なくありません。医療機関の尿検査や血液検査の結果で, CKDの有無とCKDの重症度を判断することもCKDの早期発見に大切なことです。わが国では,小児期から学校検診で尿検査が実施されています。将来的には小児期の乳幼児健診から学校検診,職域健診,特定健診,人間ドックや医療機関での検査結果など,一個人の生涯にわたる検査結果を網羅し,管理することが可能になるなど,さらに進化したデータヘルス化への体制整備が,生涯にわたるCKDの発症予防・早期発見・重症化予防の管理へとつながることとなり,CKD対策において強く望まれます。 2) CKD早期発見のために 要です。そこで,保険の種別や通院する医療機関が変わっても継続でき,地域の食習慣や慣習に沿った指導も可能な,市町村の保健師・管理栄養士・栄養士による保健指導は効果的であり,積極的な活用が勧められます。精密検査依頼の返書を活用し,かかりつけ医や腎臓専門医から,市町村に保健指導を依頼するなど連携を図ることは,CKD対策の新しい連携推進 の流れとして期待するところです。また,高血圧,糖尿病,脂質異常症の治療が必要な患者に対しては,適切に服薬できるよう薬剤師の関与が強く求められますし,CKDを進行させる鎮痛薬などの常用についても薬剤師による介入が期待されます。
CKDに関する情報を共有するために,CKD患者管理ノートやeGFRのグラフ化など資料の活用が有効と考えます。継続的な支援が必要になることから,住民が異なる栄養指導で混乱しないように,市町村と医療機関の管理栄養士・栄養士が連携して,透析予防のための継続した食事療法を支えていくことが重要です。また,CKDでは高血圧や血糖の管理を含め,薬剤の適切な服用の重要性が増してきます。そのため, CKDに関する情報の共有などを通じて薬剤師の積極的な関与ができる環境を作ることが重要となってきます。 現在,市町村ではデータヘルス計画によってCKD対策を進めているところも多くありますが,市町村の保健師,栄養士・管理栄養士が,医療機関からの依頼に応じて栄養指導や保健指導ができる体制を整えることをデータヘルス計画のなかに取り入れることは,相互に望ましいことと考えます。医療機関では十分な人材の確保が困難な場合もあり,保健指導を実施する時間的な制約もあることから,透析予防という最終目標に向け,地域内での医療従事者の連携が,CKD重症化予防に必要です。
透析患者の減少を目指し,特定健診・保健指導を効果的に活用してCKDの発症予防・早期発見・重症化予防を実現するためには,データヘルス計画にCKD対策を位置づけるなど,行政や医療保険者が積極的に関与することが求められます。CKD発症予防・早期発見・重症化予防に向けて,健診・保健指導を行う行政や医療保険者,かかりつけ医,腎臓専門医などがそれぞれに努力していることをより有効に生かすために,行政や医療保険者がデータヘルス計画を策定し,中心となって関係者が連携できる仕組みをつくることが大切です。連携の内容としては,以下のことがあげられます。1.住民が行う「生活習慣改善」努力の後押しとして, 行政や医療保険者が行っている生活習慣改善のためのさまざまな取組み,医療機関その他が行っている住民公開講座などの取組み,保健指導の場で行っている指導内容など,市町村単位,保険者単位,医療機関単位で実施している取組みと連携を進める。2.CKDの早期発見のために,特定健診と日常的な診療のなかでの尿検査や腎機能検査とをつな げる仕組みをつくることで,すべての住民が年1回尿検査とeGFR測定を行うことを確実にする。3.特定健診で発見されたCKD疑いの患者さんが, かかりつけ医,病院,専門医などの連携のもとで,適切な医療を受けられるよう連携会議を組織する。4 . かかりつけ医のもとでの診療においても,適 切な保健指導,生活指導,栄養指導が可能となるように,医療従事者の派遣制度,連携体制構築が可能となる体制を整備する。5.病院で行われる医療について,保健師,管理 栄養士・栄養士,薬剤師など医療従事者が連携して受診をサポートし,服薬指導,生活指導ができる仕組みを調整する。6.保健指導や医療の現場から出てくる特定健診 のあり方(例えば,CKD対策についていえば,血清クレアチニン値測定)などの要求を行政や医療保険者が検討し,より有効な健診システムの構築に努める。 4 CKD対策における医療保険者,行政の役割-データヘルス計画でCKD対策の推進を-
1 国民への提言 ❶CKDの発症や重症化を予防するため,適正体重 を維持し,減塩,禁煙に努めましょう。❷家庭で血圧と体重を測定し,記録しましょう。❸特定健診・職域健診・人間ドックなどを受けて,生活習慣病やCKDの早期発見に努めましょう。 ❹生活習慣病やCKDと診断されたら,しっかりと 治療を受けましょう。❺健診や医療機関受診時の検査結果を保存しましょう。 コラム 2コラム 2 ● ● ● 家庭血圧測定の意義 ● ● ● CKDでは,診察室血圧測定によっては診断できない仮面高血圧もCKDを悪化させる危険因子であり,診察室外血圧測定である24時間自由行動下血圧測定や家庭血圧測定が必要です。24時間自由行動下血圧測定は医療機関によって行われる検査ですが,家庭血圧測定は自分で行うことができます。家庭血圧測定に適している血圧計は, 上腕式タイプが手首式よりも測定の誤差が少なくお勧めです。測定回数は,1日2回,朝・晩が理想的ですが,測定できない日があってもそこで中断せずに,継続して測定することが経過をみるうえで大切です。また, 測定した値は手帳などにできるだけ記録して,健診や診療時に持参することをお勧めします。高血圧の診断基準は,病院で140 /90 mmHg以上,家庭血圧で135 /85 mmhg以上です。また,家庭で体重を量ることは,適正体重の管理に必要であり,むくみや脱水症状の評価につながることもあります。血圧と同様に,家庭で体重を毎日計測することも重要です。 2 医療従事者への提言 保健師,管理栄養士・栄養士,看護師,薬剤師など,医療従事者は,身近な住民が「生活習慣を改善し,健診を受診し,CKDに対する適切な医療をうけ,透析にならないための行動を起こし,継 続すること」を支える重要な役割を担っています。健診はCKDの早期発見,生活習慣の是正,医療機 5 提言:生活習慣病からの新規透析導入 患者減少のために取組むこと 生活習慣病からのCKDの発症・重症化を予防し,新規透析導入患者を減少させるためには,次の3つが大切です。1 CKDの発症や重症化に関連する生活習慣を是正すること2 CKDを早期に発見すること3 発見されたCKDが適切に治療されることこの3つが行われるよう,以下の取組みを提言します。
