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iii 1.ガイドラインの名称 日本語名:肺胞蛋白症診療ガイドライン2022英語名:The JRS Clinical Practice Guideline for Pulmonary Alveolar Proteinosis 2022 2.ガイドライン発行の母体 日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理」班厚生労働省難治性疾患克服研究事業「びまん性肺疾患に関する調査研究」班日本呼吸器学会「びまん性肺疾患学術部会」 3.監修、編集 監修日本呼吸器学会編集日本呼吸器学会肺胞蛋白症診療ガイドライン2022 作成委員会 4.作成委員会 ■委員長井上 義一独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター臨床研究センター ■委員(五十音順)【日本医療研究開発機構研究班】赤坂 圭一日本赤十字社さいたま赤十字病院呼吸器内科審良 正則社会医療法人信愛会交野病院放射線科新井 徹独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター臨床研究センター石井 晴之杏林大学医学部付属病院呼吸器内科一和多俊男浦和医師会メディカルセンター内田 寛治東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター海老名雅仁東北医科薬科大学医学部内科学第一(呼吸器内科)教室大河内眞也東北大学大学院医学系研究科産業医学分野木田 博独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター呼吸器内科北市 正則独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター臨床検査科上甲 剛独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院放射線科杉本 親寿すぎもと内科クリニック鈴木 拓児千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学鈴木 雅北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室澄川 裕充独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター放射線科瀬戸口靖弘東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科統合呼吸器病学分野高田 俊範新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター
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iv武村 民子地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立循環器呼吸器病センター病理診断科 田澤 立之東京医科歯科大学学生支援・保健管理機構保健管理センター田中 崇裕新潟大学医歯学総合病院臨床研究推進センター(SR)長 和俊北海道大学病院周産母子センター富井 啓介神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科中田 光新潟大学医歯学総合病院高度医療開発センター先進医療開拓部門中山 秀章東京医科大学睡眠学講座広瀬 雅樹独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター臨床研究センター(SR)森本浩之輔長崎大学病院感染症内科山口 悦郎社会医療法人厚生会多治見市民病院呼吸器内科 【厚生労働省科学研究費研究班】吾妻安良太日本医科大学大学院科学研究科呼吸器内科学分野稲瀬 直彦国家公務員共済組合連合会平塚共済病院(びまん性肺疾患研究班代表)本間 栄東邦大学医学部びまん性肺疾患研究先端統合講座 【日本呼吸器学会】近藤 康博公立陶生病院呼吸器・アレルギー疾患内科(日本呼吸器学会びまん性肺疾患学術部会長)萩原 弘一自治医科大学附属病院呼吸器センター内科部門 【日本肺胞蛋白症患者会】小林 剛志日本肺胞蛋白症患者会代表 5.外部評価委員(五十音順) 坂東 政司自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門巽 浩一郎千葉大学真菌医学研究センター呼吸器生体制御学研究部門中山 健夫京都大学大学院医学研究科健康情報学 6.協力者(事務局) 初田 和由独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター臨床研究センター
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v 序文 肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP) は肺胞腔内、末梢気腔内にサーファクタント由来物質が異常貯留する疾患の総称である。2010 ~2011 年厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症の難治化要因の解明と診断、治療、管理の標準化と指針の確立」研究班 (H22 -難治-一般-146、研究代表井上義一)にて、診断基準、重症度を策定し、2012 年『肺胞蛋白症の診断、治療、管理の指針』を作成した。その診断基準や重症度、治療アルゴリズムは、その後の国内、国外の臨床研究、疫学調査、難病指定(指定難病229)でも用いられている。近年、サルグラモスチムを用いた吸入療法ランダム化比較医師主導治験(PAGE 試験)、またモルグラモスチムを用いた吸入療法ランダム化比較国際共同企業治験(IMPALA 試験)の成績が相次いで報告され、近々、遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(recombinant human granulocyte macrophage colony stimulating factor;rh GM-CSF)治療が保険診療で利用可能になるものと期待されている。エビデンスが揃ってきたこともあり、『肺胞蛋白症の難治化要因の解明、診断、治療、管理の標準化と指針の確立』を基本にガイドラインを作成すべく、2019 年1 月、日本呼吸器学会(理事長長谷川好規〔当時〕)に、日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業 「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理(研究代表 井上義一)」から、肺胞蛋白症診療ガイドライン作成の提案書を提出しその後承認された。 本ガイドラインは、PAP の標準的かつ適切な診断、治療、管理を行うためのクリニカルクエスチョン(CQ)の推奨、提案、作成に加えて、試験的情報を含めたPAP のレビュー、稀少疾患であるPAP の症例紹介も目的とした。 近年、さまざまな疾患で、診療の標準化が試みられ、次々と診療ガイドラインや診療の手引きが作成されている。しかし、準備を開始した2019 年から現在(2022 年6 月)に至るまで、PAP に関する公式なガイドラインは国際的にも国内でも発表されていない。本ガイドラインの発行は、世界初のガイドラインとして大いに期待されている。また、英語のダイジェスト版の発行も予定している。 2022 年6 月 肺胞蛋白症診療ガイドライン2022 作成委員会委員長 日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理」班 (2017-2019)研究代表 井上 義一
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vi背景、目的と使用上の注意 肺胞蛋白症ガイドライン2022 作成の背景と経緯 肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP) は肺胞腔内、末梢気腔内にサーファクタント由来物質が異常貯留する疾患の総称である。2010 ~2011 年厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症の難治化要因の解明と診断、治療、管理の標準化と指針の確立」研究班 (H22 -難治-一般-146、研究代表井上義一)にて、診断基準、重症度を策定し、2012 年に『肺胞蛋白症の診断、治療、管理の指針』を作成・出版した。診断基準や重症度、治療アルゴリズムは、その後、指定難病承認の資料となり、国内、国外の臨床研究、疫学調査、難病指定(指定難病229)でも利用されてきた。近年、サルグラモスチムを用いた吸入療法ランダム化比較医師主導治験(PAGE試験)、モルグラモスを用いた吸入療法ランダム化比較国際共同企業治験(IMPALA 試験)の成績が相次いで報告された。エビデンスが揃ってきたことから、『肺胞蛋白症の診断、治療、管理の指針』を参考に新たにガイドラインを作成すべく、2019 年1 月に日本呼吸器学会(理事長 長谷川好規〔当時〕)へ、日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業 「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理(研究代表井上義一)」から、肺胞蛋白症診療ガイドライン作成の提案書を提出し、その後承認され、ガイドライン作成を開始した。 ガイドラインの目的 本ガイドラインは、PAP の標準的かつ適切な診断、治療、管理を行うためのクリニカルクエスチョンの推奨、提案作成に加えて、試験的情報を含めたPAP のレビューと、稀少疾患であるPAP の症例紹介を目的に作成した。 ガイドラインの限界と臨床現場で利用する上での注意点 本ガイドラインは、クリニカルクエスチョン(CQ)についてシステマティックレビューを行い、投票を行った上で、MINDS、GRADE システムのガイドライン作成システムに準じて、推奨、提案を作成した。しかし稀少疾患であるため、エビデンスとすべき論文や情報はきわめて限られていた。 本ガイドラインは、診療行為に対する総体として益と不利益のバランスを考慮し、診療ガイドラインで示すエビデンスを認識した上での担当医師の裁量権を阻害するものではないこと、また、医事紛争や医療告訴における判断材料に資するためのものではないことを明記したい。標準的な治療法/処置に沿わない対処を行う場合には、患者への十分な説明とカルテへの記載をすることが望ましい。診療結果に対する責任は直接の診療担当者に帰属するものであり、日本呼吸器学会および本ガイドラインの作成にかかわる各種委員は一切の責任を負わない。 ガイドラインの対象疾患 肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP) (自己免疫性肺胞蛋白症〔autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP〕、続発性肺胞蛋白症〔secondary pulmonary alveolar proteinosis;SPAP〕、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症〔congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar proteinosis;CPAP/ HPAP〕、未分類肺胞蛋白症〔unclassifi ed pulmonary alveolar proteinosis;UPAP〕)とその関連疾患(サーファクタント異常症など)である。 ガイドラインの利用者 本ガイドラインの利用対象者は、上記疾患に関係する、呼吸器科医、内科医、麻酔科医、血液内科医、小児科医、
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vii 看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、臨床工学技士、政策担当者(難病担当者)、保健師、医学部学生。内容は専門的であるが、患者、その家族、介護者も対象である。
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viii ガイドラインの作成方法と読み方 診療ガイドラインとは 診療ガイドライン(clinical practice guidelines)は、「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考慮して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」(Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017)である。さらに最近は「健康に関する課題について、医療利用者と提供者の意志決定を支援するために、システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最適と考えられる推奨を提示する文書」(Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2020)と定義されている。診療ガイドラインは疾患に対する治療行為を扱うものとみなされていたが、今日では治療に限らず、予防、健診、リハビリテーション、看護介入、保険指導、社会的支援など幅広い内容が扱われるようになってきた。本ガイドラインは「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017」を参考に作成を始めたが、患者会代表にも委員として参加していただいた。また、診療ガイドラインは、医療者の経験を否定するものではなく、またガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の患者の状況に当てはまるとは限らない。臨床現場において最終的な判断は、主治医が患者と協議して行うことが最も重要である。 推奨に関する評価 Minds、GRADE システムに準じて、各クリニカルクエスチョン(CQ)について推奨度の決定は、システマティックレビューの結果を踏まえ、1ステートメント(推奨度カテゴリー) (表1)、2推奨の強さ(推奨の強さに影響する要因から、「強い」、「やや強い」、「やや弱い」、「弱い」) (表2)、3エビデンスの質(表3)、4保険適用について、「患者の価値観の多様性」、「経済学的な視点」、「実臨床での実績」なども考慮して評価し、投票を行って決定した。なお、GRADE では推奨の強さは「強い」と「弱い」の2 種が一般的であるが、さまざまな観点から評価し、「強い」、「やや強い」、「やや弱い」、「弱い」に分類した。
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ix 表1ステートメント 推奨度カテゴリー内容 A「実施する」ことを推 奨する高いレベルの根拠があり、その便益は害、負担、費用に勝り、臨床的に有用性が明らかである。 B「実施する」ことを提 案(条件付きで推奨)する1 低いレベル、または中程度レベルの根拠があり、その便益は害、負担、費用に勝り、臨床的 には有用と考えられる。2 高いレベルの根拠があるが、その臨床的な有用性は高くはない(一部の人にはかなり有効か もしれないが、誰にでも効果が期待できるわけではない)。3 低いレベルの根拠のみであるが、臨床現場ではすでに定着し、その有用性が明らかである(生 命に直接関係する介入や、RCT が行われにくい状況などの理由による)。4 便益と害の双方の根拠があるが、その臨床的な有用性は高くはない。5 中程度レベルの根拠があるが、臨床的には有用性は高くはない(一部の人には有効な場合も あるが、その割合は高くない)。 C「実施しない」ことを 提案(条件付きで推奨)する1 低いレベルの根拠のみであり、その便益は害、負担、費用に劣り、臨床的には有用でないと 考えられる。2 便益と害の双方の根拠があるが、臨床的には有用でないと考えられる。 D「実施しない」ことを 推奨する無効性あるいは害を示す根拠がある。 (Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017 より引用改変) 表2推奨の強さに影響する要因:「はい」の回答が多いと、推奨度が「強い」とされる可能性が高くなる 推奨の強さに影響する要因判定 1 アウトカム全般に関する全体的なエビデンスが強い ・全体的なエビデンスが強いほど、推奨度は「強い」とされる可能性が高くなる。・逆に全体的なエビデンスが弱いほど、推奨度は「弱い」とされる可能性が高くなる。□はい□いいえ 2 益と害のバランスが確実(コストは含まず) ・望ましい効果と望ましくない効果の差が大きければ大きいほど、推奨度が強くなる可能性が高い。・正味の益が小さければ小さいほど、有害事象が大きいほど、益の確実性が減じられ、推奨度が「弱い」とされる可能 性が高くなる) □はい□いいえ 3 患者の価値観や好み、負担の確実さ(あるいは相違) ・価値観や好みに確実性(一致性)があるか?・ 逆に、ばらつきがあればあるほど、または価値観や好みにおける不確実性が大きければ大きいほど、推奨度が「弱い」 とされる可能性が高くなる。□はい□いいえ 4 正味の利益がコストや資源に十分見合ったものかどうか ・コストに見合った利益があると判定できるか?(コストに関する報告があれば利用する) □はい□いいえ
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x表3エビデンスの質(エビデンスカテゴリー、エビデンス総体のエビデンスの確実性) エビデンスの質(エビデンスカテゴリー)定義カテゴリー決定の根拠の目安 高[A]効果の推定値に強く確信があるシステマティックレビュー、無作為化コントロール試験のメタ解析中[B]効果の推定値に中程度の確信がある1 つ以上のランダム化比較試験低[C]効果の推定値に対する確信は限定的である非ランダム化比較試験 とても低い[D]効果の推定値がほとんど確信できない分析疫学的研究(コホート研究、症例対照研究、横断研究)、記述研究 (症例報告やケース・シリーズ)、患者データに基づかない専門委員会や専門家個人の意見 (Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017 より引用改変)
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xi 肺胞蛋白症診療ガイドライン出版にあたって ガイドライン作成組織 本ガイドラインは、日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理」班を主体として、2017 年に厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「びまん性肺疾患に関する調査研究」班と日本呼吸器学会「びまん性肺疾患学術部会」を母体として組織された、肺胞蛋白症診療ガイドライン2022 作成委員会によって作成された。委員として、ガイドライン作成チーム、システマティックレビューチームで構成し、ガイドライン作成チームはガイドライン執筆者と査読者(重複あり)により構成した。全委員で重要臨床課題を決定し、それぞれに対するクリニカルクエスチョン(CQ)の設定およびその構成要素であるアウトカムの決定を行った。システマティックレビューチームは、決定されたCQ に関するエビデンスを系統的にレビューした。全員で投票を行い、推奨を作成した。分担して「第I章 クリニカルクエスチョンと推奨」、「第II章 PAP 診療マニュアル総論」、「第III章 PAP 診療マニュアル各論と症例:APAP・SPAP・CPAP/HPAP」などを執筆、あるいは査読を行い原稿を作成した。最終的には全委員が原稿を確認し、外部評価、パブリックコメントを実施し意見をいただいた。 ガイドライン作成の手順 1 ガイドライン作成作業の経過 以下の日程で委員会を開催し、本ガイドラインを作成した。◆ 2019 年4 月12 日(東京国際フォーラム、東京)、第1 回肺胞蛋白症診療ガイドライン作成委員会を開催した。 2012 年に研究班で作成した『肺胞蛋白症の診断、治療、管理の指針』の紹介と、その改訂とガイドライン作成の意義が委員に説明された。この会議の前に9 個のCQ 案も提示され、会議後メールで意見交換を行った。◆ 2019 年9 月16 日10:00 ~16:00(日内会館、東京)、第2 回肺胞蛋白症診療ガイドライン作成委員会を開催し た。委員の追加、概要、定義、診断基準、画像、病理、診断治療のアルゴリズムについて討論した。各CQ について担当者による発表後、全委員で討論を行い、CQ の文言とアウトカムに関する決定を行った。CQ は最終的に12 となり、システマティックレビューを開始した。◆ 2020 年1 月13 日10:00 ~16:00(日内会館、東京)、第3 回肺胞蛋白症診療ガイドライン作成委員会を開催し た。概要、定義、診断基準、画像、病理、診断治療のアルゴリズムについて決定した。各CQ について委員にて投票を行い、推奨文案を決定した。ガイドラインの項目・内容を最終決定した後、ガイドライン作成委員が分担し、MINDS、GRADE システムに基づく推奨文および補足する説明文の執筆作業を開始した。◆ 2021 年2 月7 日15:00 ~18:00(オンライン開催)、第4 回肺胞蛋白症診療ガイドライン作成委員会を開催し た。診療ガイドライン作成について外部評価委員による講演と、ガイドライン作成チームによる各既提出原稿の内容の確認を行った。その後、オンラインで1 次原稿の査読、校正を行い、問題点についての議論を行った。一部の原稿について何度も議論が必要であった。◆ 2022 年3 月に統括委員会による全体の原稿確認および修正を行った。4 月に日本呼吸器学会ホームページを利 用したパブリックコメント募集を実施し、原稿修正(最終原稿)、最終的校閲を行った。同月に日本呼吸器学会の許可のもと、日本呼吸器学会学術講演会で本ガイドラインの骨子を学会員に発表した。6 月にPDF 版を刊行した。 2 クリニカルクエスチョン(CQ) 本ガイドラインでは、PICO 形式(どのようなpatient に、何をしたら〔intervention〕、ほかの何と比べて
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xii 〔comparison〕、どのようなアウトカムがどのようになるか?〔outcome〕)を意識して、CQ を作成した。最終的に12のCQ を作成し、それぞれについてシステマティックレビューを実施した。 3 システマティックレビューでの論文採用基準、Evidence to Decision(EtD)Table 作成までの経緯などについて CQ のシステマティックレビューで検索に利用したデータベースは、PubMed、Cochrane Library、Medical Online である。文献検索の対象期間は1958 年(最初の報告)から2020 年12 月までであった。各CQ の文献検索・選択の作業は、担当者2 名で行ったが、その過程はほかの委員が確認してプロセスの透明性、客観性の担保に努めた。 ただし、稀少疾患であり出版されている論文が少ないことから、一部に日本語論文も含んでいる。エビデンスレベルの高いランダム化比較試験(RCT)の報告は2 件のみであった。 各CQ の推奨決定において重要と考えられる文献については、個別の文献の概要表を作成し、事前に委員に配布した。パネル会議における推奨の決定に際しては、上記の作業の結果を踏まえ、各CQ について重要なアウトカムに関するエビデンス総体の質(強さ)、益と害のバランス、患者の価値観や意向・希望、コストや利用可能な資源の視点などから投票を行い、決定した。 4 外部評価 本ガイドラインは、外部評価委員、日本呼吸器学会、日本肺胞蛋白症患者会から外部評価を受けた。その後、日本呼吸器学会ホームページでパブリックコメントを収集した。最終的に日本呼吸器学会理事会が承認を行った。評価者からのコメントについては、可能な限り本ガイドラインに反映させた。 5 パブリックコメント 2022 年4 月20 日から同年5 月5 日まで日本呼吸器学会のホームページに本ガイドラインを掲載し、パブリックコメントを募集したが、コメントはなかった。 ガイドライン作成資金 本ガイドライン作成に関する費用は、日本呼吸器学会から提供された。 改訂予定 本ガイドラインは、新しい臨床試験などの結果を受けて、3 ~5 年ごとに改訂する予定である。ただし、重要な知見が得られた場合には、必要に応じて改訂時期の前倒しや部分改訂を検討する。
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xiii ●利益相反(COI)について一般社団法人日本呼吸器学会は、COI 委員会を設置し、内科系学会とともに策定したCOI に関する当学会の指針ならびに細則に基づき、COI 状態を適正に管理している(COI については、学会ホームページに指針・書式等を掲載している)。 〈利益相反開示項目〉該当する場合は具体的な企業名(団体名)を記載する。 1 企業や営利を目的とした団体の役員、顧問職の有無と報酬額(1 つの企業・団体からの報酬額が年間100 万円以上) 2 株の保有と、その株式から得られる利益(1 つの企業の年間の利益が100 万円以上、あるいは当該株式の5% 以上を 有する場合) 3 企業や営利を目的とした団体から支払われた特許権使用料(1 つの特許権使用料が年間100 万円以上) 4 企業や営利を目的とした団体から会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当 (講演料など)(1 つの企業・団体からの年間の講演料が合計50 万円以上) 5 企業や営利を目的とした団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料(1 つの企業・団体からの年間の原 稿料が合計50 万円以上) 6 企業や営利を目的とした団体が提供する研究費(1 つの医学系研究〔治験、共同研究、受託研究など〕に対して、支 払われた総額が年間100 万円以上) 7 企業や営利を目的とした団体が提供する奨学(奨励)寄付金(1 つの企業・団体から、申告者個人または申告者が所 属する講座・分野または研究室に支払われた総額が年間100 万円以上) 8 企業などが提供する寄付講座に申告者が所属している場合 9 研究とは直接無関係な旅行、贈答品などの提供(1 つの企業・団体から受けた総額が年間5 万円以上) 〈利益相反事項の開示〉 氏名利益相反事項 開示項目企業名 委員長井上 義一4日本ベーリンガーインゲルハイム(株),ベーリンガーインゲルハイム 委員吾妻 安良太4ベーリンガーインゲルハイム 石井 晴之4日本ベーリンガーインゲルハイム(株)内田 寛治6日本光電工業(株) 海老名 雅仁4 日本ベーリンガーインゲルハイム(株) 5 日本ベーリンガーインゲルハイム(株) 近藤 康博4日本ベーリンガーインゲルハイム(株),塩野義製薬(株)上甲 剛4アストラゼネカ(株),日本ベーリンガーインゲルハイム(株) 富井 啓介4 日本ベーリンガーインゲルハイム(株),アストラゼネ カ(株),帝人ファーマ(株) 6 帝人ファーマ(株),(株)フィリップス・ジャパン氏名利益相反事項 開示項目企業名 委員中田 光1 デンカ(株),ノーベルファーマ(株) 2 イーベック(株) 3 (株)医学生物学研究所 4 ノーベルファーマ(株) 6 コージンバイオ(株) 萩原 弘一3 (株)LSI メディエンス 4 アストラゼネカ(株),ベーリンガーインゲルハイム, 中外製薬(株) 7 小野薬品工業(株),大鵬薬品工業(株) 森本 浩之輔6ファイザー(株) 外部評価委員中山 健夫4 大塚製薬(株),(株)電通 6 (特非)エビデンスベーストヘルスケア協議会 7 (株)JMDC,(医)長安会中村病院 坂東 政司4日本ベーリンガーインゲルハイム(株) 〈開示すべきCOI がない委員〉(委員)赤坂 圭一,審良 正則,新井 徹,一和多 俊男,稲瀬 直彦,大河内 眞也,木田 博,北市 正則,杉本 親寿,鈴木 拓児,鈴木 雅,澄川 裕充,瀬戸口 靖弘,高田 俊範,武村 民子,田澤 立之,長 和俊,中山 秀章,本間 栄,山口 悦郎,(SR 委員)田中 崇裕,広瀬雅樹, (事務局)初田 和由,(日本肺胞蛋白症患者会代表)小林 剛志,(外部評価委員)巽 浩一郎
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xiv 序文v背景、目的と使用上の注意viガイドラインの作成方法と読み方viii肺胞蛋白症診療ガイドライン出版にあたってxi利益相反(COI)について主な略語一覧 第I章第I章クリニカルクエスチョンと推奨1 クリニカルクエスチョン(CQ)とステートメントの一覧2 CQ1 肺胞蛋白症(PAP)の鑑別診断と病状評価のために血清マーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、 CYFRA のいずれか)を測定すべきですか? 4 CQ2 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の診断のために抗GM-CSF 抗体を測定すべきですか? 7 CQ3 肺胞蛋白症(PAP)の診断に高分解能CT(HRCT)検査を行うべきですか? 9 CQ4 肺胞蛋白症(PAP)の診断に気管支肺胞洗浄(BAL)を行うべきですか? 11 CQ5 肺胞蛋白症(PAP)の診断に生検鉗子による経気管支肺生検(TBLB)を行うべきですか? 13 CQ6 肺胞蛋白症(PAP)の診断に経気管支クライオ肺生検(TBLC)を行うべきですか? 15 CQ7 肺胞蛋白症(PAP)をほかの方法で診断できない場合に外科的肺生検(SLB)を行うべきですか? 18 CQ8 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)でもない肺胞蛋白症(PAP)に対して遺 伝子解析を行うべきですか? 20 CQ9 肺胞蛋白症(PAP)の治療のために全肺洗浄(法) (WLL)を行うべきですか? 24 CQ10 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の治療として遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激 因子(rh GM-CSF)治療は選択肢となりますか? 26 CQ11 骨髄異形成症候群(MDS)に合併する肺胞蛋白症(PAP)治療のため同種造血幹細胞移植を行うべき ですか? 28 CQ12 肺胞蛋白症(PAP)にステロイドを使用すべきですか? 30 第II章第II章PAP 診療マニュアル 総論33 肺胞蛋白症(PAP)病態カラーイラスト34疾患概要、肺胞蛋白症(PAP)の定義、分類37肺胞蛋白症(PAP)の疫学39肺胞蛋白症(PAP)の診断基準と診断アルゴリズム41肺胞蛋白症(PAP)の重症度分類、管理重症度分類と悪化、軽快、自然軽快の定義44肺胞蛋白症(PAP)の治療アルゴリズム46症状、理学所見:自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 47血液検査1(LDH、KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA):自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋 目 次
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xv 白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 48血液検査2(抗GM-CSF 抗体、特異性と基準値およびカットオフ):自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 51生理機能検査:自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 54肺胞蛋白症(PAP)画像所見56気管支肺胞洗浄液(BALF)検査所見64肺胞蛋白症(PAP)の病理組織検査71洗浄療法(区域洗浄、全肺洗浄〔法〕〔WLL〕) 77遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rh GM-CSF)吸入治療:自己免疫性肺胞蛋白症(APAP) 82その他の治療(去痰剤、日常管理、ワクチン):自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 85呼吸管理、呼吸リハビリテーション87肺移植:自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 89 第III章第III章PAP 診療マニュアル 各論と症例:APAP・SPAP・CPAP/HPAP 93 各論自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の病態、疫学、合併症、診断94自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の治療と治療に伴う合併症、予後96症例:APAP自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の自然軽快の一例98全肺洗浄(法) (WLL)により改善した自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例100顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)吸入療法が無効であったが、吸入剤型の変更にて軽快した重症自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例102肺線維症合併自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例(顕微鏡的多発血管炎〔MPA〕合併APAP) 105左肺と脳のノカルジア症の治療後に右肺に顕在化した自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例108肺アスペルギルス症に続発した自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例111妊婦例113各論続発性肺胞蛋白症(SPAP)の病態、診断、治療、合併症、予後115症例:SPAP骨髄異形成症候群(MDS)例、全肺洗浄(法) (WLL)後同種骨髄移植、さらにWLL で寛解に至った一例 123 ベーチェット病(BD)に合併した続発性肺胞蛋白症(SPAP)で全肺洗浄(法) (WLL)に反応せず呼吸不全で死 亡した一例127
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xvi白血病(急性骨髄性白血病〔AML〕/慢性骨髄性白血病〔CML〕)に合併した続発性肺胞蛋白症(SPAP) 129 各論 先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP)および肺サーファクタント関連遺伝子変異由来での病態、診断、治療、合併症、予後133症例:CPAP/HPAP成人発症例:CSF2RB 遺伝子変異137成人発症例:CSF2RA 遺伝子変異140小児発症例:OAS1 遺伝子変異142 厚生労働省指定難病、小児慢性特定疾患、呼吸機能障害、高額医療、研究班、患者会、個人調査票など145 PAP に関する難病対策事業と患者支援149患者、家族用説明文書151今後の課題154付録 システマティックレビューのまとめ155索引161
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xvii 略 語フルスペル日本語%DLCO diffusing capacity of the lung for carbon monoxide %predicted %肺拡散能%FEV1 forced expiratory volume in one second % predicted対標準1 秒量%FVC forced vital capacity %predicted %努力肺活量%VC vital capacity % predicted対標準肺活量AaDO2 alveolar-arterial oxygen pressure diff erence肺胞気動脈血酸素分圧較差aCGH array comparative genomic hybridizationアレイCGH AIHA autoimmune hemolytic anemia自己免疫性溶血性貧血ALL acute lymphocytic leukemia急性リンパ球性白血病AMED Japan Agency for Medical Research and Development国立研究開発法人日本医療研究開発機構AML acute myeloid leukemia急性骨髄性白血病APAP autoimmune pulmonary alveolar proteinosis自己免疫性肺胞蛋白症ARDS acute respiratory distress syndrome急性呼吸窮(促)迫症候群ATA absolute technical atmosphere絶対工学気圧ATL adult T-cell leukemia-lymphoma成人T 細胞白血病リンパ腫BAL bronchoalveolar lavage気管支肺胞洗浄BALF bronchoalveolar lavage fl uid気管支肺胞洗浄液BCV biphasic cuirass ventilation英国メディベント社製RTZ レスピレーター® BD Behçet's diseaseベーチェット病BMT bone marrow transplantplantation骨髄移植CAT COPD assessment fest COPD アセスメントテストCBT cord blood transplantation臍帯血移植cGVHD chronic graftversus-host disease慢性移植片対宿主病ChILD childhood interstitial lung disease小児間質性肺疾患CLL chronic lymphocytic lymphoma慢性リンパ性白血病CML chronic myelogenous leukemia慢性骨髄性白血病CMV-pneumonia cytomegalovirus pneumoniaサイトメガロウイルス肺炎COP cryptogenic organizing pneumonia特発性器質化肺炎COPD chronic obstructive pulmonary disease慢性閉塞性肺疾患CPAP/HPAP congenital pulmonary alveolar proteinosis/ hereditary pulmonary alveolar proteinosis先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症* DIP desquamative interstitial pneumonia剥離性間質性肺炎DLCO diffusing capacity of the lung for carbon monoxide肺拡散能DLT carlens double lumen tubeカーレンスダブルルーメンチューブDSS disease severity score疾患重症度スコアECMO extracorporeal membrane oxygenation体外式膜型人工肺ELISA enzyme-linked immuno-sorbent assay酵素結合免疫吸着測定法FEV1 forced expiratory volume in one second 1 秒量 ■主な略語一覧 【アルファベット順】 *CPAP、HPAP、CPAP(HPAP を含む)の呼称が一般的に同義的に用いられているが、本ガイドライン作成委員会ではCPAP あるいは HPAP を総称してCPAP/HPAP と記載する。
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xviii略 語フルスペル日本語 FEV1/FVC forced expiratory volume in one second/ forced vital capacity 1 秒率f-NSIP fi brotic nonspecifi c interstitial pneumonia線維性非特異性間質性肺炎FVC forced vital capacity努力肺活量GGO ground-glass opacityすりガラス様陰影GMAb granulocyte-macrophage colony-stimulating factor antibody抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子自己抗体GM-CSF granulocyte macrophage colony stimulating factor顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GPA granulomatosis with polyangiitis多発血管炎性肉芽腫症GVHD graft-versus-host disease移植片対宿主病HILD hereditary interstitial lung disease遺伝性間質性肺疾患HOT home oxygen therapy在宅酸素療法HP hypersensitivity pneumonitis過敏性肺(臓)炎HRCT high-resolution computed tomography高分解能CT IIPs idiopathic interstitial pneumonias特発性間質性肺炎ILD interstitial lung disease間質性肺疾患IP interstitial pneumonia間質性肺炎IPF idiopathic pulmonary fi brosis特発性肺線維症IPS idiopathic pneumonia syndrome特発性肺炎症候群ITP idiopathic thrombocytopenic purpura特発性血小板減少性紫斑病IVIG intravenous immunoglobulinガンマグロブリン静脈内注射LBC liquid-based cytology液状化検体細胞診LOH loss of heterozygosityヘテロ接合性消失MDS myelodysplastic syndromes骨髄異形成症候群MDS-SPAP -骨髄異形成症候群に合併する続発性肺胞蛋白症mMRC modified medical research council dyspnea scale修正MRC 息切れスケールMPA microscopic polyangiitis顕微鏡的多発血管炎MPL massive pulmonary lavage - MPO-ANCA myeloperoxidase-anti-neutrophil cytoplasmic antibody抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体MST median survival time生存期間中央値MUC mucinムチンNPPV noninvasive positive pressure ventilation非侵襲的陽圧換気療法NSIP nonspecifi c interstitial pneumonia非特異性間質性肺炎OLB open lung biopsy開胸肺生検OMIM online mendelian inheritance in man - PaCO2 partial pressure of arterial carbon dioxide動脈血二酸化炭素分圧PaO2 partial pressure of arterial oxygen動脈血酸素分圧PAP pulmonary alveolar proteinosis肺胞蛋白症PBMC peripheral blood mononuclear cells末梢血単核球PBSCT peripheral blood stem cell transplantation末梢血幹細胞移植PEEP positive end-expiratory pressure呼気終末陽圧PSL prednisoloneプレドニゾロンRA refractory anemia不応性貧血
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xix 略 語フルスペル日本語RCT randomized controlled trialランダム化比較試験rh GM-CSF recombinant human GM-CSF遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子ROC receiver oparating characteristic受信者動作特性SGRQ St. George’s respiratory questionnaire - SLB surgical lung biopsy外科的肺生検SLBL segmental or lobar bronchoscopic lavage気管支鏡下区域洗浄SLE systemic lupus erythematosus全身性エリテマトーデスSPAP secondary pulmonary alveolar proteinosis続発性肺胞蛋白症SpO2 saturation of percutaneous oxygen経皮的酸素飽和度TBLB transbronchial lung biopsy経気管支肺生検TBLC transbronchial lung cryobiopsy経気管支クライオ肺生検TLC total lung capacity全肺気量TV tidal volume 1 回換気量UCTD undiff erentiated connective tissue disease未分類結合組織病UIP usual interstitial pneumonia通常型間質性肺炎UPAP unclassifi ed pulmonary alveolar proteinosis未分類肺胞蛋白症VATS video-assisted thoracic surgery胸腔鏡下肺生検VCL volume controlled lavage - WLL whole lung lavage全肺洗浄(法)
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肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)の診断、治療におけるCQ の位置づけを図に示し、表にステートメントの一覧を示す。 クリニカルクエスチョン(CQ)とステートメントの一覧 図PAP の診断、治療血清バイオマーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA)測定[ CQ1] 抗GM-CSF 抗体測定[ CQ2]高分解能CT(HRCT)[ CQ3]気管支肺胞洗浄(BAL)[ CQ4]経気管支肺生検(TBLB)[ CQ5]経気管支クライオ肺生検(TBLC)[ CQ6]外科的肺生検(SLB)[ CQ7]遺伝子検査: 成人患者、小児患者[ CQ8] 全肺洗浄(法)(WLL)[ CQ9] rh GM-CSF 治療(APAP)[ CQ10]同種造血幹細胞移植(MDS-SPAP)[ CQ11]ステロイド治療[ CQ12] PAP 疑い PAP の診断と分類 PAP の治療 自己免疫性PAP (APAP)先天性/遺伝性PAP (CPAP/HPAP)続発性PAP (SPAP)未分類PAP (UPAP) 表CQ の一覧 CQステートメント推奨の強さエビデンスの質 CQ1 肺胞蛋白症(PAP)の鑑別診断と病状評価 のために血清マーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA のいずれか)を測定すべきですか? PAP の鑑別診断と病状評価のために血清マーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA のいずれか)を測定することを提案するやや弱いとても低い CQ2 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の診断の ために抗GM-CSF 抗体を測定すべきですか? APAP の診断のために抗GM-CSF 抗体を測定することを推奨する強い中 CQ3 肺胞蛋白症(PAP)の診断に高分解能CT (HRCT)検査を行うべきですか? PAP の診断にHRCT 検査を行うことを推奨する強い低
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CQステートメント推奨の強さエビデンスの質 CQ4 肺胞蛋白症(PAP)の診断に気管支肺胞洗 浄(BAL)を行うべきですか? PAP の診断に対してBAL を行うことを推奨する強い低 CQ5 肺胞蛋白症(PAP)の診断に生検鉗子によ る経気管支肺生検(TBLB)を行うべきですか? PAP の診断にTBLB を行うことを提案するやや強い低 CQ6 肺胞蛋白症(PAP)の診断に経気管支クラ イオ肺生検(TBLC)を行うべきですか? PAP の診断にTBLC を行わないことを提案するやや弱いとても低い CQ7 肺胞蛋白症(PAP)をほかの方法で診断で きない場合に外科的肺生検(SLB)を行うべきですか? PAP をほかの方法で診断できない場合にSLB を行うことを提案するやや強いとても低い CQ8 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性 肺胞蛋白症(SPAP)でもない肺胞蛋白症(PAP)に対して遺伝子解析を行うべきですか? [成人患者] APAP、SPAP でもない成人PAP に対して遺伝子解析を行うことを提案するやや強い低[小児患者] APAP、SPAP でもない小児PAP に対して遺伝子解析を行うことを提案するやや強い低 CQ9 肺胞蛋白症(PAP)の治療のために全肺洗 浄(法) (WLL)を行うべきですか? PAP の治療においてWLL は有効であり、行うことを提案する強い低 CQ10 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の治療と して遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rh GM- CSF)治療は選択肢となりますか? APAP の治療としてrh GM-CSF の吸入治療を選択肢として提案するやや強い中 CQ11 骨髄異形成症候群(MDS)に合併する肺 胞蛋白症(PAP)治療のため同種造血幹細胞移植を行うべきですか? MDS に合併するPAP 治療のため同種造血幹細胞移植を行うことを提案するやや強いとても低い CQ12 肺胞蛋白症(PAP)にステロイドを使用 すべきですか? PAP の治療にステロイドを使用しないことを提案する弱いとても低い
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肺胞蛋白症(PAP)の鑑別診断と病状評価のために血清マーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA のいずれか)を測定すべきですか? CQ1 ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 PAP の鑑別診断と病状評価のために血清マーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA のいずれか) を測定することを提案するやや弱いとても低いなし 1)PAP の鑑別診断について APAP 患者では健常者と比較して、ILD マーカーとして知られる血清KL-6 9, 12)、SP-D 8, 12)、SP-A 4, 6)は高値を示し、肺がんの腫瘍マーカーとして知られるCEA 5, 7)、CYFRA 5)も高値を示した。また、血清KL-6 9, 12, 23)、CEA 23)、CYFRA 23)はほかのILD(特発性間質性肺炎〔idiopathic interstitial pneumonias;IIPs〕、膠原病関連間質性肺炎、過敏性肺〔臓〕炎〔hypersensitivity pneumonitis;HP〕)よりも高値を示し、受信者動作特性(receiver operating characteristic;ROC)曲線による解析では、ほかのILD との鑑別能はKL-6、CYFRA、CEA の順で高かった23)。 続発性肺胞蛋白症(secondary pulmonary alveolar proteinosis;SPAP)においても血清KL-6、SP-D、SP-A、CEA は上昇し、APAP との間に有意差は認められなかった14)。先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar proteinosis;CPAP/HPAP)では血清SP-D が上昇している症例が報告されている15)。 2)PAP の病状評価について APAPにおいて、血清KL-6 11-13, 16, 20, 22, 27)、 背景肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)の患者の血清中では、さまざまな物質が病状の推移とともに変動することが報告されている。なかでも、KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA については日常臨床で測定可能な血液検査項目であり、PAP の鑑別診断と病状評価のマーカーとして使用されうる。一方で、いずれもPAP に特異的な血清マーカーではなく、画像的にも鑑別を要する間質性肺疾患(interstitial lung disease; ILD)や肺がんでも上昇を示す。 エビデンスのまとめ 文献検索の結果、PAP 患者の血清マーカーのデータを有した論文29 編(ランダム化比較試験〔randomized controlled trial;RCT〕2 編1, 2)、非盲検薬剤介入試験 1編3)、観察研究24 編4-29)、症例報告は除く)が検出された。抗GM-CSF 抗体の意義が明らかになる以前の特発性PAP のデータは大部分が自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP)であると考えて検討に加えた。 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 いいえはい△いいえ7 23 0 0 1 0 0 6 24 1
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 S P - D 1 1 , 1 3 , 2 0 , 2 7 )、S P - A 1 0 , 1 1 , 1 3 )、C E A 7 , 1 1 , 1 3 , 1 6 , 2 8 )、CYFRA 23, 28)は疾患重症度の指標(経皮的酸素飽和度〔saturation of percutaneous oxygen;SpO2〕、肺胞気動脈血酸素分圧較差〔alveolar-arterial oxygen pressure diff erence;AaDO2〕、肺拡散能〔diff using capacity of the lung for carbon monoxide;DLCO〕、疾患重症度スコア〔disease severity score;DSS〕 13)、CT スコアな ど)と有意な相関を示した。MUC1 遺伝子多型は血清KL-6 およびAPAP の疾患進行と関連していた29)。現喫煙者は血清CEA がより高値であり26)、全肺洗浄(法) (whole lung lavage;WLL)施行例では血清KL-6 12)、CEA 21, 25)、CYFRA 21)がより高値であった。部分肺洗浄あるいはWLL の施行により血清KL-6 9, 17)、SP-D 17)、SP-A 17)、CEA 17, 19)、CYFRA 23)が、また、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor;GM-CSF)吸入治療により血清KL-6 1-3, 18)、SP-A 3, 18)、CEA 2, 3, 18)、CYFRA 23)が減少を示した。したがって、APAP において血清マーカーは病状を反映し、治療によって低下する。 SPAP においては、胸部CT のすりガラス様陰影(ground-glass opacity;GGO)の程度と血清KL-6、CEA の間に相関を認めなかった14)。また、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)を基礎疾患とするSPAP において、血清KL-6 とSP-D はMDS の重症度とは関連していなかった24)。 結論以上のようなエビデンスに基づき、ガイドライン作成委員会は、PAP の鑑別診断と病状評価のために血清マーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA のいずれか)を測定することを提案する(推奨の強さ:やや弱い、エビデンスの質:とても低い)と判断した。 注釈APAP の鑑別診断および病状評価のために血清マーカー測定は有用と考えられるが、他疾患でも高値を示しうるため、複数の血清マーカーによる評価が望ましい。血清マーカーのなかでも、特にKL-6 はほかのILD と比較しても高値を示し、病状や治療効果をよく反映する点で有用と考えられる。APAP の鑑別診断ならびに病 状評価は、血清マーカーの結果のみならず、ほかの臨床所見や検査所見とあわせて総合的に検討することが重要である。特に、血清中の腫瘍マーカー(CEA、CYFRA)はAPAP で上昇しうるが、悪性腫瘍の合併の可能性もあり、画像所見などその他の所見もあわせて、慎重に悪性疾患の除外を検討する必要がある。APAP 以外のPAP における血清マーカーの意義については、エビデンスが乏しいが、現時点ではAPAP に準じて測定することを提案する。 なお、ガイドライン作成委員会で、PAP の診療を専門分野とする医師として、現時点では複数の血清マーカーを測定することは益が不利益を上回ると判断されると解釈されるとの意見があった。 References 1) Tazawa R, Ueda T, Abe M, et al. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2019;381: 923-32. 2) Trapnell BC, Inoue Y, Bonella F, et al. Inhaled Molgramostim Therapy in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;383:1635-44. 3) Tazawa R, Trapnell BC, Inoue Y, et al. Inhaled granulocyte/ macrophage-colony stimulating factor as therapy for pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181:345-54. 4) Kuroki Y, Tsutahara S, Shijubo N, et al. Elevated levels of lung surfactant protein A in sera from patients with idiopathic pulmonary fibrosis and pulmonary alveolar proteinosis. Am Rev Respir Dis. 1993;147:723-9. 5) Hirakata Y, Kobayashi J, Sugama Y, et al. Elevation of tumour markers in serum and bronchoalveolar lavage fl uid in pulmonary alveolar proteinosis. Eur Respir J. 1995;8: 689-96. 6) Honda Y, Kuroki Y, Shijubo N, et al. Aberrant appearance of lung surfactant protein A in sera of patients with idiopathic pulmonary fibrosis and its clinical significance. Respiration. 1995;62:64-9. 7) Fujishima T, Honda Y, Shijubo N, et al. Increased carcinoembryonic antigen concentrations in sera and bronchoalveolar lavage fluids of patients with pulmonary alveolar proteinosis. Respiration. 1995;62:317-21. 8) Honda Y, Kuroki Y, Matsuura E, et al. Pulmonary surfactant protein D in sera and bronchoalveolar lavage fluids. Am J Respir Crit Care Med. 1995;152(6 Pt 1):1860-6. 9) Takahashi T, Munakata M, Suzuki I, et al. Serum and bronchoalveolar fl uid KL-6 levels in patients with pulmonary
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の診断のために抗GM-CSF 抗体を測定すべきですか? CQ2 背景PAP はCT 所見と病理および/あるいは気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage;BAL)所見で診断される1, 2)。次に自己免疫性かそれ以外であるかは、血清中抗GM-CSF 抗体濃度が上昇しているか否かで決定される1, 2)。すなわち抗GM-CSF 抗体濃度の上昇は、APAPの定義および診断基準に含まれ、その測定が前提となる。 エビデンスのまとめ 1)感度 健常者血清中にもごく低濃度の自己抗体が検出されるので、抗体濃度の上昇を規定し、感度を算出するための適切なカットオフ値が必要である。これまでAPAP 患者と並行して健常者の自己抗体濃度を定量測定した報告は6 編ある3-8)。そのなかで健常者とのカットオフ値の記載があるのは4 編あり5-8)、1.65μg/mL から5.0μg/mLとやや幅があるが5-8)、いずれの報告でも感度は100%である。カットオフ値の相違は、測定対象者や測定系とカットオフ値算出法の違い以外に、標準品が異なってい ることに由来する。元来、患者血清中の抗GM-CSF 抗体は、個々人で異なった免疫グロブリンで構成されるIgG 主体のポリクローナル抗体であり、真の標準品は存在しない。一般的にこれまで自己免疫疾患領域では複数の患者由来の血清あるいはそれから抽出した自己抗体が、他患者の平均的な自己抗体の実態に近いであろうとの想定で標準品として広く用いられている9)。抗GM- CSF 抗体についても、初期の研究では患者血清由来のポリクローナル抗体を標準品とした4, 6, 10)。ポリクローナル抗体の標準品は長期安定的確保の点で難があり、人工的に作成したヒト化モノクローナル抗体を標準品とした試みがある5, 7)。ヒト化モノクローナル抗体は患者由来の血清中ポリクローナル抗体とは異なるものであるが、特定の測定系において同一の反応(多くは吸光度)を示す場合、血清中の抗体濃度を標準品の濃度に置き換えて定量化することは問題にならない。 2)特異度 抗GM-CSF 抗体はまれに重症筋無力症や塵肺、サルコイドーシス、膠原病、HP などAPAP 以外の疾患で ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 APAP の診断のために抗GM-CSF 抗体を 測定することを推奨する強い中なし 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 はいはいはいはい28 1 0 0 2 6 23 0 0 2
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2) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary Alveolar Proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16. 3) Kitamura T, Uchida K, Tanaka N, et al. Serological diagnosis of idiopathic pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2000;162(2 Pt 1):658-62. 4) Uchida K, Nakata K, Suzuki T, et al. Granulocyte/ macrophage-colony-stimulating factor autoantibodies and myeloid cell immune functions in healthy subjects. Blood. 2009;113:2547-56. 5) Uchida K, Nakata K, Carey B, et al. Standardized serum GM- CSF autoantibody testing for the routine clinical diagnosis of autoimmune pulmonary alveolar proteinosis. J Immunol Methods. 2014;402:57-70. 6) Nishimura M, Yamaguchi E, Takahashi A, et al. Clinical significance of serum anti-GM-CSF autoantibody levels in autoimmune pulmonary alveolar proteinosis. Biomark Med. 2018;12:151-9. 7) Nakata K, Sugi T, Kuroda K, et al. Validation of a new serum granulocyte‒macrophage colony-stimulating factor autoantibody testing kit. ERJ Open Res. 2020;6:00259- 2019 8) Katayama K, Hirose M, Arai T, et al. Clinical signifi cance of serum anti-granulocyte-macrophage colony-stimulating factor autoantibodies in patients with sarcoidosis and hypersensitivity pneumonitis. Orphanet J Rare Dis. 2020; 15:272. 9) Meroni PL, Biggioggero M, Pierangeli SS, et al. Standardization of autoantibody testing:A paradigm for serology in rheumatic diseases. Nat Rev Rheumatol. 2014; 10:35-43. 10) Uchida K, Beck DC, Yamamoto T, et al. GM-CSF autoantibodies and neutrophil dysfunction in pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 2007;356:567-79. 11) Meager A, Wadhwa M, Bird C, et al. Spontaneously occurring neutralizing antibodies against granulocyte‒ macrophage colony-stimulating factor in patients with autoimmune disease. Immunology. 1999;97:526-32. 12) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. も軽度上昇する3, 6-8, 11)。その意味では自己抗体が上昇することの特異性は100%ではない。十分な例数の非APAP 疾患について自己抗体濃度を測定した報告は3編ある6-8)。各種間質性肺炎(interstitial pneumonia; IP)、サルコイドーシス、塵肺をまとめて対象とし、ポリクローナル抗体標準品で2.8μg/mL をカットオフ値とした場合の特異度は98% 6)、サルコイドーシスを対象にモノクローナル抗体標準品で3.33μg/mL をカットオフ値とした場合は94.8% との観察がある8)。一方、APAPとそれらの疾患が合併することもあり8, 12)、抗GM-CSF抗体の上昇が単なる非特異的抗体産生の亢進によるのか、2 疾患の合併なのかは個別に検討しなければならない。 結論以上のようなエビデンスに基づき、ガイドライン作成委員会は、APAP の診断のために抗GM-CSF 抗体を測定することを推奨する(推奨の強さ:強い、エビデンスの質:中)と判断した。 注釈2020 年5 月から、抗GM-CSF 抗体の測定はモノクローナル抗体を標準品とした測定キットを用いて、大手臨床検査会社で可能となっているが7)、保険適用とはなっていない。早急な保険収載に向けて学会などにより働きかけを強めている。 References 1) Kumar A, Abdelmalak B, Inoue Y, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in adults:pathophysiology and clinical approach. Lancet Respir Med. 2018;6:554-65.
