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●作 成 公益社団法人日本麻酔科学会 ≪安全委員会≫ 委員長:廣田 和美委 員:横田 美幸/山内 正憲/佐和 貞治/山浦 健 飯田 宏樹/稲田 英一/祖父江和哉 安全な鎮静 のためのプラクティカルガイド 制定日 2021 年11 月26 日改訂日 2022 年2 月16 日改訂日 2022 年6 月15 日
●作 成 公益社団法人日本麻酔科学会 ≪安全委員会≫ 委員長:廣田 和美委 員:横田 美幸/山内 正憲/佐和 貞治/山浦 健 飯田 宏樹/稲田 英一/祖父江和哉 安全な鎮静 のためのプラクティカルガイド 制定日 2021 年11 月26 日改訂日 2022 年2 月16 日改訂日 2022 年6 月15 日
基本と概要3 鎮静の分類と定義4 深鎮静と静脈麻酔―その適用と対象― 6 鎮静と鎮痛8 説明と同意11 患者の評価13 緊急時のためのバックアップ体制15 鎮静前の経口摂取の制限18 患者の看視20 鎮静終了後のケアと覚醒の確認23 鎮静の体制とサーベイランス27 推奨早見表31 1章 2章 3章 4章 5章 6章 7章 8章 9章 10章 11章目 次 安全な鎮静 のためのプラクティカルガイド
1 章 基本と概要 3 本プラクティカルガイドは成人患者を対象として,手術室,集中治療室,緩和ケア領域,歯科以外で行われている鎮静を安全かつ適切に実施することを目的とし作成した。鎮静は侵襲を伴う処置,検査,手術などに伴う苦痛の軽減のため,臨床上多くの部署,あらゆる状況で施行されている。このため臨床で行われている鎮静のレベル(深さ)は一様でない。また,臨床で関わる医療者も“鎮静”という言葉を用いて,最小(意識下)鎮静レベルから深鎮静レベルまで,多様なレベルにもかかわらず“(広義の)鎮静”と表現している。このような状況にあるため,臨床で関わる医療者でさえ,概念や用語としての“鎮静”に関して,その経験に基づき“鎮静”を理解・解釈して用いており,討議の過程で噛み合わない場合も存在している。そこで,まず用語としての“鎮静”をそのレベル(深さ)に基づいて明らかにし,次に臨床上の求められている鎮静レベル,概念について共通の認識を持つことを図り,本プラクティカルガイドの目的である手術室・集中治療室・緩和ケア領域,歯科以外で実施されている鎮静の“安全性確保のための基準”を示す。特に,鎮静中のモニタリングは重要であり,医師,看護師,臨床工学技士などのチームで実施する場合が多いため,本プラクティカルガイドはチームでの共有知識としても使用可能である。 世界では,鎮静に種々の薬剤が使用されている。一方,本邦では,鎮静に使用される薬剤の効能・効果,用法・用量の項で,鎮静での使用を承認されているものは少ない。まず,この現状を改善する必要がある。そして鎮静,特に深鎮静では,患者安全・医療安全確保の観点より,モニターや体制の整備が必要である。すなわち,医療供給体制などの医療政策的措置が待たれる。 使用指針の推奨度およびエビデンスの強さは,「Minds 診療ガイドライン作成の手引き2014」「診療ガイドラインのためのGRADE システム―治療介入―」を参考にしたが,推奨度は,下記の3 段階とした。(A):必ずしなければならない。(B):強く推奨する。(C):望ましい。 1章 基本と概要
4 2 章 鎮静の分類と定義 鎮静は,自然睡眠とはまったく異なる。自然睡眠では,呼吸や循環が危うくなるような事態になると目が覚めて対処できる。たとえ,いびきをかいていても,気道閉塞や呼吸停止,心停止には至らない。しかし,薬剤作用により誘導される鎮静では,一見,自然睡眠と同じように見えるが,生理学的な状態とはまったく異なる。少量の鎮静薬によっても上気道閉塞が生じる可能性があり,患者の持つ病態によっては呼吸停止から心停止に至る危険性が存在する。 2—1) 鎮静の深さは“一連のもの” 図は,鎮静薬や麻酔薬投与量(X 軸)と生理学的状態(Y 軸),そして麻酔科医師の業務である監視下麻酔管理(monitored anesthesia care:MAC)のエリア(楕円)を示している。患者に鎮静薬や麻酔薬などを投与し,投与量を漸増していくと,意識レベルは覚醒状態から徐々に低下していき,ある程度の投与量で意識の消失(loss of consciousness:LOC)レベル,次に生体防御反射(loss of protective reflex:LPR)の消失するレベルに達する(Y 軸)。鎮静のレベル(深さ)は,❶最小鎮静(minimal sedation),❷中等度鎮静(moderate sedation),❸深鎮静(deep sedation)に分類される。そして,さらに投与量を漸増すると,❹全身麻酔(general anesthesia)に達する。しかし,これら鎮静レベルの境界はあいまいで,その深さは“一連のもの”であるといえる。 2章 鎮静の分類と定義 General anesthesia loss of normal protective reflexes MAC PHYSIOLOGIC STATE Deep anesthesia LPR LOC Awake DRUG DOSE 図 監視下麻酔管理(monitored anesthesia care:MAC)
2 章 鎮静の分類と定義 5 2—2) 鎮静と全身麻酔の分類と定義 表のように,反応性(意識レベル)と気道,呼吸,心血管機能により,鎮静レベルは分類される。❶最小鎮静は,気道,自発呼吸,心血管機能に影響せず,呼びかけに正常に反応するレベルであり,❷中等度鎮静は,呼びかけ,触刺激で合目的的に反応し,気道が介入不要で自発呼吸,心血管機能が通常は維持されるレベルである。❸深鎮静では,意識消失と生体防御反射の抑制を伴う。このため,繰り返しの有痛性刺激後の合目的的反応性はあるが,気道は介入を必要とすることがあり,自発呼吸も不十分なことがある。心血管機能は通常維持される。 表 鎮静と全身麻酔の分類と定義 最小鎮静中等度鎮静深鎮静全身麻酔 反応性呼びかけに正常に 反応する呼びかけ,接触刺激で 合目的的に反応繰り返し,有痛性刺激後, 合目的的に反応有痛性刺激で未覚醒 気道影響されない介入不要介入必要なことがあるしばしば介入必要自発呼吸(換気)影響されない適切不十分なことがある頻繁に不十分心血管機能影響されない通常は維持通常は維持障害されることがある 上記のように,中等度鎮静と深鎮静(レベル以上)は,反応性,気道,呼吸において大きく異なり,その安全性を考慮すると,ここでの区分は重要であることを強調しておく(表中中央の緑線)。鎮静は鎮静単独で考えられるべきではなく,鎮静が必要な侵襲的医療行為とのバランスで考えられるべきである。ある侵襲的医療行為の苦痛度を和らげるために,鎮静薬や鎮痛薬が投与されるが,その侵襲的医療行為がその患者に与える侵襲度・ストレスと患者に投与された鎮静薬などの反応性,すなわち鎮静のレベルを常に念頭に置き,使用された薬剤の薬理作用を観察しつつ適正(滴定)使用することが重要である。ある医療行為の侵襲度がそれほど強くなく,目標とする鎮静レベルが最小鎮静レベルであるにもかかわらず,鎮静・鎮痛薬の投与量が相対的に過量となれば,容易に中等度鎮静のレベルに到達する。また同様に,中等度鎮静のレベルを目標とした場合は,侵襲的医療行為と鎮静・鎮痛薬の相対的バランスにより深鎮静に達する。