関受診のきっかけとなるため,保健指導にあたる医療従事者の役割は特に重要です。皆さんのサポートがより効果的なものとなるよう次のことを提言します。❶保健指導・栄養指導にあたっては,生活歴や病歴, 生活状況等を把握したうえで,個々人の生活スタイル,生活環境にあった指導を心がけましょう。❷保健指導・栄養指導にあたっては,CKDの重症度分類を活用し,重症度を意識した,科学的根 拠にもとづく保健指導を行いましょう。(事例2 CKD重症化予防のための栄養指導の取組み 長野県千曲市 32頁参照) ❸CKDと診断された方が,継続して治療を受けて いるか,確実に薬を内服しているかなど確認しましょう。 3 かかりつけ医への提言 ❶通院患者さんに,年1回は尿検査と血清クレアチニ ン検査を実施し,CKDの早期発見に努めましょう。❷尿蛋白陰性の糖尿病患者さんには,年1回は微量 アルブミン尿をチェックし,糖尿病性腎症の早期発見に努めましょう。❸高血圧,糖尿病,脂質異常症のある患者さんでは, それらの管理を厳格に行い,CKDの発症予防とCKDの重症化予防(13頁表1参照)に努めてください。❹CKD患者さんについては,尿蛋白定量検査(17 頁コラム1参照)を行い,CKDの重症度分類に沿った診療(13頁表1参照)を行うことで,更なる重症化の予防に努めてください。❺日本腎臓学会が提唱する「腎専門医への紹介基 準」(14頁参照)を参考に,専門医との診療連携を図りましょう。 ❶ 高度蛋白尿:尿蛋白/Cr比 0 .50 g/gCr以上,または2 +以上❷ 尿蛋白と血尿がともに陽性(1 +)以上❸ eGFR50 mL/分/1 .73 m 2未満(40歳未満では,eGFR<60,腎機能の安定した70歳以上では,eGFR<40) かかりつけ医療機関から腎臓専門医への紹介基準 4 医療保険者,行政(市町村)への提言 住民,かかりつけ医,医療従事者がそれぞれ取組むCKD対策が,効果的に連携して行うことができるようサポートするため,以下に努めることを提言します。❶特定健診の検査項目に血清クレアチニンを追加し ましょう。❷特定健診で発見されたCKD患者が適切な医療を 受けられるよう,各地域の実情に応じた,地域のCKD診療連携システムを作りましょう。(事例3 特定健診から始まるCKD患者の診療連携の仕組みづくり 静岡県焼津市 39頁参照)
2 都道府県への提言 3 保険者協議会への提言 都道府県には,地域の医療政策の中軸を担い,平成30年からは国保財政の運営責任を負うことから,保険者によるデータヘルス事業の推進を支援する役割を期待し,以下を行うことを提言します。❶ CKD対策協議会を設置する。❷CKD対策を視野に入れた医療計画の策定を行う。 保険者協議会は,都道府県単位で各保険者が共通認識を持ち,行政や医療関係者等の協力を得ながら,健康づくりの推進等について整合的な対応を行う役割を期待し,以下を行うことを提言します。❶保険者協議会のオブザーバーとして腎臓専門医の 活用を図る。❷医療計画にCKD発症・早期発見・重症化予防を 提起する。 1 国への提言 国には,CKDの重症化による新規透析導入予防の目標をすべての保険者に保証するため,条件整備の役割を期待し,以下を行うことを提言します。❶特定健診の検査項目に血清クレアチニン検査を追加する。 ❷CKDの医療連携体制の早急な構築を図るため, 医療法にもとづく「医療提供対策の確保に関する基本方針」にCKD対策を追加する。 4 国民健康保険中央会,国民健康保険団体連合会への提言 国保中央会には,国保連合会が取組むCKD対策の標準化の役割を期待し,以下を行うことを提言します。国保連合会には,保険者が目標を達成するため の保険者支援の役割を期待し,以下を行うことを提言します。 6 提言:CKD対策の更なる推進に 向けて期待すること CKD対策が適切に行われるためには,次のことが求められます。1 住民が適切な生活習慣改善に取組めるよう,関係者がCKDの重症化による新規透析導入予防を共通目標として,生活習慣改善に取組みやすい環境の整備に努める2 住民,医療関係者が個々人の検査結果,処方内容等の共有が可能となる仕組みの整備に取組むさらに,行政や関係組織には,CKD対策の更なる推進に向けて,下記のような取組みを進めることが期待されます。
5 市町村・医療保険者への提言 ❶CKDの実態について,国保データベース(KDB) データなどを整理・分析し,各保険者が情報を共有できるよう図る。❷保健事業支援・評価委員会はCKD重症化による 新規透析導入予防の視点から,保険者に専門的な支援を行う。 市町村は住民の生涯にわたる健康に責任を持つこと,医療保険者は加入者の健康づくりを推進することから,CKD対策を積極的に展開する役割を期待し,以下を行うことを提言します。❶データヘルス計画のなかに,CKDの発症・重症 化予防を位置づける。❷市町村は,出生から乳幼児期,学童期を含め, 生涯にわたるCKD対策に取組む体制を整え,生活習慣病予防を軸に保健事業を展開する。❸市町村は,健康増進法にもとづき,すべての住 民に対して,市町村に属する保健師,管理栄養士などによる保健指導が可能となるよう図る。
表 保健師へ依頼する指導内容 栄養食事 医療機関名医師名 特定健診の結果、CKD(慢性腎臓病)が疑われ、医療機関受診の対象者となられました。つきましては、ご高診くださいますようお願いいたします。なお、お手数ながら太枠内をご記入の上、ご返送お願い申し上げます。 ○○市 福祉保健介護課 担当(●● ) 氏 名: 国保 花子 様 (女性)生年月日 : 昭和25年1月○○日 (65歳) 健診結果 (平成27年7月 1日実施) *添付資料あり (健診経年表・腎グラフ・経過表) ○ 尿蛋白 (1+) ○ eGFR 75.1mL/min/1.73m2 *裏面に特定健診のCKD重症度分類(※1)を記載していますが、尿検査は尿定性検査の結果分類 になっています。より正確な重症度分類をガイドライン参考にしていただき精査をお願いいたします。 貴院での検査結果(平成 年 月 日) CKD重症度分類 G:□1 □2 □3a □3b □4 □5 A:□1 □2 □3 (該当箇所に✓ )原因疾患□糖尿病 □高血圧 □慢性腎炎 □脂質異常 □尿路結石 □不明 □その他( ) (該当箇所に✓ 複数可) 検査結果尿沈査( ) 血液検査:( ),その他画像検査:( ) 方針□ 治療不要 □ 経過観察 ( ヵ月後) □ 治療中もしくは開始 □ 他医紹介( )(該当箇所に✓) □ 食事指導 □ 服薬指導 □ 運動指導□ 禁煙指導 □ その他( )(該当箇所に✓) ☆栄養士による食事指導を、以下のように実施してもよろしいでしょうか? □はい「日本人の食事摂取基準 2015年版」「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版」に基づき○○○○様の食事指導内容を以下のように算出しました。 ・総エネルギー 1,830 kcal (25~35kcal/kg) ・たんぱく質 59 g (0.8~1.0g/kg 軽度制限) ・塩分 7.5 g ・カリウム 2,000 mg *裏面に「「日本人の食事摂取基準 2015年版」等を参考にした食事の資料(※2)を記載していますので、ご参照ください。 尿検査:尿蛋白定量検査( g/gCr) (糖尿病の場合)微量アルブミン尿( mg/gCr) CKD 精密検査のお願い熊本県 健診からのCKD精密検査紹介書式