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 PAP の診断にHRCT 検査を行うことを推奨する強い低あり 肺胞蛋白症(PAP)の診断に高分解能CT(HRCT)検査を行うべきですか? CQ3 背景呼吸器臨床において高分解能CT(high-resolution computed tomography;HRCT)を含むCT 検査は胸部X 線とともに重要な役割を果たす画像検査であり、PAP 症例においてもCT 検査がほぼ全例で行われている。胸部X 線検査はPAP 病変の検出に優れるが、HRCT は胸部X 線より詳細な情報を得ることができる。 エビデンスのまとめ 胸部X 線検査はPAP 病変の検出には優れており、浅本らでの報告では初診時にPAP が疑われた66 症例のうち、胸部X 線写真が発見動機となった症例が35 症例(53%)であった1)。しかしながら胸部X 線とCT では画像上の陰影の広がりや性状と臨床・検査所見との間に明らかな相関は認められなかった。胸部X 線では、CT でみられるPAP に特徴的な所見が表れにくい。PAP 症例でCT と胸部X 線の診断能を直接比較検討した研究は少ないが、PAP を含むびまん性肺胞疾患で比較した論文が検索し得た範囲で3 編ある。そのうちPAP 症例が最も多いNishimura らの論文では、134 例のびまん性肺疾患にPAP が11 例含まれた症例群で検討している。 この研究においてPAP 症例で第一診断にあげられた割合はCT で41%、胸部X 線で24%、上位3 番目までの診断に入った割合はCT で50%、胸部X 線で33% であり、いずれもCT が優位に高かった(p <0.001、p < 0.001) 2)。ほかの2 編の論文はいずれもPAP は2 例のみで、第一診断にあげる率はCT のほうが高いが、上位3番目までの診断に関しては胸部X 線とCT は同等か胸部X 線のほうがよかった3, 4)。このようにCT は胸部X線写真よりも一般に診断能に優れているが、CT での診断能も非常に高いとはいえない。 Crazy-paving pattern はPAP の代表的なHRCT 所見であり、PAP を診断する契機になりうる。しかし、PAP でこの所見が現れる頻度は70 ~80% 程度で、全例にみられる訳ではない5, 6)。また、crazy-paving pattern はほかの疾患、急性呼吸窮(促)迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)や急性IP、COVID-19 などの感染症でもみられ、日常臨床ではむしろPAP 以外の症例で出会うことが多く、鑑別のためにはHRCT だけでなくほかの検査も必要である7-9)。そしてSPAP ではcrazy-paving pattern の出現頻度が低く、GGO やコンソリデーションなどの非特異的な所見 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 はいはいはいはい29 0 0 0 2 4 4 21 0 2
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が主体となることが多いため、HRCT のみでの診断はより困難になる5, 6)。 CT 検査は診断のみならず、その後の病状評価にも用いられる。CT でのGGO の程度は拘束性障害や拡散能障害の程度とよく相関している10)。肺野病変の変化は動脈血酸素分圧(partial pressure of arterial oxygen; PaO2)の変化と関連し11)、肺洗浄後にはCT での肺野陰影の改善を認める12)。GM-CSF 吸入療法の評価ではCTを用いた定量評価が用いられている13, 14)。また、APAPにおいてCT の線維化所見は予後不良を示唆する因子であると報告されている5)。 結論以上のようなエビデンスに基づき、ガイドライン作成委員会は、PAP の診断にHRCT 検査を行うことを推奨する(推奨の強さ:強い、エビデンスの質:低)と判断した。 注釈HRCT はPAP の発見や診断、病状評価に有用であり必須の検査と考えられるが、単独ではPAP の診断に十分ではない。PAP 類似の画像所見を示す他疾患も多数あり、ほかの臨床所見や検査所見とあわせて総合的に検討することが重要である。APAP 以外のPAP ではHRCT でのcrazy-paving pattern の頻度が下がりPAPと診断することが難しくなるが、肺病変の検出や病状評価のためにもHRCT 検査は必要であると考えられる。 References 1) 浅本 仁,北市正則,西村浩一,他.わが国における原発性肺 胞蛋白症68 症例の臨床的検討.日胸疾患会誌.1995;33: 835-45. 2) Nishimura K, Izumi T, Kitaichi M, et al. The diagnostic accuracy of high-resolution computed tomography in diff use infi ltrative lung diseases. Chest. 1993;104:1149-55. 3) Padley SP, Hansell DM, Flower CD, et al. Comparative accuracy of high resolution computed tomography and chest radiography in the diagnosis of chronic diffuse infiltrative lung disease. Clin Radiol. 1991;44:222-6. 4) Mathieson JR, Mayo JR, Staples CA, et al. Chronic diffuse infi ltrative lung disease: comparison of diagnostic accuracy of CT and chest radiography. Radiology. 1989;171:111-6. 5) Akira M, Inoue Y, Arai T, et al;Osaka Respiratory Diseases Symposia Group. Pulmonary Fibrosis on High-Resolution CT of Patients With Pulmonary Alveolar Proteinosis. AJR Am J Roentgenol. 2016;207:544-51. 6) Ishii H, Trapnell BC, Tazawa R, et al;Japanese Center of the Rare Lung Disease Consortium. Comparative study of high-resolution CT findings between autoimmune and secondary pulmonary alveolar proteinosis. Chest. 2009;136: 1348-55. 7) Johkoh T, Itoh H, Müller NL, et al. Crazy-paving appearance at thin-section CT: spectrum of disease and pathologic fi ndings. Radiology. 1999;211:155-60. 8) Murayama S, Murakami J, Yabuuchi H, et al. “Crazy paving appearance” on high resolution CT in various diseases. J Comput Assist Tomogr. 1999;23:749-52. 9) Duzgun SA, Durhan G, Demirkazik FB, et al. COVID-19 pneumonia: the great radiological mimicker. Insights Imaging. 2020;11:118. 10) Lee KN, Levin DL, Webb WR, et al. Pulmonary alveolar proteinosis: high-resolution CT, chest radiographic, and functional correlations. Chest. 1997;111:989-95. 11) Tokura S, Akira M, Okuma T, et al. A Semiquantitative Computed Tomographic Grading System for Evaluating Therapeutic Response in Pulmonary Alveolar Proteinosis. Ann Am Thorac Soc. 2017;14:1403-11. 12) 滝口恭男,内山隆司,長尾啓一,他.肺胞蛋白症の胸部CT 像 を中心とした経時的変化に関する検討.日胸疾患会誌.1994; 32:233-8. 13) Papiris SA, Griese M, Manali ED. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;382: 197 14) Trapnell BC, Inoue Y, Bonella F, et al;IMPALA Trial Investigators. Inhaled Molgramostim Therapy in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;383:1635-44.
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 肺胞蛋白症(PAP)の診断に気管支肺胞洗浄(BAL)を行うべきですか? CQ4 背景BAL は、気管支鏡先端を亜区域~亜々区域に楔入し、50 ml 程度の生理食塩水を3 ~4 回注入して、上皮被覆液を含む気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fl uid;BALF)を回収する検査手法である。BALF は細胞成分と非細胞成分に大別される。BALF は主として肺胞マクロファージ、リンパ球、好中球、好酸球の血球系細胞であるが、気管支上皮や肺胞上皮も少数含まれることがある。非細胞成分にはリン脂質や蛋白質などの液性成分が含まれる。BALF から得られる情報は、1外観、2総細胞数および細胞分画、3細胞診/病理学的評価、フローサイトメトリー、4細菌学的評価、5上清成分に分類される。いずれの項目も、びまん性肺疾患の診断に有用であるが、上清成分に関しては現時点では研究レベルでの利用に限られる1)。PAP の診断基準は、1 PAP を支持する画像所見、2BALF の外観白濁・顆粒状無構造物質の存在・泡沫状マクロファージ(foamy macrophage)の存在もしくは病理組織学的にPAP と矛盾しない所見、を満たすこととされている。エビデンスのまとめ 本CQ に答えうる比較対照試験は存在しないため、重要と考えられる個々の研究、総説、症例報告を参考にして、PAP 診断におけるBAL の必要性について記載する。 PAP の大多数を構成するAPAP に特徴的とされる画像所見(crazy-paving pattern など)は必ずしもPAP 特異的ではなく、SPAP の画像所見は非特異的であることから、画像のみでPAP の診断を下すことは困難である2, 3)。APAP に対して感度・特異度の高い抗GM-CSF抗体もほかのILD で上昇する例がある4-6)。またKL-6、CEA、CYFRA の高値についても、PAP 特異的とはいえない4-6)。以上より、PAP の診断にはBAL もしくは生検(経気管支肺生検〔transbronchial lung biopsy; TBLB〕、胸腔鏡下肺生検〔video-assisted thoracic surgery;VATS〕、開胸肺生検〔open lung biopsy; OLB〕)が必要と考えられる。 BAL の外観白濁および無遠心下での沈殿物を肉眼的に確認することは検査中においても容易である。一般的に肺生検より安全であり、BAL で有意な所見が得られればVATS、OLB などの侵襲の大きい肺生検を回避できる7, 8)。 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 はいはいはいはい25 4 0 0 2 1 3 22 3 2 ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 PAP の診断に対してBAL を行うことを 推奨する強い低あり
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ギムザ染色、パス染色、パパニコロー染色、ディフ・クイック染色による顆粒状の無構造物質および泡沫状マクロファージの確認はPAP として診断的価値が大きい9)。泡沫状マクロファージの形状の違いはAPAP とSPAP の鑑別診断に有用との報告がある10, 11)。また、BAL の細菌学的解析により感染症などの合併を判断することが可能である8)。解析の手間はかかるが、BAL から作成するセルブロックの電顕像も診断には有用である12-14)。 以上の理由から、PAP の診断においてBAL は優先して行うべき検査である。 結論PAP の診断に対してBAL を行うことを推奨する(推奨の強さ:強い、エビデンスの質:低)。 注釈米国胸部疾患学会(ATS)のBAL のガイドラインでは、画像上明らかな通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia;UIP)パターンを呈さない症例の診断において、BAL は臨床評価や画像評価に続く補助診断と位置づけられている。BALF の細胞分画は鑑別診断の参考に有益であるが、BAL 単独では、ILD の除外や確定診断には不十分であり、予後や治療反応性の予測も困難であるとされる。BAL は適切な状況下では、基本的には安全に施行可能な検査であると考えられているが、相対的な禁忌として不安定な呼吸循環状態と重篤な出血傾向があげられている8)。BAL 法の限界も知っておくことも必要である。さらに、気管支鏡施行前に画像が類似するCOVID-19 を否定しておく必要があるだろう。 最近、Azuma らはBAL とTBLB でのPAP の診断率を検討し、それぞれ90%、81.4%でPAP の陽性所見を認め、BAL とTBLB を併用することで、98.8%のPAPの診断が可能と報告している15)。 References 1) 日本呼吸器学会びまん性肺疾患学術部会,厚生労働省難治性 疾患政策研究事業びまん性肺疾患に関する調査研究班(編).気管支肺胞洗浄(BAL)法の手引き改訂第3 版.東京:克誠堂出 版;2017. 2) Allwood BW, Bennji S. Crazy Paving in Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;382:275. 3) Ishii H, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Comparative study of high-resolution CT findings between autoimmune and secondary pulmonary alveolar proteinosis. Chest. 2009;136: 1348-55. 4) Nakata K, Sugi T, Kuroda K, et al. Validation of a new serum granulocyte-macrophage colony-stimulating factor autoantibody testing kit. ERJ Open Res. 2020;6:00259- 2019 5) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 6) Katayama K, Hirose M, Arai T, et al. Clinical signifi cance of serum anti-granulocyte-macrophage colony-stimulating factor autoantibodies in patients with sarcoidosis and hypersensitivity pneumonitis. Orphanet J Rare Dis. 2020; 15:272. 7) Kumar A, Abdelmalak B, Inoue Y, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in adults:pathophysiology and clinical approach. Lancet Respir Med. 2018;6:554-65. 8) Meyer KC, Raghu G, Baughman RP, et al. An official American Thoracic Society clinical practice guideline:the clinical utility of bronchoalveolar lavage cellular analysis in interstitial lung disease. Am J Respir Crit Care Med. 2012; 185:1004-14. 9) Trapnell BC, Whitsett JA, Nakata K. Pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 2003;349:2527-39. 10) Ishii H, Seymour JF, Tazawa R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis complicating myelodysplastic syndrome results in worsening of prognosis:a retrospective cohort study in Japan. BMC Pulm Med. 2014;14:37. 11) 石井晴之.続発性肺胞蛋白症:最新の知見と今後の課題 (特集 肺胞蛋白症をめぐる最近の話題).日胸臨.2016;75:1226-35. 12) Hook GE, Gilmore LB, Talley FA. Multilamelled structures from the lungs of patients with pulmonary alveolar proteinosis. Lab Invest. 1984;50:711-25. 13) Burkhalter A, Silverman JF, Hopkins MB 3rd, et al. Bronchoalveolar lavage cytology in pulmonary alveolar proteinosis. Am J Clin Pathol. 1996;106:504-10. 14) Takemura T, Fukuda Y, Harrison M, et al. Ultrastructural, histochemical, and freeze-fracture evaluation of multilamellated structures in human pulmonary alveolar proteinosis. Am J Anat. 1987;179:258-68. 15) Azuma K, Takimoto T, Kasai T, et al. Diagnostic yield and safety of bronchofiberscopy for pulmonary alveolar proteinosis. Respir Investig. 2021;59:757-65.
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 肺胞蛋白症(PAP)の診断に生検鉗子による経気管支肺生検(TBLB)を行うべきですか? CQ5 背景本邦では、生検鉗子によるTBLB による病理診断はBALF による細胞診と並んで、PAP を診断する上で画像所見と血液検査の次に行う必須の検査項目となっている1)。また、PAP はTBLB 所見で診断が確定する疾患として、広く受け入れられている2)。 近年、海外においても、TBLB が診断確定のためのステップとして組み込まれて報告されている3)。しかし、PAP の診断確定のための病理組織や細胞診断を用いた検査法(TBLB、BALF、外科的肺生検〔surgical lung biopsy;SLB〕、経気管支クライオ肺生検〔transbronchial lung cryobiopsy;TBLC〕)に関して、感度、特異度や安全性などの比較検討はなされていない。 エビデンスのまとめ Inoue らの本邦でのAPAP 223 例の全国調査によれば、131 例がCT とBALF 所見で、76 例がCT とBALF 所見とTBLB で診断され、16 例がSLB で診断されていることを踏まえ、可能であれば組織診を行うことが提言された1, 4)。一方、海外からの報告においても、BALF でPAP と 診断された比率が高いものの、TBLB との併用やTBLB単独の検査でも診断されることも多く、頻度は低いがSLB によっても診断が行われている4-8)。しかし、海外では本邦で行われているような統一した診断基準や診断のアルゴリズムに沿って各検査が行われていないこともあり、諸外国のPAP の各検査法の診断率などを本邦と単純に比較することはできない。 最近、Azuma らはBAL とTBLB でのPAP の診断率を検討し、それぞれ90.7%、81.4%でPAP の陽性所見を認め、BAL とTBLB を併用することで98.8%のPAPの診断が可能であったと報告した9)。 結論以上のようなエビデンスや委員による投票に鑑み、ガイドライン作成委員会はPAP の病理診断に、TBLB を行うことを提案する(推奨の強さ:やや強い、エビデンスの質:低)。 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 いいえはいはいはい0 26 2 0 3 0 1 19 9 2 ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用PAP の診断にTBLB を 行うことを提案するやや強い低あり
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注釈PAP の診断において、PAP を示す肺胞内での好酸性の細顆粒状物質を組織学的に、また、細胞診学的に証明することが必要とされている1)。また、臨床上びまん性肺疾患、感染症や腫瘍などとの鑑別が困難な場合は、TBLB による病理組織診断が行われている2, 10)。 References 1) 井上義一.肺胞蛋白症の診断基準と診断のアルゴリズム.井上 義一,中田光(監).肺胞蛋白症の診断,治療,管理の指針. 2012.pp.10-1. 2) 日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委 員会(編).特発性間質性肺炎診断と治療の手引き改訂第3 版.東京;南江堂:2016.p.29. 3) Kumar A, Abdelmalak B, Inoue Y, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in adults: pathophysiology and clinical approach. Lancet Respir Med. 2018;6:554-65. 4) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al;Japanese Center of the Rare Lung Diseases Consortium. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 5) Bonella F, Bauer PC, Griese M, et al. Pulmonary alveolar proteinosis: new insights from a single-center cohort of 70 patients. Respir Med. 2011;105:1908-16. 6) Xu Z, Jing J, Wang H, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in China: a systematic review of 241 cases. Respirology. 2009; 14:761-6. 7) Kiani A, Parsa T, Adimi Naghan P, et al. An eleven-year retrospective cross-sectional study on pulmonary alveolar proteinosis. Adv Respir Med. 2018;86:7-12. 8) Han Q, Luo Q, Chen X, et al. The evaluation of clinical usefulness of transbrochoscopic lung biopsy in undefined interstitial lung diseases: a retrospective study. Clin Respir J. 2017;11:168-75. 9) Azuma K, Takimoto T, Kasai T, et al. Diagnostic yield and safety of bronchofiberscopy for pulmonary alveolar proteinosis. Respir Investig. 2021;59:757-65. 10) Asano F, Aoe M, Ohsaki Y, et al. Deaths and complications associated with respiratory endoscopy: a survey by the Japan Society for Respiratory Endoscopy in 2010. Respirology. 2012;17:478-85.
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 肺胞蛋白症(PAP)の診断に経気管支クライオ肺生検(TBLC)を行うべきですか? CQ6 ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用PAP の診断にTBLC を行わないことを提案するやや弱いとても低いあり 背景 CQ6 は「PAP の診断にTBLC を行うべきですか?」 の問いであった。この問いに対して、2020 年1 月13 日の投票のあと、 TBLC 全般についての文献調査を行った。 エビデンスのまとめ PAP は適切な臨床所見、画像所見、病理所見で診断される。2020 年8 月時点での日本での患者数は約900名であり、その90%はAPAP である1)。PAP はBALFとTBLB 検体の所見で92.8%は診断可能である2)。びまん性肺疾患の病理診断のためのTBLC は2000 年代後半から報告された3)。TBLC では胸壁から約10 mm 中枢側の長径5 mm か、それ以上の肺組織が採取される。通常2 ~3 mm 大までのTBLB 検体よりも大きく、挫滅の少ない検体が採取される3, 4)。TBLC の有害事象は気道内出血、気胸とTBLC 後の肺膿瘍形成などである5-9)。 免疫抑制状態にない成人のILD のSLB の死亡率は0.6%である10, 11)。Han らのメタアナリシスの対象となった免疫抑制状態にないILD 症例の胸腔鏡を用いた外科 的肺生検(VATS-SLB)の4 文献12-15)の116 例の集計では、VATS-SLB の手術後30 日での死亡率は0%であった11)。TBLC の報告2,916 例では14 例(0.48%)が死亡した5, 8)。死因はTBLC 施行時の気道内出血などであった。ペンシルバニア大学は25 例のTBLC のうち、3 例にTBLC 直後にserious hemorrhage を経験したため、TBLC プログラムを中止した16)。 ILD 359 例の診断のためにTBLB 検体1,302 個とTBLC 検体1,160 個を生検した検討では、臨床的に問題となる中等度と重度の気道内出血がTBLB では4.2%であったのに対して、TBLC では16.2%であった(p < 0.05) 8)。重度の生検関連の気道内出血はTBLB の手技では0 例であったが、TBLC の手技では4 例で起こった8)。なお、TBLC 後の特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fi brosis;IPF)の急性増悪による死亡が2 例に認められた7)。 TBLC 所見からPAP の診断に至った7 例が報告された7, 9, 17-19)。組織学的所見が提示された3 例は末梢気腔内にPAP 物質が充満した所見であり17-19)、TBLB 所見でもPAP の診断が可能な症例であった。その他の 4 例の 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 いいえはいいいえいいえ0 2 20 3 6 0 0 1 26 4
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なかで初回のTBLC によってPAP と診断された割合は50%であった7)。 線維化肺疾患に対するTBLC による診断が検討された3, 9)。TBLC 検体では肺線維化病変と臓側胸膜との関係が検討できないため、IPF と線維性HP の診断ではTBLC を診断根拠とする考えは採用されなかった20, 21)。PAP にほかのILD が合併する率は1.4%であり2)、IPFあるいは線維性HP で観察できる肺線維化病変であることが多い22)。TBLC 検体は臓側胸膜を含まないために、これらの肺病変について診断確定ができない10, 20, 21, 23)。 上記のため、TBLC のPAP 診断の役割についての前向き検討の報告はなく、エビデンスの質はとても低い。 結論以上の報告から、ガイドライン作成委員会では、PAP 診断におけるTBLC の役割について以下のように結論した。PAP の病理診断のためにTBLC を行わないことを提案する(推奨の強さ:やや弱い、エビデンスの質:とても低い)。 注釈PAP に肺線維症やほかのILD が合併した場合にはSLB が施行されてきた2, 22)。 2010 年頃から肺線維症の病理診断のために TBLC が検討されてきた。しかし、2020 年のILD の診断のためのTBLC のガイドラインでは、TBLC の意義づけは予備的な段階であり、個々の臨床状況に応じて臨床医がTBLC の適応を検討するべきであることが強調された。PAP に肺線維症が合併した病態についての TBLC の適応については言及されなかった24)。 また最近、Azuma らはBAL とTBLB を併用することで98.8%のPAP の診断が可能であったと報告している25)。 なお、2022 年5 月にIPF とIPF 以外の進行性肺線維症の診断と治療に関する国際ガイドラインが出版された26)。このなかで、TBLC は、経験あるメディカルセンターにおいて、診断困難なILD 患者の病理組織診断のために、外科的肺生検に代わる許容可能な手段として提案された(条件付き推奨、エビデンスの質:とても低い)。CQ6 の投票時、このガイドラインは出版されてい なかった。また、CQ6 の推奨分は、TBLB で診断可能であるPAP に関するものである。 * 【補足】 CQ6 に関する投票(2020 年1 月13 日)後にTBLC の 有用性ならびに有害事象、世界での実施状況の文献調査が行われ、14 例の死亡例が認識された。また、TBLCによってPAP と診断された症例報告とその背景(国による医療、診断体制などの違い)について調査した。臨床所見が説明された症例について、文献番号順に以下に記載する。 文献番号17:2017 年にアルゼンチンから報告された症例は24 歳男性で、集中治療室5 ヵ月間、市中肺炎として治療されていた。 文献番号18:2018 年に台湾から報告された症例は54歳で、半年前から咳嗽、黄色痰と労作時呼吸困難があり、3 ヵ月前から進行性の息切れがあった。SpO2 95%で、胸部CT では両肺野の80%に異常陰影が認められた。BAL 検体はclear で、微生物学的検査は陰性所見であったが、細胞診所見は記載されなかった。2 × 2 × 1 mm のTBLB 検体では慢性炎症性病変のみで、PAP診断に至らなかった。そのためTBLC が施行された。現時点でのPAP 病理診断基準の観点から、BAL とTBLB 検体について再検討が必要と思われた。 文献番号19:2020 年にインドから報告されたPAP症例は59 歳男性で、1 年間の進行性の労作時呼吸困難と粘稠痰があり、胸部CT では両肺野80%程度にGGOがあり、PaO2 58 mmHg の状態であった。前医でBALとTBLB の気管支鏡検査が施行されたが、診断に至らなかったので、抗GM-CSF 抗体測定ができないインドの状況において、患者自身による再度のTBLB かTBLC かの選択でTBLC が施行された。TBLB 検体には慢性炎症性病変の記載はあったが、TBLB の検体数の記載はなく、前医からのBAL 検体とTBLB 検体の取り寄せが行われなかった。 アルゼンチン(人口4,044 万人、2017 年)、台湾 (人口2,359 万人、2019 年)、インド(人口12 億8,360 万人、2017 年)でのAPAP を含むPAP の診断症例数は情報が得られなかった。一方、日本(人口1 億2,678 万人、2017年)では、2020 年8 月時点で約900 名のPAP が診断さ
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 2000;70:1647-50. 13) Yamaguchi M, Yoshino I, Suemitsu R, et al. Elective video- assisted thoracoscopic lung biopsy for interstitial lung disease. Asian Cardiovasc Thorac Ann. 2004;12:65-8. 14) Luo Q, Han Q, Chen X, et al. The diagnosis efficacy and safety of video-assisted thoracoscopy surgery (VATS) in undefi ned interstitial lung diseases: a retrospective study. J Thorac Dis. 2013;5:283-8. 15) Sonobe M, Handa T, Tanizawa K, et al. Videothoracoscopy- assisted surgical lung biopsy for interstitial lung diseases. Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2014;62:376-82. 16) DiBardino DM, Haas AR, Lanfranco AR, et al. High Complication Rate after Introduction of Transbronchial Cryobiopsy into Clinical Practice at an Academic Medical Center. Ann Am Thorac Soc. 2017;14:851-7. 17) Gando S, Duré R, Violi D, et al. Bilateral lung disease, extensive and diffuse. Diagnosis of pulmonary alveolar proteinosis by bronchoscopic cryobiopsy. Respir Med Case Rep. 2017;22:260-2. 18) Shen MF, Ju TR, Lee CC, et al. Novel application of cryobiopsy in the diagnosis of pulmonary alveolar proteinosis. Respirol Case Rep. 2018;6:e00336. 19) Marwah V, Katoch CDS, Sengupta P, et al. Bronchoscopic lung cryobiopsy for the diagnosis of pulmonary alveolar proteinosis in a hypoxemic patient. Lung India. 2020;37: 336-9. 20) Raghu G, Remy-Jardin M, Myers JL, et al. Diagnosis of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An Official ATS/ERS/JRS/ ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2018;198:e44-e68. 21) Raghu G, Remy-Jardin M, Ryerson CJ, et al. Diagnosis of Hypersensitivity Pneumonitis in Adults. An Official ATS/ JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2020;202:e36-e69. 22) 北市正則,笠井孝彦,寺本友昭,他. 肺胞蛋白症の病理所見 (特集 肺胞蛋白症をめぐる最近の話題).日胸臨.2016;75: 1245-53. 23) 北市正則.IPF 病理診断の位置づけ.呼吸器内科.2019;36: 150-6. 24) Maldonado F, Danoff SK, Wells AU, et al. Transbronchial Cryobiopsy for the Diagnosis of Interstitial Lung Diseases: CHEST Guideline and Expert Panel Report. Chest. 2020; 157:1030-42. 25) Azuma K, Takimoto T, Kasai T, et al. Diagnostic yield and safety of bronchofiberscopy for pulmonary alveolar proteinosis. Respir Investig. 2021;59:757-65. 26) Raghu G, Remy-Jardin M, Richeldi L, et al. Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Offi cial ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2022;205: e18-e47. れた。日本ではPAP はBALF とTBLB 検体の所見で92.8%は診断可能である2)。PAP の診断方法について、特にBALF とTBLB 検体の日本での病理診断レベルを考慮に入れないと、PAP 診断に対するTBLC の役割は比較できない状況であると考えられた。 References 1) 難病情報センター.肺胞蛋白症(自己免疫性または先天性) (指 定難病229). https://www.nanbyou.or.jp/entry/4775 (閲覧: 2021-03-09) 2) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 3) Colby TV, Tomassetti S, Cavazza A, et al. Transbronchial Cryobiopsy in Diffuse Lung Disease: Update for the Pathologist. Arch Pathol Lab Med. 2017;141:891-900. 4) Kuse N, Inomata M, Awano N, et al. Management and utility of transbronchial lung cryobiopsy in Japan. Respir Investig. 2019;57:245-51. 5) Lentz RJ, Argento AC, Colby TV, et al. Transbronchial cryobiopsy for diff use parenchymal lung disease: a state-ofthe-art review of procedural techniques, current evidence, and future challenges. J Thorac Dis. 2017;9:2186-203. 6) Lodhi T, Hughes G, Stanel S, et al. Transbronchial Lung Cryobiopsy in Idiopathic Pulmonary Fibrosis: A State of the Art Review. Adv Ther. 2019;36:2193-204. 7) Ravaglia C, Wells AU, Tomassetti S, et al. Diagnostic yield and risk/benefi t analysis of trans-bronchial lung cryobiopsy in diff use parenchymal lung diseases: a large cohort of 699 patients. BMC Pulm Med. 2019;19:16. 8) Hetzel J, Eberhardt R, Petermann C, et al. Bleeding risk of transbronchial cryobiopsy compared to transbronchial forceps biopsy in interstitial lung disease-a prospective, randomized, multicentre cross-over trial. Respir Res. 2019; 20:140. 9) Ussavarungsi K, Kern RM, Roden AC, et al. Transbronchial Cryobiopsy in Diffuse Parenchymal Lung Disease: Retrospective Analysis of 74 Cases. Chest. 2017;151:400-8. 10) Patel NM, Borczuk AC, Lederer DJ. Cryobiopsy in the Diagnosis of Interstitial Lung Disease. A Step Forward or Back? Am J Respir Crit Care Med. 2016;193:707-9. 11) Han Q, Luo Q, Xie JX, et al. Diagnostic yield and postoperative mortality associated with surgical lung biopsy for evaluation of interstitial lung diseases: A systematic review and meta-analysis. J Thorac Cardiovasc Surg. 2015; 149:1394-401. e1. 12) Miller JD, Urschel JD, Cox G, et al. A randomized, controlled trial comparing thoracoscopy and limited thoracotomy for lung biopsy in interstitial lung disease. Ann Thorac Surg.
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CQ7 肺胞蛋白症(PAP)をほかの方法で診断できない場合に外科的肺生検(SLB)を行うべきですか? ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 PAP をほかの方法で診断できない場合に SLB を行うことを提案するやや強いとても低いあり 背景1958 年のPAP 27 例の報告はSLB 21 例、剖検5 例、胸部X 線の典型的所見1 例を対象とした1)。1984 年にTBLB 検体に診断的意義が高い所見が得られるとされた2, 3)。1995 年の68 例のPAP 報告の診断根拠はTBLB 61 例、SLB 7 例であった4)。1995 年に、BALF での20 ~50μm 径大の顆粒状物質の所見からPAP を診断できると報告された5)。2008 年のAPAP 223 例の報告では、PAP の診断根拠はBALF 218 例、TBLB 86 例、SLB 16 例(7.2%)であった6)。2010 年に、PAP の基本的所見は0.2μm 径大の細顆粒状物質であると報告された7, 8)。 米国ではILD の診断のためのSLB が1 年間に12,000例施行された9)。HP 合併10)やインジウム肺11)など、PAP 病変以外の合併病態をもつ症例にSLB が行われた。日本でのPAP 症例は約900 例である12)。肺線維症合併PAP の生検診断ではIPF とUIP 類似病変をもつ線維性HP が鑑別対象となることが多いため、肺線維化病変と臓側胸膜との関係が検討できるSLB が望ましい8, 13-15)。エビデンスのまとめ PAP にILD が合併する頻度は1.4%であり、鑑別困難病態に対してSLB が施行される。SLB が施行されるPAP 症例は日本ではPAP 症例の1.4%と推定された6)。 結論PAP をほかの方法で診断できない場合にSLB を行うことを提案する(推奨の強さ:やや強い、エビデンスの質:とても低い)。 注釈PAP はBALF とTBLB で92.8%は病理診断が可能である6)。BALF からセルブロックを作製し、薄切した検体のアルシアンブルー・パス染色はPAP の病理診断に有用である16)。SLB は1995 年以降はほとんどの場合、VATS の手技で行われる。Han らのメタアナリシスの対象となった、免疫抑制状態にないILD 症例に対してVATS の手技を用いたMiller ら(Ann Thorac Surg. 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 はいはいはい△ 0 21 5 2 3 0 1 3 24 3
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 2000 年)、Sonobeら(Gen Thorac Cardiovascu Surg. 2014 年)、Luoら(J Thorac Dis. 2013 年)、 Yamaguchiら(Asian Cardiovasc Thorac Ann. 2004 年)の4 文献116 例の集計では、VATS-SLB の手術後30 日の死亡率は0%であった17)(CQ6:p.15 を参照)。 ガイドライン作成委員会では、「推奨の強さ:やや強い、エビデンスの質:とても低い」であった。つまり、PAP の診療を専門分野とする医師としては、正確なPAP 診断のためにはSLB は必要と考えるが、それを患者に奨めることが患者の価値観に合うかどうかは、現場の判断になると解釈されるとのコメントが委員からあった。 References 1) Rosen SH, Castleman B, Liebow AA. Pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 1958;258:1123-42. 2) 泉 孝英,北市正則,長井苑子,他.講座:病気の生化学 (XCVI)肺胞蛋白症.代謝.1984;21:61-9. 3) 北市正則.びまん性散布性肺病変の経気管支肺生検(TBLB)に よる鑑別診断.曽根脩輔.呼吸器疾患の画像診断.東京:南江堂;1984.pp.141-56. 4) 浅本 仁,北市正則,西村浩一,他.わが国における原発性肺 胞蛋白症:68 症例の臨床的検討.日胸疾患会誌.1995;33: 835-45. 5) Mikami T, Yamamoto Y, Yokoyama M, et al. Pulmonary alveolar proteinosis:diagnosis using routinely processed smears of bronchoalveolar lavage fl uid. J Clin Pathol. 1997; 50:981-4. 6) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 7) 北市正則,肺胞蛋白症の病理診断と鑑別診断.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症の難治化 要因の解明と診断,治療,管理の標準化と指針の確立」に関する研究班.平成21 年度研究報告書.2010.pp.34-5. 8) 北市正則,笠井孝彦,寺本友昭,他.肺胞蛋白症の病理所見 (特集 肺胞蛋白症をめぐる最近の話題).日胸臨.2016;75: 1245-53. 9) Hutchinson JP, Fogarty AW, McKeever TM, et al. In- Hospital Mortality after Surgical Lung Biopsy for Interstitial Lung Disease in the United States. 2000 to 2011.Am J Respir Crit Care Med. 2016;193:1161-7. 10) Verma H, Nicholson AG, Kerr KM, et al. Alveolar proteinosis with hypersensitivity pneumonitis:a new clinical phenotype. Respirology. 2010;15:1197-202. 11) Cummings KJ, Nakano M, Omae K, et al. Indium lung disease. Chest. 2012;141:1512-21. 12) 難病情報センター.肺胞蛋白症(自己免疫性または先天性) (指 定難病229).https://www.nanbyou.or.jp/entry/4775 (閲覧: 2021-03-09) 13) Raghu G, Remy-Jardin M, Myers JL, et al. Diagnosis of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An Official ATS/ERS/JRS/ ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2018;198:e44-e68. 14) 北市正則.IPF 病理診断の位置づけ.呼吸器内科.2019;36: 150-6. 15) Raghu G, Remy-Jardin M, Ryerson CJ, et al. Diagnosis of Hypersensitivity Pneumonitis in Adults. An Official ATS/ JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2020;202:e36-e69. 16) Martin RJ, Coalson JJ, Rogers RM, et al. Pulmonary alveolar proteinosis:the diagnosis by segmental lavage. Am Rev Respir Dis. 1980;121:819-25. 17) Han Q, Luo Q, Xie JX, et al. Diagnostic yield and postoperative mortality associated with surgical lung biopsy for evaluation of interstitial lung diseases:A systematic review and meta-analysis. J Thorac Cardiovasc Surg. 2015; 149:1394-401. e1.
