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C型肝炎治療ガイドライン 日本肝臓学会・162 ページ · 消化器・肝胆膵
p.1
C 型肝炎治療ガイドライン

(第8.4 版)

2025 年4 月

日本肝臓学会

肝炎診療ガイドライン作成委員会 編
p.2
2 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン 作成委員会(五十音順)

朝比奈 靖浩 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 消化器病態学分野 肝臓病態制御学伊藤 清顕 愛知医科大学医学部内科学講座(肝胆膵内科)乾 あやの 済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科黒崎 雅之 武蔵野赤十字病院消化器内科阪森 亮太郎 国立病院機構大阪医療センター消化器内科城下 智 国保依田窪病院内科鈴木 文孝 虎の門病院肝臓センター須田 剛生 北海道大学大学院医学研究科消化器内科学*田中 篤 帝京大学医学部内科田中 靖人 熊本大学大学院生命科学研究部消化器内科学玉城 信治 武蔵野赤十字病院消化器内科柘植 雅貴 広島大学病院肝疾患センター* *平松 直樹 大阪労災病院南 達也 東京大学大学院医学系研究科消化器内科学

評価委員会(五十音順)

伊藤 義人 京都府立医科大学消化器内科学上野 義之 山形大学医学部内科学第二小池 和彦 公立学校共済組合関東中央病院竹原 徹郎 大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学*中本 安成 福井大学学術研究院医学系部門内科学(2)分野持田 智 埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科四柳 宏 東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野* 委員長 * *副委員長

ご協力

吉住朋晴先生、前原善彦先生(九州大学消化器・総合外科)上田佳秀先生(京都大学消化器内科)越前宏俊先生、高橋雅弘先生(明治薬科大学薬物治療学)惠谷ゆり先生(大阪母子医療センター消化器・内分泌科) Corresponding author:

須田 剛生  〒1060-8638 北海道札幌市北区北15 条西7丁目 北海道大学病院Tel 011-716-1161   Fax 011-706-7867   Email gsudgast@pop.med.hokudai.ac.jp
p.3
3 改訂履歴(今回の改訂個所は青字で記載)

2012 年5 月第1 版

2013 年8 月第1.1 版 ALT の単位をU/l に修正テラプレビル+Peg-IFNα-2b+リバビリン3 剤併用療法の市販後の成績を追加これに伴い1 型高ウイルス症例に対しての推奨・治療フローチャートを変更 Peg-IFN (IFN)少量長期投与についての記載を変更文献リストをアップデート

2013 年11 月 第2 版シメプレビル+Peg-IFNα+リバビリン3 剤併用療法試験の結果を追加これに伴い「概要」、1型高ウイルス症例に対しての推奨・治療フローチャートを変更 IFN・リバビリンの投与量についての表を追加テラプレビルの治療成績についての図を追加形式および段落ナンバーを「B 型肝炎治療ガイドライン(第1.1 版)」に倣い変更

2014 年9 月第3 版「C 型肝炎の治療目標」を新たに記載「C 型肝炎に対する抗ウイルス療法の歴史」の項を追加「SVR が得られた後のフォローアップの必要性」を「概要」へ移動ダクラタスビル・アスナプレビル併用療法試験の結果を追加これに伴い「概要」、1型高ウイルス症例に対しての推奨・治療フローチャートを変更「肝硬変に対する治療戦略」の項を新たに追加、推奨を変更 C 型代償性肝硬変(1型高ウイルス)に対する治療フローチャートを作成ガイドライン作成委員のCOI 情報を記載「資料4」としてHCV 薬剤耐性変異測定検査依頼先を記載

2014 年10 月 第3.1 版ゲノタイプ2 型再治療例に対するテラプレビルの適応追加を記載

2014 年12 月 第3.2 版バニプレビル+Peg-IFNα-2b+リバビリン3 剤併用療法試験の結果を追加、これに伴い1型高

ウイルス症例に対しての推奨・治療フローチャートを変更「プロテアーゼ阻害剤治療歴のある症例に対する再治療」の項および治療フローチャートを

追加。これにともない、従来の「再治療」を「プロテアーゼ阻害剤治療歴のない症例に対する再治療」に変更シメプレビルについての安全性情報を追加 「資料4」にHCV 薬剤耐性変異測定検査依頼先を追加

2015 年3 月第3.3 版ダクラタスビル・アスナプレビル併用療法の初回治療例、再燃例に対する試験の結果を追加ダクラタスビル・アスナプレビル併用療法投与制限撤廃に伴い、1型高ウイルス症例に対し

ての推奨・治療フローチャートを変更
p.4
4  「資料4」HCV 薬剤耐性変異測定検査内容をアップデート

2015 年5 月第3.4 版ソホスブビル・リバビリン併用療法の初回治療例、再燃例に対する試験の結果を追加これに伴いゲノタイプ2 型症例(慢性肝炎・肝硬変)に対しての推奨・治療フローチャート

を変更「リバビリン」の項を独立 DAA についての総説を追加記載「資料2」として各種DAA の併用禁忌・併用注意薬リストを作成

2015 年8 月第3.5 版ゲノタイプ2 型に対するソホスブビル・リバビリンについての記載を変更

2015 年9 月第4 版ソホスブビル・レジパスビル併用療法試験の結果を追加これに伴いゲノタイプ1 型症例に対しての推奨・治療フローチャートを変更「概要」における治療対象の記載を変更「概要」・フローチャートにおける発癌リスク別治療方針および「治療待機」の記載を撤廃「治療戦略」・フローチャートにおけるIFN 適格/不適格の区分を撤廃

2015 年12 月第4.1 版オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル併用療法試験の結果を追加これに伴い、ゲノタイプ1 型症例に対しての推奨・治療フローチャートを変更 DAA 各論をIFN-based、IFN-free に分けて記載「資料3 併用禁忌・併用注意薬」をIFN-based、IFN-free に分け、OBV/PTV/r を追加「資料3 治療中止基準」「資料4 ウイルス学的反応の定義」を削除

2016 年5 月第5 版 IFN の項をアップデート各種DAA に市販後の成績(有効性・安全性)を追記 Special population(HBV/HIV 共感染例、腎機能障害・透析例、肝移植後再発例、肝発癌後症

例)についての記載を追加「資料2・3 併用禁忌・注意薬」をアップデート各リコメンデーションにレベル・推奨グレードを付記

2016 年10 月第5.1 版ゲノタイプ2 型に対するオムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル+リバビリン併用療法

の結果を追加これに伴いゲノタイプ2型症例に対しての推奨・治療フローチャートを変更「資料2・3 併用禁忌・注意薬」に実際の薬物血中濃度時間下曲線面積(AUC)変化率を記載併用薬は「+」、配合錠は「/」でつなぐ、という原則により薬剤名を記載

2016 年12 月第5.2 版ゲノタイプ1 型に対するエルバスビル+グラゾプレビル併用療法試験の結果を追加
p.5
5  これに伴いゲノタイプ1 型症例に対しての推奨・治療フローチャート、腎機能障害・透析例

に対する記載・治療推奨を変更ソホスブビル・リバビリン併用療法、ソホスブビル・レジパスビルの市販後の成績を追記バニプレビル製造中止に伴い治療推奨からバニプレビルの記載を削除「DAA 併用によるIFN フリー治療歴のある症例の再治療」を変更代償性肝硬変症例に対する治療の項において安全性についての記載を追加「資料3 併用禁忌・併用注意薬」にEBR+GZR を追加

2017 年3 月第5.3 版ゲノタイプ1 型に対するダクラタスビル+アスナプレビル+ベクラブビル併用療法試験の結

果を追加これに伴いゲノタイプ1 型症例に対しての推奨・治療フローチャート、腎機能障害・透析例

に対する記載・治療推奨を変更「資料3 併用禁忌・併用注意薬」にBCV/DCV/ASV を追加

2017 年4 月第5.4 版ゲノタイプ3型~6型に対するソホスブビル+リバビリン併用療法の適応追加を記載 HCV ゲノタイプ・セロタイプ測定についての記載を追加

2017 年12 月第6 版ゲノタイプ1~3型に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠国内第3 相試験の結果

を追加これに伴いゲノタイプ1~3型に対しての推奨・治療フローチャート、腎機能障害・透析例

に対する記載・治療推奨を変更 IFN フリーDAA 治療によるSVR 後の発癌についての記載を追記肝移植後再発についての記載をアップデートテラプレビル製造販売中止に伴い治療推奨からテラプレビルの記載を削除「資料2 IFN フリーDAA 製剤の併用禁忌・併用注意薬」をアップデートし、合わせて治療フ

ローチャート非推奨薬についての記載を削除テキスト全体にわたり全面的校正、用語の統一を実施ガイドライン作成委員のCOI 情報を更新

2018 年3 月第6.1 版ゲノタイプ2型に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠国内第3 相試験の結果を追加これに伴いゲノタイプ2型に対しての推奨・治療フローチャートを変更ゲノタイプ1 型に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠市販後使用成績調査の結果を追加

2018 年10 月第6.2 版ヴィキラックス製造販売中止に伴い治療推奨からヴィキラックスの記載を削除非代償性肝硬変の推奨についての記載を変更ゲノタイプ1型に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠市販後成績の報告に伴い腎

機能障害・透析例に対する記載・治療推奨を変更

2019 年6 月第7 版
p.6
6  非代償性肝硬変に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠国内第3 相試験の結果を追加

これに伴いC 型肝炎に対する抗ウイルス治療の対象についての記述、および非代償性肝硬変

に対しての推奨を変更シメプレビルの販売中止に伴いIFN ベース治療についての推奨を削除ジメンシーの販売中止に伴い治療推奨からジメンシーの記載を削除 DAA 前治療不成功例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠国内第3 相試験の結果を追

加この結果、およびグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の市販後成績の報告に伴いDAA 前

治療不成功例に対する推奨についての記載を変更「SVR 後の肝発癌」「special population に対する治療戦略-肝発癌後症例」を「抗ウイルス

治療による肝発癌抑制効果」へ統合「special population に対する治療戦略-肝移植後再発例」をアップデート

2020 年7 月 第8 版

 Special population(小児例)についての記載を追加小児に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の臨床試験結果を記載小児HCV に関する海外ガイドラインおよびAMED 研究班による「C 型肝炎母子感染小児の診療ガイドライン」の要点を記載

2022 年5 月 第8.1 版

 ダクラタスビル、アスナプレビルの販売中止に伴い治療推奨からダクラタスビル、アスナプレビルの記載を削除 エルバスビル、グラゾプレビルの販売中止に伴い治療推奨からエルバスビル、グラゾプレビルの記載を削除 ソバルディの製造中止・薬価削除予定に伴い治療推奨からソバルディの記載を削除 これに伴い、推奨・治療フローチャートを変更 C 型肝炎に対する抗ウイルス治療の対象を変更

2023 年1 月 第8.2 版

グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル配合顆粒の3 歳以上12 歳未満小児への適応追加を記載 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の代償性肝硬変・慢性肝炎への適応追加を記載 これに伴い、推奨・治療フローチャートを変更

2024 年5 月 第8.3 版

 Special population(肝癌症例におけるDAAs 治療)についての記載を追加

2025 年4 月 第8.4 版

 IFN フリーDAA による前治療不成功例に対する再治療についての記載を追加
p.7
7 C 型肝炎治療ガイドライン(第8.1 版) 目次

1.概 要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1[13] 1-1.C 型肝炎の治療目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1[13] 1-2.C 型肝炎に対する抗ウイルス治療の歴史・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2[14] 1-3.C 型肝炎に対する抗ウイルス治療の対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3[15] 1-4.C 型肝炎に対する基本的治療方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3[15] 1-5.抗ウイルス治療による肝発癌抑制効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4[16] 1-5-1.新規(de novo)発癌抑制効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4[16] 1-5-1-1.IFN 治療による新規(de novo)発癌抑制効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4[16] 1-5-1-2.IFN フリーDAAs 治療による新規(de novo)発癌抑制効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・5[17] 1-5-2.肝癌根治後の肝癌再発抑制効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7[19] 1-5-2-1.IFN 治療による肝癌再発抑制効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7[19] 1-5-2-2.IFN フリーDAAs 治療による肝癌再発抑制効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7[19] 1-6.SVR 後肝発癌のリスク因子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9[21] 2.IFN・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15[27] 2-1.C 型肝炎治療に用いられてきたIFN の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15[27] 2-2.IFN の作用機序と治療上の特質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15[27] 2-3.安全性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16[28] 3. リバビリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16[28] 3-1.治療成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17[29] 3-2.安全性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17[29] 4.直接型抗ウイルス薬 (DAA) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18[30] 4-1.IFNベースDAA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19[31] 4-1-1.テラプレビル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19[31] 4-1-2.シメプレビル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19[31] 4-1-3.バニプレビル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20[32] 4-2.IFN フリーDAA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20[32] 4-2-1.ダクラタスビル(daclatasvir)・アスナプレビル(asunaprevir)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20[32] 4-2-1-1.治療成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20[32] 4-2-1-2.薬剤耐性変異・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20[32] 4-2-2.ソホスブビル(sofosbuvir)・リバビリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21[33] 4-2-3.ソホスブビル・レジパスビル(ledipasvir)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22[34] 4-2-3-1.海外での成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23[35]
p.8
8 4-2-3-2.国内試験の成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24[36]

4-2-3-2-1.ゲノタイプ1 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24[36] 4-2-3-2-2.ゲノタイプ2 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25[37] 4-2-3-3.ゲノタイプ1 型に対する市販後国内治療成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26[38] 4-2-3-4.安全性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26[38] 4-2-3-5.薬剤相互作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27[39] 4-2-3-6.薬剤耐性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28[40] 4-2-4.オムビタスビル(ombitasvir)・パリタプレビル(paritaprevir)・リトナビル(ritonavir)・・・29[41] 4-2-5.エルバスビル(elbasvir)・グラゾプレビル(grazoprevir)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29[41] 4-2-6.ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル(beclabuvir)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29[41] 4-2-7.グレカプレビル(glecaprevir)・ピブレンタスビル(pibrentasvir)・・・・・・・・・・・・・・・・・30[42] 4-2-7-1.海外での成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30[42] 4-2-7-2.国内試験の成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32[44] 4-2-7-2-1.ゲノタイプ1 型(CERTAIN-1 試験)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33[45] 4-2-7-2-2.ゲノタイプ2 型(CERTAIN-1, CERTAIN-2 試験)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33[45] 4-2-7-2-3.治療困難例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34[46] 4-2-7-3.安全性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35[47] 4-2-7-4.薬剤相互作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35[47] 4-2-8.ソホスブビル(sofosbuvir)・ベルパタスビル(velpatasvir)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36[48] 4-2-8-1.海外での成績(慢性肝炎・代償性肝硬変)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36[48] 4-2-8-2.国内試験の成績(慢性肝炎・代償性肝硬変)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37[49] 4-2-8-3.海外での成績(非代償性肝硬変)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37[49] 4-2-8-4.国内試験の成績(非代償性肝硬変)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37[49] 4-2-8-5.海外での成績(DAA 治療不成功例)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39[51] 4-2-8-6.国内試験の成績(DAA 治療不成功例)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39[51] 4-2-8-7.安全性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40[52] 4-2-8-8.薬剤相互作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41[53] 5.慢性肝炎に対する治療戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41[53] 5-1.HCV セロタイプとゲノタイプ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41[53] 5-2.ゲノタイプ1 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42[54] 5-2-1.基本的治療方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42[54] 5-2-2.初回治療および再治療(DAA 治療歴なし)における抗ウイルス薬の選択・・・・・・・・・43[55] 5-2-2-1. 初回治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43[55] 5-2-2-2. 再治療(DAA 治療歴なし)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43[55]
p.9
9 5-2-3.DAA を含む前治療不成功例に対する再治療における抗ウイルス薬の選択・・・・・・・44[56]

5-2-3-1. IFN ベースDAA による前治療不成功例に対する再治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44[56] 5-2-3-2. IFN フリーDAA による前治療不成功例に対する再治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45[57] 5-2-3-2-1.プロテアーゼ阻害薬+NS5A 阻害薬併用による前治療不成功例・・・・・・・・45[57] 5-2-3-2-2.ソホスブビル/レジパスビル配合錠による前治療不成功例・・・・・・・・・・・・49[61] 5-3.ゲノタイプ2 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49[61] 5-3-1.基本的治療方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49[61] 5-3-2.初回治療および再治療(DAA 治療歴なし)における抗ウイルス薬の選択・・・・・・・・・49[61] 5-3-3.DAA を含む前治療不成功例に対する再治療における抗ウイルス薬の選択・・・・・・・50[62] 5-3-3-1. IFN ベースDAA による前治療不成功例に対する再治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50[62] 5-3-3-2. IFN フリーDAA による前治療不成功例に対する再治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50[62] 6.肝硬変に対する治療戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50[62] 6-1.基本的治療方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50[62] 6-2.ゲノタイプ1 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51[63] 6-2-1.Peg-IFN+リバビリン併用治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51[63] 6-2-2.ソホスブビル/レジパスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51[63] 6-2-3.グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52[64] 6-2-4.ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52[64] 6-2-5.ゲノタイプ1 型における抗ウイルス治療の選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52[64] 6-3.ゲノタイプ2型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53[65] 6-3-1.グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53[65] 6-3-2.ソホスブビル/レジパスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53[65] 6-3-3.ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53[65] 6-3-4.ゲノタイプ2型における抗ウイルス治療の選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53[65] 6-4.非代償性肝硬変に対する抗ウイルス治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54[66] 7.special population に対する治療戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56[68] 7-1.HBV 共感染例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56[68] 7-2.HIV 共感染例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57[69] 7-2-1.疫学と自然経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57[69] 7-2-2.HIV 共感染例に対する抗ウイルス治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58[70] 7-2-2-1.IFN ベース抗ウイルス治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58[70] 7-2-2-2.IFN フリー抗ウイルス治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58[70] 7-2-2-3.DAA を抗HIV 治療と併用する際の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58[70] 7-3.ゲノタイプ3~6 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59[71]
p.10
10 7-3-1.ゲノタイプ3 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59[71]

7-3-2.ゲノタイプ4~6 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59[71] 7-4.腎機能障害・透析例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60[72] 7-4-1.腎機能障害・透析患者におけるHCV 感染の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60[72] 7-4-2.HCV 感染と腎移植・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62[74] 7-4-3.腎機能障害・透析患者における抗ウイルス治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62[74] 7-4-3-1.ゲノタイプ1 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62[74] 7-4-3-1-1.治療成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62[74]

7-4-3-1-2.安全性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64[76] 7-4-3-1-3.ゲノタイプ1 型に対する抗ウイルス治療の選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・64[76] 7-4-3-2.ゲノタイプ2型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64[76] 7-5.肝移植後再発例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65[77] 7-5-1.概論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65[77] 7-5-2.肝移植後C 型肝炎の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66[78] 7-5-3.肝移植後再発に対する治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67[79] 7-5-3-1.ゲノタイプ1 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67[79] 7-5-3-1-1.IFN ベース治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67[79] 7-5-3-1-2.IFNフリー治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68[80] 7-5-3-1-2-1.ダクラタスビル+アスナプレビル併用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68[80] 7-5-3-1-2-2.ソホスブビル/レジパスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69[81] 7-5-3-1-2-3.グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70[82] 7-5-3-2.ゲノタイプ2 型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71[83] 7-5-3-2-1.IFN ベース治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71[83] 7-5-3-2-2.IFN フリー治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71[83] 7-5-3-2-2-1.ソホスブビル+リバビリン療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71[83] 7-5-3-2-2-2.グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠・・・・・・・・・・・・・・・・・・71[83] 7-6.小児C 型慢性肝炎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72[84] 7-6-1.疫学と感染経路・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72[84] 7-6-2. HCV 抗体陽性妊婦の診療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73[85] 7-6-3.HCV RNA陽性の母から出生した児における母子感染の診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・74[86] 7-6-4.HCV キャリア小児の自然経過と経過観察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75[87] 7-6-5.小児C型慢性肝炎の治療適応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76[88] 7-6-6.小児C型慢性肝炎の治療選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76[88]

7-6-6-1.インターフェロン治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76[88]
p.11
11 7-6-6-2. 直接作用型抗ウイルス剤(DAAs)治療薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77[89]

7-6-7.小児C 型慢性肝炎の治療目標と治療後のフォローアップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78[90] 7-6-8.小児HCV に関する海外ガイドラインおよびAMED 研究班ガイドライン・・・・・・・・・・・79[91]

7-6-8-1.EASL ガイドラインの要点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79[91] 7-6-8-2. AASLD ガイドラインの要点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79[91] 7-6-8-3.わが国におけるC 型肝炎母子感染小児の診療ガイドラインの要点・・・・・・82[94] 7-7.肝癌症例におけるDAAs 治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82[94]

7-7-1.根治術可能な肝癌症例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83[95] 7-7-1-1.DAA 治療の治療タイミング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84[96]

7-7-2. 根治術不能な肝癌合併症例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85[97]

8.肝庇護剤による治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86[98] 8-1.ウルソデオキシコール酸(UDCA)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86[98] 8-2.強力ネオミノファーゲンシー(SNMC)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86[98] 8-3.ウルソデオキシコール酸と強力ネオミノファーゲンシーの併用治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86[98]

文 献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88[100]肝炎治療ガイドライン作成に関する利益相反について(2017 年11 月30 日現在)・・・・・・・・・・・・118[130]

資料1 C 型慢性肝疾患(ゲノタイプ1型・2型)に対する治療フローチャート・・・・・・・・・・・・・・・120[132]資料2 IFN フリーDAA 製剤の併用禁忌・併用注意薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124[136]資料3 HCV 薬剤耐性変異測定検査依頼先・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・128[140]

*今回から目次に2 通りのページ番号を記載しています。[]内のページ番号は全体の通し番号で

す。PDF で検索する際にはこちらの番号で検索してください。
p.12
<レベル>

1a無作為化比較試験のメタ解析

1b少なくとも1 つの無作為化比較試験

2a無作為割り付けを伴わない同時コントロールを伴うコホート研究

(前向き研究、prospective study、concurrent cohort study など) 2b無作為割り付けを伴わない過去のコントロールを伴うコホート研究

(historical cohort study、retrospective cohort study など)

3 case-control 研究(後ろ向き研究)

4 処置前後の比較などの前後比較、対照群を伴わない研究

5 症例報告、ケースシリーズ

6 専門家個人の意見(専門家委員会報告を含む)

<推奨グレード>

A行うよう強く勧められる

B行うよう勧められる

C1行うことを考慮してもよいが,十分な科学的根拠がない

C2科学的根拠がないので,勧められない

D行わないよう勧められる
p.13
1.概要

C 型肝炎ウイルス(hepatitis C virus; HCV)は、1989 年、米国のChoo らによって発見され1、従来、非A 非B 型肝炎と診断されていた症例の90%以上、アルコール性肝障害と診断されていた症例の半数以上がHCV による肝障害であることが明らかとなった。現在、HCV キャリアは全世界で5800 万人、わが国で90 万~130 万人存在すると推定されている。HCV 感染が一旦成立すると、健康成人への感染であっても、急性の経過で治癒するものは約30%であり、感染例の約70%でHCV 感染が持続し、慢性肝炎へと移行する。慢性化した場合、ウイルスの自然排除は年率0.2%とまれであり、HCV 感染による炎症の持続により肝線維化が惹起され、肝硬変や肝細胞癌へと進展する2。1-1.C 型肝炎の治療目標

C 型肝炎治療の目標は、HCV 持続感染によって惹起される慢性肝疾患の長期予後の改善、すなわち、肝発癌ならびに肝疾患関連死を抑止することにある。この目標を達成するため抗ウイルス治療を行い、HCV の排除を目指す。事実、インターフェロン(interferon; IFN)治療によってHCV RNA の排除に成功した症例では、肝炎が鎮静化することが示され3、さらにこうした症例では、肝病変進展や肝発癌が抑制されることも明らかにされている4-7。ただし、IFN によって血中HCV RNA 持続陰性化(sustained virological response; SVR)が得られた症例においても、HCV の排除がそのまま肝発癌の抑止につながるわけではなく、後述の通り、3.3~8.0 年の平均観察期間で0.9~4.2%に発癌を認めている7-14。2014 年に臨床現場に導入されたIFN を使用しない(IFN-free)直接型抗ウイルス薬(direct acting antivirals; DAA)による治療でHCV が排除された場合、IFN 治療と同程度の肝発癌抑制効果が得られるかどうかについては、否定的な報告も散見されるものの15, 16、最近ではIFN と同等の発癌抑制効果があるとする報告が増えつつある17-19。しかし、抑制されるとはいえIFN フリー治療によるHCV 排除後でも肝発癌が起こりうることから、IFN ベースあるいはIFN フリーDAA 治療によってHCV が排除された後でも、長期予後改善のため肝発癌に対するフォローアップを行う必要がある。ことに高齢かつ線維化が進行した高発癌リスク群では肝発癌に対する厳重な注意が必要である。【Recommendation】

 C 型肝炎治療の目標は、HCV 持続感染によって惹起される慢性肝疾患の長期予後の改善、すな

わち、肝発癌ならびに肝疾患関連死を抑止することにある。この目標を達成するため抗ウイルス治療を行い、HCV の排除を目指す(レベル2a、グレードA)。 IFN 治療によるHCV RNA 排除成功例においても、肝発癌は完全には抑制されない(レベル2b)。 IFN フリーDAA 治療によってHCV が排除された場合、IFN 治療と同程度の肝発癌抑制効果が得

られるとする報告が増えつつある(レベル2b)。 抗ウイルス治療によってHCV が排除された後でも、長期予後改善のため肝発癌に対するフォロー

アップを行う必要がある。ことに高齢かつ線維化が進行した高発癌リスク群では肝発癌に対する厳重な注意が必要である(レベル2a、グレードA)。
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1-2.C 型肝炎に対する抗ウイルス治療の歴史

IFN による治療は、1986 年、Hoofnagle らが、非A 非B 型肝炎に対してヒト組み換えIFNαを投与し、トランスアミナーゼの正常化を確認したことに始まり20、欧米で1991 年、わが国では1992 年から、C 型肝炎に対するIFN の一般臨床での使用が開始された。IFN 単独からリバビリン併用、さらにペグインターフェロン(pegylated interferon; Peg-IFN)とリバビリンの併用が標準的な抗ウイルス治療となったことによりSVR 率は向上したが、難治性であるHCV ゲノタイプ1 型・高ウイルス量症例ではペグインターフェロン+リバビリン併用においてもSVR 率が40~50%であり、約半数の症例ではHCV が排除できなかった。近年、治療効果の向上あるいは副作用軽減を目指して多くの新規抗ウイルス薬が開発され、2011 年11 月には、第1 世代プロテアーゼ阻害薬であるテラプレビルがゲノタイプ1 型・高ウイルス量症例に対して一般臨床で使用可能となった。テラプレビル+Peg-IFN+リバビリン3 剤併用により、初回治療のSVR 率は約70%と向上し、抗ウイルス効果は増強したが、高度な貧血の進行、重篤な皮膚病変の出現、腎機能低下などの副作用を認めた21-25。そして、2013 年11 月には、第2 世代プロテアーゼ阻害薬であるシメプレビル26-28 がゲノタイプ1 型・高ウイルス量症例に対して保険適用となった。シメプレビル+Peg-IFN +リバビリン3 剤併用の国内試験では初回治療のSVR 率は約90%まで向上し、副作用もプラセボ群とほぼ同等であった26。

2014 年7 月にはIFN フリーDAA であるNS3/4A プロテアーゼ阻害薬(アスナプレビル)と日本初のNS5A 複製複合体阻害薬(ダクラタスビル)の併用が認可され、従来抗ウイルス治療が困難であったIFN不適格例やIFN 無効例に対する治療が可能となり、国内試験におけるSVR 率は80~90%であった29。さらに、2015 年6 月に認可された第2 世代IFN フリーDAA、NS5B ポリメラーゼ阻害薬(ソホスブビル)とNS5A 複製複合体阻害薬(レジパスビル)配合錠の国内試験ではSVR 率は99%であり、ソホスブビル/レジパスビル配合錠群では、副作用による投与中止例はなく、重篤な副作用も認めなかった。さらに2015年9 月にはプロテアーゼ阻害薬(パリタプレビル)とNS5A 複製複合体阻害薬(オムビタスビル)、および抗ウイルス効果はないもののパリタプレビルの血中濃度を上昇させ半減期を延長させるブースト効果を期待して追加されたリトナビル配合錠が認可され、国内試験でのSVR12 は95%以上と良好な成績が得られている。2016 年9 月には、やはりプロテアーゼ阻害薬(グラゾプレビル)とNS5A 複製複合体阻害薬(エルバスビル)との併用治療が認可、2016 年12 月にはダクラタスビル、アスナプレビル、および非核酸型NS5B ポリメラーゼ阻害薬(ベクラブビル)という3 剤の配合錠が承認され、いずれも国内試験でのSVR12は95%以上であった。一方、ゲノタイプ2 型に対しては、従来、Peg-IFN+リバビリン併用により約80%のSVR 率が得られていたが、2014 年9 月には、Peg-IFN+リバビリン併用などの不成功例に対してテラプレビル+Peg-IFN+リバビリン3 剤併用治療が使用可能となった。2015 年3 月には、ゲノタイプ2 型に対しても、IFN フリーのソホスブビル+リバビリン併用が認可され、国内試験におけるSVR 率は97%まで向上した。

そして、2017 年9 月にはゲノタイプ1~6 型すべてに対して有効である(pan-genotype;パンジェノ型) IFN フリー製剤であるグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が薬事承認され、DAA 治療歴のない非肝
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硬変症例に対する治療期間は8 週まで短縮される一方で、SVR 率はほぼ100%という高い有効性が示されている30-32。また、2018 年2 月には、ソホスブビル/レジパスビル配合錠12 週投与がゲノタイプ2 型に対しても追加承認された。さらに2019 年1 月にはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が承認され、非代償性肝硬変に対する抗ウイルス治療も可能となった。1-3.C 型肝炎に対する抗ウイルス治療の対象

一般に、HCV 持続感染者の肝病変は、ALT 上昇を伴って緩除に進み、線維化の進展とともに発癌リスクも高率になる7。しかし、肝に炎症や線維化のない正常肝からの発癌例も稀ながら存在する。したがって、非代償性肝硬変を含むすべてのC 型肝炎症例が抗ウイルス治療の対象となり、年齢、ALT 値、血小板数にかかわらず、すべてのC 型肝炎症例に対して抗ウイルス治療を検討することを推奨する。肝の炎症を反映するALT 値が上昇している症例(ALT 30 U/L 超)、あるいは、肝の線維化の程度を反映する血小板数が低下している症例(血小板数15 万/μL 未満)が、C 型肝炎に対する抗ウイルス治療の良い適応である。ALT 30 U/L 以内かつ血小板数15 万/μL 以上であっても、高齢者では発癌リスクが低くなく、積極的に治療導入を考慮すべきである。肝病変以外の合併疾患による予後が不良である場合は治療対象としない。また、非代償性肝硬変でもChild-Pugh 分類13~15 点の症例はソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の国内臨床試験に組み入れられておらず、安全性が担保されていない。

また、早期のウイルス排除が必要とされるのは、高発癌リスク群である。C 型肝炎では、“高齢”、“線維化進展例”、“男性”の3因子が肝発癌に対する独立したリスク因子であることが明らかになっている4-6。これらの因子を多くもつ症例は発癌リスクが特に高いため、早期に抗ウイルス治療の導入が考慮されるべきである。【Recommendation】

 非代償性肝硬変を含むすべてのC 型肝炎症例が抗ウイルス治療の対象となり、年齢、ALT 値、血

小板数にかかわらず、すべてのC 型肝炎症例に対して抗ウイルス治療を検討することを推奨する(レベル1b、グレードA)。 ALT 値上昇例(ALT 30 U/L 超)、あるいは血小板数低下例(血小板数15 万/μL 未満)のC 型肝

炎患者は、抗ウイルス治療の良い適応である(レベル1b、グレードA)。 高齢者ではALT 30 U/L 以内かつ血小板数15 万/μL 以上でも発癌リスクは低くなく、積極的に

治療導入を考慮すべきである(レベル2b、グレードB)。 肝病変以外の合併疾患による予後が不良である場合は治療対象としない(グレードD)。 非代償性肝硬変でもChild-Pugh 分類スコア13~15 点の症例はソホスブビル/ベルパタスビル配

合錠の国内臨床試験に組み入れられておらず、安全性が担保されていない(グレードD)。

1-4.C 型肝炎に対する基本的治療方針

C 型肝炎における肝発癌解析において、高齢者の定義は、55 歳、60 歳あるいは65 歳以上など一定ではないが、一般に、高齢者の中でも年齢が上昇するほど発癌リスクは高い。また、線維化進展例は
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“肝線維化F2 以上または血小板数15 万/μL 未満”とするが、この中でも“肝線維化F3 以上または血小板数12 万/μL 未満”では特に発癌リスクが高いことに留意する必要がある。

高発癌リスク群(高齢かつ線維化進展例)では可及的速やかに抗ウイルス治療を導入するべきであり、高齢、あるいは線維化進展いずれかのみの症例でも早期の抗ウイルス治療の導入が望ましい。低発癌リスク群である非高齢かつ非線維化進展例では、治療効果、副作用、ならびに肝発癌リスクを考慮に入れて現時点での抗ウイルス治療の適応を決めるが、現在のIFN フリーDAA 製剤の高い有効性と安全性を考慮しこの群も早期の治療導入を図るべきである。

また、いずれの群においても、ウイルス排除を目的とした抗ウイルス治療が現時点で困難であり、ALTが異常値(30 U/L 超)の場合は、肝庇護剤による治療(ウルソデオキシコール酸[ursodeoxycholic acid; UDCA])、強力ネオミノファーゲンシー[Stronger Neo-Minophagen C; SNMC])を行う。また、肝炎鎮静化を目指したPeg-IFN(IFN)少量長期投与も選択肢となる。これらの治療によって、ALT を30 U/L 以下に保つことを目標とし、できるだけ低値になるようにコントロールする。特に、発癌リスクの高い群では、厳密なALT コントロールが必要である。なお、Peg-IFN(IFN)少量投与は、6 か月以内にALT 値改善(40 U/L以下)あるいはAFP 値改善(10 ng/mL 以下)を認めない場合は、中止する33, 34。【Recommendation】

高発癌リスク群(高齢かつ線維化進展例)では可及的速やかに抗ウイルス治療を導入すべきである

(レベル2b、グレードA)。 低発癌リスク群(非高齢かつ非線維化進展例)でも現在のIFN フリーDAA 製剤の高い有効性と安

全性を考慮し早期に治療導入を図るべきである(レベル2b、グレードB)。

1-5.抗ウイルス治療による肝発癌抑制効果1-5-1.新規(de novo)発癌抑制効果1-5-1-1.IFN 治療による新規(de novo)発癌抑制効果

わが国において1992 年より施行されているIFN 治療による肝細胞癌抑制効果については、既に多くの報告がある。Ikeda らは初回IFN 単独治療を施行したC 型慢性肝炎症例において、治療効果別にみた累積肝細胞癌発症率を後ろ向きに検討した。10 年累積発癌率は無治療群(n = 452)が12.0%、非SVRかつALT 値異常のIFN 無効群(n = 1,076)が15.0%であったのに対し、SVR 群(n = 676)では1.5%と有意に低率であり発癌抑制効果が認められた。また非SVR 群でもALT 値が正常化したいわゆる不完全著効群(n = 298)では10 年累積発癌率は2.0%と低下していた5。同様の報告はImai ら35やKasahara ら6からもなされ、IFN 投与によるALT 値正常化群で累積発癌率が低かった。さらに、Yoshida らは2,890 例の大規模後ろ向き研究により、IFN 投与によるSVR が発癌抑制因子となることを報告し、ALT 値が正常の2 倍以下に改善することでも発癌抑制効果がある可能性を示した7。また、IFN 著効例の肝線維化進展率は平均 -0.28/年と計算され、ウイルス排除により肝線維化が改善することを示し、不成功例でも -0.02/年と線維化の進展抑制が認められることを報告した。Okanoue らも線維化進展度別の発癌抑制効果を示し、
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IFN による線維化改善効果を報告している11。IFN 治療の発癌抑制効果を検討した無作為化比較試験としてはNishiguchi らの報告が挙げられ、C 型肝硬変を対象とした前向き検討によりIFN の投与によるHCV排除またはALT 値の持続的正常化により肝癌発生および肝不全発症のリスクが有意に軽減されることが示された36。以上の結果より,IFN によって未治療群に比し肝細胞癌発生が抑制されること、IFN によりウイルスの排除のみならず生化学的効果が認められれば、肝細胞癌の発生は予防されることが示唆された。その後、日本、アジア、欧州、および北米における30 報の観察研究を対象としたメタ解析が報告され(25,906 例、観察期間3.0~8.2 年)37、非SVR 例では6.2%の発癌率であったのに対して、SVR 例では1.5%(HR = 0.24)でありIFN ベース治療による発癌抑制効果のエビデンスが示された。したがって、IFN 治療による新規肝発癌抑制効果には強いエビデンスがあると言える。IFN による発癌抑制機序としては、直接の抗ウイルス作用とともに、IFN の有する増殖抑制作用や抗腫瘍免疫の誘導を介した腫瘍抑制作用の関与が考えられている38, 39。1-5-1-2.IFN フリーDAAs 治療による新規(de novo)発癌抑制効果

IFN フリーDAAs 治療は、IFN 治療に比して臨床応用されてからの期間が短いこともあり、その発癌抑制効果についてのデータは漸く集積され始めたところである。当初Mettke らはIFN フリーDAAs 治療を施行したC 型肝硬変患者158 例を、性別、年齢、肝疾患進行度、糖尿病合併をマッチさせた無治療のC型肝硬変historical control と比較し、DAAs 治療群は観察期間中央値440 日[91-908]の間に6 例が発癌、コントロール群では592 日[90-1,000]に14 例が発癌しており、100 人年あたり罹病率はそれぞれ2.90、

4.48 で両者の差は有意ではなかったとし、IFN フリーDAAs 治療はC 型肝硬変において、少なくとも治療

から1.5 年の間では肝発癌を抑制しなかったと結論付けた15。

これに対し、わが国からの報告では、Kobayashi らはIFN フリーDAAs 治療を行いSVR が得られた77例をPeg-IFN+RBV 治療の528 例と比較し、観察期間中央値4.0 年でDAAs 治療群から2 例の発癌がみられたが、3 年ないし5 年累積肝発癌率はIFN 治療群で1.02%・2.19%、DAAs 治療群で1.30%・3.03%であり、両者に差はなかったとして、SVR 後の発癌率はIFN ベース治療でもIFN フリーDAAs 治療でも同等であるとしている17。またNagata らはさらに大規模なコホート、すなわちIFN ベース治療1,145 例とIFNフリーDAAs 治療752 例において、過去に肝癌発症歴のない症例における肝発癌、および肝癌治療例抗ウイルス療法後の肝癌再発リスクを検討した19。この結果、新規肝発癌あるいは肝癌再発のいずれにおいても、抗ウイルス治療レジメンによる差異は見いだせなかったと結論している。また、Nagaoki らはダクラタスビル+アスナプレビル治療154 例(観察期間中央値23 か月)とPeg-IFN+RBV 治療244 例(観察期間中央値96 か月)を、年齢、性別、血小板数、白血球数、ヘモグロビン値、アルブミン値、ALT 値、HbA1c 値、糖尿病、アルコール摂取、高血圧、高脂血症をマッチさせ比較検討したところ、ダクラタスビル+アスナプレビル治療群とPeg-IFN+RBV 群では累積発癌率に差はなかったと報告している40。さらに、Toyoda らは、DAAs 治療によりSVR が得られた症例のうち、DAAs 治療前にEOB-MRI で乏血性結節を認めた33 例のSVR 後12 ヶ月、18 カ月、24 か月の累積多血化率を検討したところ、それぞれ11.8%、24.2%、25.2%であり、年齢、 AST 値、 ALT 値、血小板数、AFP 値、FIB‐4 index でマッチさせた未治療コ
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ホートのそれぞれ9.1%、15.2%、and 24.9%とは差がなかったことを示し、DAAs による乏血性結節の多血化の促進は認められなかったことを報告した41。

