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2026年3月13日発行
一般社団法人 日本心エコー図学会
負荷心エコー図検査実施のための手引き
「バルサルバ負荷心エコー図検査」
執筆者近畿大学医学部 関⻄国際空港クリニック 平野 豊手稲渓仁会病院 循環器内科 岩野 弘幸東北医科薬科大学 老年・地域医療学教室 大原 貴裕
監修心エコー図ガイドライン作成委員会
委員⻑ 大倉 宏之 岐阜大学大学院医学系研究科 循環器内科学委員 天野 雅史 国立循環器病研究センター 心不全移植部門委員 梅田 ひろみ 一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院委員 小保方 優 群馬大学大学院医学系研究科 循環器内科学委員 鍵山 暢之 順天堂大学, 医学部循環器遠隔管理学講座委員 大門 雅夫 東京女子医科大学 循環器内科委員 田中 秀和 神戶大学大学院 循環器内科学委員 杜 徳尚 岡山大学医学部 循環器内科
外部評価者
阿部 幸雄 大阪市立総合医療センター 循環器内科平田 久美子 岸和田徳洲会病院 循環器内科
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目次
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I.はじめに3
II.バルサルバ負荷の原理と方法3
1. バルサルバ負荷の方法3 2. バルサルバ負荷に対する正常の応答3 3. バルサルバ負荷に対する応答の異常5 4. バルサルバ負荷の危険性6
III.検査実施について6
1.検査実施前の確認事項6 2. 注意を要す病態6 3.技師のみでの実施について6
IV.各病態におけるバルサルバ負荷法6
1. 心不全6 2. HOCM、左室流出路狭窄8 3. 卵円孔開存(patent foramen ovale: PFO) 9
V.文献11
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I. はじめに
心エコー図検査時には、日常的にバルサルバ負荷が実施されてきた。バルサルバ負荷は負荷心エコー図検査に含まれるが、バルサルバ負荷心エコー図の保険収載はされていない。またこれまでに「負荷心エコー図検査実施のための手引き」には記載されてこなかった。バルサルバ負荷は、左室拡張機能の評価や卵円孔開存の診断に欠かすことができない。さらに、近年、肥大型心筋症に対する新規薬剤である心筋ミオシン阻害薬が本邦で保険収載されたことに関連して、HOCM 診断におけるバルサルバ負荷の重要性はこれまで以上に増してきている。以上の背景から今回、日本心エコー図学会ガイドライン作成委員会は、「負荷心エコー図検査実施のための手引き」に追記する形で、「バルサルバ負荷心エコー図検査の手引き」を作成した。
II. バルサルバ負荷の原理と方法
バルサルバ負荷は1704 年にValsalva が口と鼻を閉じた状態で息を吐こうといきむことによって耳からの膿を排出する方法として記述したのが最初である1)。その後バルサルバ負荷によってさまざまな生理学的な変化と応答が生じ、それらを病的状態の検出のために用いられるようになってきた。
運動負荷をはじめ、負荷をかけることにより安静時には得られない情報が得られる。心エコー図を実施する際にも様々な負荷試験が行われるようになってきた。バルサルバ負荷はほとんど道具を用いずに実施でき、今日においても有用な負荷方法である。バルサルバ負荷の歴史は長く、主に圧と心拍数の変化について記載されてきた。その知見を以下にまとめる。
1 バルサルバ負荷の方法