6 3 章 深鎮静と静脈麻酔―その適用と対象― 3—1) 深鎮静 深鎮静は,1最小鎮静,2中等度鎮静と異なり,意識消失と生体防御反射の抑制を伴うもので,処置・手術などの侵襲度が強く,深鎮静を実施しなければ耐え難い苦痛を伴う医療行為に適用される(具体的な適用については後述)。鎮静薬と鎮痛薬を徐々に増量し,ある程度の用量を超えると,中等度鎮静レベルから深鎮静のレベルに達して,生体防御反射の消失や呼吸抑制をも伴う。深鎮静の危険性は,呼吸の抑制と誤嚥である。全身麻酔の要素は,a)鎮痛(痛みがない),b)意識消失(≒鎮静,健忘),c)不動化(筋弛緩),d)有害反射抑制の4 つである。深鎮静では,(イ)意識消失ではなくとも苦痛の緩和(健忘),(ロ)痛みの緩和(鎮痛),(ハ)有害反射の抑制が求められ,(ニ)不動化は必須ではないが,求められる場合もある。深鎮静と全身麻酔にはこのような類似性,オーバーラップがあるので,深鎮静では,全身麻酔と同様に慎重な管理が必要である。そして,どの薬剤が安全で,どの薬剤が危険ということはない。鎮静・鎮痛薬などは気道,呼吸,循環のコントロールという生命を守る機能に作用するので,医療安全の観点からは,どの鎮静薬や鎮痛薬を使用するかということではなく,どのような考え方や体制で行うかということが重要である。 3—2) 深鎮静と静脈麻酔 麻酔薬はその投与経路により分類され,静脈経路より投与されるものは静脈麻酔薬である。静脈麻酔薬の作用が中枢神経に及び達成された状態が静脈麻酔であり,全身麻酔である。静脈麻酔薬の投与速度が緩徐で投与量が少ないと全身麻酔の状態に達せず,鎮静や不穏状態を呈することがある。鎮静のレベルは,静脈麻酔薬の投与速度・投与量と個体差により,最小鎮静から中等度鎮静,深鎮静となり,さらには全身麻酔に達する。鎮静を施行する医療者は,目標とするレベルを考慮しつつ,深鎮静・全身麻酔の危険性を認識し,患者の安全を保つ責任がある。繰り返しになるが,深鎮静と静脈麻酔薬による全身麻酔は,連続的で境界もあいまいで“一連のもの”である。したがって,深鎮静を目標とした場合は,全身麻酔にも対応可能な能力が求められる。 3 章深鎮静と静脈麻酔―その適用と対象―
3 章 深鎮静と静脈麻酔―その適用と対象― 7 3—3) 深鎮静と静脈麻酔の適用となる侵襲的検査・処置 深鎮静が適用となる侵襲的医療行為は,1アブレーション:心筋焼灼術,2内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD),3小線源治療などがある。そのほかの例として脱臼整復術があるが,一般的には静脈麻酔(全身麻酔)であり,不動化,筋弛緩の必要な場合もあり,その場合は全身麻酔(閉鎖循環式全身麻酔)となる。3小線源治療で,ある程度長時間を要し不動化が必要な場合は,筋弛緩薬の使用が必要となるので,深鎮静ではなく全身麻酔である。
8 4 章 鎮静と鎮痛 鎮静薬の役割は“不安を軽減し眠気を促すこと”で,鎮痛薬の役割は“痛みを緩和すること”であり,それらの使用目的は異なる。特に,深い鎮静を要する侵襲度の高い処置を行う場合は,適切な鎮痛薬の併用が必須である。痛みは低酸素血症,低血糖,低血圧などとともに不穏の原因となり,鎮静管理の失敗を招く。適正な鎮静管理には十分な鎮痛が重要であり(鎮痛優先の鎮静: analgesia-first sedation),これにより鎮静薬の過量投与による種々の合併症を防ぐことができる。また,鎮静薬と鎮痛薬の併用により,患者満足度も向上する。 4—1) 鎮痛薬を併用する意義 (1)侵襲度の高い処置は痛みも強い(2)鎮静薬の鎮痛効果は鎮痛薬に及ばない(3)適切な鎮痛は鎮静薬の投与量を削減する(4)適切な鎮痛は鎮静薬の過量投与による合併症を防ぐ 4—2) 代表的な鎮静薬 (麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3 版:https://anesth.or.jp/files/pdf/hypnosis_ sedative_20190905.pdf) 4—2)—1 ミダゾラム<midazolam> 4—2)—1—1) 適用(1)麻酔前投薬(2)全身麻酔の導入および維持(3)集中治療における人工呼吸中の鎮静(4)局所麻酔時の鎮静(5)痙攣の治療4—2)—1—2) 使用法局所麻酔時の鎮静 ◆麻酔科専門医の看視の下に施行されることが望ましい。❶ 通常,成人にはあらかじめ点滴ラインを確保し,ミダゾラム0.02—0.03 mg/kg をできるだけ緩徐に注入する。 4 章 鎮静と鎮痛
4 章 鎮静と鎮痛 9 ❷ 必要に応じて初回量の半量ないし同量を追加投与する。❸ 患者によっては,より高い用量が必要な場合があるが,この場合は過度の鎮静および呼吸器・循環器系の抑制に注意すること。❹ 無呼吸,呼吸抑制,舌根沈下が現れることがある。このような場合には気道を確保し,換気を図るなどの適切な処置を行う。❺ 必要に応じフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬)で拮抗する。4—2)—2 デクスメデトミジン塩酸塩<dexmedetomidine hydrochloride> 4—2)—2—1) 適用次の適用のうち,(3)と(5)は適用外使用である。(1)集中治療における人工呼吸中および離脱後の鎮静 ◆長期の投与が可能である(2)集中治療における非挿管患者の鎮静,鎮痛 ◆例として,急性大動脈解離の保存的治療,外傷や手術直後で安静を必要とする場合,小児症例など(3)全身麻酔の補助 ◆麻酔薬の削減,循環系の安定,覚醒時振戦の防止,麻酔後譫妄の抑制(4)局所麻酔下における非挿管での手術および処置時の鎮静 ◆意識下開頭術のような手術や硬膜外麻酔,脊髄くも膜下麻酔のような気道確保されていない症例,気管支内視鏡による気管挿管を試行する場合(5)検査時の鎮静 ◆小児や不安の強い成人のコンピュータ断層撮影法(CT),磁気共鳴画像(MRI)撮影や脳波測定などの検査時の鎮静4—2)—2—2) 使用法いずれの適用に対しても,シリンジポンプを用いて持続静注する。実施する場合は,循環動態の変動に十分注意する。維持投与速度は,0.2—0.7μg/kg/hr を目安とするが,目的とする鎮静度を得るために,より多量を必要とする症例もある。 4—3) 代表的な鎮痛薬 (麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3 版 III静脈関連薬:https://anesth.or.jp/files/ pdf/analgesics_and_antagonists_20190905.pdf) 4—3)—1 フェンタニルクエン酸塩<fentanyl citrate(フェンタニル注射液)> 4—3)—1—1) 適用(1)全身麻酔における鎮痛(2)局所麻酔における鎮痛の補助(3)激しい疼痛(術後疼痛,がん性疼痛など)に対する鎮痛4—3)—1—2) 使用法(フェンタニル注射液について) (1)全身麻酔における鎮痛 ◆従来は,神経遮断薬のドロペリドールと併用してニューロレプト麻酔(NLA)に用いられることが多かったが,近年では,気管挿管による血圧の上昇や心拍数の増加を予防,麻酔導入時に静脈麻酔薬とともに使用,また吸入麻酔薬による全身麻酔に併用,プ