最近では海外からも多数例の解析による報告が相次ぎIFN フリーDAAs 治療の発癌抑制効果を肯定する報告が増えつつある。スコットランドのInnes らは、1997 年から2016 年の間にIFN ベースまたはIFNフリーの抗ウイルス療法を受けSVR となった肝硬変症例857 例を対象として、発癌率を検討したところ粗発癌率(100 人年)はそれぞれ1.26 と2.53 とでIFN フリー治療例の方が高かったが、IFN フリー治療群では有意に高齢、血小板低値で、Child-Pugh 分類B・C が多く、さらに抗ウイルス療法も2 回以上受けている症例が多かった。そこで、これらの因子を補正すると発癌ハザード比はそれぞれ2.48、1.15 となりIFNフリーDAAs 治療による発癌抑制効果はIFN と同等と結論付けられた42。またKanwal らは、アメリカ退役軍人コホートから2015 年1 年間のDAAs 治療例22,500 例(平均年齢61 歳、男性97%、肝硬変割合39%、SVR 率86.7%)を解析し、SVR が得られた群ではハザード比0.28 で有意に発癌率が低かったことを報告した43。同様にIoannou らは、退役軍人コホートを用いて1999 年から2015 年の間の抗HCV 治療例62,354 例(男性97%、肝硬変比率39%、平均観察期間6.1 年)を解析し、肝硬変・非肝硬変例の双方においてDAAs 治療によるSVR で発癌率は低下することを示し、この発癌率の低下は抗ウイルス療法にIFNが含まれるか否かに無関係であることを報告した44。さらに最近のpopulation-based cohort 17,836 例を後ろ向きに解析した研究では、IFN 治療およびDAAs 治療群それぞれのSVR 率は66.6%および96.2%で、肝発癌率はDAAs 治療群においてIFN 治療群と同等であった(HR = 1.07、95%CI: 0.55-2.08)。SVRを達成した肝硬変例に限定しても肝発癌率および無発癌生存はいずれもDAAs 治療群とIFN 治療群の間に差は認めなかった。またいずれの治療群でも、治療された患者は未治療例に比べて有意に肝発癌率が低下していたことが示された(p = 0.004)45。上記いずれの研究においてもIFN フリーDAAs 治療群の観察期間は必ずしも十分ではないものの、多数例での検討からDAAs 治療の発癌抑制効果がIFN 治療と同等であることが示されたことは意義深く、IFN フリーDAAs 治療がde novo 肝発癌を抑制するというエビデンスは集積されつつある。

一方、非代償性肝硬変については、わが国ではDAAs 治療の適用がなかったために発癌抑制効果についてのデータはない。イギリスにおけるソホスブビルを用いたIFN フリー治療を行った非代償性肝硬変406 例(平均年齢54 歳、平均MELD スコア12 点、 Child-PughB/C = 73%/10%、平均観察期間15 カ月、SVR 率78%)の検討では、観察期間中に5%に発癌を認め、12%が肝移植を必要とし3%が死亡したが、未治療コントロールに比し全生存は良好であり、SVR 例では非SVR 例に比し累積発癌率は低いことが示されている46。2019 年にわが国においても非代償性肝硬変に対するDAAs 治療が適用となったため、発癌や門脈圧亢進、さらには生命予後に与える影響についてのエビデンスの集積が必要である。【Recommendation】 IFN ベース抗ウイルス治療によりHCV が排除されると、新規(de novo)肝発癌リスクは低下する(レベ

ル1b、グレードA)。 IFN フリーDAAs 治療によってHCV が排除された場合、IFN 治療と同程度の新規(de novo)肝発癌
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抑制効果が得られる(レベル2b、グレードA)

1-5-2.肝癌根治後の肝癌再発抑制効果1-5-2-1.IFN 治療による肝癌再発抑制効果

Shiratori らはエタノール局注療法で根治した肝細胞癌症例をIFN48 週治療群と非治療群に無作為割付けし、その再発率と予後を検討し、1回目再発は差がなかったが、2回目以降の肝癌再発は有意にIFN治療群で低く生命予後も良好であったことを報告した47。Mazzaferro らはearly またはintermediate stage肝細胞癌手術後のIFN 治療の肝癌再発抑制効果を検討したところ、IFN 治療により早期の肝癌再発は抑制しなかったが、2 年以降の後期再発は有意に抑制したと報告している(HR = 0.3)48。Sakaguchi およびKudo らは局所根治が得られた肝細胞癌症例127 例に対してIFNα-2b またはPeg-IFNα-2a による少量長期療法を行い、性別、年齢、血小板数をマッチさせた非IFN 投与例と比較した結果、2 回目以降の再発率の有意な低下と生存率の改善を示し、生存に対するリスク比は0.21 と報告した49。Hsu らは、肝癌治癒切除後のC 型肝炎症例のうち、Peg-IFN+RBV 併用療法を施行した213 例を、年齢、性別、肝硬変比率、手術からの期間をマッチさせた抗ウイルス療法を施行しなかった852 例と比較し、Peg-IFN+RBV 併用療法施行群において、HCC の再発が有意に抑制したと報告している(発癌リスク比0.64)50。メタアナリシスも行われており、Miyake らはIFN が肝細胞癌の再発を有意に抑制すると報告し51、Singal らも肝細胞癌焼灼術または切除後のIFN 治療は有意に再発を抑制し(OR = 0.26)、5 年生存も改善することを示し(OR = 0.31)、とくにSVR が得られた場合に顕著であることを報告した52。また、Shen らのメタアナリシスにおいても肝細胞癌焼灼術あるいは切除後のIFN により、1 年、2 年、3 年後の再発率は有意に抑制されることが報告されている53。さらに、最近のManthravadi らのsystematic review においてもIFN 治療によるSVR により無再発生存の改善と(HR = 0.50)、全生存の改善(HR = 0.18)が示されている54。このように、肝細胞癌根治後にIFN 治療を行うことにより肝細胞癌の再発抑制と生命予後の改善が期待できるものと考えられる。1-5-2-2.IFN フリーDAAs 治療による肝癌再発抑制効果

IFN フリーDAAs 治療は、副作用が少なく高いSVR 率が達成可能なうえに、治療期間が12 週以下で代償性肝硬変にも適用があるため、肝癌根治後の抗ウイルス療法として施行されることが増えてきている。しかし、IFN フリーDAAs 治療による肝癌再発抑制効果については未だ議論の多い状況であり、IFN ベース治療によるSVR と同程度の再発癌抑制効果が得られるかどうかについては、当初否定的な報告がみられた。スペインのReig らは肝細胞癌に対する治療後、肝内に結節性病変を認めない状態でIFN フリーDAAs 治療を行った58 例において、わずか中央値5.7 か月の経過観察により16 例(27.6%)に肝癌が再発し3 例が死亡したと報告し、DAAs 治療によりむしろ肝癌再発が促進させると懸念を表明している16。Reig らはこの原因として免疫修飾作用のないDAAs の治療によりHCV が排除されたため宿主の免疫能が低下したためであると推測している。イタリアのConti らは、59 例のHCC 治療歴のある肝硬変例におけるDAAs 治療後24 週の肝癌再発率は28.8%であったと報告し、とくに肝硬度(Liver stiffness: LS)が
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21.5kPa 超の症例で有意に高率であったことを示した55。また、米国のYang らはHCC における肝移植例を検討し、治療前にDAAs 治療を受けていた症例の癌再発率は27.7%と、DAAs 治療を受けていなかった症例の9.5%に対して極めて高率であったことを報告した56。一方、イタリアのCamma らが前述のReig らと同一のデータについて肝癌根治時点を観察開始の起点として再解析したところ、6か月および12 か月の肝癌再発率はそれぞれ7%、13%となり通常より高い再発率ではなかったと述べている57。また、フランスの3 つの前向きコホートの後ろ向き統合解析では肝癌根治後にDAAs を投与したC 型慢性肝炎患者189 例と肝硬変患者13 例を、DAAs を投与しなかったそれぞれ78 例と66 例と比較し、DAAs 投与の有無による肝癌再発率には差はなかったことが示されている58。Petta らは、既報例の後ろ向き統合解析により、IFN フリーDAAs 治療例とIFN ベース治療例、および抗ウイルス療法未施行例における肝癌再発率を比較検討し、IFN フリーDAAs 治療後の肝癌再発率はIFN ベース治療例と同等であり、抗ウイルス療法未施行例の肝癌再発率より有意に低率であったことを示した59。しかし、いずれの研究も症例数が少なく観察期間も十分でないうえ、control study ではないという問題点があった。とくに、肝癌根治後の肝癌再発率は、腫瘍径・腫瘍個数などの腫瘍因子の他、それまでの肝癌治療歴や治療法に大きく影響されるため、IFN フリーDAAs 治療後の肝癌再発抑制効果を従来のIFN ベース治療と比較する際には、これらの背景因子を補正して検討する必要がある。実際Cabibbo らのメタアナリシスでは、研究間のheterogeneityが結果に大きく影響しており、肝細胞癌根治後の再発率と生存率は多様であることが指摘されている60。

わが国では、Nagata らはミラノ基準内の初発肝癌に対して肝切除またはラジオ波焼灼術により根治が得られた症例のみを対象として、肝癌根治後にIFN フリーDAAs 治療を施行した症例と、IFN ベース治療を施行した症例において、傾向スコアを用いて年齢、性別、Fib-4 index をマッチさせた2 群間で比較したところ、IFN フリーDAAs 治療とIFN ベース治療の間に肝癌再発率に差はないことを示した19。Ikeda らは、HCC 根治後にDAAs 治療を施行した177 例のうち、肝切除またはラジオ波焼灼術で根治した肝細胞癌初発例(n = 89)について、年齢、性別、BCLC ステージをマッチさせた抗ウイルス療法未施行のコントロール群と比較したところ、HCC根治後DAAs治療施行群では有意に再発率が低いことを示した(HR = 0.353) 61。その後、わが国からも同様の検討が相次いでなされているが、それらによるとIFN フリーDAAs 治療後の肝癌再発率はIFN ベース治療後と同等であるとする報告が多い62, 63。最近、Nishibatake-Kinoshita らはラジオ波焼灼療法でHCC を根治後に抗ウイルス療法を施行したDAAs 治療群147 例とIFN 治療群156 例とを解析し、1 年・2 年の累積再発率はそれぞれ39%・60%および39%・61%と差はなく、再発時の腫瘍個数や主要脈管侵襲・肝癌転移率にも差はなかったことを示し、AFP L3 分画高値、複数回のHCC 治療歴、HCC 治療から抗ウイルス療法までの期間が短いことがリスク因子であることを示している64。

またsystematic review も行われており(41 報:de novo 肝発癌 26 報、肝癌再発17 報、n = 13,375)、それによるとIFN フリー治療とIFN ベース治療とでは、de novo 肝発癌率と肝癌再発率の双方において差がないことが示された65。さらに肝癌根治後のDAAs 治療の予後を検討した10 報のメタアナリシスでは、全生存(n = 1,519)および無再発生存(n = 1,241)ともSVR 例で良好であることが示された(それぞれHR = 0.18、HR = 0.50)54。この様に、現在のところ肝癌根治後のIFN フリーDAAs 治療が肝癌再発を促進さ
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せているという懸念は少ないと考えられ、むしろSVR による肝癌再発の抑制や生命予後の改善を示すものが多いため、肝癌根治後であっても適用があれば抗ウイルス療法を積極的に考慮した方が良いと考えられる。しかし一方で、DAAs 治療後に予想外に進展した状態での再発を経験したとする報告も散見され、抗ウイルス療法後の肝癌再発に関するスクリーニングはこれまで通り厳重に行う必要がある。今後肝内転移やde novo 再発をより厳密に区別した検討や、再発様式や再発時の分化度など生物学的悪性度を加味した詳細な検討とさらなるエビデンスの集積が求められる。【Recommendation】肝癌根治後のIFN ベース抗ウイルス治療によりHCV が排除されると、肝癌再発リスクは低下する

(レベル1b、グレードA)。肝癌根治後のIFN フリーDAAs 治療によってHCV が排除された場合、IFN 治療と同程度の肝癌再

発抑制効果が得られるとする報告が増加している(レベル2b、グレードB)

1-6.SVR 後肝発癌のリスク因子

抗ウイルス療法によりSVR が得られると肝発癌は抑制されるが、SVR 後も肝発癌リスクは完全には消失せず、SVR 後の5 年・10 年の発癌率は、それぞれ2.3~8.8%、3.1~11.1%と報告されている66。これらSVR 後の発癌は、SVR 後5 年以降も観察されており、海外における多施設前向き研究でもSVR 後7 年以上経ってからの発癌例が50%を占めたと報告されている67。これらのことはC 型肝炎患者ではウイルスが排除されても健常者に比し発癌リスクの高い状態が長期間残存することを示唆するものであり、そのリスク因子の同定は重要である。

これまでSVR 後の発癌リスク因子については、近年わが国を中心にエビデンスが集積されてきた7, 8, 19, 68-101(表1)。現在のところ、最も明確なリスク因子は肝線維化であり、Morgan らのメタ解析でも全患者におけるSVR 後の発癌率が1.5%であったのに対して、線維化進展例だけで検討すると4.2%と高率であった37。このほか複数の観察研究から種々のリスク因子が報告されており(表1)、とくに高齢、男性、飲酒、肝脂肪化、糖尿病などが重要である。

表1 SVR 後における新規(de novo)発癌のリスク因子

著者・文献SVR 例数治療法観察期間(年)  リスク因子ハザード比Yoshida et al. Ann Intern Med 1999 7

789 IFN 4.3 肝線維化

Makiyama et al. Cancer 2004 85 1,197 IFN 5.9年齢≧50 歳男性肝線維化≧F3 7.4 5.9 2.3 Ikeda et al. J Gastroenterol 2005 82 1,056 IFN 4.7年齢≧60 歳AST>100 U/L血小板<15 万/μL 3.1 3.1 2.8
p.22
Tokita et al. J Gastroenterol Hepatol 2005 95 126 IFN 5.5年齢≧65 歳、肝線維化≧F3、アルコール≧27 g/日Tanaka et al. W J Gastroenterol 2007 94

266 IFN 9.9年齢≧55 歳、肝線維化≧F3、肝脂肪化≧Grade 2 Asahina et al. Hepatology 2010 8

686 IFN 7.5年齢(10 歳ごと)男性肝線維化≧F3肝脂肪化≧10% 2.7 4.1 2.6 5.6

Akuta et al. J Med Virol 2011 68 1,273 IFN 1.1年齢≧55 歳肝線維化≧F3コア70 変異(ゲノタイプ1b) 3.1 9.0 10.5 Hung et al. Intern J Cancer 2011 80 1,027 IFN 4.3糖尿病Chang et al. J Antimicrob Chemother 2012 73 871 IFN 3.4年齢≧60 歳肝線維化≧F3血小板<15 万/μL治療後AFP≧20 ng/mL 3.8 4.0 2.8 3.2 Arase et al. Hepatology 2013 70 1,900 IFN 8.1年齢(10 歳ごと)男性アルコール2 型糖尿病2.6 3.4 2.7 4.8 Asahina et al. Hepatology 2013 71 913 IFN 6.1年齢(10 歳ごと)男性肝線維化≧F3肝脂肪化≧10%アルブミン(1 g/dL ごと)治療後ALT (40 U/L ごと)治療後AFP (10 ng/mL ごと) 2.2 2.7 2.3 2.3 0.4 1.8 1.1 Oze et al. Clin Gastroenterol Hepatol 2014 90 1,425 IFN 3.3年齢≧65 歳治療後AFP≧5 ng/mL 5.8 8.1 Yamashita et al. J Gastroenterol 2014 99 562 IFN 4.8年齢≧50 歳肝線維化≧F2アルコール≧30 g/日治療後AFP≧8 ng/mL 4.1 10.7 3.9 2.6 Huang et al. J Hepatol 2014 79 642 IFN 4.4年齢≧65 歳肝線維化≧F2 γGTP≧75 U/L 4.2 3.7 5.8 Toyoda et al. J Gastroenterol Hepatol 2015 96 522 IFN 7.2糖尿病Fib-4 index 2.1 1.7 Chang et al. Clin Gastroenterolol Hepatol 2015 74 801 IFN 5.0年齢≧60 歳肝線維化≧F3血小板<15 万/μL治療後AFP≧20 ng/mL 3.8 2.2 2.7 2.8 Sasaki et al. PLoS One 2015 91 238 IFN 9.1年齢≧60 歳男性血小板<15 万/μL WFA+M2BP≧2.0COI 5.4 4.7 4.7 5.7
p.23
El-Serag et al. Hepatology 2016 75 10,738 IFN 2.8肝硬変年齢≧65 歳糖尿病アルコール摂取Genotype 3

6.7 4.5 1.9 1.7 1.6 Wang et al. Liver Int 2016 97

376 IFN 7.6 F3/F4糖尿病LSM>12kPa 12.38(OR) 2.80(OR) 1.01(OR)

Hedenstiema et al. Clin Infect Dis 2016 77 399 IFN 7.8糖尿病肝硬変血清アルブミン<3.5 g/dL 6.3 7.9 6.2

Nagata et al. J Hepatol 2017 19 1,355 IFN/DAAs 3.8治療後AFP (10 ng/mL ごと)治療後WFA+M2BP (1 COI ごと) 1.1 1.8

Janjua et al. J Hepatol 2017 84 4,663 IFN 5.6肝硬変年齢≧50 歳男性3.2 4.4 3.3

Tada et al. Hepatol Res 2017 93 571 IFN 9.0年齢≧55 歳男性治療後血小板<13 万/μL治療後AFP≧5 ng/mL 3.6 7.6 3.9 3.6 Sato et al. Int J Mol Sci 2017 92 355 IFN 2.9 WFA+M2BP≧2.80 COI Fib-4 index≧3.7 15.2 5.6

Matsuura et al. Gastroenterology 2017 86 941 IFN 5.9 TLL1 AT またはTT 1.8

Ogata et al. Oncology 2017 87 1,065 DAAs 1.3アルブミン≦3.8 g/dL AFP>5 ng/mL 4.0 12.6

Ogawa et al. Aliment Pharmacol Ther 2018 88 1,523 DAAs 1.4治療後AFP (1 ng/mL ごと)肝硬変1.2 3.7

Hamada et al. PLoS One 2018 76 196 IFN/DAAs 2.2年齢≧75 歳AFP≧6 ng/mL SWE≧11kPa 35.2 40.3 28.7

Yasuda et al. J Gastroenterol Hepatol 2018 100 475 IFN 6.1年齢≧60 歳γGTP≧50 U/L ISDR 変異数≧3 3.2 8.4 3.2
p.24
Huang et al. J Gastroenterol Hepatol 2018 78 42 IFN 3.9血清MICA(1 log pg/mL ごと) 2.3

Calvaruso V et al. Gastroenterology 2018 72 2,140 DAAs 1.2アルブミン<3.5 g/dL血小板<12 万/μL 1.77 3.89

Yasui et al. Hepatol Res 2018 101 518 DAAs 0.98 WFA+M2BP≧1.75COI

6.0 Ioannou et al. J Hepatol 2018 83

45,810 IFN/DAAs 2.5肝硬変

年齢>56-60 歳〃 >60-64 歳〃 >64-67 歳〃 >67 歳血小板>12.3-16.7/μL〃  >8.7-12.3/μL〃  >6.1-8.7/μL〃  ≦6.1/μLアルブミン>3.3-3.7 g/dL〃    >2.9-3.3 g/dL〃    >2.9 g/dL AST/√ALT 6.5-8.49〃     8.49-11.01〃     11.01-13.9非肝硬変

年齢>56-60 歳〃 >60-64 歳〃 >64-67 歳〃 >67 歳Genotype 3血小板>6.1-8.7/μL〃  ≦6.1アルブミン>2.9 g/dL AST/√ALT 8.49-11.01〃     11.01-13.9〃     >13.9

1.6 2.0 2.4 2.6 1.1 1.4 2.1 2.4 1.7 2.6 2.2 1.4 1.5 1.5 1.8 2.7 2.5 2.6 1.8 2.0 2.4 2.4 2.1 4.3 4.2 Ooka et al. Hepatol Int 2018 89

769 DAAs 1.5異型結節の存在26.0

Watanabe et al. Hepatol Res 2018 98 1,174 DAAs 1.5治療後Fib-4 index(1 ごと)治療後AFP(1ng/mL ごと)男性アルブミン(1g/dL ごと) 1.1 1.1 2.5 0.2 Akuta et al. J Clin Microbiol 2018 69 1,922 DAAs 2.4治療前WFA+M2BP≧2.5 COI GT1b Core70 野生(対GT2) GT1b Core70 変異(対GT2)治療後24 週AFP≧5ng/mL治療後24 週WFA+M2BP≧1 COI 3.6 10.5 19.7 3.4 5.0
p.25
Iio et al. J Gastroenterol 2018 81 1,029 DAAs 2.0 AFP>4.6 ng/mL Fib-4 index>2.67 TLL1 AT またはTT 3. 9 2.8 3.2

Yamada et al. Hepatol Res 2019 102 2,021 IFN 4.1早期(4 年以内)発癌

年齢≧65 歳糖尿病ビリルビン≧0.8mg/dL治療後AFP≧5ng/mL後期(4 年以降)発癌糖尿病11.1 5.8 5.6 3.5 9.0

また最近では、SVR 後の発癌を予測する抗ウイルス療法後のバイオマーカーに関する報告もなされており、Asahina ら71 やOze ら90 は、IFN 治療において、上述の治療前因子に加え、治療後因子が肝発癌に関与することを報告した。すなわち、以前から知られていた治療後ALT 高値のみならず、治療後AFP高値が発癌の高リスクであり、発癌予測における重要なサロゲートマーカーであるとしている。また、IFN治療後24 週時点でのFib-4 index や、WFA+M2BP(M2BPGi)の有用性も指摘されている19, 69, 90。一方、最近Yamada らはPeg-IFN+RBV でSVR となった2,021 例の経時的検討から(平均観察期間4.1 年)、年発癌率は治療後3 年目がピークで0.74%、その後4 年目が0.54%、5 年目が0.40%と徐々に低下し、抗ウイルス療法後4 年以内の発癌リスクには年齢、糖尿病の有無、ビリルビン値、治療後AFP 値が有意であったが、4 年以降の発癌には糖尿病の有無のみが有意であったことを報告している102。これらのデータは、肝発癌要因は抗ウイルス療法後の期間により変化し、抗ウイルス療法後のマネジメントには長期的な生活習慣病の管理が重要であることを示すものである。今後、治療後の期間を加味したさらなるリスク因子の同定が望まれ、それらに基づく経時的なリスク評価と管理を症例毎に行うことが診療上重要である。

現在のところ、SVR 後における肝癌スクリーニングの効果的な方法とその有用性を前向きに直接検討した報告はない。また、費用対効果も不明である。しかし、わが国におけるSVR 症例562 例からなるコホートを解析した後ろ向き研究では、定期的肝癌スクリーニング(腹部超音波を少なくとも6 か月ごと)を受けていた症例の5 年生存率が93%であったのに対して、受けていない症例では60%と予後不良であった99。したがって、SVR 後であっても、高齢、男性、アルコール摂取、肝脂肪化、糖尿病など現時点で同定されているリスク因子、および治療後のバイオマーカーに基づいて、定期的な肝癌に対するスクリーニングを継続すべきである。とくに、近年の標準抗ウイルス療法であるIFN フリー DAAs 治療によりSVR が達成された患者と従来のIFN ベース治療によりSVR が得られた患者とでは、その背景が大きく異なり、IFN フリーDAAs 治療によるSVR 患者は有意に高齢で線維化進展例が多いなど肝発癌リスクが高い103。したがって、IFN フリーDAAs 治療によるHCV 排除後は、従来に比しさらに注意深い肝発癌スクリーニングが必要であり、とくに高発癌リスクである高齢者や線維化進展例、およびアルコール摂取者やメタボリック症候群を有する症例においては厳重にフォローアップを行うことが推奨される。

また、肝癌根治後にIFN フリーDAAs 治療を行った場合の肝癌再発は、腫瘍個数や腫瘍径などの腫瘍因子、再発回数、異型結節の有無、肝癌治療法、肝癌治療からDAAs 治療までの期間に大きく影響さ
p.26
れる(表2)。したがって、肝癌既往例においてはこれらのリスク要因に応じて厳重な肝癌再発のスクリーニングを行うべきである。一方、ミラノ基準内初発例の根治例に限った検討では、de novo 発癌と同様に治療後のWFA+M2BP やAFP の有用性が示されており19、これらのバイオマーカーも肝癌再発スクリーニングの参考になる。DAAs 治療後における発癌メカニズムの詳細は未だ明らかではない。長期間におよぶHCV 持続感染によるゲノム異常の蓄積や肝線維化および細胞機能障害はHCV 排除後も残存する。またDAAs 治療により免疫学的要因は大きく変化し、例えば、1)内因性IFN の抑制104、2)NK 細胞活性化の抑制105-109、3)制御性T 細胞による免疫抑制状態の持続108、4)血管新生に関わるVEGF やANGPT2 の上昇110, 111 等が示されている。

表2 肝癌治療後のIFN フリー DAAs 治療における肝癌再発リスク因子

著者・文献例数観察期間(年)  リスク因子ハザード比Ikeda et al. Dig Dis Sci 2017 74 177 1.7 DAAs 治療 多発HCC AFP>40 ng/mL PT<80% 0.4 2.2 1.8 2.2 Cabibbo et al. Aliment Pharmacol Ther 2017 74 143 0.7 腫瘍径>2.5cm 複数回HCC 治療歴2.7 2.2

Nagata et al. J Hepatol 2017 74 110 7.5 治療後AFP (10 ng/mL ごと) 治療後WFA+M2BP (1 COI ごと) 1.6 1.9

Ogawa et al. Aliment Pharmacol Ther 2018 74 152 1.4 肝硬変 HCC 治療からDAAs までの期間 <1 年 腫瘍個数≧2 個 非根治治療(TACE、放射線)

3.2 3.3 2.3 2.3 Yasui et al. Hepatol Res 2018 74

49 1.5 AFP≧6 ng/mL 3.1

Mashiba et al. PLoS One 2018 74 368 AFP≧9 ng/mL HCC 治療からDAAs までの期間 (1 日ごと) HCC 治療回数≧2 回2.2 1.0 1.6 Ooka et al. Liver Int 2018 74 95 1.5 異型結節の存在 26.0 (OR)

Shinkawa et al. Ann Gastroenterol Surg 2018 74 59 BMI≧25kg/m2 2.8
p.27
Nishibatake-Kinoshita J Hepatol 2019 74 147 1.8 腫瘍個数2 個 〃  ≧3 個 HCC 治療からDAAs までの期間 >2 年1.5 1.9 0.5

DAAs 治療により免疫細胞のrebalance やサイトカインプロファイルのimbalance112、および血管新生要因の変化が起こり、年余にわたるHCV 持続感染状態から極めて短期間で免疫学的再構成が生じ、傷害を受けていた肝臓の免疫学的環境が大きく変化することがDAAs 治療後の発癌に関与している可能性がある。今後DAAs 治療後のさらなる発癌メカニズムの解明と、それらに基づくバイオマーカーの探索が重要と考えられる。【Recommendation】抗ウイルス療法によってSVR が得られた後も肝発癌リスクは完全には消失せず、IFN ベース治療

SVR 後の5 年・10 年の発癌率は、それぞれ2.3~8.8%、3.1~11.1%である(レベル1b)。 SVR 後であっても、高齢、男性、線維化進展、アルコール摂取、肝脂肪化、糖尿病など現時点で同

定されているリスク因子、および治療後のバイオマーカーに基づく定期的な肝癌に対するスクリーニングを継続すべきである(レベル2b、グレードB)。

2.IFN 2-1.C 型肝炎治療に用いられてきたIFN の種類

C 型肝炎の治療薬として臨床応用に至ったのはI型IFN であり、これにはIFNαとIFNβがある。通常型(非修飾型)のIFN は不安定で血中半減期は3~8 時間と短いため113、少なくとも週3 回の投与を必要とし、またIFN 血中濃度の上昇・下降を繰り返すため発熱・悪寒・頭痛などの副作用を来しやすかった。これに対して、IFN をPEG 化すると体内での薬物動態が安定化し、週1 回の投与で治療域の血中濃度が維持される114。PEG 化IFN には、IFNα-2a に40 kD の分岐鎖PEG を共有結合させたPeg-IFN α-2a と、IFNα-2b に12 kD の1 本鎖PEG をウレタン結合させたPeg-IFNα-2b があり、前者は固定容量の180μg/週が、後者は1.5μg/kg/週が標準投与量である。Peg-IFNα-2a とPeg-IFNα-2b の治療効果・副作用における相違についてはほぼ同等と考えられており115-118。実臨床においてはどちらかの製剤を推奨するという明確なエビデンスはない。IFN フリー治療が第一選択となるまでは、IFN ベース治療の基盤として主にPEG-IFNαがリバビリンおよびDAA であるプロテアーゼ阻害薬と併用されてきたが、2019 年3 月現在PEG-IFN と併用可能なDAA はもはや発売されていない。

IFNβは、天然型の非PEG 化製剤のみが使用可能であり、単独投与またはリバビリンとの併用が保険適用となっている。静注または点滴静注で投与され週3 回以上の投与を行う。IFNβは、副作用のプロフィールがIFNαとは異なり、血小板の低下が軽微であり119、うつなどの副作用に対する忍容性が高い120- 122。2-2.IFN の作用機序と治療上の特質

I型IFN が標的細胞膜上のI型IFN 受容体に結合すると、チロシン型蛋白リン酸化酵素であるJAK1
p.28
が活性化され、IFN 受容体の細胞内ドメインのチロシン残基のリン酸化を引き起こす結果、STAT1 のリン酸化および2 量体形成が起こり、これが核内へと情報を伝達する。それによって種々の抗ウイルス遺伝子・免疫調節遺伝子で構成されるIFN 誘導遺伝子(IFN-stimulated genes; ISGs)群が誘導・増強され、抗ウイルス効果が発揮されると考えられている123-125。このようにIFN の抗ウイルス効果は、主に宿主の反応を介するため、IFN ベース治療の効果はIFN の応答性を規定するIL28B 遺伝子近傍の1 遺伝子多型(SNP)や、年齢、性別、および肝線維化などの宿主因子に強く影響される126-129。一方、IFN はHCV ゲノタイプ、コア70/91 番のアミノ酸変異、NS5A 領域のinterferon sensitivity determining region (ISDR)やinterferon/ribavirin resistance-determining region (IRRDR)のアミノ酸変異などのウイルス側因子により抗ウイルス効果が異なるが130-133、DAA に対する薬剤耐性変異ウイルスに対しては野生型とほぼ同等の抗ウイルス活性を有する。したがって、IFN に対する反応良好例では、シメプレビルを併用した場合のNS3領域のQ80K 変異を除けば、併用するDAA に対する薬剤耐性変異ウイルスが治療前に存在しても、存在しない症例と同等の成績が得られることがIFN ベース治療の利点である134。またIFN の薬理効果は多彩であり、特に宿主の自然免疫および獲得免疫を介した抗腫瘍作用も有する点はDAA にはない大きな特徴である39。2-3.安全性

IFN に関連した副作用はほぼすべての患者に認められる。中でも全身倦怠感・発熱・頭痛・関節痛などのインフルエンザ様症状は最もよく認められる副作用で、60~95%の患者に認められる。インフルエンザ様症状に対しては、消炎解熱鎮痛薬の投与により多くはコントロール可能である。血液検査所見では白血球減少がみられ、1,000/μL 未満に低下する症例が約60%に認められる。しかし、好中球減少に関わる重篤な感染症は少ないと考えられている135。白血球・好中球と血小板の減少は投与開始4 週目までに進行し、その後定常状態になることが多い。抑うつ・不眠などの精神症状も5~10%に認められ、うつの既往や治療前に精神症状がある症例で起こりやすい136。精神症状は、うつ特異的症状とうつに関連した自律神経症状に分けられ137-139、前者に対しては選択的セロトニン再取り込み阻害薬が効果的である。また、IFN は慢性甲状腺炎などの自己免疫疾患を惹起または増悪させる可能性があり、自己免疫疾患合併例ではIFN 投与に際し厳重な注意が必要である。間質性肺炎も副作用として報告され、重篤となり生命の危険が生じることがある。治療開始2 か月以降や治療後期に起こることが多い。乾性咳嗽や呼吸困難などの呼吸器症状が出現した際には、速やかに胸部CT を行うなど迅速かつ適切な対応が必要である。間質性肺炎の診断に血中KL-6 の測定も有用である。その他、心筋症、眼底出血などが副作用として挙げられる。

3.リバビリン(ribavirin)

リバビリンは、グアノシンと化学構造が類似したプリンヌクレオシドアナログで、RNA およびDNA ウイルスに幅広い抗ウイルス活性を示す140。リバビリンの作用機序として、Th1 優位の免疫誘導作用、ウイルスの変異誘導、RNA ポリメラーゼの抑制、細胞内GTP の枯渇作用などが推察されている141。C 型慢性肝
p.29
炎に対するリバビリンの単独投与では、ALT 改善効果はあるものの、HCV RNA 量の低下や肝組織の改善効果は認められない142-144。しかし、IFNα-2b とリバビリンの併用投与は、IFNα-2b 単独投与よりもウイルス排除効果およびALT 改善効果が優れている145。

発売当時、リバビリンはPEG 化IFN 製剤であるPeg-IFNα-2a またはPeg-IFNα-2b との併用で用いられていた。Peg-IFN+リバビリン併用ではPeg-IFN 単独と比べ、より高率に治療終了時のHCV RNA 陰性化が得られるが、最も重要な点はリバビリン併用により治療終了後の再燃率が著明に低下することである146, 147。現在、国内ではPeg-IFN 製剤の他に、通常型IFN であるIFNα-2b、IFNβとの併用が可能である。また2015 年3 月には、ゲノタイプ2 型のC 型慢性肝炎・肝硬変に対して、NS5B ポリメラーゼ阻害薬であるソホスブビルとの併用が承認された。C 型慢性肝炎に対するリバビリンの1 日投与量は、投与開始前のHb が14 g/dL 以上の場合、体重60 kg 以下では600 mg、61~80 kg で800 mg、80 kg 超では1,000 mg である148, 149。3-1.治療成績

Peg-IFN+リバビリン併用治療の有効性は2 つの国内第3 相試験で報告されている150, 151。国内臨床研究では、ゲノタイプ1b 型・高ウイルス量(>100 KIU/mL)症例に対するPeg-IFNα-2b+リバビリン併用48 週治療のSVR 率は48%(121/254)であり、Peg-IFNα-2a+リバビリン併用48 週治療のSVR 率は59%(57/96)である151, 152。一方、ゲノタイプ1b 型・高ウイルス量症例以外では、Peg-IFNα-2b+リバビリン併用24 週投与により、89% (40/45)と高いSVR 率が得られている153。

なお、ゲノタイプ2 型症例に対するソホスブビル+リバビリン併用の成績は「ソホスブビル+リバビリン併用治療」の項で、また前治療歴を有するC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリンの成績は「ソホスブビル/ベルパタスビル+リバビリン」の項で詳述する。3-2.安全性

リバビリンは1 日2 回、朝・夕食後に経口投与する。内服後1~2 時間で血中濃度は最大となり、連日投与では血中濃度が平衡化されるのに約4~8 週を要する。リバビリンには蓄積性があり、肝臓内、赤血球内、筋肉内に長期間残存する。排泄は主に腎臓で行われるため、腎疾患や腎機能障害のある患者に対しては慎重に投与する必要がある。クレアチニンクリアランスが50 mL/分以下の症例では禁忌である。また、透析ではリバビリンを除去できないことから、透析中の腎不全患者には原則禁忌となっている。

リバビリンの主な副作用は溶血性貧血であり、貧血を有する患者や心疾患(心筋梗塞、心不全、不整脈など)を有する患者では適応を慎重に検討する必要がある。Peg-IFNα-2bリバビリン併用治療の国内試験では、貧血による副作用のため、20%の症例でリバビリンの減量が、8~11%の症例で治療中断が必要であった。投与開始前のHb 濃度14 g/dL 未満、好中球数2,000/μL あるいは血小板数12 万/μ L 未満の患者、および女性では薬剤の減量を要する頻度が高くなる。特に、65 歳以上でHb 13 g/dL 以下の症例では、80%でPeg-IFN ないしリバビリンの減量が必要であった。治療開始2 週後にHb が2 g/dL以上減少した症例では貧血による治療中止率が高いため、この時点でリバビリンを200 mg 減量することが提唱されている154。投与中にHb 低下がみられた場合のリバビリンの減量・中止基準(心疾患のない症
p.30
例)は、Hb が10 g/dL 未満で200 mg(1,000 mg 投与例は400 mg)減量、8.5 g/dL 未満で中止となっている155。なお、国内試験の成績では、Peg-IFN とリバビリンの減量が不要であった場合のSVR 率は62.5%であったのに対し、Peg-IFN あるいはリバビリンの減量・休薬を必要とした場合のSVR 率は45.7~53.3%、薬剤の投与中止に至った場合のSVR 率は19.2%と低下していた151。したがって、SVR を得るためには、Hb の低下を適切に管理しつつ、治療を最後まで中止せず完遂させること、およびなるべく薬剤の減量・休薬を避けることが重要である。

Peg-IFN+リバビリン併用治療中の高度貧血に20 番染色体上のinosinetriphosphatase (ITPA)遺伝子とその近傍のSNP (rs7270101、rs1127354)が関与することが明らかにされている156, 157。ITPA 遺伝子多型(rs1127354)のCC ゲノタイプ (メジャー型)ではCA+AA ゲノタイプに比較し、治療開始後のHb の低下がより顕著であり、CC ゲノタイプはリバビリン減量に寄与する独立因子であった155。したがって、CC ゲノタイプのHb 低値例では治療中の貧血の進行に注意を要する。

その他のリバビリンに関する副作用として、リンパ球減少、高尿酸血症、瘙痒感、皮疹、咳嗽、鼻閉などがある。また、リバビリンは動物実験において催奇形性が報告されており、妊娠中ないし妊娠している可能性のある女性患者、授乳中の女性患者に対しての投与は禁忌である。精液中への移行も否定できないことから、妊娠する可能性のある女性患者、およびパートナーが妊娠する可能性のある男性患者に対して投与する場合は治療中および治療終了後6 か月間の避妊を指示する必要がある。【Recommendation】

 リバビリンの主な副作用は溶血性貧血であり、貧血を有する患者や心疾患を有する患者では適応

を慎重に検討する必要がある(レベル1b、グレードA)。 Peg-IFN+リバビリン併用治療中の高度貧血にinosinetriphosphatase (ITPA)遺伝子のSNP

(rs7270101、rs1127354)が関与する(レベル2b)。 リバビリンの排泄は主に腎臓で行われるため、腎疾患や腎機能障害のある患者に対しては慎重に

投与する必要がある。クレアチニンクリアランスが50 mL/分以下の症例では禁忌、透析中の腎不全患者には原則禁忌となっている(レベル1b、グレードA)。 催奇形性の懸念があることから、妊娠中・授乳中の女性患者に対しての投与は禁忌である。また、

妊娠する可能性のある女性患者、およびパートナーが妊娠する可能性のある男性患者に投与する場合は避妊を指示する必要がある(レベル1b、グレードA)。

4.直接型抗ウイルス薬(DAA)

C型肝炎ウイルスのプラス1本鎖RNAゲノムは約9,600塩基対であり、このうちウイルス粒子に取り込まれない非構造領域は、NS2~NS5Bに分けられている。現在、DAAの標的となっているのはこのうちNS3/4A、NS5A、NS5B領域であり、それぞれプロテアーゼ活性、ウイルスゲノム複製複合体形成機能、RNA依存性RNAポリメラーゼ活性を有している。