バルサルバ負荷は深吸気後に声門を閉じた状態で息を吐きだそうとすることにより、少なくとも10 秒間胸腔内圧を最低でも30-40mmHg 上昇させる1)。適切な負荷のためには、患者の理解と協力が不可欠であり、数回の練習も必要である。患者の協力が不十分な場合や負荷不十分と考えられる際には、術者は患者の腹部に手を当てて、患者がその手を腹部で押し返すようにさせてもよい。心雑音の評価時には深吸気をさせると最大限に膨張した肺によって音が減弱してしまうため、浅く息をさせた状態でバルサルバ負荷をさせるとよいとされる。1)肺が膨張した状態ではエコーウィンドーも狭くなるため、心エコー図による評価も同様の配慮が必要と考えられる。
バルサルバ負荷に類似した負荷を生じる手法として,市販のゴム風船を膨らませる「パーティーバルーン法」2)、10mL のシリンジに息を吹き入れて内筒を動かしてもらう「シリンジ法」などが報告されている3)。
2 バルサルバ負荷に対する正常の応答
第I 相
バルサルバ負荷による血行動態への影響は4 つの相からなる(表1、図1)1)。いきみの開始直後の第I相では胸腔内圧の増大により2~3 秒間大動脈圧が増大する4)。迷走神経反射
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により脈拍数は低下する4)。動脈カテーテルが留置されていない場合、血圧の変化をベッドサイドで感知することは難しい。第I相では胸腔内圧の増大により静脈還流は低下する5- 7)。第II 相
第II 相では左室への静脈還流が減少することによって大動脈圧と脈圧が徐々に低下する("imperceptible pulse"=感知できない脈)1)。いきみ続けることによって胸腔外の静脈圧が上昇し、静脈還流はある程度維持される5-7)。第II相において圧受容体活性化によって反応性頻脈が生じる1)。ほとんどの心雑音は一回拍出量が低下することによって減少するが、HOCM の場合は左室流出路狭窄が悪化するために雑音が増大する1)。また僧帽弁逸脱の場合も僧帽弁尖が上方に移動し、クリックの時相が速くなり、雑音が増大する場合がある1)。バルサルバ負荷により雑音が増大した場合にはHOCM や僧帽弁逸脱が強く示唆されるが、感度は低い1)。第III 相
いきみの解除直後の第III相では、それまで左室への静脈還流が低下し心拍出量が低下していたうえに、さらに胸腔内圧が低下することにより、1~2 秒間大動脈圧が低下する1,4)。しかしその後、胸腔内圧の低下に伴い静脈還流は一気に増大する5-7)。第IV 相
第IV相の初期には静脈還流が負荷前の2~3 倍に増大するが、これは1~2 心拍しか持続せず、数心拍で負荷前の状態に落ち着く5-7) 。左室への前負荷が回復するため、大動脈圧、脈圧が増加する1)。ベースラインに比べて体血圧が上昇するオーバーシュートが生じる。これは第III相の血圧低下で生じた反応性の交感神経活性の上昇によるものと思われている。この時には反応性に迷走神経活性が亢進し、徐脈となる。自律神経障害の生じている場合はこのオーバーシュートや徐脈がみられない1)。
表1 バルサルバ負荷に対する血行動態の反応の4 つの相と正常応答1,4-7)
相行動血圧脈拍数静脈還流機序Iいきみ開始上昇低下~不変低下胸腔内圧上昇IIいきみ持続減少増加低下~維持静脈還流減少→脈圧と一
回拍出量の減少
IIIいきみ解除減少不変急激に増大突然胸腔内圧が低下する
ことによる静脈還流の増大肺血管床への血液量の回復
IVいきみ解除後、
自然呼吸上昇→元に戻
る減少→元に戻
る増大→元に戻る交感神経活性の増大と静
脈還流量増大.迷走神経活性の反応性亢進
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図1 バルサルバ負荷に対する正常の血圧・心拍数応答(文献1、4-7 を元に作図)
3 バルサルバ負荷に対する応答の異常
病的状態においては上記の反応が変化する。心エコー図上での変化は各論で詳述されるので、血行動態の変化について記載する。
第II相(負荷期)の終了時には、前負荷の減少により左室内腔が狭くなり左室流出路狭窄が悪化して閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy: HOCM)の心雑音が増大する1)。