10 4 章 鎮静と鎮痛 ロポフォールによる全静脈麻酔における鎮痛薬として使用される。鎮静の導入にあたっては0.5— 2μg/kg を静注し,25—50μg 追加する。(2)局所麻酔における鎮痛の補助 ◆1—3μg/kg を静注する。 4—4) 代表的な(静脈)麻酔薬・鎮静薬 4—4)—1 プロポフォール<propofol> (麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3 版 III静脈関連薬:https://anesth.or.jp/files/ pdf/venous_medicine_20190905.pdf) 4—4)—1—1) 適用下記の(2)は,現在本邦においては適用外となる。(1)全身麻酔の導入および維持 ◆一般的に,この適用で使用されている。(2)局所麻酔あるいは検査時の鎮静(3)集中治療における人工呼吸中の鎮静4—4)—1—2) 使用法プロポフォールは単回,持続投与があり,後者ではディプリフューザTM TCI(目標濃度調節静注)機能がある。TCI(target controlled infusion)とは,薬物動態モデルを用いて投与速度を調節し,血中薬物濃度をコントロールする方法である。局所麻酔中の鎮静,あるいは検査時の鎮静では,十分鎮痛が行われていれば0.5 mg/kg を3—5分かけて投与後2(1.5—4.5)mg/kg/hr 程度の投与量,ディプリフューザTM TCI 機能を用いるさいは目標血中濃度を1.0—2.0μg/ml に設定する。個人差のため徐々に目標血中濃度を上げていき,呼吸・循環動態の変動に注意する必要がある。このため緊急時に鎮静担当医,麻酔科専門医,集中治療専門医などが,即時に対応できる状況で使用し,持続的にパルスオキシメータ,カプノメータで呼吸状態をモニターし,必要に応じて酸素投与を行う。血圧低下の危険性があるので,少なくとも5 分に1 回は血圧測定を行う。4—4)—1—3) 禁忌(1)小児への長期大量投与(2)本薬または本薬の成分(ダイズ油,卵黄レシチンなど)に対し,過敏症の既往歴のある患者 参考文献1) Barr J, Fraser GL, Puntillo K, et al;American College of Critical Care Medicine. Clinical practice guidelines for the management of pain, agitation, and delirium in adult patients in the intensive care unit. Crit Care Med 2013;41:263—306. 2) Yuksel O, Parlak E, Koklu S, et al. Conscious sedation during endoscopic retrograde cholan-giopancreatography:Midazolam or midazolam plus meperidine? Eur J Gastroenterol Hepatol 2007;19:1002—6. 3) 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3 版 III静脈関連薬:https://anesth.or.jp/files/pdf/analgesics_and_antago nists_20190905.pdf
5 章 説明と同意 11 患者は,鎮静を要する処置・検査の有用性と危険性の両方の説明を十分に受け,理解する権利を有する。鎮静の説明と同意の確認は,鎮静担当医が行う。同意書には,鎮静の手順に関する説明,鎮静薬の種類と合併症についての説明が必要である。同意書以外に説明および同意された内容は,診療録に記載する。同意書に署名があっても,患者は同意を撤回することができる。同意を撤回した場合は,その理由を診療録に記載する。 5—1) 鎮静の手順に関する説明(B) (1)前日まで1)鎮静前の患者評価(“6 章 患者の評価”を参照) 2)鎮静時間:処置・検査に要する時間と覚醒して帰宅可能となるまでの見込み時間3)経口摂取の制限(“8 章 鎮静前の経口摂取の制限”を参照) 4)鎮静薬について5)入院適用基準:侵襲度の高い外来処置・検査の場合など(2)当日1)鎮静薬を使用する前の最終確認:処置・検査中止の基準(例:急性気道疾患罹患など) 2)静脈ルートの確保:深鎮静では必須3)鎮静中の患者看視者の確認と患者モニター記録の説明4)鎮静中の合併症対応の説明(“7 章 緊急時のためのバックアップ体制”を参照) 5)回復室での看視事項の説明(“10 章 鎮静終了後のケアと覚醒の確認”を参照) 6)鎮静中の緊急中止と延期判断に関する説明 5—2) 鎮静薬の種類と合併症についての説明(B) (1)鎮静薬の種類と選択:経口薬,坐薬,静脈薬の選択(2)軽微な合併症の頻度と対応(3)深刻な合併症の頻度と対応 5章 説明と同意
12 5 章 説明と同意 参考文献1) Yaster M, Krane EJ, Kaplan RF, et al. Chapter 17 Sedation documentation and record keeping. Pediatrics Pain Management and Sedation Handbook. Maryland Heights:Mosby;1997. p.321⊖9. 2) Selbst SM. 21 Medicolegal risks and outcomes of sedation. In:Mason KP, editor. Pediatric Sedation Outside of the Operating Room. A Multispecialty International Collaboration. New York:Springer;2011. p.419⊖20. 3) Tith S, Lalwani K, Fu R. Complication of three deep sedation methods for magnetic resonance imaging. J Anaesthesiol Clin Pharmacol 2012;28:178⊖84.