裏 CKD の重症度分類 原疾患蛋白尿区分A1 A2 A3糖尿病尿アルブミン定量 (mg/日)尿アルブミン/Cr比 (mg/gCr) 尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr比(g/gCr)正常微量アルブミン尿顕性アルブミン尿 30 未満30~299 300 以上 高血圧 尿試験紙法(-)or(±) (+) (2+)以上 腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他正常軽度蛋白尿高度蛋白尿 0.15 未満0.15~0.49 0.50 以上 GFR区分 1.73 m2) G1正常または高値≧90 G2正常または軽度低下60~89 G3a軽度~中等度低下45~59 G3b中等度~高度低下30~44 G4高度低下15~29 G5末期腎不全(ESKD) <15 GFR 90以上 G1 G2 G3a G3b G4 G5 60~90未満45~60未満30~45未満15~30未満15未満 GFR区分 総エネルギーkcal/日 糖尿病以外0.8~1.0 0.8~1.0 0.8~1.0 0.8~1.0 ※1.0~1.2でもよい※1.0~1.2でもよい※1.0~1.2でもよい 0.8~1.0 0.8~1.0 0.6~0.8 0.8~1.0 0.6~0.8 0.8~1.0 0.6~0.8 0.8~1.0糖尿病 高齢者(70歳以上) 1.0塩分(g/日) 3~6未満正常高値 男8 女7.5高血圧3~6未満3~6未満3~6未満 カリウム(g/日) 2,000以下1,500以下 1.0 1.0 たんぱく質標準体重(kgあたりの量) (g/日) 重症度は原疾患・GFR 区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKD の重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑のステージを基準に,黄,オレンジ,赤の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する. ★ (※1)★は健診結果の重症度分類です。尿試験紙法による検査結果で分類しています。 (※2)「日本人の食事摂取基準 2015年版」等を参考にした食事の内容 正常高値高血圧 健康人と同様の考え方でよい。25~35Kcal/kg 体重/日基礎代謝基準値×標準体重(BMI22の体重)×生活活動強度 健康人と同様の考え方でよい。25~35Kcal/kg 体重/日基礎代謝基準値×標準体重(BMI22の体重)×生活活動強度 3~6未満 男 2,500・女2,000男 2,500・女2,000 男8 女7.5 3~6未満
CKD対策の展開 本市は平成17年2月1日に周辺9町村との合併により,人口90 ,813人(平成27年12月1日現在),面積は東京都とほぼ同じ2 ,177 .61 km 2と日本一広大な市となりました。医療の状況は,透析療法の実施可能な医療機関は3カ所で,いずれも市街地に集中しており,周辺地域からは通院に片道1時間以上かかるうえ冬季の降雪量も多いため,ひとたび透析療法を導入されると住み慣れた地域での生活を困難にします。CKD対策で重要な役割を担う腎臓専門医は不在で,大学病院などへの腎臓専門医受診は市街地からでも片道2時間以上かかります。特定健診受診率は平成20年度の制度開始当初から50%以上で推移しており,平成25年度の受診率51 .7%は,全国の同規模自治体(人口5万人以上10万人未満の市)236市中9位となっています。 保健師は岐阜県内の1 /5を占める地域を,県内平均より少ない保健師数で活動を展開しています。高山市国民健康保険(以下「国保」とする)加入者の透析患者数は,平成24年度をピークに減少傾向にあり,新規透析導入患者数は平成23年度をピークに減少しています。平成26年度の新規透析導入患者は4名で,透析導入までの経過を特定健診データとレセプトデータなどで確認すると,国保加入から透析導入までの期間が短い者(4名)・特定健診未受診者(2名)であり,他の医療保険者との連携や特定健診の未受診者対策が課題です。以下が実際に取組んだ内容です。 医療制度改革における「特定健診・特定保健指導」は,生活習慣病予防の徹底を図るため保健指導に重点が置かれるようになり,CKD対策について方針や教材が順次示されました。1平成19年3月:厚生労働省水嶋研究班「健診データ・レセプト分析から見る生活習慣病管理」2平成20年3月:腎疾患対策検討会「今後の腎疾患対策のあり方について」3平成24年2月:厚生労働科学研究費補助金腎疾 患対策研究事業「CKD進展予防のための保健指導教材」本市では,これらの方針にもとづきCKD予防の活動を展開してきました。1.早期発見 CKD予防のための対象者を明確にするために,次の取組みを行っています。(1)血清クレアチニン検査特定健診から保健指導対象者を明確にするためにはCKDの重症度分類が必須であり,保健指導は対象者が直接的に腎機能をイメージできるeGFRの数値の理解からスタートすることが効果的であることから,健診項目に追加。(2)尿潜血検査「尿試験紙法で蛋白尿と血尿がともに陽性(1 +)以上が合併していると腎予後が不良である」(CKD診療ガイド)ことから,健診項目に追加。 高山市の概要 新規透析導入患者数減少に向けた取組み 岐阜県高山市 事例 1
2.適切な治療の推進 CKDの重症化予防は,的確な診断と治療方針の決定,それにもとづく診療の継続が重要です。本市では,腎臓専門医に紹介すべき対象者に受診勧奨をしても,腎臓専門医のいる医療機関が遠隔であることから多くの人が腎臓専門医へ受診できない状況が続いています(図1・表1)。そのため,多くのCKD患者が受診をするかかりつけ医において,生活習慣病のリスクがある場合は各学会のガイドラインにもとづいた管理目標値に近づけるなどの治療の推進と同時に,CKDの診療連携の体制整備が必要です。CKD 進展予防のための保健指導教材より引用図1 尿検査・eGFR に異常が出た方へ 表1 腎臓専門医に紹介すべき対象者 平成26 年度 高山市特定健診結果より 39人169人14人3人17.4% 75.1% 6.2% 1.3% 6人16人2人7人19.4% 51.6% 6.4% 22.6% 11人11人5人3人36.7% 36.7% 16.6% 10.0% 52人118人20人11人19.2% 69.4% 7.4% 4.0% 225人2.4% 31人0.3% 30人0.3% 271人 総数 2.9% GFR50未満70歳以上は40未満 蛋白尿(+)and尿潜血(+)以上 蛋白尿2+以上1 2 3 専門医受診対象者(1~3の実人数) 健診受診者 9,419人70~74 60代50代 年代別 40代