2022年5月までに、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬としてはテラプレビル、シメプレビル、アスナプレビル、
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バニプレビル、パリタプレビル、グラゾプレビル、グレカプレビルの7種、NS5A複製複合体阻害薬としてはダクラタスビル、レジパスビル、オムビタスビル、エルバスビル、ピブレンタスビル、ベルパタスビルの6種、さらにNS5Bポリメラーゼ阻害薬として核酸型のソホスブビル、非核酸型のベクラブビルが認可された。このうち、バニプレビル、テラプレビル、シメプレビル、パリタプレビル・オムビタスビル、アスナプレビル・ダクラタスビル・ベクラブビル、ダクラタスビル、アスナプレビル、エルバスビル、グラゾプレビルの製造販売は中止され、これら以外の薬剤が日常臨床に用いられている(図1)。

図1 DAA の分類と作用機序(カッコ内は製造販売が中止された薬剤)

4-1.IFN ベースDAA 4-1-1.テラプレビル(telaprevir)

テラプレビルは、α-ketoamide系列の最適化により見出された経口投与可能な抗ウイルス薬である158。プロテアーゼ阻害薬であるテラプレビルは、HCVの増殖に重要な役割を果たしているHCV遺伝子非構造蛋白であるNS3/4Aプロテアーゼを直接阻害することにより、ウイルス増殖を強力に阻害する159。特にゲノタイプ1型のHCVに対するウイルス増殖抑制作用が強い。テラプレビルは、2011年9月日本で薬事承認されたが、国内第3相試験の段階ですでに重篤な皮膚症状と貧血がみられたことに加え、市販後新たに腎機能障害の出現が問題となった。第2世代プロテアーゼ阻害薬およびIFNフリーDAAが発売されたこともあり、現在製造販売が中止されるに至っている。4-1-2.シメプレビル(simeprevir)
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C 型肝炎ウイルスのNS3/4A プロテアーゼに対する阻害薬は、分子構造の違いにより2 群に分けられる。1 つは分枝のない直鎖状構造(linear)をとる薬剤であり、もう1 つは分子内に大環状構造(macrocyclic)をもつ薬剤である。大環状の小分子化合物は、治療ターゲットとなる蛋白質に対する親和性や特異性に優れている160。テラプレビルが直鎖状の第1 世代プロテアーゼ阻害薬であるのに対し、シメプレビルは初期のプロテアーゼ阻害薬の最適化過程で発見された大環状の第2 世代プロテアーゼ阻害薬である161。シメプレビルはゲノタイプ1 型・高ウイルス量(5.0 Log IU/mL 以上)のC 型慢性肝炎に対するPeg- IFN とリバビリンとの併用治療として2013 年9 月薬事承認されたが、2019 年3 月に販売が中止された。これにより、IFN ベース治療としてIFN と併用されるDAA はすべて販売が中止された。4-1-3.バニプレビル(vaniprevir)

2014 年9 月、テラプレビル、シメプレビル、アスナプレビルに続く第4 のプロテアーゼ阻害薬として、バニプレビルが承認された。バニプレビルはシメプレビル同様、大環状構造をもち、第2 世代プロテアーゼ阻害薬に分類される薬剤であり、ゲノタイプ1 型、ことに1b 型のHCV に対して強い抗ウイルス活性をもつことがin vitro において示されている162。バニプレビルはゲノタイプ1 型のC 型慢性肝炎に対してPeg- IFNα-2b+リバビリンと併用投与し、成人にはバニプレビルとして1 回300 mg を1 日2 回経口投与する163。バニプレビルは現在製造販売が中止されている。4-2.IFN フリーDAA 4-2-1.ダクラタスビル(daclatasvir)・アスナプレビル(asunaprevir)

ダクラタスビルはNS5A 複製複合体阻害薬、アスナプレビルはNS3/4A プロテアーゼの阻害薬である。2014 年7 月に承認されたが、2022 年5 月現在販売中止となっている。4-2-1-1.治療成績IFN を含む治療に不適格の未治療あるいは不耐容の患者、ならびにIFN を含む治療で無効となった患者に対するダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の第3 相試験が行われた29。全症例のSVR24 率は84.7%(188/222 例)であり、前治療無効例群、IFN(+リバビリン)治療不耐容または不適格例群それぞれにおけるSVR24 は80.5%(70/8 例7)、87.4%(118/135 例)、代償性肝硬変症例では90.9%(20/22 例)であった。また、初回治療例、前治療再燃例に対してもダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の第3 相試験が行われ164、初回治療例におけるSVR12 は89.1%(対照のテラプレビル治療群では62.2%)、前治療再燃例では95.5%であった。前治療無効例やIFN 不適格・不耐容例に対する試験同様、治療成績において性別、年齢、治療開始時HCV RNA 量、IL28B 遺伝子多型などの背景因子による有意な差はみられなかった。市販後にダクラタスビル+アスナプレビル併用治療を施行した909例の成績が紹介されている165。これによれば、血中HCV RNA 消失率は治療終了時93%(n=210)、治療終了後4 週89%(n=190)、12 週89%(n=116)と報告されており、国内第3 相試験とほぼ同等の治療成績であった。4-2-1-2.薬剤耐性変異

DAA の治療効果を大きく減弱させる遺伝子多型(薬剤耐性変異)として、プロテアーゼ阻害薬であるアスナプレビルではNS3/4A 領域168 番目のアミノ酸変異(D168A/E/V)166が、NS5A 複製複合体阻害
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薬であるダクラタスビルではNS5A 領域31 番目および91 番目のアミノ酸変異(L31M/V とY93H)167が知られている168。HCV は塩基配列の多様性に極めて富むウイルスであるため、DAA 治療前からこれらの耐性変異ウイルスを有する症例が存在する。ダクラタスビル+アスナプレビル国内第3 相試験(IFN 不適格・不耐容例、前治療無効例対象)では、ダイレクトシークエンス法によって治療開始前にHCV 薬剤耐性変異を検索し得た214 例中、治療前すでにY93H 変異、L31M/V 変異を有する症例がそれぞれ30例(14.0%)、8 例(3.7%)存在した。

ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例では両剤に対する多剤耐性ウイルスが出現することが報告されている169。すなわち、治療前にはNS5A 領域のY93 ないしL31 のみに変異があった症例において、ブレイクスルーあるいは再燃後に耐性変異を測定すると、NS5A 領域のみならずNS3 領域のD168 にも変異が出現する。海外の第3 相試験(HALLMARK-DUAL)では、治療不成功例ではL31 変異が63%、Y93 変異が58%、NS3 のD168 変異が92%で出現し、NS5A とNS3 の多剤耐性変異は77%に出現していた170。このようなNS5A とNS3 の耐性変異のうち、NS5A 領域の耐性変異は1 年以上存続することが示されている169。

in vitro の系において、Y93H とL31M/V の両方を有するNS5A 多重耐性変異ウイルスは、Y93H やL31M/V を単独で有するウイルスに比し、NS5A 複製複合体阻害薬に対してより高度の耐性を有しており、加えてさらに複製能の高い高度耐性株であるL31V-Q54H-Y93H 変異株が出現することも報告されている。

NS5A 複製複合体阻害薬の治療歴のない症例においてY93H とL31M/V とを同時に検出することは1%以下(ダイレクトシークエンス法)であり、NS5A 多重耐性変異は極めてまれであると想定される。しかし、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例ではY93H やL31M/V が高頻度に同時に検出されることより、NS5A 多重耐性変異も高頻度に存在すると考えられる169。こうした多重・多剤耐性変異ウイルスに対しては、2017 年9 月に承認されたグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の国内第3 相試験で一定の有効性が示されている31 ものの、NS5A 領域P32 欠失が存在する症例ではすべて治療不成功となっており、いまだ有効な治療法が存在しないことから、極力、多重・多剤耐性ウイルスを出現させないことが重要である。【Recommendation】 ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例では、NS5A 領域多重耐性変異ウイルス、あるいは

両剤に対する多剤耐性ウイルスが高頻度に出現する。こうした多重・多剤耐性変異ウイルスに対しては、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の国内第3 相試験で一定の有効性が示されているものの、NS5A 領域P32 欠失が存在する症例ではすべて治療不成功となっており、いまだ有効な治療法が存在しないことから、極力、多重・多剤耐性ウイルスを出現させないことが重要である(レベル2b、グレードB)。

4-2-2.ソホスブビル(sofosbuvir)・リバビリン
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C 型肝炎ウイルスのNS5B には、ウイルス複製に必須であるRNA 依存性RNA ポリメラーゼがコードされている。NS5B ポリメラーゼに対するDAA は大きく2 群に分けられる。1 つはHCV RNA 複製の際にウイルス遺伝子に取り込まれる核酸型NS5B ポリメラーゼ阻害薬、もう1 つはNS5B ポリメラーゼ蛋白の酵素活性を阻害する非核酸型NS5B ポリメラーゼ阻害薬である。ソホスブビルは核酸型のNS5B ポリメラーゼ阻害薬であり、肝細胞内で活性代謝物であるウリジン三リン酸型に変換されるとHCV RNA 複製の際にウイルス遺伝子に取り込まれ、RNA 伸長反応を止めるchain terminator として作用する。ヒトDNA およびRNA ポリメラーゼに対する阻害作用はない。ソホスブビルは多くのHCV ゲノタイプに対し抗ウイルス活性を有しており、in vitro のレプリコン細胞を用いたアッセイでは、ゲノタイプ1a、1b、2a、2b、3a、4a、5a および6a に対する50%有効濃度(EC50 値)はそれぞれ0.04、0.11、0.05、0.015、0.05、0.04、0.015 および0.014μmol/L であった。

ソホスブビル、リバビリン併用療法は2015年3月、ゲノタイプ2型C型慢性肝炎・代償性肝硬変に対し承認されたが、2022 年 5月現在出荷停止、2023年 3月に薬価削除予定となっている。

日本国内で行われた第3 相試験171の対象症例は、ゲノタイプ2 型C 型慢性肝炎・代償性肝硬変であり、全体のSVR12 は97%であり、初回治療の98%、既治療の95%でSVR12 が達成された。慢性肝炎では、全体のSVR12 は97%、初回治療では98%、既治療では96%、肝硬変では全体のSVR12 は94%、初回治療では100%、既治療では89%と極めて高率であった。

レプリコン含有細胞をソホスブビル存在下に継代培養することで耐性変異を検討した結果、HCV ゲノタイプにかかわらずNS5B のS282T 変異が検出された。さらにS282T 変異を導入したレプリコンのアッセイにより、S282T 変異によりEC50が2.4~18.1 倍に増加した。このようなin vitro アッセイの結果から、NS5BのS282T 変異はソホスブビル感受性を低下させることが示された。一方臨床的検討では、日本国内第3相試験においてSVR12 を達成しなかった再燃例のディープシークエンス解析の結果、S282T 変異あるいは既報の核酸型NS5B ポリメラーゼ 阻害薬に関連する変異は検出されず、表現型解析においてもソホスブビルに対する耐性株はみられなかった。ゲノタイプ2 型に対するソホスブビル+リバビリン併用12 週間の海外第3 相試験のFISSION、POSITRON、FUSION のいずれにおいてもSVR12 を達成しなかった再燃例からS282T 変異は検出されず、表現型解析においても耐性株はみられなかった。

4-2-3.ソホスブビル・レジパスビル(ledipasvir)

NS3/4A、NS5A、NS5B を標的としたDAA が開発され、IFN フリーDAA 併用治療の試験が多数行われている中で、NS5A 複製複合体阻害薬はいずれのレジメンにも含まれるキードラッグである。NS5A は447アミノ酸からなるリン酸化蛋白質であり、酵素活性を持たないが、HCV 増殖、粒子形成には必須であり、NS5A 複製複合体阻害薬はNS3 プロテアーゼ阻害薬よりも10~1,000 倍強力にHCV 増殖を抑制する。NS5A 複製複合体阻害薬であるレジパスビルは、ピコモル(pmol)という低濃度でHCV 増殖を抑制する効果があり、そのEC50 はゲノタイプ1a 型では31 pmol/L、1b 型では4 pmol/L である172。ソホスブビル/レジパスビル配合錠は、米国および欧州をはじめとする諸外国の多くで承認販売されているが、日本国内
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で行われたゲノタイプ1 型に対する試験の結果をもとにわが国でも承認申請され、2015 年6 月にゲノタイプ1 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対して承認された。用法・用量はソホスブビル400 mg とレジパスビル90 mg の固定用量配合錠を1 日1 回12 週間経口投与する。リバビリンは併用しない。重度の腎機能障害(eGFR < 30 mL/分/1.73 m2)または透析を必要とする腎不全の患者に対しては投与禁忌である。さらに、ゲノタイプ2 型のC 型慢性肝炎患者及びC 型代償性肝硬変患者を対象とした本剤の国内臨床試験成績の本結果をもとに、2018 年2 月にゲノタイプ2 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対しても追加適応が承認された。用法・用量は、ゲノタイプ1 型と同様、ソホスブビル400 mg とレジパスビル90 mgの固定用量配合錠を1 日1 回12 週間経口投与する。重度の腎機能障害(eGFR < 30 mL/分/1.73 m2)または透析を必要とする腎不全の患者に対してはやはり投与禁忌である。4-2-3-1.海外での成績(表6)

海外で行われた第3 相試験、ION 試験では、ソホスブビル400 mg とレジパスビル90 mg の固定用量配合錠を用いて、リバビリン併用の必要性や最適治療期間の検討が行われた。

表6 ゲノタイプ1型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の海外第3 相試験治療成績

対象患者治療内容肝硬変(%) SVR12 (%)

ION-1未治療SOF/LDV, 12W (n=214) 16 99

SOF/LDV+RBV, 12W (n=217) 15 97 SOF/LDV, 24W (n=217) 15 98 SOF/LDV+RBV, 24W (n=217) 17 99

ION-2 IFN を含む前治療再燃・無効SOF/LDV, 12W (n=109) 20 94

SOF/LDV+RBV, 12W (n=111) 20 96 SOF/LDV, 24W (n=109) 20 99 SOF/LDV+RBV, 24W (n=111) 20 99

ION-3未治療の慢性肝炎SOF/LDV, 8W (n=215) 0 94

SOF/LDV+RBV, 8W (n=216) 0 93 SOF/LDV, 12W (n=216) 0 95

ION-1 試験は初回治療865 症例を対象とし、ソホスブビル/レジパスビル配合錠の12 週ないし24 週治療、およびリバビリン併用の有無で4 群に無作為化した試験である173。リバビリン併用なしの12 週治療群のSVR は99%、リバビリン併用あり12 週のSVR は97%、リバビリン併用なし24 週のSVR は98%、リバビリン併用あり24 週のSVR は99%であった。ION-3 試験は肝硬変ではない初回治療647 例を対象とし、ソホスブビル/レジパスビル配合錠8 週治療のリバビリン併用の有無による2 群、およびリバビリン併用なしの12 週治療の合計3 群に無作為化した試験である174。リバビリン併用なしの8 週治療群のSVR は94%、リバビリン併用あり8 週のSVR は93%、リバビリン併用なし12 週のSVR は95%であった。ION-2 試験は、
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Peg-IFN+リバビリン併用治療の既治療440 例を対象とし、ソホスブビル/レジパスビル配合錠の12 週ないし24 週治療、およびリバビリン併用の有無による4 群に無作為化した試験である175。

対象の20%が代償性肝硬変症例であった。リバビリン併用なしの12 週治療群のSVR は94%、リバビリン併用あり12 週のSVR は96%、リバビリン併用なし24 週のSVR は99%、リバビリン併用あり24 週のSVRは99%であった。肝硬変でない症例のSVR が98%であったのに対し、肝硬変症例では92%であり、肝硬変症例においては12 週治療のSVR(リバビリン併用なし86%、リバビリン併用あり82%)よりも、24 週治療のSVR(リバビリン併用なし99%、リバビリン併用あり99%)のほうが高率であった。

海外第2 相試験(LEPTON 試験)において、ゲノタイプ2 型のC 型慢性肝炎又はC 型代償性肝硬変患者を対象として本剤の有効性ならびに安全性が検討された176。対象は53 例であり、ソホスブビル/レジパスビル配合錠の8 週治療(慢性肝炎27 例)ないし12 週治療(慢性肝炎24 例、代償性肝硬変2 例)が行われたが、各々のSVR 率は、8 週投与74%(20/27)、12 週投与96%(25/26)[慢性肝炎96% (23/24)、代償性肝硬変2/2)]であった。

4-2-3-2.国内試験の成績4-2-3-2-1.ゲノタイプ1 型

日本国内で行われた第3 相試験は、20 歳以上、体重40 kg 以上で、HCV RNA が5.0 Log IU/mL以上のゲノタイプ1 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変を対象とした177。対象症例341 例のうち、初回治療が166 例、既治療が175 例であり、そのうちプロテアーゼ阻害薬を含む治療歴のある症例が40 例であった。ゲノタイプ1a 型・1b 型がそれぞれ3%・97%、平均年齢は59 歳、肝生検あるいはFibroscan (>12.5 kPa)で診断した肝硬変が22%含まれていた。

薬剤投与量は、ソホスブビル400 mg とレジパスビル90 mg の固定用量配合錠を1 日1 回12 週間経口投与するリバビリン非併用群と、リバビリンを体重換算により600 mg、800 mg または1,000 mg を朝・夕食後の1 日2 回で併用するリバビリン併用群の2 群に無作為割り付けした。全体のSVR12 は99%であり、リバビリン併用なしでは100%、リバビリン併用ありでは98%であった177。初回治療例のSVR は、リバビリン併用なしでは100%、リバビリン併用ありでは96%、既治療例のSVR はリバビリン併用なしで100%、リバビリン併用ありでも100%であった(図9)。

代償性肝硬変例においてもSVR は、リバビリン併用なしで100%、リバビリン併用ありで97%であった。IL28B 遺伝子多型 (rs12979860)ヘテロ・マイナー型non-CC でもSVR は、リバビリン併用なしでは100%、リバビリン併用ありでは98%であった。プロテアーゼ阻害薬を含む治療歴のある症例40例では全例がSVRとなった。SVR が得られなかったのは治療早期に中止した2 例と、治療終了後に再燃した1 例のみであった。再燃した1 例は、リバビリン併用群に割り付けられた未治療で肝硬変のない55 歳の女性であり薬剤アドヒアレンスは良好であったが、治療終了後4 週時点でHCV RNA が再出現した。本症例では治療開始前および再燃時点でNS5A のY93H 変異を有していた。

本試験の結果に基づき、リバビリンを併用しないソホスブビル/レジパスビル配合錠12 週間治療がゲノ
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タイプ1 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対して承認された。

図9 ゲノタイプ1 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の治療成績(国内第3相試験177)

4-2-3-2-2.ゲノタイプ2型

また、ゲノタイプ2 型のC 型慢性肝炎患者又はC 型代償性肝硬変患者を対象として、ソホスブビル・リバビリン併用療法を対照とした第3 相試験が実施された178。このうち、コホート1 は、肝硬変30 例を含む214 例(初回治療146 例、既治療68 例)を対象としたソホスブビル/レジパスビル群とソホスブビル・リバビリン群との無作為化試験(いずれも12 週投与)であった。SVR 率は、ソホスブビル/レジパスビル群96% (102/106)[慢性肝炎97%(89/92)、代償性肝硬変93%(13/14)]、ソホスブビル・リバビリン群95% (103/108)[慢性肝炎95%(87/92)、代償性肝硬変100%(16/16)]であり、ソホスブビル・リバビリンに対するソホスブビル/レジパスビル併用の非劣性が確認された。ソホスブビル/レジパスビル群の治療不成功例は、3 例が再燃、1 例が来院せずであった。また、コホート2 として、リバビリン不適格・不耐用例25 例(初回治療13 例、既治療12 例)に対するソホスブビル/レジパスビル併用12 週投与が行われた。SVR 率は96%(24/25)であり、治療不成功の1 例は再燃であった(図10)。また、両コホートにおけるソホスブビル/レジパスビル併用例の治療歴別のSVR 率は、初回治療96%(82/85)、既治療96%(44/46)と同等であった。

図10 ゲノタイプ2 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の治療成績(国内第3相試験178)
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【Recommendation】

 ゲノタイプ1 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の12

週間治療のSVR 率は高く、国内第3 相試験では100%である(レベル2b)。 肝硬変、IL28B 遺伝子多型、年齢、開始時HCV RNA 量などの背景因子による治療効果の差は

みられない(レベル2b)。 ゲノタイプ2 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の12

週間治療の国内第3 相試験におけるSVR 率は96%であった(レベル2b)。

4-2-3-3.ゲノタイプ1 型に対する市販後国内治療成績

市販後使用成績調査の中間結果報告179 によれば、2015 年11 月から2017 年1 月までに前向きに3,296 例が登録され、有効性解析対象となったゲノタイプ1 型C 型慢性肝疾患3,187 例のうち、3,144 例(98.7%)でSVR12 が得られた。ウイルス学的治療不成功は43 例であったが、このうち24 例は既治療例(13 例はダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例)であった。未治療例2,007 例では1,988 例(99.1%)でSVR12 が得られた。代償性肝硬変486 例、高齢者(治療開始時65 歳以上)2,085 例でも、SVR12 はそれぞれ466 例(95.9%)、1,996 例(98.3%)で達成されており、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例以外、背景因子による有効性の大きな低下はみられていない。【Recommendation】

 市販後使用成績調査によれば、ゲノタイプ1 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するソホス

ブビル/レジパスビル12 週併用治療の市販後におけるSVR12 率は98.7%であった(レベル5)。 ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例以外、背景因子による有効性の大きな低下は

みられていない(レベル5)。

4-2-3-4.安全性

ゲノタイプ1 型に対する日本国内第3 相試験において、副作用による中止はいずれもリバビリン併用あり群の2 例であり、1 例は皮疹で中止し、1 例は心停止による死亡例であった180。死亡例は肝硬変で併存疾患(サルコイドーシス、糖尿病、肺線維症)、脾摘の既往もあり、有害事象発生時にウイルス性消化管感染症を併発していた。重篤な副作用はいずれもリバビリン併用あり群の2 例であり、1 例は上述の心停止による死亡例、もう1 例は急性心筋梗塞であった。リバビリン併用なし群の副作用は65%の症例で発現した。最も高頻度の副作用は鼻咽頭炎の29%であり、他には頭痛が7%、全身倦怠が5%、皮膚瘙痒が4%であった。なお、国内第3 相試験では非代償性肝硬変(Child-Pugh 分類grade B)症例は対象から除外されている。

2015 年11 月時点における企業による市販直後調査では、推定使用症例数9,423 例中、副作用発現例数が152 例(1.6%)、重篤な副作用発現例数が46 例(0.49%)と報告されている。重篤な副作用のうち最も高頻度に認められたのは腎機能障害(7 例)で、次いで期外収縮(4 例)であった。急性肝不全・急性腎
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不全による死亡例が1 例報告されている181。2018 年の使用成績調査中間結果報告では、安全性解析対象症例3,289 例のうち副作用発現例数は199 例(6.05%)、重篤な副作用は17 例(0.52%)であった。副作用として高頻度だったのは頭痛(0.94%)、便秘(0.79%)、口内炎(0.49%)であり、当初問題となった心血管系の副作用も3,289 例中4 件のみであった179。

またゲノタイプ2型のC 型慢性肝炎又はC 型代償性肝硬変患者を対象とした国内第3 相試験において、ソホスブビル/レジパスビル配合錠の12 週間投与又はソホスブビル+リバビリンの12 週間投与は概ね安全であり、忍容性も良好であった。このなかで、ソホスブビル/レジパスビル群とソホスブビル+リバビリン群との無作為化試験における主な有害事象(いずれかの投与群で5%以上の被験者で報告された有害事象)の比較では、ソホスブビル/レジパスビル群の貧血ならびに鼻咽頭炎の発現頻度がソホスブビル+リバビリン群に比して低かった(貧血:0%及び22.2%、鼻咽頭炎:9.9%及び22.2%)178。【Recommendation】国内第3 相試験では、リバビリン併用群において死亡例1 例を含む副作用による中止が1.2%、重

篤な副作用が1.2%認められたが、リバビリン併用のないソホスブビル/レジパスビル配合錠12 週治療では、副作用による投与中止例はなく、重篤な副作用もなかった(レベル2b)。ゲノタイプ2 型に対する国内第3 相試験では、ソホスブビル/レジパスビル群の貧血ならびに鼻咽

頭炎の発現頻度がソホスブビル+リバビリン群に比して低かった(レベル2b)。非代償性肝硬変を対象とした試験は行われておらず、安全性も確認されていないため、非代償性

肝硬変症例では投与を行うべきではない(グレードD)。

4-2-3-5.薬剤相互作用

ソホスブビルおよびレジパスビルはトランスポーター(P 糖蛋白質、乳癌耐性蛋白質 )の基質であるため、腸管内でP 糖蛋白質を誘導する薬剤と併用することで血漿中濃度が低下する可能性がある。したがって、強力なP 糖蛋白質誘導作用を有するリファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)は併用禁忌であり、リファブチン、フェノバルビタールは併用注意薬である。また、胃内pH が上昇するとレジパスビルの溶解性が低下し、血漿中濃度が低下するために、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの制酸薬、H2 受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬は併用注意薬である。一方レジパスビルのP 糖蛋白質や乳癌耐性蛋白質 に対する阻害作用によりジゴキシン、ロスバスタチン、テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩の血漿中濃度が上昇するため、これらの薬剤は併用注意薬である(資料2参照)180。

海外の市販後において、ソホスブビルとDAA 製剤に加えてアミオダロンの併用投与により徐脈性の不整脈を来した9 症例が報告されている。ソホスブビル/レジパスビル配合錠が3 例、ソホスブビル+ダクラタスビル併用が5 例、ソホスブビル+シメプレビル併用が1 例であった。これらのうち7 例ではβ遮断薬が併用されていた。6 例では治療開始後24 時間以内、残りの3 例では2~12 日以内に発症し、1 例が心停止により死亡、3 例がペースメーカー植え込みを要した。ソホスブビル/レジパスビル配合錠とアミオダロン
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との相互作用の詳細や徐脈発現の機序は不明であるが、その併用は推奨できない。【Recommendation】

 P 糖蛋白質誘導作用を有するリファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ

(セント・ジョーンズ・ワート)は併用禁忌、リファブチン、フェノバルビタールは併用注意薬である(レベル2b)。制酸薬、H2 受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬はレジパスビルの血漿中濃度を低下させるた

め併用注意薬である(レベル2b)。ジゴキシン、ロスバスタチン、テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩は、レジパスビルのP 糖蛋白

質や乳癌耐性蛋白質に対する阻害作用により血漿中濃度が上昇するため併用注意薬である(レベル2b)。ソホスブビル/レジパスビル配合錠とアミオダロンの併用投与により徐脈性の不整脈を来した症

例が報告されているため、アミオダロン投与中の症例に対する投与は推奨できない(グレードD)。

4-2-3-6.薬剤耐性

レプリコン含有細胞をレジパスビル存在下に継代培養することで耐性変異を検討した結果、NS5A のY93H 変異が検出された。さらにY93H 変異を導入したレプリコンのアッセイにより、同変異によりEC50 が3,310 倍に増加した。このようなin vitro アッセイの結果から、NS5A のY93H 変異はレジパスビル感受性を低下させることが示された。その他のNS5A 変異を導入したレプリコン細胞では、L31M、P32L 変異ではEC50が2.5~10 倍に増加、L31I、L31V 変異ではEC50が10~50 倍に増加、P58D 変異ではEC50が100 ~1,000 倍に増加した。これらのNS5A 変異レプリコンは、ソホスブビルに対しては感受性であった。またソホスブビルに対して耐性を示すS282T 変異レプリコンは、レジパスビルに対して感受性を示した。

臨床的検討では、ゲノタイプ1型に対する国内第3 相試験において検出感度1%のディープシークエンス解析により76 例(22%)で治療開始前にNS5A 変異が検出されたが、SVR12 を達成しなかったのは治療前にY93H を有していた1 例のみであった(SVR12 は99%)。SVR12 を達成しなかった1 例のディープシークエンス解析の結果、治療前および治療終了後4 週時点でY93H 変異が検出されたが、その他のNS5A 変異、およびNS5B のS282T 変異は検出されなかった180。なお、この試験の治療対象にはNS5A複製複合体阻害薬の既治療例は含まれておらず、上記の治療開始前のNS5A 変異例に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の治療効果は、治療によって惹起されたものでなく治療前から存在するHCV RNA のNS5A 変異(遺伝子多型)例に対するものであることに注意する必要がある。ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の不成功例で惹起されたNS5A 多重耐性変異についてのソホスブビル/レジパスビル配合錠の治療効果については、市販後の成績でおよそ60~70%と報告されている。

ゲノタイプ2 型のC 型慢性肝炎患者又はC 型代償性肝硬変患者を対象とした国内第3 相臨床試験では、本剤投与群の92%(118/129 例)の患者でベースライン時にL31M 等のNS5A 耐性変異が検出された(ゲノタイプ2a 85 例、ゲノタイプ2b 33 例)。これら118 例の患者のうち、ゲノタイプ2a におけるSVR12
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は99%(84/85 例)、ゲノタイプ2b のSVR12 は91%(30/33 例)であり、耐性変異が検出されなかった残りの11 例は全ての患者がSVR12 を達成した。本剤投与群で再燃に至った4 例では、ベースライン時及びウイルス学的治療不成功が認められた時点で、L31M 又はL28L/F+L31M のNS5A 耐性変異が検出された。また、これら4 例において、ウイルス学的治療不成功の時点で、新たなNS5A 耐性変異の出現はいずれの症例にも認めなかったが、1 例では核酸型NS5B 阻害薬関連耐性変異であるS282T の出現を認めた182。台湾およびニュージーランドからはベースラインにNS5A 耐性変異が存在しても本剤のSVR 率は100%であったことが報告されているが、ベースラインのNS5A 耐性変異とSVR 率との関連については今後の検証が必要である。【Recommendation】

 国内第3 相試験では、NS5A 複製複合体阻害薬の治療歴のない症例において治療開始前に

Y93H 変異を有しても高率にSVR が達成された(レベル2b)。 ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の不成功例で惹起されたNS5A 多重耐性変異について

のソホスブビル/レジパスビル配合錠の治療効果については、市販後の成績でおよそ60~70%と報告されている(レベル5)。 ゲノタイプ2 型に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の国内第3 相試験では、NS5A 耐性変

異のない症例でのSVR12 率は100%、NS5A 耐性変異のある症例でのSVR12 率はゲノタイプ2aで99%、ゲノタイプ2b で91%であった。ベースラインのNS5A 耐性変異とSVR 率との関連については今後の検証が必要である(レベル2b)。

4-2-4.オムビタスビル(ombitasvir)・パリタプレビル(paritaprevir)・リトナビル(ritonavir)

オムビタスビルはNS5A 複製複合体阻害薬、パリタプレビルはNS3/4A プロテアーゼの阻害薬である。この両者にリトナビルを併用した配合剤が2015 年9 月承認されたが、2018 年9 月現在発売が中止されている。4-2-5.エルバスビル(elbasvir)+グラゾプレビル(grazoprevir)

エルバスビルはNS5A 複製複合体阻害薬、グラゾプレビルはNS3/4A プロテアーゼの阻害薬である。この両者による治療は2016 年9 月承認されたが、2021 年10 月販売が中止となった。

国内での第2/3 相試験でSVR12 率は慢性肝炎症例全体(実薬群)で96.5%(219/227 例)、代償性肝硬変症例で97.1%(34/35 例)であった183。国内第2/3 相試験において治療不成功であった7 例(全例再燃)における治療前後のNS3・NS5A 領域耐性変異の推移をみると、NS3 領域の耐性変異が存在しても全例治療に成功したという結果を裏付けるように、治療後にNS3 領域の変異が検出された患者は認められなかった184, 185。一方、NS5A 領域の変異は治療不成功だった7 例全例で検出され、ことにY93H 変異は全例で認められた。投与前にY93 変異を含むNS5A 領域の変異が存在しなかった3 例においても、治療不成功時にはY93H 変異が3 例いずれも出現していた。4-2-6.ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル(beclabuvir)
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2016 年12 月、ダクラタスビル、アスナプレビル、およびベクラブビルを加えた3 剤の配合錠が国内での製造販売承認を受けた。この配合錠は日本初のNS5A 複製複合体阻害薬(ダクラタスビル)、NS3/4A プロテアーゼ阻害薬(アスナプレビル)、非核酸型NS5B ポリメラーゼ阻害薬(ベクラブビル)という3 種薬剤の配合錠である。ベクラブビルは非核酸型NS5B RNA ポリメラーゼ阻害薬である。ソホスブビル同様NS5B RNA ポリメラーゼを阻害するが、ソホスブビルが核酸型に分類され、HCV RNA 複製時にウイルス遺伝子に取り込まれてRNA 複製を阻害するchain terminator であるのに対し、ベクラブビルはNS5B ポリメラーゼ蛋白に結合し、その酵素活性を阻害する非核酸型のポリメラーゼ阻害薬である。しかしダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル配合錠も2018 年12 月販売中止となった。4-2-7.グレカプレビル(glecaprevir)・ピブレンタスビル(pibrentasvir)

グレカプレビル水和物はNS3/4A プロテアーゼ阻害薬、ピブレンタスビルはNS5A 複製複合体阻害薬である。いずれもin vitro 試験で特定のゲノタイプのみではなく、HCV ゲノタイプ1~6 型すべてに対して強力な抗ウイルス活性を認めるとともに(パンジェノ型)、薬剤耐性を獲得しにくいことが示されている186。また、グレカプレビルは第一世代のNS3/4A プロテアーゼ阻害薬曝露後に発現するR155K、D168A およびD168V などのアミノ酸変異に対しても抗ウイルス活性を有し、ピブレンタスビルは、第一世代NS5A 阻害薬(オムビタスビル、ダクラタスビルおよびレジパスビル)に対して耐性を示すアミノ酸変異(31 位および93 位など)に対しても抗ウイルス活性を有している。従って、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠は、IFN フリーDAA による前治療不成功例も含め、ゲノタイプ1 型・2 型、およびそれ以外のゲノタイプのHCVに感染した患者に対して有効である、IFN フリーかつリバビリンフリーのパンジェノ型DAA である。マヴィレット®配合錠はグレカプレビル水和物100mg およびピブレンタスビル40mg を配合したフィルムコーティング錠である。

2つの国内第3 相試験および1 つの海外第3 相試験において、HCV ゲノタイプ1~6 型の初回治療およびIFN フリーDAA を含む既治療歴のあるC 型慢性肝炎または代償性肝硬変、重度の腎機能障害を有するC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対し、マヴィレット®配合錠の有効性および安全性が示されたことから製造販売承認申請を行い、2017 年9 月に承認された。4-2-7-1.海外での成績

海外から最初に報告された臨床試験は、アメリカ、カナダ、イギリス、ニュージーランド、オーストラリア、プエルトリコの施設で行われた、ゲノタイプ 1 型および3 型の症例に対するものである187。ゲノタイプ1 型の27 例に対して、グレカプレビル200mg、ピブレンタスビル120mg が12 週投与された。SVR12 率は96% (26/27)であり、SVR が達成できなかった1 例は再燃であった。一方、ゲノタイプ3 型の55 例に対しては、グレカプレビル300mg、ピブレンタスビル120mg にリバビリン800mg を併用する群と併用しない群の2 群での1:1に無作為割り付けが行われた。リバビリンを併用しない群でのSVR12 率は96%(27/28)であり、非SVR 症例はやはり再燃であった。リバビリンを併用した群のSVR12 率は100%(27/27)であった。このようにゲノタイプ1 型および3 型に対するグレカプレビル・ピブレンタスビル併用は高い有効性を示した。有害事象も頭痛・倦怠感・吐気程度であり、血液検査の異常値発現はまれで、全例治療を完遂した。
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アメリカ、カナダ、イギリス、ニュージーランド、オーストラリア、プエルトリコの施設で行われた試験(SURVEYOR-I およびSURVEYOR-II;第2 相試験)では、ゲノタイプ 1-6 型でHCV RNA 量が10,000 IU/mL 以上の症例が対象となった188。449 例が登録され、ゲノタイプ1 型が25%、2 型が29%、3 型が39%、4~6 型が8%含まれていた。まず、ゲノタイプ1 型の症例に対して1グレカプレビル200mg+ピブレンタスビル120mg 群(40 例)、2グレカプレビル200mg+ピブレンタスビル40mg 群(39 例)、ゲノタイプ2型に対して3グレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mg 群(25 例)、4グレカプレビル200mg+ピブレンタスビル120mg 群(24 例)、5グレカプレビル200mg+ピブレンタスビル120mg+リバビリン群(25 例)、さらにゲノタイプ3 型に対して6グレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mg 群(30 例)、7グレカプレビル200mg+ピブレンタスビル120mg 群(30 例)、8グレカプレビル200mg+ピブレンタスビル120mg 群+リバビリン群(31 例)、9グレカプレビル200mg+ピブレンタスビル40mg 群(30 例)と、12 週間投与においてゲノタイプ1 型・2 型・3 型それぞれについて投与量、2 型・3 型においてはリバビリン併用の有無による比較試験が行われた。この結果を踏まえグレカプレビルは300mg、ピブレンタスビル120mg に用量を固定し、ゲノタイプ1 型については治療期間を8 週間に短縮して、10ゲノタイプ1 型に対して8 週間投与群(34 例)、11ゲノタイプ 2 型に対して8 週間投与群(54 例)、12初回治療ゲノタイプ3 型に対して8 週間投与群(29 例)、13既治療ゲノタイプ3 型に対して12 週間投与群(24 例)、14ゲノタイプ4-6 型に対して12 週間投与群(34例)、以上5 群を追加した計14 群による試験が行われた。その結果SVR12 率は、ゲノタイプ1 型で1 100%、297%、1097%、ゲノタイプ2 型で396%、4100%、5100%、1198%、ゲノタイプ3 型で693%、793%、894%、983%、1297%、1392%、ゲノタイプ4-6 型で14100%であった。このようにすべてのゲノタイプにおいてグレカプレビル/ピブレンタスビル併用は高い有効性を認めた。投与期間については、ゲノタイプ1 型、2 型、初回治療の3 型に対して、12 週から8 週に短縮したグレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mg投与でも同様に高いSVR12 率を示した。

この試験では、治療開始時のNS3/4A 領域、NS5A 薬剤耐性変異についての検討もpopulation sequence 法または次世代シークエンサーを用いて行われている。ゲノタイプ1a 型70%、1b 型76%、2 型75%、3 型36%、4 型37%、5 型0%、6 型63%という頻度で薬剤耐性変異が検出されたが、このようなHCVに対しても前述のように高い効果がみられた。

主な有害事象は、リバビリンを使用しない群では、倦怠感、頭痛、吐き気、下痢などであったが、いずれも軽度であった。血液検査異常は、AST 値が正常値の3 倍以上に上昇した例が1 例、ヘモグロビン値が8~10 g/dL に低下した例が1 例認められた。一方リバビリンを使用した群ではヘモグロビン値低下を4 例に認めた。

さらにゲノタイプ3 型に対する有効性と安全性を検討した臨床試験(SURVEYOR-II;第3 相試験)が、アメリカ、オーストラリア、カナダ、フランス、ニュージーランド、イギリスで行われた189。対象は肝硬変でないIFN ないしソホスブビルによる既治療例で、グレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mg の12 週投与群と16 週投与群の2 群に対し1:1に無作為割り付けした比較試験として行われた。12 週投与群のSVR12 率は91%(20/22)、16 週投与でのSVR12 率は95%(21/22)であった。一方、代償性肝硬変症例の
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初回治療例では12 週投与、既治療例では16 週投与が行われた。SVR12 率は12 週投与群で98%(39/40)、16 週投与群で96%(45/47)であった。