6 章 患者の評価 13 鎮静による危険性を評価し,麻酔科医など鎮静に精通した医師に依頼すべきかどうかを判断する〔患者の評価(B)〕。主な評価項目は患者の気道と全身の状態である。鎮静により,気道閉塞や呼吸抑制に陥った場合を想定して,患者を評価する。気道確保や換気補助が難しいことが予測される患者(例:気管挿管困難)に対する鎮静は,きわめて慎重に行わなければならない。術前全身状態評価(American Society of Anesthesiologists Physical Status:ASA—PS)のIII以上,あるいは気道の解剖学的異常を伴う患者では,鎮静の危険性が高いため麻酔科専門医に相談するなど,慎重に判断する。 6—1) 評価項目 (1)問診1)年齢2)内服薬,アレルギーの有無3)気道閉塞に関わる因子❶ 口腔内:いびき,夜間覚醒,息苦しさ,肥満,扁桃/アデノイド肥大❷ 気道内:気管狭窄,気管・気管支軟化,気道異物,気管内腫瘍❸ 気道外:頸部リンパ管腫,甲状腺腫瘍など,頸部や縦隔の腫瘍性病変4)鎮静による合併症が生じやすい基礎疾患❶ 心疾患:先天性心疾患,うっ血性心不全,不整脈❷ 呼吸器疾患:睡眠時無呼吸,気管支喘息❸ 神経筋疾患:脳性麻痺,ミオパチー,てんかん,脳室シャント❹ 消化器疾患:胃食道逆流症,消化管狭窄❺ 早期産児・低出生体重児:慢性肺疾患,無呼吸❻ 肝障害,腎障害(2)身体所見1)身長,体重2)バイタルサイン(血圧,心拍数,呼吸数,SpO2,体温) 3)気道の評価❶ 急性の気道感染症,アレルギーの所見(鼻閉,鼻汁) 6 章 患者の評価
14 6 章 患者の評価 ❷ 顔貌異常,扁桃肥大,開口障害,巨舌,小顎,頸部伸展障害❸ Mallampati 分類:開口状態での口蓋垂の見え方。気管挿管困難を予測する。Class I:口蓋弓,軟口蓋,口蓋垂が見える。Class II:口蓋弓,軟口蓋と一部の口蓋垂が見える。Class III:軟口蓋のみ見える。Class IV:口蓋弓,軟口蓋,口蓋垂すべてが見えない。注)Class III以上は挿管困難の可能性が高い。4)ASA—PS I:健康II:軽度の全身性疾患(無症状の喘息など) III:重度の全身性疾患(不安定な喘息など) IV:生命に危険を及ぼす重篤な全身性疾患(頭部外傷など) V:致死的な全身性疾患(脳ヘルニア,出血性ショックなど) VI:脳死状態の臓器移植ドナー注)III以上は麻酔科医,集中治療医,救急医のいる施設での実施を検討する。 6—2) 評価判定 評価項目を参考に,総合的に鎮静による合併症のリスクを判定する。 参考文献1) American Academy of Pediatrics, Section on Pediatric Pulmonology, Subcommittee on Obstructive Sleep Apnea Syndrome. Clinical practice guideline:Diagnosis and management of childhood obstructive sleep apnea syndrome. Pediatrics 2002;109: 704—12. 2) Schechiter MS. Technical report:Diagnosis and management of childhood obstructive sleep apnea syndrome. Pediatrics 2002; 109(4):e52. Available at:www.pediatrics.org/cgi/content/full/109/4/e69 3) Coté C, Zaslavsky A, Downes JJ, et al. Postoperative apnea in former preterm infants after inguinal herniorrhaphy. Anesthesiology 1995;82:809—22. 4) Litman RS, Kottra JA, Berkowitz RJ, et al. Upper airway obstruction during midazolam/nitrous oxide sedation in children with enlarged tonsils. Pediatr Dent 1998;20:318—20. 5) Fishbaugh DF, Wilson S, Preisch JW, et al. Relationship of tonsil size on an airway blockage maneuver in children during sedation. Pediatr Dent 1997;19:277—81. 6) Mallampati SR, Gatt SP, Gugino LD, et al. A clinical sign to predict difficult tracheal intubation:A prospective study. Can Anaesth Soc J 1985;32:429—34. 7) Samsoon Gl, Young JR. Difficult tracheal intubation:A retrospective study. Anaesthesia 1987;42:487—90. 8) 日本小児アレルギー学会.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン 2012.東京:協和企画;2011.p.21—3.
7 章 緊急時のためのバックアップ体制 15 緊急時に必要とされる機器,器具,および薬剤は,緊急時対応チームと相談のうえ,すぐに利用可能であるよう,定期的に整備をしておく。(B) 7‒1) 緊急時の体制と準備 鎮静薬は,合併症として気道閉塞,呼吸停止,時には徐脈,心停止などを引き起こす危険性がある。このため,鎮静時には,緊急時,蘇生時に必要となる設備・機器がすぐに利用可能であるように必ず準備し,緊急対応する人員を事前に配置しておかなければならない。(A) 7‒2) 気道・呼吸関連の合併症 深鎮静では,気道閉塞,低換気,高二酸化炭素症,低酸素血症,呼吸停止が起こりうる。さらに,低血圧,徐脈,心停止も起こる可能性がある。アナフィラキシーもまれではあるが,考えられる重篤な合併症である。このような合併症に伴う緊急事態に,すぐに対処できるような人員,設備,機器,器具などの準備を怠ってはならない。(A) 7‒3) 患者の看視に専念する医師(または看護師)の配置 鎮静中は患者の看視に専念する医師(または看護師)を配置しなければならない。(A)必要時は的確に緊急時対応バックアップチームに連絡し,バックアップチームが到着するまでの間,基本的な救命処置,少なくともバッグマスクによる用手換気を実施することができる人員でなければならない。(A) 7‒4) 鎮静を実施する室内の機器の設置・整備 酸素と吸引の配管を設置する。(A) 配管がない場合は,酸素ボンベと吸引器を準備し,必要時にいつでも使えるように整備してお かなければならない。(A) 7章緊急時のためのバックアップ体制
16 7 章 緊急時のためのバックアップ体制 7‒5) 緊急時のバックアップ体制 緊急時や蘇生時に対応するバックアップ体制を作るとともに,必要時どのように連絡するか, 緊急時に使用する機器や器具をどこに設置するかなどの手順を作成しておかなければならない。(A) 夜間や休日など,院内に人材が手薄な時間帯にどのような体制をとるかを事前に定めておく ことを強く推奨する。(B) 麻酔科医や救急医など,緊急時対応の専門医師が院内にいる場合は,これらの専門医師が緊急 時の鎮静実施体制に関わることを強く推奨する。(B) 7‒6) 緊急時の機器・器具および薬品の配置・整備(表1) 緊急事態が発生した場合には,救命・蘇生処置を行わなければならない。(A) 救急カートなどを近くに常備し,緊急時に必要となる機器・器具および薬剤,心肺蘇生用の除 細動器などが,すぐに利用できるように配置しなければならない。(A) 除細動器や喉頭鏡などは,すぐに利用できるように定期的に整備しておく必要がある。(A) 器具は気道確保,吸引,静脈路確保に必要なもの,薬剤は蘇生時薬品が中心となる。 救急カートにどういった機器・器具,薬剤を配置するかは,緊急時対応バックアップチームと 事前に相談しておくことを強く推奨する。(B) 7‒7) 鎮静用カートの提案(表2,表3) 鎮静時の問題解決に特化した鎮静カートを準備しておくと,円滑な対応につながる。 表1 救急カートに必要な機器*,薬剤**のリスト(例) ❶器材:中濃度酸素投与マスク(一般的な酸素マスク),フェイスマスク(各サイズ),バックバルブ マスク,鼻咽頭エアウェイ(各サイズ),口咽頭エアウェイ(各サイズ),バイトブロック,喉頭鏡,気管チューブ,スタイレット,気管チューブ固定用具・機器,聴診器,呼気二酸化炭素検出器,吸引カテーテル,シリンジ,点滴ラインなど❷薬品:蘇生時薬品(アドレナリン,アトロピンなど),血管作動薬,輸液製剤,生理食塩液(希釈, 溶解用),副腎皮質ホルモン製剤(メチルプレドニゾロンなど),抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンなど) *機器や器具は,対象となる患者の年齢,大きさに合わせてさまざまなサイズをそろえておく。(A) **薬剤は,体重ごとの投与量換算表などを添付しておくと緊急対応しやすいので,強く推奨する。(B)