またCKDの治療において,対象者の経過や生活環境などは,原因精査や治療方針を決定するうえで大切な情報です。特定健診の経年結果や保健指導で得られた情報の提供など,保健と医療の連携も欠かせません(図2)。 3.CKDの重症度分類を活用した保健指導 (1)保健指導の方法本市は平成17年度の合併以前は健診結果にもとづく保健指導をほとんど実施していませんでしたが,健診・保健指導の理念が大きく転換された現在,生活習慣病予防の徹底を図るため,特定健診結果にもとづいた保健指導を家庭訪問で行っています(表2)。家庭訪問による保健指導は,「生活をする場所= 家庭での生活習慣」を確認しながら,健診データに影響を及ぼす家族歴などを把握することで,家族単位の保健指導も可能であり,また確実に対象者に出会えるため,最も有効であるとともに効率性も高い方法です。(2)保健指導の実際保健指導に使用する教材は,「CKD 進展予防のための保健指導教材」 ✽)を主に使用します。これ は,CKD進展予防のための保健指導を行うために作成された教材であり,下記の流れで行っています。*「CKD進展予防のための保健指導教材」はwww. jsn.or.jp>学術情報・厚生労働省研究班報告に掲載。(以後,この教材にもとづく資料はページ数のみ記載) 図2 腎を考える経過表 重症度分類
1本人が自分の身体や検査値を判断する基準を示す(本提言5頁CKDの重症度分類および15頁図4,教材資料P39,P41,P43,P45)自分の健診結果がどうであったのか,本人が自ら理解し判断できる資料を提示します。CKDの重症度分類のどの段階か,その段階の心血管死亡や末期腎不全の危険度,今までの段階と今後の予測を確認します。これらの資料は,学会のガイドラインに準拠しており,最新の科学的知見が凝集されていることから,医療との連携を図るための資料としても有効です。2自分の身体で起きていることの原因,生活背景 を確認(指導教材47,P49,P55) CKDの発症や進行は,生活習慣病以外のリスクも多くあります。特定健診の問診項目では把握で きないリスクの確認や,腎臓に影響を与える健診データなどを確認します。3問題を解決していくための判断基準を示す(教材 資料 P53,P57,P59 〜87,P113,P115)自分の結果と原因が確認できたら,今後の見通しと課題を解決できるための資料を提示します。どのような検査が必要か,予防のための目標値や日常生活のなかで意識することなどを確認します。これらの資料は,メカニズムの視点で構成されており,本人が問題を解決していこうという意識(気持ち)が生まれるよう,教材を選択しながら保健指導を行います。 受診者数受診率(法定報告) 6 特定保健指導終了率(法定報告) 12 17 13 8 4 平成20年平成21年平成22年平成23年平成24年平成25年 9,392 9,800 9,888 9,732 9,762 9,737 50.1% 52.0% 52.3% 51.9% 51.9% 52.2% 4 平成26年 9,419 51.6% 71.3% 89.5% 93.5% 92.4% 92.5% 90.6% 91.4% 特定保健指導対象者家庭訪問による保健指導実施者(実人員)重症化予防対象者906 1,001 904 812 826 778 1,173 1,610 1,636 2,824 2,052 2,653 685 2,701 表2 特定健診受診者及び家庭訪問実施者等の推移 本市の保健活動は,腎臓専門医が不在の状況で取組みを進めてきました。「腎臓専門医が不在であるため,腎臓の重症化予防が困難な事例が多い」という課題を行政と医療機関が共通認識するなかで,市内のK病院(病床数300床)においては数年前から腎臓専門医の招聘に努力をされ,日頃から保健活動に理解を示してこられた腎臓専門医に,専門医不在の地域の現状を理解いただき,平成27年4月から月1回K病院での診療が開始されました。診療と同時に,「腎臓専門医がいない高山市でのCKD対策」について,医療機関・薬剤師会・保健所・高山市などと検討する場が設けられ,下記の目標達成に向けて具体策の作成を進めています。❶ 早期に発見,早期に治療介入 ❷「健診-かかりつけ医-専門医」連携の強化❸ CKD対策の中心は生活習慣病管理の充実❹ 専門医関与❺ チーム医療の充実この取組みは,平成27年7月に発足した『日本健康会議』が発表した『健康なまち・職場づくり宣言2020』と一致します。本市では,CKD対策において,医師・薬剤師・保健師・看護師・管理栄養士などの人材が適切に役割を果たせるよう連携体制を整備し,チーム医療の充実を図ることによって,今後も「新規透析患者数の減少」を目指します。 CKD対策推進のために
CKDが進行して腎機能が低下すると,腎臓から排泄されるべき物質が体内に蓄積し,高カリウム血症,アシドーシス,体液量の異常,高リン血症,尿毒症などの代謝異常を生じます。特にCKDの重症度分類ステージG3bに対しては,食事療法や薬物療法により対処することが必要です。そのためCKD重症化予防において,栄養・食事指導は重要な役割を担っています。 そこで,千曲市では管理栄養士・栄養士が日本人の食事摂取基準2015年版とCKD食事療法基準などの科学的根拠にもとづいて作成された栄養指導資料により,かかりつけ医や専門医と連携し,栄養指導を実施しています。 1 栄養指導対象者の明確化健診結果から,CKDの重症度分類により栄養指導対象者を明確にします(表1)。CKDステージG3aまでは,保健師による生活習慣などのリスク管理を中心に保健指導を実施しています。CKDステージG3b以降は,専門医が行う治療を目的とした食事指導(食事療法)を医療機関と連携を 取りながら管理栄養士・栄養士が担当しています。平成26年度は,3 ,444人中CKDステージG3b以上は,61人いました。61人中,未治療の12人は,受診勧奨して受診後の医師の指示をもとに,治療中の人は医療機関の指示を確認して栄養指導を実施しました。 CKDの栄養指導(食事療法) 千曲市の取組み 表1 ステージ別重症度別のCKD の実態と診療方針 1 2 4 5 0 1 13 17 0 4 24 314 0 0 0 3 0 0 0 3 0 1 11 176 1 2 4 8 0 1 13 20 0 5 35 490 G5A1 G4A1 G3bA1 G3aA1 G2A2 G2A3 G1A2 G1A3 ハイリスク群(G1A1) (G2A1) 44 5 397 3,444人数 1,659 1,785 未治療3 疾患治療中15 1 2,403 15 3 213 3 0 1,231 29 2 184 12 1 1,172 G5A2 G4A2 G3bA2 G3aA2 G5A3 G4A3 G3bA3 G3aA3 末期腎不全 15 30 45 60 90 GFR 高度低下正常または高値CKDの重症度 特定健診受診者中等度~高度低下軽度~中等度低下正常または 軽度低下千曲市の特定健診結果より CKD重症化予防のための栄養指導の取組み 長野県千曲市 事例 2