また、過去にDAA 治療を施行されたゲノタイプ1 型の症例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル併用12 週投与の臨床試験の成績も報告された190。これはオープンラベル第2 相試験 (MAGELLAN-1)で、グレカプレビル200mg+ピブレンタスビル80mg(A 群;6 例)、グレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mg+リバビリン(B 群;22 例)、グレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mg(C 群;22 例)の3 群比較試験として行われた。過去のDAA 治療は、プロテアーゼ阻害薬使用例25 例、NS5A 阻害薬使用例8例、プロテアーゼ阻害薬+NA5A 阻害薬使用例17 例であった。それぞれのSVR12 率は、A 群100%(6/6)、B 群95%(21/22)、C 群86%(19/22)であった。治療開始前の薬剤耐性変異の頻度はA 群83%(5/6)、B 群82%(18/22)、C 群77%(17/22)であった。このように、グレカプレビルとピブレンタスビル併用治療は、ゲノタイプ 1 型でIFN フリーDAA による前治療不成功例に対しても12 週の投与で高い有効性を示した。有害事象は上記2試験と同様軽度であった。

代償性肝硬変(Child-Pugh スコア6 点以下)のゲノタイプ1 型、2 型、4 型、5 型、6 型の症例を対象とした多施設第3 相試験(EXPEDITION-1)が、ベルギー、カナダ、ドイツ、南アフリカ、スペイン、アメリカで行われた191。投与量はグレカプレビル300mg、ピブレンタスビル120mg で、12 週投与された。146 例が登録され、ゲノタイプ1a 型48 例(33%)、1b 型39 例(27%)、2 型34 例(23%)、4 型16 例(11%)、5 型2 例(1%)、6 型7 例(5%)、また治療歴では初回治療例が110 例(75%)、前治療ありが36 例(IFN ベース治療25 例、ソホスブビルを含む治療11 例)であった。145 例(99%)においてSVR12 が達成され、1 例(ゲノタイプ1a 型)が治療後8 週目に再燃した。

重度腎機能低下を有する慢性肝炎および代償性肝硬変症のゲノタイプ1~6 型の症例を対象とした多施設第3 相試験(EXPEDITION-4)がオーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ギリシャ、イタリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカで行われた192。104 例が登録され、ゲノタイプ1 型54 例(52%)、2 型17 例(16%)、3 型11 例(11%)、4 型20 例(19%)、5 型1 例(1%)、6 型1 例(1%)、治療歴は初回治療例が60 例(58%)、前治療あり44 例(42%)(IFN ベース治療42 例、ソホスブビルを含む治療2 例)であった。腎機能としてはCKD ステージ4、5それぞれ14 例、90 例で、透析例が85 例含まれていた。102 例(98%)においてSVR12が達成された。SVR を達成しなかった2 例のうち1 例は治療終了後2 週目に脳出血で死亡、もう1 例は治療4 週目で下痢の副作用で中止した症例であった。副作用としては、掻痒、倦怠感、吐気などが認められた。治療中止例は4 例であった。4-2-7-2.国内試験の成績

日本における国内第3 相試験は、1ゲノタイプ1 型でHCV RNA 量が1,000 IU/mL 以上、初回治療または既治療(DAA 治療は除く)、eGFR 30 mL/min/1.73m2以上、非肝硬変および代償性肝硬変30、2ゲノタイプ2 型でHCV RNA 量が1,000 IU/mL 以上、初回治療または既治療(DAA 治療は除く)、クリアチニンクリアランス50 mL/分以上、非肝硬変および代償性肝硬変32の2 種が行われ、さらに治療困難例に焦点を絞って3-1:ゲノタイプ3-6 型の非肝硬変および代償性肝硬変、3-2:ゲノタイプ1または2型の
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DAA 既治療で非肝硬変および代償性肝硬変、3-3:重度の腎機能障害(eGFR 30 mL/min/1.73m2 未満)を有するゲノタイプ1または2 型でDAA 未治療かつ肝硬変、3-4:重度の腎機能障害(eGFR が30 mL/min/1.73m2 未満)を有するゲノタイプ1型または2 型でDAA 未治療かつ非肝硬変31 の4 種、以上6種の検討が行われた。投与量はすべてグレカプレビルが300mg、ピブレンタスビルが120mg であった。4-2-7-2-1.ゲノタイプ1 型(CERTAIN-1 試験)30 (図18)

CERTAIN-1 試験のゲノタイプ1 型非肝硬変症例では、スクリーニング時薬剤耐性変異のない症例について、グレカプレビル300mg/ピブレンタスビル120mg 配合錠(8 週投与)とオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠(12 週投与)との2:1 無作為割り付け比較試験が行われた。スクリーニング時NS5A- Y93H の耐性を認めた症例は全例グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠8 週投与群に割り付けられた。SVR12 率はグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠では99.1%(105/106)であったが、SVR 非達成の1 例はSVR4が確認されたもののその後来院しなかった症例であった。オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠も全例SVR(52/52)を達成した。

ゲノタイプ1 型肝硬変症例ではグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が12 週投与され、やはりSVR12 率は100%(38/38)であった。

図18 ゲノタイプ1 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の治療成績(国内第3 相試験30)

4-2-7-2-2.ゲノタイプ2 型(CERTAIN-1, CERTAIN -2 試験)32 (図19)

ゲノタイプ2 型非肝硬変症例では、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠8 週投与とソホスブビル+リバビリン併用12 週投与との2 群に2:1 で無作為割り付け比較試験が行われ、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠のSVR12 率は97.8%(88/90)であった。SVR 未達成の2 例のうち1 例は悪心・嘔吐のため投与が中止され、1 例は来院せずデータ欠測となった症例で、ウイルス学的ブレイクスルーあるいは再燃は認めなかった。ソホスブビル+リバビリン併用におけるSVR12 率は93.5%(43/46)であった。SVR 未達成3 例のうち2 例は再燃例、1 例は投与中止であった。代償性肝硬変症例ではグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が12 週投与され、全例でSVR を達成した(18/18)。
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図19 ゲノタイプ2型のC型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の治療成績(国内第3 相試験32)【Recommendation】

 DAA 未治療のゲノタイプ1、 2 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するグレカプレビル/ピ

ブレンタスビル配合錠8~12 週治療のSVR12 率は高く、国内第3 相試験では98~100%である(レベル2b)。

4-2-7-2-3.治療困難例31

治療困難例として、まずゲノタイプ3 型の非肝硬変および代償性肝硬変として12 例が登録され、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が12 週投与された結果、SVR12 率は83.3%(10/12)であった(ゲノタイプ 4-6 型の症例は国内第3 相試験には含まれなかった)。

また、eGFR が30 mL/分/1.73m2 未満である重度の腎機能障害を合併したC 型非肝硬変・代償性肝硬変として12 例(男性:女性各6 例、平均年齢 69 歳[54-78])、透析例4 例)が登録された(うち1 例は投与開始時にはeGFR が30 mL/min/1.73m2 を超えていた)。非肝硬変にはグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が8 週、肝硬変には12 週投与された。12 例中ゲノタイプ1 型は3 例(いずれも非肝硬変)で、全例SVR12 を達成した。また、ゲノタイプ2 型は9 例(非肝硬変7 例、肝硬変2 例)で、やはり全例SVR12 を達成した。

DAA 既治療例は33 例登録され、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が12 週投与された。前治療の内訳はダクラタスビル+アスナプレビル併用が30 例、シメプレビル+Peg-IFN+RBV が2 例、ソホスブビル+リバビリン併用が1 例であった。33 例全体に対するSVR12 率は93.9%(31/33)であった。不成功例2例はダクラタスビル+アスナプレビルによる前治療不成功例であり、いずれも治療開始時にNS5A 領域P32 欠失が認められた。治療開始時に認められたNS5A 領域の耐性変異としてはY93H 59.4%(19/32)、Y93F/S 6.3%(2/32)、L31F/I/M/V 81.3%(26/32)であった。治療開始時に認められたNS5A 領域耐性変異と治療効果との関連を表10 に示す。

NS3領域の何らかの変異は全体の48.4%(15/31)で認められ、D168変異はやはり48.4%に存在したが、この15 例すべてでSVR が達成されており、NS3 領域の変異は治療効果には無関係であった。NS5A 領域ではY93H、Y93F/S 変異はそれぞれ59.4%、6.3%、またL31 変異は81.3%に存在したが、やはりこの全例でSVR が達成された。一方、ベースラインでP32 欠失を認めた症例が2 例(6.3%)存在したが、この2
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例ではいずれも治療不成功となった。この2 例で投与後新たに出現したNS5 領域の変異はなかった。

表10 DAA 既治療例におけるベースラインの耐性変異と治療効果

領域アミノ酸変異頻度, % SVR12 率、% NS3 D168E/T/V 48.4 (15/31) 100

NS5A L28I/M/T/V 25.0 (8/32) 100

R30H/L/M/Q 34.4 (11/32) 100 L31F/I/M/V 81.3 (26/32) 96* P32deletion 6.3 (2/32) 0 Y93F/S 6.3 (2/32) 100 Y93H 59.4 (19/32) 100

* P32 欠失を有する症例のうち1 例はL31F をも有しており、SVR12 率は96%(25/26)である。

【Recommendation】ゲノタイプ3 型のC 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の

12 週治療のSVR12 率は83.3%である(レベル2b)。 DAA 既治療例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週投与のSVR12 率は93.9%と

高い(レベル2b、グレードB)。 DAA 既治療例のうちベースラインでNS5A 領域P32 欠失が認められた症例は2 例(6.3%)で、いず

れも治療不成功であった(レベル2b)。ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の不成功例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合

錠による再治療の適応を検討する際には、NS5A 領域P32 欠失の有無を測定することが望ましい(レベル2a、レベルB)。

4-2-7-3.安全性

グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の国内第3相試験において、副作用は332例中80例(24.1%)に認められたが、主な副作用は掻痒16 例(4.8%)、頭痛14 例(4.2%)、倦怠感10 例(3.0%)、ビリルビン増加8 例(2.4%)であった186。治験薬との関連がある有害事象のため投与中止となった症例は3 例で、悪心・嘔吐が1 例、薬疹が2 例であった。治験薬と関連した重篤な副作用はなかった。4-2-7-4.薬剤相互作用

グレカプレビルはP 糖蛋白、乳癌耐性蛋白、OATP1B1/1B3 の基質であり、阻害薬である。ピブレンタスビルはP 糖蛋白の基質であり、P 糖蛋白、乳癌耐性蛋白、OATP1B1 の阻害薬である。グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の血中濃度が上昇するため、アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)、血中濃度を低
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下させるためリファンピシン(リファジン、アプテシン、リファンピシン)、併用薬自体の血中濃度が上昇するためアトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール、アトルバスタチン、アマルエット配合錠、カデュエット配合錠)が併用禁忌となっている193。4-2-8.ソホスブビル(sofosbuvir)・ベルパタスビル(velpatasvir)

ソホスブビルはPan-genotype 型の核酸型NS5B ポリメラーゼ阻害薬であり、国内ではリバビリンとの併用でゲノタイプ2 型及び、ゲノタイプ1 型又はゲノタイプ2 型のいずれにも該当しない患者に対して、またNS5A 複製複合体阻害薬であるレジパスビルとの配合錠として、ゲノタイプ1 型および2 型に対して承認販売されている。一方ベルパタスビルはレプリコン・システムによるin vitro 試験ではピコモル単位でゲノタイプにかかわらず高い抗ウイルス活性を示し、ゲノタイプ 1a, 1b, 2a, 2b, 3a, 4a, 5a, 6a, 6e に対するEC50(nM)はそれぞれ0.014, 0.016, 0.008, 0.004, 0.004, 0.009, 0.054, 0.006, 0.130 と示されている、いわゆるPan-genotype 型のNS5A 複製複合体阻害薬である。

ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠は、米国および欧州をはじめとする諸外国ではすでに承認販売されていたが、日本国内では、非代償性肝硬変、およびDAA 治療不成功例に対する臨床試験の結果をもとに、諸外国に遅れて2019 年1 月8 日に製造販売が承認された。

ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠は、1 錠中にソホスブビル400mg、ベルパタスビル100mg を含有する。用法・用量は、非代償性肝硬変に対してはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠を1 日1 回12 週間経口投与する。リバビリンは併用しない。DAA による前治療歴を有する慢性肝炎または代償性肝硬変に対する再治療の場合には、リバビリンとの併用において1 日1 回24 週間経口投与する。リバビリンの投与量、減量・中止方法は、リバビリンの添付文書に定められた基準を用いる。4-2-8-1.海外での成績(慢性肝炎・代償性肝硬変)

ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠を用いた海外における第3 相臨床試験にはASTRAL-1 から5 までの5 試験がある。

ASTRAL-1 ではゲノタイプ1, 2, 4, 5, 6 型に対してソホスブビル/ベルパタスビル配合錠を12 週間投与した試験であり、全体のSVR12 は99% (618/624)、ゲノタイプ 1a, 1b, 2, 4, 5, 6 でそれぞれ98% (206/210), 99% (117/118), 100% (104/104), 100% (116/116), 97% (34/35), 100% (41/41)であった。肝硬変でのSVR12 は99% (120/121)、慢性肝炎では99% (496/501)であり、またNS5A 変異を伴う257 症例でのSVR12 は99% (255/257)であった194。

ASTRAL-2 では、ゲノタイプ2 型に対してソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間を投与し、SVR12 が99% (133/134)であった。肝硬変でのSVR12 は100% (19/19)、慢性肝炎では99% (114/115)であり、またNS5A 変異を伴う80 症例でのSVR12 は100% (80/80)であった195。

ASTRAL-3 では、ゲノタイプ3 型に対してソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間を投与し、SVR12 が95% (264/277)であった。肝硬変でのSVR12 は91% (73/80)、慢性肝炎では97% (191/196)であり、またNS5A 変異を伴う43 症例でのSVR12 は88% (38/43)であった195。

Special population としてASTRAL-5 ではHIV 共感染例に対してソホスブビル/ベルパタスビル配合錠
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12 週間を投与し、SVR12 が全体では95% (101/106)、ゲノタイプ 1a, 1b, 2, 3, 4 型ではそれぞれ95% (63/66), 92% (11/12), 100% (11/11), 92% (11/12), 100% (5/5)であった。肝硬変でのSVR12は100% (19/19)、慢性肝炎では94% (82/87)であり、またNS5A 変異を伴う13 症例でのSVR12 は100% (13/13)であった196。4-2-8-2. 国内試験の成績(代償性肝硬変)

代償性肝硬変に対する国内第3 相臨床試験は、HCV ゲノタイプを問わず前治療歴のない症例、NS5A 阻害剤 または、NS5B 阻害剤を含まない前治療歴を有する症例を対象に、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間が施行された197。37 例のうちゲノタイプ1a、1b、2a、2b 型の割合が、それぞれ3% (1/37)、59% (22/37)、19% (7/37)、19% (7/37)で、ゲノタイプ3-6 型の症例は含まれなかった。全体のSVR12 は、100% (37/37)で、ゲノタイプ1型、ゲノタイプ2型いずれのSVR12 も100%(23/23)、100% (14/14)であった。

【Recommendation】代償性肝硬変に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間治療の国内第3 相臨床試験

におけるSVR12 は、ゲノタイプ1、ゲノタイプ2いずれにおいても100% (ゲノタイプ1 型; 23/23, ゲノタイプ2 型;14/14)であった。

4-2-8-3.海外での成績(非代償性肝硬変)

非代償性肝硬変に対する海外の第3 相臨床試験(ASTRAL-4)は、ゲノタイプ1-6 型のChild-Pugh Bを対象とし、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間、リバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間、およびソホスブビル/ベルパタスビル配合錠24 週間の3 プロトコールで施行された。ゲノタイプ1, 2, 3, 4, 6 型の割合は、それぞれ78% (207/267)、4% (12/267)、15% (39/267)、3% (8/267)、1%以下 (1/267)であった。全体のSVR12 は、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間で83% (75/90)、リバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間で94% (82/87)、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠24 週間で86% (77/90)であり、本邦に多いゲノタイプ1b 型ではそれぞれ89% (16/18)、100% (14/14)、88% (14/16)、ゲノタイプ2 型では100% (4/4)、100% (4/4)、75% (3/4)であった。投与終了後12 週時点で、Child-Pugh スコアは、47%で改善した。MELD スコアの改善は、15 点未満の症例では51%、15 点以上の症例では81%であった198。4-2-8-4.国内試験の成績(非代償性肝硬変)(図20)

非代償性肝硬変に対する国内第3 相臨床試験は、ゲノタイプ1、2、3型のChild-Pugh B(7-9点)およびC(10-12 点)の症例を対象とし、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間、リバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間の2 群で施行された199。

102 例のうちゲノタイプ1a、1b、2、3 型の割合が、それぞれ1% (1/102)、77% (79/102)、20% (20/102)、1% (1/102)であった。全体のSVR12 は、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間で92% (47/51)、リバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間で92% (47/51)であった。ゲノタイプごとのSVR12 は、ゲノタイプ1b 型ではそれぞれ98%(39/40)、90%(35/39)、ゲノタイプ2型では89%(8/9)、
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100%(12/12)であり、Child-Pugh クラスごとのSVR12 は、Child-Pugh 分類grade B では95%(38/40)、97% (38/39)、Child-Pugh 分類grade C では80%(8/10)、70%(7/10)であった。

図20 C 型非代償性肝硬変に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の治療成績

(国内第3 相試験199)

SVR12 を達成できなかった8 例のうち6 例が再燃、2 例が早期中止例であった。早期中止の2 例は、いずれもリバビリン併用群であった。リバビリン併用なしの群では、NS5A 変異を有さない症例のSVR12 は97%(33/34)、有する症例では82%(14/17)であった。リバビリン併用群では、NS5A 変異を有さない症例のSVR12 は96%(24/25)、有する症例では96%(23/24)であった。ウイルス学的治療不成功例(再燃例)6 例の臨床背景を表11 に示す。

表11 ウイルス学的治療不成功例6 例の臨床背景199

治療薬ゲノタイプCP 分類IFN 治療歴NS5A 変異

治療前治療不成功後

SOF/VEL 3b B IFN A30K, L31M A30K, L31M

2b C PR L31M L31I/M, Y93H

1a C PR None Y93N 1b B Naïve L31L/M L31I, Y93H

SOF/VEL+RBV 1b B Naïve L28M, Y93Y/N L28M, Y93N

1b C IFN, PR+SMV None L31V, Y93H
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SVR を達成した症例において、治療終了後12 週の時点で、Child-Pugh 分類の改善が26%、増悪が2%にみられ、治療前Child-Pugh 分類grade B であった76 症例のうち19 例(25%)がChild-Pugh A に改善、2 例(3%)がC に増悪し、Child-Pugh C であった15 症例のうち5 例(33%)がChild-Pugh B に改善した。Child-Pugh 分類の改善はアルブミン値の上昇によるものが多く、Child-Pugh 分類の改善した症例のうち79%でアルブミン値が上昇していた。同様にMELD スコアも27%で改善し、15%で増悪した。また、治療終了後24週の時点で、Child-Pugh 分類の改善が37%、増悪が4%にみられ、治療前Child-Pugh 分類grade B であった75 症例のうち26 例(35%)がChild-Pugh A に改善、3 例(4%)がC に増悪し、Child-Pugh C であった15 症例のうち9 例(60%)がChild-Pugh B に改善した。

【Recommendation】非代償性肝硬変に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間治療の国内第3 相臨床試

験におけるSVR12 は、ゲノタイプ1b で98%(39/40)、2で89%(8/9)であり、Child-Pugh B では95%(38/40)、C で80%(8/10)であった。 SVR を達成した症例において、治療終了後12 週の時点でChild-Pugh 分類が26%で改善した。

4-2-8-5.海外での成績(DAA 治療不成功例)

DAA 治療不成功例に対する再治療としては、リバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠24週間による第2 相臨床試験が行われた。対象症例69 例の前治療レジメンはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が39% (27/69)、リバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が20% (14/69)、ソホスブビル/ベルパタスビル/ Voxilaprevir 配合錠(国内未承認)が41% (28/69)、前治療の期間は4-12 週であった。ゲノタイプ1a、1b、2、3型は、それぞれ46% (32/69)、7% (5/69)、20% (14/69)、26% (18/69)であった。全体のSVR12 は91% (63/69)、ゲノタイプ1、2、3型でそれぞれ97% (31/32)、93% (13/14)、78% (14/18)であった。NS5A変異を伴う症例におけるSVR12はゲノタイプ1、2、3型でそれぞれ100%(6/6)、89%(8/9)、77%(10/13)であった200。4-2-8-6.国内試験の成績(DAA 治療不成功例)

DAA 治療不成功例に対する再治療としては、リバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12週間ないしは24 週間による第3 相臨床試験が行われた201。117 例のうちゲノタイプ1a 型が3 例、1b が92 例、2a が15 例、2b が7 例であった。前治療としてのDAA 治療歴は1 回が34 例、2 回が41 例、3 回が17 例、4 回以上が25 例であった。ゲノタイプ1 型においては、82 例がダクラタスビル+アスナプレビル、14 例がレジパスビル/ソホスブビル配合錠、5 例がダクラタスビル+アスナプレビルとレジパスビル/ソホスブビル配合錠の前治療歴があり、ゲノタイプ2 型では1 例がダクラタスビル+アスナプレビル、20 例がソホスブビル、1 例がレジパスビル/ソホスブビル配合錠の前治療歴があった。NS5A の薬剤耐性変異は、ゲノタイプ1 型においては91 例に存在し、Y93 変異が80 例、L31 変異が80 例、P32 欠失変異が5例に存在していた。

全体のSVR12 は、ゲノタイプ1 型においてはリバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12
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週間で85%(40/47)、リバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠24 週間で98%(47/48)であった。ゲノタイプ2 型ではそれぞれ70%(7/10)、92%(11/12)であった。肝硬変ではSVR12 が12 週間で83%(15/18)、24 週間で100%(21/21)、慢性肝炎ではそれぞれ82%(32/39)、95%(37/39)であった。NS5Aの薬剤耐性変異別のSVR12 は、ゲノタイプ1 型に対する12 週間では、L31 変異例84%(32/38)、Y93 変異例85%(35/41)、二重変異例82%(28/34)に対して24 週治療ではそれぞれ98%(41/42)、100%(39/39)、100%(37/37)であった。一方、P32 欠失変異例では、12 週治療では100%(2/2)。24 週治療では67%(2/3)であった (図21)。

図21 ベースラインのNS5A 耐性変異および治療期間からみたゲノタイプ1 型DAA 前治療不成功

例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の治療成績(国内第3 相試験199)

【Recommendation】 DAA 治療不成功例に対するリバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠24 週間治療の

国内第3 相臨床試験におけるSVR12 は、ゲノタイプ1型では98% (47/48)、ゲノタイプ2 型では92% (11/12)であった。ゲノタイプ1 型のNS5A の薬剤耐性変異別のSVR12 は、L31 変異例98% (41/42)、Y93 変異例

100% (39/39)、二重変異例100% (37/37)であった。P32 欠失変異の5 例では、12 週治療では100% (2/2)、24 週治療では67% (2/3)、両者をあわせると80%(4/5)であった。

4-2-8-7.安全性ソホスブビルを含有しているため、重度の腎機能障害(eGFR < 30 mL/分/1.73 m2)または透析を必要と
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する腎不全の患者に対しては投与禁忌である。

非代償性肝硬変に対する国内臨床試験における有害事象発現率は、リバビリン併用なしで69% (35/51)、併用ありで86% (44/51)であったが、Grade3 以上の有害事象はリバビリン併用なしで4% (2/51)、併用ありで10% (5/51)であった。重篤な有害事象は、リバビリン併用なしで8% (4/51)、併用ありで14% (7/51)であったが、複数例で見られたものは大腿骨骨折2 例(リバビリン併用あり群2 例)、肝性脳症3 例(リバビリン併用なし群1 例、併用あり群2 例)であった。肝性脳症3 例のうち2 例はChild-Pugh C であった。3 例において肝細胞癌の発生が見られた。死亡例は3 例あり、いずれもリバビリン併用群でChild- Pugh C であり、いずれの死因も原病の進行によるものであった(食道静脈瘤出血、敗血症、肝細胞癌)。その内2 例は治療薬とは関連のない有害事象で早期に治療を中止した症例であった。

一方、DAA 前治療不成功例に対する国内臨床試験における有害事象(臨床検査値異常変動を含む)発現率は、12 週投与群で81%(46/57)、24 週投与群で75%(45/60)に認められ、副作用(臨床検査値異常変動を含む)発現率は12 週投与群で46%(26/57)、24 週投与群で35%(21/60)であった。死亡は認められなかった。重篤な有害事象は、12 週投与群では認められず、24 週投与群で4 例(肝細胞癌2 例、肝血管肉腫、肺炎各1 例)に認められたが、いずれも治験薬との関連は否定された。また、代償性肝硬変に対する国内臨床試験における有害事象発現率は38%(14/37)であった。重篤な有害事象は、1 例 (3%)に膝蓋骨骨折を認めたが、治験薬との関連は否定された。治療後12 週間の経過観察後に1 例が視床出血で死亡したが、治験薬との関連は否定された197。【Recommendation】非代償性肝硬変を対象としたソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間治療におけるGrade 3 以

上の有害事象は4%、重篤な有害事象は8%でみられた。リバビリン併用群で3 例の死亡があったがいずれもChild-Pugh C であり、死因は原病の進行によるものであった。 DAA 前治療不成功例を対象としたリバビリン併用ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠24 週間治療

においても12 間投与と比べ投与期間延長に伴う特定の事象は認められなかった。代償性肝硬変を対象としたソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間治療において、治験薬と関

連する重篤な有害事象は認められなかった。

4-2-8-8.薬物相互作用

併用禁忌薬は、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品である。ソホスブビルおよびベルパタスビルはP 糖蛋白、乳癌耐性蛋白の基質であり、ベルパタスビルはCYP2B6、CYP2C8 およびCYP3A4 により代謝され、ベルパタスビルはP 糖蛋白、乳癌耐性蛋白、OATP1B1 およびOATP1B3 を阻害するため、これらと関連する薬剤は併用注意薬となっている。5.慢性肝炎に対する治療戦略5-1.HCV セロタイプとゲノタイプ
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HCV は塩基配列の分子系統解析により、現在6 つのゲノタイプ(遺伝子型)に分類され、ゲノタイプ1型と2 型についてはそれぞれ2 つのサブタイプ(1a、1b、2a、2b)に分類される。世界的にはゲノタイプ1 ~3 型が主要な遺伝子型であるが、わが国では1b、2a、2b が主である。パンジェノ型であるグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠を除き、ゲノタイプの違いによりIFN ないしDAA に対する反応性が異なることから、治療にあたりゲノタイプを決定することが不可欠である。しかしゲノタイプ検査は保険適用がないことから、日常臨床ではセロタイプ(セログループ、群別、グルーピング)検査が繁用されている。これはHCVのNS4 領域の抗原性が遺伝子型によって異なることを利用し、この領域の特異抗原(C14-1、C14-2)を用いた抗原抗体反応によって血清学的にHCV をセロタイプ1 型・2 型の2 つのグループに分類する検査であり、ゲノタイプ1a・1b がセロタイプ1 型、ゲノタイプ2a・2b がセロタイプ2 型に相当する。C14-1、C14-2 に対する抗体のうち一方だけが認められる場合、または抗体価に2 倍以上の明らかな差が認められた場合、セロタイプの判別が可能となる。

ただし、両者に対する抗体は存在するものの、抗体価が2 倍以内であって明らかな差が認められない場合「判定保留」となる。また、両者に対する抗体が認められない場合「判定不能」と報告される。したがって、HCV RNA が陽性でゲノタイプ1 型ないし2 型であっても「判定保留」あるいは「判定不能」と報告される場合がある。「判定保留」あるいは「判定不能」という結果がそのままゲノタイプ1 型・2 型以外の3~6 型を意味するわけではないことに注意が必要である。この場合には保険適用外であるが極力ゲノタイプを測定し、ゲノタイプを決定することが推奨される。逆にHCV RNA が陰性でも抗体が残存している場合にはセロタイプが測定可能となることがある。【Recommendation】

 HCV セロタイプ(セログループ、群別、グルーピング)検査において「判定保留」ないし「判定不

能」という結果が得られた場合には、極力HCV ゲノタイプ検査を行ってゲノタイプを決定する(グレードA)。ゲノタイプ検査の結果、ゲノタイプ1 型(1a、1b)、2 型(2a、2b)、または3~6 型であれば、それぞ

れのゲノタイプに応じた治療を行う(グレードA)。

5-2.ゲノタイプ1 型5-2-1.基本的治療方針

C 型慢性肝炎に対して、従来IFN をベースとした抗ウイルス治療が行われてきたが、2014 年よりIFN フリーのDAA 併用(IFN フリー抗ウイルス治療)が使用可能となった。IFN フリー抗ウイルス治療の登場により、注射の必要がなく、治療期間が短縮され、総じて副反応も軽微となり、さらにIFN 不適格・不耐用例やIFN 無効例に対しても95%以上の症例で著効が得られるようになった。また、IFN フリー治療によるウイルス排除後の肝発癌抑制効果についても、新規肝発癌についてはIFN ベース治療と同等の発癌抑制効果が得られ、肝癌根治治療後についても抑制効果は同等であるとする報告が増加している。また2019 年3月現在、IFN と併用できるDAA は発売されていない。以上より、C 型肝炎に対する抗ウイルス治療は、ゲ
p.55
ノタイプを問わず、初回治療・再治療ともDAA 併用によるIFN フリー治療が推奨される。【Recommendation】

 C 型肝炎に対する抗ウイルス治療は、ゲノタイプを問わず、初回治療・再治療ともDAA 併用によ

るIFN フリー治療が推奨される(レベル1b、グレードA)。

5-2-2.初回治療および再治療(DAA 治療歴なし)における抗ウイルス薬の選択(図22) 5-2-2-1.初回治療

初回治療のゲノタイプ1 型症例に対する抗ウイルス治療としては、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、ならびにグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の2 レジメンを第一選択として推奨する。

また、ゲノタイプ1 型と2 型の混合感染例では、ゲノタイプを問わず有効性の高いグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が推奨される。一方、抗ウイルス治療を行わない場合、ALT が異常値であれば、肝庇護剤による治療(UDCA、SNMC)やPeg-IFN (IFN)少量投与を行う。

図22 C 型慢性肝炎・代償性肝硬変(DAA 治療歴なし)治療フローチャート

5-2-2-2.再治療(DAA 治療歴なし)

DAA を含む治療歴がなく、IFN 単独あるいはPeg-IFN(IFN)+リバビリン併用による前治療が行われ不成功であった症例に対するIFN フリーDAA 併用による再治療効果は、前治療施行時の治療反応性とは無関係である。わが国のソホスブビル/レジパスビル±リバビリン併用の国内第3 相試験では、既治療例に対するSVR24 はリバビリンを併用しない群で100%(88/88)、リバビリン併用群で100%(87/87)であった。
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また、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の国内第3 相試験でも、未治療群100%(77/77)、既治療群96.6%(28/29)であった30。ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の国内第3 相試験でもSVR12 は、未治療群100%(16/16)、既治療群100%(7/7)であった197。以上より、DAA を含まない前治療、すなわちIFN単独あるいはPeg-IFN(IFN)+リバビリン併用における治療不成功例でも、IFN フリーDAA 治療であれば高いSVR 率が期待できるため、初回治療の場合と同様の治療方針となる。【Recommendation】

ゲノタイプ1型に対する第一選択は、ソホスブビル/レジパスビル配合錠(ただし重度の腎障害が

ない場合)、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、あるいはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠(ただし重度の腎障害がない場合)である(レベル1b、グレードA)。ゲノタイプ1 型と2 型の混合感染例に対してはグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホス

ブビル/レジパスビル配合錠(ただし重度の腎障害がない場合)、あるいはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠(ただし重度の腎障害がない場合)が推奨される(レベル5、グレードB)。 DAA を含まない前治療における治療不成功例でも、IFN フリーDAA 治療であれば高いSVR 率

が期待できるため、治療方針は初回治療の場合と同様である(レベル2a、グレードA)。

5-2-3.DAA を含む前治療不成功例に対する再治療における抗ウイルス薬の選択5-2-3-1.IFN ベースDAA による前治療不成功例に対する再治療(図23)

わが国においては、ゲノタイプ1型に対するシメプレビル、バニプレビルならびにテラプレビル+Peg- IFN+リバビリン3 剤併用治療の不成功例がこれにあたる。いずれの治療においても、プロテアーゼ領域の耐性変異の存在が考えられる。このため、こうした症例に対する再治療には、プロテアーゼ阻害薬を含まないソホスブビル/レジパスビル配合錠、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠、あるいはプロテアーゼ領域のアミノ酸変異に影響を受けないグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が推奨される。【Recommendation】

シメプレビル、バニプレビルならびにテラプレビル+Peg-IFN+リバビリン3 剤併用の不成功例に対

する再治療には、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、あるいはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が推奨される(レベル2a、グレードA)。

図23 C 型慢性肝炎・代償性肝硬変(プロテアーゼ阻害薬+Peg-IFN+RBV による

前治療不成功例)治療フローチャート
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5-2-3-2.IFN フリーDAA による前治療不成功例に対する再治療(図24) 5-2-3-2-1.プロテアーゼ阻害薬+NS5A 阻害薬併用による前治療不成功例

プロテアーゼ阻害薬+NS5A 阻害薬による前治療の不成功例で、薬剤耐性変異が惹起されている症例への対応には、難易度が高い総合的な判断を要するため、このような症例の適応判断ならびに治療方針は、肝臓専門医によって検討されるべきである。

ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療をはじめとしたIFN フリーDAA 治療不成功例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の有効性を検証する国内第3 相試験が行われた。DAA 既治療例の内訳は、ゲノタイプ1 型32 例(ダクラタスビル+アスナプレビル30 例、シメプレビル+Peg-IFN+リバビリン2 例)、ゲノタイプ2 型1 例(ソホスブビル+リバビリン)の計33 例であり、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が12 週投与された。全体のSVR 率は94%(31/33)、ダクラタスビル+アスナプレビル治療不成功例に対するSVR 率は93%(28/30)と高率であった。IFN フリーDAA 治療不成功例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の成績は市販後でも確認されている202。また、DAA 前治療不成功例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の国内第3 相試験では、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリンの24 週投与により、ダクラタスビル+アスナプレビル治療不成功40 例中39 例(98%)でSVR12 が得られた201。

このため、現時点では、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の不成功例に対する再治療においては、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の12 週投与、あるいはソホスブビル/ベルパタスビ
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ル配合錠+リバビリンの24 週投与が第一選択である。ただし、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、およびソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリン臨床試験の対象は少数であったため、治療前の薬剤耐性変異が両レジメンによる治療効果に及ぼす影響については、今後、市販後の治療成績が十分に検討される必要がある。

図24 C 型慢性肝炎・代償性肝硬変(IFN フリーDAA による

前治療不成功例)治療フローチャート

特に、ダクラタスビル+アスナプレビル併用不成功例(30 例)において、ベースラインにおけるNS5A 領域P32 欠失を2 例に認めたが、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠による治療が不成功となったのは、このP32 欠失が存在した2 例だけであった。一方、DAA 前治療不成功例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の国内第3 相試験では5 例にP32 欠失を認めたが、このうち12 週投与の2 例中2 例、24 週投与の3 例中2 例でSVR12 が得られた。NS3 プロテアーゼ阻害薬と
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NS5A 阻害薬で前治療を行い不成功となった例ではL31 やY93 以外にP32 欠失やA92 など多彩な変異が出現する。ことにP32 欠失は、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例の5%程度に検出されると報告されていることに加え、オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、エルバスビル+グラゾプレビル併用による不成功例でも出現し、NS5A 阻害薬に対して強い耐性を示す203-207。またP32 欠失以外の変異が治療効果低下に関与する可能性がある。従って、ダクラタスビル+アスナプレビル併用、およびそれ以外のレジメンによるDAA 前治療不成功例に対するDAA 再治療を検討する際には、NS3/4A ならびにNS5A 領域の薬剤耐性変異、ことにP32 欠失の有無を測定した上で、肝臓専門医によって慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。

一方、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の市販後治療成績として、概ね60~70%のSVR12 率が報告されている208。しかし施設によって治療成績には差異があり、またソホスブビル/レジパスビル配合錠によって治療不成功となった場合に生じ得る耐性変異がその後の治療に対して及ぼす影響については結論が出ていない。したがって、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の不成功例に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠の使用は推奨されない。

AMED 研究班(ウイルス性肝炎の薬剤耐性が及ぼす病態変化及びその治療に関する研究、研究代表者:黒崎雅之)により、DAA 治療が不成功となった症例に対する再治療の成績が報告されている。

ゲノタイプ1b でNS5A のP32 欠損変異例を有する53 症例に対する再治療のレジメンごとの症例数と成績は以下の通りであった:1GLE/PIB(12 週)10 例のSVR 率は10%、2SOF/VEL+RBV(24 週)25例のSVR 率は92%、3SOF/LDV(12 週)18 例のSVR 率は67%。

GLE/PIB による初回治療が不成功であった症例に対するSOF/VEL+RBV(24 週)での再治療、GLE/PIB(12週)での再治療の成績も報告されている。1SOF/VEL+RBV(24週)で再治療を受けた104例のゲノタイプごとの例数と成績は以下の通りであった:ゲノタイプ2 型81 例のSVR 率は99%、ゲノタイプ3 型9 例のSVR 率は100%、P32 欠損変異を有する2 例を含むゲノタイプ1b 型14 例のSVR 率は100%。2GLE/PIB(12 週)で再治療を受けた14 例の全例が初回治療のGLE/PIB は8 週投与であり、ゲノタイプごとの例数と成績は以下の通りであった:ゲノタイプ2 型11 例のSVR 率は91%、ゲノタイプ1b型3 例(いずれもNS5A のP32 欠損変異なし)の SVR 率は100%。

DAA 治療不成功になった症例に対する再治療の国内外からの報告には、GLE/PIB が不成功となった症例に対する再治療201, 209 や、ゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異のあるDAA 治療不成功例に対する再治療210-213 が少数例含まれるが、前者は2 論文の合計で8 例、後者は4 論文の合計で6 例である。またGLE/PIB が不成功となった症例に対するGLE/PIB による再治療については2 症例の症例報告があるのみである214。

GLE/PIB 不成功例に対する再治療は、Izumi らの論文ではゲノタイプ1b の2 例に対してSOF/VEL+RBV12 週で再治療してSVR が(2/2)、3 例に対してSOF/VEL+RBV24 週で再治療してSVRが(2/3) 201、Flisiak らの論文ではゲノタイプ 3 の3 例に対してvoxilaprevir/velpatasvir/sofosbuvir で再治
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療してSVR が(3/3)であった。P32 欠損変異のあるDAA 治療不成功例に対する再治療は、Ikeda らの論文では1 例に対してLDV/SOF+RBV で再治療しSVR が(1/1) 210、Suda らの論文では1 例に対してLDV/SOF+RBV で再治療しSVR が(1/1) 211、Akuta らの論文では3 例に対してLDV/SOF で再治療しSVR が(1/3)212、Umeura らの論文では1 例に対してIFN-β で lead-in したのちにSOF/LDV で治療しSVR が(0/1)であった213。症例報告はゲノタイプ2 型で8 週以下のGLE/PIB 治療で不成功になった2症例に対してGLE/PIB12 週で再治療してSVR が(2/2)であった214。