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1.成人患者 ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 APAP、SPAP でもない成人PAP に対して 遺伝子解析を行うことを提案するやや強い低あり 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)でもない肺胞蛋白症(PAP)に対して遺伝子解析を行うべきですか? CQ8 背景PAP は、肺の末梢気腔内に肺サーファクタント由来物質が異常に貯留し、呼吸不全に至る稀少な疾患群である。原因により、1抗GM-CSF 抗体によるAPAP、2 GM-CSF 受容体遺伝子やサーファクタント関連遺伝子の変異によるCPAP/HPAP、3骨髄異形成症候群などの血液疾患や悪性腫瘍、粉塵吸入などの基礎疾患に合併するSPAP、および4未分類肺胞蛋白症(unclassifi ed pulmonary alveolar proteinosis;UPAP)に分類される。1、2は指定難病である。 エビデンスのまとめ 肺サーファクタントの恒常性維持機構にはサイトカインGM-CSF の機能が重要であり、その機能不全は肺胞マクロファージの機能を低下させる。その結果、肺サーファクタント由来物質が貯留し、PAP の病態を呈する1-4)。PAP の多くは抗GM-CSF 抗体によるAPAP であるが、GM-CSF 受容体α鎖遺伝子であるCSF2RA 遺伝子変異を有するCPAP/HPAP 5-8)、およびβ鎖遺伝子であるCSF2RB 遺伝子変異を有するCPAP/HPAP 9, 10)が報告されている。これらGM-CSF 受容体遺伝子変異を 有するCPAP/HPAP 患者では、血清GM-CSF 値(抗GM-CSF 抗体ではないので注意)が高値を示すので診断の一助となる。遺伝子変異によるPAP 患者の多くは小児例であるが、どちらの遺伝子変異でも、成人になってはじめて診断される患者がいる10, 11)。米国保険データの解析では、CSF2RA およびCSF2RB 遺伝子変異のCPAP/ HPAP はPAP 全体の3%を占めると報告されている12)。 結論以上のような報告があるため、ガイドライン作成委員会は、APAP、SPAP が確証できない成人PAP に対して遺伝子解析を行うことを提案する(推奨の強さ:やや強い、エビデンスの質:低)が、未知の遺伝子変異が関連している可能性もあり、遺伝子変異が必ずしも同定されない可能性があると判断した。 注釈現在のところ報告はないが、後述する「2.小児患者」でみられる遺伝子変異が成人患者でも同定される可能性 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 はいはい△ △ 6 23 0 0 2 0 0 15 14 2
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 も考えられる。 遺伝子検査は、2020 年4 月から、「肺胞蛋白症(自己免疫性または先天性)遺伝子検査」として保険収載されている*。なお、CPAP、HPAP(一般的に遺伝子が同定された場合)、CPAP(HPAP を含む)は同義語的に用いられてい る。ガイドライン作成委員会ではあわせて「先天性PAPあるいは遺伝性PAP」として「CPAP/HPAP」と記載することとした。 2.小児患者 ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 APAP、SPAP でもない小児PAP に対して 遺伝子解析を行うことを提案するやや強い低あり 背景PAP は、肺の末梢気腔内に肺サーファクタント由来物質が異常に貯留し、呼吸不全に至る稀少な疾患群である。成人と同様に、その原因によりAPAP、CPAP/ HPAP、SPAP、原因不明に分類されるが、成人例と比べて小児例ではAPAP の頻度は低い。小児期に発症するILD には遺伝子変異が原因のものが報告されており、PAP、IP、肺の形成異常などの多彩な臨床像を呈する。責任遺伝子としてはSFTPB、SFTPC、ABCA3、NKX2.1、GATA2、CSF2RA、CSF2RB、MARS、OAS1、STAT5B、FARSB などがあり、同一遺伝子の変異でも異なる臨床症状を呈することがあるので注意を要する。 エビデンスのまとめ 前述した「1.成人患者」の項で示したCSF2RA、CSF2RB 遺伝子以外には、サーファクタントにかかわる遺伝子SFTPB 13, 14)、SFTPC 15, 16)、ABCA3 17-19)や肺上皮細胞の発生分化に重要なNKX2.1 20)、さらに単球・マクロファージ分化にかかわるGATA2 21, 22)といった遺伝子の変異がPAP に関連して報告されている。さらに最近、PAP と肝障害を呈するmethionyl-tRNA synthetase の遺伝子であるMARS 遺伝子変異患者が、インド洋のフランス領のレユニオン島から報告されてい るが、遺伝子機能とPAP との関連は不明である23)。また、PAP と低ガンマグロブリン血症を呈したOAS1 遺伝子変異を有する小児PAP 患者が日本から報告されている24)。OAS1 は2-prime, 5-prime oligoadenylate synthetases の遺伝子であり、抗ウイルス作用が報告されており25)、その遺伝子変異はPAP などの上記症状を示す自己炎症性免疫不全症を呈することが報告されている26)。その他に、増殖因子やサイトカインの細胞内シグナル伝達および転写因子であるSTAT5B 遺伝子変異27)や、Phenylalanine-tRNA synthetaseβchain の遺伝子であるFARSB 変異28)でもPAP 症例が報告されている。 結論以上のような報告があるため、ガイドライン作成委員会は、APAP、SPAP が確証できない小児PAP に対して遺伝子解析を行うことを提案する(推奨の強さ:やや強い、エビデンスの質:低)が、未知の遺伝子変異が関連している可能性もあり、遺伝子変異が必ずしも同定されない可能性があると判断した。 注釈先天性および小児期のILD は、小児間質性肺疾患 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 はいはい△ △ 6 23 0 0 2 0 0 15 14 2
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(childhood interstitial lung disease;ChILD)や遺伝性間質性肺疾患(hereditary interstitial lung disease; HILD)と呼ばれているが、その一部にCPAP/HPAP が含まれる29-31)。 遺伝子検査は、2020 年4 月から、「肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性)遺伝子検査」として保険収載されている*。 *検査の申し込みと問い合わせ先公益財団法人かずさDNA 研究所 遺伝子検査室〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-23 E-mail:onjk@kazusa.or.jp https://www.kazusa.or.jp/genetest/ References 1) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16. 2) Kumar A, Abdelmalak B, Inoue Y,et al. Pulmonary alveolar proteinosis in adults: pathophysiology and clinical approach. Lancet Respir Med. 2018;6:554-65. 3) Suzuki T, Trapnell BC. Pulmonary Alveolar Proteinosis Syndrome. Clin Chest Med. 2016;37:431-40. 4) Whitsett JA, Wert SE, Weaver TE. Diseases of pulmonary surfactant homeostasis. Annu Rev Pathol. 2015;10:371-93. 5) Suzuki T, Sakagami T, Rubin BK, et al. Familial pulmonary alveolar proteinosis caused by mutations in CSF2RA. J Exp Med. 2008;205:2703-10. 6) Martinez-Moczygemba M, Doan ML, Elidemir O, et al. Pulmonary alveolar proteinosis caused by deletion of the GM-CSFRalpha gene in the X chromosome pseudoautosomal region 1. J Exp Med. 2008;205:2711-6. 7) Suzuki T, Sakagami T, Young LR, et al. Hereditary pulmonary alveolar proteinosis: pathogenesis, presentation, diagnosis, and therapy. Am J Respir Crit Care Med. 2010; 182:1292-304. 8) Hildebrandt J, Yalcin E, Bresser HG, et al. Characterization of CSF2RA mutation related juvenile pulmonary alveolar proteinosis. Orphanet J Rare Dis. 2014;9:171. 9) Suzuki T, Maranda B, Sakagami T, et al. Hereditary pulmonary alveolar proteinosis caused by recessive CSF2RB mutations. Eur Respir J. 2011;37:201-4. 10) Tanaka T, Motoi N, Tsuchihashi Y, et al. Adult-onset hereditary pulmonary alveolar proteinosis caused by a single-base deletion in CSF2RB. J Med Genet. 2011;48: 205-9. 11) Ito M, Nakagome K, Ohta H, et al. Elderly-onset hereditary pulmonary alveolar proteinosis and its cytokine profi le. BMC Pulm Med. 2017;17:40. 12) McCarthy C, Avetisyan R, Carey BC, et al. Prevalence and healthcare burden of pulmonary alveolar proteinosis. Orphanet J Rare Dis. 2018;13:129. 13) Nogee LM, de Mello DE, Dehner LP, et al. Brief report: deficiency of pulmonary surfactant protein B in congenital alveolar proteinosis. N Engl J Med. 1993;328:406-10. 14) Nogee LM, Garnier G, Dietz HC, et al. A mutation in the surfactant protein B gene responsible for fatal neonatal respiratory disease in multiple kindreds. J Clin Invest. 1994; 93:1860-3. 15) Nogee LM, Dunbar AE 3rd, Wert SE, et al. A mutation in the surfactant protein C gene associated with familial interstitial lung disease. N Engl J Med. 2001;344:573-9. 16) Tredano M, Griese M, Brasch F, et al. Mutation of SFTPC in infantile pulmonary alveolar proteinosis with or without fi brosing lung disease. Am J Med Genet A. 2004;126A:18- 26 17) Shulenin S, Nogee LM, Annilo T, et al. ABCA3 gene mutations in newborns with fatal surfactant deficiency. N Engl J Med. 2004;350:1296-303. 18) Bullard JE, Wert SE, Whitsett JA, et al. ABCA3 mutations associated with pediatric interstitial lung disease. Am J Respir Crit Care Med. 2005;172:1026-31. 19) Beers MF, Mulugeta S. The biology of the ABCA3 lipid transporter in lung health and disease. Cell Tissue Res. 2017;367:481-93. 20) Devriendt K, Vanhole C, Matthijs G, et al. Deletion of thyroid transcription factor-1 gene in an infant with neonatal thyroid dysfunction and respiratory failure. N Engl J Med. 1998; 338:1317-8. 21) Spinner MA, Sanchez LA, Hsu AP, et al. GATA2 defi ciency: a protean disorder of hematopoiesis, lymphatics, and immunity. Blood. 2014;123:809-21. 22) Griese M, Zarbock R, Costabel U, et al. GATA2 defi ciency in children and adults with severe pulmonary alveolar proteinosis and hematologic disorders. BMC Pulm Med. 2015;15:87. 23) Hadchouel A, Wieland T, Griese M, et al. Biallelic Mutations of Methionyl-tRNA Synthetase Cause a Specific Type of Pulmonary Alveolar Proteinosis Prevalent on Réunion Island. Am J Hum Genet. 2015;96:826-31. 24) Cho K, Yamada M, Agematsu K, et al. Heterozygous Mutations in OAS1 Cause Infantile-Onset Pulmonary Alveolar Proteinosis with Hypogammaglobulinemia. Am J Hum Genet. 2018;102:480-6. 25) Magg T, Okano T, Koenig LM, et al. Heterozygous OAS1 gain-of-function variants cause an autoinflammatory immunodefi ciency. Sci Immunol. 2021;6:eabf9564. 26) Wickenhagen A, Sugrue E, Lytras S, et al. A prenylated dsRNA sensor protects against severe COVID-19. Science. 2021;374:eabj3624. 27) Eklund SE, Levin DN. ELung Isolation for Whole Lung
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 Opin Pediatr. 2014;26:320-7. 30) Akimoto T, Cho K, Hayasaka I, et al. Hereditary interstitial lung diseases manifesting in early childhood in Japan. Pediatr Res. 2014;76:453-8. 31) Hayasaka I, Cho K, Akimoto T, et al. Genetic basis for childhood interstitial lung disease among Japanese infants and children. Pediatr Res. 2018;83:477-83. Lavage in a Pediatric Patient With Atypical Airway Anatomy due to Short Stature: A Case Report. A A Pract. 2019;13:253-6. 28) Xu Z, Lo WS, Beck DB, et al. Bi-allelic Mutations in Phe- tRNA Synthetase Associated with a Multi-system Pulmonary Disease Support Non-translational Function. Am J Hum Genet. 2018;103:100-14. 29) Kuo CS, Young LR. Interstitial lung disease in children. Curr
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ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用PAP の治療においてWLL は有効であり、行うことを提案する強い低あり 肺胞蛋白症(PAP)の治療のために全肺洗浄(法) (WLL)を行うべきですか? CQ9 けなかった85 例では85 ± 5%であって、WLL による有意な生存率の改善が示唆された(p=0.04)。また、WLL を受けた症例の84%において、初回洗浄で臨床所見、身体所見、画像所見の改善を認めた。2017 年のGay らの報告によると、33 例でWLL 前後のPaO2 の変化を確認し、 施行前は59.1 ± 9.5 Torr、施行後は65.2 ± 14.2 Torr (p =0.021) と有意に改善していた6)。本邦では2011 年に杉本らが8 例で同様の検討をしており、酸素化、呼吸機能、血清マーカーが有意に改善していた7)。 2016 年にCampo らは世界14 ヵ国20 施設よりWLLに関するアンケートの集計を行った4)。この検討によると、施設の経験度および洗浄液量による効果の違いは存在せず、専門施設であれば同等の効果が見込まれるとした。これらの論文でのWLL に関連した合併症発生率は18%から87.5%とばらつきがあったが、一過性の発熱および低酸素血症が主であり、重篤な合併症は低頻度であった。死亡例も計3 例認めたが、1 例はMDS を基礎としたSPAP で、2 例は重症例であった。これらのことから、WLL は侵襲性の高い手技であるが、効果的でかつ基本的には安全に施行できるものといえる。 背景WLL は1963 年にRamirez らにより報告されて以来、改良を重ねられてきた1, 2)。施設間での手法の違いはあるものの、現在では有効性と安全性は確立し、世界的にPAP に対する標準的治療法として認識されている3)。SLBL は有効性と安全性に関して十分な検討がされておらず、確立した治療法とはいえない4)。治療の適応基準は「重症度に応じたPAP の治療の目安」によると、DSS 3 以上を適応としており、DSS 5 においてはWLLもしくはGM-CSF 療法などのほかの試験的治療を行うとされている5)。2021 年2 月の時点でWLL のみが保険診療で施行可能な治療法であり、DSS 3 以上の症例において施行を検討すべきである。 エビデンスのまとめ 現在までWLL に関してRCT などの前向き試験は行われていない。2002 年にSeymour らによるメタアナリシスが報告されている2)。これによると、WLL を受けたPAP 146 例の5 年生存率は94 ± 2%で、WLL を受 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 はいはいはいはい0 29 1 0 1 0 2 27 1 1
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 結論以上のようなエビデンスに基づき、ガイドライン作成委員会は、 PAP の治療においてWLL は有効であり、行うことを提案する (推奨の強さ:強い、エビデンスの質:低) と判断した。 注釈Campo らの368 例での検討によると、1 症例あたりに行うWLL の回数は5 年間で2.5 ± 1.5 回(両肺の洗浄で1 回と数える)であったとされ、3 分の1 の症例は繰り返しのWLL を要していた4)。すなわち、WLL 後にしばしば再増悪を認め、再度の治療を要する。重症例のWLL において、体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation;ECMO)は酸素化の改善目的に用いられることがある3)。また、Ohkouchi らによると、5 例での検討だが重症例においてWLL に続いてのGM-CSF 吸入療法は有効であったと報告された8)。 病型の違いによる検討は報告されておらず、すべての病型が適応である。しかし、本症の大部分はAPAP であることより、施術はAPAP のみで推奨とする。SPAPではWLL の効果が得られにくい可能性がある9)。 WLL を安全でかつ成功させるためには、この基礎をなす生理学を理解して、綿密な計画を立てる必要がある10)。また、学際的なチームアプローチが必要で、呼吸器内科医、麻酔科医、看護師および臨床工学技士などの経験豊富なチームで取り組むことが肝要である11)。 ガイドライン作成委員会から、PAP の診療を専門分野とする医師は、適応のある臨床病態の場合にはWLLを行わなければ患者に悪影響を及ぼすと考え、WLL を行うことを提案すると解釈される。そのため、臨床現場ではWLL の適応病態を示したほうがよいとの意見があった。詳細は、「第II章 洗浄療法(区域洗浄、全肺洗浄〔法〕〔WLL〕)」(p.77)参照。 References 1) Ramirez J, Schultz RB, Dutton RE. Pulmonary alveolar proteinosis: a new technique and rationale for treatment. Arch Intern Med. 1963;112:419-31. 2) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166:215-35. 3) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16. 4) Campo I, Luisetti M, Griese M, et al. Whole lung lavage therapy for pulmonary alveolar proteinosis:a global survey of current practices and procedures. Orphanet J Rare Dis. 2016;11:115. 5) 井上義一.肺胞蛋白症総論.肺胞蛋白症の病理診断と鑑別診 断. 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症の難治化要因の解明と診断,治療,管理の標準化と指針の確立」に関する研究班.平成21 年度研究報告書.2010. pp.15-20. 6) Gay P, Wallaert B, Nowak S, et al. Effi cacy of Whole-Lung Lavage in Pulmonary Alveolar Proteinosis:A Multicenter International Study of GELF. Respiration. 2017;93:98-206. 7) 杉本親寿,新井 徹,西山明秀,他.全肺洗浄を施行した自己 免疫性肺胞蛋白症8 例の手技,効果,安全性の多面的評価.日呼吸会誌.2011;49:569-76. 8) Ohkouchi S, Akasaka K, Ichiwata T, et al. Sequential Granulocyte-Macrophage Colony-Stimulating Factor Inhalation after Whole-Lung Lavage for Pulmonary Alveolar Proteinosis. A Report of Five Intractable Cases. Ann Am Thorac Soc. 2017;14:1298-1304. 9) Ishii H, Seymour JF, Tazawa R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis complicating myelodysplastic syndrome results in worsening of prognosis:a retrospective cohort study in Japan. BMC Pulm Med. 2014;14:37. 10) Mata-Suarez SM, Castro-Lalín A, Mc Loughlin S, et al. Whole-Lung Lavage-a Narrative Review of Anesthetic Management. J Cardiothorac Vasc Anesth. 2020;36:587-93. 11) 一和多俊男,内田寛治,石田 学,他.自己免疫性肺胞蛋白症 に対する片側全肺洗浄法に関するワークショップサマリー.日呼吸誌.2021;10:2-9.
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ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 APAP の治療としてrh GM-CSF の 吸入治療を選択肢として提案するやや強い中なし 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の治療として遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rh GM- CSF)治療は選択肢となりますか? CQ10 背景遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(recombinant human GM-CSF;rh GM-CSF)製剤は、がん化学療法後の好中球減少症などを適応症として、1990 年代に注射用製剤として欧米で開発された。大腸菌由来のモルグラモスチムと、酵母由来のサルグラモスチムの2 種類がある。PAP に対しても当初は皮下注射での治療が試みられたが、近年では本製剤をネブライザーで吸入する方法がとられている。 エビデンスのまとめ 1)皮下注射 1996 年に49 歳男性PAP 患者へ6μg/kg/day の用量でrh GM-CSF の皮下注射を行い、AaDO2 と運動耐用能の改善が報告された1)。引き続き第II相試験が行われ、米国のグループはサルグラモスチム(5 ~9μg/kg/day)を12 週以上使用して、最終的に7 例中5 例で改善をみた。一方、欧州・米国・豪州の国際臨床試験中では、14 例のPAP 患者(12 例で抗GM-CSF 抗体陽性確認、米国の4例はサルグラモスチム、ほかはモルグラモスチム投与)が 皮下注射(5μg/kg/day)を行い、12 週で5 例が奏効(PaO2 10 mmHg 以上の改善)し、20μg/kg/day の増量でさらに1 例奏効した2, 3)。さらに第II相試験では、中等症の25例にサルグラモスチム皮下注射(5 ~18μg/kg/day)を行い、6 ~12 ヵ月投与で48%の奏効率がみられた。8 割以上の治療例で注射部位の発赤などがみられた4)。 2)吸入治療 2006 年の米国の12 例(6 例で抗GM-CSF 抗体陽性確認)の後方視研究5)や、2010 年の本邦の35 例(全例抗GM-CSF 抗体陽性)での第II相試験6)の結果から、吸入治療は皮下注射より総使用量が少なく、奏効率が高い可能性が示唆された。rh GM-CSF 吸入治療のランダム化二重盲検比較試験は、本邦の12 施設での医師主導治験PAGE 試験7)と、18 ヵ国30 施設でモルグラモスチムを使う企業治験IMPALA 試験8)が2016 年より行われ、PAGE 試験の結果は2019 年に論文報告された。PaO2 が70 mmHg 未満(有症状の患者75 mmHg 未満) 50 mmHg 以上のAPAP 患者 64 例を2 群(サルグラモスチム125μg またはプラセボ)の1 日2 回7 日間の吸 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 はいはい△ △ 1 28 0 0 2 0 28 1 0 2
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 入を隔週で24 週間行った。軽症~中等症のAPAP 患者でのrh GM-CSF の吸入使用は、プラセボ使用に比べて、25 週目のAaDO2 について有意によい結果をもたらした7)。副次評価項目のCT 値や血清マーカーでも有意差がみられた。QOL については、呼吸困難感の修正MRC 息切れスケール(modifi ed medical research council dyspnea scale;mMRC)で改善がみられたが、COPD アセスメントテスト(COPD assessment test; CAT)スコアでは有意差はみられなかった。以上の結果をもとに薬事承認申請の準備が進められている。 IMPALA 試験の結果は、2020 年に論文発表された8)。138 例のAPAP 患者は3 群(モルグラモスチム300μg/ day 連日46 例、300μg/day-プラセボ隔週交代45 例、プラセボ連日47 例)で24 週の治療を受けた。主要評価項目のAaDO2 の改善は、酸素投与中の4 例の欠測値補完を行い、連日投与群とプラセボ群の間で有意差がみられた(-12.8 mmHg vs. -6.6 mmHg、p=0.03)。さらに連日投与群とプラセボ群の間で、QOL の指標であるSt. George’s respiratory questionnaire(SGRQ)ポイント(平均12.4 vs. 5.1、p=0.01)とDLCO の改善(12.0% vs. 4.2%、95%CI:2.3 ~13.3)で有意差があった。 また、中国の2 施設共同ランダム化非盲検比較試験の結果が2020 年に発表され、DSS 1 ~3 のAPAP 患者でrh GM-CSF 吸入(150μg 1 日2 回隔週3 ヵ月+150μg 1日1 回隔週3 ヵ月)のモルグラモスチム群19 例とプラセボ群17 例の間で、主要評価項目のAaDO2 の変化量には有意差がなかったが、DLCO、全肺気量(total lung capacity;TLC)およびSGRQ スコアが実薬群で有意に改善したと報告された9)。 結論以上のエビデンスに基づき、ガイドライン作成委員会は、APAP の治療としてrh GM-CSF の吸入治療を選択肢として提案する(推奨の強さ:やや強い、エビデンスの質:中)。 注釈rh GM-CSF 製剤の皮下注射によるAPAP 治療は、特殊な条件下では考慮される可能性があるが、本邦では皮下注射製剤としての薬事承認はされていない。 2021 年現在、サルグラモスチムは承認に向けて準備中であり、モルグラモスチムは第III相試験が実施されている。 なお、ガイドライン作成委員会から以下のコメントがあった。rh GM-CSF 治療の現時点での適応病態を記載したほうがよいとの意見があった。つまり、PAP の診療を専門分野とする医師は、現時点では治験家族の適応の範囲内で効果と安全性が証明されているため、rh GM-CSF の吸入治験を選択肢として提案する。将来、軽症例や重症例にも有効で安全なrh GM-CSF 治療法が開発される可能性はある。 References 1) Seymour JF, Dunn AR, Vincent JM, et al. Efficacy of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor in acquired alveolar proteinosis. N Engl J Med. 1996;335: 1924-5. 2) Seymour JF, Presneill JJ, Schoch OD, et al. Therapeutic efficacy of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor in patients with idiopathic acquired alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2001;163:524-31. 3) Kavuru MS, Sullivan EJ, Piccin R, et al. Exogenous granulocyte-macrophage colony-stimulating factor administration for pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2000;161:1143-8. 4) Venkateshiah SB, Yan TD, Bonfi eld TL, et al. An open-label trial of granulocyte macrophage colony stimulating factor therapy for moderate symptomatic pulmonary alveolar proteinosis. Chest. 2006;130:227-37. 5) Wylam ME, Ten R, Prakash UB, et al. Aerosol granulocyte-- macrophage colony stimulating factor for pulmonary alveolar proteinosis. Eur Respir J. 2006;27:585-93. 6) Tazawa R, Trapnell BC, Inoue Y, et al. Inhaled granulocyte/ macrophage-colony stimulating factor as therapy for pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181:1345-54. 7) Tazawa R, Ueda T, Abe M, et al. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2019;381: 923-32. 8) Trapnell BC, Inoue Y, Bonella F, et al.Inhaled Molgramostim Therapy in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;383:1635-44. 9) Tian X, Yang Y, Chen L, et al. Inhaled granulocyte- macrophage colony stimulating factor for mild-to-moderate autoimmune pulmonary alveolar proteinosis - a six month phase II randomized study with 24 months of follow-up. Orphanet J Rare Dis. 2020;15:174.
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ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用 MDS に合併するPAP 治療のため同種造血幹細胞移植を行うことを提案するやや強いとても低いあり(MDS に対 して) 骨髄異形成症候群(MDS)に合併する肺胞蛋白症(PAP)治療のため同種造血幹細胞移植を行うべきですか? CQ11 背景SPAP は血液疾患を基礎疾患にもつことが多いが、そのなかでもMDS に合併するSPAP(MDS-SPAP)の報告例が多い1)。MDS-SPAP は診断後の2 年生存率が約40%と著しく予後不良で、基礎疾患であるMDS の重症度リスクによらずSPAP の合併が大きな予後不良因子2)になっている。いまだ発症機序は明らかになっていないため、治療法は確立されていない。しかし、MDS- SPAP の肺胞マクロファージに骨髄腫瘍細胞と同様の染色体異常(トリソミー8)を認めた報告3)や、造血系転写因子であるGATA2 の遺伝子異常症とMDS-SPAP との関連する報告4)など、骨髄由来の腫瘍化した肺胞マクロファージの機能障害がMDS-SPAP 発症に強く関連していることを示唆している。 エビデンスのまとめ 1994 年にCordonnier らによりSPAP 10 例が報告されている5)。そのうち慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia;CML)2 例と急性リンパ球性白血病(acute lymphocytic leukemia;ALL)1 例に骨髄移 植が施行されており、基礎疾患および感染症コントロールがなされるとSPAP は軽快傾向を示した症例もみられた。それ以降、MDS-SPAP において造血幹細胞移植により、移植後SPAP が軽快している本邦の報告例もみられている6-8)。2005 ~2018 年における本邦でのMDS-SPAP の造血幹細胞移植施行例は11 例であり、そのうち6 例(55%)でSPAP が軽快している。そのなかの1 例ではSPAP の改善時には肺胞マクロファージがすべてドナー由来に置換されていたという報告もあり、MDS-SPAP に造血幹細胞移植を行うべきであることを示唆している9)。 結論MDS-SPAP はAPAP に比べると、きわめて稀少な肺疾患である。そのため集学的研究は困難で、非ランダム化比較試験を設定することもできない。症例報告からのエビデンスになるが、基礎疾患のコントロールのためにMDS の治療として造血幹細胞移植を優先することの意義は、症例報告からでも十分に考慮できる。 投票結果 推奨の強さに影響する因子推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 いいえはいいいえはい1 21 4 0 5 0 0 1 28 2
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 したがって、ガイドライン作成委員会では、MDS- SPAP の治療のため同種造血幹細胞移植を行うことを提案する(推奨の強さ:やや強い、エビデンスの質:とても低い)。 注釈造血幹細胞移植自体は、敗血症や肺炎などの感染症合併や移植片対宿主病(graft-versus-host disease; GVHD)による死亡例もみられ、高侵襲な治療法である。SPAP を合併した血液疾患に対しての造血幹細胞移植の適応基準は定められてないため、血液疾患のSPAPに対しては血液内科医と慎重な検討の上で、できる限り移植治療を行えるよう全身状態の管理が重要となる。 References 1) Ishii H, Tazawa R, Kaneko C, et al. Clinical features of secondary pulmonary alveolar proteinosis: pre-mortem cases in Japan.Eur Respir J. 2011;37:465-8. 2) Ishii H, Seymour JF, Tazawa R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis complicating myelodysplastic syndrome results in worsening of prognosis: a retrospective cohort study in Japan.BMC Pulm Med. 2014;14:37. 3) Moriyama M, Yano T, Furukawa T, et al. Possible Involvement of Lung Cells Harboring an Abnormal Karyotype in the Pathogenesis of Pulmonary Alveolar Proteinosis Associated with Myelodysplastic Syndrome. Ann Am Thorac Soc. 2015;12:1251-3. 4) Spinner MA, Sanchez LA, Hsu AP, et al.GATA2 defi ciency: a protean disorder of hematopoiesis, lymphatics, and immunity. Blood. 2014;123:809-21. 5) Cordonnier C, Fleury-Feith J, Escudier E, et al. Secondary alveolar proteinosis is a reversible cause of respiratory failure in leukemic patients.Am J Respir Crit Care Med. 1994;149:788-94. 6) Fukuno K, Tomonari A, Tsukada N, et al.Successful cord blood transplantation for myelodysplastic syndrome resulting in resolution of pulmonary alveolar proteinosis.Bone Marrow Transplant. 2006;38:581-2. 7) Tabata S, Shimoji S, Murase K, et al.Successful allogeneic bone marrow transplantation for myelodysplastic syndrome complicated by severe pulmonary alveolar proteinosis.Int J Hematol. 2009;90:407-12. 8) Hashimoto M, Itonaga H, Nannya Y, et al. Secondary Pulmonary Alveolar Proteinosis Following Treatment with Azacitidine for Myelodysplastic Syndrome.Intern Med. 2020;59:1081-6. 9) 岡田慎理,北脇年雄,鈴木優太,他.同種骨髄移植によって骨 髄異形成症候群に伴う二次性肺胞蛋白症が軽快した1 例.日内会誌.2020;109:960-7.
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ステートメント推奨の強さエビデンスの質保険適用PAP の治療にステロイドを使用しないことを提案する弱いとても低いなし 肺胞蛋白症(PAP)にステロイドを使用すべきですか? CQ12 背景1960 年代にはエンピリック・セラピーとしてPAP へのステロイド薬投与に関する報告が存在するが、それ以降は治療目的での使用は効果を期待できないとされている1)。APAP において、抗体の抑制という観点からステロイド薬の有効性も考えられるが、歴史的に無効であるのは明らかであり、さらには病勢を悪化させる可能性があるとする報告がある2, 3)。また、肺胞マクロファージや好中球の機能低下がみられるPAP では感染症を合併しやすく、ステロイド薬投与は易感染性を助長させる危険があり、その使用は奨められていない3, 4)。 エビデンスのまとめ 2002 年にSeymour らは、PAP がはじめて報告された1958 年から2001 年までの間に論文化された410 症例をまとめて報告している1)。このなかで、当初はステロイド治療が試みられたが効果は認められなかったとしている。現在、ステロイド薬投与に関する前向き試験やプラセボ対照試験は、一般にステロイド薬投与は無効であるとされており、組み込むことができない。後方視的検討は小規模だが以下の報告がある。APAP において、2015 年にAkasaka らは、ステロイド薬投与を受けた31 例中23 例(74.1%)で重症度の悪化を認め、ステロイド薬投与はAPAP の病勢悪化に関与している可能性があると報告している3)。さらには症例をステロイド投与量の中央値で高用量群と低用量群の2 群に分けて比較検討を行い、高用量群で有意に悪化しており(p=0.015)、用量依存性に有害である可能性を報告している。SPAP では2014 年にIshii らが予後の検討をしており、31 例のMDS-SPAP においてステロイド薬の使用は死亡リスクがハザード比3.2(95%CI:1.09 ~9.38)であったことを報告している5)。CPAP/HPAP においては2011 年のGriese らの論文で、長期管理した症例でステロイド薬は無効であったことを報告している6)。また、これらすべての論文において、感染症合併のリスク増加の可能性についても言及されている。 結論ステロイド薬投与は、病型を問わずPAP に対して無効であるばかりではなく有害である可能性が高く、ステロイド治療を行わないことを提案する(推奨の強さ:弱い、エビデンスの質:とても低い)。 投票結果 推奨の強さに影響する要因推奨度カテゴリーエビデンスカテゴリー 1 2 3 4 A B C D 棄権 A B C D 棄権 いいえいいえいいえいいえ0 8 15 5 3 0 0 0 28 3
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第I章クリニカルクエスチョンと推奨 注釈ステロイド薬投与はほかのステロイド反応性の病態が併存する場合のみ検討されるべきである。どちらも数%の発症頻度といわれているが、ほかの自己免疫性疾患もしくは肺線維症を合併することがある。これらの併存疾患治療目的でのステロイド薬使用は臨床判断となる。 ほかの自己免疫性疾患に対するステロイド治療中にPAP を認めた症例において、2020 年にSato らは自験例を含めた既報の7 例をステロイド薬投与期間に注目してまとめた。ステロイド薬投与期間が数ヵ月から数年の症例ではステロイド薬減量でPAP の改善を認め、投与期間が数年から10 年以上に及ぶ症例ではステロイド薬の減量のみでは改善せず、WLL まで要していたことを見出した7)。このことからも投与されているステロイド薬は早期にできる限り減量すべきである。 References 1) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166:215-35. 2) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16. 3) Akasaka K, Tanaka T, Kitamura N, et al. Outcome of corticosteroid administration in autoimmune pulmonary alveolar proteinosis:a retrospective cohort study. BMC Pulm Med. 2015;15:88. 4) Punatar AD, Kusne S, Blair JE, et al. Opportunistic infections in patients with pulmonary alveolar proteinosis. J Infect. 2012;65:173-9. 5) Ishii H, Seymour JF, Tazawa R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis complicating myelodysplastic syndrome results in worsening of prognosis:a retrospective cohort study in Japan. BMC Pulm Med. 2014;14:37. 6) Griese M, Ripper J, Sibbersen A, et al. Long-term follow-up and treatment of congenital alveolar proteinosis. BMC Pediatr. 2011;11:72. 7) Sato S, Akasaka K, Ohta H, et al. Autoimmune pulmonary alveolar proteinosis developed during immunosuppressive treatment in polymyositis with interstitial lung disease:a case report. BMC Pulm Med. 2020;20:84.
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総論 肺胞蛋白症(PAP)病態カラーイラスト 胞II型上皮由来の蛋白質や、血漿から漏出してくる小分子の蛋白質およびpinocytosis で腔内に移動してくるIgG などがある。分泌型IgA は存在しているが、IgMは検出されない。 最近、Cincinnati Childrens Research Foundation のTrapnell らは、APAP 患者の気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fl uid;BALF)の組成から、リン脂質に対するコレステロールの比率が上昇していることを見出した1)。つまり、貯留している脂質の組成が正常なサーファクタントの組成とは異なる。図1-A に示すように、正常な肺胞においては、II型肺胞上皮で産生されるサーファクタント蛋白とリン脂質の複合体はラメラ体として肺胞内に分泌され、肺胞上皮で格子状のチェブラーミエリンとなって界面活性を示す。健常な肺 肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)は、肺胞および呼吸細気管支腔内に過剰なサーファクタントが貯留し、呼吸不全が進行する稀少疾患であるが、病因により、1自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP)、2続発性肺胞蛋白症(secondary pulmonary alveolar proteinosis; SPAP)、3先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar proteinosis;CPAP/HPAP)に分類される。このうち、APAP が92%を占めるので、「PAP病態カラーイラスト」としては、APAP に焦点を当て解説する。 PAP と命名されているが、貯留しているのは主として脂質であり、ほかにはサーファクタント蛋白など、肺 血漿 血漿 赤血球 赤血球サーファクタント 脂質二重層気腔 気腔基底膜 ゴルジ体 ラメラ体ミトコンドリア核 チェブラーミエリン チェブラーミエリンII型肺胞上皮細胞I型肺胞上皮細胞 I型肺胞上皮細胞 肺胞マクロファージ 図1-A健常肺
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第II章 P A P診療マニュアル総論 胞マクロファージは、定期的にチェブラーミエリンを吸収分解していると考えられる。 APAP の肺胞(図1-B)では、チェブラーミエリン構造を取らず、多くはラメラ体のまま過剰なサーファクタントのなかに貯留する。ラメラ体は大型化した泡沫状マクロファージ(foamy macropharge)のなかにも多数みられる。肺胞マクロファージは、やがて崩壊し、肺胞腔内に貪食したラメラ体からなる無構造物となる。 APAP の原因は、1999 年に北村、中田らにより提唱された抗GM-CSF 抗体である2)。その後、坂上、Trapnell らが、カニクイザルに患者由来精製抗GM- CSF 抗体を投与することにより、PAP を発症させることに成功し、病因として確定した3)。 図2-A に示すように、健常の肺では主としてII型上皮が腔内に顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor; GM-CSF)を放出するが、GM-CSF は肺胞マクロファージの表面にあるGM-CSF 受容体に結合し、シグナル伝達によりSTAT5 リン酸化が起こり、肺胞マクロファージが終末分化し、成熟マクロファージとなる。成熟マク ロファージは、サーファクタント成分を吸収し、分解する。 一方、図2-B に示すように、APAP の肺においては、肺を覆うサーファクタント中に抗GM-CSF 抗体(主としてIgG 型)が高濃度存在し、サーファクタント中のGM-CSF を中和してしまう。肺胞マクロファージの終末分化は断たれ、未分化なままサーファクタントを吸収するため、胞体内にラメラ体は蓄積し、泡沫状マクロファージとなる。 References 1) Sallese A, Suzuki T, McCarthy C, et al. Targeting cholesterol homeostasis in lung diseases. Sci Rep. 2017;7:10211. 2) Kitamura T, Tanaka N, Watanabe J, et al. Idiopathic pulmonary alveolar proteinosis as an autoimmune disease with neutralizing antibody against granulocyte/macrophage colony-stimulating factor. J Exp Med. 1999;190:875-80. 3) Sakagami T, Uchida K, Suzuki T, et al. Human GM-CSF autoantibodies and reproduction of pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 2009;361:2679-81. 赤血球赤血球 血漿サーファクタント ゴルジ体 ラメラ体 気腔 ラメラ体 ラメラ体 基底膜 気腔 ミトコンドリア 核小体 核小体 ミトコンドリアチェブラーミエリン II型肺胞上皮細胞 I型肺胞上皮細胞 肺胞マクロファージ I型肺胞上皮細胞 図1-B APAP の肺
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II型肺胞上皮細胞未熟肺胞マクロファージ成熟肺胞マクロファージ サーファクタント GM-CSF GM-CSF受容体 図2-A健常者における肺胞マクロファージの終末分化 II型肺胞上皮細胞泡沫状マクロファージ 終末分化が障害 サーファクタントの処理が低下→肺胞内にサーファクタント貯留サーファクタント サーファクタント GM-CSF GM-CSF受容体 抗GM-CSF抗体APAP 図2-B APAP の肺胞
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第II章 P A P診療マニュアル総論 総論 疾患概要、肺胞蛋白症(PAP)の定義、分類 定義 PAP はサーファクタントの生成または分解過程障害により、肺胞腔内を主として末梢気腔内にサーファクタント由来物質である好酸性の顆粒状の蛋白様物質の異常貯留をきたす疾患の総称である付記。通常両側性である。 分類 PAP は表の通りAPAP、SPAP、CPAP/HPAP、UPAP と分類する。成人のPAP の90 ~95%をAPAPが占め、SPAP とCPAP/HPAP は数%である。 付記Trapnell らは、最近総称としてPAP 症候群(pulmonary alveolar proteinosis syndrome)と呼ぶことがある1)。ガイドライン作成委員会ではPAP 症候群は 疾患概要 PAP は1958 年にRosen らにより記載され、本邦では1960 年に岡らによって紹介された稀少肺疾患である。サーファクタントの生成または分解過程障害により、肺胞腔内を主として末梢気腔内にサーファクタント由来物質である好酸性の顆粒状の蛋白様物質の異常貯留をきたす疾患の総称付記である。PAP はAPAP、SPAP、CPAP/HPAP(CPAP〔HPAP を含む〕とも記載)、未分類肺胞蛋白症(unclassifi ed pulmonary alveolar proteinosis;UPAP)に分類される。このうち、APAP とCPAP/HPAP は2015 年7 月1 日から厚生労働省による指定難病に、CPAP(遺伝子異常が原因の間質性肺疾患〔interstitial lung disease;ILD〕を含む)は同じく厚生労働省による小児慢性特定疾病に指定されている。 表PAP の分類注 PAP 分類説明抗GM-CSF 抗体 (血清) APAP抗GM-CSF 抗体が増加するPAP基準値から増加* SPAP血液疾患などに続発したPAP で、抗GM-CSF 抗体が正常(カットオフ未満、陰性)のPAP基準値内 (カットオフ未満、正常) * CPAP/HPAP先天的あるいは遺伝的(遺伝子同定)に発症したPAP で、抗GM-CSF 抗体が正常(カットオフ未満、陰性)のPAP基準値内 (カットオフ未満、正常) * UPAP抗GM-CSF 抗体陰性のPAP であるがAPAP、SPAP、CPAP/HPAP とも分類できないPAP基準値内(カットオフ未満、正常) * *: 健常者、ほかのILD 患者でも血清抗GM-CSF 抗体が微量検出されることがあり、陰性、陽性の表現よりも正常、増加との表現を用いる。抗GM-CSF 抗 体の基準値は、APAP と健常コントロールのカットオフ値未満を用いる。これまでは陽性、陰性と判定表現してきたが、基準値以上に増加する場合(増加)、基準値未満(正常)と記載する。ただし、カットオフ値前後の場合、再検討などを行い、総合的に慎重に判定することが望ましい。注: 抗GM-CSF 抗体測定は最近まで特定の研究施設でしか測定できなかった。そのため抗GM-CSF 抗体の測定ができない場合、かつ原因不明の場合、特発 性PAP と呼び、PAP の分類に加えていた。しかしながら現在、検査会社で研究用として外注検査が可能となり(保険適用なし)、ガイドライン作成委員会では、PAP の診断に抗GM-CSF 抗体測定を必須とし、特発性PAP の名称は可能な限り用いないこととした。
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一般的ではないことから、付記での紹介に留める。なお、CPAP、HPAP(一般的に遺伝子が同定された場合)、CPAP(HPAP を含む)の呼称は同義語的に用いられている。ガイドライン作成委員会ではあわせて「先天性PAP あるいは遺伝性PAP」として「CPAP/HPAP」と記載することとした。 Reference 1) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16.
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P A P 診療マニュアル総論第II章 総論 肺胞蛋白症(PAP)の疫学 SPAP SPAP は、血液疾患、特に骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)との関連がよく知られている。31 例の研究では、SPAP の診断時年齢の中央値は男性53 歳、女性58 歳であり、その男女比は1.14:1.0 であった6)。 CPAP/HPAP CD116 としても知られているGM-CSF 受容体サブユニット-αをコードするCSF2RA 遺伝子の変異、またはGM-CSF/IL-3/IL-5 受容体共通βサブユニットもしくはCD131 としても知られているサイトカイン受容体共通サブユニット-βをコードするCSF2RB 遺伝子の変異により引き起こされるPAP が知られている。前者は8例のケースシリーズの報告がある。5 歳と8 歳の2 人の患者は無症状であり、発症年齢の中央値は4.8 ± 1.6 歳であった。さらに、成人で発症した患者も報告されている7)。 乳児、小児、青年および成人において、正常な界面活性物質産生に重要な、SFTPB、SFTPC、ABCA3、NKX2.1 などの遺伝子の突然変異に関連して発症するPAP がみられる。界面活性物質産生障害の発生率は、米国およびデンマークのデータでは、ABCA3 欠損症では年間3,000 人に1 人、SP-B 欠損症では年間170 万人に1 人の割合で発生すると推定されている8)。CPAP/ HPAP の有病率はきわめて低く、PAP 全症例の5%未満であることから、研究におけるサンプルサイズは非常に小さくなる。 References 1) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. はじめに 抗GM-CSF 抗体の関連が明らかになる前のPAP の疫学的調査としては、イスラエルでの研究が知られている1, 2)。 APAP APAP はPAP のなかで最も研究されているサブグループであり、全症例の約90%を占め、ほかの自己免疫疾患と関連していることはまれである。本邦における1999 年から2006 年の間の223 症例が報告された調査では、発症率は100 万人あたり0.24 人、罹病率は100 万人あたり2.04 人であった3)。特定地域で発症の偏りはなかった。同調査において、新潟県における発症率、罹患率は100 万人あたりそれぞれ0.49 人、6.2 人であった。2006 年から2016 年にかけてAPAP の診断に抗GM- CSF 抗体の測定が普及するにつれ、測定検体数は年間80 ~100 例に増加した。その結果、2016 年末には累積872 例に達した。前述の罹患率や有病率は、長期にわたって診断がなされない症例を過小評価していると推測された。そのため、2006 年から2016 年にかけて新潟県において再調査を行ったところ、発症率、罹患率は100万人あたりそれぞれ1.65 人、26.6 人と推定された4)。これと同様に、全国調査の発症率、罹患率は実際より低く評価されている可能性が示唆された。診断時の年齢中央値は51 歳で、男女比は2.1:1.0 であった。一方、2018年の米国の大規模研究データによれば、すべてのPAPについて男性患者よりも女性患者のほうが多く、男性に対して女性は1.17 倍と報告された5)。新潟県の調査における患者の約半数(56%)が喫煙者であり、男性患者の85%が喫煙者であることから、この性比を説明できるかもしれない。実際、非喫煙者の患者では性比は1:1 である。
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5) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16. 6) Ishii H, Tazawa R, Kaneko C, et al. Clinical features of secondary pulmonary alveolar proteinosis: pre-mortem cases in Japan. Eur Respir J. 2011;37:465-8. 7) Suzuki T, Sakagami T, Young LR, et al. Hereditary pulmonary alveolar proteinosis: pathogenesis, presentation, diagnosis, and therapy. Am J Respir Crit Care Med. 2010; 182:1292-304. 8) Griese M. Chronic interstitial lung disease in children. Eur Respir Rev. 2018;27:170100. 2002;166:215-35. 2) Ben-Dov I, Kishinevski Y, Roznman J, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in Israel:ethnic clustering. Isr Med Assoc J. 1999;1:75-8. 3) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al;Japanese Center of the Rare Lung Diseases Consortium. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 4) Kitamura N, Ohkouchi S, Tazawa R, et al. Incidence of autoimmune pulmonary alveolar proteinosis estimated using Poisson distribution. ERJ Open Res. 2019;5:00190-2018.