2 栄養指導の実際 CKDステージG3bの対象者のうち,治療なしの人は健診結果から専門医への受診を勧めます。受診が確認できたら医師からの指示内容により,栄養指導を実施します。1)食事療法実施に当たっては,対象者自身が腎臓 の代謝,たんぱく質・カリウム・リン・食塩の代謝の仕組みを理解して,腎臓を守るための食を考えられるように教材を使って支援します(図1)。2)自分の食事量を知り,自分の腎臓に応じた適切 な量をおさえ,自分の食を選択できるよう,実際の食事量を聞き取りながら支援します。1健診結果より,対象者AさんはCKDステージ G4でした(図2)。医師の指示をもとに,表2で自分の位置を一緒に確認します。表2を基本に具体的に,エネルギー,たんぱく質量を計算していきます。21日のたんぱく質量が決まったら,食品のグ ループごとにどの位(何g)とるかを理解してもらいます(図3)。そのなかで「動物性たんぱく質がなぜ60%以上必要なのか」を,たんぱく質とアミノ酸の働きから理解していきます(図4)。3総エネルギーから,検査データや病態にあ 図1 腎臓とたんぱく質・カリウム・リン・食塩はどんな関係? 食べる 何をどれだけ食べたらいいの?生きていくために必要なエネルギーを確保します総エネルギー量は体重・年齢・性別動き方で変わります エネルギーになるには 三大栄養素 使い終わると老廃物が出る たんぱく質食品 牛乳 卵 肉 魚 ごはん いも 野菜 尿 1~1.5リットル 果物 加工食品 調味料エネルギーになって使い切るので 老廃物がでない 脂質炭水化物 配分15% 血 液100cc中の基準 男~1.0mg/dL女~0.7mg/dLクレアチニン腎臓 糸球体GFR 尿細管 集合管 尿素窒素 尿 酸 カリウム リ ンたんぱく質や脂質とくっつく性質がある 血液中に溜まると,糸球体の内皮細胞を傷つける 石を作ったり血管など(骨以外に)石灰化する ナトリウム(食塩) 維持するためにCKDの食事療法 8.0~22.0mg/dL ~7.0mg/dL 3.5~5.3mEg/L 3.2~4.3mg/dL 135~150mEq/L 1老廃物 細胞内外の水分を一定に保つ体液を一定に保つ 2電解質25% 60% 尿
図2 対象者A さんの健診検査結果 市市市市市 8 成4 C K D重症度分類(ステージ)初回 市栄養士面接 表2 食事量の目安日本人の食事摂取基準2015 年版より引用
わせた三大栄養素のエネルギー配分を考えます。まず,たんぱく質のエネルギー配分を決め,次に脂質と炭水化物の配分を,他の病態(リスク)を考慮して配分します。4CKDと特に関係のある血液中の物質(栄養素) について学習します。ここで,栄養素と食品の関連を理解し,どの食品をどれだけ食べれば良いか目安がわかります(図5)。51日に必要な食品の種類と量を具体的に学習し ます(図6)。6ご飯(穀類)と調味料で使う油の量を出します。 3で計算した三大栄養素のエネルギー配分を整え,エネルギーを確保するために,ご飯と調味料の油が大切であること,他の食品は,5で確認した量をとることが大切であることを理解できるよう支援します。 図4 たんぱく質の働きとアミノ酸の種類 【主なたんぱく質とその働き】【たんぱく質=20種類のアミノ酸でできている】 ヘモグロビンアルブミン 1 浸透圧を調節している。(浸透圧:細胞の中に,物質を出し入れするときの圧力) 2 酸性とかアルカリ性っていうでしょ。それを調節している。3 脂肪が血液になじむようにし ている。 エラスチンコラーゲン 免疫グロブリンサイトカイン病気と闘ってくれる(体を守ってくれる) 筋肉(血管),皮膚,骨の材料 酸素を運んで くれるねアミノ酸組み合わせ方でいろいろなたんぱく質ができる 人の体内で作られないアミノ酸⇒おしっこからは少ししか出ない⇒無駄にしない 必要な時に体内で作られる⇒余ったらおしっこで出す⇒調節する 必須アミノ酸(不可欠) 非必須アミノ酸 (可欠)動物性たんぱく質に多く含まれる 植物性たんぱく質に多く含まれる リポたんぱくコレステロールや中性脂肪を血液になじませてくれる フィブリノーゲン この他に,ホルモンや酵素になったり,エネルギーになる。 血が出たら固まらせる 図3 食品グループ別のたんぱく質量 腎臓を守るために食品の選び方を考えましょう食品のグループ毎に何gのたんぱく質がとれるのでしょうか単位 g
3)検査値から自分の食事を振り返り,今後,何を 減らし,何をどれだけた食べたらよいか,対象者自身が食品を選択します(図7)。具体的には,本人が食品の特徴を理解し,嗜好,購入しやすさなどを考慮し,食事療法が継続できるよう支援します。 4 継続指導による住民の気づき,反応 ・体重の増減で,エネルギー量が確認できることがわかった。 ・検査値をみると,自分の食べ方がどうだったか わかる。特に畜尿検査で,塩分,たんぱく質の食べ方がわかる。・特別な料理でなくても,普段の料理で大丈夫な んだ。・食事は,食品の量がそれぞれわかれば,料理の パターンは決まってくる。新しい料理を教えてもらってもわからない。 図5 CKD と栄養素の関連
・料理は,ほとんど茹でるか,焼く。後で味をつ ける(かける)のが楽。・穀類は,低蛋白食品を使えば,他の食品でたん ぱく質が取れるから,そうしていく。 5 市町村管理栄養士による栄養指導の可 能性栄養指導では,本人が健診結果から“CKDの重症度分類のどの段階なのか,その段階の心血管死亡や末期腎不全(透析)の危険度と今後のCKD重症化 予防を予測・確認すること”で“透析にはなりたくない” “自分の腎臓を守りたい”と,目標を明確にします。そこから,医療機関への受診と食事療法が始まります。特に,CKDステージG3b以上は対象者自身が検査結果からその原因を明確にし,医療との連携により食事療法を継続できるよう一定の期間継続的な指導が必要です。 