このようにGLE/PIB が不成功となった症例や、ゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異のあるDAA 治療不成功例に対する再治療に関するデータは極めて少ないため、同研究班で示された成績が最も症例数が多い。また、同研究班はこれらの成績を踏まえExpert Opinion を取りまとめ、以下のように報告した。1初回治療としてGLE/PIB が不成功となった症例に対しては、SOF/VEL+RBV(24 週)が推奨される。ただし、初回治療のGLE/PIB 治療期間が8 週以下、かつ、ゲノタイプ2 型またはゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異が陰性の症例において、RBV の使用が困難な場合には、GLE/PIB(12 週)も選択肢として考慮可能である。2ゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異のあるDAA 治療不成功例に対しては、SOF/VEL+RBV(24 週)が推奨される。ただしRBV の使用が困難な場合には、SOF/LDV(12 週間)による再治療も選択肢として考慮可能である。

GLE/PIB が不成功となった症例に対する再治療、およびゲノタイプ1b でP32 欠損変異のあるDAA 治療不成功例に対する再治療に関する信頼性の高い大規模データはないため、今後も知見を継続的に積み重ねて、最適な再治療レジメンを検討する必要がある。

【Recommendation】

 IFN フリーDAA による前治療(ダクラタスビル+アスナプレビル併用、オムビタスビル/パリタプレビ

ル/リトナビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、エルバスビル+グラゾプレビル併用)を行い不成功となった例ではL31 やY93 以外にP32 欠失やA92 など多彩な変異が出現する。ことにP32 欠失はNS5A 阻害薬に対して強い耐性を示し、P32 欠失以外の変異も治療効果低下に関与する可能性がある(レベル2a)。従って、DAA 前治療不成功例に対する再治療を検討する際には、NS3/4A ならびにNS5A 領域

の薬剤耐性変異、ことにP32 欠失の有無を測定した上で、肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する(レベル6、グレードA)。プロテアーゼ阻害薬+NS5A 阻害薬(ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療)の不成功例に対

する再治療においては、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週投与、あるいはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリン併用24 週投与が第一選択である(レベル2a、グレードB)。ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の不成功例に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠

の使用は推奨されない(グレードD)。
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5-2-3-2-2.ソホスブビル/レジパスビル配合錠による前治療不成功例

実臨床におけるソホスブビル/レジパスビル配合錠のSVR12 率が諸施設から報告されている。これによればSVR12 率は概ね95~100%であり、少数例ではあるがソホスブビル/レジパスビル配合錠による治療不成功例が存在する。一方グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠については市販後の臨床試験でソホスブビル/レジパスビル配合錠治療不成功例に対する有効性が示されつつある203-207。また、DAA 前治療不成功例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の国内第3 相試験では、ソホスブビル/レジパスビル配合錠治療不成功例が11 例組み入れられ、全例(100%)でSVR12 が達成された201。従って、ソホスブビル/レジパスビル配合錠の治療不成功例に対しては、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週投与、またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリン24 週投与を推奨する。【Recommendation】

ソホスブビル/レジパスビル配合錠による治療不成功例に対しては、グレカプレビル/ピブレンタ

スビル配合錠12 週投与、またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリン24 週投与を推奨する(レベル2a、グレードB)。

5-3.ゲノタイプ2型5-3-1.基本的治療方針

ゲノタイプ1 型同様、IFN フリー治療の登場により、注射の必要がなく、治療期間が短縮され、副反応も軽微となり、さらに有効性も向上した。SVR 達成後の肝発癌抑制効果についても徐々にエビデンスが集積されつつあり、現時点でC 型肝炎に対する抗ウイルス治療は、ゲノタイプ2 型においても、初回治療、再治療ともDAA 併用によるIFN フリー治療が施行されるべきである。また、ゲノタイプ1 型と2 型の混合感染例では、すべてのゲノタイプに有効なパンジェノ型であるグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠、またはソホスブビル/レジパスビル配合錠が推奨される。一方、抗ウイルス治療を行わない場合、ALT が異常値であれば、肝庇護剤による治療(UDCA、SNMC)やPeg- IFN (IFN)少量投与を行う。5-3-2.初回治療および再治療(DAA 治療歴なし)における抗ウイルス薬の選択(図19)

ゲノタイプ2 型の初回治療・再治療のいずれにおいてもグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠(ただし重度の腎障害がない場合)、またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠(ただし重度の腎障害がない場合)が第一選択である。また、ゲノタイプ1 型と2 型の混合感染例では、ゲノタイプを問わず有効性の高いグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠が推奨される。抗ウイルス治療を行わない場合、ALT が異常値であれば、肝庇護剤による治療(UDCA、SNMC)やPeg-IFN (IFN)少量投与を行う。【Recommendation】

ゲノタイプ2 型に対する第一選択はグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル/レジ

パスビル配合錠(ただし重度の腎障害がない場合)あるいは、ソホスブビル/ベルパタスビル配合
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錠(ただし重度の腎障害がない場合)である(レベル1b、グレードA)。初回治療でもDAA を含む治療歴のない症例での再治療でも有効性に差はない(レベル1b、グ

レードA) ゲノタイプ1 型と2 型の混合感染例に対してはグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホス

ブビル/ベルパタスビル配合錠、あるいはソホスブビル/レジパスビル配合錠が推奨される(レベル5、グレードB)。

5-3-3.DAA を含む前治療不成功例に対する再治療における抗ウイルス薬の選択5-3-3-1.IFN ベースDAA による前治療不成功例に対する再治療

前治療テラプレビル+Peg-IFN+リバビリン併用による不成功例に対しても、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠あるいはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が推奨される。5-3-3-2.IFN フリーDAA による前治療不成功例に対する再治療

多施設共同研究による実臨床におけるゲノタイプ2 型に対するソホスブビル+リバビリン併用治療のSVR12 率は94%(144/153 例)と報告されており215、その他各施設からの報告でもソホスブビル+リバビリン併用のSVR12 率は概ね90~100%となっている。

ソホスブビル+リバビリン併用治療不成功例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の有効性を検証する市販後国内多施設共同研究の結果が発表されている216。ゲノタイプ2 型でソホスブビル+リバビリンによる前治療不成功であった13 例(慢性肝炎7 例・肝硬変6 例、年齢中央値65 歳)に対してグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週投与が行われ、全例でSVR12 が達成された。また、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の国内第3 相試験でもゲノタイプ2 型ソホスブビル+リバビリン治療不成功例11 例が組み込まれ、10 例(91%)でSVR12 が達成された。以上より、ソホスブビル+リバビリン併用の治療不成功例に対してはグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週投与、あるいはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリン24 週投与を推奨する。【Recommendation】

ソホスブビル+リバビリン併用の治療不成功例に対してはグレカプレビル/ピブレンタスビル配合

錠12 週投与、あるいはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリン24 週投与を推奨する(エビデンスレベル2a、グレードB)。

6.肝硬変に対する治療戦略6-1.基本的治療方針

肝予備能が保たれ、黄疸、腹水、肝性脳症、胃・食道静脈瘤出血などの肝不全症状がない状態を代償性肝硬変、肝不全症状を伴う状態を非代償性肝硬変と呼ぶ。高度の肝線維化進行がみられる肝硬変は、肝発癌の高リスク群である。また、肝発癌をまぬがれても肝不全に進展すれば生命予後が不良とな
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る。したがって、肝硬変の治療目的は肝発癌と肝不全の両者を抑制することにあり、代償性肝硬変では積極的な抗ウイルス治療の必要性が高い。代償性肝硬変に対する抗ウイルス治療によりウイルスの排除が得られれば、肝発癌や肝不全の発生を抑制することが期待できる7。

しかし、元来肝線維化進展例はIFN 抵抗性であり、加えて肝硬変に合併する脾機能亢進症による汎血球減少がIFN 治療の障害となるため146, 147、IFN ベース治療が抗ウイルス治療の中心だった時代には肝硬変症例におけるHCV 排除は困難であった。一方、2014 年以降IFN フリーDAA 製剤が次々と承認・発売され、ゲノタイプ1 型・2 型C 型代償性肝硬変に対して保険適用となったことから、肝硬変患者においても慢性肝炎同様IFN フリーのDAA によるHCV 排除が可能となった。ただし、わが国ではいずれのレジメンにおいても非代償性肝硬変に対する投与は適用外であり、Child-Pugh 分類grade B 症例に対する使用も避けるべきである。特にNS3 阻害薬は非代償性肝硬変では血中濃度が著しく上昇するため、NS3 阻害薬を含むレジメンは禁忌である。また市販後の成績では、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠、ソホスブビル+リバビリン併用いずれも代償性肝硬変症例において重篤な副作用や死亡例が報告されており、代償性肝硬変症例における抗ウイルス治療であっても副作用の発現に十分注意する必要がある。

一方、非代償性肝硬変に対しても2019 年1 月ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が製造販売承認され、抗ウイルス治療が可能となった。【Recommendation】

 C 型代償性肝硬変では、肝発癌と肝不全の抑制を目指して積極的にIFN フリーDAA 製剤による

抗ウイルス治療を行う(レベル1a、グレードA)。市販後の成績では、代償性肝硬変症例において重篤な副作用や死亡例が報告されており、肝予

備能が低下した代償性肝硬変症例における抗ウイルス治療では副作用の発現に十分注意する必要がある(レベル5、グレードA)。

6-2.ゲノタイプ1 型6-2-1.Peg-IFN+リバビリン併用治療

わが国においては、2011 年より代償性肝硬変に対してPeg-IFNα-2b またはPeg-IFNα-2a とリバビリンの併用治療が、ウイルス量やゲノタイプにかかわらず保険適用となった。しかし、IFN フリー治療が中心となっている現在では、慢性肝炎同様IFN ベース抗ウイルス治療はDAA 治療不成功例における多剤耐性獲得などの特殊な場合を除き、推奨されない。代償性肝硬変に対するPeg-IFNα-2b の標準投与量は1.0μg/kg/週、Peg-IFNα-2a の標準投与量は90μg/週である。6-2-2.ソホスブビル/レジパスビル配合錠

わが国における国内第3 相試験では、ソホスブビル/レジパスビル配合錠±リバビリン併用12 週投与が行われ、ゲノタイプ1 型C 型代償性肝硬変の初回治療例でのSVR 率は、ソホスブビル/レジパスビル群で100%(13/13 例)、リバビリン併用群で92%(11/12 例)であり、既治療例では、いずれも100%(28/28
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例)、100%(23/23 例)であった。また、ソホスブビル/レジパスビル配合錠併用では、有害事象による投与中止は認めなかった。この結果を受けて、わが国では、初回治療、再治療にかかわらず、ソホスブビル/レジパスビル配合錠(12 週投与)が保険適用となっている。なお、ソホスブビル/レジパスビル配合錠は非代償性肝硬変症例に対する保険適用がなく、安全性も確認されていない。6-2-3.グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠

グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の国内第3 相臨床試験では、代償性肝硬変に対してオープンラベルでグレカプレビル(300mg)/ピブレンタスビル(120mg)の12 週投与が行われた。その結果、SVR12 率はゲノタイプ1 型100%(38/38 例)であり、慢性肝炎例と同様良好な治療成績が得られた。安全性にも大きな問題はなく、問題となるような副作用はみられなかった。ただし、やはり非代償性肝硬変は国内臨床試験の対象となっておらず、Child-Pugh 分類grade B およびC 症例における安全性は確認されていない。添付文書上禁忌として記載されているのはChild-Pugh 分類grade C のみであるが、Child- Pugh 分類grade B 症例へのグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠使用も避けるべきである。6-2-4.ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の代償性肝硬変に対する国内第3 相臨床試験では、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間投与が施行された197。その結果、ゲノタイプ1型のSVR12 は100% (23/23))と良好な治療成績が得られた。安全性にも大きな問題はなく、問題となるような副作用はみられなかった。6-2-5.ゲノタイプ1 型における抗ウイルス治療の選択(図22)初回治療および再治療(DAA 治療歴なし)のいずれにおいても、慢性肝炎同様にソホスブビル/レジパスビル配合錠、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が第一選択である。ただし、重度の腎障害がある症例、透析例ではソホスブビル/レジパスビル配合錠、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠は禁忌である。また、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠以外のIFNフリーレジメンはChild-Pugh 分類grade B またはC の症例には使用すべきではない。ゲノタイプ1 型と2 型の混合感染例では、慢性肝炎同様ゲノタイプを問わず有効性の高いグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が推奨される。抗ウイルス治療を行ってもウイルス排除が得られない場合、あるいは抗ウイルス治療の適応がない場合に、ALT 値が異常(30 U/L 超)である症例では肝庇護剤による治療(UDCA、SNMC)、あるいはPeg-IFN(IFN)少量投与を行う。肝硬変に対するIFN またはPeg-IFN の少量維持治療は、肝病変の進展阻止および肝発癌の抑制に有用である可能性が示されている34, 36, 217。しかし、すべての症例で効果が得られるわけではなく、効果がみられない場合は治療中止基準に従って治療を中止する。

【Recommendation】

 ゲノタイプ1 型の代償性肝硬変では、初回治療および再治療(DAA 治療歴なし)のいずれにおい

ても、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、またはソホ
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スブビル/ベルパタスビル配合錠が第一選択である。(レベル1a、グレードA)。 ソホスブビル/レジパスビル配合錠、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠はChild-Pugh 分類

grade B またはC の症例には禁忌ないし使用すべきではない(グレードD)。 グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠のChild-Pugh 分類grade B およびC 症例における

安全性は確認されていない。Child-Pugh 分類grade B およびC 症例へのグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠使用は避けるべきである(グレードD)。 重度の腎障害がある症例、透析例ではソホスブビル/レジパスビル併用治療、ソホスブビル/ベル

パタスビル配合錠は禁忌である(グレードD)。

6-3.ゲノタイプ2型6-3-1.グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠

グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠はゲノタイプを問わず有効性が高い。グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の国内第3 相臨床試験では、12 週投与によりゲノタイプ2 型でも100%(18/18 例)のSVR12 率であった。ただし、Child-Pugh 分類grade B およびC 症例へのグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠使用も避けるべきである。6-3-2.ソホスブビル/レジパスビル配合錠

国内第3 相試験でのC 型代償性肝硬変でのSVR 率は89%(16/18 例)、初回治療では92%(11/12例)、既治療では83%(5/6 例)であった178。また、肝硬変の有無により副作用の発現頻度と重篤度に大きな差はなかった。Child-Pugh 分類grade B およびC 症例へのソホスブビル/レジパスビル配合錠使用は避けるべきである。6-3-3.ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の代償性肝硬変に対する国内第3 相臨床試験では、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間投与が施行された197。その結果、ゲノタイプ2型のSVR12 は100% (14/14))と良好な治療成績が得られた。安全性にも大きな問題はなく、問題となるような副作用はみられなかった。6-3-4.ゲノタイプ2型における抗ウイルス治療の選択(図22)

ゲノタイプ2型の代償性肝硬変ではソホスブビル/レジパスビル配合錠、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠(12 週投与)またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が推奨される。ただし、重度の腎障害がある症例、透析例ではソホスブビル/レジパスビル配合錠ならびにソホスブビル/ベルパタスビル配合錠は禁忌である。また、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠はChild-Pugh 分類grade B またはC の症例には使用すべきではない。

いずれの場合においても、抗ウイルス治療によってウイルス排除が得られない場合、IFN 治療への忍容性がない場合、ALT が異常値であれば、肝庇護剤による治療(UDCA、SNMC)を行う。また、肝炎鎮静化を目指したPeg-IFN (IFN)少量投与も選択肢となる。ただし、効果がみられない場合は治療中止基準
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に従って治療を中止する。

【Recommendation】

 ゲノタイプ2型の代償性肝硬変ではグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル/レジ

パスビル配合錠ならびにソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が推奨される(エビデンスレベル1a、グレードA)。 ソホスブビル/レジパスビル配合錠、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠はChild-Pugh 分類

grade B またはC の症例には禁忌ないし使用すべきではない(グレードD)。 グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠のChild-Pugh 分類grade B およびC 症例における安全

性は確認されていない。Child-Pugh 分類grade B およびC 症例へのグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠使用は避けるべきである(グレードD)。 重度の腎障害がある症例、透析例ではソホスブビル/レジパスビル配合錠ならびにソホスブビル/

ベルパタスビル配合錠は禁忌である(グレードD)。

6-4.非代償性肝硬変に対する抗ウイルス治療(図26)

非代償性肝硬変に対する抗ウイルス治療は、当初、わが国ではいずれのDAA 治療のレジメンにおいても適用外であり、Child-Pugh 分類grade B 症例に対する使用も避けるべきとされていたが、2019 年1月、わが国において、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠が非代償性肝硬変に対して製造販売承認された。国内臨床試験の結果は、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間投与における全体のSVR12 率は92%であり、Child-Pugh 分類grade B 症例で95% (38/40)、Child-Pugh 分類grade C 症例で80% (8/10)であった199。もっとも、この試験ではChild-Pugh 分類grade C の症例は10 例のみであり、さらにChild-Pugh スコア13~15 点は1 例も含まれず、全例が10~12 点であった。また、対照としてリバビリン併用のソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間投与が51 例に行われたが、このうちChild- Pugh 分類grade C 症例の3 例が原病の進行により死亡した(食道静脈瘤出血、敗血症、肝細胞癌)。

したがって、現時点では、Child-Pugh 分類grade C 症例の中でもChild-Pugh スコア13~15 点の症例に対する同薬剤の安全性の検証は十分ではないため、こうした症例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠投与については、当面、肝臓専門医によって治療方針が決定されるべきであり、投与の場合には極めて慎重な経過観察が望ましい。

また、DAA 前治療不成功例に対してソホスブビル/ベルパタスビル配合錠を使用する場合、慢性肝炎・代償性肝硬変であればソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリン併用24 週が選択される。しかし、重度肝障害症例に対するリバビリンの使用は禁忌であるため、DAA 前治療不成功であった非代償性肝硬変ではソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリンの併用は保険適用外であり、使用すべきでない。一方、このような症例に対してソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週投与は肝臓専門医の判断において選択肢となる。しかし、非代償性肝硬変に対してソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12
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週投与を行った国内第3 相試験ではNS5A 阻害薬を含むDAA 前治療不成功例は除外されており、その有効性は明らかになっていない199。この場合もChild-Pugh スコア13~15 点の症例に対して投与する場合には極めて慎重な経過観察が望ましい。

図26 C 型非代償性肝硬変治療フローチャート

【Recommendation】

ソホスブビル/レジパスビル配合錠、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の非代償性肝硬変に

対する使用は適用外であり、Child-Pugh 分類grade B 症例に対する使用も避けるべきである。特にNS3 阻害薬を含むレジメンは禁忌である(グレードD)。非代償性肝硬変に対してはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週投与が選択肢となる(レベ

ル2a、グレードB) ただし現時点では、Child-Pugh 分類grade C 症例の中でもChild-Pugh スコア13~15 点の症例

に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週投与の安全性は十分担保されていない。こうした症例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠投与については、当面、肝臓専門医によって治療方針が決定されるべきであり、投与の場合には極めて慎重な経過観察が望ましい(レベル2a、グレードC1)。重度肝障害症例に対するリバビリンの使用は禁忌であるため、DAA 前治療不成功であった非代

償性肝硬変ではソホスブビル/ベルパタスビル配合錠+リバビリン併用24 週投与は保険適用外であり、使用すべきでない(グレードD)。 DAA 前治療不成功であった非代償性肝硬変に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週

投与は肝臓専門医の判断において選択肢となる。しかし、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12
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週投与の国内第3 相試験ではNS5A 阻害薬を含むDAA 前治療不成功例は除外されており、有効性は明らかになっていない(レベル2a、グレードC1)。

7.special population に対する治療戦略7-1.HBV 共感染例

C 型慢性肝炎にB 型肝炎感染を合併する頻度は海外では2~10%と報告されているが218、これは日本よりHBV の侵淫度の高い国のデータであり、国内での頻度はこれよりも低いと考えられる。B 型肝炎を合併したC 型肝炎の場合、増殖の盛んなウイルスはどちらか一方だけであることが一般的である。これはウイルス相互の干渉作用によるものと説明されている。C 型肝炎の活動性が強く、HBV の増殖は抑制されている場合が多い219。どちらのウイルスが肝障害の原因となっているかについては、臨床経過を観察し、それぞれのウイルス量の変動と肝機能の変動との関係から判断する220。

HBV 共感染ではHCV 単独感染よりも線維化が進展しやすく、肝硬変への進行の頻度も高いため221、より積極的な治療が望ましい。従来、HBV 共感染を伴ったC 型慢性肝炎に対しては、HCV 単独感染同様、Peg-IFN+リバビリン併用が行われてきたが222、共感染例での奏効率は、単独感染例と同等あるいは少し低いとされてきた222。今後は、HCV 単独感染例同様、IFN フリーDAA 併用による治療が推奨される。治療適応に関してはHCV 単独感染例と同様である66。

ただし、HBV とHCV の重複感染例、あるいは現時点におけるHBV 感染がないHBV 既往感染例におけるHCV 感染例に対して、HCV に対する抗ウイルス治療を単独で行うと、HBV の再活性化および重症肝炎が起こる可能性があり、厳重な注意が必要である。Peg-IFN+リバビリン併用治療を行うと、HBV の再活性化が約3 割の症例で起こることが報告されている223, 224。IFN フリーのDAA 併用では、海外からソホスブビル+シメプレビル併用治療やソホスブビル/レジパスビル併用治療の施行例において、IFN 同様、HCV 排除後にHBV の再活性化およびそれに伴う重症肝炎が生じたと報告されており、症例の中にはHBV 既往感染例も含まれている225, 226。また国内でも、HBs 抗原陽性のHBV 共感染例に対するダクラタスビル+アスナプレビル併用治療開始後、HCV RNA 量が低下する一方でHBV 再活性化が生じたという事例が生じており227、死亡例も報告されている228。こうした症例ではHCV 感染がHBV の増殖を抑えていたものと考えられる。したがって、HBV 共感染例、あるいはHBV 既往感染例に対する抗HCV 治療においてはHBV の再活性化に厳重な注意が必要である。まず、HCV に対する抗ウイルス治療施行前には、HBV 共感染ないし既往感染の有無を確認し、HBV 共感染であることが判明した症例では、抗HCV 治療前および治療中にHBV DNA 量などHBV マーカーをモニタリングし、HBV DNA 量の上昇がみられた場合には核酸アナログを投与する66, 225。また、ALT の上昇時には抗HCV 治療中でなくともHBV の再活性化の可能性を考え、HBV DNA 量を測定することが望ましい。さらに既往感染例でも、抗HCV 治療中のALT 上昇時など、必要に応じてHBV 検査を行い、再活性化が判明した場合には核酸アナログを投与する。ことに免疫抑制状態にある患者の場合は治療終了後に再活性化がみられる可能性があり注意が必要である。
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なお、ソホスブビル/レジパスビル併用治療では、薬剤相互作用によってB 型肝炎に対して投与されているテノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩の血中濃度が上昇する可能性があり、共感染の場合には注意しなければならない。一方、共感染例に対する抗HCV 治療中にHBs 抗原量が減少する例もあるが、その多くはベースラインのHBs 抗原量の少ない例である229。治療5 年後に30%の症例でHBs 抗原が消失したという報告もある230。さらに肝細胞癌の発生も抑えられることが報告されている231。【Recommendation】

 HBV 共感染ではHCV 単独感染よりも線維化が進展しやすく、肝硬変への進行の頻度も高いた

め、より積極的な治療が望ましい(レベル2b、グレードA)。 HBV 共感染例に対してはHCV 単独感染例同様IFN フリーDAA 併用による治療が推奨される(レ

ベル2b、グレードA)。 HCV に対する抗ウイルス治療施行前には、HBV 共感染ないし既往感染の有無を確認する(レベ

ル5、グレードA)。 HBV 共感染例に対する抗HCV 治療においては、HBV の再活性化に厳重な注意が必要である。

抗HCV 治療前および治療中にHBV DNA 量などHBV マーカーをモニタリングし、HBV DNA 量の上昇がみられた場合には核酸アナログを投与する(レベル5、グレードA)。 HBV 既往感染例に対する抗HCV 治療においてもHBV の再活性化には注意が必要である(レベ

ル5、グレードB)。抗HCV 治療中のALT 上昇時など、必要に応じてHBV 検査を行い、再活性化が判明した場合には核酸アナログを投与する(レベル5、グレードA)。

7-2.HIV 共感染例7-2-1.疫学と自然経過

わが国におけるHIV 感染患者のうちHCV 重複感染の頻度は約20%である232。HCV 重複感染の頻度は感染経路によって大きく異なり、HIV 合併血友病患者で97%に、また男性同性愛者で4%にHCV 重複感染を認める。HIV 感染症に対する多剤併用治療(highly active antiretroviral therapy; HAART、最近ではantiretroviral therapy; ART)の進歩によって日和見感染などのエイズ関連死は減少し、非エイズ関連死が増加している。欧米の報告では、肝疾患関連死は非エイズ関連死の中でも悪性腫瘍に次いで2 番目に多く233、その大半は肝炎ウイルス、中でもHCV によるものと想定される。しがたってHIV に合併するHCV に対する治療はHIV 感染症対策の中でも重要な位置を占めている。HCV 感染症の側からHIV 感染者の割合を調べた成績はないが、薬物静注者においてはHCV 感染者の約7 分の1 がHIVに感染しているという成績がある234。

HIV 感染症の合併がある場合、C 型肝炎単独よりも線維化が進展しやすく、肝硬変の頻度もより高いことを多くの解析が示しているため235-237、より積極的な治療が望ましい。

日本におけるHIV 共感染例のうち700 人程度は血液製剤の使用による感染例である。こうした例ではゲノタイプ1a 型や3a 型といった、HCV 単独感染例では1~2%に認められるにすぎない遺伝子型が10%
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以上に認められる。複数の遺伝子型が混在している場合もある238。抗HCV 治療のレジメンは遺伝子型により異なることを鑑みると、HIV 共感染例に対する抗HCV 治療を行う際は、特に血液製剤による感染例では事前にHCV ゲノタイプ測定(保険適用外)を行い、適切な抗HCV 治療を選択することが推奨される。7-2-2.HIV 共感染例に対する抗ウイルス治療7-2-2-1.IFN ベース抗ウイルス治療

HIV 共感染のC 型慢性肝炎に対しては単独感染同様Peg-IFN+リバビリン併用が標準治療であった。治療により非代償期への進展抑止、肝細胞癌発生抑止、肝疾患関連死を減少させることができる239-241。しかしながら抗ウイルス効果はHCV 単独感染例に比べ低かった242, 243。その理由としては樹状細胞機能の低下、IP-10 の産生低下、IL28B の遺伝子多型244、アドヒアランスの低さなどが挙げられている。

プロテアーゼ阻害薬とPeg-IFN+リバビリン併用治療との併用に関してはテラプレビルとの併用245、シメプレビルとの併用246の成績が報告されている。いずれもHCV 単独感染に比べSVR 率はやや低かった。7-2-2-2.IFN フリー抗ウイルス治療

ソホスブビルはHIV 共感染例に対しても高い効果を示す。海外の報告によれば、ゲノタイプ1 型の症例ではソホスブビル/レジパスビル併用治療(12 週間)により、治療歴の有無にかかわらず95%以上のSVR が得られるとされている247, 248。また、ゲノタイプ2 型症例ではソホスブビル+リバビリン併用治療(12週間)により、治療歴の有無にかかわらず90%以上のSVR が得られる249, 250。つまり、HCV ゲノタイプ1型・2 型に関しては、HCV 単独感染とHIV 共感染の治療効果に差は認めない。ただし、HCV 単独感染例と同様、肝硬変を背景肝疾患に持つ場合、特に前治療無効例での治療効果はやや低い。7-2-2-3.DAA を抗HIV 治療と併用する際の注意

DAA 併用治療に用いるプロテアーゼ阻害薬(アスナプレビル、パリタプレビル、グラゾプレビル、グレカプレビル)は抗HIV 薬との相互作用があるため、HIV 感染に対する治療には、これらの薬剤と薬剤相互作用の問題がない抗HIV 薬(ラルテグラビル、ドルテグラビルなどのインテグラーゼ阻害薬、テノホビル/エムトリシタビン、ラミブジンなど一部の核酸型逆転写酵素阻害薬)を選択することが推奨される。また、NS5A 複製複合体阻害薬であるレジパスビルは、抗HIV 薬としても使用されるテノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩の血中濃度を上昇させることが報告されている。いずれにしても抗HIV 薬との併用に関しては、国外のガイドライン(アメリカ肝臓学会ガイドラインなど)を参照の上、HIV の専門家に相談して行うことが推奨される。【Recommendation】

 HIV 共感染に対してはIFN フリーDAA 製剤が第一選択である(レベル2a、グレードA)。 HCV 単独感染例と同一のレジメンで治療を行う(レベル2a、グレードC1)。 DAA の選択にあたっては薬剤相互作用に十分に留意する(レベル2a、グレードC1)。
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7-3.ゲノタイプ3~6 型

前述の通り、HCV のゲノタイプ検査には保険適用がなく、日常臨床ではセロタイプ(セログループ、群別、グルーピング)検査が繁用されている。ゲノタイプ3~6 型の場合セロタイプ検査では「判定保留」あるいは「判定不能」が得られる。ただし、ゲノタイプ1 型ないし2 型でも「判定保留」あるいは「判定不能」という結果となることがあるため、「判定保留」あるいは「判定不能」という結果となったからといってすぐにゲノタイプ3~6 型と即断するのではなく、極力ゲノタイプ検査を行うべきである。「判定保留」あるいは「判定不能」の場合の治療推奨を表12 に示す。7-3-1.ゲノタイプ3 型

ゲノタイプ3 型は南アジアや欧州では最も多い遺伝子型である。わが国ではゲノタイプ3 型の患者はごく少数であるが、血液製剤によるHCV 感染者では15%程度にみられる。ゲノタイプ3 型の症例は高率に脂肪肝を伴い251、線維化の進展も速く252、また肝細胞癌のリスクも高い253。Peg-IFN+リバビリン併用の治療効果が不良であるため254、IFN フリーDAA 治療の役割が他のゲノタイプ以上に期待される。

2017 年9 月に承認されたグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠はパンジェノ型であり、ゲノタイプ1 ~6 型すべてに有効性が認められる。わが国ではゲノタイプ3 型に対し第3 相試験が行われ、DAA 未治療の慢性肝炎・肝硬変それぞれ10 例、2 例に対しグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週投与が行われた結果、SVR12 率は80%(8/10)、100%(2/2)であった。海外における第3 相臨床試験のSURVEYOR-II では、ゲノタイプ3 型に対してグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週間の成績が報告され、肝硬変でないIFN ないしソホスブビルによる既治療例でSVR12 は91%(20/22)、代償性肝硬変症例の初回治療例では98%(39/40)であった189。

ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠を用いた国内臨床試験は行われていないが、海外における第3相臨床試験のASTRAL-3 試験の中で、ゲノタイプ3 型に対してソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12週間の成績が報告され、SVR12 が95% (264/277)であった。肝硬変でのSVR12 は91% (73/80)、慢性肝炎では97% (191/196)であった195。7-3-2.ゲノタイプ4~6 型

グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠についてもゲノタイプ1~3 型以外の症例は第3 相試験に組み入れられていない。海外における代償性肝硬変を対象とした第3 相臨床試験のEXPEDITION-1 試験の中でのゲノタイプ4, 5, 6 型の症例を対象としたグレカプレビル/ピブレンタスビル12 週の成績が報告されている191。ゲノタイプ4 型16 例、5 型2 例、6 型7 例で全例がSVR となった。

ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠を用いた国内臨床試験は行われていないが、海外における第3相臨床試験のASTRAL-1 試験の中で、ゲノタイプ4, 5, 6 型に対してのソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間の成績が報告されている。ゲノタイプ4, 5, 6 型でそれぞれ100% (116/116), 97% (34/35), 100% (41/41)であった194。
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【Recommendation】

 HCV セロタイプ(セログループ、群別、グルーピング)検査において「判定保留」ないし「判定不能」

という結果が得られた場合には、極力HCV ゲノタイプ検査を行ってゲノタイプを決定する(レベル2a、グレードA)。ゲノタイプ3 型の慢性肝炎・代償性肝硬変では、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週、

またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週投与が第一選択である(レベル2b、グレードA)。ゲノタイプ4~6 型に対する国内試験は行われていないが、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合

錠12 週、またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週投与が第一選択である(レベル6、グレードA)。

表12 C 型慢性肝炎・代償性肝硬変 (セロタイプ判定保留・判定不能例)※1

7-4.腎機能障害・透析例7-4-1.腎機能障害・透析患者におけるHCV 感染の現状

慢性腎臓病(chronic kidney diseases; CKD)患者におけるHCV 感染率は一般人口より高く、3.9~ 7.9%と報告されており255-257、腎機能が低下しCKD のステージが進行するほどHCV 抗体陽性率は上昇する255, 256。HCV 抗体陽性者は陰性者と比較して、1992 年以前に輸血や大きな手術を受けた頻度が高く、成因不明の腎疾患が多く、ALT が高い257。CKD 患者において、HCV 感染は腎機能低下のリスクである256。

また、透析患者においてもHCV 感染は重大な問題である。日本透析医学会の集計によれば、2014年末現在、わが国における透析患者数は約32 万人であるが、透析患者におけるHCV 抗体陽性率は、
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2007 年の透析医学会の調査では9.84%258、2010 年のOhsawa らの報告では11.0%であった259。HCV 抗体陽性症例のうちHCV 持続感染者の割合は、2007 年の透析医学会の調査では64%(血中HCV RNA陽性)258、Ohsawa らの報告では58.9%(HCV コア抗原陽性)であり、後者では透析患者全体におけるHCV 持続感染者の割合を6.5%と報告している259。透析施設の厳格な感染コントロールにより、透析患者におけるHCV 抗体陽性率は1999 年以降年々低下しているものの(表13)、男性、また、血液透析を長く受けている患者ほどHCV 抗体陽性率が高い(表14)258。医療の進歩により、長期透析患者が増加し生存期間が延長しているが、透析患者ではHCV 感染のため生命予後が不良であることが示されている。Fabrizi らのメタ解析では、7 つの臨床研究11,589 例の検討で、HCV 感染透析患者の生命予後がHCV非感染透析患者に比して有意に不良であり、相対リスクは1.34 であったことが示されている。また、HCV感染者では非感染者と比較して、肝細胞癌や肝硬変など肝疾患に関連した死因が5.89 倍多い260。

このようにHCV 感染は、透析患者では生命予後を悪化させていることが明らかになっている。また、透析患者において、抗ウイルス治療はHCV 感染者本人の生命予後を改善するのみならず、感染源をなくすという意味もある。現在、透析患者の新規HCV 感染のほとんどは院内感染と考えられており、院内感染防止の観点からもHCV 感染者への抗ウイルス治療を検討すべきである261。

以上より、HCV 感染はCKD 患者においては腎機能低下のリスクとなり、透析患者では生命予後を悪化させていることが明らかになっており、CKD 患者・透析患者においては積極的に抗ウイルス治療を行うべきである。

表13 透析患者数とHCV 抗体陽性者の推移

年1999 年2001 年2003 年2006 年2007 年

透析症例数(人) 197,213 219,183 237,710 264,473 275,242

HCV 抗体陽性率15.95% 13.88% 12.37% 10.22% 9.84%

HCV 抗体陽性者(人) 31,455 30,423 29,405 27,029 27,084

表14 透析歴とHCV 抗体陽性率の推移

透析歴2 年未満2 年以上5 年以上10 年以上15 年以上20 年以上25 年以上HCV 抗体

陽性率7.55% 7.90% 7.86% 7.77% 10.75% 23.32% 44.81%

【Recommendation】

透析患者におけるHCV 持続感染者の割合は6.5%と報告され、男性、透析歴の長い患者ほど

HCV 抗体陽性率が高い(レベル2b、グレードA)。
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 HCV 感染は、CKD 患者においては腎機能低下のリスクとなり、透析患者では生命予後を悪化さ

せている(レベル2b、グレードA)。 CKD 患者・透析患者においては積極的に抗ウイルス治療を行うべきである(レベル2b、グレード

A)。

7-4-2.HCV 感染と腎移植

わが国の生体腎移植患者のみを対象とした大規模な観察研究が行われている262。1990 年1 月から2009 年12 月に生体腎移植を施行した全患者964 例中、HCV 抗体陰性患者914 例とHCV 抗体陽性患者50 例において腎生着率と生存率を比較した結果、移植腎生着率はHCV 抗体陰性群・HCV 抗体陽性群それぞれ、88.4%・71.8%(60 か月後)、75.6%・51.3%(120 か月後)であり、HCV 抗体陽性群の生着率は経年的に有意に低下した(p<0.001)。2 群間での生存率も同様にHCV 抗体陽性群において経年的に有意に低下していたことが明らかになった(p<0.001)。

一方、Mahmoud らは、HCV RNA 陽性の腎移植患者50 例を対象に、移植前のIFN 治療が移植後の拒絶や腎機能に与える影響を報告している263。50 例中18 例で移植前にIFN 治療が行われており、うち10 例でHCV RNA が陰性化した。移植後の経過を両群間で比較すると、IFN 治療未施行群では施行群と比較して、経年的に血清クレアチニンが上昇しており、移植5 年後の腎機能が有意に低下していた。

以上より、腎移植を予定しているHCV 感染透析患者に対して、移植前に抗ウイルス治療を行うことにより、移植後の腎機能や生着率、生存率が改善する可能性がある。【Recommendation】

腎移植を予定しているHCV 感染透析患者に対しても、移植後の腎機能や生着率、生存率を改

善させるため、移植前に抗ウイルス治療を行うべきである(レベル2b、グレードA)。

7-4-3.腎機能障害・透析患者における抗ウイルス治療(表15) 7-4-3-1.ゲノタイプ1 型7-4-3-1-1.治療成績

添付文書上、クレアチニンクリアランス50 mL/分以下のCKD 患者・透析患者に対するリバビリンの使用は禁忌であるため、ゲノタイプ1 型に対するIFN ベース抗ウイルス治療としてはIFN あるいはPeg-IFN単剤による治療が中心であり、難治例であるゲノタイプ1 型・高ウイルス量症例に対する成績は不良であった。一方、最近登場したIFN フリーDAA 製剤では、透析患者においても高い抗ウイルス効果が得られている。IFN フリーDAA 製剤の中でも、ソホスブビルは腎排泄であり、透析患者における使用は禁忌であるが、ダクラタスビル+アスナプレビル、およびエルバスビル+グラゾプレビル、グレカプレビル/ピブレンタスビルは肝代謝を受ける薬剤であり、透析患者における使用が制限されていない。(ダクラタスビル+アスナプレビル、およびエルバスビル+グラゾプレビルは2022 年5 月現在販売が中止となっている。)
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このうち、まずダクラタスビル+アスナプレビル併用で、性別、年齢、肝硬変の有無、前治療歴、IL28Bなどの患者背景によらず良好なウイルス学的効果を得られることが、日本人を対象とした2 つの検討により示された264, 265。それぞれ21 例、28 例のHCV 感染透析患者に対してダクラタスビル+アスナプレビル併用治療を行っている。年齢はそれぞれ63.0 歳(中央値)と65.5 歳(平均)、男性優位であった。ALT の中央値は低く(18、19.1)、HCV RNA は5.7 ないし5.89、肝硬変がそれぞれ4 例(19%)・17 例(60.7%)含まれていた。治療前の耐性変異は、L31 はいずれの検討でも検出されていないものの、Y93 変異はSudaらの検討の3 例に検出された。最終的な治療効果(SVR12 達成率)は、Suda らの報告では95.2%(20/21例)、Toyoda らの報告では100%(28/28 例)と、極めて良好であった。Toyoda らは、透析患者と非透析患者において早期HCV 陰性化率を検討しているが、治療開始2 週目50.0% vs. 21.4%, 4 週目89.3% vs. 67.8%, 12 週目100% vs. 96.4%であり、透析群の方が早期にHCV 陰性化が得られていた。SVR12 が得られなかった1 例では投与終了後4 週において再燃がみられたが、投与前のHCV RNA を再度検討したところ、D168E 変異が検出されたが、Y93 変異の存在した3 例ではSVR12 が得られた。