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P A P 診療マニュアル総論第II章 総論 PAP の診断 びまん性肺疾患でPAP を疑う場合、PAP の診断基準(表)に従い高分解能CT(high-resolution computed tomography;HRCT)にてPAP を支持する画像所見に加え、BALF 所見あるいは病理組織所見でPAP の病理細胞学的所見からPAP の診断を行う。その後、血清抗 GM-CSF 抗体が基準値以上(増加)であれば、APAP、基準値未満(正常)の場合、SPAP、CPAP/HPAP、UPAP について、診断アルゴリズムに従い診断する。 肺胞蛋白症(PAP)の診断基準と診断アルゴリズム PAP の診断基準 PAP の診断は、原則、以下の2 項目を満たすこと。 1. 画像所見:胸部CT(原則、高分解能CT:HRCT)で、PAP を支持する画像所見を有する注1)。2. 病理・細胞学的所見:以下のa またはb を満たす。a. BALF で白濁の外観(米のとぎ汁様、ミルク様)を呈し、放置すると沈殿する。光学顕微鏡でPAP のBAL 所見がみられる 注2)。b. 病理組織(TBLB、SLB、剖検)でPAP の病理所見がみられる 注3, 4)。 注1) HRCT による「画像基準」と「PAP を支持する画像所見」(詳細は「第II章肺胞蛋白症(PAP)画像所見」:p.56 参照)、APAP の「画像基準」 は以下の通り。 主要所見として、1GGO、2小葉内網状影および小葉間隔壁肥厚像、3crazy-paving pattern、4コンソリデーションであり、その分布は1両側性、2地図状分布(辺縁が鮮明)、3subpleural sparing である。また、線維化所見として、1牽引性気管支拡張像、2嚢胞、3蜂巣肺をまれに認めることがある。 SPAP ではGGO はほぼ全例でみられるが、crazy-paving pattern、地図状分布、subpleural sparing の頻度は低い。CPAP/HPAP でもcrazypaving pattern、コンソリデ-ションが認められる。 「PAP を支持する画像所見」は、以上の所見のうち、以下の(1)および(2) (2012 年の指針でほぼ確実例)、あるいは(1)のみ(2012 年の指針で疑い例)とする。(1) 両側性のcrazy-paving pattern を認める(GGO 主体であることもある)。(2) 地図状分布、subpleural sparing (胸膜直下に陰影を認めない)を呈することがある。 Crazy-paving pattern はほかの疾患で認められるため、鑑別が必要である。 注2) PAP のBALF 光学的顕微鏡所見(詳細は「第II章気管支肺胞洗浄液(BALF)検査所見」:p.64 参照) ・ ギムザ染色、パス染色、パパニコロー染色(ライトグリーンに染色)で、背景に多数の細顆粒状の無構造物質(光学顕微鏡で観察可能である0.2μm 大程度)の沈着。・ さらに大きな(数十μm 程度)大のパス、ライトグリーンに濃染される、無構造顆粒状物質を認める。・ マクロファージ(細胞径40 ~50μm)の細胞境界が不明瞭となり、細胞外の細顆粒状物質に移行する像が認められる。・ 泡沫状マクロファージ(foamy macrophage)を認める。・BAL のリンパ球比率の増加。 注3) PAP の病理所見(詳細は「第II章肺胞蛋白症(PAP)の病理組織検査」:p.71 参照) (1) PAP の基本的な所見:左右肺にびまん性に肺病変をきたした症例で、 a. 末梢気腔内に0.2μm 大の弱好酸性細顆粒状物質が充満する。細顆粒状物質に数十μm 大の好酸性物質が混在する。数μm 大のlipid clefts が混在する(ヘマトキシリン・エオジン染色)。b. 末梢気腔内の細顆粒状物質はパス染色で陽性所見を示す。c. 末梢気腔内の細顆粒状物質は免疫染色でsurfactant apoprotein(SP-A)に陽性所見を示す。 表PAP の診断基準
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PAP 診断アルゴリズム PAP の診断基準でPAP と診断した後、PAP の分類は、図のPAP 診断アルゴリズムに従い、APAP、SPAP、CPAP/HPAP、UPAP に分類する。APAP の診断には定義上、血清中の抗GM-CSF 抗体が基準値のカットオフ値以上に増加(陽性)していることを確認することが必要である。基準値のカットオフ値未満の場合はSPAP、CPAP/HPAP、UPAP のなかで鑑別を行う。なお、遺伝子異常が判明している場合HPAP と呼び、CPAP に含めて記載する。厚生労働省の指定難病は、APAP およびCPAP/HPAP である。 最近まで、抗GM-CSF 抗体の測定は一部の研究施設でのみ測定可能であり、保険適用もなかったことから、抗GM-CSF 抗体の測定を行うことができない場合、原因不明と考えられるPAP について、「特発性PAP (IPAP)」の診断名を残して指定難病での記載を可能としていた。2020 年から検査会社での外注測定が可能となり、国内での測定は容易になった。IPAP の診断名は現在国際的に用いられることのない歴史的病名である。 遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(recombinant human GM-CSF;rh GM-CSF)吸入療法を行う場合、抗GM-CSF 抗体の測定によるAPAPの診断は必須であることから、ガイドライン作成委員会ではPAP の診断に抗GM-CSF 抗体の測定を必須とし、特発性PAP の病名は削除した。ただし、2022 年時点で抗GM-CSF 抗体の測定は保険適用がない。保険適用と 指定難病の認定基準が改定されるまでは時間が必要と思われるが、IPAP の診断名が認定基準で残ることが予想される。指定難病の認定基準改訂は急務である。 近年、Trapnell らは典型的HRCT 像と抗GM-CSF抗体が基準値以上(増加)の場合、病理・細胞所見がなくてもAPAP の診断は可能としているが1)、まれに明らかなAPAP を合併しないほかのILD でも抗GM-CSF 抗体が基準値以上(陽性)を示す報告があるため(偽陽性あるいはPAP の診断基準を満たさない早期例とも考えられる)、ガイドライン作成委員会では、APAP の診断にはBALF 所見あるいは病理所見と抗GM-CSF 抗体基準値以上(増加)を必須とした2, 3)。 References 1) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16. 2) Nakata K, Sugi T, Kuroda K, et al. Validation of a new serum granulocyte-macrophage colony-stimulating factor autoantibody testing kit. ERJ Open Res. 2020;6:00259- 2019 3) Katayama K, Hirose M, Arai T, et al. Clinical signifi cance of serum anti-granulocyte-macrophage colony-stimulating factor autoantibodies in patients with sarcoidosis and hypersensitivity pneumonitis. Orphanet J Rare Dis. 2020; 15:272. (2) PAP に伴うことがある所見 a. 末梢気腔内に大型泡沫細胞が集積する。細胞質の崩壊過程を示す泡沫細胞を含む。b. 肺胞領域の間質にリンパ球系細胞浸潤をみる。多くは軽度まで。c. 間質性肺線維化病変が存在することがある。まれに肺線維化病変が著明な症例がある。 (3) PAP の肺病変自体では陰性の所見(他疾患と鑑別すべき所見あるいはPAP 以外の肺疾患の合併を考慮すべき所見) a. 腫瘍性病変b. 肉芽腫性病変c. 好中球あるいは好酸球の浸潤d. 壊死病変e. 肺胞壁のうっ血f. フィブリン析出g. 炭粉沈着と偏光性物質の沈着 注4) PAP の診断はBAL、TBLB で十分である。PAP あるいはPAP にほかのILD の合併が疑われる場合、ほかの方法で診断できない場合にSLB が 推奨される。PAP の診断にクライオ肺生検を行わないことが提案されたが、エビデンスレベルは低い。
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P A P 診療マニュアル総論第II章 なし ありなし あり 基準値以上(増加) ありなし 胸部HRCT(PAPを支持する画像所見) *2 血清抗GM-CSF 抗体*1 APAP SPAP SLB*3他疾患 他疾患PAP UPAP CPAP/HPAP SPAP をきたしうる疾患 症状、聴診所見、胸部X 線検査、血清バイオマーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA) *1 PAP 疑い 基準値未満(正常) あり 気管支鏡検査BAL、TBLB にてPAP の病理・細胞所見*3 再検査を行いながら他疾患の可能性を疑い慎重に経過観察 PAP の家族歴、血清GM-CSF濃度、GM-CSF シグナル検査、HPAPをきたしうる遺伝子検査*4 図PAP 診断アルゴリズム *1:KL-6、SP-D、SP-A はIP 疑いの場合は保険で測定が可能である。CEA、CYFRA は保険適用外である。*2: 血清抗GM-CSF 抗体測定は研究用として外注検査が可能であるが、保険適用外である。PAP を疑った段階で血清抗GM-CSF 抗体を早期に測定することは可能である。基準値以上(増加) (これまで陽性と表現)であっても、APAP の確定診断には気管支鏡検査などによる細胞組織検査は必要である。*3: PAP の診断はBAL、TBLB で十分である。PAP あるいはPAP にほかのILD の合併が疑われる場合、ほかの方法で診断できない場合にSLB が推奨される。PAP の診断にクライオ肺生検を行わないことが提案されたが、エビデンスレベルは低い(CQ5;TBLB〔p.13〕、CQ6;TBLC〔p.15〕、CQ7;SLB〔p.18〕参照のこと)。*4:血清GM-CSF 濃度、GM-CSF シグナル検査、HPAP をきたしうる遺伝子検査は研究レベルであり、保険適用外である。
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総論 肺胞蛋白症(PAP)の重症度分類、管理重症度分類と悪化、軽快、自然軽快の定義 1 度加えて管理区分重症度とし、I~VIで表記し、管理区分重症度の後に括弧を附記し、詳細を記入する。 例:管理区分重症度:III(肺線維症合併) 2) 悪化、不変、軽快、自然軽快の定義 2008 年に報告された、本邦のAPAP の疫学調査では、PaO2(あるいはSpO2)を症状と組み合わせでカテゴリー化したDSS の変化(スコア1 以上の変化)で評価した3)。DSS を用いた定義は簡易であり、多くの患者の評価に適していた。一方、これまでに実施された多くの臨床試験では有効性の主要評価項目として、肺胞気動脈血酸素分圧較差(alveolar-arterial oxygen pressure diff erence;AaDO2)のベースラインからの絶対的変化値を採用した。2010 年に報告されたrh GM-CSF 吸入療法では、12 週間の無治療観察期間にAaDO2 が10 Torr以上低下した場合を自然軽快あるいは自然寛解と定義して、臨床試験から除外した4)。AaDO2 の臨床的に意味のある変化(minimally clinically important diff erence; MCID)は10 Torr とされており、AaDO2 を用いた有効性の評価(悪化、不変、軽快)は一般的に10 Torr を越える変化で定義する。ただ、動脈血液ガス検査は侵襲的であり、かつ結果が不安定で、体位、十分な安静時間を厳密に規定する必要がある。また、有効性の評価に肺拡散能(diffusing capacity of the lung for carbon monoxide;DLCO) (ヘモグロビン補正後)を用いる場合もある。その他、St. George’s respiratory questionnaire (SGRQ)などのQOL の変化、半定量、定量化された胸部CT の変化、血清バイオマーカーの変化で評価される場合もあるが、AaDO2 や%DLCO の生理機能の変化(MCID)を用いる定義が一般的である5, 6)。 PAP の重症度分類 『肺胞蛋白症の診断、治療、管理の指針』(2012 年)で報告された、症状と動脈血酸素分圧(partial pressure of arterial oxygen;PaO2) (室内気下、安静臥位)の組み合わせによるPAP の疾患重症度スコア(disease severity score;DSS)を表に示す1)。%肺拡散能(diff using capacity of the lung for carbon monoxide % predicted;%DLCO)、KL-6 などの血清バイオマーカーとも相関し検証されているPaO2 を経皮的酸素飽和度(saturation of percutaneous oxygen;SpO2)で代用する場合もある。PAP の各種疫学調査、各種臨床試験で内外で用いられている2)。 ガイドライン作成委員会では、このDSS を引き続き踏襲する。 PAP の管理重症度分類難病認定基準 厚生労働省の指定難病では上記DSS に加えて、PAPの難治化要因として、1)明らかな肺線維症の合併、2)反復、継続する感染症合併、3)CPAP/HPAP の場合、4) 6 分間歩行試験でSpO2 90%未満を認める場合、DSS に 表PAP のDSS DSS症状PaO2 1 なし PaO2 ≧70 Torr 2 あり PaO2 ≧70 Torr 3 不問 70 Torr >PaO2 ≧60 Torr 4 不問 60 Torr >PaO2 ≧50 Torr 5不問50 Torr >PaO2 DSS:disease severity score(疾患重症度スコア) 症状は労作時呼吸困難、咳、痰など。PaO2 は室内気下、安静臥位で測定する。 (文献1、2 より引用)
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P A P 診療マニュアル総論第II章 References 1) 井上義一,中田光(監).肺胞蛋白症の診断,治療,管理の指 針.2012. 2) 難病情報センター.肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性) (指定 難病229)https://www.nanbyou.or.jp/entry/4775 (閲覧: 2022-02-08) 3) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al;Japanese Center of the Rare Lung Diseases Consortium. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 4) Tazawa R, Trapnell BC, Inoue Y, et al. Inhaled granulocyte/ macrophage-colony stimulating factor as therapy for pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181:1345-54. 5) Tazawa R, Ueda T, Abe M, et al. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2019;381: 923-32. 6) Trapnell BC, Inoue Y, Bonella F, et al;IMPALA Trial Investigators. Inhaled Molgramostim Therapy in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;383:1635-44.
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総論 肺胞蛋白症(PAP)の治療アルゴリズム から、可能であれば2 ~3 ヵ月経過観察を行う1)。また、感染症(アスペルギルス症、ノカルジア症、非結核性抗酸菌症、結核など)、ほかのILD などの合併症に対する対策も必要である。わずかであるが肺移植の報告もある。 2)SPAP の治療 SPAP は基礎疾患の治療(MDS に対する同種造血幹細胞移植)、洗浄療法を行う。WLL も行われるが、長期予後の改善はみられていない。 3)CPAP/HPAP の治療 対症療法として全身状態の管理、酸素投与、人工換気が行われる。WLL 治療の有効性が報告されているが、その効果には幅がある。 4)UPAP の治療 必要に応じて対症療法、WLL が実施される。 Reference 1) 井上義一,中田 光( 監).肺胞蛋白症の診断,治療,管理の指 針.2012.p.12. PAP の治療アルゴリズム1)APAP の治療 APAP の治療は、対症療法(去痰剤、鎮咳剤)、洗浄療法(全肺洗浄〔法〕〔whole lung lavage;WLL〕、区域洗浄)、試験的治療(rh GM-CSF 吸入療法ほか、2022 年時点で保険適用なし)、呼吸不全の治療(長期酸素療法)を行うが、図に示すDSS に応じた治療アルゴリズムを参考にする。 つまり、DSS 1(PaO2 ≧70 Torr、無症状)では慎重な経過観察、DSS 2(PaO2 ≧70 Torr、有症状)では経過観察あるいは対症療法(去痰剤、鎮咳剤)、DSS 3(70 Torr > PaO2 ≧60 Torr)では対症療法、洗浄療法、試験的治療、長期酸素療法、DSS 4(60 Torr >PaO2 ≧50 Torr)では対症療法、洗浄療法、試験的治療、長期酸素療法、DSS 5(50 Torr >PaO2)では洗浄療法、試験的治療(rh GM-CSF 吸入療法)、長期酸素療法を行う。洗浄療法は基本的にWLL(全身麻酔下)が行われるが、気管支鏡を用いた区域洗浄も行われる。rh GM-CSF 吸入としてサルグラモスチム、モルグラモスチムの2 種類の薬剤が用いられている(2022 年時点で未承認)。また、APAP の20 ~30%の患者は自然軽快あるいは自然寛解すること DSS 1 2 3 4 5症状なしあり問わず PaO2注)(Torr) PaO2 ≧70 70 >PaO2 ≧60 60 >PaO2 ≧50 50 >PaO2 治療慎重な経過観察区域洗浄WLL試験的治療(GM-CSF など)対症療法長期酸素療法 対症療法(去痰剤、鎮咳剤) 図DSS に応じたAPAP の治療 注:PaO2 は室内気下、安静臥位で測定する。
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P A P 診療マニュアル総論第II章 総論 症状、理学所見:自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) References 1) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 2) Bonella F, Bauer PC, Griese M, et al. Pulmonary alveolar proteinosis: new insights from a single-center cohort of 70 patients. Respir Med. 2011;105:1908-16. 3) Campo I, Mariani F, Rodi G, et al. Assessment and management of pulmonary alveolar proteinosis in a reference center. Orphanet J Rare Dis. 2013;8:40. 4) Ishii H, Seymour JF, Tazawa R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis complicating myelodysplastic syndrome results in worsening of prognosis: a retrospective cohort study in Japan. BMC Pulm Med. 2014;14:37. 本邦のAPAP は無症状が31.4%、有症状では呼吸困難のみの症例が39%と最も多く、次いで呼吸困難と咳嗽の症例が10.8%、咳嗽のみが9.9%と報告されている(図) 1)。胸部画像の陰影が派手な割りに呼吸困難などの症状が軽度であることが多い。ドイツ2)、イタリア3)の報告では、それぞれ呼吸困難94%、67%、咳嗽66%、31%であった。ほかの症状として、ドイツの報告では倦怠感49%、体重減少43%と報告されている2)。 MDS を伴うSPAP(MDS-SPAP)では無症状が16%、有症状では発熱が最も多く45%、次いで労作時呼吸困難42%、咳嗽42%であった4)。CPAP/HPAP では重篤な場合が多い。理学所見は乏しいことが多いが、捻髪音やばち指、チアノーゼを認めることもある。 無症状呼吸困難のみ咳嗽のみ喀痰のみ呼吸困難+咳嗽呼吸困難+喀痰呼吸困難+咳嗽+喀痰その他不明 31.4 1.3 4 2.2 1.3 10.8 9.9 39 0 (%) 図APAP の症状 (文献1 より作成)
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総論 血液検査1(LDH、KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA):自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、 続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) シスなどのILD ならびに肺がんなどの悪性腫瘍で上昇が認められるが3)、1998 年にTakahashi らは、KL-6 が4 名のPAP 患者の血清中で上昇し(平均6,119 U/mL)、ほかのILD よりも高値であることを示した4)。2014 年のArai らの報告でも、48 名のAPAP 患者の血清KL-6 (平均7,320 U/mL)はほかのILD よりも高値で、ほかのILD を鑑別するためのカットオフは2,050 U/mL であった5)。また、APAP 以外のILD 症例で血清KL-6 が5,000 U/mL を超える著明高値例は、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fi brosis;IPF)64 例中1 例6)、特発性非特異性間質性肺炎(nonspecifi c interstitial pneumonia;NSIP)21 例中1 例7)で、慢性HP 187 例の血清KL-6(四分位範囲)は872 ~3,170 U/mL であった8)。したがって、少なくとも血清KL-6 が5,000 U/mLを超えるような著明高値のILD の場合、APAP の鑑別を忘れないことが重要である9)。 2008 年の本邦におけるAPAP 症例の大規模コホート研究10)およびその他の報告11-16)でも、血清KL-6 が疾患重症度の指標と相関することが示されている。本邦の大規模コホート研究において、最も軽症であるDSS 1 の群でも血清KL-6 は中央値1,120 U/mL(四分位範囲739 ~2,480 U/mL)であり10)、軽症例でも血清KL-6 が基準値(<500 U/mL)より上昇する例がほとんどである。Bonella らは、血清KL-6 がAPAP の予後予測のマーカーであり、1,526 U/mL 以上で疾患進行と、2,157 U/mL 以上でWLL の反復と関連し15)、MUC1 遺伝子多型は血清KL-6 およびAPAP の疾患進行と関連していたと報告した17)。WLL により血清KL-6 は低下する18)。また、本邦のGM-CSF 吸入薬の臨床試験において、GM-CSF 吸入後に血清KL-6 は低下を示した19-22)。 PAP の患者の血清中では、さまざまな物質が病状の推移とともに変動することが報告されている。特に、ILD マーカー(LDH、KL-6、SP-D、SP-A)および腫瘍マーカー(CEA、CYFRA)について多く検討されており、PAP の鑑別診断と病状評価のマーカーとして使用されている。その報告のほとんどは、APAP あるいは抗GM-CSF 抗体の意義が明らかになる以前の特発性PAP の症例によるものである。一方で、いずれもPAPに特異的な血清マーカーではなく、画像的にも鑑別を要するILD や肺がんなどでも上昇を示す点には注意を要する。よって、PAP の鑑別診断ならびに病状評価は、血清マーカーの結果のみならず、ほかの臨床所見や検査所見とあわせて総合的に検討することが重要である。 LDH 血清LDH がPAP で上昇し、病勢と相関することは古くから報告されている1)。ただし、ほかの血清マーカーと比較して非特異的なマーカーである。 KL-6 KL-6 はKohno らによって肺がんに対するモノクローナル抗体の1 つとして開発された2)。KL-6 は分子量20 kDa 以上の糖蛋白であり、MUC1 ムチン(mucin; MUC)に分類される。MUC1 は細胞膜直上で切断され可溶性成分となり、血清中で測定される。KL-6 はII型肺胞上皮細胞、細気管支上皮細胞の管腔側で発現し、間質性肺炎(interstitial pneumonia;IP)のマーカーとして開発が進んだ。KL-6 は特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias;IIPs)、膠原病関連IP、過敏性肺(臓)炎(hypersensitivity pneumonitis;HP)、放射線肺炎、薬剤性肺障害、急性呼吸窮(促)迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)、サルコイドー
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P A P 診療マニュアル総論第II章 SPAP、CPAP/HPAP における血清マーカー SPAP、CPAP/HPAP における血清マーカーの報告は限られている。2009 年のIshii らの報告では、SPAP でも血清KL-6、SP-D、SP-A、CEA は上昇していたが、APAP との間に有意差は認めなかった31)。しかし、SPAP における胸部CT のすりガラス様陰影(groundglass opacity;GGO)の程度と血清KL-6、CEA の間に相関は認められなかった31)。また、MDS を基礎疾患とするSPAP において、血清KL-6 とSP-D はMDS の重症度とは関連していなかった32)。また、2010 年にSuzuki らが8 例のHPAP 症例を報告し、血清SP-D が上昇している症例があることを報告している33)。 References 1) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166:215-35. 2) Kohno N, Akiyama M, Kyoizumi S, et al. Detection of soluble tumor-associated antigens in sera and eff usions using novel monoclonal antibodies, KL-3 and KL-6, against lung adenocarcinoma. Jpn J Clin Oncol. 1988;18:203-16. 3) Ishikawa N, Hattori N, Yokoyama A, et al. Utility of KL-6/ MUC1 in the clinical management of interstitial lung diseases. Respir Investig. 2012;50:3-13. 4) Takahashi T, Munakata M, Suzuki I, et al. Serum and bronchoalveolar fl uid KL-6 levels in patients with pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 1998;158: 1294-8. 5) Arai T, Inoue Y, Sugimoto C, et al. CYFRA 21-1 as a disease severity marker for autoimmune pulmonary alveolar proteinosis. Respirology. 2014;19:246-52. 6) Ohshimo S, Ishikawa N, Horimasu Y, et al. Baseline KL-6 predicts increased risk for acute exacerbation of idiopathic pulmonary fi brosis. Respir Med. 2014;108:1031-9. 7) Ichiyasu H, Ichikado K, Yamashita A, et al. Pneumocyte biomarkers KL-6 and surfactant protein D reflect the distinct fi ndings of high-resolution computed tomography in nonspecific interstitial pneumonia. Respiration. 2012;83: 190-7. 8) Okamoto T, Miyazaki Y, Ogura T, et al. Nationwide epidemiological survey of chronic hypersensitivity pneumonitis in Japan. Respir Investig. 2013;51:191-9. 9) 吉澤和孝,朝川勝明,坂上拓郎,他.特発性間質性肺炎として ステロイド投与中に診断に至った自己免疫性肺胞蛋白症の1例.日呼吸会誌.2018;7:379-83. 10) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 肺サーファクタント蛋白 肺サーファクタント蛋白にはSP-A、SP-B、SP-C、SP-D が存在する。そのうち、SP-A、SP-D は分子量が28 ~36 kDa、43 kDa の親水性のリポ蛋白で、II型肺胞上皮細胞、クラブ細胞で産生され、肺胞腔内へ分泌される。血清SP-A、SP-D はIP で有用性が確認されているが、1993 年にKuroki らがPAP 患者で血清SP-A が上昇することを示し23)、1995 年にはHonda らが血清SP-D が上昇することを示した24)。2008 年の本邦におけるAPAP 症例の大規模コホート研究10)およびその他の報告11, 14, 16, 25)でも、血清SP-A、SP-D がDSS の指標と相関することが示されている。WLL により血清SP-A、SP-D は低下する18)。また、本邦の早期のGM- CSF 吸入薬の臨床試験において、GM-CSF 吸入後に血清SP-A は低下を示したが19, 20)、その後に行われたランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)では有意な変化は認められなかった21)。 腫瘍マーカー(特にCEA、CYFRA) 1995 年にHirakata らが6 名のPAP 患者の血清中の腫瘍マーカーを検討し、CEA、CYFRA、CA19-9、SLX が上昇する症例があることを報告した26)。2014 年にArai らはPAP 患者の血清CEA、CYFRA がほかのILD よりも高値であることを示し、特にCYFRA がほかのILD との鑑別能においてKL-6 と匹敵していたことを報告した5)。複数の研究において、血清CEA、CYFRA がDSS の指標と相関することが示されている5, 10, 11, 13, 27, 28)。WLL の施行により血清CEA、CYFRAは減少する5, 18, 29)。本邦の早期のGM-CSF 吸入薬の臨床試験において、GM-CSF 吸入後に血清CEA は低下を示したが19, 20)、その後に行われたRCT では有意な変化は認められなかった21)。Arai らの報告では、GM-CSF 吸入治療奏効群で血清CYFRA は低下したことが示されている5)。 その他 Bonella らは、血清中のキチナーゼ様蛋白質YKL-40が健常者群に比べてAPAP 患者群で上昇しており、血清YKL-40 の高値(>300 ng/mL)がその後の疾患進行と関連していたことを報告している30)。
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2008;177:752-62. 11) Inoue Y, Nakata K, Arai T, et al. Epidemiological and clinical features of idiopathic pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Respirology. 2006;11 Suppl:S55-60. 12) Lin FC, Chen YC, Chang SC. Clinical importance of bronchoalveolar lavage fl uid and blood cytokines, surfactant protein D, and Kerbs von Lungren 6 antigen in idiopathic pulmonary alveolar proteinosis. Mayo Clin Proc. 2008;83: 1344-9. 13) Bonella F, Bauer PC, Griese M, et al. Pulmonary alveolar proteinosis: new insights from a single-center cohort of 70 patients. Respir Med. 2011;105:1908-16. 14) Nei T, Urano S, Itoh Y, et al. Light chain (κ / λ)ratio of GM-CSF autoantibodies is associated with disease severity in autoimmune pulmonary alveolar proteinosis. Clin Immunol. 2013;149:357-64. 15) Bonella F, Ohshimo S, Miaotian C, et al. Serum KL-6 is a predictor of outcome in pulmonary alveolar proteinosis. Orphanet J Rare Dis. 2013;8:53. 16) Tokura S, Akira M, Okuma T, et al. A Semiquantitative Computed Tomographic Grading System for Evaluating Therapeutic Response in Pulmonary Alveolar Proteinosis. Ann Am Thorac Soc. 2017;14:1403-11. 17) Bonella F, Long X, Ohshimo S, et al. MUC1 gene polymorphisms are associated with serum KL-6 levels and pulmonary dysfunction in pulmonary alveolar proteinosis. Orphanet J Rare Dis. 2016;11:48. 18) 杉本親寿,新井 徹,西山明秀,他.全肺洗浄を施行した自己 免疫性肺胞蛋白症 8 例の手技,効果,安全性の多面的評価.日呼吸会誌.2011;49:569-76. 19) Tazawa R, Trapnell BC, Inoue Y, et al. Inhaled granulocyte/ macrophage-colony stimulating factor as therapy for pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181:1345-54. 20) Ohashi K, Sato A, Takada T, et al. Direct evidence that GM- CSF inhalation improves lung clearance in pulmonary alveolar proteinosis. Respir Med. 2012;106:284-93. 21) Tazawa R, Ueda T, Abe M, et al. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2019;381: 923-32. 22) Trapnell BC, Inoue Y, Bonella F, et al. Inhaled Molgramostim Therapy in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;383:1635-44. 23) Kuroki Y, Tsutahara S, Shijubo N, et al. Elevated levels of lung surfactant protein A in sera from patients with idiopathic pulmonary fibrosis and pulmonary alveolar proteinosis. Am Rev Respir Dis. 1993;147:723-9. 24) Honda Y, Kuroki Y, Matsuura E, et al. Pulmonary surfactant protein D in sera and bronchoalveolar lavage fluids. Am J Respir Crit Care Med. 1995;152(6 Pt 1):1860-6. 25) Seymour JF, Doyle IR, Nakata K, et al. Relationship of anti- GM-CSF antibody concentration, surfactant protein A and B levels, and serum LDH to pulmonary parameters and response to GM-CSF therapy in patients with idiopathic alveolar proteinosis. Thorax. 2003;58:252-7. 26) Hirakata Y, Kobayashi J, Sugama Y, et al. Elevation of tumour markers in serum and bronchoalveolar lavage fl uid in pulmonary alveolar proteinosis. Eur Respir J. 1995;8: 689-96. 27) Fujishima T, Honda Y, Shijubo N, et al. Increased carcinoembryonic antigen concentrations in sera and bronchoalveolar lavage fluids of patients with pulmonary alveolar proteinosis. Respiration. 1995;62:317-21. 28) Shi S, Chen L, Qiu X, et al. Valuable Serum Markers in Pulmonary Alveolar Proteinosis. Dis Markers. 2019;2019: 9709531 29) Fang SC, Lu KH, Wang CY, et al. Elevated tumor markers in patients with pulmonary alveolar proteinosis. Clin Chem Lab Med. 2013;51:1493-8. 30) Bonella F, Long X, He X, et al. Serum YKL-40 is a reliable biomarker for pulmonary alveolar proteinosis. Respirology. 2017;22:1371-8. 31) Ishii H, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Comparative study of high-resolution CT findings between autoimmune and secondary pulmonary alveolar proteinosis. Chest. 2009;136: 1348-55. 32) Ishii H, Seymour JF, Tazawa R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis complicating myelodysplastic syndrome results in worsening of prognosis: a retrospective cohort study in Japan. BMC Pulm Med. 2014;14:37. 33) Suzuki T, Sakagami T, Young LR, et al. Hereditary pulmonary alveolar proteinosis: pathogenesis, presentation, diagnosis, and therapy. Am J Respir Crit Care Med. 2010; 182:1292-304.
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P A P 診療マニュアル総論第II章 総論 血液検査2(抗GM-CSF 抗体、特異性と基準値およびカットオフ):自己免疫性肺胞蛋白症 (APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) ろ、カットオフ値APAP と健常コントロール)、あるいは基準値を1.65 U/mL と設定すると、感度100%、特異性97.6%であった(図) 8)。1 U/mL は、20 人のAPAP の患者プール血清から精製した抗GM-CSF ポリクローナル抗体1 μg/mL と同等濃度の本キットの標準抗体濃度と定義されている。 血液疾患などに続発するとされるSPAP では、本キットで測定した40 検体中カットオフを超えたのが1 検体であり、1.9 U/mL であった8)。 細胞内GM-CSF シグナルの異常、あるいはサーファクタント代謝異常によって発症するCPAP/HPAP は、病態の成り立ちからGM-CSF 抗体がかかわらないとされており、本キットでは、HPAP 5 名のすべてでカットオフ値を下回った(5 例の平均値:0.148 ± 0.141 U/ mL) 8)。一方、膠原病肺、薬剤性肺疾患、IP、肺感染症などのほかの呼吸器疾患では、162 例中4 例でカットオフ値を上回った(162 例の平均値:0.517 ± 0.818 U/mL) 8)。本キットを用いると、1.65 U/mL を下 回ったときにはAPAP ではないといえ、また27 U/mL以上であれば99%の確率でAPAP であるといえる。SRL では現在基準値を1.7 U/mL 未満(参考値)として結果を報告している。 本キットとは異なる標準抗体と方法を用いたNishimura らの報告では、APAP 患者、健常者および慢性呼吸器疾患(サルコイドーシス、IIPs、塵肺症)の患者血清で抗GM-CSF 抗体濃度を測定したところ、 2.8 μg/mL をカットオフとしたときに診断感度は 100%、特異度は98%であったとしている9)。Katayamaらの報告では、血清抗GM-CSF 抗体濃度3.33 μg/mLをカットオフとすると、健常者とAPAP の診断感度、特異度ともに100%であった10)。サルコイドーシスやHP で抗GM-CSF 抗体濃度が上昇していたが、APAP 1998 年に、APAP の疾患特異的に抗GM-CSF 抗体が特異的に高濃度存在していることが発見された1, 2)。APAP 患者から抽出した抗GM-CSF 抗体をカニクイザルに投与することで、PAP 類似の肺病変を引き起こすことが確認されるに至って3)、抗GM-CSF 抗体がAPAP の病因物質として知られるようになった。 GM-CSF に対する自己抗体を測定する方法は、各研究機関で個別に実施されていたが、検出できる最大希釈率で表示したもの2, 4)、患者から抽出した自己抗体を標準抗体とした酵素結合免疫吸着測定法(enzyme-linked immuno-sorbent assay;ELISA) 5)、あるいはヒト型モ ノクローナル抗体を標準抗体としたELISA 6)などが用いられていた。抗GM-CSF 抗体は微量だが健常者にも検出されており、そのうちいくつかはGM-CSF との免疫複合体を形成しているものと思われ7)、抗体濃度が低い検体での正確な定量は難しいと考えられているが、APAP ではフリーな自己抗体が大部分を占めていると思われ、適切な方法を用いることで定量は可能である。 Nakata と株式会社医学生物学研究所(MBL)は、ELISA の標準抗体として、ヒトマウスキメラモノクローナル抗GM-CSF 抗体を開発した。さらに、血清中の抗GM-CSF 抗体以外の非特異的IgG の結合を極力抑えることに成功し、従来よりもカットオフ値(APAP と健常コントロール)、あるいは基準値を低く抑えることで、ELISA の感度を高めた。この方法は、2000 年に同社により研究用試薬キットとして市販され、2020 年5 月から、本キットを用いて株式会社エスアールエル(SRL)による受託測定が開始されている。本キットを用いて測定したところ、213 人のAPAP 患者の血清中抗体濃度は 103.6 ± 127.5 U/mL であった。ほかのPAP(SPAP、 CPAP/HPAP)や、胸部CT 画像上GGO を示す呼吸器疾患患者の血清207 検体を対照に用いて検証したとこ
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の初期症状である可能性を示唆している。ただし、Nishimura ら、Katayama らの報告は、Nakata らの報告とは別の標準抗体と検出方法、結果表記(μg/mL)であるため、注意が必要である。 呼吸器症状が顕著でないが、胸部X 線写真で異常を指摘された初期のAPAP で、抗体検査が診断に有用であったとの報告もある11)。 PAP 以外の炎症性腸疾患患者12)や悪性腫瘍疾患などでGM-CSF 製剤の使用中の患者で抗体が検出されるとの報告があり13)、特異度が100%でないことから、抗GM-CSF 抗体値が低い場合は、画像所見に加えて気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage;BAL)や肺生検が診断上必要となる。また、これまでのところ、血清抗GM-CSF 抗体濃度が病勢と相関するエビデンスは示されていない14)。 MBL 社のキットは、厚生労働省により保険収載が検討されており、実現すれば安価な測定が可能となり、普及が見込める。 References 1) Kitamura T, Tanaka N, Watanabe J, et al. Idiopathic pulmonary alveolar proteinosis as an autoimmune disease with neutralizing antibody against granulocyte/macrophage colony-stimulating factor. J Exp Med. 1999;190:875-80. 2) Kitamura T, Uchida K, Tanaka N, et al. Serological diagnosis of idiopathic pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2000;162(2 Pt 1):658-62. 3) Sakagami T, Uchida K, Suzuki T, et al. Human GM-CSF autoantibodies and reproduction of pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 2009;361:2679-81. 4) Lin FC, Chang GD, Chern MS, et al. Clinical signifi cance of anti-GM-CSF antibodies in idiopathic pulmonary alveolar proteinosis. Thorax. 2006;61:528-34. 5) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 6) Uchida K, Nakata K, Carey B, et al. Standardized serum GM- CSF autoantibody testing for the routine clinical diagnosis of autoimmune pulmonary alveolar proteinosis. J Immunol Methods. 2014;402:57-70. 7) Uchida K, Nakata K, Suzuki T, et al. Granulocyte/ macrophage-colony-stimulating factor autoantibodies and myeloid cell immune functions in healthy subjects. Blood. 2009;113:2547-56. 8) Nakata K, Sugi T, Kuroda K, et al. Validation of a new serum granulocyte-macrophage colony-stimulating factor autoantibody testing kit. ERJ Open Res. 2020;6:00259- 2019. 100.00 1.00 0.01 Positive probability APAP SPAP HPAP Cut off Other lung diseases https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/ 図血清中抗GM-CSF 抗体濃度 APAP 患者(n=213)の抗GM‒CSF 抗体濃度は、SPAP(n=40)、HPAP(n=5)、ほかの呼吸器疾患(n=162)と比較して有意に高く、カットオフ値を1.65 U/mL と設定すると、APAP の検出感度100%、特異度97.6%であった。 (文献8 より引用)
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総論 生理機能検査:自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) との関係では、%DLCO はDSS によく相関していた。最重症のDSS 5 以外では、%FVC、 %VC は正常範囲内であり、弱いながらもDSS に相関して、肺活量は低下する傾向があった。しかし、DSS とFEV1/FVC の間に相関は認めなかった。さらに、罹病期間と%FVC、%VC、FEV1/FVC、%DLCO に差を認めなかった。しかし、これは登録時での呼吸機能の検討であり、PAPの進行例や改善例も含まれているため、重症度、自然経過、治療効果など多様な要因が関与していると考えられる。また、血清抗GM-CSF 抗体濃度と、呼吸機能の間に相関は認めなかった。他方、2 つの二重盲検比較試験では、2019 年にTazawa らが、PAGE 試験として軽中等症のAPAP 患者33 名は、コントロール群31 名と比べ、25 週目において%VC の改善は認めなかったが、% APAP の呼吸機能については、2008 年にInoue らが、本邦における大規模集団のPAP 患者の特徴を報告している。本邦のPAP 患者248 例を登録し、血清抗GM-CSF 抗体を測定し、上昇のみられたAPAP であった223 例(90%)について、その特徴について横断的に検討している1)。%努力肺活量(forced vital capacity % predicted;%FVC)88.0 ±18.9%(150 名)、対標準肺活量(vital capacity % predicted;%VC) 89.4 ±19.3% (187 名)で、1 秒率(forced expiratory volume in one second/forced vital capacity;FEV1/FVC)84.3 ± 11.2%(186 名)と、平均では換気障害は認められなかった。しかし、%DLCO は、68.6 ±26.6% (154 名)と軽度低下していた。また、図1)に示すように自覚症状と低酸素血症の程度に基づいたDSS による5 段階と呼吸機能 100 80 60 40 20 0 (%) 1 %FVC 2 3 4 5 100 80 60 40 20 0 (%) 1 FEV1/FVC 2 3 4 5 100 80 60 40 20 0 (%) 1 %DLCO DSS DSS DSS 2 3 4 5 図DSS と呼吸機能 %FVC:forced vital capacity %predicted(%努力肺活量)、FEV1/FVC:forced expiratory volume in one second/forced vital capacity(1 秒率)、%DLCO:diff using capacity of the lung for carbon monoxide %predicted(%肺拡散能) (文献1 より作成)
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P A P 診療マニュアル総論第II章 DLCO 4.7 ±15.57%と有意に改善を認めたと報告した2)。2020 年にTrapnell らが、IMPALA 試験としてAPAP患者138 名を連日投与群、隔週連日投与群、コントロール群の3 群に振り分けて、24 週目でコントロール群に比べ、連日投与群で%DLCO が7.8%の差で有意な改善を報告している3)。またTian らは非盲検比較試験において、rh GM-CSF 吸入の実薬群19 例とプラセボ群17例の間で、投与6 ヵ月目での%DLCO、%FVC、%全肺気量(total lung capacity;TLC)は差を認めなかったが、経過観察1 年半後(24 ヵ月目)で、%DLCO、% TLC に有意な改善がみられたと報告している4)。 SPAP の呼吸機能については、あまり報告がない。Ishii 5)らは、HRCT の画像的特徴をAPAP 症例とSPAP症例各21 名で比較しており、SPAP 群の%VC は91.8% (18 名)で差がなく、%DLCO は44.5%(15 名)と有意な低下があった。またZhang らは、8 名のSPAP で呼吸機能検査を実施した7 名中6 名で努力肺活量(forced vital capacity;FVC)、1 秒量(forced expiratory volume in one second;FEV1)は正常で、DLCO は5 例中5 例で中等度の低下があったと報告している6)。 CPAP/HPAP の呼吸機能については、さらに報告が少なく、Suzuki らが数例の症例について報告している7)。4 名の呼吸機能を実施できたうち、呼吸困難の症状を呈していた3 名は拘束性換気障害を呈し、%DLCOを評価できた2 例では、ともに%DLCO 55%程度に低下していた。 肺胞内にサーファクタントが蓄積するPAP の病態から推定されるように、生理機能検査においては、ガス交換障害である%DLCO の低下から生じ、重症度、進行 状況などによって拘束性換気障害を呈する場合がみられるようになる。 References 1) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 2) Tazawa R, Ueda T, Abe M, et al. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2019;381: 923-32. 3) Trapnell BC, Inoue Y, Bonella F, et al. Inhaled Molgramostim Therapy in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;383:1635-44. 4) Tian X, Yang Y, Chen L, et al. Inhaled granulocyte- macrophage colony stimulating factor for mild-to-moderate autoimmune pulmonary alveolar proteinosis - a six month phase IIrandomized study with 24 months of follow-up. Orphanet J Rare Dis. 2020;15:174. 5) Ishii H, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Comparative study of high-resolution CT findings between autoimmune and secondary pulmonary alveolar proteinosis. Chest. 2009;136: 1348-55. 6) Zhang D, Tian X, Feng R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis: a single-center retrospective study (a case series and literature review). BMC Pulm Med. 2018; 18:15. 7) Suzuki T, Sakagami T, Young LR, et al. Hereditary pulmonary alveolar proteinosis:pathogenesis, presentation, diagnosis, and therapy. Am J Respir Crit Care Med. 2010; 182:1292-304.