7 章 緊急時のためのバックアップ体制 17 参考文献1) American Academy of Pediatrics, American Academy of Pediatric Dentistry, Coté CJ, Wilson S and the Work Group on Sedation. Guidelines for monitoring and management of pediatric patients during and after sedation for diagnostic and therapeutic procedures:An update. American Academy of Pediatrics, American Academy of Pediatric Dentistry. Pediatrics 2006;118: 2587‒602. 2) Practice Guidelines for Sedation and Analgesia by Non-Anesthesiologists;An updated report by the American Society of Anesthesiologists Task Force on Sedation and Analgesia by Non-Anesthesiologists. Anesthesiology 2002;96:1004‒17. 3) National Institute for Health and Clinical Excellence:Sedation in children and young people. http:⊘⊘www.nice.org.uk⊘niceme dia⊘live⊘13296⊘52130⊘52130.pdf表3 鎮静用カートの提案(例) ★救急カートに常備されていない,鎮静時の問題解決に特化した薬品,器材を整備する。❶薬品:鎮痛薬,鎮静薬,筋弛緩薬+これらの拮抗薬,血管作動薬※薬品のなかには施錠が必要なものもあり,各施設の薬剤科と相談して安全に管理する。❷気道に関する器材:声門上エアウェイ(チームが使い慣れたもの,各サイズ),フィット感のよい フェイスマスク(各サイズ),気管挿管のための特殊器具(ビデオ喉頭鏡など),気管チューブ(各サイズ,特に細いもの) 救急カート麻酔用カートDAM(困難気道管理) カート鎮静用カート 薬品・血管作動薬・蘇生時薬品・鎮静薬・鎮痛薬・筋弛緩薬・血管作動薬(蘇生時薬品)・局所麻酔薬(外科的気道確保用)・鎮静薬・鎮痛薬・上記の拮抗薬・血管作動薬 資機材(気道,換気)・フェイスマスク・エアウェイ・SGA・気管挿管・BVM・フェイスマスク・エアウェイ・SGA・気管挿管・フェイスマスク・エアウェイ・SGA・気管挿管 (喉頭鏡,ビデオ喉 頭鏡,気管支鏡など)・外科的気道確保・フェイスマスク・エアウェイ・SGA・気管挿管 (喉頭鏡,ビデオ喉頭 鏡など)・BVM (人工呼吸器で代用可) 各場面で必要なモニター・SpO2・呼気CO2・血圧,心電図・SpO2・呼気CO2・血圧,心電図・体温,麻酔深度 モニターなど・SpO2・呼気CO2・SpO2・呼気CO2・血圧,心電図 表2 鎮静用カートの提案 SGA:supraglottic airway device,BVM:bag–valve–mask ※麻酔用カート,DAM(困難気道管理)カートは薬品,資機材が多いので,鎮静に特化した鎮静用カート を作製してもよい。
18 8 章 鎮静前の経口摂取の制限 鎮静薬は気道の反射を抑制し,誤嚥の危険性を生じさせる。中等度鎮静・深鎮静では,誤嚥防止のため,鎮静前の一定時間は経口摂取を制限する。患者の病態によっては,さらに慎重な評価が必要となる。 8—1) 摂取制限の必要性(B) 鎮静薬は気道反射を抑制する。 胃内容物の逆流による誤嚥の危険性がある。 誤嚥の危険性を最小限にするために,術前の経口摂取を制限する。 摂取の制限は処置終了後,覚醒するまで継続する。 8—2) 鎮静に伴う誤嚥の危険性の評価(B) 鎮静に伴う誤嚥の危険性について説明し,理解と同意を得てから鎮静を実施する。 鎮静薬を用いるかぎり,量・投薬経路にかかわらず誤嚥を起こす危険性は一定の割合で存在す る。 消化管狭窄・機能障害の患者では,より長時間の摂取制限を必要とする。 気道確保困難が予想される患者では,誤嚥した場合の気道確保が難しい。 8—3) 鎮静前の経口摂取の制限(B) 全身麻酔と同様のルールで実施する。 成人では,清澄水で2 時間以上,固形物で6 時間以上の制限時間を設ける。 8—4) 緊急処置の必要性と鎮静に伴う誤嚥の危険性とのバランス 必ず最終飲食時間を確認する。(A) 診療録,理学所見,問診などにより,誤嚥の危険性についての情報を収集する。(B) 消化管狭窄・機能障害,外傷,意識障害,高度肥満では,胃内容物の排泄が遅れる。 8 章 鎮静前の経口摂取の制限
8 章 鎮静前の経口摂取の制限 19 処置・検査の必要性・緊急度と鎮静の危険性のバランスを考える。 緊急性が高く,かつ誤嚥の危険性も高い場合は,全身麻酔下で気管挿管したうえでの処置・検 査が望ましい。 参考文献1) 公益社団法人日本麻酔科学会術前絶飲食ガイドラインhttp:⊘⊘www.anesth.or.jp⊘guide⊘pdf⊘guideline_zetsuinshoku.pdf 2) American Academy of Pediatrics, American Academy of Pediatric Dentistry, Coté CJ, Wilson S and the Work Group on Sedation. Guidelines for monitoring and management of pediatric patients during and after sedation for diagnostic and therapeutic procedures:An update. American Academy of Pediatrics, American Academy of Pediatric Dentistry. Pediatrics 2006;118: 2587⊖602. 3) National Institute for Health and Clinical Excellence:Sedation in children and young people. http:⊘⊘www.nice.org.uk⊘nicemed ia⊘live⊘13296⊘52130⊘52130.pdf 4) Brady M, Kinn S, Ness V, et al. Preoperative fasting for preventing perioperative complications in children. Cochrane Database Syst Rev 2009;7:CD005285. doi:10.1002⊘14651858.CD005285.pub2. 5) Splinter WM, Stewart JA, Muir JG. Large volumes of apple juice preoperatively do not affect gastric pH and volume in children. Can J Anaesth 1990;37:55⊖8.