エルバスビル+グラゾプレビル併用については、海外でCKD ステージ4~5(eGFR < 30 mL/分/1.73 m2)の腎機能障害・透析患者を対象とした大規模なプラセボ対照二重盲検試験(C-SURFER)が行われ、良好な治療成績が報告されている266。111 例の腎機能障害症例(平均年齢56.1 歳、ゲノタイプ1b 型58例、肝硬変7 例、透析例86 例)が実薬群に割り付けられ、このうち105 例が治療およびその後の経過観察を完遂した。同治療の薬力学的解析が行われた11 例と合わせ、116 例中SVR12 を達成した症例は115 例(SVR12 達成率は99.1%)であったと報告されている。わが国での国内第3 相試験ではクレアチニンクリアランス50 mL/分未満の腎機能障害患者は対象から除外されていたが、市販後67 例のCKD 合併ゲノタイプ1 型C 型肝炎患者(慢性肝炎50 例、肝硬変17 例、透析症例 10 例)に対するエルバスビル+グラゾプレビルの成績が報告された267。これによれば、CKD ステージ3、4、5それぞれにおけるSVR12 率は90.9%(20/22)、100%(6/6)、100%(10/10)であり、CKD ステージ3の治療不成功2 例はダクラタスビル+アスナプレビル併用による前治療不成功例であったとしている。

また、C-SURFER において、治療前のNS5A 領域耐性変異が実薬群のうち115 例中17 例(14.8%)に検出され、この17 例中SVR12 は16 例(94.1%)で達成されている。SVR12 が得られなかった症例は再燃例であり、治療前の解析でNS5A 領域L31M 変異が存在していた。腎機能障害の存在しない症例同様、腎機能障害・透析例に対するエルバスビル+グラゾプレビル併用治療に及ぼすNS5A 耐性変異の影響についても、今後十分に検討する必要がある。

2017 年9 月に承認されたグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠では、海外で慢性腎機能障害を有するゲノタイプ1~6 型C 型肝炎患者104 例を対象とした試験が行われている(EXPEDITION-4)192。ここではゲノタイプ1 型が54 例(1a 型23 例、1b 型29 例、その他2 例)、CKD ステージ4、5はそれぞれ14例、90 例で、透析例が85 例であった。SVR12 率は全体で98%(102/104)であり、良好な結果をおさめている。SVR を達成できなかった2 例は1 例が治療終了後2 週で脳出血のため死亡、1 例は下痢のため治療中止した症例であった。ただしこの試験では肝硬変の有無にかかわらず全例で12 週治療が行われ
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ており、慢性肝炎症例の治療期間が8 週となるわが国の臨床現場にそのまま当てはめることができない。一方、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の国内第3 相試験ではスクリーニング時にeGFR 30 mL/分/1.73m2 未満であった重度腎機能障害患者が12 例組み込まれ、全例SVR12 を達成した31。この12例中ゲノタイプ1 型・2 型はそれぞれ3 例・9 例であり、ゲノタイプ1 型に対する治療経験は十分とは言えなかったが、その後国内でもゲノタイプ1 型の透析中の重度腎機能障害患者17 例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の治療成績が集積され、治療終了12 週に達した11 例中全例でSVR12が達成された268。7-4-3-1-2.安全性

グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠では、海外におけるEXPEDITION-4 試験で20%(21/104)の症例に皮膚掻痒が出現し192、国内第3 相試験では重度腎機能障害患者の17%(2/12)に皮膚掻痒が出現している31。重度腎機能障害患者は、もともと掻痒症を合併している患者が多く、掻痒症の発症・増悪には注意が必要である。7-4-3-1-3.ゲノタイプ1 型に対する抗ウイルス治療の選択

以上より、CKD ステージ4 以上の重度腎機能障害を合併したゲノタイプ1 型C 型肝炎患者に対する抗ウイルス治療としては、有効性・安全性、および国内における使用経験からグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が推奨される。これらの治療レジメンは腎機能障害患者における用量調整の必要もない。【Recommendation】

 CKD ステージ4 以上の重度腎機能障害を合併したゲノタイプ1 型C 型肝炎患者に対する抗ウ

イルス治療としては、有効性・安全性からグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が推奨される(レベル2a、グレードA)。

7-4-3-2.ゲノタイプ2 型

一方、ゲノタイプ2 型に対しては腎機能正常例における第一選択であるソホスブビル/レジパスビル配合錠ならびにソホスブビル/ベルパタスビル配合錠は、腎機能低下例・透析例に対して禁忌であり使用できない。一方、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の海外試験ではゲノタイプ2 型症例が17 例含まれており、治療効果は良好であった。国内第3 相試験ではゲノタイプ2 型症例が9 例登録された。慢性肝炎が7 例、代償性肝硬変が2 例であり、それぞれ8 週・12 週治療が行われ、全例でSVR が得られている。これに基づき、CKD ステージ4 以上の重度腎機能障害を合併したゲノタイプ2型C 型肝炎患者に対する抗ウイルス治療としてグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が推奨される。
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表15 CKD ステージ別のIFN フリーDAA 製剤治療推奨 ※1

【Recommendation】

ソホスブビル/レジパスビル配合錠ならびにソホスブビル/ベルパタスビル配合錠はゲノタイプ2 型

の腎機能低下例・透析例に対して禁忌である(グレードD)。 CKD ステージ4 以上の重度腎機能障害を合併したゲノタイプ2型C 型肝炎患者に対する抗ウイ

ルス治療としてはグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が推奨される(レベル2a、グレードB)。7-5.肝移植後再発例7-5-1.概論

C 型肝炎ウイルスによる非代償性肝硬変はわが国に於いて主要な肝移植適応疾患の一つである269。日本肝移植研究会の報告によると、2017 年迄に行われたわが国における生体肝移植8795 例のうち、併発する肝細胞癌例(n=971)を含むC 型肝炎関連疾患は1700 例(19.3%)であり、胆道閉鎖症(n=2275、25.9%)についで2 番目の症例数である269。また、肝細胞癌を伴わない非代償性肝硬変(n=1748)の中でも、C 型肝炎(n=729、41.7%)はB 型肝炎(n=300、17.2%)あるいはアルコール性(n=301、17.2%)に比し多くの症例数を占めていた。

生体肝移植後の生存率は、手術手技あるいは周術期管理技術の向上にて全体として向上してきたが、C 型肝炎に対する肝移植に於いてはこれがあてはまらなかった270, 271。日本肝移植研究会の報告によると、初回生体肝移植症例全体(n=8572)の1 年および5 年生存率はそれぞれ85.6%および79.0%であるが、C 型肝炎症例(n=729)に於いてはそれぞれ79.7%および70.8%である269。Akamatsu らの日本医療研究開発機構研究費・肝炎等克服実用化研究事業「多施設共同研究による移植後肝炎ウイルス再発に対する標準的治療の確立」(前原班)による報告によると、C 型肝炎に対する514 例の生体肝移植症例の5 年および10 年生存率はそれぞれ72%および63%であり、最も主要な死因は移植後C 型肝炎再発によるものであった270。しかしながら移植後抗ウイルス治療によりsustained viral response (SVR)が得られた症例のグラフト生存率はSVR が得られなった症例より有意に良好であった270。すなわち、C 型肝炎に対する肝移植に於いてその成績を向上させるには、抗ウイルス治療を成功させることが鍵となる。
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7-5-2.肝移植後C 型肝炎の特徴

C 型肝炎ウイルス陽性症例に於ける、移植肝へのC 型肝炎ウイルスの再感染は必発であり、それは移植肝に血流を再開させた時に始まる272。自己肝を摘出したいわゆる無肝期に於いて血液中のC 型肝炎ウイルス量は、ほぼ検出感度以下まで減少するが、再還流後数時間には急激に増加し再感染が成立する272。そして肝移植後数ヶ月後には肝移植前よりも通常10 倍〜100 倍のウイルス量となり、組織学的にも慢性C 型肝炎の像を呈するようになる273。そしてグラフト肝への再感染が成立すると、通常免疫抑制下にある移植肝に於いては、移植後5 年以内に20%〜54%の症例が肝硬変に至り、肝硬変に至った症例は年率40%程の割合で非代償性肝硬変に移行すると報告されている274。

病変の進行は症例により様々であるが、通常は移植後3 ヶ月から1 年程度で組織学的慢性肝炎に至る275。線維化の進行に関しては非免疫抑制下のC 型肝炎では0.1-0.2 Stage/年の速度で進行し初感染から30 年程度で肝硬変に至るところが、移植後免疫抑制下では0.3-0.6 Stage/年の速度で進行し

9.5 年程で肝硬変に至ると報告されている276。病状の進行には様々な因子が関与すると言われているが

欧米に於けるC 型肝炎に対する脳死肝移植に於いては、高齢ドナー(>45 歳)や、冷保存時間>12 時間、心停止ドナー、30%以上の脂肪肝などいわゆるマージナルドナー肝を移植すると、虚血再還流障害による様々なサイトカインの活性化からC 型肝炎再発の進行を早めることが報告されている277, 278。生体肝移植に於いては、Akamatsu らはドナー年齢>40 歳、左葉グラフトの使用、移植後急性拒絶、抗ウイルス治療によりSVR が得られないことが、グラフト生存における予後不良因子であると報告している270。しかしながら、ペグインターフェロン (Peg-IFN)+リバビリンのみが使用可能であった状況下から、direct acting antiviral(DAA)による治療へと時代は大きく変化し、DAA による肝移植後症例におけるSVR 率がほぼ100%に近づいている現状を考慮すると、C 型肝炎に対する肝移植成績が他疾患によるものと全く遜色ない時代になってきている可能性が高い。

肝移植後C 型肝炎再発に於ける2-8%の症例に於いて、fibrosing cholestatic hepatitis (FCH)として知られる再発様式で発症することが知られている。FCH は肝移植後数ヶ月以内に高度の黄疸を伴って発症する胆汁鬱滞性肝炎であり、高度な免疫抑制下で均一なC 型肝炎ウイルスのクローンが爆発的に増殖し、免疫反応を介さず肝細胞を直接障害することがその原因と考えられている279。Ikegami らは、サイトメガロウイルス抗原が血中に出現するような過剰免疫抑制下に於いて、肝移植後2 週間目のHCV−RNAが7.2 log IU/ml 以上となることが、肝細胞のバルーニングを主体とした組織所見に加えて診断に役立つことを報告した280。FCH は、有効な抗ウイルス治療が行われないと数ヶ月以内にグラフト死亡に至る極めて危険な病態である280。移植後C 型肝炎治療の適応は、非代償性肝硬変ではない慢性肝炎、肝硬変あるいはFCH で、組織学的・血清学的にC 型肝炎再発を認めるものである。インターフェロン或はインターフェロン併用療法に於いてはC 型肝炎以外の急性あるいは慢性拒絶反応・胆管狭窄・グラフト血管狭窄や閉塞などの病態を悪化させるあるいは治療を困難にする可能性が否定できなかったため、C 型肝炎以外の病態が否定された症例が移植後C 型肝炎の治療適応とされていた。しかしながら、現在標準治療となっているインターフ
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ェロンフリーDAA 治療に於いてはそれら病態が併存する状態に於いてもC 型肝炎の治療は安全に施行可能であると考えられる。【Recommendation】

 HCV 感染者に対する肝移植後、肝機能異常を来し、組織学的・血清学的にC 型肝炎再発が明

らかとなり、非代償性肝硬変ではない症例に対しては、抗ウイルス治療を行うことが推奨される(レベル2b、グレードA)。拒絶反応・胆管狭窄・グラフト血管病変などの病態が併存する、あるいは併存する可能性があっ

ても、IFN フリーDAA 治療は安全に施行可能である(レベル2b、グレードA)。 FCH に対しては、血清学的・組織学的診断のもと、早期に抗ウイルス治療を導入する必要がある

(レベル2b、グレードA)。

7-5-3.肝移植後再発に対する治療

肝移植後C 型肝炎再発に対する治療は、肝移植後免疫抑制治療、およびC 型肝炎の病理・治療に精通した医療チームにより行われることが必要である。肝移植後再発例に対する抗ウイルス治療においては、欧米を中心とした海外から発信されたエビデンスにおいて使用されたIFN フリーDAA 併用レジメンとわが国で保険適用とされているレジメンが異なる。わが国では種々のIFN フリーDAA 製剤の使用経験が少ないため、十分なエビデンスが蓄積されておらず、前原班による全国調査において検討が進められている。7-5-3-1.ゲノタイプ1 型7-5-3-1-1.IFN ベース治療

2011 年11 月にテラプレビルがわが国に於いて使用可能となる迄、Peg-IFN+リバビリン療法のみが移植後C 型肝炎再発に使用可能なレジメンであった。しかしながら海外に於ける報告では、そのSVR 率は40%未満であり、感染・汎血球減少・拒絶反応等により30%の症例で治療中止、70%の症例で治療薬の減量が行われた280。わが国における多施設研究に於いても、汎血球減少等の副作用による治療薬剤減量率が40%、中止が42%、そしてSVR 率は43%であった270。Fukuhara らは、IL28B(rs8099917)の単塩基多型を解析し、それがドナー・レシピエント共にTT である場合、ドナー・レシピエントの何れかがT/G あるいはG/G を含む場合に比し有意にSVR 率が高い(54% vs. 11%, p=0.003)であることを報告した281。一方Levitsky らは、免疫抑制下にあるべき肝移植後にPeg-IFN を使用することにより10 年の経過で7.2%の症例に、急性あるいは慢性拒絶反応や形質細胞性肝炎などの免疫誘導性グラフト障害(IGD)が発症し、IGD の発症がグラフト生存を逆に有意に低下させることを報告した282。

2011 年11 月にテラプレビルが、2013 年11 月にシメプレビルがわが国に於いて使用可能となり、Peg- IFN+リバビリンにNS3/4A プロテアーゼ阻害薬を追加して使用することが可能となった。しかしながらテラプレビルに関しては、タクロリムス・サイクロスポリンといった免疫抑制剤(カルシニューリン阻害薬)の血中濃度をそれぞれ70 倍および4.6 倍に上昇すること283、腎機能障害や高度貧血などの高度な副作用284
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と、その後のより安全なDAA の登場により2017 年9 月に販売中止となった。一方シメプレビルに関しても、Peg-IFN+リバビリン併用でもSVR 率は64.3%と低値であり、またNS3 におけるD168 に変異を生じやすいことまた難治性IGD を発症しやすいといった問題点が指摘された285。前原班による全国調査では、肝移植後C 型肝炎に対するテラプレビル(n=36)およびシメプレビル(n=79)併用Peg-IFN+リバビリン療法に於けるSVR 率はそれぞれ69%および56%であり、満足できる結果ではなかった286。すなわち、免疫抑制剤投与下の肝移植患者においては、IFN を併用する必要のあるDAA 治療は安全性および有効性にいずれの面からも推奨されない。【Recommendation】

肝移植後C 型肝炎再発に対する治療は、肝移植後免疫抑制治療、およびC 型肝炎の病理・治

療に精通した医療チームにより行われることが必要である(レベル6、グレードA)。肝移植後例は免疫抑制状態におくべきであり、肝移植後再発例に対するIFN ベース治療は、

SVR 率が低くかつIGD を発症する可能性があり推奨されない(レベル4、グレードD)。

7-5-3-1-2.IFN フリー治療

現在わが国でゲノタイプ1 型に対して使用可能なIFN フリー治療レジメンのうち、現状ではソホスブビル/レジパスビル配合錠の肝移植後C 型肝炎再発に対する治療としての効果と安全性が報告されている。しかしながら、本項ではプレリミナリーではあるが前原班にて全国他施設から集計済のグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠の状況に関しても記載する。

抗ウイルス薬と免疫抑制薬との薬剤相互作用に注意が必要である。シクロスポリンは肝における輸送蛋白OATP1B においてグレカプレビル、ピブレンタスビルと程度の差はあるものの競合することが知られているため、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠治療施行時にはタクロリムスの使用が推奨されている。ソホスブビルは非CYA 系での代謝であり、またレジパスビルは単純胆汁排泄であるため、ソホスブビル/レジパスビル配合錠はタクロリムスおよびシクロスポリンいずれとも臨床上問題となる薬剤相互作用はなく、安全に使用可能である。7-5-3-1-2-1.ダクラタスビル+アスナプレビル併用

ダクラタスビル(NS5A 阻害薬)+アスナプレビル(NS3/4A 阻害薬)併用による肝移植後C 型肝炎治療に関しては前原班に於いて症例の集積解析を行い、その有効性・安全性に関する報告を行った287 (ダクラタスビル+アスナプレビルは2022 年5 月現在販売中止)。免疫抑制レジメンはタクロリムス単剤(44.6%)、タクロリムス+ミコフェノール酸モフェチル(33.8%)、タクロリムス+ミコフェノール酸モフェチル+ステロイド(9.5%)、タクロリムス+ステロイド(6.7%)、ミコフェノール酸モフェチル単剤(4.0%)、サイクロスポリン単剤(1.4%)であり、タクロリムスを中心とした免疫抑制剤レジメンが主に使用されていた。アスナプレビル(200mg/日)+ダクラタスビル(60mg/日)の24 週投与が74 症例に行われ、61 例(82.4%)で24 週の治療が完遂された。治療中止の理由としては、ウイルス学的治療無効(n=7)、ウイルス学的再発(n=3)、心不全(n=1)、帯状疱疹(n=1)、血小板減少(n=1)を認めた。SVR 率は80.3%の症例で達成されたが、シメプ
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レビル併用療法の使用歴を有する12 例の内、SVR に至ったのはわずか2 例(16.5%)であった。一方NS3/4A(D168)あるいはNS5A(L31、Y93)に耐性関連変異を認めた症例(n=10)の内、SVR は4 例(40.0%)で得られた。移植後ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法に於いてSVR に至らない因子としてはシメプレビル(NS3/4A 阻害薬)使用歴(p<0.01)およびNS5A 領域の耐性関連変異(p=0.03)が検出された。有害事象は15 例(20.2%)に認められた;感冒様症状(n=9)、帯状疱疹(n=3)、敗血症(n=1)、心不全(n=1)、血小板減少(n=1)。ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法は肝移植後症例に於いても安全に施行可能であるが、シメプレビル無効・再発例やNS3/4A あるいはNS5A 領域の耐性関連変異を有する症例には推奨できないことを示唆する結果であった。7-5-3-1-2-2.ソホスブビル/レジパスビル配合錠

ソホスブビル(NS5B 阻害薬)/レジパスビル(NS5A 阻害薬)にリバビリンを加えた脳死肝移植後C 型肝炎に対する12 週治療は海外からSOLAR-1、-2 として報告されており288, 289、それら報告におけるSVR率はそれぞれ92%および93%であった。

わが国においては、前原班においてソホスブビル/レジパスビル配合錠を用いた生体肝移植後C 型肝炎の治療に関する症例の全国集積および解析を行い、Ueda らがその有効性・安全性に関する報告を行った290。同治療導入の除外条件は非代償性肝硬変、腎機能障害(eGFR<30 ml/min )、不整脈の既往であった。免疫抑制レジメンはタクロリムス(74%)あるいはサイクロスポリン(26%)を中心とし、治療開始時にミコフェノール酸モフェチル(46%)あるいはステロイド(28%)が併用されていた。またレジパスビルの吸収抑制を危惧し、全症例でプロトンポンプ阻害薬を中止して治療が開始された。

レジパスビル(90mg/日)+ソホスブビル(400mg/日)の12 週投与が54 症例に行われ、53 例(98.1%)で12 週の治療が完遂された。1 例のみに於いて治療開始4 週目で肺炎による死亡にて治療が中止された。治療中止となった1 例を除いた53 症例のSVR 率は100%(53/53)であり、全体としてのSVR 率は98.1%であった。興味深いことに、IL28B のハプロタイプは治療効果に影響を与えなかった。NS5A(L31、Y93)に耐性関連変異を認めた症例(n=10)の内、全ての症例でSVR が達成された。さらにシメプレビル(n=15)使用歴を有する症例に於いて全症例にてSVR が達成された。ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法既治療例は1 例のみであり、同症例にてd32del は認めず、SVR に至った。中等度以上の有害事象は7 例(13%)に認められた;出血性十二指腸潰瘍(n=3)、肺炎(n=1)、肺出血(n=1)、難治性胸水(n=1)、ヘルペスウイルス感染症(n=1)。

ソホスブビル/レジパスビル配合錠による肝移植後C 型肝炎再発治療は、タクロリムスあるいはサイクロスポリンのみならずミコフェノール酸モフェチルやステロイド肝移植後免疫抑制剤との明らかな臨床的相互作用を認めず、またIL28B ハプロタイプに左右されず極めて高いSVR が得られた。プロトンポンプ阻害薬中止に関連する消化性潰瘍の発症には注意を要するが、肝移植後C 型肝炎再発例のうち、非代償性肝硬変、腎機能障害(eGFR<30 ml/min )、不整脈既往を除く症例において、NS3/4A 阻害薬であるシメプレビル既往不応例を含む症例に対してNS5 系阻害薬であるソホスブビル/レジパスビル配合錠は安全かつ有効に使用することが可能である。
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7-5-3-1-2-3.グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠

非肝移植後症例に対するグレカプレビル(NS3/4A 阻害薬)+ピブレンタスビル(NS5A 阻害薬)配合錠の8 週投与に関する有効性に関しては、海外291 および国内292から、極めて高い有効性とともにすでに報告されている。肝移植後症例に関しては、12 週投与の有効性に関してはMAGELLAN-2 study においてSVR 率98%と報告されている293。前原班では我が国における8 週(DAA 治療歴のない慢性肝炎)あるいは12 週(代償性肝硬変、DAA 既治療例)のグレカプレビル(300mg)+ピブレンタスビル(120mg)配合錠(3 錠/日)を用いた肝移植後C 型肝炎の治療に関する症例の全国集積を行い報告した294。同治療導入の除外条件は非代償性肝硬変のみである。ゲノタイプ1 型と2 型を合わせた全症例25 例中、生体部分肝移植症例が全体の22 例(88%)を占めており、摘脾は60%の症例で施行されていた。免疫抑制レジメンはタクロリムス(68%)あるいはサイクロスポリン(24%)を中心とし、ミコフェノール酸モフェチル(48%)あるいはステロイド(28%)が併用されていた。またカルシニューリンフリーのミコフェノール酸モフェチル単剤療法が2 例(8%)で行われていた。高度腎機能障害(eGFR<30 ml/min )症例が8 例(32%)、維持透析症例は4 例(16%)含まれていた。

ゲノタイプ1型21 症例すべてに於いて治療が完遂され、SVR 率は100%であった。DAA 治療歴を有する症例は6 症例(ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法n=3、ソホスブビル/レジパスビル配合錠n=2、ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法およびソホスブビル/レジパスビル配合錠n=1)であり、そのうち4例にはP32del 以外のNS3 あるいはNS5A 変異を伴っていたが、これらDAA 既治療全6 症例はSVR に至った。また透析症例を含む高度腎機能障害全症例がSVR に至った。中等度以上の有害事象は2 例(下血n=1、急性拒絶反応n=1)にのみ認めた。グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠による肝移植後C 型肝炎再発治療は、タクロリムスあるいはサイクロスポリンのみならずミコフェノール酸モフェチルやステロイド肝移植後免疫抑制剤との臨床的に問題となるような相互作用を認めず、症例数は少ないが、ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法あるいはソホスブビル/レジパスビル配合錠既往例に対しても高いSVR 率が得られた。【Recommendation】

免疫抑制下にある肝移植後C 型肝炎再発に対する治療はIFN フリー抗ウイルス治療が望ましい

(レベル2b、グレードA)。第一選択は免疫抑制剤との相互作用が少なく高率にSVR が達成できるソホスブビル/レジパスビ

ル配合錠、またはグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠ならびにソホスブビル/ベルパタスビル配合錠である(レベル2b、グレードA)。ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル配

合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠の使用経験は少ない(レベル5、グレードC1)。ソホスブビル/レジパスビル配合錠が禁忌となる高度腎機能障害併存症例においてはグレカプレ

ビル/ピブレンタスビル配合錠が推奨される(レベル5、グレードB)。
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7-5-3-2.ゲノタイプ2 型

前原班にて集計したわが国における肝移植後C 型肝炎再発症例(n=514)のうち、ゲノタイプ1 型が80%、ゲノタイプ2 型が13%、ゲノタイプ3 型・4 型・不明が7%であった270。Shiratori ら295 によるわが国におけるC 型慢性肝炎におけるゲノタイプ1 型および2 型の占める割合がそれぞれ68%および28%であったのと比較すると、肝移植後C 型肝炎再発におけるゲノタイプ2 型症例の割合は非肝移植症例に比し低く、旧来のIFN ベース治療に関する反応が2 型の方が1 型より良好であることと関係している可能性がある。7-5-3-2-1.IFN ベース治療

前原班での集計では、ゲノタイプ2 型に対するPeg-IFN+リバビリン療法によるSVR 率は78%と、ゲノタイプ1 型の46%に比し極めて良好であった。すなわち新規症例を除けば、肝移植後のゲノタイプ2 型症例の20%程度のみがDAA を含む治療に転帰することとなり、ゲノタイプ1 型より小さい母集団であることが推測される。

しかしながら、ゲノタイプ1 型に対するIFN ベース治療の項で述べた如く、IFN を中心とした治療においては、汎血球減少、発熱、腎機能障害、さらには急性あるいは慢性拒絶反応や形質細胞性肝炎などの免疫誘導性グラフト障害(IGD)を発症するリスクがあり、後述するDAA に比し明らかにSVR 率も低く、IFN ベース治療は推奨されない。7-5-3-2-2.IFN フリー治療7-5-3-2-2-1.ソホスブビル+リバビリン療法

前原班では、ソホスブビル+リバビリン療法を用いた生体肝移植後C 型肝炎の治療に関する症例の全国集積を行った(n=15)。(ソホスブビル、リバビリン併用療法は2022 年 5 月現在出荷停止、2023 年 3月に薬価削除予定となっている。)同治療導入の除外条件は非代償性肝硬変、腎機能障害(eGFR<30 ml/min )、不整脈の既往であった。免疫抑制レジメンはタクロリムス(94%)あるいはサイクロスポリン(6%)を中心とし、治療開始時にミコフェノール酸モフェチル(33%)あるいはステロイド(13%)が併用されていた。

ソホスブビル(400mg/日)+リバビリン(600mg〜1000mg)療法の12 週投与が54 症例に行われ、全例(n=15)で12 週の治療が完遂された。1 例のみに於いて治療開始4 週目で肺炎による死亡にて治療が中止された。しかしながら、平均リバビリン投与量は推奨量の79%であり、33%の症例で投与量の減量がなされ、20%の症例では推奨投与量の40%未満の投与量であった。VR 率は100%であったが、治療終了後に1 例でrelapse がみられ、最終的にSVR 率は93%(14/15)であった。再燃の1 例はリバビリン投与量が40%未満の症例であった。

2018 年2 月よりソホスブビル/レジパスビル配合錠がゲノタイプ2 型症例に適応追加となっている。肝移植後C 型肝炎再発に対するゲノタイプ1 型におけるソホスブビル/レジパスビル配合錠の有効性および安全性が確認されている現状では貧血によるリバビリン投与量の制限を伴う可能性があるソホスブビル+リバビリン療法は推奨されない。7-5-3-2-2-2.グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠
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前原班ではグレカプレビル/ピブレンタスビルを用いた生体肝移植後C 型肝炎の治療に関する症例の全国集積を行い報告したが、そのうち4 例のみがゲノタイプ2 型であった。免疫抑制レジメンはタクロリムス(75%)あるいはサイクロスポリン(25%)、にステロイド(50%)が併用されていた294。DAA 治療歴を有する症例は含まれていなかった。これら症例のうち、1 例は治療開始後3 日目にて嘔気にて治療打ち切りとなっており効果を認めなかったが、それ以外の3 症例は治療を完遂し、SVR12 に至っている。【Recommendation】

ゲノタイプ2 型肝移植後再発例に対する抗ウイルス治療では、非代償性肝硬変など使用禁忌に

該当しない症例であれば、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が今後第一選択となる可能性が高い(レベル6、グレードC1)。

(「7-5.肝移植後再発例」の項を記すにあたり、吉住朋晴先生・前原善彦先生(九州大学消化器・総合外科)、および上田佳秀先生(京都大学消化器内科)のご協力をいただきました。ここに深く感謝申し上げます。)

7-6. 小児C 型慢性肝炎7-6-1.疫学と感染経路

2016 年に102 か国から報告された1-19 歳の小児ならびに思春期症例の系統的レビューによると、高所得国での感染率は0-3%で、低所得国の感染率は0-6%と推定され、世界的には350 万人の感染者が存在するとされる296。

輸血ならびに血液製剤のHCV 感染スクリーニングが開始されて以降、小児における輸血関連のHCV感染は激減し、現在主な感染経路は母子感染である297。HCVRNA 陽性妊婦からの感染率は5-10%程度とされている298, 299 。

わが国における小児期のHCV 感染経路に関しては、かつては小児においても成人と同様輸血による感染が大部分をしめていた。1997 年に発表された全国規模の小児C 型慢性肝炎の調査報告では300、109 例のうち、92 例(84.9%)が輸血関連で基礎疾患は血液・悪性疾患が38 例(41.3%)、35 例(38%)が先天性心疾患を含む外科手術であった。肝組織学的な検討では、肝硬変(F4)は1 例も認められず、105 例(97%)で線維化はF2 までに留まっていたが、頻回の輸血が肝病変の進行と関連していることが示唆された。

その後の国内の研究では、最近20 年間の小児HCV の感染経路の99%が母子感染となっていること、1996 年ごろから徐々にゲノタイプ2 が増加しており、2006~2015 年の10 年間ではゲノタイプ2 が64%を占めていることが明らかとなっている301。また、本研究でも肝硬変(F4)や肝がん例は1 例も認められていない。

わが国における2007 年の母子感染に関する報告では、妊婦のHCV 抗体陽性率は約0.5%であり、このうち血清HCV RNA 陽性率は50-60%と推定されている。また、母子感染が成立しても、その後25-30%
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の感染児はおおよそ4 歳までに無治療でHCV が排除されている302, 303。こうした自然寛解例を含むHCV RNA 陽性妊婦から出生児への感染率は約10%とされていることから299 、わが国の年間出生数を約100万人とすると、15 歳までで4500 人程度の小児HCV 感染者が存在することが想定される304。

HCV 母子感染の機序はいまだに明らかでない。Twin study の結果から双生第2 子の感染率が高い。これは分娩時の胎盤剥離現象により、母体胎児間輸血を生じるため第2 子の感染率が高いことを示唆している305, 306。

HCV 母子感染のリスクを上昇させる因子としては、1母体の血清HCV RNA 量が高値、2母体のHIV重複感染、3破水して6 時間以上経過、4体内用胎児監視などの侵襲的な手技の4 点である299, 307, 308。母体の高ウイルス量としては60 万IU/ml が目安になるという報告もあるが309 、報告によって高ウイルス量の定義に幅があり、明確に垂直感染のリスクとなる母体ウイルス量を決めることは困難である。一方、感染リスクと無関係な因子は1HCV ゲノタイプ、2母乳栄養、3母体のALT 値の3 点である299, 307, 308。【Recommendation】

現在、小児におけるC 型肝炎の主な感染経路は母子感染である(レベル3)。 HCV RNA 陽性妊婦からの感染率は5-10%程度である(レベル2a)。母子感染児の25-30%は、4 歳までに無治療でHCV が排除される(レベル2a)。

7-6-2. HCV 抗体陽性妊婦の診療

産婦人科診療ガイドライン-産科編2017 310 に準じて診療を行うことが多い。主な要点は以下のとおりである。a) HCV 抗体陽性であってもHCV RNA 陰性の妊婦からの母子感染は成立しない。但し、ウイルス量は妊娠中に変動するため、妊娠後期でのHCV RNA の測定が望ましい。

b) 母乳栄養児と人工栄養児では感染率に有意差はない。したがって、母子感染予防のために授乳を制限する必要はない。

c) 予定帝王切開により母子感染を防止できるかは、肯定的な意見と否定的な意見がある。選択的帝王切開の有用性を示す代表的な報告はGibb らの論文である311。この報告では336 例の経腟分娩における感染率は7.7%、緊急的帝王切開では5.9%、選択的帝王切開では0%であり、選択的帝王切開のHCV母子感染が予防になる可能性を示唆した。一方、2005 年に欧州小児HCV ネットワークがまとめた報告では、選択的帝王切開を推奨すべきでないとしている312。このように、 HCV 母子感染の予防のために選択的帝王切開の是非については結論が出ないまま現在に至っている。2006 年のコクランレビューでは、ランダム化比較試験成績がないため、HCV キャリア妊婦に帝王切開術を勧める必要はないとしている313。

2020 年に産婦人科診療ガイドラインが改訂されたが314、以下の7 項目に集約され、新たな知見はみられない。

1.検査結果を,パートナー・家族などへ説明するか否かは妊婦本人の意思に従う. 2.HCV-RNA 定量検査と肝機能検査を行う.
p.86
3.HCV-RNA 定量検査が陰性であれば母子感染の心配はないと説明する. 4.HCV-RNA 定量検査が陽性(キャリア)の場合には母子感染のリスクを説明する. 5.HCV キャリアには内科受診を勧める. 6.HCV キャリアには母子感染予防目的の授乳制限は必要ないと説明する. 7.HCV キャリアには母子感染予防目的の帝王切開は必要ないと説明する.

【Recommendation】 HCV 抗体陽性の妊婦においてはHCV RNA の測定が必要である(レベル2a, グレードA)。母子感染予防のために授乳を制限する必要はない(レベル2a, グレードA)。母子感染予防のための選択的帝王切開の是非については一定の結論がない(レベル6)。

7-6-3.HCV RNA 陽性の母から出生した児における母子感染の診断

わが国では2005 年にC 型肝炎ウイルス(HCV)キャリア妊婦とその出生時の管理指導指針がだされたが299 、以降まとまったガイドラインは無かった。しかし日本医療研究開発機構委託研究開発費 感染症実用化研究事業 肝炎等克服実用化研究事業「小児期のウイルス性肝炎の病態解明と治療の標準化に関する研究」班によって「C 型肝炎母子感染小児の診療ガイドライン」が作成され、2020 年5 月に公開された315。

2020 年2 月に米国肝臓病学会(AASLD)からHCV のガイドラインが報告され、小児のHCV 感染についても言及されている316 。

HCV 抗体は母体から児に移行し、母児感染していない場合でも生後18 か月ごろまで残るため316, 317、感染の有無を確認するためにはHCV RNA の測定を行う。いつ行うべきかについては概ね生後2〜3 か月以降にHCV RNA の測定を2回以上確認し、生後18 か月以降にHCV 抗体の消失を確認するとする報告が多い307, 316, 318 ことから、今回公開されたC 型肝炎母子感染小児の診療ガイドラインではC 型肝炎母子感染の診断のためには生後3-12 か月に3 か月以上あけて2 回以上のHCV RNA 検査と生後18か月以降のHCV 抗体検査を行うとされている315。

また、HCV RNA 陽性の母から出生したがHCV 検査を施行していない児がいた場合は、すぐに検査を行うことが望ましい。【Recommendation】 HCV 抗体は母体から児に移行し生後18 か月ごろまで残るため、母子感染の診断のためには生後

3-12 か月に3 か月以上あけて2 回以上のHCV RNA 検査を行い、また生後18 か月以降にHCV抗体検査を行う(レベル2a, グレードA)。 HCV RNA 陽性の母から出生したがHCV 検査を施行していない児がいた場合には、検査を行うこと

が望ましい(レベル6, グレードB)。
p.87
7-6-4. HCV キャリア小児の自然経過と経過観察

C 型肝炎の母子垂直感染には、短期間のみHCV RNA が検出される一過性感染と6 か月以上に渡りHCV RNA が検出される持続感染があり、後者を母子感染成立例とする。前述のように母子感染例の25- 30%の感染児はおおよそ4 歳までに無治療でHCV が排除される302, 303 ことから、出生児がHCV RNA 陽性であった場合、当面は自然経過を慎重にフォローする。なお、小児におけるHCV の自然消失に関与する因子については明確ではないが、小児サラセミアでの頻回輸血によるHCV 感染例や成人C 型急性肝炎例では、IL28B SNP がHCV 自然治癒に関連しており319-321、IL28B SNP が母子感染児からのHCV自然消失に関与している可能性はある。

HCV キャリア小児のフォローアップについては、North American Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition (NASPGHAN)の診療ガイドラインでは、C 型慢性肝炎では、1 年に1 度、AST/ALT に加えてビリルビン、アルブミン、HCV RNA、CBC、PT などを測定すべきであると推奨している322。小児期には無症候のことが多いが、欧州小児HCV ネットワークに登録された266 例のうち10%に肝腫大を、約50%にALT の上昇を認めたとされている302 。前述のわが国のC 型肝炎母子感染診療ガイドラインでは年1 回以上の肝機能検査(AST/ALT)を行うことが推奨されている315。

小児のC型慢性肝炎では肝臓の線維化は進行しにくく、肝硬変に至る症例は少ない323, 324。本邦における348 例の自然経過を観察した報告では、小児期の肝線維化は新犬山分類でF0:33%、F1:58%、F2:9%、F3-4:0%であり、F3 以上に線維化が進行した症例はなかった301。なお、基礎疾患に血液悪性腫瘍が存在した輸血関連の小児では、線維化が進行した症例も存在した325 。欧米でも、サラセミアでの頻回輸血や血液悪性腫瘍の小児から少数例であるが、組織学的に線維化が進行した症例が存在する322, 326。このような線維化の進行した症例では速やかに治療を行うことが望ましい327。

現在でも肝組織の評価は肝生検によるものが最もすぐれているが、最近は回避される傾向にある。小児では、非侵襲的な手法での肝組織の評価は標準化されていない。現時点では、欧州では肝生検による組織学的評価が一般的である328 が、米国では、肝組織の進行度は身体学的所見、血液検査でのアルブミン、トランスアミナーゼ、ビリルビン、INR、血小板数を6-12 か月ごとに測定することで、ある程度の予想が可能であると述べている316。成人で使用されている非侵襲的な血中の線維化マーカーの小児に対する適用は十分な検証が必要である58。肝線維化が進行した小児例では、被爆の観点からCT やMRIではなく、超音波検査が推奨される。小児用のプローブを用いた超音波によるエラストグラフィーで肝線維化を評価する報告が増加している58, 329。【Recommendation】出生児がHCV RNA 陽性であった場合、当面は自然経過を慎重にフォローする(レベル6, グレー

ドB)。母子感染児からのHCV 自然消失例が存在し、IL28B SNP 関与が示唆される(レベル3)。 HCV キャリア小児では、年1 回以上の肝機能検査を行う(レベル6, グレードB)。小児のC型慢性肝炎では肝臓の線維化は進行しにくく、肝硬変に至る症例は少ない(レベル3)。
p.88
小児では、血中の線維化マーカーや超音波エラストグラフィーなどでの非侵襲的な手法での肝組

織評価は標準化されていない(レベル5)。画像検査を行う場合は、被爆の観点からCT やMRI ではなく、超音波検査が推奨される(レベル6,

グレードB)。

7-6-5. 小児C 型慢性肝炎の治療適応

わが国では、C 型慢性肝炎は治療により治癒する疾患であり、小児期に肝硬変や肝がんに進行する症例はないことから、成人になってから治療を開始するべきとの意見が多い。しかし、HCV 感染小児は、身体的、精神的、認知能力が健康小児に比して有意に劣っていることや、保護者の心理的ストレス(子供への罪悪感など)が非常に大きいことが報告されている330, 331 。また、早期に治療を行うことは医療経済的に大きなメリットがあることに加えて、肝疾患の進行リスクを軽減できるという報告もあることから332、欧米では希望する3 歳以上の小児C 型慢性肝炎患児に対して、治療を考慮するべきであるとしている333, 334。