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総論 肺胞蛋白症(PAP)画像所見 等影ではなく、辺縁不鮮明な微細班状影あるいはGGOであることが多い5)。粟粒結核に似た粟粒陰影を呈した症例も報告されている2)。PAP のリポ蛋白が末梢気管支を閉塞することによって生じると考えられている板状や区域性の無気肺がみられることがある。Bulla やpneumatocele も生じることがある1, 2)。胸部X 線所見上の陰影の程度と臨床症状が解離していることがある(clinicoradiographic discrepancy) 4)。 PAP の胸部X 線所見は非特異的であり、初期には肺炎とみなされている場合も多い。 PAP の陰影は自然に緩解したり、移動したりすることがある。長期例で肺胞性陰影から線維化を示唆する間 胸部X 線所見 APAP では両側対称性に中下肺野に分布する浸潤影が最も多い1-3)。側胸壁胸膜直下、肺尖部、肋骨横隔膜角部に異常影の出現を欠く(図1-A)。そのような陰影はPAP 症例の30 ~60%程度に認められると報告されている2, 4)。両側肺門部からびまん性に広がる肺水腫に似た両側対称性の蝶形の浸潤影もときにみられる。うっ血性心不全と異なり、心肥大やカーリーのB 線は認められない(図2-A)。両肺野対称性陰影であることが多いが、左右非対称な陰影や片肺性の陰影もみられる。まれに上肺野優位に陰影がみられることもある2)。 PAP の陰影の性状は、気管支透亮像を伴う濃厚な均 L 立位 A B胸部X 線像胸部HRCT 像、crazy-paving pattern 図1 APAP の画像所見1 A:両肺中下野優位に浸潤影が認められる。側胸壁胸膜直下、肋骨横隔膜角部に異常影を欠いている。B:小葉間隔壁、小葉内間質肥厚像を伴うGGO が認められる。
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第I章 P A P 診療マニュアル総論第II章 質性陰影へ移行した症例がみられる1, 2)。陰影が消失する場合、肺末梢から中枢側へ消失するか6)、いわゆる“spotty”に消失し非対称の陰影となる傾向がある2)。 MDS-SPAP の胸部X 線像(図3-A)も基本的には同様の像をとりうるが、APAP と比べ遍在性であることが多い。また、下肺野優位性もみられない7)。悪性造血性疾患に関連したPAP では、両側対称性の蝶形の浸潤影以外に、肺葉性の浸潤影、結節影、肺門リンパ節腫大などがみられる8)。 サーファクタント異常症の胸部X 線像は肺硝子膜症と似た像を呈する9)。サーファクタント異常症では最初は胸部X 線像が一見正常か、両肺野の軽度のGGO を示す。生後24 時間以内で、びまん性の気管支透亮像を伴うGGO が認められる10)。肺硝子膜症、肺炎、肺胞出血、肺水腫などとの鑑別が必要である。 CPAP/HPAP の胸部X 線所見は、非特異的な両側性びまん性の網状・微細粒状影を伴う浸潤影ないしGGOである。胸部HRCT 所見(表) 典型的には、GGO、小葉間隔壁肥厚像、小葉内網状影およびこれらが重なりあった所見、いわゆるcrazypaving pattern が認められる(図1-B、図2-B)。コンソリデーションもみられる(図3-B)。Crazy-paving pattern はPAP に高頻度に認められ診断に有用な所見であるが、他疾患でもみられ、非特異的である。ARDS、急性IP、薬剤性肺炎(図4)、肺胞出血(図5)、肺水腫11)、細気管支肺胞上皮癌(図6)、NSIP(図7)、器質化肺炎、COVID-19 やインフルエンザなどのウイルス性肺炎12-15)(図8)、ニューモシスチス肺炎、サルコイドーシス3)、放射線肺炎、HP、慢性好酸球性肺炎、リポイド肺炎、肺静脈閉塞症4)、レプトスピラ症16)、吸引性肺炎17, 18)、肺胞微石症19)、菌状息肉症20)、カポシ肉腫21)などでみられる。APAP では80%以上、SPAP で40%程度、ARDS、急性IP で20 ~30%程度、薬剤性肺炎、肺胞出血で10%程度、その他の疾患では10%以下である22)。Crazy-paving pattern の描出にはHRCT撮影(スライス厚1.5 mm 未満)が必要である(図9)。 しばしば地図状分布(geographic distribution)を示 胸部X 線像胸部HRCT 像、crazy-paving pattern L 立位 A B 図2 APAP の画像所見2 A: 両側肺門部からびまん性に広がる肺水腫に似た両側対称性の蝶形の浸潤影が認められる。うっ血性心不全と異なり、心肥大やカーリーのB 線は認められない。B:小葉間隔壁、小葉内間質肥厚像を伴うGGO が肺門側や胸膜下に認められる。
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し、正常肺領域とGGO が混在し、正常部と病変部が明瞭に区分される(汎小葉性分布) (図10)。また、胸膜直下の肺野領域が正常に保たれている所見(subpleural sparing)もよく認められる(図11)。まれな所見として、嚢胞、牽引性気管支拡張、蜂窩肺形成がある(図12)。 HRCT 画像病理対応から、PAP のGGO は肺胞腔内を占拠したパス陽性物質と肺胞壁の異常によると考えられる4, 23)。PAP のcrazy-paving pattern は、病理学的には浮腫とパス陽性物質で充満したリンパ管拡張による小葉間隔壁の肥厚によることが文献的に示されている24)が、そのような病理所見をVATS で得られた標本で認めることはほとんどない。Crazy-paving pattern は、真の小葉間隔壁の肥厚がなくても小葉間隔壁に隣接した肺胞腔内にパス陽性物質が蓄積することによっても形成されることが報告されている25)。また、拡張した小葉内静脈がcrazy-paving pattern の形成に関与することが示唆されている26)。パス陽性物質は小葉間隔壁で進展が阻まれ、正常肺野と隣接することがあるため、geographic-lobular distribution を示す。弱拡大の顕微鏡的に結節状の病変を呈するのと同様に結節状陰影がみられる。 PAP の続発症として肺の線維化を引き起こすことが報告されている。なお、肺の線維化の一部は肺感染症によるものであるといわれている27)。Frazier らはCT 上で線維化所見を29%に認めている4)。本邦のコホート調査ではILD の合併を1.4%に認めている28)。PAP の肺の線維化が偶然の合併であるか、PAP の自然経過の終末期であるかどうかは不明である。PAP の難治例のHRCT 画像の経過に関する報告では、44 例のPAP の初回のHRCT 画像で4 例(9%)に肺の線維化所見(牽引性気管支拡張像)がみられ、経過HRCT では10 例(23%)に肺線維化所見が認められた。また、2 例で蜂巣肺が形成された。HRCT 上、crazy-paving pattern から牽引性気管支拡張像と嚢胞像が生じることが観察されている(図12) 29)。HRCT 上のGGO の程度は拘束性障害、拡散能障害の程度とよく相関する30, 31)。PAP のGM-CSF 吸入療法の治療効果判定のためのHRCT 評価法が報告されている32)。肺密度を用いた客観的評価法も報告されている33)。また、びまん性肺疾患における人工知能の活用 胸部X 線像胸部HRCT 像A B 図3 MDS-SPAP の画像所見 A:両側中下肺野優位に浸潤影を認める。B:両肺びまん性に小葉間隔壁、小葉内間質肥厚像を伴うGGO が認められる。
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第I章 P A P 診療マニュアル総論第II章 図4薬剤性肺炎(ゲムシタビン)の胸部HRCT 像、crazy-paving pattern図5特発性肺胞出血の胸部HRCT 像、crazy-paving pattern 表PAP のHRCT 所見 APAP 画像基準 主要所見 1.GGO 2.小葉内網状影および小葉間隔壁肥厚像3.Crazy-paving pattern:所見1 と2 の重なりあい4.コンソリデーション付記: 1. GGO はほぼ全例でみられる。3. crazy-paving pattern はPAP に最も特徴的所見であるがみられない症例もある(71 ~ 80%)。4. コンソリデーションは通常広範にはみられないが、これが最も主要な所見となる症例もある。 主要分布 1.両側性2.地図状分布3.Subpleural sparing付記: 1. 両側性はほとんどの症例でみられる。2. 地図状分布や3. subpleural sparing は多くの症例でみられる(30 ~71%)。 線維化所見 1.牽引性気管支拡張像2.嚢胞3.蜂巣肺 付記:通常みられないが、初回もしくは経過のCT でみられた場合、予後不良を示唆する所見となる。 PAP を支持する所見:以下の(1)および(2)(2012 年の指針ではほぼ確実例)、あるいは(1)のみ(2012 年の指針では疑い例)とする。(1)両側性のcrazy-paving pattern を認める。(2)地図状分布やsubpleural sparing を呈することがある。付記: 1 PAP の診断はHRCT のみでは困難であるため、本ガイドラインではPAP ほぼ確実やPAP 疑いを設定せずPAP を支持する所見に留めている。2 PAP の可能性が高い所見であるが、ほかの疾患でも同様な所見を呈することがあるため鑑別を要する *。* 鑑別を要するHRCT でcrazy-paving pattern を呈する疾患:ARDS、急性IP、薬剤性肺炎、肺胞出血、肺水腫、細気管支肺胞上皮癌、NSIP、器質化肺炎、 COVID-19 やインフルエンザなどのウイルス性肺炎、ニューモシスチス肺炎、サルコイドーシス、放射線肺炎、HP、慢性好酸球性肺炎、リポイド肺炎、肺静脈閉塞症、レプトスピラ症、吸引性肺炎、肺胞微石症、菌状息肉症、カポシ肉腫など。
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は、まだ実験的であるが進んでいる。PAP 7 症例を含むびまん性肺疾患130 症例を対象とした研究で、人工ニューラルネットワークを用いると一般放射線科医の診断能が有意に向上したと報告されている34)。 肺洗浄により、GGO と小葉間隔壁肥厚像はともに減少するが、いくつかの症例でGGO は減少するものの、小葉間隔壁肥厚像は改善しないことがある。肺洗浄により改善を示す症例では、肺門部の改善が先行する症例と全肺野で均等に改善する症例がみられる35)。 SPAP のHRCT 所見もGGO が主体であるが、APAPと比べ、crazy-paving pattern、geographic distribution、subpleural sparing の所見がみられる頻度 が低い(図3-B)。GGO の分布は、APAP では地図状で辺縁が鮮明であり、SPAP では均一で辺縁が不鮮明であることが多い7)。SPAP の多くは血液疾患に伴って生じるが、5 ~10%はシリカなどの粉塵を吸入することによって起こる4)。高濃度のシリカの吸入で急性珪肺が生じる。その病理組織像はPAP と類似しており、“silicoproteinosis” とも呼ばれている。急性珪肺のHRCT 所見は、両側性背側優位のコンソリデーションである。結節も認められ、主に小葉中心性に分布する。融合影もみられる。Crazy-paving pattern はほとんど 図9 APAP の胸部CT 像(10 mm スライス厚) スライス厚10 mm のCT では小葉間隔壁、小葉内間質肥厚像が描出されない。 図8 COVID-19 肺炎の胸部HRCT 像、crazy-paving pattern図7 NSIP の胸部HRCT 像、crazy-paving pattern 図6細気管支肺胞上皮癌の胸部HRCT 像、crazypaving pattern
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第I章 P A P 診療マニュアル総論第II章 認められない。小葉中心性粒状影は silicoproteinosis の85%にみられると報告されている36)。 CPAP/HPAP、サーファクタント異常ではHRCT が施行されにくいが、crazy-paving pattern がみられると報告されている。サーファクタント異常のHRCT 所見は、初期には著明な小葉間隔壁肥厚像を伴うびまん性のGGO であり、経過のCT で線維化を伴う著明な小葉間隔壁肥厚像がみられる。HRCT 所見はサーファクタン ト異常が考えられるときに有用な情報を提供すると報告されている37)。 CPAP/HPAP の初期のHRCT では、両背側にコンソリデーションを伴うびまん性の微細網状粒状影がみられる37)。広範なコンソリデーションを伴う症例は予後が悪いことが報告されている38)。 図11 APAP の胸部HRCT 像、subpleural sparing 胸膜直下に正常肺野が介存し、異常影は胸膜よりわずかに離れてみられる。 図10 APAP の胸部HRCT 像、地図状分布(geographic distribution)世界地図の大陸のように多発性に陰影がみられ、異常影は小葉間隔壁で明瞭に境界されている。 A B初診時10 年後 Reprinted from Pulmonary Fibrosis on High-Resolution CT of Patients With Pulmonary Alveolar Proteinosis, Akira M et al. AJR Am J Roentgenol 207/3, Copyright© 2016, copyright owner as specified in the American Journal of Roentgenology 図12 APAP の胸部HRCT 像 初診のHRCT では小葉内網状影を伴うGGO(crazy-paving pattern)が認められる。10 年後の経過HRCT では牽引性気管支拡張と多数の嚢胞が形成されている。(文献29 より引用)
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PAP はCT、胸部X 線写真以外の画像診断が施行されることは少ないが、ほかのモダリティでの所見も報告されている。FDG-PET 検査はびまん性肺疾患で施行されることは少なく、PAP のFDG-PET 検査所見についてまとまった報告はないが、CT での肺野陰影に重なって軽度の不均一な集積がみられた報告がある39, 40)。ガリウムシンチグラムも一般には行われないが、両肺に集積がみられたという報告がある41)。 References 1) Preger L. Pulmonary alveolar proteinosis. Radiology. 1969; 92:1291-5. 2) Prakash UB, Barham SS, Carpenter HA, et al. Pulmonary alveolar phospholipoproteinosis: experience with 34 cases and a review. Mayo Clin Proc. 1987;62:499-518. 3) Rossi SE, Erasmus JJ, Volpacchio M, et al. “Crazy-paving” pattern at thin-section CT of the lungs: radiologic-pathologic overview. Radiographics. 2003;23:1509-19. 4) Frazier AA, Franks TJ, Cooke EO, et al. From the archives of the AFIP: pulmonary alveolar proteinosis. Radiographics. 2008;28:883-99;quiz 915. 5) Ramirez J. Pulmonary alveolar proteinosis: a roentgenologic analysis. Am J Roentgenol Radium Ther Nucl Med. 1964; 92:571-7. 6) Rosen SH, Castleman B, Liebow AA. Pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 1958;258:1123-42. 7) Ishii H, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Comparative study of high-resolution CT findings between autoimmune and secondary pulmonary alveolar proteinosis. Chest. 2009;136: 1348-55. 8) Carnovale R, Zornoza J, Goldman AM, Luna M. Pulmonary alveolar proteinosis: its association with hematologic malignancy and lymphoma. Radiology. 1977;122:303-6. 9) Herman TE, Nogee LM, McAlister WH, et al. Surfactant protein B deficiency: radiographic manifestations. Pediatr Radiol. 1993;23:373-5. 10) Newman B. Imaging of medical disease of the newborn lung. Radiol Clin North Am. 1999;37:1049-65. 11) Storto ML, Kee ST, Golden JA, et al. Hydrostatic pulmonary edema: high-resolution CT fi ndings. AJR Am J Roentgenol. 1995;165:817-20. 12) Duzgun SA, Durhan G, Demirkazik FB, et al. COVID-19 pneumonia: the great radiological mimicker. Insights Imaging. 2020;11:118. 13) Tanaka N, Emoto T, Suda H, et al. High-resolution computed tomography findings of influenza virus pneumonia: a comparative study between seasonal and novel (H1N1) infl uenza virus pneumonia. Jpn J Radiol. 2012;30:154-61. 14) Marchiori E, Escuissato DL, Gasparetto TD, et al. “Crazy- paving” patterns on high-resolution CT scans in patients with pulmonary complications after hematopoietic stem cell transplantation. Korean J Radiol. 2009;10:21-4. 15) Chan MS, Chan IY, Fung KH, et al. High-resolution CT fi ndings in patients with severe acute respiratory syndrome: a pattern-based approach. AJR Am J Roentgenol. 2004; 182:49-56. 16) Marchiori E, Gasparetto TD, Escuissato DL, et al. Leptospirosis of the lung presenting with crazy-paving pattern: correlation between the high-resolution CT and pathological fi ndings. Rev Port Pneumol. 2008;14:887-91. 17) Lee KH, Kim WS, Cheon JE, et al. Squalene aspiration pneumonia in children: radiographic and CT fi ndings as the fi rst clue to diagnosis. Pediatr Radiol. 2005;35:619-23. 18) Franquet T, Giménez A, Rosón N, et al. Aspiration diseases: findings, pitfalls, and differential diagnosis. Radiographics. 2000;20:673-85. 19) Gasparetto EL, Tazoniero P, Escuissato DL, et al. Pulmonary alveolar microlithiasis presenting with crazy-paving pattern on high resolution CT. Br J Radiol. 2004;77:974-6. 20) Sverzellati N, Poletti V, Chilosi M, et al. The crazy-paving pattern in granulomatous mycosis fungoides: high-resolution computed tomography-pathological correlation. J Comput Assist Tomogr. 2006;30:843-5. 21) da Silva Filho FP, Marchiori E, Valiante PM, et al. AIDS- related Kaposi sarcoma of the lung presenting with a “crazy-paving” pattern on high-resolution CT: imaging and pathologic fi ndings. J Thorac Imaging. 2008;23:135-7. 22) Johkoh T, Itoh H, Müller NL, et al. Crazy-paving appearance at thin-section CT: spectrum of disease and pathologic fi ndings. Radiology. 1999;211:155-60. 23) Miller PA, Ravin CE, Smith GJ, et al. Pulmonary alveolar proteinosis with interstitial involvement. AJR Am J Roentgenol. 1981;137:1069-71. 24) HRCT findings: Parenchymal opacification. In Webb WR, Müller NL, Naidich DP, editor. High-resolution CT of the Lung. 5th edition. Philadelphia:Wolters Kluwer Health; 2015.p.147. 25) Kang EY, Grenier P, Laurent F, et al. Interlobular septal thickening: patterns at high-resolution computed tomography. J Thorac Imaging. 1996;11:260-4. 26) Luo J, Yang D, Zhou S, et al. Crazy paving pattern caused by pulmonary alveolar proteinosis: CT findings and the pathologic basis. Zhong Nan Da Xue Xue Bao Yi Xue Ban. 2014;39:924-9. 27) Fraimow W, Cathcart RT, Kirshner JJ, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. A correlation of pathological and physiological findings in a patient followed up with serial biopsies of the lung. Am J Med. 1960;28:458-67. 28) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al;Japanese Center of the Rare Lung Diseases Consortium. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary
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総論 気管支肺胞洗浄液(BALF)検査所見 必要がある。PAP が疑われる際には、複数枚の標本を作成し、パパニコロー染色、パス染色やギムザ染色などを行い、出現する背景や細胞同定を行う(図1、2)。なお、近年、液状化検体細胞診(liquid-based cytology; LBC)による標本作成も行われているが、作成法による細胞診像の違いなど比較検討がなされておらず、その評価には注意を要する(図3)。また、BAL 細胞診材料からセルブロックを作成し、通常の病理組織と同様にヘマトキシリン・エオジン染色に加え、特殊染色(パス染色やグロコット染色、チールネルゼン染色など)や免疫染色(SP-A、SP-D)が行えるようになり、その汎用性に注目が集まっている(図4)。 本邦では、BALF の病理所見は組織診断とともに、PAP を診断する上で必須の検査項目である1, 2)。BALFの細胞成分の検討はAPAP に関するものが多く、SPAP、CPAP/HPAP のBAL 所見についてはあまり詳細な検討は行われていないが、APAP に準じた所見である。本稿ではAPAP の所見を中心に述べる。 BAL の手技や標本作成は、日本呼吸器学会から発行されている『気管支肺胞洗浄(BAL)法の手引き改訂第3 版』などに沿って行われることが望ましい3)。検体処理の際には、無菌的に細菌学的検査用の検体を取り分けた後に細胞診検体の処理を行う。その際に、濃度が高い白濁検体は、数倍程度に希釈を行った上で標本作成する A B BALF(抗GM-CSF 抗体177 μg/mL) BALF のパパニコロー染色(×400) 図1 APAP 患者(50 代男性)のBALF と病理所見 A:乳び色で米のとぎ汁様の白濁を呈する。B:好酸性の微細顆粒状および大型の無構造物質を認める。
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P A P 診療マニュアル総論第II章 肉眼所見 BALF の外観は“米のとぎ汁様” 1, 3-5)、“milky” 6)と表 現されるように、白濁から黄白色を呈し(図1-A)、時間の経過とともに沈殿する(図1-A)。なお、薄く透明感のある症例もあるので、注意する必要がある。同様の外観を示すものに、ニューモシスチス肺炎やリポイド肺炎などがあげられる。本邦の報告では、細胞診でPAP 所見を認めた73 例中61 例(83.6%)で白濁した外観を呈した7)。海外の報告でも75%の症例で“milky”な外観を呈した5, 6)(表)。 A B BALF のパス染色(×400) BALF のギムザ染色(×400) 図2 APAP 患者(図1)の病理所見 A:細顆粒状物質や大型の物質は、パス染色陽性を示す。B:顆粒状物質に加え、泡沫状の組織球を認める。 図3 LBC 法により検体処理された膠原病に合併し たSPAP 40 代、女性。抗GM-CSF 抗体陰性。パパニコロー染色(× 400)。細顆粒状物質や大型の物質が主体となり、微細顆粒状物質は目立たない。
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細胞診所見 BALF(APAP)のパパニコロー染色の細胞診像は、背景にライトグリーン好性を示す淡い細顆粒状物質が散見され、ときにやや大型の好酸性物質も認められ、それらはパス染色に陽性を示す(図1-B、2-A)。ギムザ染色での細胞像もほぼ同様である1-4, 8-10)(図2-B)。 BAL の細胞分画では、細胞分類ではリンパ球が増多する報告が多い。Azuma らの報告では、細胞診所見陽性78 症例の総細胞数(中央値)は1.10 × 10 5/mL、分画(中央値)はマクロファージ44.6%、リンパ球42.0%、好中球3.4%、好酸球0.6%、CD4/CD8 比は1.4 であった7)。泡沫状マクロファージ(foamy macrophage)がみられる1, 3, 4, 7)。泡沫状マクロファージの細胞内にパス陽性物質を認める(表) 4)。マクロファージ(細胞径40 ~50 μm)の細胞境界は不明瞭となり、細胞外の細顆粒状物質に移行する像が認められる(表)。Tazawa らは、3 例のAPAP 患者のBAL で認められた背景、マクロファージ所見はGM-CSF 吸入により改善したと報告した11)。 電子顕微鏡所見では、背景には多数の類円形の無構造物質と少数のマクロファージが散見され、マクロファージの細胞質内には大小の類円形物質が多数貪食され、ミエリン様構造を呈する(図5)。 SPAP のBAL 所見は基本的にはAPAP と同様の特徴を有するが2, 4, 12)、血液疾患、遺伝子異常を背景とし、SPAP では異常な骨髄由来細胞が病態に関与し、MDS- SPAP では肺胞マクロファージは小型化、核面積/細胞面積(N/C)比が大きい特徴を有するとの報告もある8) 表PAP のBALF 所見 肉眼所見・白濁の外観(米のとぎ汁様、ミルク様)を呈し、放置する と沈殿する。光学顕微鏡所見・ギムザ染色、パス染色、パパニコロー染色(ライトグリーンに染色)で、背景に多数の細顆粒状の無構造物質(光学顕微鏡で観察観察可能である0.2μm 大程度)の沈着。・パス、ライトグリーンに濃染される、さらに大きな(数10μm 程度大の)無構造顆粒状物質を認める。・マクロファージ(細胞径40 ~50μm)の細胞境界が不明瞭となり、細胞外の細顆粒状物質に移行する像が認められる。・泡沫状マクロファージ(foamy macrophage)を認める。・BAL のリンパ球比率の増加。 (文献3、4 より作成) A B C ヘマトキシリン・エオジン染色(×400)パス染色(×400) SP‒A 免疫染色(×400) 図4 APAP 患者(60 代、男性、抗GM-CSF 抗体 76.5μg/mL)のBALF からセルブロック標 本を作成 リンパ球や泡沫状の組織球(マクロファージ)および塵埃細胞に混在して、好酸性細顆粒状や大型硝子様物質が認められ、同物質はパス染色やSP-A 免疫染色で確認できる。
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P A P 診療マニュアル総論第II章 Inoue らの報告では、248 例のPAP の58.7%の患者はHRCT とBAL 所見で診断された15)。Azuma らの報告では、PAP 86 例中78 例(90.7%)のBAL 所見にてPAP 所見が陽性であった7)。 References 1) 井上義一.肺胞蛋白症の診断基準と診断のアルゴリズム.井上 義一,中田光(監).肺胞蛋白症の診断,治療,管理の指針. 2012.pp.10-11. 2) 難病情報センター.肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性) (指定 難病229).https://www.nanbyou.or.jp/entry/4775(閲覧: 2021-09-27) 3) 井上義一,寺本友昭,笠井孝彦.C.その他のびまん性肺疾患 1.肺胞蛋白症(PAP).日本呼吸器学会びまん性肺疾患学術部会,厚生労働省難治性疾患政策研究事業びまん性肺疾患に関する調査研究班(編).気管支肺胞洗浄(BAL)法の手引き改訂第3 版. 東京:克誠堂出版;2017.pp.122-5. 4) 北市正則,笠井孝彦,寺本友昭,他.肺胞蛋白症の病理所見. 日胸臨.2016;75:1245-53. 5) Kumar A, Abdelmalak B, Inoue Y, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in adults: pathophysiology and clinical approach. Lancet Respir Med. 2018;6:554-65. 6) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. (図3、図6、図7)。 CPAP/HPAP、なかでもGM-CSF レセプター異常は基本的にAPAP と同様の所見であるが13)、ほかの遺伝子異常、特に新生児期に発症するCPAP/HPAP のBAL所見について体系的な報告はない(図8 13)、表)。 PAP の診断 表に示すBAL 所見を確認し、「第II章 肺胞蛋白症(PAP)の診断基準と診断アルゴリズム」(p.41)に従って診断する。 細胞診上の鑑別は、淡い細顆粒状物質を確認した場合には、感染症や悪性腫瘍などに伴う変性壊死物があがり、膠原病肺、石綿肺やHP などでも少量出現するとされている10)。大型の好酸性物質は、類デンプン小体、アミロイド、石灰化小体があがる。それぞれの物質が量的に少ない場合には、見逃されたり確定診断に至らなかったりすることもあるので、臨床上PAP が疑われる場合には、TBLB、SLB などによる病理組織診断を行い、適宜特殊染色や免疫染色などを追加し、検討を加える必要がある1, 3, 12, 14, 15)。 図5 APAP 患者のBAL(電子顕微鏡) マクロファージの細胞質内には大小の類円形物質が多数貪食され、ミエリン様構造を呈する。
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alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. the Rare Lung Diseases Consortium. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary
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P A P 診療マニュアル総論第II章 総論 肺胞蛋白症(PAP)の病理組織検査 ている。SPAP、CPAP/HPAP の病理所見も、APAPで認められる末梢気腔内の好酸性の顆粒状のサーファクタント由来物質の異常貯留が基本である。しかしながら、背景疾患の所見や肺線維症の合併が加わると小さな肺組織やBALF では診断が困難であり、SLB あるいは剖検で診断されることも少なくない1, 7-13)。 PAP 診断における病理診断方法 Inoue らの248 例の本邦のPAP コホート疫学研究において58.7%の患者でHRCT とBALF、34.1%の患者はHRCT、BAL とTBLB の所見でPAP と診断された。残りの7.2%の患者はHRCT、BAL、TBLB、さらに胸腔鏡下肺生検(video-assisted thoracic surgery; VATS)で診断されていた14)。また最近、Azuma らはBAL とTBLB でのPAP の診断率を86 例で検討した。これらの86 例は全例APAP であった。BAL 所見では90.7%の症例でPAP の診断が可能だった。TBLB 所見では81.4%でPAP の診断が可能であった。BAL 所見とTBLB 所見の併用では98.8%の症例でPAP の診断が可能であった15)。病理検査の手段について、本ガイドラインでは、PAP の診断に生検鉗子によるTBLB を行うことが提案された(エビデンスの質:低)。経気管支クライオ肺生検(transbronchial lung cryobiopsy;TBLC)を行わないことが提案された (エビデンスの質:とても低い)。ほかの方法で診断できない場合にSLB を行うことが提案された(エビデンスの質:とても低い)。 病理組織の染色は、ヘマトキシリン・エオジン染色とエラスチカ・ワンギーソン染色をまず行う。ヘマトキシリン・エオジン染色所見でPAP を疑った場合、パス染色とSP-A 免疫染色を行って、PAP の診断確認を行う。この追加染色の依頼時には、グロコット染色、チール・ネルゼン染色とグラム染色も依頼する。ニューモシスチ PAP は、1958 年にRosen、Castleman、Liebow らが病理診断を行った27 症例(剖検5 例、生検21 例、画像所見による診断1 例)を総括して報告したのが最初である1)。ここでの生検は1953 年から1957 年の施行であり、肋間筋の切離を伴う開胸肺生検(open lung biopsy;OLB)と推察された。1970 年頃までは外科的肺生検(surgical lung biopsy;SLB)は右肺中葉切除が施行される症例があった。1960 年に報告された本邦で最初のPAP の症例報告は19 歳女性で、1958 年2 月から全身倦怠感があり、1960 年2 月に右肺中葉切除検体で病理診断された症例であった2)。PAP を含むびまん性肺疾患の病理診断のために、1970 年頃から経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy;TBLB)が施行されるようになった。本邦では1984 年に、悪性腫瘍とともにPAPの病理診断がTBLB で可能であることが示された3)。しかし、欧米ではPAP の病理診断所見は2021 年の時点までSLB 所見で提示されてきた。SLB の方法として1995 年頃から、肋間筋の切離を行わない胸腔鏡下のSLB が施行されるようになり、現在に至っている。予定手術(elective surgery)としての胸腔鏡下のSLB は安全な生検手技あることが示された(CQ6 とCQ7 の記載を参照:p.15 ~p.19)。PAP はサーファクタントの生成または分解過程障害により、肺胞腔内を主として末梢気腔内にサーファクタント由来物質である好酸性の顆粒状の蛋白様物質の異常貯留をきたす疾患の総称である4, 5)。通常両側性である。 PAP はAPAP、SPAP、CPAP/HPAP、UPAP に分類され、さまざまな病態で発症するが、PAP 症候群と呼ぶ報告もある6)。 成人のPAP の95%以上はAPAP であり、PAP の病理所見の報告の多くはAPAP で報告され、SPAP、CPAP/HPAP について体系的な報告はきわめて限られ
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ス・イロベチイ(pneumocystis jirovecii)を含む微生物感染症を鑑別するためである。SP-A 染色所見を含む追加報告の時点ではBALF を対象とした一般細菌と抗酸菌の検査が陰性であることを確認する。「第II章肺胞蛋白症(PAP)の診断基準と診断アルゴリズム」(p.41)に従って診断する4, 5)。 APAP の病理所見 SLB 検体で観察すると、肺病変には斑状分布あるいは部位による強弱がみられる。ヘマトキシリン・エオジン染色を行うと、病変部では末梢気腔内に好酸性の蛋白様物質が充満している。PAP では、末梢気腔内の蛋白様の好酸性物質は0.2μm 程度の細顆粒状物質であることが特徴である。この細顆粒状物質は光学顕微鏡の対物× 40 の視野で識別される。これらの細顆粒状物質の集積部位に10 ~20μm 径の好酸性物質の形成がみられる。好酸性細顆粒状物質の集積部位には幅2 ~3μm の裂隙としてlipid clefts を認める。PAP の病変部位では肺間質に軽度のリンパ球系細胞浸潤がみられる。末梢気腔内の細顆粒状物質に対するパス染色、SP-A に対する免疫染色で陽性所見を認める。末梢気腔内のパス染色陽性の蛋白様物質は電子顕微鏡で検討されてきた4, 13)。筆者の観察では、直径0.2 ~4μm の好オスミウム小体あるいは多層構造物質として認められ、直径0.2μm 前後のものが多かった16)(図1、2)。 線維化を伴うPAP PAP、特にAPAP の肺病変に慢性線維化IP を伴うことがある。図3 に示す症例は、末梢気腔内の好酸性の0.2μm 程度の細顆粒状物質が認められなくなり、10 ~ 20μm 径の好酸性物質が残存して認められることから、PAP の肺病変過程での肺線維化病変である可能性が示唆された。 APAP では、5 ~10 年のPAP としての臨床経過の過程で慢性線維化IP の肺病変が明らかになる症例と、初診時点から慢性線維化IP の肺病変を合併している症例がある。慢性線維化IP の病型は、通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia;UIP)パターンあるいは線維性非特異性間質性肺炎(fi brotic nonspecifi c interstitial pneumonia;f-NSIP)パターンが多い4) (図3) 13)。 SPAP SPAP の肺病理所見は生検時点ではAPAP の病理所見と類似するといわれるが、肺胞隔壁への炎症細胞浸潤や水腫性変化、また腔内に器質化滲出物や出血を伴うため、腔内の好酸性細顆粒状物質が確認しにくい。そのため、APAP の病理所見となるヘマトキシリン・エオジン染色における好酸性蛋白様物質の存在を確認することが A B 図1 APAP、SLB 検体 A: 肺病変には斑状分布あるいは部位による強弱を認めた。病変部では膜性細気管支と呼吸細気管支以下の末梢気腔内に好酸性物質が充満している(ヘマトキシリン・エオジン染色、×2、Bar=1 mm)。B: 末梢気腔内にPAP の基本病変である0.2μm 大の好酸性物質が充満している。末梢気腔内に泡沫細胞の集積も認めた。 肺胞壁にはII型肺胞上皮細胞の増生とリンパ球系細胞浸潤も認めた(ヘマトキシリン・エオジン染色、×40、Bar=100 μm)。
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P A P 診療マニュアル総論第II章 重要で、パス染色でも陽性となる0.2μm 径の細顆粒状物質の集蔟をみつけることが大切である。 特に剖検例では、死亡前のこれらの所見が加わり複雑となる。PAP の病理診断の作業としては、0.2μm 径の細顆粒状物質の集籏部位を検出することが大切である7) (図4、5) 13)。CPAP/HPAP PAP としての基本病変はAPAP の場合と類似している。 2008 年にSuzuki らが報告した、SLB を行ったGM- CSF レセプターα鎖異常の1 例ではAPAP に類していた17)。2011 年にTanaka らが報告した、肺移植となっ A B 図3慢性線維化IP(UIP パターン)を合併したAPAP、SLB 検体 A: 胸膜下に優勢に密な線維化病変が形成されている。末梢気腔内の好酸性物質はこの拡大では目立たない(ヘマトキシリン・エオジン染色、×2、Bar=1 mm)。B: SP-A 免疫染色では多数の箇所で末梢気腔内に陽性物質を認めた。ヘマトキシリン・エオジン染色所見から予想したよりも多数の箇所でPAP に相当する所見を認めた(SP-A 染色、×2、Bar=1 mm)。(文献13 より引用) A B C 図2 APAP、TBLB 検体 A: 末梢気腔内に0.2μm 大の弱好酸性細顆粒状物質が充満している(ヘマトキシリン・エオジン染色、×40、 Bar=100μm)。B: 末梢気腔内の細顆粒状の好酸性物質にパス染色陽性所見を認めた。0.8 ~1.3μm 径の顆粒状物質には高度のパス染色陽性所見を認めた(パス染色、×40、Bar=100μm)。C: 末梢気腔内の細顆粒状の好酸性物質に免疫染色で抗SP-A 抗体に陽性所見を認めた(SP-A 染色、×40、Bar=100μm)。
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たGM-CSF レセプターβ鎖異常の1 例は線維化が著明であり、その病理所見を示す9, 11)(図6) 13)。 PAP の鑑別診断 1PAP の肺病変としては、腫瘍性病変、肉芽腫性病変、好中球あるいは好酸球の浸潤、壊死病変、肺胞壁毛細血管のうっ血、フィブリン析出、炭粉沈着、偏光性物質の沈着をみない。これらの所見を認めたときは、PAP とは別の肺疾患である可能性とともに、PAP に別疾患が合併した可能性を検討する必要がある。PAP に 膠原病肺、HP やサルコイドーシスが合併した報告もある18, 19)。PAP に肺感染症を合併することはまれではないが、長い経過の肺感染症にAPAP を合併してくる可能性も示唆されている4, 20)。2末梢気腔内の肺病変として、水腫性変化、粘液貯留、壊死病変が特に問題となる。末梢気腔内の好酸性物質が0.2μm 径の細顆粒状物質から構成されていることから、水腫性変化と粘液貯留を鑑別する。好酸性物質の内部に A B E 図5 MDS に合併したSPAP、剖検検体 A: 末梢気腔内に出血、水腫性変化のほか、PAP の肺病変を認めた。PAP の成分は7 ~20μm 径の好酸性顆粒状物質が主体である(E)。水腫性の部位は好酸性が軽度で、細顆粒状の特徴を欠いていた。水腫性の部位には3 ~10μm 大の空胞形成をみる(短い矢印)。赤血球は3 ~4μm 径の強い好酸性の類円形構造としてみる(長い矢印) (ヘマトキシリン・エオジン染色、×40、Bar=100μm)。B:SP-A 染色では末梢気腔内の細顆粒状物質に陽性所見を認めた(SP-A 染色、×4、Bar=1 mm)。(文献13 より引用) 図4 CML を合併したSPAP、SLB 検体 末梢気腔内に0.2μm 大の好酸性細顆粒状物質の充満を認めた。好酸性細顆粒状物質が集簇した部位には1 × 10μm 大の裂隙(lipid cleft)を認めた(矢印) (ヘマトキシリン・エオジン染色、×40、Bar=100μm)。(文献13 より引用)
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P A P 診療マニュアル総論第II章 好中球をみないこと、好酸性物質が有核細胞のghost cells から構成されていることを確認して、末梢気腔内の壊死病変と鑑別する4, 13)(表)。3泡沫細胞自体は種々の肺疾患で出現することがある。特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia; COP)では末梢気腔内に泡沫細胞の集簇を認める。慢性嚥下性肺炎では細葉中心部に泡沫細胞の集籏を認めることがある。このような場合でも、末梢気腔内の0.2μm径の細顆粒状物質の充満や、泡沫細胞の細胞質に細顆粒状物質が充満されて、細胞外の細顆粒状物質に移行していく像は認めない4, 13)。 References 1) Rosen SH, Castleman B, Liebow AA. Pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 1958;258:1123-42. 2) 岡捨己,金上晴夫,那須省三郎,他.肺胞蛋白症(Pulmonary alveolar proteinosis)の症例と考察.日胸臨.1960;19:391- 402 3) 北市正則.E. 生検.3. びまん性散布性肺病変の経気管支肺生 検(TBLB)による鑑別診断.曽根脩輔(編).呼吸器疾患の画像診断.東京:南江堂;1984. pp.141-56. 4) 北市正則,高木理博,清水重喜.肺胞蛋白症の病理所見(病理 診断と鑑別診断).井上義一,中田光(監).厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症の難治化要因の解明と診断,治療,管理の標準化と指針の確立」に関する研究班.平成22 年度 総括・分担研究報告書.2011. pp.32-44. 5) Kumar A, Abdelmalak B, Inoue Y, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in adults: pathophysiology and clinical approach. Lancet Respir Med. 2018;6:554-65. 6) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16. 7) 石井晴之.続発性肺胞蛋白症:最新の知見と今後の課題 (特集 肺胞蛋白症をめぐる最近の話題).日胸臨.2016;75:1226-35. 8) Green D, Dighe P, Ali NO, et al. Pulmonary alveolar proteinosis complicating chronic myelogenous leukemia. Cancer. 1980;46:1763-6. 9) Tanaka T, Motoi N, Tsuchihashi Y, et al. Adult-onset hereditary pulmonary alveolar proteinosis caused by a single-base deletion in CSF2RB. J Med Genet. 2011;48: 205-9. 10) Bush A, Pabary R. Pulmonary alveolarproteinosis in children. Breathe (Sheff ). 2020;16:200001. 11) Suzuki T, Sakagami T, Young LR, et al. Hereditary pulmonary alveolar proteinosis: pathogenesis, presentation, diagnosis, and therapy. Am J Respir Crit Care Med. 2010; 182:1292-304. 12) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166:215-35. 13) 北市正則,笠井孝彦,寺本友昭,他.肺胞蛋白症の病理所見 (特集 肺胞蛋白症をめぐる最近の話題).日胸臨.2016;75: 1245-53. 14) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al;Japanese Center of the Rare Lung Diseases Consortium. Characteristics of a A B 図6 CPAP/HPAP、GM-CSF 受容体β鎖異常、肺移植のための肺摘出検体 A: 右肺上葉。胸膜下に慢性線維化IP の肺病変を認めた。胸膜下の線維化病変内に平滑筋増生を認めた(ヘマトキシリン・エオジン染色、×10、Bar=200μm)。B: 右肺上葉。肺組織の深部では末梢気腔内に0.2μm 大の好酸性細顆粒状物質の充満を認めた。末梢気腔内には5 ~15μm 大の好酸性顆粒状物質も認めた。PAP の肺病変が存在すると診断した(ヘマトキシリン・エオジン染色、×40、Bar=100μm)。(文献13 より引用)
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P A P 診療マニュアル総論第II章 総論 洗浄療法(区域洗浄、全肺洗浄〔法〕〔WLL〕) する。 医中誌で検索した症例報告では、SLBL で加療した症例は肺洗浄前の大気下のPaO2 が60 Torr 以上の比較的軽症例が多く、SLBL 中にSpO2 ≦90%に低下したときには経鼻的に酸素吸入が施行されていた。一方、WLLは、肺洗浄前の大気下のPaO2 が60 Torr 未満の比較的重症の症例に対して施行されることが多く、体位、高濃度酸素投与、呼気終末陽圧(positive end-expiratory pressure;PEEP)などによって酸素化が維持される。 SLBL の方法 前述したように、洗浄液の注入量や洗浄回数などは報告によって異なっていたが、一般的なSLBL の方法は次の通りである。 1気管支鏡挿入:気管支鏡を亜区域支に楔入2洗浄液:37°Cに加温した生理食塩水31 回注入量:20 ~150 mL 4各亜区域の洗浄回数:3 ~5 回51 回の区域肺洗浄:1 ~2 区域の亜区域支で肺洗浄6肺洗浄頻度:1 ~3 回/1 ~2 週7肺洗浄合計回数:7 ~14 回 WLL の主な変遷 1965 年にRamirez らは、自発呼吸可能な局所または浅い全身麻酔下に、カーレンスダブルルーメンチューブ(carlens double lumen tube;DLT)を挿管して洗浄肺と換気肺を分離し、洗浄肺の無気肺化(degassing)を行ってから37°Cに加温した生理食塩水を1 回のみ注入して排液する、massive pulmonary lavage(MPL)法の原型となる方法を報告した7)。1967 年、全身麻酔下に前記のWLL を繰り返すMPL 法を報告し8)、現在に至るまでMPL 法はWLL の基本的方法となっている。 肺洗浄法の分類と標準的洗浄法 PAP に対する肺洗浄は、気管支鏡下区域洗浄(segmental or lobar bronchoscopic lavage;SLBL)とWLL に分類される。 SLBL は医中誌で検索した症例報告を用いて、WLLは厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症の難治化要因の解明と診断、治療、管理の標準化と指針の確立」研究班(以下、厚労省研究班)のアンケート調査1, 2)と文献3, 4)を用いて本邦における洗浄方法を検討したが、両者とも標準的な方法は存在しなかった。2016 年にCampo らはWLL の方法、適応、治療効果の評価と合併症を明らかにする目的で、小児および成人PAP 患者に対してWLL を施行した27 医療機関センターが参加した国際サーベイランス(成人例は20 医療機関から回答)を行ったが5)、世界的にも標準的なWLL 方法は存在しなかった。PAP は稀少疾患であるため、肺洗浄の施行経験が少ない医療機関が多く、また医療環境が異なるために標準的な方法が確立しなかったと考えられる。 SLBL とWLL の特徴 SLBL は、WLL に比べ簡便性が高く、洗浄中のSpO2の低下は軽度である。松岡らはSLBL の有害事象として、135 回中22 回(16.3%)の肺洗浄により37 ~38°Cの発熱が出現したと報告しているが6)、発熱以外に有害事象の報告はなされておらず、安全性は高い。しかし、SLBL は治療効率が低いため頻回の施行が必要であり、洗浄時の苦痛が強いためにWLL を希望する患者も存在する。 WLL は、治療効率が高く患者の苦痛は少ないが、全身麻酔や洗浄器具の準備などがあり、簡便とはいえない。また、WLL はSLBL より高度な低酸素血症が出現
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側臥位で下側肺のWLL は洗浄液の漏出リスクは低下するが、シャント血流が増加して著しい低酸素血症が出現するため9)、1970 年にRogers らは、低酸素血症を軽減する目的でvolume controlled lavage(VCL)法を報告した10)。本法は、degassing せずに片側肺の安静時酸素摂取量(約125 mL/min)以下の速度で洗浄液を注入して、肺内に機能的残気量相当の洗浄液を残し、1 回換気量(tidal volume;TV)に相当する洗浄液の追加注入と排液を繰り返す。VCL 法は洗浄効率が悪く、肺内に残留する生理食塩水は毎時約350 mL 吸収されるため11)、循環血漿流量が増加する。 1998 年にBingisser らは洗浄効率の向上を図るため、修正WLL 法を報告した12)。本法は、手動換気、頻回の体位変更、理学療法士の激しい胸部パーカッションを行うが、a)用手換気による圧損傷12)、b) 頻回の体位変更による気管チューブの偏位13)、c) 室温の洗浄液を用いて数時間かかることによる低体温症14)と循環血漿流量増加15)のリスクが高くなる。 2004 年にBeccaria らは、側臥位で下側肺を換気して、上側肺をWLL する方法を報告した16)。Degassing後に37°Cに加温したTV 相当の生理食塩水を注入し、パーカッションを続けながら排液が透明になるまで注入と排液を繰り返す。本法は、洗浄側肺が心臓より高い位置となるためシャント血流が減少して低酸素血症が軽減し、胸壁のパーカッションのアクセスも容易となる。 また、酸素化の補助療法を併用したWLL も報告されており、1970 年にSeard らはpartial cardiopulmonary bypass を17)、1976 年にAltose らは体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation;ECMO)を18)、1984 年にHenk らは2 絶対気圧(atmosphere absolute;ATA)の高圧酸素ウォークインチャンバーで19)WLL を施行したPAP 症例を報告した。 各項目別WLL の手順 WLL を安全かつ効果的に実行するにはWLL の経験が重要であるが、呼吸器内科医師、麻酔科医師、看護師および理学療法士などの学際的なチームアプローチも大切である。標準的なWLL 方法の普及と経験豊富なチーム形成には、WLL 施行施設基準を作成して各地域に拠点医療機関を設置し、APAP 患者を集めてWLL を施行することが有用と思われる。次に、APAP 20 症例に対してWLL を114 回施行し た自験例に文献的考察を加え、厚労省と国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development;AMED)難治性疾患実用化研究事業「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理」班で検討したWLL方法を示す20)。 1)WLL の適応と禁忌 国際サーベイランスにおける適応基準は、非特異的肺機能低下100%、安静時PaO2 低下90%、胸部画像所見増悪79%、自覚症状42%であった5)。厚労省研究班における適応基準は安静時PaO2 <70 Torr としているが、PaO2 ≧70 Torr であっても病状が進行する症例や、SLBL を希望しない症例も適応と考えられる。なお、約1/3 のAPAP は自然寛解するため21)、診断から最低3 ~ 6 ヵ月間は経過観察する。 国際サーベイランスにおける禁忌は、重症心血管疾患、心不全、敗血症、重症肺感染症と線維症終末期であった5)。APAP は肺非結核性抗酸菌症や肺アスペルギルス症などを併発することがあり、感染症を治療した上でPAP と感染症の進行を慎重に検討し、本人と家族の同意を得られた場合にはWLL を施行する。 2)最初にWLL する肺の選択 国際サーベイランスでは、13 医療機関は画像所見がより高度な肺から、6 医療機関は右肺より相対的に容量小さい左肺からWLL が施行されていた5)。 3)気管チューブと固定位置 左側用は右側用DLT よりカフが長いため、固定が容易で換気肺への洗浄液漏出リスクが少ないので左側用DLT を用いる。Degassing により肺容量が著明に減少し、DLT が抜けるので深めに固定する。体位を側臥位に変換後に細径気管支鏡で観察し、DLT の右先端は気管分岐部までの距離を約1.0 ~2.0 cm、左先端は上下気管分岐までの距離を約0.5 ~1.8 cm に固定する。 4)気管チューブカフ圧 カフ圧が30 cmH2O を超えると気管~気管支粘膜血流が減少し、50 cmH2O になると血流は消失するため22)、