20 9 章 患者の看視 9—1) 鎮静前の確認事項(B) 鎮静薬,鎮痛薬を投与する前に患者の状態をチェックリスト(表1)で評価する。鎮静担当医を含む複数名で確認する。鎮静担当医には,使用する薬剤の特性・禁忌,起こりうる有害事象に関する知識と,これらに対応できる技術が必要である。(1)鎮静の当日に確認する項目1)検査前の最終飲食時刻(A) 2)鎮静当日の急性気道感染症状の有無(A) 3)使用する鎮静薬の禁忌事項に該当するか(A) 4)鎮静直前のバイタルサイン(血圧,心拍数,呼吸数,SpO2,体温)(B) (2)蘇生に必要な物品の準備と確認(B) 患者にあったサイズを準備する。 破損などがなく,すぐに使用できることを確認する。 救急カート内の物品も確認する(“7 章 緊急時のためのバックアップ体制”を参照)。(3)生体情報モニターの準備(B) 9章 患者の看視 表1 鎮静前チェックリストの例 鎮静実施日 年 月 日使用予定薬剤名ASA—PS I II III IV Mallampati 分類 I II III IV □アレルギー□常用薬□気道閉塞に関わる因子なし あり□過去に鎮静で問題がなし あり□使用薬剤の禁忌事項に該当しない□鎮静に関する同意書検査当日鎮静前評価□血圧mmHg □心拍数回/分□呼吸数回/分□SpO2 % □体温°C □急性気道感染症状 なし あり□最終摂食時刻 時 分□最終飲水時刻 時 分署名鎮静担当医 看護師
9 章 患者の看視 21 パルスオキシメータ,血圧計,心電図は必ず準備する。 換気を看視するための呼気終末二酸化炭素モニター(カプノメータ)を強く推奨する。(4)緊急時のためのバックアップ体制の確認(B) 緊急時に対応するための体制を確立し,その手順を決めておく。(5)表2 に安全な鎮静のためのチェックリストの例を示す。 9—2) 鎮静開始から処置終了までの看視(B) (1)患者看視者の配置1)患者看視に専念する医師(または看護師)を配置する。2)患者看視者は鎮静開始から覚醒まで,患者の異常を検知して適切に対応する。(2)患者看視者の資格1)患者看視者は蘇生に関する知識と技術に精通していなければならない。2)気道確保や用手換気,循環補助などの蘇生行為を実施できなければならない。3)蘇生が必要な場合にはバックアップ体制を発動する。 表2 安全な鎮静のためのチェックリスト(例) 患者入室前の準備□患者評価・既往,所見,評価・特にアレルギー,気道□説明と同意取得の確認□絶飲食の確認□モニタリングの準備の確認・呼吸:呼気CO2,SpO2・血圧,心拍数,心電図□薬剤,酸素の確認□器材の確認□記録方法の確認□ 鎮静責任者,鎮静施行者,管理(モニタリング)担当者を明確に□緊急対応体制の確認検査・処置開始前タイムアウト□チームメンバー紹介・執刀医・鎮静担当医・患者看視者□ 予想される重要なイベントを共有 する 施行中□呼吸状態の観察・呼吸数,呼吸パターン□モニタリング・呼吸:呼気CO2,SpO2・血圧,心拍数,心電図□薬剤の用量滴定□バイタルサインの記録:5 分間隔□酸素投与の必要性を考慮□合併症の早期発見□ 呼吸抑制,循環抑制,誤嚥,アレルギー(遅発性も),心肺停止□必要時には緊急対応人・物(薬,器材)・応援体制施行後ケア□精通した医療スタッフによる看視□観察:30 分間□意識状態□呼吸:呼吸数,呼吸パターン呼気CO2,SpO2・血圧,心拍数,心電図□退室基準・Aldrete score・ 疼痛,嘔気,ふらつきの確認・付き添いの有無□検体を正しく保管する□主治医は・ 今後の経過と計画,合併症への 対応,説明□有害事象が起きた場合・フォローアップ・医療安全管理室への報告⇒再発防止へ 病院と医療安全管理部門,麻酔科医は,安全な鎮静のサーベイランスを確立する。[WHO 安全な手術のためのガイドライン/鎮静・鎮痛薬に関するガイドライン(ASA)/PSA ガイドライン(ESA, EBS)/JCI より改変転載]
22 9 章 患者の看視 (3)看視の内容1)パルスオキシメータで動脈血酸素飽和度(SpO2)を持続的に看視する。2)血圧変動,不整脈などに対応するために,血圧および心電図を看視する。3)SpO2は換気の指標ではない。高二酸化炭素症でもSpO2は比較的高値に保たれる。低換気 状態を早く見出すために,カプノメータによる呼気終末二酸化炭素の看視が有用である。(4)看視内容の記録1)患者看視者はバイタルサインを定期的(原則として5 分おき)に記録する。2)記録の様式は麻酔記録に準ずる。3)鎮静中は血圧,心拍数,SpO2を経時的に記録する。4)胸部の動きが看視可能な場合は呼吸数も記録する。5)カプノメータの呼気終末二酸化炭素の値も記録する。(5)看視の継続 処置終了後の看視や記録については,“10 章 鎮静終了後のケアと覚醒の確認”の章を参照。 参考文献1) American Academy of Pediatrics, American Academy of Pediatric Dentistry, Coté CJ, Wilson S and the Work Group on Sedation. Guidelines for monitoring and management of pediatric patients during and after sedation for diagnostic and therapeutic procedures:An update. American Academy of Pediatrics, American Academy of Pediatric Dentistry. Pediatrics 2006;118: 2587⊖602. 2) Schulte-Uentrop L, Goepfert M. Anaesthesia or sedation for MRI in children. Curr Opin Anaesthesiol 2010;23:513⊖7. 3) Medical Advisory Secretariat, Ministry of Health and Long Term Care. Patient monitoring system for MRI:An evidence-based analysis. Ontario Health Technology Assessment Series 2003;3(7):1⊖16. Available at:http:⊘⊘www.health.gov.on.ca⊘eng lish⊘providers⊘program⊘mas⊘tech⊘reviews⊘pdf⊘rev_patmri_120103.pdf 4) Connors JM, Cravero JP, Lowrie L, et al. Society for Pediatric Sedation Consensus Statement:Core competencies for pediatric providers who deliver deep sedation. Available at:http:⊘⊘www.pedsedation.org⊘documents⊘SPS_Core_Competencies.pdf 5) Lightdale JR, Goldmann DA, Feldman HA, et al. Microstreamcapnography improves patient monitoring during moderate sedation:A randomized, controlled trial. Pediatrics 2006;117:e1170⊖8. 6) 堀本 洋.子どもの検査時鎮静と鎮痛―麻酔科医ならこうする―.日本小児科学会雑誌2012;116:1653⊖65. 7) WHO Guidelines for Safe Surgery 2009. Available at:https:⊘⊘www.who.int⊘patientsafety⊘safesurgery⊘tools_resources⊘ 9789241598552⊘en⊘