第IV相(解放期)において多くの雑音は大きさを増すが、HOCM は雑音が減少または消失する1)。右心系の弁から生じる雑音は1-2 心拍で大きさが元に戻るが、左心系の弁から生じる雑音は5-6 心拍以降に音の大きさが元に戻る。これは肺循環からの静脈還流が増えるのにより時間がかかるからである1)。
心不全時には肺循環内の血液がうっ血しているために、バルサルバ負荷をかけたとしても左室への静脈還流が減らないか、多少減ったとしても左室の一回拍出量が減らないために、第II相の血圧/脈圧の低下や第IV相のオーバーシュートが生じず、圧の変化がSquare wave (矩形波)となる(図2)1)。この現象はNohria-Stevenson のベッドサイドの心不全病型分類においてもうっ血の所見として取り上げられている8)。バルサルバ負荷に対する血圧の矩形応答は、動脈カテーテルが入っていないと明瞭に感知するのは困難であるが、身体所見であれば"imperceptible pulse"が消失すること、心エコー図であればドプラエコー上の左室流入血流波形が変化しないことによって感知されるだろう。NYHAII程度の自覚症状を有する患者やうっ血や心機能低下が軽度の患者では中間の反応が示される。
第IV相における迷走神経反射活性の亢進が発作性上室性頻拍症(paroxysmal supraventricular tachycardia: PSVT)の停止に用いられてきた1)。
自律神経失調、薬剤、出血等による血管内容量の低下によってもバルサルバ負荷に対する正常反応は生じにくくなることを知っておくべきである1)。
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図2 心不全時のバルサルバ負荷に対する異常応答(矩形波応答)(文献1 を元に作図)
4 バルサルバ負荷の危険性
一般的にはバルサルバ負荷による合併症は軽微で、頻度も少ないとされる9)。しかし、背景疾患のある患者においては問題となる合併症が生じることがある。バルサルバ負荷により不整脈や胸痛が生じることに加え、失神(静脈還流低下に対する自律神経応答が低下している高齢者)を生じることがある。高血圧においては第I相において過度の徐脈が生じることがある1)。狭心症患者においてはバルサルバ負荷により冠血流が減少することが報告されており注意が必要である1)。
III.検査実施について
1 検査実施前の確認事項
検査前には必ず問診等によって、禁忌疾患がないか確認し、表2 の禁忌症例に準じて施行の可否を判断する。表2 バルサルバ負荷心エコー図の禁忌症例
1 発症48 時間以内の急性冠症候群
2 コントロール不良の高血圧・心不全・呼吸不全
3 症候性重度大動脈弁狭窄症
4 重症閉塞性肥大型心筋症 (左室流出路圧較差>90mmHg)
5 致死性不整脈
6 急性大動脈解離急性期、切迫破裂性大動脈瘤
7 協力が得られない症例
8 その他、主治医が不適と考える症例
2 注意を要す病態
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安静時圧較差 > 50 mmHg の左室流出路狭窄、喀血、血痰、気胸、過換気症候群、急性期炎症疾患
3 技師のみでの実施について
多くの施設ではルーチン検査の延長として本検査を実施しているので、技師のみでの施行されることが多い。被検者の急変に対応できるように、可能な限り医師に連絡が取れるようにしておくのが望ましい。急変時に酸素投与や吸引ができる部屋へ移動可能であること、さらには救急カートも持参できる場所で施行する。
IV. 各病態におけるバルサルバ負荷法
1 心不全
1) 目的
左室拡張能評価の際に、左室流入血流速波形が正常型と偽正常型との鑑別が困難な場合、バルサルバ負荷を行って診断の一助とする10,11)。また、拘束型拡張障害の可逆性の有無を評価する目的でバルサルバ負荷を行うこともある10,11)。これらは、バルサルバ負荷の第II相で、静脈還流量減少により生じる左室充満圧の低下を介したE 波減高の有無を観察する目的で行われる。