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P A P 診療マニュアル総論第II章 推奨されるカフ圧は30 cmH2O 未満とされている。しかし、WLL では換気肺への洗浄液のリークを防止するため、カフ圧を50 mmHg(68 cmH2O)にすべきとの報告もなされている23)。高いカフ圧であっても短時間の挿管では気管支粘膜の局所性虚血性変化などの合併症の出現はまれであり24)、WLL において高いカフ圧による気管~気管支損傷の報告はなされていない。 2013 年8 月~2019 年8 月の間に行った、洗浄肺を上側にしたWLL(66 回)の自験例は、カフ圧を40 cm H2O として平均DLT 挿管時間は約2 時間であったが、洗浄液のリークや気道損傷は出現しなかった。 換気肺への洗浄液の漏れを防止するためには、洗浄肺を30 ~40 cm H2O で加圧して換気肺から空気の漏出がないことを確認して、洗浄液は心臓レベルから約30 cmの高さから注入する。 5)全身麻酔 国際サーベイランスでは、18 医療機関でプロポフォール、オピオイドと神経筋遮断薬の組み合わせによる静脈麻酔が行われていた5)。 6)Degassing Degassing は洗浄効率向上のために施行され、洗浄肺を100%O2 で10 分間換気してから強制的に陰圧で気道吸引して、気道を10 ~15 分間クランプして吸収性無気肺化する。自験例では気道吸引せずにdegassing したが、胸部X 線写真上、12 回のWLL で5 回は不成功であったが、洗浄液の注入と排液を2 ~3 回繰り返すと、排液時のSpO2 がより低下して洗浄液の注入速度と注入量が増加することから、degassing されたことが判断できる。 7)WLL 体位 国際サーベイランスでは、仰臥位が12 医療機関、90度の側臥位が6 医療機関、30 ~45 度の側臥位が2 医療機関であり、また7 医療機関は排液を促すために排液時にトレンデレンブルグ体位にしていた5)。 はじめてのWLL または経験が少ない医療機関では、術中の低酸素血症と換気肺への洗浄液漏出のリスクのバランスを考慮すると、仰臥位が妥当な体位と考えられる。洗浄肺を上にした側臥位は、WLL 中の高度な低酸素血症の防止に有効であり16)、degassing 時の縦隔の偏 位が軽度であるために気管チューブ位置の変動が小さく、経験を積めば洗浄液の漏出もなく安全に施行できる体位である。 8)WLL 方法、洗浄液と器具 国際サーベイランスでは、1 医療機関のみが修正WLL 法12)を、ほかの医療機関はMPL 法8)を用いていた。洗浄液は、14 医療機関が37°Cに加温した生理食塩水で、自験例も37°Cに加温した生理食塩水を用いたが十分な洗浄効果が得られた5)。注入方法は、1 医療機関のみが心臓レベルから30 cm の高さから注入する圧規定法で、ほかは容量規定法を用いており、両者とも注入量は800 ~1,000 mL で同様であった。また、洗浄肺に空気が混入しないように、チューブとY 字管と挿管チューブをしっかりとタイガンで連結して、洗浄液を満たしてから注入する。 洗浄効率は、サイクル数と洗浄液留置時間に影響を受けず、総時間と注入量に一部依存する25)。圧規定法を用いた場合、初回注入速度は安静時の片側肺酸素摂取量(約125 mL/min)以下の100 mL/min で注入し、肺内への留置2 分、排液1 分として、2 回目以降は注入1 分、肺内への留置2 分、排液1 分を1 サイクルとして基本的に20 回洗浄する。また、各洗浄の注入量と排液量を記録して、肺内に残存する洗浄液量を確認する。 9)WLL 中の人工呼吸器の設定 基本的にpressure control ventilation +PEEP で人工呼吸管理する。PEEP を使用すると洗浄液注入時に酸素化が改善するが、排液時にシャントが増悪する可能性がある26)。また、洗浄肺を上側にした側臥位でのWLL では、洗浄を繰り返すと洗浄液残留量が増加して縦隔が下方へ圧排され、下側の換気肺の拡張が制限されると換気量が低下してend-tidal PCO2 (PETCO2)が上昇するが、PETCO2 上昇時は換気圧を上げて換気量を増す。 10)パーカッション 理学療法士による徒手的なパーカッション、機械的パーカッション(rotary directional-stroke percussor at 36 Hz、G-5、General Physiotherapy、St Louis)と非パーカッション群の3 群に分けて洗浄効果を比較した検
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討では、徒手的パーカッションで最も高い洗浄効果が得られた27)。近年、英国メディベント社製RTX レスピレータ®(biphasic cuirass ventilation;BCV)を用いた方法が報告されたが28)、自験例ではBCV を用いたパーカッションは再洗浄を必要とする症例が多いため、使用を中止した。 11)1 回のセッションにおける洗浄終了基準 厚労省研究班の検討会において、PAP 以外の肺疾患の濁度が約50 NTU であるため、洗浄終了基準を濁度100 NTU 以下とする提案がなされた(NTU は比濁計濁度単位)。自験例では、基本的に洗浄回数20 回で終了したが、約3/4 のWLL において15 ~20 回洗浄すると濁度(自験では笠原理化工業株式会社製TR-30 Rで測定)が100 NTU 以下となった。 12)WLL 後の処置と対側肺の洗浄時期 洗浄液を十分に吸引して両側肺を100%O2 換気し、シングルーメンの気管チューブへ交換して抗生剤を投与した。ICU で12 ~24 時間人工呼吸管理をして、酸素化の改善を確認してからウィーニングする。 国際サーベイランスでは、17 医療機関は左右肺のWLL を別々のセッションで施行し、また、約半数の医療機関が1 ~2 週間間隔で施行していた5)。自験例では、洗浄間隔は1 週間であったが問題はなかった。 13)WLL の有害事象 国際サーベイランスでは、推定1,110 回におけるWLL の合併症は、一過性発熱が18%で最も多く、次いで低酸素血症14.2%、喘鳴6.1%の順であった5)。 14)WLL 後のフォローアップとWLL 施行回数 国際サーベイランスでは、全医療機関でWLL 2 時間~2 週間後に胸部X 線写真および呼吸機能検査が施行され、12 医療機関はWLL 8 ヵ月以降に胸部X 線写真・CT と呼吸機能検査が施行されていた5)。なお、6 医療機関において、バイオマーカーと抗GM-CSF 抗体価が測定されていた。 国際サーベイランスでは、5 年間追跡したAPAP 368症例における左右WLL を1 回としたWLL の施行回数は2.5 ± 1.5 回で、約2/3 の症例は1 回のみで、10%の症例は5 回以上施行されて平均間隔は8.0 ± 6.5 ヵ月で あった5)。 自験例では陰影がほぼ消失するまでWLL を繰り返し、左右WLL を1 回とした回数は平均2.60 ± 1.67(1 ~6)回で、WLL 間隔は平均15.0 ± 10.8(2.0 ~39.0)ヵ月であった。 References 1) 一和多俊男.本邦における自己免疫性肺胞蛋白症に対する全肺 洗浄に関するアンケート調査.平成23 年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)分担研究報告書.2011. 2) 一和多俊男.本邦における自己免疫性肺胞蛋白症に対する全肺 洗浄に関するアンケート調査.平成24 年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)分担研究報告書.2012. 3) 杉本親寿,新井 徹,西山明秀,他.全肺洗浄を施行した自己 免疫性肺胞蛋白症8 例の手技,効果,安全性の多面的評価.日呼吸会誌.2011;49:569-76. 4) 日本呼吸器学会びまん性肺疾患学術部会,厚生労働省難治性 疾患政策研究事業びまん性肺疾患に関する調査研究班(編).気管支肺胞洗浄(BAL)法の手引き改訂第3 版.東京:克誠堂出版;2017. 5) Campo I, Luisetti M, Griese M, et al. Whole lung lavage therapy for pulmonary alveolar proteinosis: a global survey of current practices and procedures. Orphanet J Rare Dis. 2016;11:115. 6) 松岡緑郎,高木 寛,吉良枝郎.肺胞蛋白症に対する気管支・ 肺洗浄療法:特に気管支鏡下反復肺洗浄法の有用性について(Applied Bronchoscopy の現状と将来への展望).気管支学. 1983;5:385-92. 7) Ramirez J, Kieffer RF Jr, Ball WC Jr. Bronchopulmonary lavage in man. Ann Intern Med. 1965;63:819-28. 8) Ramirez J. Pulmonary alveolar proteinosis. Treatment by massive bronchopulmonary lavage. Arch Intern Med. 1967; 119:147-56. 9) Rogers RM, Szidon JP, Shelburne J, et al. Hemodynamic response of the pulmonary circulation to bronchopulmonary lavage in man. N Engl J Med. 1972;286:1230-3. 10) Rogers RM, Tantum KR. Bronchopulmonary lavage. A “new” approach to old problems. Med Clin North Am. 1970;54: 755-71. 11) Blenkarn GD, Lanning CF, Kylstra JA. Anaesthetic management of volume controlled unilateral lung lavage. Can Anaesth Soc J. 1975;22:154-63. 12) Bingisser R, Kaplan V, Zollinger A, et al. Whole-lung lavage in alveolar proteinosis by a modifi ed lavage technique. Chest. 1998;113:1718-9. 13) Rebelo HM, Guedes L, Veiga D, et al. Anaesthetic, procedure and complications management of serial whole-lung lavage in an obese patient with pulmonary alveolar proteinosis: case
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総論 遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rh GM-CSF)吸入治療:自己免疫性肺胞蛋白症(APAP) ロット研究2)、2006 年の米国の12 例の後方視研究3)、2010 年の本邦の35 例4)での第II相試験の結果から、吸入治療は皮下注射より使用総量が少なく、奏効率が高い可能性が示唆された。 GM-CSF 吸入治療の二重盲検ランダム化比較試験は、本邦12 施設のPAGE 試験(2016 年~2018 年、64 例のAPAP)と、本邦を含む18 ヵ国30 施設のIMPALA 試験(2016 年~2019 年、138 例のAPAP)が行われた。 PAGE 試験の成績の概要についてはCQ10(p.26)に記載されているように、PaO2 が70 mmHg 未満(有症状の患者75 mmHg 未満)50 mmHg 以上のAPAP 患者64例を対象に、サルグラモスチム125 μg またはプラセボの1 日2 回7 日間の吸入を隔週で24 週間行った。主要評価項目のAaDO2 の平均(± SD)の変化量(ベースラインから25 週まで)は、GM-CSF 群(33 例)のほうがプラセボ群(30 例)よりも有意に改善した(-4.50 ± 9.03 mmHg vs. 0.17 ± 10.50 mmHg、p=0.02)。CT 上 の肺野密度の変化量も、GM-CSF群のほうが良好であった(群間差-36.08 Hounsfi eld 単位、95%CI:-61.58 ~ -6.99)。重篤な有害事象は GM-CSF 群の6 例とプラセボ群の3 例に発現した。また、現在の喫煙者(CS)+元喫煙者(ES)と今まで喫煙したことのない非喫煙者(NS)を比べると、CS+ES 群ではAaDO2 の改善がほとんどみられなかったことが注目された5)。 IMPALA 試験については、2020 年に論文発表がされた。138 例のAPAP 患者は3 群(モルグラモスチム300 μg/day 連日46 例、300 μg/day-プラセボ隔週交代45 例、プラセボ連日47 例)に分けられ、24 週の治療を受けた。主要評価項目のAaDO2 の改善は、連日投与群とプラセボ群の間で有意差がみられなかった(平均 12.7 mmHg vs. 7.6 mmHg、p=0.12)が、4 例(モルグラ モスチム各群1 例とプラセボ群2 例)が酸素投与を受け 製剤について 骨髄移植後の回復促進などの適応として欧米で開発されたrh GM-CSF 製剤は、本邦では未承認薬である。2種類ある製剤のうち、大腸菌由来モルグラモスチムは内在性のヒトGM-CSF と同じアミノ酸配列であるが、酵母由来サルグラモスチムは23 番目のアミノ酸がアルギニンからロイシンに置換され、糖鎖がついている。元来は注射用製剤で、吸入治療での使用はオリジナルの適応の投与経路と異なる。このため、薬事承認されている欧米でも吸入投与での臨床試験の前に、動物での非臨床毒性試験やヒトでの薬物動態データが規制当局より求められた。酵母由来のサルグラモスチムについては本邦の医師主導治験の一環として当該試験が行われ、大腸菌由来のモルグラモスチムについては治験依頼者の企業により当該データが準備されて、PAP に対する吸入治療の臨床試験が行われた。 ネブライザーと吸入方法 2000 年のメイヨークリニックでの第1 例から、ジェットネブライザー(PARI LC プラスネブライザー・PARIボーイSX およびその後継機種)が用いられてきた。5μm 以下の噴霧粒子を効率よく作製でき、簡便・堅牢な構造で家庭での洗浄・消毒などの管理が容易なため、世界的に普及している。生理食塩水で希釈する吸入方法で15 分程度かかる。IMPALA 試験ではじめて、膜型ネブライザーが専用の洗浄機器とともに臨床試験で使用された。膜型ネブライザーでは液量1 mL 程度で数分程度の吸入で終了する。 吸入治療研究 2000 年に米国で40 歳女性PAP 患者への吸入投与で肺機能改善が報告され1)、2005 年の本邦の3 例のパイ
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P A P 診療マニュアル総論第II章 ており、そのデータを欠測値補完して有意の改善がみられた(-12.8 mmHg vs. -6.6 mmHg、p=0.03)。二次評価項目で連日投与群とプラセボ群の間で有意差がみられたのは、SGRQ ポイント(平均12.4 vs. 5.1, p=0.01)と、DLCO の改善(12.0% vs. 4.2%、95%CI:2.3 ~13.3)だった。有害事象での治療中止例は連日投与群2 例、隔週投与群1 例、プラセボ群1 例だった6)。 PAGE 試験とIMPALA 試験は、20 年にわたり先行研究で用いられてきたAaDO2 と、各国規制当局が重視するQOL スコアという、2 つの評価項目に関して、相補う結果となった。PAGE 試験については、そのデータを用いて本邦で製造販売承認申請の準備が進められている。IMPALA 試験については、後続のIMPALA 2 試験が実施されている。 最近発表された、中国の北京協和医学院と南京大学医学院附属鼓楼医院の2 施設共同のランダム化非盲検比較試験では、DSS 1 ~3(PaO2 >60 mmHg)の軽症~中等症のAPAP 患者が対象とされ、rh GM-CSF(華北製薬「北吉姆欣〔HUABEI JIMUXIN〕」吸入(150 μg 1 日2 回隔週3 ヵ月+150 μg 1 日1 回隔週3 ヵ月)のモルグラモスチム群19 例とプラセボ群17 例の間で、主要評価項目のAaDO2 の変化量には有意差がみられなかったが、DLCO(p=0.010)、TLC(p=0.027)およびSGRQ スコア(p <0.05)が実薬群で有意に改善したと報告された8)。この試験では、6 ヵ月の治療終了後、18 ヵ月の観察期間があり、観察期間中もSGRQ スコアは実薬群で有意(p <0.05)に良好なままだった。これらの結果は、軽症~中等症患者でのGM-CSF 吸入効果のデータを補完するものと結んでいる7)。 今後の課題 承認申請における課題の1 つが治療期間である。PAGE 試験では、24 週治療後の効果評価を行ったが、より長期の吸入が治療効果をあげるのに有用との議論がある8)。肺胞マクロファージの回転を考えると、長期の治療は有利と思われる。一方で、2010 年の多施設第II相試験では、24 週の治療後の観察期間中の改善例もみられ、24 週の治療で一度休止して経過を観察する意義も考えられた4)。PAGE 試験では24 週の治療期間終了後、後治療に入る例が多く、使用製剤量が予定準備量を超えたため、後治療期間を24 週から18 週に短縮する必要があり、48 週の長期投与データが得られなかった。 長期投与の安全性・有効性のデータに関しては、今後の課題として残っている。 もう1 つの課題が喫煙者における治療効果で、PAGE試験で明らかになったGM-CSF の吸入使用による25週目のAaDO2 の有意な改善効果は、喫煙者ではみられなかった。この機序として、PAGE 試験の喫煙・既喫煙群は非喫煙群に比べて、GM-CSF 吸入治療により血清抗GM-CSF 抗体の上昇が有意に高かったことから、抗体産生などに関連する免疫変容による可能性も考えられる。 また、標準治療であるWLL との併用も検討されるべき課題である。当初GM-CSF 吸入治療を受け、効果の乏しかったAPAP 5 例にWLL を行い、引き続きGM- CSF 吸入治療を行い、著効がみられたことが報告され、WLL の治療効果をGM-CSF 吸入治療が補強する可能性が示唆された9)。重篤なPAP 例では吸入によるGM- CSF の肺胞への到達が難しく、WLL との併用が必要となる可能性があり、臨床試験での結果を得る必要がある10)。 References 1) Wylam ME, Ten RM, Katzmann JA, et al. Aerosolized GM- CSF improves pulmonary function in idiopathic pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2000;161: A889. 2) Tazawa R, Hamano E, Arai T, et al. Granulocyte-macrophage colony-stimulating factor and lung immunity in pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2005;171: 1142-9. 3) Wylam ME, Ten R, Prakash UB, et al. Aerosol granulocyte- macrophage colony-stimulating factor for pulmonary alveolar proteinosis. Eur Respir J. 2006;27:585-93. 4) Tazawa R, Trapnell BC, Inoue Y, et al. Inhaled granulocyte/ macrophage-colony stimulating factor as therapy for pulmonary alveolar proteinosis. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181:1345-54. 5) Tazawa R, Ueda T, Abe M, et al. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2019;381: 923-32. 6) Trapnell BC, Inoue Y, Bonella F, et al. Inhaled Molgramostim Therapy in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;383:1635-44. 7) Tian X, Yang Y, Chen L, et al. Inhaled granulocyte- macrophage colony stimulating factor for mild-to-moderate autoimmune pulmonary alveolar proteinosis - a six month
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P A P 診療マニュアル総論第II章 総論 その他の治療(去痰剤、日常管理、ワクチン):自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続 発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 療法の効果のほうが高かったことなどから、決して積極的に奨められる薬剤ではないと結論づけられている7)。また、Nagasawa らは、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)患者に伴うAPAP におけるリツキシマブの改善効果を認めたが、抗GM-CSF 抗体の減少がみられなかったことも報告しており8)、副次的な要素による可能性を示していると考えられる。このように、これまでのところリツキシマブを強く推奨する根拠は得られていない。 日常管理 喫煙や粉塵の吸入がPAP の発症要因であることは、2011 年の東日本大震災におけるPAP 例の発症の増加からも示されている9)。また、基礎実験的に過度の炎症が抗GM-CSF 抗体を原因としないPAP 類似病変を形成することが報告されたが10)、実際、臨床上も肺炎を繰り返す骨髄移植後患者の両側肺に発症した難治性PAP の症例報告がある11)。この難治性PAP 症例では、さらに骨髄移植のドナーである母親から右肺移植を受けることによって残存していた対側肺のPAP までも著明に改善しており、これは呼吸運動の改善による肺胞クリアランスの効果とも考えられ、呼吸リハビリテーションの重症性も想起させる11)。 ワクチン 肺胞マクロファージの活性が低下しているPAP は、肺胞腔内に貯留している蛋白成分への感染が発症しやすく、重症化しやすいことが知られているが、肺炎球菌やインフルエンザに対するワクチンには、感染予防によるPAP の悪化を防ぐことを示す具体的なデータはない。しかし、感染予防のワクチンは、マスクや手洗いなどと同様に、積極的に奨めることはあっても避けるべき根拠 アンブロキソール塩酸塩 多くのPAP の原因が抗GM-CSF 抗体であることがまだ知られていなかった頃から、サーファクタントアクチベーターとしてのアンブロキソール塩酸塩による治療効果が報告されていた1)。1995 年当時、国内68 例のPAP 患者の症例報告の解析がなされたが、このなかでアンブロキソール塩酸塩を治療のために服薬していたのは1 例で、BAL も施行されていたためその効果は不明であった2)。その後2015 年には、PaO2 が62.6 Torr の90 歳女性3)、および43.2 Torr の72 歳女性4)の、いずれも自然寛解を認めないAPAP の呼吸状態悪化症例に対して、アンブロキソール塩酸塩の単独投与で改善効果を示したことが報告された。PAP 患者に対する治療効果に関しては一般的に対照群の設定がなく、自然寛解の除外が困難であることから、明確なエビデンスを提供するものはない。しかしアンブロキソール塩酸塩は、去痰薬として長年多くの気管支炎患者に処方され、安全性が確認されており、肺胞上皮細胞に対する作用に関するさまざまな基礎研究5)からもその補助的な臨床効果を期待させ、処方を否定するものではないように考えられる。 リツキシマブ リツキシマブは抗CD20 モノクローナル抗体であり、悪性リンパ腫に対して保険適用がある薬剤である。2011年に10 人のPAP 患者に対するリツキシマブの治療効果が報告され6)、効果を示すいくつかの症例も報告されてきた。その後、2018 年に13 人のAPAP 患者にリツキシマブを投与した報告では、6 ヵ月間での病態の改善を確認できなかったものの、1 年後には4 人(30%)の患者にAaDO2 の低下を認め、呼吸状態の改善が確認された7)。しかし、これらはもともと軽度な症例であり、その効果は自然改善の可能性があること、GM-CSF 吸入
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第II章 総論 呼吸管理、呼吸リハビリテーション 呼吸リハビリテーション これまでPAP に対する呼吸リハビリテーションの提案や研究結果は文献上見当たらない。しかしながら、類似病態であるILD に対する有効性を示すエビデンスは、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)と比較すると乏しいものの次第に集積されつつあり、ATS/ERS のステートメントにおいても対象疾患として明確に記載されている2)。 またILD の種類や程度によらず有効であることも示されており3, 4)、PAP においてもILD に準じた考え方や方法を適応することは妥当と考えられる。ILD の典型であるIPF については本邦の『特発性肺線維症の治療ガイドライン2017』においても呼吸リハビリテーションを行うことが「推奨の強さ:やや強い、エビデンスの質:低」で提案されている。 一般にILD は顕著な息切れに伴う運動耐容能の低下が特徴であり、それがQOL や予後の悪化をもたらすため、運動耐容能をいかに改善・維持させるかが呼吸リハビリテーションの重要なポイントである。週2 回の監督下30 分の有酸素運動(自転車もしくは歩行でSpO2 > 88%を上回るように酸素吸入も併用)と上下肢の筋力トレーニングおよび自宅での運動処方からなる8 週間の運動療法は、IPF と粉塵吸入に関連するILD、膠原病関連ILD、その他ILD(PAP 患者は含まれていない)を含むILD 患者に対して、6 分間歩行距離と健康関連QOL において臨床的に意義ある有意な改善をもたらすことがRCT で示されている4)。PAP 患者においてもこのようなプログラムが有効であることが推測される。 References 1) Visca D, Mori L, Tsipouri V, et al. Effect of ambulatory oxygen on quality of life for patients with fibrotic lung 呼吸管理1) 安定期 PAP は重症化するとガス交換障害により低酸素血症を生ずる。ほかのILD と同様に、拡散障害ならびに換気血流比不均衡が主たる原因と考えられ、労作時に低酸素血症は顕著となる。PAP のDSS 4(安静時PaO2 50 Torr 以上60 Torr 未満)は、在宅酸素療法(home oxygen therapy;HOT)の適応(PaO2 55 Torr 未満、もしくは60 Torr 未満で運動負荷時に著しい低酸素血症を伴う場合)に相当する。PAP のDSS 3(PaO2 60 Torr 以上70 Torr 未満)でも6 分間歩行試験でSpO2 90%未満であれば4 と判定されるが、労作時のみの低酸素血症に対する酸素療法の有効性は不明である。ただし、線維化を伴うILD においては労作時酸素投与のランダム化比較試験(AmbOx 試験)においてQOL 改善が示されており1)、極端な労作時低酸素血症を伴う場合は考慮してよい。また、肺高血圧症を伴う場合は安静時PaO2 の値にかかわらずHOT の適応となる。 PAP の慢性経過で線維化が進行し、低換気によるII型呼吸不全で重症となれば非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation;NPPV)が考慮されうるが、適切な実施基準はほかのILD 同様不明である。 2) 増悪期 PAP の増悪や肺炎併発などによって急速に低酸素血症が進行する場合は、状態に応じて低流量システムから高流量システムに至るまでの各種酸素療法を行う。PAP の急速な進行が疑われる場合はできるだけ早くWLL のできる体制を準備するか、WLL の可能な施設への紹介を検討すべきで、PaO2 <70 Torr で適応を考慮してよい。
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P A P 診療マニュアル総論第II章 総論 肺移植:自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 実施した本邦症例がある4)。少し古いが、米国から41歳女性、脳死両側肺移植を行ったが、3 年後再発したと報告されている症例がAPAP であった可能性があるが8)、移植肺におけるAPAP の再発や長期予後に関する十分なデータは存在しない。 SPAP は基礎疾患のコントロールが困難な症例や、全身状態が不良の症例が多いため、肺移植に至らない場合が多い。本邦では、9 歳時に先天性赤芽球癆に対して母親より骨髄移植を受けた後、移植片対宿主病(graftversus-host disease;GVHD) として閉塞性細気管支炎とSPAP が発症した14 歳女性に対して、同母親より片側生体肺移植が行われた症例がある5)。興味深いことに、肺移植後7 年の経過で対側の自己肺のSPAP が改善したことが報告され、肺移植後免疫抑制剤減量がSPAP 改善の原因ではないかと考察されている。またスイスから、30 歳時に急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)に対して造血幹細胞移植を受けた女性が、移植後6 ヵ月以内に他臓器のGVHD とともにSPAP を発症し、移植37 ヵ月後に両肺移植を受けた症例が報告されているが、移植後の経過記載はない9)。SPAP は基礎疾患が多様であり、肺移植の適応は症例ごとに慎重な考察が必要である。 CPAP/HPAP は、肺胞マクロファージに異常を引き起こす遺伝子(CSF2RA、CSF2RB、GATA2、OAS1)の変異に起因する場合と、II型肺胞上皮細胞に特異的に発現する遺伝子(SFTPB、SFTPC、ABCA3)の変異に起因する場合により対応が異なる10)。肺胞マクロファージに異常を引き起こす遺伝子の変異に起因する場合として、本邦より、CSF2RB ナンセンス突然変異を認める成人発症CPAP/HPAP の43 歳女性に対する両側生体肺移植症例の報告がある6)。移植より9 ヵ月後、移植肺の肺胞マクロファージはレシピエント骨髄由来のマクロ 本邦における肺移植について 肺移植は、「現在の医療において肺移植の他に有効な治療法がなく、生命の危機が迫っている(2 年生存率が50%以下)と予想される患者」を対象に行われる1)。適応疾患として、1肺高血圧症、2IIPs、3その他のIP、4肺気腫、5造血幹細胞移植後肺障害、6肺移植手術後合併症、7肺移植後移植片慢性機能不全、8その他の呼吸器疾患、9その他、肺・心肺移植関連学会協議会で承認する進行性肺疾患があげられている1)。適応基準としては、レシピエントの年齢が両肺移植では55 歳未満、片肺移植では60 歳未満、かつ、その他の除外条件をクリアすることが求められている1)。移植実施施設(岡山大学病院、京都大学医学部附属病院、大阪大学医学部附属病院、東北大学病院、国立研究開発法人国立循環器病研究センター、獨協医科大学病院、福岡大学病院、長崎大学病院、千葉大学医学部附属病院、東京大学医学部附属病院)への患者紹介から始まり、中央肺移植適応検討委員会を経て、日本臓器移植ネットワークに登録されるのに平均約3 ~6 ヵ月を要する2)。 本邦では2019 年末までに、脳死肺移植526 例、生体肺移植234 例の実績があり1)、2016 年の報告では、平均待機期間は800 日以上、5 年生存率は脳死肺移植では72.3%、生体肺移植では71.6%であった3)。 PAP に対する肺移植 PAP では、本邦ではこれまでに少なくとも4 例の報告がある4-7)。PAP の大半を占めるAPAP は、WLL やGM-CSF 吸入療法によって良好なコントロールが得られることが多く、一般的には肺移植の適応にはなりにくい。しかし、進行性の線維化により呼吸不全へと至る一部の治療抵抗例において、肺移植による治療が考慮される。治療抵抗性の進行性線維化に対し、脳死両肺移植を
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ファージに置き換わり、PAP の再発を認めた。本症例は肺線維化、呼吸不全進行により5 年後死亡された。移植後、ドナー肺はレシピエント由来の肺胞マクロファージに置き換わることによって再発を認めるため、肺胞マクロファージに異常を引き起こす遺伝子の変異に起因するCPAP/HPAP に対しては骨髄移植が適当であると考えられている11)。また、近年盛んに研究が行われている肺胞マクロファージ移植は、革新的治療法として期待されている12)。 一方、II型肺胞上皮細胞に特異的に発現する遺伝子の変異に起因する場合として、本邦よりSP-C 異常症で生体肺移植を行った9 歳男性例が報告されているが、移植後短期間で死亡されている7)。米国はSP-B 異常症に対する移植症例が多く、生後2 ヵ月で脳死両側肺移植を受け、2 年後経過良好であった2 症例が報告されている13)。II型肺胞上皮細胞に特異的に発現する遺伝子の変異に起因するCPAP/HPAP に対しては肺移植が根治的な治療法になるが、国内における小児の肺移植は体格の問題と小児の脳死ドナーが極端に少ないことから非常に少ない。 肺移植に続発するPAP IPF に対して片肺脳死肺移植を行った後に、ドナー肺にSPAP を発症した本邦症例報告を含め14)、これまでに少なくとも13 例の肺移植に続発するPAP が報告されている15-21)。移植の対象となった原疾患はIIPs、COPD、アイゼンメンジャー症候群、肺動脈性肺高血圧症と多様である。抗GM-CSF 抗体は7 例で測定されているが、全例陰性であった。肺移植後の二次性PAP はドナー肺に起こること、免疫抑制剤の使用に関連し、免疫抑制剤の減量や中止に伴って改善する例があることなどが報告されている。このため、免疫抑制療法の強化は病態の悪化を招く可能性が指摘されており、移植後の拒絶反応との鑑別が重要となる14, 15)。 References 1) 日本肺および心肺移植研究会.http://www2.idac.tohoku.ac.jp/ dep/surg/shinpai/ (閲覧:2021-02-24) 2) 日本呼吸器学会,日本胸部外科学会(編).肺移植のためのガイ ドブック.2009 年6 月改訂. 3) Date H. Current status and problems of lung transplantation in Japan. J Thorac Dis. 2016 ;8(Suppl 8):S631-6. 4) Ono M, Saito R, Tominaga J, et al. Pathological features of explant lungs with fibrosis in autoimmune pulmonary alveolar proteinosis. Respirol Case Rep. 2017;5:e00255. 5) Kobayashi K, Ohkouchi S, Sasahara Y, et al. Improvement of native pulmonary alveolar proteinosis after contralateral single living-donor lobar lung transplantation: A case report. Pediatr Transplant. 2020;24:e13659. 6) Takaki M, Tanaka T, Komohara Y, et al. Recurrence of pulmonary alveolar proteinosis after bilateral lung transplantation in a patient with a nonsense mutation in CSF2RB. Respir Med Case Rep. 2016;19:89-93. 7) 立石 格,中野裕介,粟生耕太,他.長期管理を行った肺サー ファクタント蛋白C 遺伝子変異を有する先天性肺胞蛋白症の1例.人工呼吸.2017;34:72-8. 8) Parker LA, Novotny DB. Recurrent alveolar proteinosis following double lung transplantation. Chest. 1997;111: 1457-8. 9) Lawi D, Dubruc E, Gonzalez M, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis treated by lung transplant: A case report. Respir Med Case Rep. 2020;30:101108. 10) 長 和俊. 専門性の高い呼吸器疾患 間質性肺炎. 小児科診療. 東京:診断と治療社;2019. 11) Cho K, Yamada M, Agematsu K, et al. Heterozygous Mutations in OAS1 Cause Infantile-Onset Pulmonary Alveolar Proteinosis with Hypogammaglobulinemia. Am J Hum Genet. 2018;102:480-6. 12) Suzuki T, Arumugam P, Sakagami T, et al. Pulmonary macrophage transplantation therapy. Nature. 2014;514: 450-4. 13) Hamvas A, Nogee LM, Mallory GB Jr, et al. Lung transplantation for treatment of infants with surfactant protein B defi ciency. J Pediatr. 1997;130:231-9. 14) Ikeda S, Sekine A, Baba T, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis predominant in the transplanted lung in patients with idiopathic interstitial pneumonia: an autopsy case. J Thorac Dis. 2018;10:E351-4. 15) Philippot Q, Cazes A, Borie R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis after lung transplantation: a singlecentre series. Eur Respir J. 2017;49:1601369. 16) Gal AA, Bryan JA, Kanter KR, et al. Cytopathology of pulmonary alveolar proteinosis complicating lung transplantation. J Heart Lung Transplant. 2004;23:135-8. 17) Yousem SA. Alveolar lipoproteinosis in lung allograft recipients. Hum Pathol. 1997;28:1383-6. 18) Narotzky S, Kennedy CC, Maldonado F. An unusual cause of respiratory failure in a 25-year-old heart and lung transplant recipient. Chest. 2015;147:e185-8. 19) Tokman S, Hahn MF, Abdelrazek H, et al. Lung transplant recipient with pulmonary alveolar proteinosis. Case Rep Transplant. 2016;2016:4628354. 20) Divithotawela C, Apte SH, Tan ME, et al. Pulmonary alveolar proteinosis after lung transplantation. Respirol Case Rep.
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PAP診療マニュアル各論と症例: APAP・SPAP・CPAP/HPAP
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各論 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の病態、疫学、合併症、診断 しても、血管内皮への接着に必要とされるCD11b の発現増強、貪食能・呼吸バースト・細菌殺傷能力の亢進作用をもつ6)。したがって、APAP においては肺胞マクロファージ、顆粒球の機能低下を生じ、易感染性を示す6)。本邦の212 例のAPAP のうち、12 例(5.7%)に感染症を認め、アスペルギルス症4 例、非結核性抗酸菌症3 例、結核2 例、肺炎1 例、C 型肝炎1 例、体部白癬1例であった1)。PAP 報告例の13%に感染症を認め7)、起因菌はノカルジア42%、抗酸菌37%、真菌20%であったが8)、本邦ではノカルジア感染合併例の報告例は少ない9)。感染症はAPAP の合併症であると同時に、APAPの病状に影響する可能性がある。結核10)、アスペルギルス症11)、その他の感染症12)治療後にAPAP の病状が改善した例や、アスペルギルス症発症後にAPAP が発症し、アスペルギルス症の悪化とともにAPAP が悪化した例13)の報告がある。 PAP 症例に線維化病変が出現することが報告されてきたが14, 15)、その頻度は本邦のAPAP 212 例のうち3 例(1.4%)で、診断時または経過中に線維化を認めたAPAP は予後不良であった16)。膠原病肺17)、サルコイドーシス18)、過敏性肺(臓)炎(hypersensitivity pneumonitis;HP) 19, 20)など、ほかの間質性肺疾患 (interstitial lung disease;ILD)との合併例の報告もある。APAP の線維化病変の病態、ほかのILD との関連については現時点では不明であり、今後、多数例の検討が必要と考えられる。 診断「第II章 肺胞蛋白症(PAP)の診断基準と診断アルゴリズム」(p.41)に従い、APAP の診断を行う。 病態 自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP)は、血清GM-CSF 抗体陽性を示す肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis; PAP)である1)。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor;GM-CSF)は23kDa の糖蛋白で、造血系細胞に対してさまざまな作用をもつ2)。肺胞マクロファージに対しては転写因子PU.1 を介して分化を促進し、貪食、殺菌、サーファクタント代謝に重要な役割を果たす3)。APAP においては、GM-CSF 中和能をもつ抗GM-CSF抗体の存在により、肺胞マクロファージの分化が阻害され、肺胞腔内のサーファクタント代謝が遅延するために末梢気腔内にサーファクタント由来物質が貯留する4)。 疫学 本邦における調査1, 5)では、約3 分の2 が男性、診断時年齢中央値は51 歳1)、約3 分の1 以上が非喫煙者で、26% 1)と35% 5)の症例に粉塵吸入歴を認めた。約3 分の1 は無症状であった。 2006 年~2016 年のAPAP 患者の解析で、患者数はポワソン分布に従い、47 都道府県の患者数と人口は相関し地域差がなく、罹患率推計は人口100 万人対1.65であることが判明した。さらに、さまざまな治療や経過観察を受けたAPAP 患者103 例の予後調査(平均生存期間16.1 年)から、本邦の有病率は26.6/人口100 万人と推計された5)。 合併症 本邦における調査では約3 分の1 の症例で合併症を認めた1, 5)。最も重要な合併症は感染症である。GM-CSFは肺胞マクロファージの分化促進に加えて、顆粒球に対
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P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 proteinosis associated with pulmonary aspergillosis]. Nihon Naika Gakkai Zasshi. 1999;88:135-7. 12) Kobayashi T, Arai T, Hirose M, et al. Temporary remission of autoimmune pulmonary alveolar proteinosis after infectious episodes. Sarcoidosis Vasc Diff use Lung Dis. 2017; 34:85-90. 13) Arai T, Inoue Y, Akira M, et al. Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis Following Pulmonary Aspergillosis. Intern Med. 2015;54:3177-80. 14) Rosen SH, Castleman B, Liebow AA. Pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 1958;258:1123-42. 15) Hudson AR, Halprin GM, Miller JA, et al. Pulmonary interstitial fibrosis following alveolar proteinosis. Chest. 1974;65:700-2. 16) Akira M, Inoue Y, Arai T, et al. Pulmonary Fibrosis on High- Resolution CT of Patients With Pulmonary Alveolar Proteinosis. AJR Am J Roentgenol. 2016;207:544-51. 17) Kinehara Y, Kida H, Inoue Y et al. Development of microscopic polyangiitis-related pulmonary fibrosis in a patient with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis. BMC Pulm Med. 2014;14:172. 18) Arai T, Kasai T, Shimizu K, et al. Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis Complicated with Sarcoidosis: the Clinical Course and Serum Levels of Anti-granulocytemacrophage colony-stimulating Factor Autoantibody. Intern Med. 2020;59:2539-46. 19) Verma H, Nicholson AG, Kerr KM, et al. Alveolar proteinosis with hypersensitivity pneumonitis: a new clinical phenotype. Respirology. 2010;15:1197-202. 20) Katayama K, Hirose M, Arai T, et al. Clinical signifi cance of serum anti-granulocyte-macrophage colony-stimulating factor autoantibodies in patients with sarcoidosis and hypersensitivity pneumonitis. Orphanet J Rare Dis. 2020; 15:272. References 1) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 2) Hamilton JA, Anderson GP. GM-CSF Biology. Growth Factors. 2004;22:225-31. 3) Shibata Y, Berclaz PY, Chroneos ZC, et al. GM-CSF regulates alveolar macrophage differentiation and innate immunity in the lung through PU.1. Immunity. 2001;15: 557-67. 4) Trapnell BC, Whitsett JA, Nakata K. Pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 2003;349:2527-39. 5) Kitamura N, Ohkouchi S, Tazawa R, et al. Incidence of autoimmune pulmonary alveolar proteinosis estimated using Poisson distribution. ERJ Open Res. 2019;5:00190-2018. 6) Uchida K, Beck DC, Yamamoto T, et al. GM-CSF autoantibodies and neutrophil dysfunction in pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 2007;356:567-79. 7) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166:215-35. 8) Punatar AD, Kusne S, Blair JE, et al. Opportunistic infections in patients with pulmonary alveolar proteinosis. J Infect. 2012;65:173-9. 9) Sugimoto C, Kobayashi H, Kanoh S, et al. [Radiological fi ndings in initial pulmonary alveolar proteinosis detected in the post-treatment course of nocardiosis]. Nihon Kokyuki Gakkai Zasshi. 2006;44:738-41. 10) Onari Y, Yamaoka N, Taniwaki M, et al. [Remission of pulmonary alveolar proteinosis during antituberculosis chemotherapy]. Nihon Kokyuki Gakkai Zasshi. 2003;41: 392-6. 11) Kobayashi T, Ebina M, Oshima M, et al. [Case of alveolar
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各論 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の治療と治療に伴う合併症、予後 れる投与方法として、ネブライザーによる吸入治療が試されている。2016 ~2018 年に本邦で国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development;AMED)研究費により行われたランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)では、プラセボ群との間で肺胞気動脈血酸素分圧較差(alveolar-arterial oxygen pressure diff erence;AaDO2)の改善で有意差がみられ、喫煙者でその効果がみられないことが注目された5)。GM-CSF 吸入治療と肺洗浄の併用も試みられている。初回のGM- CSF 吸入治療で十分な効果が得られず、WLL をして気道内で吸入GM-CSF の肺胞への到達を阻む物質を除去し、再度GM-CSF 吸入を行って、著明な改善をみた患者群が報告されている6)。 抗体に対する治療法 抗GM-CSF 抗体の減量・抑制を目的とした治療法も試みられている。ステロイド投与は、後向きコホート研究でPAP の重症度を悪化させ、感染のリスクを上げる可能性がある7)。抗GM-CSF 抗体を除去する血漿交換や、B 細胞を抑えるリツキシマブの使用が試みられている8)。明確な結論を得るには、前向き研究が必要である。 APAP の治療に伴う合併症 WLL は経験ある施設・スタッフが行えば安全な処置とされるが、合併症として発熱、低酸素、気胸、水気胸、感染症、急性呼吸窮(促)迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)、気道出血などが知られている9)。細菌性肺炎が合併している場合にはWLL は控える。GM-CSF 皮下注射では85%の患者に注射局所で発赤腫脹などの反応がみられた4)。GM-CSF吸入では大きな有害事象はみられていない5)。 APAP の治療と重症度 APAP の治療は重症度による1)。軽症の場合には、自然寛解例がみられることがあるので経過観察をしばらく行う2)。中等症以上の場合には、全肺洗浄(法) (whole lung lavage;WLL)や区域肺洗浄、GM-CSF 吸入が行われ、あるいは血漿交換、リツキシマブ投与などが試みられている。病状によっては肺移植が選択される場合もある。これらに加えて、対症療法や酸素投与が行われる。 肺洗浄 全身麻酔下片側WLL は、1960 年代にRamirez らにより開発・導入され3)、現在まで標準治療としてAPAPおよび一部の続発性肺胞蛋白症(secondary pulmonary alveolar proteinosis;SPAP)で用いられる。挿管し、全身麻酔下に片肺で換気を行いながら、対側肺への温生理食塩水の注入・排水を繰り返して、物理的にサーファクタント由来蓄積物を除く。片肺あたりの総注入量は20 L 程度である4)。本法の施行は、熟練した医療者チームが必要で、各施設での実際の方法は異なり、標準化されていない。生理食塩水の適正な使用量や、胸壁叩打の方法や有効性などの問題も未解決である。WLL の適応基準については、コンセンサスの得られた基準はなく、呼吸困難症状、酸素化、CT 上の陰影の増悪に基づいて専門施設で決められる。局所麻酔下での気管支ファイバースコープによる気管支鏡下区域洗浄(segmental or lobar bronchoscopic lavage;SLBL)も用いられることがある。 GM-CSF GM-CSF ノックアウトマウスの所見が報告されてすぐに、皮下注射での投与が1996 年から試みられているが、奏効率は5 割程度にとどまる4)。より効果が期待さ
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P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 日常管理 軽症例では定期的な経過観察が行われる。上述の特異的な治療に加えて、咳、痰などの症状に対する対症療法や、低酸素に対する酸素療法などにより症状を和らげ、低酸素を改善し、より容易な日常生活となるよう支援する。 予後 概ねAPAP と推定される特発性PAP の報告では、343 例中、2 年、5 年、10 年生存率は78.9%、74.7%、68.3%であった。65 例の死亡例のうち60 例はPAP 関連死亡であり、47 例は呼吸不全、12 例は感染症、1 例はWLL 時の心停止であった2)。生存中に診断された特発性PAP のPAP 特異的な生存についての検討では、5 年生存率は88%、PAP を原因とする5 年以内の死亡の80%以上は観察開始から1 年以内に発生した2)。また、自然軽快は7.9% 2)、30% 10)の症例に認めた。 References 1) 井上義一.重症度に応じた肺胞蛋白症の治療.井上義一,中田 光(監).肺胞蛋白症の診断,治療,管理の指針.2012.pp.25- 6. 2) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166:215-35. 3) Ramirez J, Nyka W, McLaughrin J. Pulmonary alveolar proteinosis. Diagnostic technics and observations. N Engl J Med. 1963;268:165-71. 4) Campo I, Luisetti M, Griese M, et al. Whole lung lavage therapy for pulmonary alveolar proteinosis: a global survey of current practices and procedures. Orphanet J Rare Dis. 2016;11:115. 5) Venkateshiah SB, Yan TD, Bonfi eld TL, et al. An open-label trial of granulocyte macrophage colony stimulating factor therapy for moderate symptomatic pulmonary alveolar proteinosis. Chest. 2006;130:227-37. 6) Tazawa R, Ueda T, Abe M, et al. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2019;381: 923-32. 7) Ohkouchi S, Akasaka K, Ichiwata T, et al. Sequential Granulocyte-Macrophage Colony-Stimulating Factor Inhalation after Whole-Lung Lavage for Pulmonary Alveolar Proteinosis. A Report of Five Intractable Cases. Ann Am Thorac Soc. 2017;14:1298-304. 8) Akasaka K, Tanaka T, Kitamura N, et al. Outcome of corticosteroid administration in autoimmune pulmonary alveolar proteinosis: a retrospective cohort study. BMC Pulm Med. 2015;15:88. 9) Soyez B, Borie R, Menard C, et al. Rituximab for auto- immune alveolar proteinosis, a real life cohort study. Respir Res. 2018;19:74. 10) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62.