最近公開されたわが国のC 型肝炎母子感染小児の診療ガイドラインでは12 歳以上の小児C 型慢性肝炎では直接作用型抗ウイルス剤による治療の適応があり、12 歳未満の小児では、慢性肝炎例(ALT 値の持続高値)、または線維化が強い症例(F2 以上)では、適宜治療を考慮してもよい、とされている315。わが国でも、2022 年6 月20 日付から3 歳以上のC 型慢性肝炎患児に対して直接作用型抗ウイルス剤投与の適応が拡大され、11 月16 日付で薬価収載された。【Recommendation】 3 歳以上の小児C 型慢性肝炎では、直接作用型抗ウイルス剤による治療の適応がある(レベル2a,

グレードA)。

7-6-6.小児C 型慢性肝炎の治療選択7-6-6-1.インターフェロン治療

小児でも欧米では2005 年からペグインターフェロンとリバビリン併用療法がおこなわれ、良好な成績が得られている。対象年齢は3-18 歳、投与量は、ペグインターフェロンα-2b は1.0 あるいは1.5μg/kg/週、ペグインターフェロンα-2a は180μg/1.73m2/週を週1 回皮下注射し、リバビリンは、15-20mg/kg/日を連日内服、治療期間は24 週あるいは48 週である。これらの報告を系統的レビューとメタ分析した結果334 、70%でEVR が得られ、58%のSVR 達成率であり、EVR ならびにSVR はゲノタイプ2 型と3 型の方が1 型と4 型より高率であった。副作用による治療中止はわずかに4%で、無効のための治療中止は15%、再発が7%であった。副作用として血液検査では、貧血、白血球数減少、好中球減少、血小板減少が、各々11%、32%、52%、5%に認められ、症状としては、脱毛症、注射部位の発赤、搔痒症が各々13%、27%、19%に認められた。また、治療中に軽度の成長率の低下がみられた。わが国のペグインターフェロンα-2a単独療法における成長の報告でも治療中には成長率の低下があるものの治療終了後には成長率の回復が得られるとしている335 。
p.89
以上より、小児C 型慢性肝炎に対するペグインターフェロンに治療は、安全で効果的と欧米では判断された。

わが国からは、ペグインターフェロンα-2a 単独療法335, 336 とペグインターフェロン+リバビリン併用療法337 の多施設合同研究が報告されている。ペグインターフェロンα-2a 単独療法は、ゲノタイプ1 あるいは2 型、4-18 歳の症例に前向きで3μg/kg/週×48 週投与し、22 例のうち10 例(45%)でSVR が得られた。ペグインターフェロン+リバビリン併用療法では、ゲノタイプ1 あるいは2 型、18 歳未満の症例の後ろ向き調査で、ペグインターフェロンα-2b 1.5μg/kg/週+リバビリン15mg/日×24 週(ゲノタイプ2)あるいは48 週(ゲノタイプ1)投与し、84 例のうち72 例(86%)でSVR が得られた。しかも、1型に対するSVR 率はIL28B major type で有意に高いことが示された(major 88% vs. hetero/minor 47%)。また、中国の小児(1-6歳)を対象としたPEG-IFN/RBV 併用療法の効果は高く、特にIL28B major type で有意に高かった(99.0% vs 80%, p=0.002) 338。

AASLD と欧州肝臓学会(EASL)からは、各々2020 年と2018 年に小児に対するガイドラインが発表されている316, 339。両ガイドラインともインターフェロン治療については、もはや治療法の選択肢として挙げられていない。【Recommendation】小児C 型慢性肝炎に対するペグインターフェロン単独療法あるいはリバビリン併用療法は、これま

で比較的安全で効果的とされ、IL28B SNP が治療効果に関連した(レベル2a)。現在では、直接作用型抗ウイルス剤の登場により海外ではペグインターフェロン単独療法あるいはリ

バビリン併用療法は治療選択肢として挙げられていない(レベル2a)。

7-6-6-2. 直接作用型抗ウイルス剤(DAAs)治療薬

わが国を含む世界規模でのグレカプレビル水和物・ピブレンタスビルの小児における効果についての治験が行われた340 。この治験は、肝硬変患者を除く12 歳から17 歳までのC 型慢性肝炎小児47 例(初回治療 36 例、治療既往 11 例)を対象とした。白人35 例、黒人4 例、アジア人6 例、それ以外が2 例で、ゲノタイプは、1 型37 例、2 型3 例、3 型4 例、4 型3 例である。投与量は成人と同様で、グレカプレビル水和物300mg/ピブレンタスビル120mg を1 日1 回、原則として8 週間服用した。但し、ゲノタイプ3と治療既往の合計3 例のみ16 週服用した。SVR12 は全例で達成し、再発はない。また、重大な副作用も認められなかった。この結果から、わが国でもDAA として初めて2019 年8 月22 日付で12 歳以上のC型慢性肝炎症例に治療適応が認可された。

続いて、3 歳以上12 歳未満の小児を対象としたグレカプレビル水和物・ピブレンタスビルの効果についての治験が行われた。日本人小児9 例を含むC 型慢性肝炎小児80 例(初回治療 78 例、治療既往2 例)を対象とした。白人55 例、黒人4 例、アジア人14 例、それ以外が5 例で、ゲノタイプは、1 型58 例、2 型3 例、3 型18 例、4 型2 例である。成人と同様の曝露量を設定するため、初回設定用量比をグレカプレビル水和物/ピブレンタスビルを40mg/15mg として投与を開始し、PK 分析の後、12kg 以上20kg 未
p.90
満の小児にはグレカプレビル水和物/ピブレンタスビル 150mg/60mg を、20kg 以上30kg 未満の小児にはグレカプレビル水和物/ピブレンタスビル 200mg/80mg を、30kg 以上45kg 未満の小児にはグレカプレビル水和物/ピブレンタスビル 250mg/100mg を最終用量としてこの配合顆粒製剤を、1 日1 回、原則として8 週間服用した。投与期間は参加各国の添付文書で推奨される成人の投与期間に従った。グレカプレビル水和物/ピブレンタスビルの最終調整用量が投与された被験者のうち、ウイルス学的治療不成功例はいなかった。しかしながら、3 例がSVR12 を達成しなかった。重大な副作用も認められなかった341。この結果から、2022 年6 月20日付で、グレカプレビル水和物/ピブレンタスビルの配合顆粒製剤が3 歳以上12 歳未満のC 型慢性肝炎症例に治療適応が認可され、11 月16 日付で薬価収載された。

適応疾患は、C 型慢性肝炎又はC 型代償性肝硬変で用法・用量は以下のとおりである。〈セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のC 型慢性肝炎の場合〉通常、3 歳以上12 歳未満かつ体重45kg 未満の小児には、グレカプレビル及びピブレンタスビルとして下記の体重別の用量を1 回量とし、1 日1 回、食後又は食事とともに経口投与する。投与期間は8 週間とする。なお、C 型慢性肝炎に対する前治療歴に応じて投与期間は12 週間とすることができる。

12kg 以上20kg 未満:3 包(グレカプレビルとして150mg 及びピブレンタスビルとして60mg) 20kg 以上30kg 未満:4 包(グレカプレビルとして200mg 及びピブレンタスビルとして80mg) 30kg 以上45kg 未満:5 包(グレカプレビルとして250mg 及びピブレンタスビルとして100mg)〈セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のC 型代償性肝硬変の場合〉あるいは〈セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のいずれにも該当しないC 型慢性肝炎又はC 型代償性肝硬変の場合〉

通常、3 歳以上12 歳未満かつ体重45kg 未満の小児には、グレカプレビル及びピブレンタスビルとして下記の体重別の用量を1 回量とし、1 日1 回、食後又は食事とともに経口投与する。投与期間は12 週間とする。

12kg 以上20kg 未満:3 包(グレカプレビルとして150mg 及びピブレンタスビルとして60mg) 20kg 以上30kg 未満:4 包(グレカプレビルとして200mg 及びピブレンタスビルとして80mg) 30kg 以上45kg 未満:5 包(グレカプレビルとして250mg 及びピブレンタスビルとして100mg)【Recommendation】わが国では、3 歳以上のC 型慢性肝炎症例に対してグレカプレビル/ピブレンタスビルが承認され

ている(レベル2a)。 12 歳以上の小児C 型慢性肝炎では、グレカプレビル/ピブレンタスビルによる治療を考慮する(レベ

ル2a, グレードA)。 3-11 歳の小児では、ALT 値の持続高値例、または線維化が強い症例では、抗ウイルス治療を考慮

してもよい(レベル2a, グレードB)。

7-6-7. 小児C 型慢性肝炎の治療目標と治療後のフォローアップ
p.91
小児C 型慢性肝炎の治療目標はHCV の排除であるが、過去の治療歴の有無に関わらず現在のDAAs の治療によってほぼ全例で達成することが可能となっている。前述のように小児期にHCV による線維化が進行している例は少なく、治療後に発癌する可能性は低いと思われるが、治療終了後の症例をいつまでフォローすべきか報告はほとんどなく、コンセンサスも得られていない。【Recommendation】治療終了後の経過観察期間についてのエビデンスおよびコンセンサスはない(レベル6)

7-6-8.小児HCV に関する海外ガイドラインおよびAMED 研究班ガイドライン7-6-8-1.EASL ガイドラインの要点2018 年に小児に対するガイドライン339 が発表されている。

小児の主な感染経路は母子感染であり、青年期では薬物乱用による感染の危険がある。HIV-HCV 共感染の母親から出生した児は、単独感染の母から出生した児より感染率は高い。HCV RNA 陽性の母から出生した児は生後18 か月以降でHCV の感染の有無を検査すべきである。肝硬変や肝がんは小児ではまれである。しかし、基礎にサラセミア、鉄過剰症、HIV 共感染、血液・悪性腫瘍によって化学療法歴がある小児では肝線維化の進行が早い可能性がある。肥満も肝線維化を助長する可能性がある。

小児のDAA 治療薬の治験は2 件で終了し、効果は以下のとおりである。1) ゲノタイプ1(12-17 歳)の100 例にレジパスビル/ソホスブビルを12 週間投与し、SVR 率は98%(98/100)であった342 。2) ゲノタイプ2,3,4(12-17 歳)の52 例にソホスブビル/リバビリンを投与し、SVR 率は98%(51/52)であった343。これらの結果からEASL では、以下のような推奨をしている。・12 歳以上、ゲノタイプ1,4,5,6、初回ならびに既治療で慢性肝炎あるいはChild-Pugh A までの代償性肝硬変例:レジパスビル(90mg)/ソホスブビル(400mg) を12 週投与する。・12 歳以上、ゲノタイプ2,3 初回ならびに既治療で慢性肝炎あるいはChild-Pugh A までの代償性肝硬変例:新しい治療法が成人で確立され小児での安全性が確認されるまで待機・12 歳未満:全ゲノタイプ対応のDAA 治療薬の小児での適応が承認されるまで延期7-6-8-2.AASLD ガイドラインの要点

2022 年に小児に対するガイドライン333 が改定されている。現在治験を含めた小児に対するDAA 治療薬では、安全性、忍容性、効果についての評価は高い。12 歳以下の小児でのDAA 治療は、費用対効果が高く、若年成人以降にまで治療を延期すると生涯で経験する肝疾患を含む様々な疾患の危険度が増加する332, 344 。特に、幼児期からの治療は費用対効果が高く、FDA はDAAs 治療をすべてのHCV の遺伝子型で3〜18 歳未満の小児への適応を承認した。これらの結果からAASLD では、以下のような小児に対してDAA 治療を推奨している。初回治療あるいはインターフェロン治療歴のある小児の非肝硬変あるいはChild-Pugh A までの代償性肝
p.92
硬変例・3 歳以上、すべての遺伝子型:グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル(体重換算量) 8 週投与 あるいは、ソホスブビル/ベルパタスビル(体重換算量) 12 週投与・3 歳以上、遺伝子型1、4、5、6:レジパスビル/ソホスブビル(体重換算量) 12 週投与DAA 治療歴のある小児の非肝硬変あるいはChild-Pugh A までの代償性肝硬変例・ゲノタイプ1,2,4,5,6、12 歳以上あるいは45kg 以上、インターフェロン治療歴あるいはソホスブビル治療歴あり、NS3/4A 阻害薬あるいはNS5A 阻害薬治療歴なし、非肝硬変:グレカプレビル水和物300mg/ピブレンタスビル120mg 8 週投与・ゲノタイプ1,2,4,5,6、インターフェロン治療歴あるいはソホスブビル治療歴あり、NS3/4A 阻害薬あるいはNS5A 阻害薬治療歴なし、代償性肝硬変(Child-Pugh A まで):グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル12 週・ゲノタイプ3、体重換算量、インターフェロン治療歴あるいはソホスブビル治療歴あり、NS3/4A 阻害薬あるいはNS5A 阻害薬治療歴なし、非肝硬変あるいは代償性肝硬変(Child-Pugh A まで):グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル16 週・ゲノタイプ1-6、体重換算量、NS3/4A 阻害薬治療歴あり、NS5A 阻害薬治療歴なし、非肝硬変あるいは代償性肝硬変(Child-Pugh A まで):グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル 12 週・ゲノタイプ1-6、体重換算量、NS3/4A 阻害薬治療歴なし、NS5A 阻害薬治療歴あり、非肝硬変あるいは代償性肝硬変(Child-Pugh A まで):グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル16 週・ゲノタイプ1-6、体重換算量、インターフェロン(リバビリン治療歴は不問)+NS3/4A 阻害薬治療歴あり、非肝硬変:ソホスブビル/ベルパタスビル(体重換算量) 12 週・ゲノタイプ1-6、体重換算量、インターフェロンベースのレジメン(±リバビリン)および/またはソホスブビル治療歴あり、NS3 / 4A またはNS5A プロテアーゼ阻害剤の治療歴なし、非代償性肝硬変:ソホスブビル/ベルパタスビル(体重換算量) 12 週・ゲノタイプ4,5,6、3 歳以上、インターフェロン(リバビリン治療歴は不問)+NS3/4A 阻害薬治療歴あり、非肝硬変あるいは代償性肝硬変(Child-Pugh Aまで):レジパスビル/ソホスブビルを体重に応じて12 週 体重<17kg 33.75mg/150mg; 17kg 以上35kg 未満 45mg/200mg; 35kg 以上 90mg/400mg・ゲノタイプ1: 3 歳以上、インターフェロン(±リバビリン)とHCV プロテアーゼ阻害剤治療歴あり肝硬変なし:レジパスビル/ソホスブビル(体重換算量) 12 週間・ゲノタイプ1: 3 歳以上、インターフェロン(±リバビリン)とHCV プロテアーゼ阻害剤治療歴あり代償性肝硬変:レジパスビル/ソホスブビル(体重換算量) 24 週間

表16 : 3 歳以上小児に対するグレカプレビル/ピブレンタスビルの体重に基づく用量
p.93
体重グレカプレビル/ピブレンタスビル1 日1 回投与

20 kg 未満150 mg/60 mg

20 kg 以上30 kg 未満200 mg/80 mg 30 kg 以上45 kg 未満250 mg/100 mg

45 kg 以上又は12 歳以上300 mg/120 mg

表17 :  3 歳以上小児におけるソホスブビル/ベルパスタビルの体重に基づく用量

体重ソホスブビル/ベルパスタビルの1日1回投与

17 kg 未満150 mg/37.5 mg

17kg以上 30 kg 未満200 mg/50 mg

30 kg 以上400 mg/100 mg

表 18: 3 歳以上の小児に対するレジパスビル/ソホスブビルの体重に基づく用量

体重レジパスビル/ソホスブビルの1 日1 回投与

17 kg 未満33.75 mg/150 mg

17 kg 以上35 kg 未満45 mg/200 mg

35 kg 以上90 mg/400 mg

表19:  3 歳を超える小児に対するリバビリンの体重に基づく用量

体重リバビリンの1 日投与量 (午前と午後に分ける)

47 kg 未満15 mg/kg

47kg to 49 kg 600 mg

50kg to 65 kg 800 mg

66kg to 80 kg 1000 mg

>80 kg 1200 mg
p.94
7-6-8-3. わが国におけるC 型肝炎母子感染小児の診療ガイドラインの要点

AMED 研究班によって「C 型肝炎母子感染小児の診療ガイドライン」が作成され、2020 年5 月に公開された315。以下のステートメントが示されている。(https://www.jspghan.org/)

表20 C 型肝炎母子感染小児の診療ガイドラインのステートメント

CQステートメント推奨の強さ(合意率)エビデンス

レベル

CQ1母体のウイルス量が多いと母子感染率が高くなる。A

CQ2 C 型肝炎キャリア妊婦に対して、選択的帝王切開により母子感染率は低下せず、母子感染予防目的として帝王切開をしないことを推奨する。ただし、HCV RNA 量高値群のキャリア妊婦に対しては、わが国の分娩様式別母子感染率を示し、分娩様式について妊婦・家族の意思を尊重する。強い推奨(76.5%) C

CQ3 C 型肝炎キャリア妊婦から出生した児に対して、母乳栄養でも母子感染率は上昇しないため、母子感染予防の目的で人工栄養を行わないことを推奨する。強い推奨(82.4%) C

CQ4 C 型肝炎母子感染の診断のためには、HCV RNA 検査を生後3か月から12 か月までの間に3 か月以上あけて少なくとも2回行う。HCV 抗体検査は、生後18 か月以降に行う。強い推奨(76.5%) C CQ5 C 型肝炎ウイルス母子感染が成立した小児においては、その後20-30%の割合でウイルスが自然消失する。C

CQ6 C 型肝炎母子感染の小児に年1 回以上の肝機能検査(AST/ALT)を行うことを推奨する。強い推奨(88.2%) C

CQ7 12 歳以上の小児では、C 型慢性肝炎は治療の適応がある。強い推奨(88.2%) C

12 歳未満の小児では、慢性肝炎例(ALT 値の持続高値)、または線維化が強い症例(F2 以上)では、適宜治療を考慮してもよい。弱い推奨(76.5%) C

CQ8 C 型肝炎ウイルスによる小児期から若年成人期の肝発癌は極めてまれであるが、基礎疾患を有する症例において発症の報告がある。小児期の肝発癌抑制をアウトカムとしたRCT はなく、小児期の抗ウイルス治療の肝発癌抑制効果は不明であるものの、白血病などの基礎疾患を有する症例では小児期の抗ウイルス治療を考慮してもよい。弱い推奨(94.1%) D

7-7 肝癌症例に対するDAAs治療

HCV に対する抗ウイルス療法は、IFN 治療からDAAs 治療となり、ほぼ副反応なく高率にHCV 排除を行うことが可能になった。多彩な副反応を有し効果が不十分なIFN 治療では肝癌症例への適応は困難であったが、肝癌症例に対するDAAs 治療についてのデータが全世界で蓄積されつつある。肝癌患者には、手術やRFA などによる根治的治療の可否、肝予備能の良・不良など様々な背景を有する症例が存在する。そのため、C 型肝炎ウイルス感染を背景とした肝癌患者に対するDAAs 治療の適応は、個々の臨床背景を考慮の上、判断される必要がある。肝予備能がChild-Pugh C の症例、BCLC stage D の症例
p.95
に対するDAAs 治療についてはごく少数例の報告に限られており、これらの症例に対するDAAs 治療の効果や生命予後に与える影響についてのエビデンスは十分ではない。また、DAAs 治療を肝癌治療の前後のいずれに行うべきかについては、生命予後に与える影響を比較検討した報告がないため、DAAs 治療時期を規定する直接のエビデンスは十分ではない。一方、肝癌根治後症例を中心に、肝癌症例に対するDAAs 治療の有効性に関して報告されるようになっている。ここでは肝癌症例に対するDAAs 治療の報告を概説する。7-7-1 根治術可能な肝癌症例

肝癌根治後の症例におけるDAAs 治療によるSVR,またはDAAs 治療自体が生命予後を改善する可能性について、複数の報告がなされている。イタリアからの多施設後ろ向き研究では、初発肝癌に対して肝切除ないし焼灼療法後、根治が確認された後に、DAAs 治療が行われたDAAs 群163 例と、DAAs 治療が行われなかった非DAAs 群328 例を対象に生命予後の比較検討が行われた345。DAAs 群のSVR率は83%(135/163)であった。傾向スコアに基づいて調整されたDAAs 群102 名、非DAAs 群102 名の検討では、非DAAs 群に比してDAAs 群では、OS が有意に良好であった(HR=0.39, 95%CI=0.17–0.91, P=0.03)。肝癌再発率は両群間に差がなかったが、非代償性肝硬変への進展がDAAs 群において有意に抑制されていた(HR=0.32, 95%CI=0.13–0.84, P=0.02)345 。肝癌症例1,676 例を対象とした北米・東アジアからの多施設後ろ向きコホート研究において、肝癌診断後にDAAs 治療が行われSVR が得られたSVR 群437 例と、抗ウイルス治療が行われなかったnon-SVR 群1,239 例を傾向スコアに基づいて調整し、さらにDAAs 治療開始時点で時間変動調整を行い、DAAs 治療によるSVR の生命予後への影響が検討された。DAAs 治療が行われた患者の肝予備能の分布はChild-Pugh class A, B, C がそれぞれ、73%, 24%, 3%であった。患者背景が傾向スコアに基づいて調整されたSVR 群、non-SVR 群それぞれ321 例での生命予後の比較検討では、SVR 群は非SVR 群と比較して全死因の死亡リスクが63%改善したことが示された(HR=0.37, 95%CI=0.16-0.83, P=0.016)346。肝癌根治症例に限定した解析においてもSVR 群はnon-SVR 群と比較して有意に生命予後が良好であることが報告された(5 年生存率 91.98% vs 71.06%, P=0.0013)346。本邦からの多施設後ろ向き研究では、RFA による根治治療後3 か月以内にDAAs 治療を開始しSVR が得られた症例の生命予後と、臨床背景を傾向スコアマッチングしたDAAs 治療が行われなかった群との比較検討が報告されている(両群47 例)。DAAs 治療群の累積全生存率が、1 年、3 年でそれぞれ93.6%、72.6%であるのに対して、対象群ではそれぞれ72.8%、37.4%とDAAs 治療群において有意に全生存率が高くなる事が報告された(P<0.01)347。さらにOS に関与する因子についての多変量解析でも、DAAs 治療によるSVR がOS 延長に寄与する独立因子として抽出された(HR=0.32, 95%CI=0.17–0.60, P<0.01)347。HCV 関連肝癌に対して肝癌治療が完全奏功となった797 例を対象とした米国の後ろ向きコホート研究では、DAAs 治療を肝癌治療後に383 例(48.1%)が受け、414 例(51.9%)が受けず、DAAs 治療が死亡リスクの有意な低下と関連していた(HR=0.54, 95%CI=0.33-0.90)。さらにDAAs 治療によるSVR 症例において死亡リスクが有意に低下していた(HR=0.29, 95%CI=0.18-0.47)ことが示された348。肝癌根治術前のSVR と生命予後との関連については以下のような報告がある。肝癌患者
p.96
における肝癌発症前の抗ウイルス療法が肝癌患者の予後に与える影響についての多施設前向き研究がイタリアから報告されている。IFN 治療によりSVR が得られた後に肝癌を発症した19 例(SVR 群)とIFN治療によりSVR が得られずその後にHCC を発症した156 例(non-SVR 群)を対象に生命予後が比較検討された。SVR 群は17 例(94.7%)がBCLC 0/A であり、14 例(74%)に手術またはRFA/PEI などの局所治療が行われていた。5 年生存率はSVR 群が65.9%、non-SVR 群では31.9%であり、SVR 群において生命予後が有意に良好であることが報告され(log-rank test P=0.04)、臨床背景を傾向スコアに基づいて調整された検討においても同様の結果であった349。【Recommendation】肝癌根治可能なHCV 感染例ではHCV 排除により死亡リスクが低減されることから、HCV 排除を目

指したDAAs 治療を推奨する。(レベル2b グレードA)。

7-7-1-1 DAA 治療の治療タイミング

DAAs 治療を肝癌治療前後のいずれのタイミングに行うべきかについては、前向きに比較検討を行った研究はないが、サブ解析や後ろ向きの比較検討が報告されている。米国のNorthwestern Memorial Hospital からの報告では、HCV 陽性の肝硬変患者421 例に対するDAAs 治療のSVR 率のうち、肝癌の併存または既往がある137 例(33%)において、肝癌の無い284 例に比し、SVR 率が有意に低下していた(79% vs 88%, p=0.009)349。また活動性を有する肝癌の併存例に比べ、既往例において有意に高いSVR 率が示され(58% vs 97%, P<0.0001)、DAAs 治療のウイルス排除不成功に関与する因子は治療開始時において活動性を有する肝癌の存在であった(調整OR=8.49, 95%CI=3.90–18.49, p<0.001)349。一方、米国の多施設前向き観察研究のHCV-TARGET では、1,457 例の肝硬変患者のうち、肝癌の既往の無い1,311 例と、肝癌根治後の91 例、肝癌が残存する66 例を対象としたDAAs 治療のSVR 率の比較検討が報告されている350。SVR 率はそれぞれ91.0%、83.5%、80.3%であり、肝癌の既往の無い症例のSVR 率が有意に高く(OR=0.51, 95%CI=0.33-0.81, P=0.003)、肝癌の根治治療後症例と残存症例には差が認められなかった(OR=0.79, 95%CI=0.35-1.79, P=0.569)。肝癌患者3,126 例と肝癌のない患者49,138 例を含む27 の研究を対象にしたシステマティック・レビューおよびメタ解析によると、肝癌患者ではDAAs 治療のSVR 率が88.2%(95%CI=85.0-91.4)であり、肝癌のない患者では92.4%(95%CI=91.1- 93.7)であった(OR=0.54, 95%CI=0.43-0.68, P<0.001)351。また根治的治療を受けた肝癌患者では、非根治的治療を受けた患者や治療を受けていない患者よりもSVR 率が高かった。このように、未治療の肝癌を有する症例ではDAAs 治療のSVR 率が低下すると考えられる。欧州肝臓学会のガイドラインでは、根治的治療の適応のある肝癌患者は、肝癌治療後までDAAs 治療を延期することを推奨しており352, 353、台湾のコンセンサス・ステートメントでも、肝癌が根治可能であれば、肝癌治療の3 ヵ月後からの抗ウイルス治療が推奨されている352, 353。したがって、根治的治療が可能な肝癌症例においては、肝癌治療後のDAA 治療が推奨される。
p.97
【Recommendation】根治的治療が可能な肝癌症例に対する抗ウイルス治療は、肝癌の根治的治療後に開始することが

推奨される。(レベル2b)。

また、肝癌根治術後のDAA 開始時期については明確なエビデンスはないが、造影CT、EOB-MRIによる1cm未満の肝癌の診断感度は約50%から70%、1 から2cm の病変では約65%から70%と高くなく354、複数回の検査にて肝癌の再発がないことを確認する必要があり、また肝癌根治治療後のDAAs 治療が緊急性を有するものでないことから、海外ガイドラインでは根治治療後3-6 か月後の治療が推奨されている352, 353, 355。7-7-2 根治術不能な肝癌合併症例

手術やRFA などによる根治的治療が行えない進行肝癌に対するDAAs 治療について、少数例での報告ではあるが生命予後を改善しうる可能性が報告されている346, 356。北米・東アジアからの多施設後ろ向きコホート研究の層別化解析の中で、肝癌非根治症例におけるDAAs 治療によるSVR の生命予後への影響が報告されている356。TACE またはsorafenib といった非根治的治療が行われた症例のうち、DAAs 治療によりSVR が得られた肝癌患者92 例(SVR 群)とDAAs 治療が行われなかった97 例(コントロール群)を対象に、生命予後が比較検討された346。SVR 群はコントロール群に比し、全生存中央値で8か月長い生存期間であった(27.4か月 vs 19.7か月)346 。また、BCLC stage B/C の肝癌患者において、DAA 治療によるSVR が生命予後に与える影響についての単施設後ろ向き研究が台湾より報告されている356。BCLC stage B/C 患者97 例を対象とし、DAA 治療前の肝癌に対する治療としてはlocoregional therapy が 80 例(82.5%)、TKI 治療が10 例(10.3%)、ICI による治療が3 例(3.1%)であり、治療効果としては CR が20 例(20.6%)、PR が20 例(20.6%)、SD が42 例(43.3%)、PD が14 例(15.5%)であった。肝予備能は、Child-Pugh class A が79 例(81.4%)、Child- Pugh class B が18 例(18.6%)であった。SVR は88 例(90.7%)に得られ、9 例(9.3%)がnon-SVR であった。OS はSVR 群がnon-SVR 群よりも有意に良好であり(1 年OS:87.5% vs 57.1%、P=0.001)、SVR はOS に関連する独立した因子のひとつとして抽出された(HR, 8.42; 95%CI, 2.93-24.19; P=0.001)356。現在主流となるICI 治療症例などの報告はごく少数例のみに限定されており、また適切な治療タイミングなどについてのエビデンスは十分ではなく、今後の症例集積を含め、さらなるエビデンスの集積が求められる。根治術不能肝癌合併症例に対するDAAs 治療について、欧州肝臓学会のガイドラインでは予測される生存期間とDAAs 治療により得られるベネフィットに応じてDAAs 治療を行うことがあるとされており357、台湾のコンセンサス・ステートメントでは速やかにDAAs 治療を行うことが推奨されている353。一方、米国肝臓学会のガイダンス、アジア太平洋肝臓疾患学会のコンセンサス・ステートメントではこの問題に対し言及がされていない358-360。また、アメリカ消化器病学会のエキスパート・レビューでは、肝癌の状態、期待される肝癌治療効果、肝機能の程度、予測される生存期間、および患者の希望など複数の要因を勘案したうえでDAAs 治療の適応を考慮すべきとされている361。
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以上のように、根治的治療以外の治療が行われるHCV 未排除の肝癌症例に対する抗ウイルス治療においても、生命予後を延長するとの報告がある。また、非根治的な肝癌治療が行われる症例に対するDAAs 治療には国際的なコンセンサスはないが、治療を推奨する海外ガイドラインも存在する。

8.肝庇護剤による治療

肝庇護剤による治療はHCV の排除を目的とするのではなく、肝炎を鎮静化し肝組織の線維化進展を抑えることを目的とする治療である。C 型慢性肝炎で肝庇護剤による治療の適応になるのは、AST、ALT値が異常を示す患者で、IFN やIFN フリーDAA などによる抗ウイルス治療が施行できない患者、抗ウイルス治療でウイルス排除ができなかった患者、抗ウイルス治療を希望しない患者などである。肝庇護治療の中でも科学的に有用性が示されているのはUDCA とSNMC である。8-1.ウルソデオキシコール酸(UDCA)

UDCA は胆汁酸製剤であり、1日600~900 mg の投与が保険適用となっている。UDCA の肝炎に対する作用機序は肝細胞保護作用が主体であるが、細胞障害性の胆汁酸がUDCA に置き換わることによって肝細胞膜が保護されること、抗酸化ストレス作用、免疫調節作用、抗アポトーシス作用などの機序も想定されている362。

UDCA の肝機能改善効果は、1日150 mg 投与から認められている363, 364。全国多施設で施行された二重盲検試験では、UDCA 150 mg/日投与群に比べ600 mg/日および900 mg/日投与群でのAST、ALT 値、γ-GTP 値は有意に改善していた363。しがたって、現在ではC 型慢性肝炎に対するUDCA の投与量は600~900 mg/日が一般的である。副作用は、胃部不快感、下痢、便秘などの消化器症状が認められるが、比較的軽いことが多い。UDCA の発癌抑制効果についてのレトロスペクティブな研究では肝細胞癌の発生が有意に少なかったとも報告されている365。8-2.強力ネオミノファーゲンシー(SNMC)

SNMC は甘草の成分であるグリチルリチンが主成分であり、肝障害への作用機序はグリチルリチンの持つ弱ステロイド作用による抗炎症作用、肝細胞膜の保護作用などである。これらの作用によってALT 値の改善をみると考えられている。1日40 mL を1 か月間投与する日本での二重盲検試験において、SNMC投与群はプラセボ群よりも有意にAST、ALT 値の改善が得られた366, 367。投与量は、40~100 mL を連日または間歇投与するが、日本で行われた用量比較試験では40 mL 投与よりも100 mL 投与の方が有意にALT 値の改善が認められた368, 369。また、SNMC の長期投与は対照群よりも有意に肝硬変症への進展を抑制していた370。副作用としては、低カリウム血症、高血圧症などがある。

SNMC の発癌抑制効果については、慢性肝炎症例において、投与群が非投与群に比較して有意に肝発癌率が低かったという報告がある370, 371。さらにIFN 治療が無効であった症例においてもSNMC の投与群で肝発癌が有意に低かったと報告されている372, 373。8-3.ウルソデオキシコール酸と強力ネオミノファーゲンシーの併用治療

SNMC 単独とSNMC にUDCA を併用した併用治療との2 群での無作為化比較対照試験では、併用群
p.99
で有意にALT 値の改善率が高かった374。このように併用治療は炎症の鎮静化に有用である。
p.100
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p.130
肝炎治療ガイドライン作成に関する利益相反について(2017 年11 月30 日現在)

日本肝臓学会肝炎治療ガイドラインの作成委員は、関連疾患に関与する企業との間の経済的関係につき、以下

の基準について各委員より利益相反状況の申告を得た。

委員等はすべて、肝炎治療ガイドラインの内容に関して、ウイルス性肝炎および関連疾患の医療・医学の専門

家あるいは専門医として、科学的および医学的公正さと妥当性を担保し、対象となる疾患の診療レベルの向上、

対象患者の健康寿命の延伸・QOL の向上を旨として策定作業を行った。

申告された企業名は下記の通りである(2014 年1 月1 日~2014 年12 月31 日)。なお、中立の立場にある出版

社や団体は含まない。(企業名は、2015 年12 月現在)

1  臨床研究に関連する企業・法人組織や営利を目的とした団体(以下、企業・組織や団体という)の役員、

顧問職については、1 つの企業・組織や団体からの報酬額が年間100 万円以上とする。

(無)

2  株式の保有については、1 つの企業についての年間の株式による利益(配当、売却益の総和)が100 万円

以上の場合、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合とする。

(無)

3  企業・組織や団体からの特許権使用料については、1 つの特許権使用料が年間100 万円以上とする。(有) 株式会社エスアールエル

4  企業・組織や団体から、会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日

当(講演料など)については、1 つの企業・組織や団体からの年間の講演料が合計50 万円以上とする。

(有) 味の素製薬株式会社、アッヴィ合同会社、MSD 株式会社、大塚製薬株式会社、グラクソ・スミスクライ

ン株式会社、大日本住友製薬株式会社、田辺三菱製薬株式会社、中外製薬株式会社、ブリストル・マイ

ヤーズ スクイブ株式会社、ヤンセンファーマ株式会社5  企業・組織や団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料については、1 つの企業・組織や団

体からの年間の原稿料が合計50 万円以上とする。

(無)

6  企業・組織や団体が提供する研究費については、1 つの企業・組織や団体から臨床研究(受託研究費、共

同研究費、委任経理金など)に対して支払われた総額が年間100 万円以上とする。

(無)

7  企業・組織や団体が提供する治験費、奨学(奨励)寄付金については、1 つの企業・組織や団体から、申

告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは研究室の代表者に支払われた総額が年間

100 万円以上とする。

(有) MSD 株式会社、中外製薬

8  企業・組織や団体が提供する寄付講座に所属している場合とする。
p.131
(有) エーザイ株式会社、MSD 株式会社、大日本住友製薬株式会社、中外製薬株式会社、東レ株式会社、ブリ

ストル・マイヤーズ スクイブ株式会社、株式会社ミノファーゲン製薬9  その他、研究、教育、診療とは無関係な旅費、贈答品などの提供については、1 つの企業・組織や団体か

ら受けた総額が年間5 万円以上とする。

(無)
p.132
資料1  C 型慢性肝疾患(ゲノタイプ1型・2型)に対する治療フローチャート

現在、直接型抗ウイルス薬(DAA)によるIFN フリー抗ウイルス治療の有効性は極めて高く、初回投与例でのウイルス排除率は95%以上となった。DAA によるIFN フリー抗ウイルス治療に当たっては、以下に留意すること。

 経口薬による抗ウイルス治療は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・

経験をもつ医師により、適切な適応判断がなされた上で行う。 DAA 前治療不成功例ではL31 やY93 以外にP32 欠失やA92 など多彩

な変異が出現する。ことにP32 欠失は、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例だけでなく、オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、エルバスビル+グラゾプレビル併用による不成功例でも出現し、NS5A 阻害薬に対して強い耐性を示す。またP32 欠失以外の変異が治療効果低下に関与する可能性がある。従って、DAA 前治療不成功例に対するDAA 再治療を検討する際には、NS3/4A ならびにNS5A 領域の薬剤耐性変異、ことにP32 欠失の有無を測定した上で、肝臓専門医によって慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。 Child-Pugh 分類grade C 症例の中でもChild-Pugh スコア13~15 点の症

例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の安全性の検証は十分ではないため、こうした症例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠投与については、当面、肝臓専門医によって治療方針が決定されるべきであり、投与の場合には極めて慎重な経過観察が望ましい。

1.C 型慢性肝炎・代償性肝硬変※1 ※2 ※3 (DAA 治療歴なし)

※1 高齢者、肝硬変・線維化進展例などの高発癌リスク群は早期に抗ウイルス療法を行う.
p.133
※21 型と2 型の混合感染に対しては、pangenotype に有効な GLE/PIB、SOF/LDV ないしはSOF/VEL

で治療する. ※3 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠以外のIFN フリーレジメンはChild-Pugh 分類grade B またはC

の症例には禁忌、ないし使用すべきではない. ※4 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF の

投与は禁忌である. ※5 本邦における慢性肝炎への臨床試験は行われていない

2.慢性肝炎・代償性肝硬変※1 (プロテアーゼ阻害薬+Peg-IFN+RBV による前治療不成功例)

※1 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠以外のIFN フリーレジメンはChild-Pugh 分類grade B またはC

の症例には禁忌、ないし使用すべきではない. ※2 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF

の投与は禁忌である. ※3 国内臨床試験におけるGLE/PIB の投与期間は、DAA 治療歴のある慢性肝炎ならびに代償性肝硬

変では12 週間である. ※4 プロテアーゼ阻害薬+Peg-IFN+RBV 前治療により誘導されたNS3 変異の影響についてのエビデンス

はない. ※5 本邦における慢性肝炎への臨床試験は行われていない. 3.慢性肝炎・代償性肝硬変※1※2 (IFN フリーDAA 前治療不成功例)
p.134
※1 非代償性肝硬変に対するGLE/PIB 治療の安全性と有効性は確認されていない。RBV 投与は禁忌であることからSOF/VEL+RBV も投与すべきではない。※2 ゲノタイプ1 型に対してIFN フリーDAA による前治療を行い不成功となった例では、L31 やY93 以外にP32 欠失やA92 などNS5A 領域に多彩な変異が出現し、 NS5A 阻害薬の治療効果低下に関与する可能性がある。 ことにP32 欠失はNS5A 阻害薬に対して強い耐性を示す。従って、DAA 前治療不成功例に対する再治療を検討する際には、NS3/4A ならびにNS5A 領域の薬剤耐性変異、ことにP32 欠失の有無を測定した上で、肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※3 P32 欠失例に対するGLE/PIB 12 週 の治療効果は極めて低いため、ゲノタイプ1 型に対する同治療はP32 欠失がないことを確認してから施行することを推奨する。※4 GLE/PIB 治療期間が8 週以下、かつ、ゲノタイプ2 型またはゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異が陰性の不成功例において、RBV の使用が困難な場合には、GLE/PIB(12 週)も選択肢として考慮可能である。また、ゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異のあるDAA 治療不成功例に対しては、RBV の使用が困難な場合には、SOF/LDV(12 週間)による再治療も選択肢として考慮可能である。ただし、エビデンスは限られており、その他の耐性変異の有無を含めて肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※5 GLE/PIB 12 週不成功例に対してはSOF/VEL+RBV 24 週が治療選択肢となるが、臨床試験においても実臨床においてもその有効性は確認されておらず、肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※6 SOF/LDV 不成功例、 SOF/VEL 不成功例に対してはGLE/PIB 12 週およびSOF/VEL+RBV 24週が治療選択肢となるが、※5 同様、明らかな有効性を示すエビデンスはない。※7 SOF/VEL+RBV 24 週不成功例に対してはGLE/PIB 12 週が治療選択肢となるが、 ※5 同様、明らかな有効性を示すエビデンスはない。