2) バルサルバ負荷エコー図の実際
バルサルバ負荷を行いながら、左室流入血流速波形を観察する。パルスドプラ像のsweep speed を50 mm/s 以下にまで遅くし、いきみを開始した第II相の状態で、10 から12 秒間ほど左室流入血流速波形を記録する(図3)11)。記録した画像には、バルサルバ負荷を行ったことがわかるようなアノテーションがあると良い。
3) 評価項目
バルサルバ負荷によるE/A とA 波最大速度の変化を観察する。
4) 得られる結果
正常型と偽正常型との鑑別を行う場合には、バルサルバ負荷によりE/A が1 未満となるか、A 波最大速度が上昇した場合を陽性とし、偽正常化型と診断する11)。正常型では、E波、A 波とも速度の低下がみられる10,12)。左室流入血流速波形が拘束型の場合には、バルサルバ負荷によりE/A が1 未満となった場合、可逆性ありとし、拘束型のまま不変であれば、不可逆性の拘束型パターンと判定する10)。
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図3 バルサルバ負荷による左室流入血流速波形の変化
バルサルバ負荷によりE 波は減高し、A 波は増高してE/A は1 未満となった。本例の左室流入血流速波形は偽正常化と診断される。
5) 検査結果の記載
バルサルバ負荷で偽正常型や不可逆性の拘束型パターンと判定された場合には、左室充満圧の上昇が疑われる旨をレポートに記載する。主治医は結果を確認し、体液量の適正化などにより心不全増悪の予防に努める。
2 HOCM、左室流出路狭窄
1) 目的
肥大型心筋症やS 字状心室中隔症例で、息切れを有するが有意な左室流出路狭窄を認めない場合や、僧帽弁の収縮期前方運動(systolic anterior motion: SAM)がみられるが左室流出路に圧較差が検出されない場合に、左室流出路狭窄の誘発を目的としてバルサルバ負荷を行う13)。左室流出路狭窄は前負荷の軽減により増強するため14)、バルサルバ負荷の第II相で生じる静脈還流量の減少による流出路狭窄の誘発や増強を観察する。
2) バルサルバ負荷心エコー図の実際
まず、バルサルバ負荷をかけながら、心尖部左室長軸像あるいは心尖部五腔像で左室流出路を観察する。断層図でSAM の変化を、カラードプラ像で左室流出路のモザイク血流やSAMに伴う僧帽弁逆流を観察する。次に、同様の負荷を行いながら、左室流出路の連続波ドプラ像を記録する。SAM による僧帽弁逆流を合併する例では、僧帽弁逆流を避けて左室流出路狭窄部の連続波ドプラを確実に記録する必要がある15)。連続波ドプラ像を描出しながら負荷をかけて観察された血流速度が左室流出路のものか僧帽弁逆流のものかの鑑別が難しい場合には、バルサルバ負荷中のカラードプラ像上でビームを確実に左室駆出血流に向けてから連続波ドプラ像を記録する。僧帽弁逆流の連続波ドプラ波形は、左室流出路狭窄よりも高速で、持続時間が長く、ピークが収縮中期に位置する特徴があるので、これらを僧帽弁逆流と左室流出路狭窄との鑑別に用いる15)。また、僧帽弁逆流が後方へ向かって偏位する場合には、傍胸骨長軸像から観察することで、探触子に向かう左室駆出血流と、離れていく僧帽弁逆流の
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連続波ドプラ波形を分離できることがある。
3) 評価項目
バルサルバ負荷によるSAM の出現や増強の有無、左室流出路のモザイク血流の出現を観察し、左室駆出血流の最大圧較差を計測する(図4)。
4) 得られる結果
バルサルバ負荷により左室流出路の最大圧較差が30 mmHg 以上となった場合に陽性と判定し、潜在性左室流出路狭窄と診断する13,14)。なお、HOCM の左室流出路狭窄に対する治療介入の要否を検討する場合のカットオフ値は50 mmHg とされている13,14)。