図6 A さんの1 日に必要な食品量 A さんの1日に必要な食品量です 食品乳製品卵肉魚大豆製品緑黄色野菜淡色野菜芋類果物きのこ海藻穀類種実類食塩油砂糖アルコ ルg g g g g g g g g g g g g g g g g 3 150 50 30 30 20 180 200 50 120 20 20 540 3 3~6 30 10 4 5.0 6.2 5.5 5.5 1.0 2.2 2.1 0.8 0.5 0.5 0.5 3.1 0.5 2.3 0.5 36 動物性たんぱく質の割合を 60%以上確保( g ) ÷ ( g ) × 100=( 61.3 %) 25 kcal 1 30 kcal 35 kcal 40 kcal 45 0 0 20 35 50 kcal 3~6 3~6 3~6 3~6 3~6 kcal kcal kcal kcal 20 20 20 20 20 20 20 200 200 200 200 200 200 200 200 200 200 200 150 150 150 150 150 150 150 150 150 150 150 250 250 250 250 250 250 250 250 250 250 250 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 80 80 80 80 80 80 80 80 80 80 kcal 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 2 健 診 結 果 か ら 選 択高血圧 高血糖(糖尿病) 高LDLコレステロール 高中性脂肪36 普 段 か ら 食 べ て い る 量 を 資 料 か ら 選 び ま し ょ う個人によりまちまち個人によりまちまち個人によりまちまち 上の量が優先 たんぱく質量によりまちまち まちまち 個人たんぱく質量によりまちまちまちまち BMI30以上 高尿酸 私の1日のたんぱく質量4 1 日 の た ん ぱ く 質 総 計 わたしの食品量 3の食品量に含まれるたんぱく質含 有量 5 動物性たんぱく 質を検証する4つの食品のたんぱく質総量(g)たんぱく質総量 22.2 eG FR 1日のたんぱく質量 23 35g 食 品 動物性たんぱく質植物性たんぱく質調味料動物性で60%以上確保 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 25 + 15 80 kcal 厳守 禁酒 20 20 20 20 20 20 20 20 20 10 10週休2日20 週休2日20 週休2日20
また,指導記録,経過表を作成・保管し,栄養指導の効果などを評価し,医療機関と共有します。市町村での栄養指導は,対象者の家族や職域など地域を把握し,個々の経過を長期にわたって管 理・評価できることが大きな特徴です。 図7 対象者別バランス食の選択基準表 地区お名前 A様男性男性個人用 年齢70歳代kcal 21.5体重58 Kg Kg g労作I 1.3 g mg (ない)総蛋白アルブミン (g)尿酸(mg)あるある(ナトリウム)あるある血糖(g) n-3 n-6 g (kcal) g mg g mg g g g g g g 目標値1,700 35.0 6.0 1500 266.0 48.0 食品群名目安量食品番号食品名 牛乳200cc卵50g Mサイズ1個12004卵50 76 6.2 0 70 0.2 65 90 0.2 5.2 1.4 1.8 0.1 0.7 1/2切れ10173さんま40 124 7.4 62 52 0.1 80 72 0.0 9.8 1.7 4.2 0.0 0.0薄切り2枚11115豚肉(肩)脂身あり40 86 7.4 0 21 0.0 128 72 0.1 5.8 2.1 2.6 0.0 0.6豆腐1/4丁4033絹ごし豆腐50 28 2.5 10 4 0.0 75 41 1.0 1.5 0.3 0.3 0.1 0.7人参小1/2本6215人参(ゆで) 30 12 0.2 0 6 0.0 72 8 2.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0ほうれん草5~6株6087小松菜(ゆで) 100 15 1.6 0 14 0.0 140 46 3.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 6182トマト 生50 10 0.4 0 2 0.0 105 13 2.4 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0キャベツ1枚6062キャベツ(ゆで) 100 20 0.9 0 3 0.0 92 20 4.6 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0玉ねぎ1/4個6155玉ねぎ(ゆで) 50 16 0.4 0 2 0.0 55 13 3.7 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0白菜大1枚6292もやし(ゆで) 50 6 0.8 0 1 0.0 12 12 1.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0みかんMサイズ1個7035みかん缶詰60 38 0.3 0 2 0.0 45 5 9.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0りんごL 1/4個7116ぶどう50 30 0.2 0 1 0.0 65 8 7.9 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0じゃがいも中1個2018じゃが芋(蒸し) 50 42 0.8 0 1 0.0 165 12 9.9 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 2034でん粉15 50 0.0 0 0 0.0 5 6 12.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0ひじき大さじ1 9045生わかめ25 3 0.4 66 135 0.4 3 8 0.8 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0えのきたけ小1袋9004焼き海苔1 2 0.4 0 5 0.0 24 7 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 8016しめじ20 4 0.5 4 1 0.0 76 20 1.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 主食ごはん 中茶碗3杯2008028 でんぷん米げんたくん65 231 0.2 0 34 0.0 22 16 56.4 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 2008020 ゆめごはん180 292 0.2 0 2 0.0 0 27 71.1 0.7 0.0 0.0 0.0 0.0 2008045 げんたうどん100 352 2.7 0 21 0.0 44 50 82.5 1.2 0.0 0.0 0.0 0.0 3003砂糖10 38 0.0 0 0 0.0 0 0 9.