4.C 型非代償性肝硬変※1
p.135
※1 DAA 治療不成功例への再治療の場合、SOF/VEL+RBV24 週間投与は施行すべきではなく、肝臓専

門医の判断においてSOF/VEL12 週間投与を選択肢とする. ※2 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF

の投与は禁忌である. ※3 Child-Pugh 分類grade C (とくにChild-Pugh スコア13~15 点)症例に対する同薬剤の安全性は十

分に検証なされていない.したがって、SOF/VEL 投与については、肝臓専門医によって治療方針が決定されるべきであり、投与の場合には極めて慎重な経過観察が望ましい.
p.136
資料2  IFN フリーDAA 製剤の併用禁忌・併用注意薬 (     :併用禁忌、     :併用注意) *2019 年2 月現在の各添付文書より。*太矢印(  /  ):DAA の血中濃度が増加/減少し、効果が増強/減弱するおそれがある。*細矢印(↑/↓);併用薬の血中濃度が増加/減少し、効果が増強/減弱するおそれがある。薬剤名主な商品名SOF Harvoni (SOF/LDV) Maviret (GLE/PIB) Epclusa

(SOF/ VEL)

消化器系薬

制酸剤

乾燥水酸化アルミニ

ウムゲルアルミゲル水酸化マグネシウム ミルマグH2受容体

拮抗薬

ファモチジンガスター*1 *1ラニチジン塩酸塩ザンタック*1 *1シメチジンタガメット*1 *1ロキサチジン酢酸エス

テル塩酸塩アルタット*1 *1ニザチジンアシノン*1 *1

ラフチジンプロテカジン*1 *1プロトンポンプ

阻害薬

オメプラゾールオメプラール、オメ

プラゾン*2 *3

ランソプラゾールタケプロン*2 *3ボノプラザンフマル酸

塩タケキャブ*2 *3ラベプラゾールナトリ

ウムパリエット*2 *3

エソメプラゾールマグ

ネシウム水和物ネキシウム*2 *3
p.137
薬剤名主な商品名SOF Harvoni

(SOF/ LDV) Maviret (GLE/PIB) Epclusa

(SOF/ VEL)

代謝系薬

アトルバスタチンカル

シウム水和物リピトール↑ ↑

シンバスタチンリポバス等↑

ピタバスタチンカルシ

ウム水和物リバロ↑

プラバスタチンナトリ

ウムメバロチン↑

フルバスタチンナトリ

ウムローコール↑

ロスバスタチンカルシ

ウムクレストール↑ ↑ ↑

感染症薬

抗結核薬

リファブチンミコブティン

リファンピシンリファジン等

抗HIV 薬

アタザナビル硫酸塩 レイアタッツ

サキナビルメシル酸塩 インビラーゼ

ダルナビルエタノール

付加物プリジスタ

リトナビルノービア

ロピナビル/リトナビル カレトラ

エトラビリンインテレンス

エファビレンツストックリン

コビシスタットを

含有する製剤スタリビルド、

ゲンボイヤ
p.138
薬剤名主な商品名SOF Harvoni

(SOF/ LDV) Maviret (GLE/PIB) Epclusa

(SOF/ VEL)

抗HIV 薬

(続き)

エルビテグラビル

エムトリシタビン

抗ウイルス薬

テノホビル・ジソプロキ

シルフマル酸塩テノゼット、

ビリアード、

ツルバダ↑ ↑

テノホビル・アラフェナ

ミドベムリディ

循環器薬

アミオダロン塩酸塩アンカロン△*4 △*4ジゴキシンジゴシン↑ ↑ ↑

ボセンタン水和物トラクリア

ダビガトランエテキシ

ラートメタンスルホン

酸塩プラザキサ↑ ↑

中枢神経系薬

カルバマゼピンテグレトール

フェニトインアレビアチン、

ヒダントール

フェノバルビタールフェノバール

ホスフェニトインナトリ

ウム水和物ホストイン

モダフィニルモディオダール
p.139
薬剤名主な商品名SOF Harvoni

(SOF/ LDV) Maviret (GLE/PIB) Epclusa

(SOF/ VEL)

免疫抑制薬

シクロスポリンサンディミュン、

ネオーラル

タクロリムス水和物プログラフ、

グラセプター

ホルモン薬

エチニルエストラジオ

ールプロセキソール△*5

その他

スニチニブリンゴ酸塩 スーテント

セイヨウオトギリソウ

(St. John’s Wort:セン

ト・ジョーンズ・ワート)

含有食品

*1 ソホスブビル/レジパスビル配合錠、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠をH2 受容体拮抗薬と併用する場合は、H2 受容体拮抗薬を同時投与または12 時間の間隔をあけて投与すること。*2 ソホスブビル/レジパスビル配合錠投与前にプロトンポンプ阻害薬を投与しないこと。併用する場合はプロトンポンプ阻害薬を空腹時に同時投与すること。*3 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠をプロトンポンプ阻害薬と併用する場合は、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の食後投与後、プロトンポンプ阻害薬を4 時間の間隔をあけてオメプラゾール換算量として20mg を投与すること。*4 ソホスブビル/レジパスビル配合錠、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠とアミオダロンとの併用で徐脈などの不整脈があらわれるおそれがある(機序は不明)。*5 グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠とエチニルエストラジオール含有製品との併用でALT上昇のリスクが増加するおそれがある。
p.140
資料3 HCV 薬剤耐性変異測定検査依頼先

薬剤耐性変異の測定は保険適用外ではあるものの、以下の4 社による外注検査が可能である。各施設の検査会社担当者に直接照会されたい。

(1)ビー・エム・エル(BML) BML 社ではPCR-Invader 法によって以下の2 項目を解析している。1)HCV NS5 INV 法(依頼コードNo.12300) NS5A 領域2 か所(Y93、L31) L31F/M/V は、定性報告(変異あり、変異なし) Y93H は、変異株存在比率を相対定量値(1%未満~99%以上)によって報告。2)HCV Y93H INV 法(依頼コードNo.12216) NS5A 領域Y93H 変異株存在比率を相対定量値(1%未満~99%以上)によって報告。

(2)LSI メディエンスLSI メディエンス社ではダイレクトシークエンス法により、HCV 薬剤耐性変異解析(項目コード26137)としてNS5A 領域のL31、Y93 の2 か所のHCV 変異を解析。

(3)エスアールエル(SRL) SRL 社ではHCV DCV 耐性変異(L31/Y93)(項目コード 6506-3)として、ダイレクトシーケンス法によるNS5A 領域のL31、Y93 の2 か所のHCV 変異、およびサイクリーブPCR 法によるNS5A 領域のY93H のHCV 変異を解析。L31、Y93 を野生型(Y)、変異型(H)、混在型(Y/H)等で報告、同時にNS5A 領域Y93H 変異株の存在比率を10%単位で報告。

(4)保健科学研究所保健科学研究所ではダイレクトシーケンス法により、薬剤耐性変異解析(項目コード7631)としてNS5A 領域の、L31、Y93 の2 か所のHCV 変異を解析。L31、Y93 について「変異なし」「変異型」「混在型」等で報告。
p.141
資料1  C 型慢性肝疾患(ゲノタイプ1型・2型)に対する治療フローチャート

現在、直接型抗ウイルス薬(DAA)によるIFN フリー抗ウイルス治療の有効性は極めて高く、初回投与例でのウイルス排除率は95%以上となった。DAA によるIFN フリー抗ウイルス治療に当たっては、以下に留意すること。

 経口薬による抗ウイルス治療は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・

経験をもつ医師により、適切な適応判断がなされた上で行う。 DAA 前治療不成功例ではL31 やY93 以外にP32 欠失やA92 など多彩

な変異が出現する。ことにP32 欠失は、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例だけでなく、オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、エルバスビル+グラゾプレビル併用による不成功例でも出現し、NS5A 阻害薬に対して強い耐性を示す。またP32 欠失以外の変異が治療効果低下に関与する可能性がある。従って、DAA 前治療不成功例に対するDAA 再治療を検討する際には、NS3/4A ならびにNS5A 領域の薬剤耐性変異、ことにP32 欠失の有無を測定した上で、肝臓専門医によって慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。 Child-Pugh 分類grade C 症例の中でもChild-Pugh スコア13~15 点の症

例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の安全性の検証は十分ではないため、こうした症例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠投与については、当面、肝臓専門医によって治療方針が決定されるべきであり、投与の場合には極めて慎重な経過観察が望ましい。

1.C 型慢性肝炎・代償性肝硬変※1 ※2 ※3 (DAA 治療歴なし)

※1 高齢者、肝硬変・線維化進展例などの高発癌リスク群は早期に抗ウイルス療法を行う.
p.142
※21 型と2 型の混合感染に対しては、pangenotype に有効な GLE/PIB、SOF/LDV ないしはSOF/VEL

で治療する. ※3 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠以外のIFN フリーレジメンはChild-Pugh 分類grade B またはC

の症例には禁忌、ないし使用すべきではない. ※4 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF の

投与は禁忌である. ※5 本邦における慢性肝炎への臨床試験は行われていない

2.慢性肝炎・代償性肝硬変※1 (プロテアーゼ阻害薬+Peg-IFN+RBV による前治療不成功例)

※1 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠以外のIFN フリーレジメンはChild-Pugh 分類grade B またはC

の症例には禁忌、ないし使用すべきではない. ※2 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF

の投与は禁忌である. ※3 国内臨床試験におけるGLE/PIB の投与期間は、DAA 治療歴のある慢性肝炎ならびに代償性肝硬

変では12 週間である. ※4 プロテアーゼ阻害薬+Peg-IFN+RBV 前治療により誘導されたNS3 変異の影響についてのエビデンス

はない. ※5 本邦における慢性肝炎への臨床試験は行われていない. 3.慢性肝炎・代償性肝硬変※1※2 (IFN フリーDAA 前治療不成功例)
p.143
※1 非代償性肝硬変に対するGLE/PIB 治療の安全性と有効性は確認されていない。RBV 投与は禁忌であることからSOF/VEL+RBV も投与すべきではない。※2 ゲノタイプ1 型に対してIFN フリーDAA による前治療を行い不成功となった例では、L31 やY93 以外にP32 欠失やA92 などNS5A 領域に多彩な変異が出現し、 NS5A 阻害薬の治療効果低下に関与する可能性がある。 ことにP32 欠失はNS5A 阻害薬に対して強い耐性を示す。従って、DAA 前治療不成功例に対する再治療を検討する際には、NS3/4A ならびにNS5A 領域の薬剤耐性変異、ことにP32 欠失の有無を測定した上で、肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※3 P32 欠失例に対するGLE/PIB 12 週 の治療効果は極めて低いため、ゲノタイプ1 型に対する同治療はP32 欠失がないことを確認してから施行することを推奨する。※4 GLE/PIB 治療期間が8 週以下、かつ、ゲノタイプ2 型またはゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異が陰性の不成功例において、RBV の使用が困難な場合には、GLE/PIB(12 週)も選択肢として考慮可能である。また、ゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異のあるDAA 治療不成功例に対しては、RBV の使用が困難な場合には、SOF/LDV(12 週間)による再治療も選択肢として考慮可能である。ただし、エビデンスは限られており、その他の耐性変異の有無を含めて肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※5 GLE/PIB 12 週不成功例に対してはSOF/VEL+RBV 24 週が治療選択肢となるが、臨床試験においても実臨床においてもその有効性は確認されておらず、肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※6 SOF/LDV 不成功例、 SOF/VEL 不成功例に対してはGLE/PIB 12 週およびSOF/VEL+RBV 24週が治療選択肢となるが、※5 同様、明らかな有効性を示すエビデンスはない。※7 SOF/VEL+RBV 24 週不成功例に対してはGLE/PIB 12 週が治療選択肢となるが、 ※5 同様、明らかな有効性を示すエビデンスはない。

4.C 型非代償性肝硬変※1
p.144
※1 DAA 治療不成功例への再治療の場合、SOF/VEL+RBV24 週間投与は施行すべきではなく、肝臓専

門医の判断においてSOF/VEL12 週間投与を選択肢とする. ※2 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF

の投与は禁忌である. ※3 Child-Pugh 分類grade C (とくにChild-Pugh スコア13~15 点)症例に対する同薬剤の安全性は十

分に検証なされていない.したがって、SOF/VEL 投与については、肝臓専門医によって治療方針が決定されるべきであり、投与の場合には極めて慎重な経過観察が望ましい.
p.145
資料2  IFN フリーDAA 製剤の併用禁忌・併用注意薬 (     :併用禁忌、     :併用注意) *2019 年2 月現在の各添付文書より。*太矢印(  /  ):DAA の血中濃度が増加/減少し、効果が増強/減弱するおそれがある。*細矢印(↑/↓);併用薬の血中濃度が増加/減少し、効果が増強/減弱するおそれがある。薬剤名主な商品名SOF Harvoni (SOF/LDV) Maviret (GLE/PIB) Epclusa

(SOF/ VEL)

消化器系薬

制酸剤

乾燥水酸化アルミニ

ウムゲルアルミゲル水酸化マグネシウム ミルマグH2受容体

拮抗薬

ファモチジンガスター*1 *1ラニチジン塩酸塩ザンタック*1 *1シメチジンタガメット*1 *1ロキサチジン酢酸エス

テル塩酸塩アルタット*1 *1ニザチジンアシノン*1 *1

ラフチジンプロテカジン*1 *1プロトンポンプ

阻害薬

オメプラゾールオメプラール、オメ

プラゾン*2 *3

ランソプラゾールタケプロン*2 *3ボノプラザンフマル酸

塩タケキャブ*2 *3ラベプラゾールナトリ

ウムパリエット*2 *3

エソメプラゾールマグ

ネシウム水和物ネキシウム*2 *3
p.146
薬剤名主な商品名SOF Harvoni

(SOF/ LDV) Maviret (GLE/PIB) Epclusa

(SOF/ VEL)

代謝系薬

アトルバスタチンカル

シウム水和物リピトール↑ ↑

シンバスタチンリポバス等↑

ピタバスタチンカルシ

ウム水和物リバロ↑

プラバスタチンナトリ

ウムメバロチン↑

フルバスタチンナトリ

ウムローコール↑

ロスバスタチンカルシ

ウムクレストール↑ ↑ ↑

感染症薬

抗結核薬

リファブチンミコブティン

リファンピシンリファジン等

抗HIV 薬

アタザナビル硫酸塩 レイアタッツ

サキナビルメシル酸塩 インビラーゼ

ダルナビルエタノール

付加物プリジスタ

リトナビルノービア

ロピナビル/リトナビル カレトラ

エトラビリンインテレンス

エファビレンツストックリン

コビシスタットを

含有する製剤スタリビルド、

ゲンボイヤ
p.147
薬剤名主な商品名SOF Harvoni

(SOF/ LDV) Maviret (GLE/PIB) Epclusa

(SOF/ VEL)

抗HIV 薬

(続き)

エルビテグラビル

エムトリシタビン

抗ウイルス薬

テノホビル・ジソプロキ

シルフマル酸塩テノゼット、

ビリアード、

ツルバダ↑ ↑

テノホビル・アラフェナ

ミドベムリディ

循環器薬

アミオダロン塩酸塩アンカロン△*4 △*4ジゴキシンジゴシン↑ ↑ ↑

ボセンタン水和物トラクリア

ダビガトランエテキシ

ラートメタンスルホン

酸塩プラザキサ↑ ↑

中枢神経系薬

カルバマゼピンテグレトール

フェニトインアレビアチン、

ヒダントール

フェノバルビタールフェノバール

ホスフェニトインナトリ

ウム水和物ホストイン

モダフィニルモディオダール
p.148
薬剤名主な商品名SOF Harvoni

(SOF/ LDV) Maviret (GLE/PIB) Epclusa

(SOF/ VEL)

免疫抑制薬

シクロスポリンサンディミュン、

ネオーラル

タクロリムス水和物プログラフ、

グラセプター

ホルモン薬

エチニルエストラジオ

ールプロセキソール△*5

その他

スニチニブリンゴ酸塩 スーテント

セイヨウオトギリソウ

(St. John’s Wort:セン

ト・ジョーンズ・ワート)

含有食品

*1 ソホスブビル/レジパスビル配合錠、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠をH2 受容体拮抗薬と併用する場合は、H2 受容体拮抗薬を同時投与または12 時間の間隔をあけて投与すること。*2 ソホスブビル/レジパスビル配合錠投与前にプロトンポンプ阻害薬を投与しないこと。併用する場合はプロトンポンプ阻害薬を空腹時に同時投与すること。*3 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠をプロトンポンプ阻害薬と併用する場合は、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の食後投与後、プロトンポンプ阻害薬を4 時間の間隔をあけてオメプラゾール換算量として20mg を投与すること。*4 ソホスブビル/レジパスビル配合錠、ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠とアミオダロンとの併用で徐脈などの不整脈があらわれるおそれがある(機序は不明)。*5 グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠とエチニルエストラジオール含有製品との併用でALT上昇のリスクが増加するおそれがある。
p.149
資料3 HCV 薬剤耐性変異測定検査依頼先

薬剤耐性変異の測定は保険適用外ではあるものの、以下の4 社による外注検査が可能である。各施設の検査会社担当者に直接照会されたい。

(1)ビー・エム・エル(BML) BML 社ではPCR-Invader 法によって以下の2 項目を解析している。1)HCV NS5 INV 法(依頼コードNo.12300) NS5A 領域2 か所(Y93、L31) L31F/M/V は、定性報告(変異あり、変異なし) Y93H は、変異株存在比率を相対定量値(1%未満~99%以上)によって報告。2)HCV Y93H INV 法(依頼コードNo.12216) NS5A 領域Y93H 変異株存在比率を相対定量値(1%未満~99%以上)によって報告。

(2)LSI メディエンスLSI メディエンス社ではダイレクトシークエンス法により、HCV 薬剤耐性変異解析(項目コード26137)としてNS5A 領域のL31、Y93 の2 か所のHCV 変異を解析。

(3)エスアールエル(SRL) SRL 社ではHCV DCV 耐性変異(L31/Y93)(項目コード 6506-3)として、ダイレクトシーケンス法によるNS5A 領域のL31、Y93 の2 か所のHCV 変異、およびサイクリーブPCR 法によるNS5A 領域のY93H のHCV 変異を解析。L31、Y93 を野生型(Y)、変異型(H)、混在型(Y/H)等で報告、同時にNS5A 領域Y93H 変異株の存在比率を10%単位で報告。

(4)保健科学研究所保健科学研究所ではダイレクトシーケンス法により、薬剤耐性変異解析(項目コード7631)としてNS5A 領域の、L31、Y93 の2 か所のHCV 変異を解析。L31、Y93 について「変異なし」「変異型」「混在型」等で報告。
p.150
C 型肝炎治療ガイドライン

(第8.4 版・簡易版)

2025 年4 月

日本肝臓学会

肝炎診療ガイドライン作成委員会 編
p.151
1.C型肝炎の治療目標 C 型肝炎治療の目標は、HCV 持続感染によって惹起される慢性肝疾患の長期予後の改善、即ち、肝発癌ならびに肝疾患関連死を抑止することにある。この治療目標を達成するため抗ウイルス治療を行い、HCV の排除を目指す。 IFN 治療によるHCV RNA 排除成功例においても、肝発癌は完全には抑制されない。 IFN フリーDAA 治療によってHCV が排除された場合、IFN 治療と同程度の肝発癌抑制効果が得られるとする報告が増えつつある。抗ウイルス治療によってHCV が排除された後でも、長期予後改善のため肝発癌に対するフォローアップを行う必要がある。ことに高齢かつ線維化が進行した高発癌リスク群では肝発癌に対する厳重な注意が必要である。

2.C型肝炎の治療対象非代償性肝硬変を含むすべてのC 型肝炎症例が抗ウイルス治療の対象となり、年齢、ALT 値、血小板数にかかわらず、すべてのC 型肝炎症例に対して抗ウイルス治療を検討することを推奨する。 ALT 値上昇例(ALT 30 U/L 超)、あるいは血小板数低下例(血小板数15 万/μL 未満)のC型肝炎患者は、抗ウイルス治療の良い適応である。高齢者ではALT 30 U/L 以内かつ血小板数15 万/μL 以上でも発癌リスクは低くなく、積極的に治療導入を考慮すべきである。肝病変以外の合併疾患による予後が不良である場合は治療対象としない。非代償性肝硬変でもChild-Pugh 分類スコア13~15 点の症例はソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の国内臨床試験に組み入れられておらず、安全性が担保されていない。高発癌リスク群(高齢かつ線維化進展例)では可及的速やかに抗ウイルス治療を導入すべきである。低発癌リスク群(非高齢かつ非線維化進展例)でも現在のIFN フリーDAA 製剤の高い有効性と安全性を考慮し早期に治療導入を図るべきである。

3.抗ウイルス治療による肝発癌抑制効果(1)新規(de novo)発癌抑制効果 IFN ベース抗ウイルス治療によりHCV が排除されると新規肝発癌リスクは低下する。 IFN フリーDAAs 治療によってHCV が排除された場合、IFN 治療と同程度の新規肝発癌抑制効果が得られる。(2)肝癌根治後の肝癌再発抑制効果肝癌根治後のIFN ベース抗ウイルス治療によりHCV が排除されると肝癌再発リスクは低下す
p.152
る。肝癌根治後のIFN フリーDAAs 治療によってHCV が排除された場合、IFN 治療と同程度の肝癌再発抑制効果が得られるとする報告が増加している。(3)SVR 後肝発癌のリスク因子抗ウイルス療法によってSVR が得られた後も肝発癌リスクは完全には消失せず、IFN ベース治療SVR 後の5 年・10 年の発癌率は、それぞれ2.3~8.8%、3.1~11.1%である。 SVR 後であっても、高齢、男性、線維化進展、アルコール摂取、肝脂肪化、糖尿病など現時点で同定されているリスク因子、および治療後のバイオマーカーに基づく定期的な肝癌に対するスクリーニングを継続すべきである。

4.DAAs の分類と作用機序

5.DAAs(1)-ソホスブビル/レジパスビル配合剤(ゲノタイプ1 型)

1ゲノタイプ1 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対する治療成績(国内第3相臨床試験)

市販後使用成績調査の中間結果報告によれば、ゲノタイプ1 型C 型慢性肝疾患3,187 例のうち、3,144 例(98.7%)でSVR12 が得られ、背景因子による有効性の大きな低下はなかった。2安全性
p.153
ソホスブビル/レジパスビル配合剤の国内第3 相試験では副作用による投与中止例はなく、重篤な副作用もなかった。非代償性肝硬変(Child-Pugh 分類grade B またはC)を対象とした臨床試験は行われておらず、安全性も確認されていないため、非代償性肝硬変症例では投与を行うべきではない。3薬剤耐性 In vitro アッセイにより、NS5B 領域S282T 変異はソホスブビル耐性を呈することが確認されているが、臨床サンプル解析では、国内・海外第3 相試験でSVR を達成しなかった例からS282T 変異は検出されず、表現型解析においてもソホスブビル耐性はみられなかった。ダクラタスビル+アスナプレビル治療の非著効例に対するソホスブビル/レジパスビル配合錠による治療では、概ね60~70%の症例でSVR12 が得られている。

6.DAAs(2)-グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠(ゲノタイプ1~3型)

1ゲノタイプ1型慢性肝炎・代償性肝硬変に対する治療成績(国内第3相臨床試験)

2ゲノタイプ2型慢性肝炎・代償性肝硬変に対する治療成績(国内第3相臨床試験)

3治療困難例ゲノタイプ3 型(12 週投与): SVR12 率 83.3%(10/12) 重度腎機能障害・透析例(慢性肝炎8 週、代償性肝硬変12 週投与):ゲノタイプ1 型は3 例(いずれも非肝硬変)、全例SVR12 を達成ゲノタイプ2 型は9 例(非肝硬変7 例、肝硬変2 例)、全例SVR12 を達成 DAA 既治療例(12 週投与):SVR12 は93.9%(31/33)
p.154
・プロテアーゼ阻害薬+NS5A 阻害薬併用は30 例で、うち28 例(93%)でSVR を達成・不成功例2 例はダクラタスビル+アスナプレビルによる前治療不成功例であり、いずれも治療開始時にNS5A 領域P32 欠失が存在した。・ベースラインでP32 欠失を認めた症例が2 例(6.3%)存在したが、この2 例ではいずれも治療不成功となった。この2 例で投与後新たに出現したNS5A 領域の変異はなかった。4安全性:国内第3 相試験では治験薬と関連した重篤な副作用はなかった。5薬剤耐性:投与開始前に存在する耐性変異が治療効果に及ぼす影響は認められない。

7.DAAs(3)-ソホスブビル/レジパスビル配合剤(ゲノタイプ2型)

1ゲノタイプ2 型慢性肝炎・代償性肝硬変に対する治療成績(国内第3相臨床試験)

2安全性ソホスブビル/レジパスビル配合錠の12 週間投与は概ね安全であり、忍容性も良好だった。ソホスブビル+リバビリン群との主な有害事象の比較では、ソホスブビル/レジパスビル群の貧血ならびに鼻咽頭炎の発現頻度がソホスブビル+リバビリン群に比して低かった。重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対する投与は禁忌である。非代償性肝硬変(Child-Pugh 分類grade B またはC)を対象とした臨床試験は行われておらず、安全性も確認されていないため、非代償性肝硬変症例では投与を行うべきではない。3薬剤耐性国内第3 相試験では、本剤投与群の92%(118/129 例)の患者でベースライン時にL31M 等のNS5A 耐性変異が検出された(ゲノタイプ2a 85 例、ゲノタイプ2b 33 例)。これら118 例の患者のうち、ゲノタイプ2a におけるSVR12 は99%(84/85 例)、ゲノタイプ2bのSVR12 は91%(30/33 例)であり、耐性変異が検出されなかった残りの11 例は全ての患者がSVR12 を達成した。
p.155
8.DAAs(4)-ソホスブビル/ベルパタスビル配合剤(ゲノタイプ1~2型)

1ゲノタイプ1~2 型非代償性肝硬変に対する治療成績(国内第3相試験)

2ゲノタイプ1 型DAA 前治療不成功例に対する治療成績(国内第3 相試験)

3代償性肝硬変に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間治療の国内第3 相臨床試験におけるSVR12 は、ゲノタイプ1 型、ゲノタイプ2 型いずれにおいても100% (ゲノタイプ1 型; 23/23, ゲノタイプ2 型;14/14)であった。

4安全性非代償性肝硬変を対象としたソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間治療におけるGrade 3 以上の有害事象は4%、重篤な有害事象は8%でみられた。リバビリン併用群で3 例の死亡があったがいずれもChild-Pugh C であり、死因は原病の進行によるものであった。 DAA 前治療不成功例を対象としたリバビリン併用ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠24 週間治療においても12 週間投与と比べ投与期間延長に伴う特定の事象は認められなかった。代償性肝硬変を対象としたソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週間治療において、治験

薬と関連する重篤な有害事象は認められなかった。重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対する投与は禁忌である。
p.156
9.C 型慢性肝疾患に対する治療方針

現在、直接型抗ウイルス薬(DAA)によるIFN フリー抗ウイルス治療の有効性は極めて高く、初回投与例でのウイルス排除率は95%以上となった。その一方で、治療不成功に終わった場合の選択肢は限られており、ことに2 回以上DAA 治療を行っても不成功に終わった場合、その後のウイルス排除は極めて困難になると考えられる。DAA によるIFN フリー抗ウイルス治療に当たっては、以下に留意すること。経口薬による抗ウイルス治療は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師に

より、適切な適応判断がなされた上で行う。 DAA 前治療不成功例ではL31 やY93 以外にP32 欠失やA92 など多彩な変異が出現する。

ことにP32 欠失は、ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例だけでなく、オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠、エルバスビル+グラゾプレビル併用による不成功例でも出現し、NS5A 阻害薬に対して強い耐性を示す。またP32 欠失以外の変異が治療効果低下に関与する可能性がある。従って、DAA 前治療不成功例に対するDAA 再治療を検討する際には、NS3/4A ならびにNS5A 領域の薬剤耐性変異、ことにP32 欠失の有無を測定した上で、肝臓専門医によって慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。 Child-Pugh 分類grade C 症例の中でもChild-Pugh スコア13~15 点の症例に対するソホスブ

ビル/ベルパタスビル配合錠の安全性の検証は十分ではないため、こうした症例に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠投与については、当面、肝臓専門医によって治療方針が決定されるべきであり、投与の場合には極めて慎重な経過観察が望ましい。

<抗ウイルス治療の原則>  C 型肝炎に対する抗ウイルス治療は、ゲノタイプを問わず、初回治療・再治療ともDAA 併用に

よるIFN フリー治療が推奨される。 IFN ベース治療は、IFN フリー治療に比べ有効性が低いこと、治療期間が長期にわたること、お

よびIFN による多彩な副反応がみられることなどから、IFN フリーDAA 治療不成功例における多剤耐性獲得などの特殊な場合を除き、推奨されない。
p.157
1.C 型慢性肝炎・代償性肝硬変※1 ※2 ※3 (DAA 治療歴なし)

※1 高齢者、肝硬変・線維化進展例などの高発癌リスク群は早期に抗ウイルス療法を行う。※21 型と2 型の混合感染に対しては、pangenotype に有効な GLE/PIB、SOF/LDV ないしはSOF/VEL

で治療する。※3 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠以外のIFN フリーレジメンはChild-Pugh 分類grade B またはC

の症例には禁忌、ないし使用すべきではない。※4重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF の

投与は禁忌である。※5 本邦における慢性肝炎への臨床試験は行われていない。

2.慢性肝炎・代償性肝硬変※1 (プロテアーゼ阻害薬+Peg-IFN+RBV による前治療不成功例)

※1 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠以外のIFN フリーレジメンはChild-Pugh 分類grade B またはC

の症例には禁忌、ないし使用すべきではない.DAA 治療歴のない代償性肝硬変に対するソホスブビル/ベルパタスビル配合錠の保険適用はない。※2 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF

の投与は禁忌である。※3 国内臨床試験におけるGLE/PIB の投与期間は、DAA 治療歴のある慢性肝炎ならびに代償性肝硬

変では12 週間である。※4 プロテアーゼ阻害薬+Peg-IFN+RBV 前治療により誘導されたNS3 変異の影響についてのエビデン

スはない。※5 本邦における慢性肝炎への臨床試験は行われていない。
p.158
3.慢性肝炎・代償性肝硬変※1※2 (IFN フリーDAA 前治療不成功例)

1 非代償性肝硬変に対するGLE/PIB 治療の安全性と有効性は確認されていない。RBV 投与は禁忌であることからSOF/VEL+RBV も投与すべきではない。※2 ゲノタイプ1 型に対してIFN フリーDAA による前治療を行い不成功となった例では、L31 やY93 以外にP32 欠失やA92 などNS5A 領域に多彩な変異が出現し、 NS5A 阻害薬の治療効果低下に関与する可能性がある。 ことにP32 欠失はNS5A 阻害薬に対して強い耐性を示す。従って、DAA 前治療不成功例に対する再治療を検討する際には、NS3/4A ならびにNS5A 領域の薬剤耐性変異、ことにP32 欠失の有無を測定した上で、肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※3 P32 欠失例に対するGLE/PIB 12 週 の治療効果は極めて低いため、ゲノタイプ1 型に対する同治療はP32 欠失がないことを確認してから施行することを推奨する。※4 GLE/PIB 治療期間が8 週以下、かつ、ゲノタイプ2 型またはゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異が陰性の不成功例において、RBV の使用が困難な場合には、GLE/PIB(12 週)も選択肢として考慮可能である。また、ゲノタイプ1b 型でP32 欠損変異のあるDAA 治療不成功例に対しては、RBV の使用が困難な場合には、SOF/LDV(12 週間)による再治療も選択肢として考慮可能である。ただし、エビデンスは限られており、その他の耐性変異の有無を含めて肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※5 GLE/PIB 12 週不成功例に対してはSOF/VEL+RBV 24 週が治療選択肢となるが、臨床試験においても実臨床においてもその有効性は確認されておらず、肝臓専門医により慎重な治療薬選択がなされることを推奨する。※6 SOF/LDV 不成功例、 SOF/VEL 不成功例に対してはGLE/PIB 12 週およびSOF/VEL+RBV 24週が治療選択肢となるが、※5 同様、明らかな有効性を示すエビデンスはない。※7 SOF/VEL+RBV 24 週不成功例に対してはGLE/PIB 12 週が治療選択肢となるが、 ※5 同様、明らかな有効性を示すエビデンスはない。

4.C 型非代償性肝硬変※1
p.159
※1 DAA 治療不成功例への再治療の場合、SOF/VEL+RBV24 週間投与は施行すべきではなく、肝臓専

門医の判断においてSOF/VEL12 週間投与を選択肢とする。※2 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者に対するSOF

の投与は禁忌である。※3 Child-Pugh 分類grade C (とくにChild-Pugh スコア13~15 点)症例に対する同薬剤の安全性は十

分に検証なされていない。したがって、SOF/VEL 投与については、肝臓専門医によって治療方針が決定されるべきであり、投与の場合には極めて慎重な経過観察が望ましい。

10.Special population に対する治療方針(1)HBV 共感染例 HBV 共感染例に対してはHCV 単独感染例同様の治療を行うべきである。 HCV に対する抗ウイルス治療施行前には、HBV 共感染ないし既往感染の有無を確認する。 HBV 共感染例に対する抗HCV 治療においては、HBV の再活性化に厳重な注意が必要であ

る。抗HCV 治療前および治療中にHBV-DNA 量などHBV マーカーをモニタリングし、HBV- DNA 量の上昇がみられた場合には核酸アナログを投与する。 HBV 既往感染例に対する抗HCV 治療においてもHBV の再活性化には注意が必要である。

抗HCV 治療中のALT 上昇時など、必要に応じてHBV 検査を行い、再活性化が判明した場合には核酸アナログを投与する。(2)HIV 共感染例 HIV 共感染例に対してはIFN フリーDAA 製剤が第一選択である。 HCV 単独感染と同一のレジメンで治療を行う。 DAA の選択にあたっては薬剤相互作用に十分に留意する。(3)ゲノタイプ3~6 型 HCV セロタイプ(セログループ、群別、グルーピング)検査において「判定保留」ないし「判定不

能」という結果が得られた場合には、極力HCV ゲノタイプ検査を行ってゲノタイプを決定する。
p.160
ゲノタイプ3 型の慢性肝炎・代償性肝硬変では、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠12 週、ま

たはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週投与が第一選択である。ゲノタイプ4~6 型に対する国内試験は行われていないが、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合

錠12 週、またはソホスブビル/ベルパタスビル配合錠12 週投与が第一選択である。(4)腎機能障害・透析例透析患者におけるHCV 持続感染者の割合は6.5%と報告され、男性、透析歴の長い患者ほど

HCV 抗体陽性率が高い。 HCV 感染は、CKD 患者においては腎機能低下のリスクとなり、透析患者では生命予後を悪化

させている。 CKD 患者・透析患者においては積極的に抗ウイルス治療を行うべきである。腎移植を予定しているHCV 感染透析患者に対しても、移植後の腎機能や生着率、生存率を

改善させるため、移植前に抗ウイルス治療を行うべきである。 CKD ステージ4 以上の重度腎機能障害を合併したゲノタイプ1 型/2 型C 型肝炎患者には、

有効性・安全性からグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が推奨される。

<CKD ステージ別のIFN フリーDAA 製剤治療推奨>※1

(5)肝移植後再発例 HCV 感染者に対する肝移植後、肝機能異常を来し、組織学的・血清学的にC 型肝炎再発が

明らかとなり、非代償性肝硬変ではない症例に対しては、抗ウイルス治療を行うことが推奨される。拒絶反応・胆管狭窄・グラフト血管病変などの病態が併存する、あるいは併存する可能性があ

っても、IFN フリーDAA 治療は安全に施行可能である。胆汁うっ滞性肝炎に対しては、血清学的・組織学的診断のもと、早期に抗ウイルス治療を導入

する必要がある。
p.161
免疫抑制下にある肝移植後C 型肝炎再発の治療はIFN フリー抗ウイルス治療が望ましい。第一選択は免疫抑制剤との相互作用がなく極めて高率にSVR が達成できるソホスブビル/レ

ジパスビル配合錠、またはグレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠ならびにソホスブビル/ベルパタスビル配合錠である。ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療不成功例に対するグレカプレビル/ピブレンタスビル

配合錠、ソホスブビル/レジパスビル配合錠の使用経験はない。ソホスブビル/レジパスビル配合錠が禁忌となる高度腎機能障害併存症例に於いてはグレカプ

レビル/ピブレンタスビル配合錠が推奨される。ゲノタイプ2 型肝移植後再発例に対する抗ウイルス治療では、重度腎機能障害や非代償性肝

硬変など使用禁忌に該当しない症例であれば、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が今後第一選択となる可能性が高い。(6)小児C 型慢性肝炎現在、小児におけるC 型肝炎の主な感染経路は母子感染である。 HCV RNA 陽性妊婦からの感染率は5-10%程度である。母子感染児の25-30%は、4 歳までに無治療でHCV が排除される。 HCV 抗体陽性の妊婦においてはHCV RNA の測定が必要である。母子感染予防のために授乳を制限する必要はない。母子感染予防のための選択的帝王切開の是非については一定の結論がない。 HCV 抗体は母体から児に移行し生後18 か月ごろまで残るため、母子感染の診断のためには

生後3-12 か月に3 か月以上あけて2 回以上のHCV RNA 検査を行い、また生後18 か月以降にHCV 抗体検査を行う。 HCV RNA 陽性の母から出生したがHCV 検査を施行していない児がいた場合には、検査を行

うことが望ましい。出生児がHCV RNA 陽性であった場合、当面は自然経過を慎重にフォローする。母子感染児からのHCV 自然消失例が存在し、IL28B SNP 関与が示唆される。 HCV キャリア小児では、年1 回以上の肝機能検査を行う。小児のC型慢性肝炎では肝臓の線維化は進行しにくく、肝硬変に至る症例は少ない。小児では、血中の線維化マーカーや超音波エラストグラフィーなどでの非侵襲的な手法での肝

組織評価は標準化されていない。画像検査を行う場合は、被爆の観点からCT やMRI ではなく、超音波検査が推奨される。 12 歳以上の小児C 型慢性肝炎では、直接作用型抗ウイルス剤による治療の適応がある。 12 歳未満の小児では、慢性肝炎例(ALT 値の持続高値)、または線維化が強い症例(F2 以上)

では、適宜治療を考慮してもよい。
p.162
現在では、直接作用型抗ウイルス剤の登場により海外ではペグインターフェロン単独療法ある

いはリバビリン併用療法は治療選択肢として挙げられていない。欧米では、ソホスブビルならびにレジパスビル/ソホスブビルの12 歳以上での使用が承認され

ているが、わが国では未承認である。わが国では、12 歳以上のC 型慢性肝炎症例に対してグレカプレビル/ピブレンタスビルが承認

されている。 12 歳以上の小児C 型慢性肝炎では、グレカプレビル/ピブレンタスビルによる治療を考慮する。 12 歳未満の小児では、ALT値の持続高値例、または線維化が強い症例では、抗ウイルス治療

を考慮してもよい。(7)肝癌症例に対するDAAs治療

肝癌根治可能なHCV 感染例ではHCV 排除により死亡リスクが低減されることから、HCV 排除

を目指したDAAs 治療を推奨する。根治的治療が可能な肝癌症例に対する抗ウイルス治療は、肝癌の根治的治療後に開始するこ

とが推奨される。