5) 検査結果の記載
結果が陽性であった場合は、バルサルバ負荷により有意の左室流出路圧較差が誘発された旨をレポートに記載する。陰性であった場合にも、誘発を行ったが誘発されなかったと記載する。なお、左室流出路狭窄の増強には複数の因子が関連するため、バルサルバ負荷による前負荷の軽減では誘発されない流出路狭窄もある。このため、バルサルバ負荷で臨床的に左室流出路狭窄が強く疑われている症例で、バルサルバ負荷による有意の流出路狭窄誘発が得られない症例では、運動負荷、立位負荷、座位負荷等の他の負荷法も検討する。
図4 潜在性左室流出路狭窄のバルサルバ負荷
心尖部左室長軸カラードプラ像(上)と左室流出路の連続波ドプラ(下)を示している。バルサルバ負荷により僧帽弁の収縮期前方運動に伴う僧帽弁逆流が生じ、左室流出路のモザイク血流が増強している。僧帽弁逆流を避けた連続波ドプラで112 mmHg の圧較差が認められ、流出路狭窄の誘発の所見である。
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3 卵円孔開存(patent foramen ovale: PFO)
1) 目的
塞栓源不明脳塞栓症のうち、PFO が関与した奇異性塞栓症が疑われる症例で、PFO を介した右左短絡を誘発する目的で、生理食塩水コントラストを併用したバルサルバ負荷心エコーを行う16-18)。バルサルバ負荷の第III相で生じる静脈還流量の増大により右房圧を一過性に上昇させて、右房から左房へ向かうシャントを誘発する。
2) バルサルバ負荷心エコー図の実際
コントラスト剤には、空気1 mL と生理食塩水8~9 mL を攪拌したものを用いるが16,19)、患者から吸引した血液1 mL と空気1 mL、生理食塩水8 mL を攪拌する方法は、空気のみを用いる方法に比して良好な造影効果が得られると報告されており20)、多くの施設で用いられている。血液の吸引が不可能な場合には、血液のかわりにジアゼパムを1 滴混入する方法もあるが、保険適応外使用となる。血液を用いた場合に、微小な血栓の形成による塞栓症の懸念はあるが、これまでにそのような報告は無い。ただし、攪拌不足による空気の混入を防ぐため1ml 以上の空気を使用することは避け、また長時間体外に放置して凝固した血液の体内への注入が起こらないよう、細心の注意を払う必要がある。
心尖部四腔像や傍胸骨四腔像等の、4 つの心腔を同時に観察できる断層図を描出し、患者に強くいきんでもらう21)。この際に、バブルによるアーチファクトの影響を受けないように、可能な限り左室の前方に右室が位置されないような断面を描出する。腹部を圧迫しながら負荷を行うと、負荷の強度を保ちやすいので、可能な限り腹部圧迫を併用する。いきみの開始と同時に攪拌した生理食塩水を急速に静注し、右心系全体が造影された時点でいきみを解除し、左心系へのコントラスト出現の有無を観察する。
3) 評価項目
バルサルバ負荷解除後3 心拍以内に左心系にコントラストが出現したら陽性とし、その程度を評価する。
4) 得られる結果
左心系にコントラスト出現が認められなければ陰性と判定する。コントラストが左心系に出現した場合には、その程度により4 つのグレードに分類するが、そのカットオフ値は報告により異なる16-18)。本手引きでは、日本脳卒中学会の手引きに記載されているカットオフ値を紹介する(図5)。
5) 結果の記載
左心系へのコントラスト出現の有無と、その程度をレポートに記載する。肺内シャントを有する場合は、負荷を行わなくても右心系へのコントラスト出現から少し時間をおいて左心系にコントラストが出現するので、通常呼吸時における観察結果も記載するとよい。
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図5 マイクロバブルテストによるシャント量の判定
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