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 5018いりごま5 30 1.0 0 0 0.0 21 28 0.9 2.7 0.4 1.0 0.0 0.0 17039ノンオイル和風ドレッシング20 16 0.6 0 580 1.5 26 11 3.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 砂糖大さじ2 17042マヨネーズ12 84 0.2 0 83 0.2 2 4 0.5 9.0 0.8 4.3 0.0 0.0油大さじ1.5 14006サラダ油6 55 0.0 0 0 0.0 0 0 0.0 6.0 0.7 2.5 0.4 2.0 17999減塩しょうゆ20 16 1.6 0 0 2.0 56 0 2.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 17012塩2 0 0.0 0 780 2.0 2 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1,674 36.8 142 1818 6.4 1,380 586 286.8 43.4 7.4 16.7 0.7 4.1 調味料 合計 4 70代生活活動強度 1 乳製品 200cc 2 魚50g 肉50g大豆製品 110g 3緑黄色 野菜150g 淡色野菜 250g くだもの80Kcal いも100g海草50gきのこ50g脂質脂肪酸 飽和一価 多価炭水化物 血液中の物質名(100cc中 単位)中性脂肪(mg) 群別食 品重量(エネルギー) 概算たんぱく 質総プリ ン体ナトリウム食塩カリウムリン 生活活動強度I食塩3~6カリウム1500 性別男性エネルギー1,700目標体重58たんぱく質35 血液データと食品(栄養素) 食人間体 状態保 考 れ基準食品 量腎食 9 【栄養素の設定】
静岡県焼津市は県都静岡市に隣接し,15 .5kmの海岸線と3つの漁港を持つ人口14万人の自治体です。特定健診データ分析において,予備軍を含む高血圧・予備軍を含む糖尿病の有所見割合が県平均より有意に高く,人工透析患者数は平成15年(173人)から10年間で倍増していました(平成26年369人)。特定健診の結果,受診勧奨されたCKD患者がどの程度受診しているか,またかかりつけ医を受診した患者のなかで,腎臓専門医に紹介されるべき患者がどの程度受診しているかは把握しておらず,軽度の腎機能低下の多くが専門医に紹介されていない実態がありました。健康増進課はCKD対策として,尿蛋白(2+)以上,尿蛋白(1+)及び尿潜血(1+),eGFR50未満(70歳 以上は40未満)で受診をしていない人(レセプトで確認)を対象に,受診勧奨と生活指導を目的に訪問指導を行っていましたが,専門医の受診を確認することができておらず,いわゆる「やりっぱなし」の状況でした。特定健診は個別健診方式で(一部,集団健診),個別健診実施医療機関は40,焼津市立総合病院が唯一の急性期総合病院で,腎臓内科では医師5名が診療しており,すでに,糖尿病性腎症対策として独自の診療体制をとられ,これらの医療資源は, CKDの診療連携を進めるうえで,大きな可能性を感じさせてくれるものでした。 そこで,特定健診でCKDの疑いとして受診勧奨された受診者が,かかりつけ医でどのようなチェック(再検査)を受け,治療の対象となる患者が専門医に紹介される基準を明文化すること(ルールづくり),また,特定健診でCKDの疑いと判断された受診者が,どこの医療機関を受診しても統一されたルートにより,適切な医療または保健指導が受けられる仕組みを図式化すること(ルートづくり)が必要と思われました。そのために,健康増進課としては「人工透析患 者数・新規人工透析導入患者数の推移」「新規人工透析導入者の原因疾患」「特定健診受診者のCKD重症度分類・腎臓専門医に紹介すべき対象者数」を資料化し,また家庭訪問で出会った「訪問により,腎臓内科への紹介につながったケース」「かかりつけ医への連絡により,腎臓内科へつながったケース」のレポートを作成し,「仕組みづくり」の必要性を資料としてまとめていきました。 「CKD患者の診療連携のルールとルートづくり」にむけて CKDの診療連携への期待 事例 3特定健診から始まるCKD患者の診療連携の 仕組みづくり 静岡県焼津市
「CKD患者の診療連携のルールとルートづくり」の作成は,医師会と腎臓専門医(病院)がCKD対策の重要性を理解し,焼津市全体の取組みに参画するという意識をもっていただくために,「協力して作成する」必要がありました。そのため,平成26年7月から定期的な開催が始められていた焼津市健康医療福祉推進会議(市長の呼びかけで,焼津市の健康医療福祉の課題について,市・医師会・病院のトップが話し合う定期的会議)に,健康増進課として「特定健診で発見されたCKD患者の診療の仕組み(フロー)」を作ることを提案し, 3者が協力して「重症化予防のための仕組み」を作ることを決定していただきました。「CKD患者の診療連携のルールとルートづくり」は,具体的には健康増進課が事務局となり,生活習慣病重症化予防のための連携委員会設置規程を作成し, 医師会と病院の担当者に加え健康増進課も参加した3者の会議(生活習慣病重症化予防のための連携委員会:通称CKD連携委員会)の場で決定する方法をとりました。CKD連携委員会は,平成26年度中,焼津市医師会医師4名・焼津市立総合病院腎臓内科医2名の委員で3回(10月,12月,3月)開催し,「人工透析新規導入の減少を目指したCKD予防連携流フロー(兼情報提供書)」(図:このなかで“Yes-I-DO”とあるのは糖尿病性腎症科でのチームによる診療のこと),腎臓専門医へ紹介する際の「診療情報提供書(焼津市CKD連携委員会専用紹介状)」を作成していただきました。 健康増進課は,CKD予防連携フローに沿った診療が円滑に行われるよう,特定健診実施医療機関医師を対象にした「特定健診から始まるCKD予防連携説明会」を開催するとともに,説明会を欠席した特定健診実施医療機関には訪問してCKD予防連携フロー(兼情報提供書)・専用紹介状及び記入例などの配布・説明を行い,趣旨の徹底と協力依頼を行いました。運用開始後は,現場(特定健診実施医療機関)に起きている問題に対する解決策の検討,よくある質問に対するQ&Aの作成(追加・修正)など,円滑な実施のための調整作業をこまめに行いました。また,特定健診で発見されたCKD患者がフローに従って現実にどのように動いているかの進捗管理をするため,特定健診受診者数・CKD予防連携フ ロー該当者数・実際にフロー(兼情報提供書)が提出された数(率)・再検査実施者数及びその結果,腎臓内科への診療情報提供者数を医療機関別に把握しています。CKD連携委員会は平成27年度に2回開催し,各医療機関のフローの運用状況や家庭訪問で出会った「フローの該当者にも関わらず,再検査未実施。情報提供書も提出されていないケース」,「腎臓内科への紹介ケースであるにも関わらず,紹介状が出されていないケース」の実態をフィードバックし,円滑な実施ができるための問題点の把握に努めています。 「人工透析新規導入の減少を目指したCKD予防連携フロー」作成へ CKD予防連携フローの円滑な展開のために