10 章 鎮静終了後のケアと覚醒の確認 23 処置・検査終了時の患者は鎮静下にある。鎮静の終了とは,十分に覚醒し,鎮静前の状態に近づき,日常生活に戻ることができる状態である。回復を待つ間は鎮静中と同じ対応が必要であり,安全な状態であることを確認したあとに,病室への帰室や帰宅が可能となる。外来患者であれば“帰宅の条件”を満たすまで,入院患者であれば“一般病室への移動の条件”“鎮静記録終了の条件”を満たすまで看視する。 10—1) 外来患者と入院患者に共通の項目 (1)回復の看視を行う場所(C) 1)パルスオキシメータ,酸素投与,吸引装置,カプノメータがある。2)緊急時に使用する機器や器具の設置場所などを決めておく。3)蘇生に必要となる物品が使用できる。4)緊急時に対応できる人員が得られる。5)連絡体制とその手順を決めておく。(2)看視のための人員(C) 1)患者の異常を検知し対応する医師または看護師を配置する。(3)看視の内容(C) 1)パルスオキシメータで動脈血酸素飽和度(SpO2),目視あるいは聴診で呼吸数を持続的に 看視する。2)血圧変動,不整脈などに対応するために,血圧および心電図を看視する。3)SpO2は換気の指標ではない。高二酸化炭素症でもSpO2は比較的高値に保たれる。低換気 状態を早く見出すためには,呼気終末二酸化炭素の看視が有用である。4)記録する項目❶意識レベル❷血圧❸心拍数❹SpO2 ❺呼吸数(努力呼吸や異常呼吸音などの呼吸状態も含む) ❻体温 10章鎮静終了後のケアと 覚醒の確認
24 10 章 鎮静終了後のケアと覚醒の確認 ❼その他(嘔吐などの事象や飲水開始時間など) (4)看視中に異常が生じた場合(B) 1)呼吸を確認する。2)ただちに鎮静担当医,あるいは同等レベル以上の技能を持つ医師に連絡する。 10—2) 外来患者に適用される項目 1)帰宅の条件を満たすことが確認されたのち,帰宅を許可する。(B) 2)最終確認は鎮静担当医,あるいは鎮静担当医から依頼された医師によって行う。(B) 3)帰宅の条件:以下の条件を必ずすべて満たさなければならない。(A) ❶バイタルサインに異常を認めない(鎮静前の値に戻っている)。❷意識状態が鎮静前の状態に戻り,自力歩行が可能である。❸努力呼吸や異常呼吸音を認めず,呼吸状態が安定している。❹自発的に飲水ができ,嘔吐しない。❺酸素投与や吸引などの処置を必要としない。4)上記の条件を満たしたうえで,下記の要件も必ず確認する。(B) ❶自宅で看視を続けることのできる介助者が確保できること。❷介助者に対し帰宅時の説明,指導を行えること。❸帰宅後,患者に異常が発生したときの連絡方法の確認ができていること。❹外来再診予約や処方薬の必要性について確認できていること。❺自動車などは運転しないこと。5)帰宅時の介助者への指導(C) ❶帰宅前に必ず,鎮静後に起こりえる事象,その対応方法などを指導する。❷指導のさいは文書を用いて説明し,署名で確認する。6)帰宅の条件を満たさない場合(B) ❶覚醒不良で帰宅の条件を満たさない場合,入院あるいは転院を必ず考慮する。❷入院のために病棟へ移動する,あるいは転院させる場合は,鎮静担当医,あるいは同等 レベル以上の技能を持つ医師が同行する。 10—3) 入院患者に適用される項目(B) 1)一般病室への移動の条件を満たすことが確認されたのち,移動を許可する。2)最終確認は鎮静担当医,あるいは鎮静担当医から依頼された医師によって行う。3)一般病室への移動の条件:以下の条件をすべて満たさなければならない。❶バイタルサインに異常を認めない(鎮静前の値に戻っている)。❷意識状態が鎮静前の状態に近づいている。
10 章 鎮静終了後のケアと覚醒の確認 25 ❸努力呼吸や異常呼吸音を認めず,呼吸状態が安定している。4)上記の条件を満たしたうえで,下記の要件も必ず確認する。❶一般病室でパルスオキシメータによる継続的モニタリングが可能である。❷異常時には早急に対処できる体制である。5)鎮静後の看視記録終了の条件❶一般病室へ帰室したあと,飲水開始時,および歩行開始時には,必ず看護師が介助し安 全を確認する。 ❷安全が確認できた時点で,鎮静後の看視記録を終了とする。 10—4) スコアを用いた患者評価(C) 覚醒の評価は,一連の流れの中で判断する。担当が交替しても的確な判断を行えるように,スコアを用いての経時的な患者評価もひとつの方法である(表)。 表 鎮静後の覚醒評価スコア(Modified Aldrete スコア) 評価カテゴリー評価内容スコア 身体活動性自発的または指示により四肢をすべて動かせる自発的または指示により二肢なら動かせる自発的または指示により手足のいずれも動かせない2 1 0 呼吸深呼吸と十分な咳ができる呼吸困難あるいは不十分な呼吸無呼吸2 1 0 循環血圧が処置前の値より<±20%血圧が処置前の値より±20—49%血圧が処置前の値より≧±50% 2 1 0 意識全覚醒呼名で覚醒無反応2 1 0 SpO2室内気下でSpO2≧92%を維持できるSpO2≧90%を維持するのに酸素が必要酸素投与でもSpO2<90% 2 1 0合計点により以下のように対応する。※合計点≦5:継続的に患者を監視する。※合計点6—8:一般病室に移動可能。バイタルサインが鎮静前の値に戻るまで継続的に看視する。※合計点≧9:帰宅可能。
26 10 章 鎮静終了後のケアと覚醒の確認 参考文献1) American Academy of Pediatrics, American Academy of Pediatric Dentistry, Coté CJ, Wilson S and the Work Group on Sedation. Guidelines for monitoring and management of pediatric patients during and after sedation for diagnostic and therapeutic procedures:An update. American Academy of Pediatrics, American Academy of Pediatric Dentistry. Pediatrics 2006;118: 2587⊖602. 2) Aldrete JA. Te post-anesthesia recovery score revisited. J Clin Anesth 1995;7:89⊖91. 3) White PF, Song D. New criteria for fast-tracking after outpatient anesthesia:A comparison with the modified Aldreteʼs scoring system. Anesth Analg 1999;88:1069⊖72. 4) Stevenson B. Principles and guidelines for pediatric sedation and analgesia. Available at:http:⊘⊘www.rhqn.org⊘ 5) Malviya S, Voepel-Lewis T, Prochaska G, et al. Prolonged recovery and delayed side effects of sedation for diagnostic imaging studies in children. Pediatrics 2000;105;e42. Available at:http:⊘⊘pediatrics.aappublications.org⊘content⊘105⊘3⊘e42.full. html
11 章 鎮静の体制とサーベイランス 27 11—1) 安全な鎮静を実施する管理体制(B) “鎮静は全身麻酔に準ずる”と言われており,麻酔科医が担当することが望ましいが,日本のみならず世界でも全症例には対応できていないのが現実である。いろいろな背景の患者に気道閉塞,呼吸抑制を来す薬剤が使用され,さまざまな検査・処置が行われている。多くは問題なく行われているが,ヒヤリハットを含めると危機的な状況が発生していることは,過去の事例が示している。そのため,すべての鎮静を麻酔科医が実施できなくとも,安全な鎮静管理体制への麻酔科医の関与が希求されている。施設により,麻酔科医の充足状況は異なるため,下記のように各施設の状況に合わせた管理体制の構築が推奨される。 11—2) 麻酔科医のマンパワーに応じた鎮静管理体制の構築(C) (1)麻酔科医のマンパワーが少ないとき,原則として非麻酔科医が部署での鎮静を行うが,麻酔 科医は鎮静の管理体制構築に関わる。1)施設内で行われているすべての鎮静を施設として統括管理する。2)鎮静が行われる場所のモニターや資機材の整備を管理する。3)重症症例は,手術室内で麻酔科医によるMAC(monitoredanesthesiacare:監視下麻酔 管理)を実施する。4)鎮静薬の適用外使用について,薬事委員会や倫理委員会など院内常設委員会での承認を 得る。5)鎮静を施行する医療者に対し,鎮静および蘇生に関する教育を実施し,技術・知識の評 価を定期的に実施する。6)患者急変時の対応体制およびフローチャートを構築する。7)鎮静の実施体制に関するサーベイランスを実施する〔“11—4)サーベイランス”参照〕。(2)麻酔科医のマンパワーの充足に伴い,下記業務の追加を考慮する。 8)急変時対応(麻酔科だけでなく,他科との連携も考慮)に参加する。9)鎮静に関する麻酔科コンサルトの体制を整備する。10)高リスク症例など必要時には,部署での鎮静管理に関与する。 11章鎮静の体制とサーベイランス