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追加データと検査所見 既往歴:パーキンソン病(66 歳)、脂質異常症(47 歳)、 膣腫瘍摘出(40 歳)、虫垂炎手術(20 歳)喫煙歴:なし血液検査所見: 血清KL-6 5,727 U/mL、SP-D 157 ng/ mL、抗GM-CSF 抗体50.1 μg/mL(カットオフ値≧0.50) 呼吸機能検査所見: FVC 2.14 L (97.3%)、FEV1/FVC G 79.44%、%DLCO 60.0% 動脈血液ガス分析(室内気、臥位):PaCO2 39.4 Torr、 PaO2 71.5 Torr、AaDO2 34.0 Torr画像所見:胸部X 線検査: 初診時、両側下肺野優位にGGO がみ られた。 胸部CT 検査: 初診時、両側肺野にcrazy-paving pattern を認め、一部にはコンソリデーションも伴い、陰影は地図状の分布、胸膜下がスペアされ、PAP として矛盾しないと考えられた(図-A)。 気管支鏡検査所見: BALF(右B 5): 外観は白濁。回収率93/150 mL、細 胞数0.75 × 10 5/mL、細胞分画(マクロファージ33.1%、リンパ球54.0%、好中球8.1%、好酸球4.8%)、CD4/CD8 比1.48 BAL 細胞診: 好酸性顆粒状物質とリンパ球、泡沫細胞 が多数認められた。 TBLB(右B 3 とB 8, 9): 末梢気腔内にパス染色陽性の好 酸性顆粒状物質が認められた(図-D)。BALF とTBLB の所見はPAP として矛盾しない所見と考えられた。 診断・治療・経過 画像所見と気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fl uid;BALF)と経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy;TBLB)の所見からPAP と診断した。血清抗GM-CSF 抗体が陽性であることからAPAP と診断した。去痰薬のみで経過観察した。初診から約半年後にはすりガラス様陰影(ground-glass opacity;GGO)が軽減し(図-B)し、3 年後には限局性GGO のみ(図-C)であった。初診から8 年後、陰影の再燃はみられていない。 考察 PAP の自然軽快の明解な定義は存在しないが、浅本らは原発性PAP 68 例中16 例(23.5%) 1)、Seymour らは PAP 303 例中24 例(7.9%) 2)、Inoue らはAPAP 144 例 中43 例(29.8%) 3)に自然軽快を認めることを報告した。 PAP が自然軽快する病態については不明であるが2)、臨床試験を実施する場合に重要な考慮対象となるAPAP 症例:APAP 年 齢:67 歳(初診時)性 別:女性主 訴:労作時呼吸困難現病歴: 当院初診3 年前より労作時呼吸困難を自覚。近医にて胸部X 線写真、CT で異常を指摘 され、前医に紹介受診。気管支鏡検査を施行するも特異的な所見は得られず、当院へ紹介受診。 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の自然軽快の一例
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 の自然史と考えられた。 References 1) 浅本 仁,北市正則,西村浩一,他.わが国における原発性肺 胞蛋白症:68 症例の臨床的検討.日胸疾会誌.1995;33:835- 45. 2) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166:215-35. 3) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. A B C D 初診時初診から半年後 初診から3 年後 図HRCT、TBLB の肺組織 A:初診時。両側肺野びまん性にcrazy-paving pattern の陰影がみられた。地図状分布を示し、一部胸膜下がスペアされていた。B:半年後のCT ではGGO が縮小した。C:3 年後のCT では、広範にみられていたGGO は消失し、両側下肺野背側にわずかにGGO と線状影が残るのみであった。D:TBLB の肺組織には末梢気腔内にパス染色陽性の好酸性細顆粒状物質の充満を認めた(パス染色)。
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追加データと検査所見 既往歴:高血圧症、脂質異常症、痔瘻手術後職業歴:トラック運転手喫煙歴:既喫煙者。20 本/日× 17 年。29 歳から46 歳ま で喫煙。46 歳から禁煙。現 症:体温36.3°C、血圧109/88 mmHg、心拍93 回/ 分、呼吸数18 回/分、SpO2 95% (O2 3L/分、鼻カニューラ)胸部聴診で所見なし。軽度ばち状指あり。ほかに特記すべき理学所見なし。検査所見: TBLB では、肺胞腔内に好酸性の微細顆粒状 物質の貯留と、一部にコレステリン結晶を認めた。 入院時血液検査: 血清KL-6 9,319 U/mL (基準値は500 未満)、SP-A 99.5 ng/mL (基準値は 43.8 未満)、SP-D 420 ng/mL (基準 値は110 未満)、CEA 24.2 ng/mL (基準値は5.0 以下) と血清マーカーが高値を示した。安静時O2 3 L/分での動脈血液ガス分析では、pH 7.45、PaCO2 35.8 Torr、PaO2 76.8 Torr、HCO3 - 24.3 mmol/L であった。肺機能検査: %VC 100%、%FEV1 94.1%、DLCO 48.7% と拡散障害を認めた。胸部X 線検査では、両肺野対称性に肺門側優位にいわゆるbat-wing appearanceを呈する浸潤影を認めた。胸部CT では両肺野広汎にGGO を認め、crazy-paving pattern を呈し、中下葉主体にsubpleural sparing を呈する部位も認めた。 診断・治療・経過 アンブロキソール塩酸塩45 mg/ 日内服を継続し、既報に示した方法でWLL を施行した1)。左肺WLL 時には生理食塩水を初回1.6 L 注入し、2 分間滞留後に排液、これを1 サイクルとして、1 回0.6 ~0.9 L の生理食塩水の注入と排液を26 サイクル施行した(合計約22 L 注入、洗浄時間1 時間57 分)。1 週間後に右肺WLL を行った。初回注入量1.9 L、その後1 回1.0~1.1 L の注入として25 サイクル施行した(合計約27 L、洗浄時間1時間59 分)。 WLL 後、労作時呼吸困難の軽減、疾患重症度スコア(disease severity score;DSS)が5 から3 に低下2)、画像所見の改善、および血清マーカー値の低下を確認した 症例:APAP 年 齢:66 歳性 別:男性主 訴:労作時呼吸困難、白色痰現病歴: 20XX 年6 月頃よりmMRC グレード1 の労作時呼吸困難を認めた。8 月にmMRC グ レード2 の軽労作時による呼吸困難を認めるようになり、白色痰も伴い近医受診した。胸部X 線検査で両肺野の陰影を認め、IP の疑いのためプレドニゾロン(PSL)25 mg/ 日で内服開始となった。1 週間内服後に地域の基幹病院に紹介受診。PSL 投与が中止され精査となった。TBLB でPAP の病理所見を認め、血清抗GM-CSF 抗体は20.2 U/mL (基準値は1.65 未満) と陽性を示したため、APAP と診断された。低酸素血症に対してHOT となり、9 月にWLL 目的に別の医療機関紹介受診となった。 全肺洗浄(法)(WLL)により改善した自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 (図)。しかし、その後の経過で労作時呼吸困難の再燃、画像所見および血清KL-6 値の再増悪を認めた。このため、20XX+1 年4 月に2 回目のWLL を施行した。前回同様に1 週間の間隔をあけて左肺、右肺の順で洗浄を行った。左肺WLL は初回注入量1.8 L、その後1 回1.0~1.5 L の生理食塩水注入を30 サイクル施行した(合計約33 L 注入、洗浄時間2 時間23 分)。右肺WLL は初回注入量2.2 L、その後1 回1.3 ~1.5 L の注入を30サイクル施行した(合計約43 L 注入、洗浄時間2 時間38 分)。いずれのWLL においても、初回回収液は黄白色の顆粒状物質で混濁し、洗浄を繰り返すことにより、混濁は著明に軽減した。 2 回目のWLL 後に労作時呼吸困難は消失した。翌月には室内気で経皮的酸素飽和度(saturation of percutaneous oxygen;SpO2)95%と酸素化は改善し、 在宅酸素療法(home oxygen therapy;HOT)離脱となった。 References 1) 赤坂圭一,中田 光.肺胞蛋白症に対する肺胞洗浄法.日本呼 吸器学会びまん性肺疾患学術部会,厚生労働省難治性疾患政策研究事業びまん性肺疾患に関する調査研究斑(編).気管支肺胞洗浄(BAL)法の手引き改訂第3 版.東京:克誠堂出版; 2017. pp.179-87. 2) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al;Japanese Center of the Rare Lung Diseases Consortium. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 20XX 年9 月初診時20XX 年10 月1 回目WLL 後20XX+1 年4 月再増悪時20XX+1 年6 月2 回目WLL 後 KL-6(U/mL) SP-D(ng/mL) SP-A(ng/mL) DSS 9,319 420 99.5 5 4,051 371 100.9 3 10,393 346 90.6 3 4,618 194 63.3 2 図 本症例の経過
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追加データ 既往歴・家族歴:特記すべきことなし喫煙歴:なし職業歴:事務職 診断・治療・経過 X-1 歳時、労作時呼吸困難を自覚し近医受診した際、胸部写真にて両側性びまん性GGO を指摘された。総合病院にて、特徴的なCT 所見、TBLB および気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage;BAL)所見、抗GM- CSF 抗体の存在によりAPAP と診断された。アンブロキソール塩酸塩内服、WLL が行われたが悪化し、当院に紹介となった(図1) 1)。 再度WLL を施行するも無効であったため、本邦初のGM-CSF 吸入療法を試みることとなり、倫理委員会承認、患者同意取得後、GM-CSF 吸入療法の1 回目が開始された。開始時の室内気における動脈血酸素分圧(partial pressure of arterial oxygen;PaO2)は35 mmHg であった(図1)。1 回目は大腸菌由来のリコンビナントGM-CSF(モルグラモスチム125μg を生理食塩水2 mL に希釈)を1 日2 回、PARI LCプラスネブライザーを用いて吸入した。1 週間投薬、1 週間休薬のサイクルを12 回繰り返したところ、自覚症状、検査所見とも軽快し治療奏効と判断し、経過観察となった(図1) 1)。しかしながら半年後に再増悪し、2 回目のGM- CSF 吸入療法導入となった。2 回目は酵母由来のGM- CSF(サルグラモスチム125μg を生理食塩水2 mL に希釈)を1 日に2 回、PARI LCプラスネブライザーを用いて吸入した。前回同様、1 週間投薬、1 週間休薬のサイクルを12 回、計24 週間治療を行った。2 回目の治療で病勢をやや遅らせたが、期待される治療効果は得られなかった(図1) 1)。治療終了後、PAP は著明に悪化した (PaO2 34 mmHg、CEA 20.7 ng/mL、KL-6 25,400 U/ mL)。そのため7 週後に3 回目のGM-CSF 吸入療法を開始した。薬剤をより効率的に肺胞に到達させる目的で、サルグラモスチムは水溶液バイアル(500μg/vial)に変更した。噴霧粒子がより小さいPARI LCスプリントスターネブライザーに変更し治療を行ったところ、臨床所見・画像所見・検査値などが著明に改善した。薬剤投与量は1、2 回目と同じ125μg × 2 吸入/日、隔週ごとの投薬・休薬を12 回繰り返し、計24 週治療した。さらに3 回目の治療後、維持療法として125μg × 2 吸入/日を2 日間投与、12 日間休薬するという方法で1 年施行、その後1 日投与13 日休薬を6 ヵ月継続し、その後1 日投与27 日休薬を1 年間継続し、治療を終了した。治療終了後10 年以上経過するが、再増悪はなく、HOTからも離脱した(図2)。全経過中、GM-CSF に起因すると考えられる有害事象は現れなかった。 症例:APAP 年 齢:50 歳性 別:女性主 訴:労作時呼吸困難現病歴: X-1 歳時、労作時呼吸困難を自覚し近医受診した際、胸部写真にて両側性びまん性 GGO を指摘された。総合病院にて、特徴的なCT 所見、TBLB およびBAL 所見、抗GM-CSF 抗体の存在によりAPAP と診断された。アンブロキソール塩酸塩内服、WLLが行われたが悪化し、当院に紹介となった(図1) 1)。 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)吸入療法が無効であったが、 吸入剤型の変更にて軽快した重症自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 pilot study; and long-term treatment with aerosolized granulocyte-macrophage colony-stimulating factor: a case report. Respirology. 2006;11 Suppl:S61-4. Reference 1) Tazawa R, Nakata K, Inoue Y, et al. Granulocyte- macrophage colony-stimulating factor inhalation therapy for patients with idiopathic pulmonary alveolar proteinosis: a KL-6 (IU/L) 24,000 -14 -7 0 +6 +18 +26 +32 +39 +45 +52 PaO2 56 38 35 57 45 38 40 34 57 63 16,000 8,000 0 ヵ月6 ヵ月26 ヵ月32 ヵ月39 ヵ月45 ヵ月 (室内気) (mmHg) GM-CSF (モルグラモスチム) GM-CSF (サルグラモスチム) GM-CSF (サルグラモスチム) Maintenance 600 400 200 20 15 10 5 SP-D (IU/L) CEA (ng/mL) CEA SP-D KL-6 (月) Tazawa R et al. Granulocyte-macrophage colony-stimulating factor inhalation therapy for patients with idiopathic pulmonary alveolar proteinosis: a pilot study; and long-term treatment with aerosolized granulocyte-macrophage colony-stimulating factor: a case report/ Respirology journal © John Wiley and Sons. 図1当患者の臨床経過 GM-CSF 吸入療法1 回目(GM-CSF 〔モルグラモスチム125μg × 2/日、隔週ごとに休薬治療期間24 週〕+PARI LCプラスネブライザー)は奏効したが、再増悪。GM-CSF 吸入療法2 回目(GM-CSF 〔サルグラモスチム125μg × 2/日、隔週ごとに休薬、治療期間24 週〕+PARI LCプラスネブライザー)は病勢を若干遅らせたものの、効果は不十分であった。GM-CSF 吸入療法3 回目で、ネブライザーをより小粒子の噴霧が可能な機種に変更したところ(GM-CSF 〔サルグラモスチム125μg × 2/日、隔週ごとに休薬、治療期間24 週〕+PARI LCスプリントスターネブライザー)、著効した。この症例ではさらに24 週の維持療法を追加し、外来経過観察中であるが、2 年近く増悪を認めず、HOT も離脱可能となった。(文献1 より引用)
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KL-6 987 U/mL (<500) SP-D 128.4 ng/mL (<110) CEA 3.0 ng/mL (<5.0) 血液ガスpH 7.384 PaCO2 44.1 Torr PaO2 63.0 Torr AaDO2 31.9 Torr SaO2 92.3% 臥位にて5 分経過後採取(座位でのSpO2 は96%) 図2当患者のX +20 年後の画像および臨床データ PAP の再燃なく経過している。しかしながらKL-6、SP-D 高値と臥位の低酸素血症は継続している。この症例のように、APAP 寛解後もKL-6、SP-D高値と臥位の低酸素血症を呈する患者は多い。
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 追加データと検査所見 既往歴:特記事項なし家族歴:PAP の家族歴なし生活歴: 喫煙20 本/日× 30 年(20 ~50 歳)、酒屋店主、 粉塵曝露歴なし初診時現症: 身長158.6 cm、体重51.6 kg、体温36.6 °C、 血圧109/69 mmHg、脈拍77/分、呼吸数16/分、SpO2 96% (室内気)、呼吸音no rale 血液検査所見(表): LDH 376 U/L、血清KL-6 17,330 U/mL、SP-D 293 ng/ mL、CEA 12 ng/mL、CYFRA 26.5 ng/mL と上昇を認めた。 血液ガス(室内気): pH 7.414、PaO2 90.9 mmHg、 P a C O 2 3 7 . 1 m m H g 、A a D O 2 12.5 mmHg 胸部X 線検査(図) :両側下肺野にGGO がみられた。胸部CT 検査(図) : 両側下肺野優位にcrazy-paving pattern を認めた。 気管支鏡検査所見: BALF(左B 5): 乳白色の外観(表)で、総細胞数3.2 × 10 5/μL、マクロファージ50%、リンパ球36%、好中球12%、好酸球2%であった。TBLB では肺胞壁に沿ってパス染色で陽性物質を認めた。診断・臨床・経過 前述の所見に加え、抗GM-CSF 抗体は28 μg/mL と上昇しており、APAP と診断した。 本症例は経過中、WLL やGM-CSF 吸入療法を含めた治療は希望されず、外来で経過観察の方針とした。初診より9 ヵ月後、咳嗽症状は悪化し、発熱の症状も出現した。両側に空洞性肺結節を認めたため、感染症の関与を疑い気管支鏡検査を行ったが、一般菌・抗酸菌ともに有意な菌の検出は認めず(ただし、抗MAC 抗体2.59 U/ mL〔正常 0.7 未満〕と陽性であり、非結核性抗酸菌症も関与していると考えられた)、その際の気管支鏡検査ではBALF は透明であった。 酸素化は悪化傾向を認め、HOT を開始したが、高分解能CT(high-resolution computed tomography; HRCT)では肺野のGGO はむしろ改善傾向で、胸膜直下の蜂巣肺および牽引生気管支拡張が出現した。血清抗GM-CSF 抗体は23.5μg/mL と上昇したまま推移していたが、血清抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(m y e l o p e r o x i d a s e - a n t i - n e u t r o p h i l cytoplasmicantibody;MPO-ANCA)は134 IU/L と陽性で、血尿および蛋白尿の所見を認め、顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis;MPA)の診断基準を満たしていた。経時的に肺の線維化および容量減少は進行した(図)。 症例:APAP 年 齢:75 歳性 別:男性主 訴:咳嗽、労作時の呼吸困難感(mMRC グレード 2)、体重減少(1 年で10 kg減)現病歴: 2 ヵ月間続く咳嗽と労作時の呼吸困難感を主訴に近医を受診し、胸部X 線検査で胸部異 常陰影を指摘され、紹介受診となった。 肺線維症合併自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例(顕微鏡的多発血管炎〔MPA〕合併APAP)
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考察 自己免疫疾患は、遺伝的および環境的要因による自己抗原に対する免疫寛容の機能不全によって誘発されると一般的には考えられている1)。APAP ではほかの自己免疫疾患を伴う報告がある2-4)。APAP とANCA 関連血管炎との関連について解明するにはさらなる研究が必要であるが、肺線維症を合併したAPAP の症例ではMPAを含むほかの自己免疫疾患の合併も考慮して検査を行う必要がある。 * 本症例は、ケースレポートとして報告した5)。References 1) Selmi C, Lu Q, Humble MC. Heritability versus the role of the environment in autoimmunity. J Autoimmun. 2012;39: 249-52. 2) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 3) Seymour JF, Presneill JJ. Pulmonary alveolar proteinosis: progress in the fi rst 44 years. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166:215-35. 4) Fukushima K, Tsujino K, Futami S, et al. Natural Autoantibodies in Chronic Pulmonary Diseases. Int J Mol Sci. 2020;21:1138. 5) Kinehara Y, Kida H, Inoue Y, et al. Development of microscopic polyangiitis-related pulmonary fibrosis in a 表血液検査所見 BALF 外観乳白色 血算 WBC 6,300 /μL RBC 341 × 10 4 /μL Hb 11.6 g/dL Plt 17.6 × 10 4 /μL Neu 65.9 % Lym 25.4 % Mo 7.1 % Eo 1.2 %生化学 TP 7.2 g/dL Alb 4.2 g/dL ALP 241 IU/L AST 37 IU/L ALT 13 IU/L γ -GTP 26 IU/L LDH 376 IU/L BUN 17 mg/dL Cr 0.84 mg/dL CRP 0.10 mg/dL Na 138 mmol/L K 4.4 mmol/L Cl 105 mmol/L KL-6 17,330 U/mL SP-D 293 ng/mL抗核抗体40 倍(Homogeneous) CEA 12 ng/mL CYFRA 26.5 ng/mL ProGRP 34.1 pg/mL血液ガス(室内気) pH 7.414 PaO2 90.9 mmHg PaCO2 37.1 mmHg AaDO2 12.5 mmHg HCO3 - 23.3 mEq/L BE -0.5 mEq/L BALF 細胞数3.2 × 10 5 /μL M φ 50 % Lym 36 % Neu 12 % Eo 2 %
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 patient with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis. BMC Pulm Med. 2014;14:172. KL-6(U/mL) 17,330 30,420 4,349 SP-D(ng/mL) 293 319 307 抗核抗体(倍) 40 (Homogeneous) 1,280 (Homogeneous, Speckled) 抗SS-A 抗体(U/mL) 141抗SS-B 抗体(U/mL) <5 PR3-ANCA(U/mL) <1 MPO-ANCA(U/mL) 300<尿蛋白2+ 2+尿潜血2+ 3+ FVC(%FVC) (L) 3.17 (101.1) 2.46 (81.3) %DLCO(mL/分/mmHg) 66.8 32.6 132 <5 <1 134 2+ 3+ 1.95(65.8) 11.9 初診時9 ヵ月後29 ヵ月後15 ヵ月後 図胸部X 線検査、胸部CT 検査
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追加データと検査所見 既往歴: AIHA(51 歳、PSL 少量投与)検査所見:血清学的検査: 抗GM-CSF 抗体155.69μg/mL、KL-6 271 U/mL、SP-D 17.2 ng/mL、SP-A 32.1 ng/mL BALF(右B 3a): 米のとぎ汁様の外観。細胞数0.8 × 10 5/mL細胞分画: マクロファージ79%、リンパ球20%、 CD4/CD8 比1.35 BALF 細胞診: パス陽性顆粒状無構造物質、TBLB は検体採取不可。 胸部CT: ノカルジア発症時に右上葉胸膜下にGGO がみられた。徐々に斑状分布の陰影は増加・拡大し、浸潤影とGGO のなかに血管影や小葉間隔壁と思われる線状影がみられ 症例:APAP 年 齢:55 歳性 別:女性主 訴:右上肺野の胸部異常影現病歴: 51 歳時に診断されたAIHA に対し、1 年間PSL 10 mg 隔日投与中、52 歳時に左中肺野 に6 cm 大の腫瘤影を呈した肺ノカルジア症と多発ノカルジア脳膿瘍(菌種は同定できなかった)を発症。ノカルジア症に対し、ST 合剤を主体に抗菌薬18 ヵ月経口投与し、ノカルジア病変は改善 1)。肺ノカルジア症発症時の胸部CT にて右肺尖部に限局性GGO を認めた。ノカルジア症が重症であったことから右上葉陰影は経過観察とした。その後、左肺の肺ノカルジア症は改善したが、右上葉の陰影は増大傾向にあり、55 歳時に精査となった 2)。 左肺と脳のノカルジア症の治療後に右肺に顕在化した自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例 ノカルジア治療発症時5 ヵ月目12 ヵ月目21 ヵ月目(APAP 診断時) 図胸部CT 画像の経過
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 た(crazy-paving pattern) (図)。 診断・治療・経過 胸部CT 所見とBALF 所見から右肺上葉陰影はPAPと診断した。さらに血清抗GM-CSF 抗体陽性のためAPAP と診断した。自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia;AIHA)に対するプレドニゾロン(prednisolone;PSL)少量投与は継続し、APAP については無治療経過観察とした。最終的にAIHA に血小板減少症を伴い(エヴァンス症候群)、ステロイド性糖尿病を背景に、敗血症、尿路感染症、誤嚥性肺炎を併発し66 歳で永眠された。APAP の進展は軽微であり、呼吸器科的治療介入は不要であった。 考察 本症例はAIHA に対するPSL 治療中に脳と左肺のノカルジア症を発症し、同時に右肺にAPAP が認められた症例である1, 2)。APAP が肺ノカルジア症とともに増悪し、ノカルジア症治療にてAPAP が改善した症例が報告された3)。ノカルジア症の多くは免疫不全者に発症し、PAP との合併も報告された4)。Acquired PAP注釈410 例の検討では56 例に日和見感染症が認められ、そのうち34 例(60.7%)はノカルジア症であった。7 例で脳病変をきたし、5 例が死亡例であった。1 例ではノカルジア症がPAP 診断の4 年前から存在した5)。 ノカルジアは、1888 年に西インド諸島のグアドループ島の家畜のリンパ節疾患(farcy)からEdmond Nocardによって発見された好気性でグラム染色陽性のフィラメント状の細菌である。ノカルジア属は土壌中に生息し、気道からの吸入により肺に侵入する。血行性に播種して脳ノカルジア症を起こす4, 6)。ノカルジアに対する生体防御にはT 細胞、マクロファージを含む細胞性免疫が重要である4)。 肺ノカルジア症は組織学的には膿瘍形成を伴う壊死性急性気管支肺炎を特徴とし、壊死病変周囲には反応性に肉芽腫を形成することがある7)。肉芽腫性病変には多形核白血球、マクロファージとリンパ球を含む。多核巨細胞がノカルジアによる肉芽腫性病変にはときどきみられるが、結核菌による肉芽腫性病変とは異なり、類上皮細胞は通常は含まない4)。 肺ノカルジア症144 例の報告ではPAP 合併病態は含まれていなかった8-10)。PAP に対する日和見感染症とし て肺ノカルジア症は重要である11, 12)。一方、肺ノカルジア症からみた場合、PAP が合併する症例はまれと考えられた。 AIHA では赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体が産生され、抗原抗体反応の結果、赤血球が傷害を受け、赤血球の寿命が著しく短縮し、貧血をきたす病態である。日本での患者数は約2,600 人である13-15)。特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)の患者総数は日本では約2 万人であり、毎年約3,000 人の患者が新たにITP に罹ると考えられている16)。エヴァンス症候群は、AIHA とITP あるいは免疫性好中球減少症が同時あるいは経時的に起こる症候群であり、平均4.8 年の予後成績では24%の死亡率と報告された17)。 AIHA の治療経過中に血小板減少症をきたしたエヴァンス症候群とAPAP の合併の報告は、現時点では本症例のみである。エヴァンス症候群では温式抗体によるAIHA とITP が起こる18)。エヴァンス症候群ではインターフェロン-γの上昇に伴ってT 細胞ホメオスタシスの混乱が起こり、その結果、赤血球と血小板に対するB細胞の活性化が起こるとの推定がなされた18)。 肺ノカルジア症の慢性型では一肺葉の多くに慢性肺炎が起こり、組織学的所見としては泡沫細胞集簇と多数の小型膿瘍を伴って、リンパ球、類内皮細胞と巨細胞を含む広汎な線維化病変を示すとの記載がなされた19)。あくまで仮説であるが、APAP 発生機序の1 つがこのような慢性肺炎病巣で、B 細胞からAPAP の発病機序である23kDa(3.8111 × 10 -23g)の造血サイトカインの蛋白であるGM-CSF に対する自己抗体が産生されたのではないかという推定から考察を行った20-22)。本症例では50代前半から約10 年の経過で、赤血球とGM-CSF と血小板に対して自己抗体が産生されたと理解された。肺ノカルジア症を含めた4 病態の関連性を明確にできなかったが、APAP 発生機序を考える上で注目された。 注釈2002 年のSeymour らの論文では、二次性、先天性以外のPAP をAcquired PAP と分類しており、その多くが現在の分類のAPAP と考えられる。
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 経気管支肺生検組織では末梢気腔内のPAS 染色陽性微細顆粒状物質貯留とII型肺胞上皮過形成を伴う肺胞中隔の肥厚を認めた。血清抗granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF)自己抗体陽性(90μg/mL、正常<0.5μg/mL)、血清KL-6、SP-D 上昇(5,700 U/mL、583 ng/mL)も合わせて、肺アスペルギルス症に続発した自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)と診断した。 APAP の診断6 ヵ月後、両側肺野陰影の増悪(図-E、 臨床経過 2 ヵ月継続する咳嗽にて受診し、胸部CT では左上葉の肺結核遺残空洞に真菌を疑う菌球を認めた(図-A、B)。血清アスペルギルス抗体陽性、気管支洗浄液培養でAspergillus fumigatus 陽性を示したことから、simple pulmonary aspergilloma と診断した。イトラコナゾール投与を開始したが、胸部CT では菌球の増大とともに、両肺野にcrazy paving appearance が出現した(図-C、D)。気管支肺胞洗浄液は米のとぎ汁様を呈し、 症例:APAP 症例:59 歳、男性。過去に喫煙歴あり。主訴:咳嗽既往歴:肺結核 肺アスペルギルス症に続発した自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の一例 A C E B D F 図胸部CT アスペルギルス診断時にはすりガラス様陰影(GGO)を認めなかった(A、B)。自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)診断時には真菌による菌球(C)とともに、下肺野優位にAPAP に矛盾しないGGO を認めた(D)。菌球の増大(E)とともに、GGO が全肺野に拡大した(F)。
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F)とともに、血清KL-6、SP-D は24,500 U/mL、1,180 ng/mL に上昇し、%肺活量は39.5%、肺拡散能は20.4%、PaO2(室内気、臥位)は36.8 Torr に低下した。全肺洗浄は感染症増悪を危惧し施行せず、GM-CSF 吸入を8 週間、皮下注を3 週間行ったが低酸素血症は改善しなかった。ミカファンギン点滴、アンホテリシンB吸入を追加したが、GM-CSF 吸入開始4 ヵ月後に呼吸不全のため死亡した。 死後の肺組織では、PAS 染色陽性顆粒状物質の末梢気腔内充填を認めたが、間質性肺炎や真菌様構造は認めなかった。主たる死因はAPAP の進行と考えた。 考察 APAP による免疫不全が原因でアスペルギルス症が続発することは報告されているが1)、本例のようにsimple aspergilloma の後にAPAP が発症し、aspergilloma の切除後にAPAP が改善した例2)やアスペルギルス副鼻腔炎治療後にAPAP が改善した例3)が報告されている。さらに、アスペルギルスの培養上澄がマクロファージ機能を低下させること4)、アスペルギスはII型肺胞上皮細胞からのSP-D 産生を増強すること5)、アスペルギルス感染マウスにおいて自己抗体産生に関与するTh2 反応が亢進すること6)から、今後の検証が必要であるが、アスペルギルス感染はAPAP の発症、悪化に関わる可能性が考えられた。* 本稿の内容はInternal Medicine の許諾を得て、下記の論文から転載したものである。 Arai T, Inoue Y, Akira M, et al. Autoimmune pulmonary alveolar proteinosis following pulmonary aspergillosis. Intern Med. 2015;54:3177-80. References 1) Matsuhisa T, Mori T, Urata A, et al. Pulmonary alveolar proteinosis exacerbated by aspergilloma. J Jpn Soc Respir Endoscopy. 2005;27:372-7. 2) Kobayashi T, Ebina M, Oshima M, et al. [Case of alveolar proteinosis associated with pulmonary aspergillosis]. Nihon Naika Gakkai Zasshi. 1999;88:135-7. 3) Lin KP, Sheng WH, Wang CP, et al. Resolution of secondary pulmonary alveolar proteinosis following treatment of rhinocerebral aspergillosis. Int J Infect Dis. 2010;14 Suppl 3:e246-9. 4) Murayama T, Amitani R, Ikegami Y, et al. Suppressive eff ects of Aspergillus fumigatus culture fi ltrates on human alveolar macrophages and polymorphonuclear leucocytes. Eur Respir J. 1996;9:293-300. 5) Atochina EN, Beers MF, Tomer Y, et al. Attenuated allergic airway hyper-responsive in C57BL/6 mice is associated with enhanced surfactant protein (SP)-D production following allergic sensitization. Respir Res. 2003;4:15. 6) Haczku A, Cao Y, Vass G, et al. IL-4 and IL-13 forms a negative feedback circuit with surfactant protein-D in the allergic airway response. J Immunol. 2006;176:3557-65.