スタートして半年が経過していますが,専門医へ毎月15人程度が紹介されており,「かかりつけ医でのスクリーニング➡専門医への紹介」という流れができているように思われます。また,専門医で経過観察と判断された多くの方が,かかりつけ医にあらためて逆紹介されるとともに,特定健診以外でもかかりつけ医でCKDと診断された患者の専門医への紹介が増えており,CKD患者の病診連携が進む方向での好循環が構築されつつあります。しかし,かかりつけ医によりCKD診療への姿勢 にばらつきが多いことなど,問題点も明らかになってきています。健康増進課は,特定健診から始まるCKD患者の診療連携の仕組みが人工透析新規導入者の減少に貢献できるよう,現場の実態を常に資料化し,かかりつけ医の先生方の協力が得られるよう働きかけていく役割があると考えています。 CKD予防連携フローの課題 図 人工透析新規導入の減少を目指したCKD 予防連携フロー図 YES YES NO NO NO 焼津市国民健康保険特定健診受診(健診実施機関) 結果説明及び保健指導 糖尿病治療中 or HbA1c6.5%以上 糖尿病治療中 or HbA1c6.5%以上 eGFR,検尿再検 微量アルブミン尿検査 eGFRが健診時から10%以上低下している場合は速やかに腎臓内科へ紹介 腎臓内科へ紹介尿蛋白(±)以上 and/or 潜血陽性 and/or eGFR60未満 どれかひとつでもあればYES 尿蛋白(2+)以上or尿蛋白(1+)and潜血陽性and/or eGFR50未満[70才以上は40未満]尿蛋白(1+)以下 or潜血のみand eGFR50以上[70才以上は40以上]尿所見異常なし and eGFR50以上[70才以上は40以上] ※複数回尿潜血のみ陽性の場合は、泌尿器科へ紹介※筋肉量が明らかに少ない高齢者などはシスタチンCからeGFRを算出することも考慮 血圧等の管理をしながら 3カ月後に再検(1年後,健診受診) 1年後の健診受診を指示して経過観察尿中アルブミン-クレアチニン比30mg/g・Cr以上尿中アルブミン-クレアチニン比30mg/g・Cr未満 “YES-I-DO”または 腎臓内科へ紹介 CKD予防連携フロー台帳にアップする対象。台帳は健康増進課で管理する。3枚複写(医院・本人・健康増進課) 予約は紹介状を病院地域医療連携室へFAXする。台帳は健康増進課で管理する。3枚複写(医院・病院・健康増進課) ※再検査は結果説明からおおよそ1カ月以内。検査前日から激しい運動,高蛋白食摂取は避け,適度な飲水後の採尿とする。(受診日前日が上記の場合は後日採尿することが望ましい) 適宜,かかりつけ医にて加療1年後の健診受診を指示して経過観察内服なし:保健センターにて必要に応じ保健指導(糖尿病療養指導士・管理栄養士・保健師) 焼津市・焼津市医師会・焼津市立総合病院三者合議による生活習慣病重症化予防連携委員会(CKD 連携委員会)H27.5 作成
本提言作成にあたり参照した資料 1 . エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013 編集 日本腎臓学会,東京医学社 (日本腎臓学会ホームページ 診療ガイドラインhttp://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php) 2 . 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014 年版 編集 日本腎臓学会,東京医学社 (日本腎臓学会ホームページ 診療ガイドラインhttp://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php) 3 . 医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル 2015 年 (日本腎臓学会ホームページ 診療ガイドラインhttp://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php) 4 . 慢性腎臓病生活食事指導マニュアル栄養指導実践編 2015 年 (日本腎臓学会ホームページ 診療ガイドラインhttp://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php) 5 . CKDステージG3 b 〜5患者のための腎障害進展予防とスムーズな腎代替療法への移行に向け た診療ガイドライン2015(日本腎臓学会ホームページ,厚生労働省研究班報告 http://www. jsn.or.jp/guideline/guideline.php) 6 . CKD 進展予防のための保健指導教材(日本腎臓学会ホームページ,厚生労働省研究班報告 http://www.jsn.or.jp/academicinfo/report.php) 7 . 慢性腎臓病の評価と管理のための2012 KDIGO診療ガイドライン 監訳 日本腎臓学会,東 京医学社 【利益相反】山縣邦弘講演料:中外製薬株式会社奨学寄附金:第一三共株式会社,大日本住友製薬株式会社,武田薬品工業株式会社,田辺三菱製薬株式会社,協和発酵キリン株 式会社,帝人ファーマ株式会社,ファイザー株式会社,アステラス製薬株式会社,中外製薬株式会社 伊藤貞嘉株式保有:株式会社トリムメディカルインスティテュート講演料:第一三共株式会社,武田薬品工業株式会社,大塚製薬株式会社奨学寄附金:アステラス製薬株式会社,第一三共株式会社,バイエル薬品株式会社寄附講座:オムロンヘルスケア株式会社,協和発酵キリン株式会社,テルモ株式会社,株式会社ジェイ・エム・エス 安田宜成講演料:アステラス製薬株式会社,ヤンセンファーマ株式会社寄附講座:MSD 株式会社,中外製薬株式会社,協和発酵キリン株式会社,興和創薬株式会社,日本ベーリンガーインゲルハ イム株式会社,日本メジフィジックス株式会社,大日本住友製薬株式会社
~CKD(慢性腎臓病)の発症予防・早期発見・重症化予防~生活習慣病からの新規透析導入患者の減少に向けた提言 平成28 年3月31日 発行発行人 ── CKDの発症予防・早期発見・重症化予防に向けた提言 作成委員会編 集 ── 日本腎臓学会制 作 ── 株式会社 東京医学社