28 11 章 鎮静の体制とサーベイランス (3)麻酔科医のマンパワーがさらに充足した場合は,高リスク症例の担当割合を増加させていく。 11—3) 安全な鎮静のための各施設のモニタリングポリシー策定 安全に鎮静を実施するためには,各施設において鎮静の行われる状況に応じたモニタリングポリシーを策定し,順守することが重要である。(B)以下に,日本麻酔科学会の「安全な鎮静のためのモニタリング指針」を示す。 安全な鎮静のためのモニタリング指針(以下,本指針) [前文]鎮静は臨床のあらゆる場面で実施されている。患者に鎮静薬や鎮痛薬が投与され,鎮静(中等度鎮静を越えた)特に深鎮静では,生体防御反射と意識の消失を伴い,呼吸抑制・誤嚥等,生命の危機的状態に達することを理解する。このため鎮静中,特に深鎮静では,患者の安全を維持確保するために,本指針を踏まえ,各施設で現場の状況に合わせてモニタリングのポリシーを策定することを強く推奨する。 [深鎮静中のモニター指針] 1深鎮静中は患者看視者(患者観察を専ら担当する医師または看護師)が現場に付き添 い,絶え間なく患者の状態を看視すること。2酸素化が十分に行われているか,皮膚,粘膜,血液の色などを看視すること。パルス オキシメータを装着し,酸素飽和度を看視および記録すること。3適切に換気が行われているか,胸郭(呼吸)の動き及び呼吸音を看視すること。呼吸 動態を測定するモニター(カプノメータなど)を装着し,換気状態を常時看視および記録すること。4脈波を常時測定すること。必要であれば心電図モニターを用いること。5血圧測定を行うこと。原則として5分間隔で測定し,必要ならば頻回に測定すること。6鎮静が長時間に及ぶ場合は体温測定を行うこと。 ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •
11 章 鎮静の体制とサーベイランス 29 11—4) サーベイランス 施設内の鎮静管理体制やサーベイランスに言及しているガイドラインはない。深鎮静では,生体防御反射と意識の消失を伴い,呼吸抑制・誤嚥など,生命の危機的状態に達することがあるため,院内での実施体制および危機管理の手順などを施設長が把握しておくことは必須である。患者安全のため,鎮静前に患者評価を行い,専門科へのコンサルト基準などが定められていることが推奨される。施設内の麻酔科体制に応じて,非麻酔科医の実施可能な鎮静のレベル,麻酔科医が実施するレベルなどを施設内で定めることが望ましい。これら施設で定めた体制,基準などが遵守されているかサーベイランスを適時実施して確認することが求められる。 サーベイランスにおけるチェック項目の例1安全な鎮静の実施体制を施設として把握および記録する監視および看視体制が確立 されているか。施設長のガバナンスが効いているか? ➲施設内の鎮静を実施する部署の把握。部署ごとの実施体制。実施件数。2患者の全身状態および気道の評価に関する鎮静前評価が行われているか。患者の状態 に応じて安全に鎮静を実施する体制がとられているか? ➲鎮静前評価票。評価者のサインの確認。リスクに応じた鎮静担当医の基準〔例:中等度鎮静レベル以下かつASA‒PSI‒IIの患者は非麻酔科医が実施。重度心血管,腎,肝臓疾患,睡眠時無呼吸症候群(疑い含む),BMI>40,70 歳以上,ASA‒PSIIIまたはIVの患者は麻酔科医が実施〕。3モニターは整備されているか? ➲実施場所に適したモニターか? 4バイタルサインを看視する担当者は決まっているか? ➲薬剤およびモニタリングに関する知識を有しているか? 5鎮静に関する記録が記載されているか? ➲モニタリング記録。鎮静度評価記録。投薬や患者の状態の記録。6緊急時対応体制が確立されているか? ➲鎮静を施行する医療者の資格基準(例:全員がBLS 受講。患者看視者はACLS またはICLS 受講)。緊急時対応フローチャートの存在。7定期的に鎮静に関するトレーニング,技術・知識の評価が行われているか? ➲トレーニングテキスト。トレーニング実施記録。 ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •
30 11 章 鎮静の体制とサーベイランス 参考文献1) Practice guidelines for moderate procedural sedation and analgesia 2018:A report by the American Society of Anesthesiologists Task Force on Moderate Procedural Sedation and Analgesia, the American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons, American College of Radiology, American Dental Association, American Society of Dentist Anesthesiologists, and Society of Interventional Radiology. Anesthesiology 2018;128:437‒79. doi:10.1097⊘ALN.0000000000002043. 2) Hinkelbein J, Lamperti M, Akeson J, et al. European Society of Anaesthesiology and European Board of Anaesthesiology guide- lines for procedural sedation and analgesia in adults. Eur J Anaesthesiol 2018;35:6‒24. doi:10.1097⊘EJA.0000000000000683. PMID:28877145
推奨早見表 31 1.鎮静担当医と患者看視者(医師または看護師)が,鎮静深度の評価方法を知っている。(A) 2.目標とする鎮静深度と起こりえる危険を説明し,理解と同意を得ている。(B) 3.鎮静深度より深くなったときの初期対応が行える能力を持つ。(B) □ 患者看視者はACLS またはICLS プロバイダー(有効期限内) □ 他の鎮静に関わる医療者はBLS プロバイダー4.回復基準が定義されている。(A)例として, □ 生体情報モニタリングはModified Aldrete スコア9 点以上となるまで継続する□ 退院基準はModified Post Anaesthetic Discharge Scoring System(MPADSS)9 点以上と する 5.教育体制がある(A) □ 定期的な講義開催□ 施設内の鎮静資格認定制度(資格はく奪と再取得制度) MPADSS 点数 バイタルサイン術前値の20%以内の変動術前値の20—40%の変動術前値の40%以上の変動2 1 0 移動しっかりした歩行介助があれば歩行可歩行不可2 1 0 悪心・嘔吐ほとんどない軽度強い2 1 0 疼痛ほとんどない軽度強い2 1 0 出血(手術部位)ほとんどない軽度多い2 1 0 推奨早見表
32 推奨早見表 □ 教育内容は鎮静深度と評価,鎮静薬・鎮痛薬・拮抗薬などの薬理学,気道確保方法,緊急 カートを含む準備,患者評価,記録,資格など6.生体情報モニタリングは“11 章 鎮静の体制とサーベイランス 11—3)安全な鎮静のための各施設のモニタリングポリシー策定”の基準に準ずる(A) 7.鎮静前の患者評価の記録がある(A) □ ASA—PS 麻酔前評価に準ずる□ 鎮静担当医による確認□ 評価は看護師でも可8.鎮静や処置中の問題と,その後の管理方法の申し送りが書面でもなされている(B) 9.退院時の医療機関への連絡方法や,退院後の注意(運転の制限や食事など)の書式がある(A)
鎮静WG メンバー WG 長横田 美幸 WG 委員小澤 章子/阪井 裕一/伊藤 健二/原 哲也宮内 靖史(一般社団法人日本不整脈心電学会)渋谷 鉱(一般社団法人日本歯科麻酔学会)辻野佳世子(公益社団法人日本放射線腫瘍学会) オブザーバー安宅 一晃/長坂 安子/寺嶋 克幸/鈴木 尚志/菊地 龍明