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 SpO2 が97%まで改善したためHOT を中止した。 検査所見とWLL 後の経過 分娩後、母親の血清GMAb 値は総IgG 値の上昇に応じて軽度上昇し、3 ヵ月でピークに達してからベースライン値まで緩徐に低下した。 対照的に、新生児の血清GMAb 値はカットオフ値(1.65μg/mL)以下まで急激に低下し、血清IgG 値も生後3 ヵ月間は低下して定常状態となった(図) 2)。 20XX +2 年7 月の時点において、母親は他医療機関にて無治療で経過観察されているが寛解状態を維持しており、子どもも順調に成長している。 考察 Pubmed で検索した限り、妊婦PAP に関する症例報告は、妊娠時にWLL を施行した症例1)と本症例2)のみであった。 本症例において、新生児と母親の総IgG に対する血清GMAb の比率が類似していたことは、母親のGMAbが新生児循環に受動的に移行したことが示唆された。一方、新生児の血清GMAb が指数関数的に急速に低下したことから、新生児にはGMAb 生産システムがなかったことが示唆された。この結果、GMAb が急激に減少して、新生児がAPAP を発症しなかったと思われる。新生児の血液に存在するGMAb は、新生児固有のGM- CSF と結合すると高分子量の免疫複合体が形成され、この複合体はFc 受容体依存的に急速に分解されるた 追加データと検査所見 既往歴:特記すべきことなし生活歴:主婦 前医にて胸腔鏡下肺生検(video-assisted thoracic surgery;VATS)でPAP と診断される。アンブロキソール塩酸塩を約1 年間内服したが、無症状であっため自己判断で内服と通院を中止した。20XX-6 年10 月に労作時呼吸困難が出現したため某大学病院を受診し、抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子自己抗体(granulocyte-macrophage colony-stimulating factor antibody;GMAb)を測定して130.7μg/mL と高値であったことから、APAP の増悪と診断された。 診断・治療・経過 20XX-5 年1 月、SpO2 が90%へ低下したためWLL目的で当院へ紹介となり、20XX-5 年1 月~20XX-1年5 月の間に寛解と増悪を繰り返して左右肺WLL を3回施行した。20XX-1 年9 月に妊娠し、APAP の増悪と妊娠による換気制限が加わって低酸素血症が出現したため、20XX 年2 月からHOT を開始した。20XX 年5月、妊娠36 週5 日で帝王切開にて女児(体重2,192 g)を出産した。新生児はSpO2 と血清KL-6 が正常であり、母体内でAPAP が発症しなかったことが示唆された。一方、母親は出産直前の室内空気下のPaO2 は56.3 Torrであったが、出産1 週後には39.3 Torr まで低下したため左肺WLL を施行した。2 週後に右肺、3 週後に再度左肺WLL を施行した。出産4 週後には室内空気下の 症例:APAP 年 齢:36 歳性 別:女性主 訴:健診発見で無症状(後に労作時呼吸困難出現)現病歴: 20XX-17 年10 月に健康診断で胸部異常陰影を指摘され、前医より紹介された。 妊婦例
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bronchopulmonary lavage. Chest. 1984;86:496-9. 2) Ichiwata T, Ishida M, Itoh Y, et al. Does maternal autoantibody that transfer to newborn cause disease? Respirol Case Rep. 2019;7:e00494. 3) Piccoli L, Campo I, Fregni CS, et al. Neutralization and clearance of GM-CSF by autoantibodies in pulmonary alveolar proteinosis. Nat Commun. 2015;6:7375. め3)、新生児の血液中の母親由来のGMAb の分解が促進すると思われる。 References 1) Matuschak GM, Owens GR, Rogers RM, et al. Progressive intrapartum respiratory insufficiency due to pulmonary alveolar proteinosis. Amelioration by therapeutic whole-lung黒実線:母GMAb、黒点線:母IgG 赤実線:子GMAb、赤点線:子IgG 1,600 1,200 800 400 0 300 200 100 0 (μg/mL) (mg/dL) IgG GMAb 20XX/7/17 20XX/9/17 20XX/11/17 20XX+1/1/17 20XX+1/3/17 20XX+1/5/17 https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/ 図母体(黒線)と新生児(赤線)における血清GMAb(実線)と総IgG(点線)濃度の変動 (文献2 より引用)
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P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 各論 続発性肺胞蛋白症(SPAP)の病態、診断、治療、合併症、予後 血病19-24)に合併するものが多く、悪性リンパ腫25, 26)、多発性骨髄腫27, 28)、ファンコニ貧血29, 30)などと合併した報告もある。自己免疫疾患ではベーチェット病(Behçet’s disease;BD)に続発した症例31)もみられている。感染症では呼吸器感染症に続発し、ニューモシスチス肺炎(pneumocystis jiroveci) 32)、抗酸菌感染症33, 34)などが基 礎疾患として報告されている。粉塵曝露に関連するものは、大量の粉塵を吸入するために肺胞マクロファージの機能が飽和し、サーファクタントが処理できなくなってしまうのが原因と考えられている。急性珪肺症(acute silicosis) 35)、アルミニウム36)やチタン37)などの金属や有機粉塵での報告例がある。また、薬剤に関連したものはbusulfan による報告38)がある。しかし、これらのうち1999 年以前の報告や海外例では、抗GM-CSF 抗体が測定されていないものが多い。 本邦における抗GM-CSF 抗体陰性を確認しているSPAP 66 例の基礎疾患は、血液疾患(58 例)が全体の88%を占めている39)。そして血液疾患のなかではMDS- SPAP が44 例と最も多い。そのなかにはBD も併発しているMDS-SPAP が4 例みられている。また、血液疾患以外では自己免疫性疾患6 例、抗酸菌感染症2 例であった(図1) 39)。2011 年に本邦のSPAP 40 例の基礎疾 患を海外報告例と比較報告したが40)、その後の症例集積でも本邦ではMDS-SPAP が明らかに多い傾向は変わっていない(表1) 39)。海外では慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia;CML)に合併したSPAP 報告例が最も多い。 診断39) SPAP の診断は、病理学的にPAP 所見(肺胞を主体とした気腔内にヘマトキシリン・エオジン染色で好酸性、パス染色陽性の無構造物質サーファクタントの貯留)を 疾患概念と病態 1958 年にPAP の疾患概念が提唱された後、1980 年代から基礎疾患を有するPAP が報告され、それらをSPAP と呼ぶようになった。しかし1999 年に抗GM- CSF 抗体が発見され、PAP のほとんどは抗体陽性であることから、現在はまず血清やBALF 中の抗GM-CSF抗体の有無によって分類している1)。そのため、SPAPは基礎疾患を有するPAP で、かつ血清およびBALF 中の抗GM-CSF 抗体陰性としており、血液疾患・膠原病・感染症などの基礎疾患を有するPAP でも抗GM- CSF 抗体陽性であれば、SPAP ではなくAPAP と分類される。 SPAP の病態はいまだ不明である。SPAP では抗GM-CSF 抗体は存在せず、GM-CSF 受容体異常もみられない。しかし、SPAP においても肺胞マクロファージの分化異常や機能障害2)が指摘されている。実際に、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)に合併したSPAP の肺胞マクロファージに骨髄腫瘍細胞と同様の染色体異常(トリソミー8)を認めた報告3)、MDS に合併したSPAP(MDS-SPAP)に対して骨髄移植を行った症例で、SPAP の改善時には肺胞マクロファージがすべてドナー由来に置換されていた報告4)、そして造血系転写因子であるGATA2 の遺伝子異常症にSPAP 発症が関連している報告5)がみられており、SPAP 発症の病態は骨髄由来の腫瘍化した肺胞マクロファージの機能障害による可能性が高い。 基礎疾患 SPAP の基礎疾患は、粉塵曝露や薬剤に関連するもの、血液疾患や感染症に合併するもの、後天性免疫不全症候群(AIDS) 6-8)や重症複合型免疫不全9, 10)に合併する ものが報告されている。血液疾患では、MDS 11-18)や白
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SPAP では診断時に必ずしも異常高値を示さない症例もみられる。SPAP の診断時KL-6 値(中央値)は1,960 U/ mL だが、約30%の症例で1,000 U/mL 以下であった。診断時SP-D 値(中央値)は147 ng/mL で、やはり約30%の症例で正常基準値110 ng/mL 未満であった。これらの結果は、血清マーカーの数値でSPAP 診断を否定的に考えてはいけないことを示唆している。 2)画像所見 PAP の画像所見は両側肺野に広がるGGO が主体で、小葉間隔壁の肥厚を伴うcrazy-paving pattern を伴うことが特徴的である41)。しかし、本邦の全国調査例でHRCT が撮影されているAPAP、SPAP ともに21 例ずつの画像所見を比較検討すると、それぞれの画像所見は異なっている42)。 GGO、コンソリデーション、小葉間隔壁の肥厚はAPAP、SPAP ともに認められるが、なかでもGGO は全症例で主体となる所見である。このGGO の分布は境界明瞭で地図状に広がるpatchy geographic pattern、境界不明瞭でびまん性に広がるdiff use pattern、上記の 認め、何らかの基礎疾患を有して抗GM-CSF 抗体陰性が確認された症例と定義される。そのため確定診断にはAPAP 同様に、気管支鏡によるBAL やTBLB、あるいは外科的肺生検(surgical lung biopsy;SLB)が要求される。しかし、SPAP においては基礎疾患の活動性、合併症の有無、そして全身状態の不良などから侵襲的検査が行えず、確定診断できない場合も少なくない。SPAP を確定診断するためには、呼吸状態が安定し、出血傾向や感染症合併がない状況下での侵襲的検査が望ましい。SPAP をより早期に疑うために、SPAP の臨床的所見の特徴を以下に記述する。 1)臨床症状・検査所見 SPAP では咳嗽や労作時呼吸困難など呼吸器症状を主体とするだけでなく、24%の症例で発熱も伴っている(図2) 39)。一般的には、発熱の原因として血液疾患など基礎疾患の悪化や感染症合併を優先的に鑑別していくが、SPAP の鑑別も念頭に置ければ早期診断へのアプローチにつながる。 また、検査所見として血清KL-6 値やSP-D 値は、血液疾患:88% Non‒MDS:22%(n=14) (CML:n=3、AML:n=3、ALL:n=2、Myelofibrosis:n=3、ATL:n=1、Aplastic anemia:n=1、lymphoma:n=1) MPA:n=2、Behçet’s disease:n=1、UCTD:n=1、 GPA:n=1、Dermatomyositis:n=1 MDS:66% (n=44) (including MDS+Behçet’s disease;n=4) M. tuberculosis M. Aviumcomplex :n=1 :n=1 図1 SPAP における基礎疾患の内訳(n =66) MPA:microscopic polyangiitis(顕微鏡的多発血管炎)、UCTD:undiff erentiated connective tissue disease(未分化結合組織病)、GPA: granulomatosis with polyangiitis(多発血管炎性肉芽腫症)、CML:chronic myelogenous leukemia(慢性骨髄性白血病)、AML:acute myeloid leukemia(急性骨髄性白血病)、ALL:acute lymphoblastic leukemia(急性リンパ性白血病)、ATL:adult T-cell leukemia-lymphoma(成人T 細胞白血病リンパ腫 (文献39 より引用)
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P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 表1 SPAP の基礎疾患(国内外データ) Japan-2015 (n =66) Japan-2011 (n =40) Other Country (n =57) <Hematological disorders > Myelodysplastic syndrome (MDS) Chronic myeloid leukemia Myelofi brosis Acute myeloid leukemia Acute lymphoid leukemia Adult T cell leukemia Aplastic anemia Lymphoma Multiple myeloma Plasmacytoma Alymphoplasia Essential thrombocytosis <Infectious diseases > <Autoimmune diseases > <Post organ transplantation > <Non hematological malignancy > 58(88%) 44(66%) 3 3 3 2 1 1 1 0 0 0 0 2(3%) 6(9%) 0 0 35(88%) 26(65%) 2 2 1 1 1 1 1 0 0 0 0 2(5%) 3(7%) 0 0 43(76%) 6(10%) 16 1 8 3 0 1 3 1 1 1 1 3(5%) 4(7%) 4(7%) 3(5%) (文献39 より引用) 66 呼吸器症状 発熱を伴う症状 自覚症状なし 2 32 APAP 47 (%) 24 29 SPAP 図2 PAP 診断時の臨床症状 (文献39 より引用)
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症例が散見される(図3) 39)。しかし、敗血症や肺炎など の感染症合併や移植片対宿主病(graft-versus-host disease;GVHD)よる死亡例もみられ、SPAP を合併した血液疾患に対しての造血幹細胞移植の適応基準は定められていない。そのため、血液疾患のSPAP に対しては血液内科医と慎重な検討の上で、できる限り移植治療を行えるよう全身状態の管理が重要となる。また、PAP の標準的治療とされる肺洗浄(WLL、区域気管支洗浄)は、SPAP においても造血幹細胞移植の適応外症例や呼吸不全が重篤な症例では行われることもあるが、長期予後の改善はみられていない(図4)。SPAP における肺洗浄治療は、単に一時的に酸素可能を改善するのみであり、かえって肺洗浄により感染症の合併や、さらなる呼吸不全へと悪化する場合が多い39)。 3)予後 SPAP において最も重要な臨床上の問題点は予後である。SPAP 診断後の予後は、66 例全例で生存期間中央値17 ヵ月(図5)、さらにSPAP のなかで最も多いMDS-SPAP 44 例だけでも生存期間中央値17 ヵ月、2年生存率は42%とかなり不良な状態である39)。この原因は基礎疾患の悪化、感染症の合併、全身状態不良による臓器障害、そしてPAP 自体の増悪など、SPAP ではさまざまな要因による。2 年以上生存しているSPAP 症例では、基礎疾患の悪化がなく、PAP 自体も無治療で軽快、不変のものが大部分である。また、基礎疾患(血液疾患)に移植治療を施行しPAP が改善した症例でも、移植後の感染症合併やGVHD による全身状態の悪化など基礎疾患自体のコントロールが難渋化してしまうこともある。 References 1) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 2) Dirksen U, Nishinakamura R, Groneck P, et al. Human pulmonary alveolar proteinosis associated with a defect in GM-CSF/IL-3/IL-5 receptor common beta chain expression. J Clin Invest. 1997;100:2211-7. 3) Moriyama M, Yano T, Furukawa T, et al. Possible Involvement of Lung Cells Harboring an Abnormal Karyotype in the Pathogenesis of Pulmonary Alveolar パターンが混合したmixed pattern の3 つのパターンに分別され、APAP においてGGO の分布はpatchy geographic pattern が優位(71%)なのに対し、SPAP ではdiff use pattern のGGO 分布を優位(62%)に認める。また、GGO の分布する肺野領域にも相違があり、SPAPは左右の上中下肺野とも均一に分布し優位な分布領域を認めないが、APAP では上肺野に比べ下肺野優位に分布する。その他の画像所見として胸膜直下を回避するGGO (subpleural sparing GGO)はSPAP よりもAPAPで有意(71%)にみられ、また、PAP に特徴的所見とされているcrazy-paving pattern はAPAP、SPAP あわせた42 例全体でみると43%に認められるが、SPAP では14%の症例にしかみられていない。 SPAP の約3 割は無症状であるため(図2) 39)、画像所 見による早期発見・診断には重要である。しかし、これらのSPAP にみられる画像所見は心不全、肺胞出血、日和見感染(サイトメガロウイルス肺炎〔cytomegalovirus pneumonia;CMV-pneumonia〕、ニューモシスチス肺炎)などとの鑑別を要する。 合併症、治療、予後1)合併症 SPAP 診断後の経過中に最も多い合併症は感染症である。基礎疾患に血液疾患がみられるため、日和見感染症としてP. aeruginosa やAspergillus spp. の呼吸器感染症や敗血症が多い。またメチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌や非結核性抗酸菌の感染症もみられる。これらの日和見感染症は呼吸不全や全身状態の悪化を導き、予後不良となる重大な危険因子である。また、血液疾患の基礎疾患による血小板減少から脳血管障害や肺胞出血などの臓器出血を併発する症例もみられる。 2) 治療 SPAP は基礎疾患を有しているため、基礎疾患のコントロールが治療として優先される20, 43)。MDS-SPAP において、MDS に対する造血幹細胞移植により移植後SPAP が軽快している4, 44-46)。本邦では2005 ~2018 年にかけてMDS-SPAP 11 例に造血幹細胞移植を行っている(表2) 39)。そのうち6 例(55%)でSPAP が軽快して おり、移植後2 ヵ月以降に画像所見も明らかに改善する
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P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 Pre-PBSCT 27 日目143 日目 図3移植治療が著効したMDS-SPAP PBSCT:peripheral blood stem cell transplantation(末梢血幹細胞移植) (文献39 より引用) 本邦で移植治療されたMDS-SPAP 症例 (n=11)表2 No.移植時期性年齢MDS の病型移植方法PAP の改善移植後の生存期間予後合併症 1 2005 男 45 RAEB CBT CR 21 ヵ月 生存 - 2 2007 女 45 RAEB CBT NC 4 ヵ月 死亡 GVHD(liver failure) 3 2007 男 47 RA BMT PR 7 ヵ月 死亡 Sepsis(Trichosporon) 4 2007 男 27 RCMD PBSCT NC 87 日 死亡 cGVHD 5 2009 女 42 RAEB-1 CBT NC 12 日 死亡 Sepsis(S. maltophilia) 6 2010 男 46 RCMD PBSCT PR 19 ヵ月 生存 - 7 2010 男 64 RAEB-2, AML CBT PD 6 ヵ月 死亡 CMV-pneumonia 8 2011 女 51 RAEB-1, BD BMT PR 38 ヵ月 生存 - 9 2014 女 67 RAEB-2 PBSCT PD 1 ヵ月 死亡 Deterioration of PAP 10 2015 女 55 REEB-2 BMT PR 55 ヵ月 死亡 cGVHD(BO) 11 2018 男 45 REEB-2 BMT PR 3 ヵ月 生存 - MDS:myelodysplastic syndromes(骨髄異形成症候群)、RAEB:refractory anemia with excess of blasts(末梢血芽球2%以上20%未満、または骨髄芽球5%以上20%未満)、RAEB-1(または骨髄芽球5%以上10%未満)、RAEB-2(または骨髄芽球10%以上20%未満)、RA:refractory anemia(不応性貧血)、RCMD:refractory cytopenia with multi-lineage dysplasia(多血球系異形成を伴う不応性血球減少症)、AML:acute myeloid leukemia(急性骨髄性白血病)、BD:Behçet's disease(ベーチェット病)、CBT:cord blood transplantation(臍帯血移植)、BMT:bone marrow transplantplantation(骨髄移植)、PBSCT: peripheral blood stem cell transplantation(末梢血幹細胞移植)、CR:complete response(完全奏効)、PR: partial response(部分奏効)、PD:progressive disease(進行)、SD:stable disease(安定)、GVHD:graft-versus-host disease(移植片対宿主病)、sepsis:敗血症、cGVHD:chronic graftversus-host disease(慢性移植片対宿主病)、CMV-pneumonia:cytomegalovirus pneumonia(サイトメガロウイルス肺炎) (文献39 より引用改変)
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Proteinosis Associated with Myelodysplastic Syndrome. Ann Am Thorac Soc. 2015;12:1251-3. 4) 岡田慎理,北脇年雄,鈴木優太,他.同種骨髄移植によって骨 髄異形成症候群に伴う二次性肺胞蛋白症が軽快した1 例.日内会誌.2020;109:960-7. 5) Spinner MA, Sanchez LA, Hsu AP, et al. GATA2 defi ciency: a protean disorder of hematopoiesis, lymphatics, and immunity. Blood. 2014;123:809-21. MST:17ヵ月(95% CI:6.14-27.86) 0 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 24 48 72 生存期間96 120 (月) 生存率 図5 SPAP 診断後の生存期間(n=66) MST:median survival time(生存期間中央値) (文献39 より引用) Lavage therapy(-) (n=33) Lavage therapy(+) (n=16) MST(95% CI) (-):26(5.1-46.8)ヵ月(+):13(5.6-20.2)ヵ月p=0.535 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 (月) SPAP 診断後の期間 生存率 図4肺洗浄施行の有無によるSPAP 診断後の生存期間 MST:median survival time(生存期間中央値) (文献39 より引用)
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P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 6) Floarea-Strat A, Grigora㶆 A, Dobrescu G, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in AIDS patients. Rev Med Chir Soc Med Nat Iasi. 2004;108:287-9. 7) Cri㶆an A, Tudorache V, Nicoar㶙 E, et al. AIDS patient with pneumocystosis and pulmonary alveolar proteinosis. Pneumologia. 2009;58:121-4. 8) Ruben FL, Talamo TS. Secondary pulmonary alveolar proteinosis occurring in two patients with acquired immune defi ciency syndrome. Am J Med. 1986;80:1187-90. 9) Patiroglu T, Akyildiz B, Patiroglu TE, et al. Recurrent p u l m o n a r y a l v e o l a r p r o t e i n o s i s s e c o n d a r y t o agammaglobulinemia. Pediatr Pulmonol. 2008;43:710-3. 10) Bedrossian CW, Luna MA, Conklin RH, et al. Alveolar proteinosis as a consequence of immunosuppression. A hypothesis based on clinical and pathologic observations. Hum Pathol. 1980;11(5 Suppl):527-35. 11) Kajiume T, Yoshimi S, Nagita A, et al. 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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 追加データ 既往歴:慢性B 型肝炎、高血圧、2 型糖尿病生活歴:喫煙60 本/日×約30 年 骨髄異形成症候群(MDS)例、全肺洗浄(法)(WLL)後同種骨髄移植、さらにWLL で寛解に至った一例 症例:SPAP 年 齢: 47 歳性 別:男性主 訴:労作時呼吸困難現病歴: X-1 年1 月に血小板減少進行をきっかけにMDS と診断された。骨髄移植の適応と考 えられたが、同胞にはHLA 一致ドナーが存在せず、X 年2 月の全身スクリーニングで胸部X 線を含めて異常所見は認めず、非血縁ドナーより同種骨髄移植を施行することとなった。X 年5 月15 日、同種骨髄移植目的で他院移植センターへ入院となったが、18日午後より発熱・労作時呼吸困難を認め、胸部画像よりニューモシスチス肺炎が疑われ、当院へ転院となった(図1、2)。 入院3 ヵ月前骨髄移植スクリーニング時当院入院時 図1胸部X 線写真
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図2入院時胸部CT 両肺びまん性のGGO を認める。下肺ではcrazy-paving pattern を呈する。 表入院時検査所見 Biochemistry TP 6.6 g/dL Alb 3.6 g/dL T-bil 0.5 mg/dL AST 12 IU/L ALT 13 IU/L ALP 178 IU/L γ-GTP 34 IU/L LDH 260 IU/L CPK 34 IU/L Amy 16 IU/L BUN 20 mg/dL Cre 0.8 mg/dL Na 132 mEq/L K 4.6 mEq/L Cl 96 mEq/L Ca 8.6 mg/dL CRP 10.0 mg/dL Other SP-A 62.7 ng/mL SP-D 200 ng/mL KL-6 3,115 U/mL CEA 11 ng/mL CA19-9 9.6 U/mL CMV-DNA <100 CMV anti.陰性β-D グルカン<1.2 pg/mL 肺機能検査VC 4.06 L %VC 91.2 % FVC 4.06 L FEV1 3.41 L FEV1/FVC 83.9 % DLCO 7.25 mi/min/mmHg %DLCO 31.1 % CBC WBC 6,400 /μL RBC 505 ×10 4 /μL HB 14.6 g/dL Plt 3.0 ×10 4 /μL Retic. 10 ‰ Blast 5 % Coagulation APTT 27.9 sec. PT(act) 86.5 % Fib. 413 mg/dL D-dimmer 1.1 μg/mL ABG 室内気pH 7.483 pCO2 38.6 mmHg pO2 56.0 mmHg BE 5.3 mmol/L
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 A B C 図3 WLL 所見 A: 第19 病日、呼吸状態の改善を図るため全身麻酔下にWLL を施行した。生理食塩水を用いて右肺を22 L、左肺を15 L でそれぞれ洗浄した。回収液は乳濁 色から次第に淡い白色液に変化した。B:洗浄前HRCT。C:洗浄後HRCT。生理食塩水注入に伴う背側のコンソリデーションはその後次第に消失した。腹側のcrazy-paving pattern は軽減している。 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 (U/mL) (ng/mL) 0 250 200 150 100 50 SP-D KL-6 SP-A 6 (月) 4 1 12 11 10 9 8 7 6 5 骨髄移植骨髄移植骨髄移植骨髄移植 WLL WLL 図4血清マーカーの推移 呼吸不全の進行のためWLL を2 回実施した後、骨髄移植を施行した。その後さらにもう一度WLL を実施した後、状態は安定化した。
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診断・治療・経過 患者は血小板減少、末梢血中への骨髄芽球出現、骨髄細胞の染色体異常(47、 XY、+8)によりMDS-RA と診断され、血小板輸血頻回のために同種骨髄移植を予定されていた。 ニューモシスチス肺炎が疑われて転院となったが、入院後のBAL で白色混濁液を回収し、BALF 中にパス染色陽性物質を認めた。細菌および真菌培養は陰性、ニューモシスチス・カリニPCR も陰性であり、血中のSP-D、SP-A、KL-6 の著明高値、抗GM-CSF 抗体陰性であることよりMDS-SPAP と診断した。 入院14 日目にPaO2 42.4 mmHg まで低下したため、凝固因子補充のために新鮮凍結血漿輸血を行いながらWLL(左肺15 L、右肺22 L)を行い、呼吸状態は改善し た。しかしその後も発熱が持続し、病状はMDS-RAEBの状態に進行した。1 ヵ月後再び呼吸状態悪化したため2 回目のWLL を施行したのち、refractory anemia with excess of blasts(RAEB)およびSPAP の状態改善を図るため、骨髄バンクドナーより骨髄移植を実施した。その後、ドナー幹細胞の完全生着が確認されGVHD もグレード1 のみであったが、再度呼吸状態と陰影の悪化があり、移植26 日後に3 回目のWLL を行った。その後は酸素化と陰影の改善、KL-6 などの血清マーカーの改善が持続し、輸血不要の状態が移植20 ヵ月以上持続した。 A B 図5骨髄移植後の胸部HRCT A:骨髄移植2 ヵ月後。B:骨髄移植5 ヵ月後。肺内GGO の消失が維持されている。
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 追加データと検査所見 既往歴:8 歳にて血小板減少性紫斑病家族歴:なし、ペット飼育なし、飲酒歴なし喫煙歴:30 本/日、20 年間入院時身体所見:意識清明、身長159.7 cm、体重 64 kg、体温36.5°C、血圧124/80 mmHg、脈拍130/min、眼瞼結膜、黄疸なし、貧血なし、甲状腺腫なし、顔面両頬部に痤瘡様湿疹あり、腹部には術後瘢痕と一部潰瘍ケロイドあり。下肢には茶褐色の色素沈着を認める。胸部聴診上、wheezes (-)、crackles(-)、心雑音(-)、腹部軟、肝脾腫なし、表在リンパ節触知せず。神経学的所見:特記事項なし入院時検査所見:CRP 3.5 と軽度上昇あるが、白血球数 4,900/μL と正常であった。血清KL-6、SP-D、SP-D ともに高値で、LDH も546 と高値であった。また、室内気下PaO2 84 Torr であったが、入院後はPaO2 65.3 Torr と低下傾向を認めた。胸部X 線所見:両側肺野に淡いGGO が散発的に多発し ており、右上肺野と左下肺野に優位に認められた。胸水貯留やリンパ節腫大を示唆する所 見は認められなかった。胸部CT 所見(図1) 1):肺門から広がるGGO が geographic pattern として分布し、その内部にはcrazy-paving pattern を伴っている。そして汎小葉性GGO は全肺野に多発して、一部には癒合傾向が認められた。 診断・治療・経過 画像所見および検査所見からは、BD での治療薬の薬剤性肺障害やニューモシスチス肺炎、そしてPAP の合併が考えられ、気管支鏡にてBAL を施行した。BALFは白濁した外観を示し、BALF の細胞診標本ではパス染色陽性の無構造物質(サーファクタントを含むと考えられる)が認められた。血清およびBALF 中の抗GM- CSF 抗体は陰性であった。以上の所見からBD に合併したSPAP と診断された。 入院後に低酸素血症が進行し、WLL 目的で他院に転院した。左肺にWLL を行い、2 週間後に右肺にWLLを行ったが、その後呼吸不全は遷延し敗血症性ショックを合併して死亡した。 症例:SPAP 年 齢:39 歳性 別:女性主 訴:湿性咳嗽、発熱現病歴: X-11 年、回盲部穿孔にて腸部分切除を施行され、BD と診断された。以後、外来通院 されコルヒチン1 mg、サラゾスルファピリジン3 g にて治療されていた。X-6 年、発熱、皮疹、そして大腸の多発潰瘍形成にて入院。PSL 20 mg、コルヒチン2 mg、サラゾスルファピリジン3 g 開始。外来にて皮疹、微熱のコントロールに難渋した。X-5 年およびX-4 年、皮疹・下痢・発熱の症状による増悪のため、入院を繰り返した。X-1 年より乾性咳嗽出現、徐々に労作時の咳嗽が増強した。X 年、湿性咳嗽が増悪し発熱もみられ、胸部異常陰影が認められ入院した。 ベーチェット病(BD)に合併した続発性肺胞蛋白症(SPAP)で 全肺洗浄(法)(WLL)に反応せず呼吸不全で死亡した一例1)
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考察 本症例は、腸管型BD(活動期中等症)の治療中にSPAP を合併していた。気管支鏡によるBALF 所見でPAP を診断後、急速に呼吸不全が悪化し3 ヵ月後にWLL の敗血症性ショックにて死亡した。臨床的な問題点としては、3 つ検討するべきことがある。 1 つ目は、SPAP 診断についてである。X-1 年に撮影された胸部CT(図2) 1)にて淡いGGO を指摘されて いたが、その時点ではSPAP 診断されていなかった。SPAP は稀少疾患のため画像所見から一般的には鑑別診断にあがりにくい、SPAP は典型的な画像所見をとらない症例が少なくないことが2)、早期診断されにくい原因である。 2 つ目は、SPAP におけるステロイド内服薬の長期使用についてである。本症例においてSPAP 診断1 年前にGGO が指摘された後は、PSL 20 mg に増量されていた。SPAP においてステロイド使用は予後不良因子になるため3)、本症例でもステロイド増量が病状悪化に関連した可能性がある。 3 つ目は、SPAP におけるWLL の有用性についてである。SPAP においては基礎疾患がコントロールされて いないと、WLL 後の予後は不良である4)。WLL 後のSPAP 増悪や感染症合併にて急速に悪化することがあり、基礎疾患や全身状態によってWLL を行う場合は慎重に時期を検討するべきである。 References 1) Uchiyama M, Nagao T, Hattori A, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in a patient with Behcet’s disease. Respirology. 2009;14:305-8. 2) Ishii H, Trapnell BC, Tazawa R, et al. Comparative study of high-resolution CT findings between autoimmune and secondary pulmonary alveolar proteinosis. Chest. 2009;136: 1348-55. 3) Ishii H, Seymour JF, Tazawa R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis complicating myelodysplastic syndrome results in worsening of prognosis: a retrospective cohort study in Japan. BMC Pulm Med. 2014;14:37. 4) 石井晴之.続発性肺胞蛋白症:最新の知見と今後の課題.日胸 臨.2016;75:1226-35. 図1入院時 (文献1 より引用) Uchiyama M et al. Pulmonary alveolar proteinosis in a patient with Behcet's disease/ Respirology © John Wiley and Sons. 図2診断1 年前 (文献1 より引用) Uchiyama M et al. Pulmonary alveolar proteinosis in a patient with Behcet's disease/ Respirology © John Wiley and Sons.
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 したBALF が回収され、パス染色にて好酸性の顆粒状無構造物質を確認したことより、SPAP と診断した(図3) 2)。BALF の細胞は多くが破壊され、泡沫状マクロファージ(foamy macrophage)は確認できなかった。BALF に含まれる細胞の多くがbcr/abl 変異を有することより、CML 細胞由来と推測された。血清・BALF 中抗GM-CSF 抗体 は陰性であった。PSL を減量し、97病日よりイマチニブを再開することで呼吸不全と画像所見は若干軽快したが、緑膿菌肺炎と肺胞出血の合併により135 病日に死亡された2)。 考察 白血病は多彩な肺病変を合併する。感染症、肺胞出血、白血病細胞浸潤に伴う肺病変、PAP、悪性腫瘍、白血病治療に随伴したびまん性肺疾患(うっ血性肺水腫、薬剤性肺障害、特発性肺炎症候群〔idiopathic pneumonia syndrome;IPS〕、器質化肺炎、閉塞性細気 追加データと検査所見症例1 胸部CT を施行したところ、crazy-paving pattern およびGGO が指摘された(図1) 1)。血清KL-6 は1,539 U/ mL、BALF は白濁しており、抗GM-CSF 抗体は陰性であることよりSPAP と診断した1)。 症例2 血清KL-6 は3,702 U/mL、PaO2 は79.5 mmHg、CT画像では両側下肺を中心に斑状のGGO が出現した(図2) 1)。イマチニブの薬剤性肺炎が疑われ、イマチニブ中止の上、ステロイドパルス療法が行われた。呼吸苦は軽快したものの、血清KL-6 の上昇(4,486 U/mL)を認めたため、45 病日にBAL、TBLB を施行され、肺胞出血と診断された。PSL 20 mg 内服が継続されたが、呼吸苦の増強、血清KL-6 のさらなる上昇(6,182 U/mL)を認め、61 病日目に再度BAL、TBLB が行われた。白濁 症例1(AML 例)年 齢:68 歳性 別:女性主 訴:高熱、全身倦怠感、低酸素血症現病歴: MDS からAML に転化した後、アザシチジンで17 回治療を受けた。高熱、全身倦怠 感、低酸素血症が出現した。 症例2(CML 例)年 齢:41 歳性 別:女性主 訴:労作時呼吸困難の増悪現病歴: X-9 年、CML と診断後、ハイドロキシウレアとイマチニブで治療されていた。X-3 年後、乾性咳と胸部X 線写真を契機に間質性陰影の出現を認めたが、鎮咳薬のみで治療が継続された。X-1 年後、CML は移行期に入り、X 年、労作時呼吸困難が増悪し入院した。 白血病(急性骨髄性白血病〔AML〕/慢性骨髄性白血病〔CML〕)に合併した続発性肺胞蛋白症(SPAP) 症例:SPAP
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図1 AML に合併したSPAP の例(文献1 より引用改変) A B Ohmachi K, et al. Tokai J Exp Clin Med. 2008 Dec 20;33(4):146-9. 図2 CML に合併したSPAP の例(文献2 より引用改変) Hirakawa T et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis in acute myeloid leukemia, 2019, 112, 4, 293-294, by permission of Oxford University Press
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 と考えられるが、白血病合併肺病変の鑑別診断として、PAP を念頭に置く必要はあると思われる。 白血病に伴うPAP は、経過中に発症するものが多く、骨髄細胞の機能異常、気道への腫瘍細胞浸潤、感染に加え、治療薬の影響(ステロイドやABL チロシンキナーゼインヒビターなど)も少なからずあると考えられ 管支炎)などである3)。2 年間に施設で診療した造血器腫瘍の肺炎合併113 例に対して、BAL を施行したところ、6 例(5.3%)がPAP であったという報告がある4)。この報告では、リンパ系腫瘍より骨髄系腫瘍(AML、CML)でPAP の合併が多いと考察されている。本邦において、白血病患者にPAP が合併する頻度は欧米より低い A B C Ohmachi K, et al. Tokai J Exp Clin Med. 2008 Dec 20;33(4):146-9. 図3 CML に合併したSPAP の例 A: BALF は白濁しており(米のとぎ汁様)、微小な白濁した顆粒が見られた(右側)。1 日静置させると、著しい沈殿物が認められ た(左側)。B: 肺組織の切片には、肺胞腔内にコレステリンの裂け目を伴う好酸性に染まるサーファクタントが認められた。肺胞壁の線維 化は局所的で軽度に認められた(ヘマトキシリン・エオジン染色)。C:肺胞内の物質は免疫組織化学的にサーファクタントアポプロテインに陽性であった。 (文献2 より引用改変)
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る。これらPAP のほとんどがSPAP だが、APAP も合併する5, 6)。 SPAP の原因となる原因疾患は、日本ではMDS、欧米では白血病、中国では結核が多いとされる7, 8)。欧米では、GATA2 遺伝子異常が注目されている9)。 References 1) Hirakawa T, Taniwaki M, Yamasaki M, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis in acute myeloid leukemia. QJM. 2019;112:293-4. 2) Ohmachi K, Ogiya D, Morita F, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis in a patient with chronic myeloid leukemia in the accelerated phase. Tokai J Exp Clin Med. 2008;33:146-9. 3) 橋本直純,長谷川好規.白血病の肺病変.日本臨牀 別冊新領 域別症候群シリーズ 2009 年3 月号「呼吸器症候群(第2 版)3」NO.10.東京:日本臨牀社;2009. pp.294-6. 4) Cordonnier C, Fleury-Feith J, Escudier E, et al. Secondary alveolar proteinosis is a reversible cause of respiratory failure in leukemic patients. Am J Respir Crit Care Med. 1994;149 (3 Pt 1):788-94. 5) Yoshimura M, Kojima K, Tomimasu R, et al. ABL tyrosine kinase inhibitor-induced pulmonary alveolar proteinosis in chronic myeloid leukemia. Int J Hematol. 2014;100:611-4. 6) Imoto N, Harunori N, Furukawa K, et al. GM-CSF Autoantibody-positive Pulmonary Alveolar Proteinosis with Simultaneous Myeloproliferative Neoplasm. Intern Med. 2017;56:435-9. 7) Ishii H, Tazawa R, Kaneko C, et al. Clinical features of secondary pulmonary alveolar proteinosis: pre-mortem cases in Japan. Eur Respir J. 2011;37:465-8. 8) Zhang D, Tian X, Feng R, et al. Secondary pulmonary alveolar proteinosis: a single-center retrospective study (a case series and literature review). BMC Pulm Med. 2018; 18:15. 9) Griese M, Zarbock R, Costabel U, et al. GATA2 defi ciency in children and adults with severe pulmonary alveolar proteinosis and hematologic disorders. BMC Pulm Med. 2015;15:87.
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 各論 先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP)および肺サーファ クタント関連遺伝子変異由来での病態、診断、治療、合併症、予後 病態 PAP は、肺の末梢気腔内に肺サーファクタント由来物質が異常に貯留し呼吸不全に至る稀少な疾患群・病態の総称である1-3)。 サーファクタント貯留の原因により、1抗GM-CSF抗体による「APAP」、2GM-CSF 受容体遺伝子やサーファクタント関連遺伝子などの変異による「先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar proteinosis;CPAP/HPAP)」、3MDS などの血液疾患や悪性腫瘍や粉塵吸入などの基礎疾患に合併する「SPAP」、および4その他・未分類肺胞蛋白症(unclassifi ed pulmonary alveolar proteinosis;UPAP)に分類される。1、2は指定難病である。 APAP は1 つの疾患単位と考えられるが、CPAP/ HPAP はおのおのの遺伝子変異に基づく複数の疾患単位の集合であり、原因が未同定のものも存在する。 肺サーファクタントはII型肺胞上皮細胞より産生・分泌される。同細胞によって再び取り込まれて再利用もしくは分解されるか、または肺胞マクロファージによってサイトカインGM-CSF 依存的に取り込まれて処理される。こうして肺サーファクタントは、その産生と取り込みのバランスによって恒常性が維持されている3)(図)。 GM-CSF シグナル経路に障害(抗GM-CSF 抗体やGM-CSF 受容体遺伝子〔CSF2RA、CSF2RB〕変異、STAT5B 遺伝子変異)があるとGM-CSF が作用せず、肺胞マクロファージの機能が低下するために「肺胞腔内からのクリアランスの低下」が起こり、サーファクタントが貯留しPAP の病態を呈すると考えられる1-3)。 肺サーファクタントは90%の脂質と10%の蛋白質で構成されるが、このサーファクタント蛋白に関連した遺伝子の異常でも「肺サーファクタント自体の異常」によってPAP(あるいはPAP 様病態)を示すことが知ら れている。 サーファクタント関連遺伝子異常を伴うPAP として、SFTPB、SFTPC、ABCA3 といった遺伝子の異常がある。サーファクタント蛋白は親水性のSP-A とSP-D と疎水性のSP-B とSP-C によって構成され、SP-B とSP-C がサーファクタントの界面活性機能に必須な役割を担っている。ABCA3 はII型肺胞上皮細胞内で、サーファクタント産生にとって必須な細胞内輸送を担っている。したがって、これらの遺伝子異常はサーファクタントの機能あるいは産生の障害を生じ、PAPの病態を引き起こす4)。 診断 先天性および小児期のILDは、小児間質性肺疾患(childhood interstitial lung disease;ChILD)や遺伝性間質性肺疾患(hereditary interstitial lung disease; HILD)と呼ばれているが、その一部にCPAP/HPAP が含まれる。遺伝子異常が存在しても軽症状、無症状の小児例や、成人になってから有症状となる成人発症例の患者も報告されているので、注意を要する。鑑別疾患として、感染症、先天性心疾患、染色体異常を含む先天異常症候群、呼吸器の形態異常、骨系統疾患、神経筋疾患、重症新生児仮死による新生児遷延性肺高血圧症、早産や子宮内炎症に起因する慢性肺疾患などがあげられる5-7)。 典型例では肺HRCT で、地図状に分布するマスクメロンの皮様所見(crazy-paving pattern)やGGO といった間質性肺炎(interstitial pneumonia;IP)像を呈する。BALF は白濁の外観(米のとぎ汁様)を呈し、病理・細胞学的所見では好酸性、顆粒状のパス染色陽性な無構造物質の沈着や、泡沫状マクロファージ(foamy macrophage)が認められる。
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APAP とCPAP/HPAP の重複の報告はない。血清抗GM-CSF 抗体陰性で、PAP に関連する基礎疾患のない患者(APAP やSPAP の可能性の低い患者)では、遺伝子変異に関連したCPAP/HPAP を疑う必要がある1-3)。 GM-CSF 受容体遺伝子(CSF2RA、CSF2RB)異常のCPAP/HPAP は、乳児期以降にあるいは成人で診断されているが、その呼吸症状には無症状から重症まで大きな幅がある8-13)。また、本遺伝子異常患者では血清GM- CSF 値(抗GM-CSF 抗体ではないので注意)が高値を示すことが報告されている。米国保険データの解析では、CSF2RA およびCSF2RB 異常のCPAP/HPAP はPAP全体の3%を占めると報告されている14)。 SP-B 遺伝子変異では多くの場合、成熟SP-B が欠損症し、サーファクタント機能不全が生じる。そのため、出生時から呼吸窮迫症状を示し、致死的な呼吸不全が起こる15, 16)。病理学的には、PAP や剥離性間質性肺炎 (desquamative interstitial pneumonia;DIP)の像を呈する。 SP-C 遺伝子変異の多くは、SP-C 蛋白の折り畳み構造や輸送に重要なC 末側の変異である。SP-C 異常症は一般に常染色体優性遺伝を示すが、両親の遺伝子に異常がなく、両親の配偶子に生じた突然変異が原因と考えられる例もある。さらに、同一遺伝子変異を有していても臨床的にはPAP や非特異性間質性肺炎(nonspecifi c interstitial pneumonia;NSIP)、通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia;UIP)などの異なる多様なIP 像を示し、発症形式や重症度もさまざまである17, 18)。 ABCA3 はII型肺胞上皮細胞内でサーファクタント産生にとって必須な細胞内輸送を担う。これまでに200 以上の遺伝子変異が知られている19-21)。ABCA3 異常症で L GM-CSF SP-B SP-C ABCA3 NKX2.1 SP-B SP-C肺胞マクロファージ ABCA3 I型肺胞上皮細胞 II型肺胞上皮細胞 CPAP/HPAP原因遺伝子 肺サーファクタント CSF2RA CSF2RB GATA2 STAT5B MARS OAS1 FARSB血管内皮細胞 GM-CSF 受容体 α β L 図肺サーファクタントの調節とCPAP/HPAP の原因遺伝子 肺サーファクタントはII型肺胞上皮細胞より産生・分泌され、サイトカインGM-CSF 依存的に肺胞マクロファージに取り込まれて処理されることにより、その産生と取り込みのバランスによって恒常性が維持されている。CPAP/HPAP の原因としては、肺胞マクロファージの遺伝子異常としてGM-CSF 受容体遺伝子(CSF2RA、CSF2RB)や造血系転写因子のGATA2、STAT5B 遺伝子の異常がある。また、サーファクタント関連遺伝子異常としてSFTPB (SP-B)、SFTPC (SP-C)、ABCA3 といった遺伝子の異常、その他には肺や脳や甲状腺の形態形成に重要なNKX2.1(TTF1)遺伝子の異常も原因となる。また、MARS、OAS1、FARSB といった遺伝子の変異によるCPAP/HPAP が報告されている。
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 は、SP-C 異常症と同様に、CPAP/HPAP やNSIP やDIP などさまざまな家族性IP の病態を示しうる。 Online mendelian inheritance in man(OMIM)では、サーファクタント代謝異常(surfactant metabolism dysfunction)として5 つに分類している。SP-B 欠損症はSMDP1、SP-C 異常症はSMDP2、ABCA3 異常症はSMDP3、GM-CSF 受容体α鎖異常(CSF2RA 遺伝子変異)はSMDP4、GM-CSF 受容体β鎖異常(CSF2RB 遺伝子変異)はSMDP5 と分類されている。 PAP に関連するその他の遺伝子変異として、肺や脳や甲状腺の形態形成に重要なNKX2.1 (TTF1) 22)、造血 系転写因子であるGATA2 23, 24)、methionyl-tRNA synthetase の遺伝子であるMARS 25)、2-prime, 5-prime oligoadenylate synthetasesの遺伝子OAS1 26)、phenylalanine-tRNA synthetase βchain の遺伝子であるFARSB 27)、さまざまな増殖因子やサイトカインの細胞内シグナル伝達および転写因子であるSTAT5B 28)がある。CPAP/HPAP の原因検索には、これらの遺伝子検索も有用である。 治療 対症療法として全身状態の管理、酸素投与、人工換気が行われる。CPAP/HPAP に対するWLL 治療の有効性が報告されているが、その効果には幅がある1-3, 13, 29)。II型肺胞上皮細胞に発現する遺伝子の異常に起因する疾患(SP-B 欠損症、SP-C 異常症、ABCA3 異常症)の呼吸不全進行例や線維化症例に対しては肺移植が、一方、肺胞マクロファージに発現する遺伝子の異常に起因する疾患(GM-CSF 受容体異常症、GATA2 異常症)に対しては骨髄移植が選択肢として検討される場合がある30)。遺伝子治療は研究段階である31, 32)。一般的にPAP に対してステロイド剤は無効であり、感染などの副作用を考慮して使用は控える。しかし、SP-C 異常症に起因するIP の一部に対しては、ステロイド剤あるいはクロロキン製剤が奏効することがある。ABCA3 異常症の一部にはステロイド剤、クロロキン製剤およびマクロライド系抗菌薬が奏効することがある。 合併症 小児例では発育成長障害がみられることがある。また、NKX2.1 (TTF1)遺伝子変異では甲状腺機能低下や神経症状を伴うことがある。GATA2 遺伝子変異では、 単球減少や非結核性抗酸菌症などの感染症の合併が報告されている。MARS 遺伝子変異のPAP では肝障害が、OAS1 遺伝子変異によるPAP では低ガンマグロブリン血症が、FARSB 遺伝子変異では脳動脈瘤・脳石灰化・肝硬変が、STAT5B 遺伝子変異では成長ホルモンをはじめとした内分泌障害が合併する。 予後 予後は、生後すぐに致死的となるものから、肺線維症と類似の慢性の経過を辿るものまでさまざまである。特に、SP-B 欠損症は出生後早期から重篤な呼吸障害を発症し、生命予後はきわめて悪い。 付記 なお、CPAP、HPAP(一般的に遺伝子が同定された場合)、CPAP(HPAP を含む)の呼称は同義語的に用いられている。ガイドライン作成委員会ではあわせて「先天性PAP あるいは遺伝性PAP」として「CPAP/ HPAP」と記載することとした。 References 1) Trapnell BC, Nakata K, Bonella F, et al. Pulmonary alveolar proteinosis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:16. 2) Kumar A, Abdelmalak B, Inoue Y, et al. Pulmonary alveolar proteinosis in adults: pathophysiology and clinical approach. Lancet Respir Med. 2018;6:554-65. 3) Suzuki T, Trapnell BC. Pulmonary Alveolar Proteinosis Syndrome. Clin Chest Med. 2016;37:431-40. 4) Whitsett JA, Wert SE, Weaver TE. Diseases of pulmonary surfactant homeostasis. Annu Rev Pathol. 2015;10:371-93. 5) Kuo CS, Young LR. Interstitial lung disease in children. Curr Opin Pediatr. 2014;26:320-7. 6) Akimoto T, Cho K, Hayasaka I, et al. Hereditary interstitial lung diseases manifesting in early childhood in Japan. Pediatr Res. 2014;76:453-8. 7) Hayasaka I, Cho K, Akimoto T, et al. Genetic basis for childhood interstitial lung disease among Japanese infants and children. Pediatr Res. 2018;83:477-83. 8) Suzuki T, Sakagami T, Rubin BK, et al. Familial pulmonary alveolar proteinosis caused by mutations in CSF2RA. J Exp Med. 2008;205:2703-10. 9) Martinez-Moczygemba M, Doan ML, Elidemir O, et al. Pulmonary alveolar proteinosis caused by deletion of the GM-CSFRalpha gene in the X chromosome pseudoautosomal region 1. J Exp Med. 2008;205:2711-6.
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 追加データと検査所見 既往歴:特記事項なし生活歴:喫煙なし、飲酒なし、粉塵吸入歴なし血液検査(X +5 年):WBC 10,600/μL(Neu 73%、Ly 23%、Mo 4%、Eo 0%、Baso 0%)、RBC 471 × 10 4/μL、Hb 12.0 g/dL、Hct 38.2 %、Plt 24.0 × 10 4/μL 血清:LDH 348 IU/L、KL-6 >9,000 U/mL、CEA 15.5 ng/mL、抗GM-CSF 抗体0μg/mL 画像所見1(CT、X +5 年):初診時には全肺野にGGO を認め、crazy-paving pattern を呈していた(図-A)。BALF:抗GM-CSF 抗体0μg/mL、GM-CSF 75.95、 12.5 × 12.5μm から42.5 × 15μm 径の大きさ で濃い紫色の小体が認められ、PAP におけるcoarse granules(macro-granules)に相当すると考えられた。淡い紫色の小体(82.5 × 75μm径など)がみられ、0.2 μm 径のfi ne granules (micro-granules)の集合体と考えられた。泡沫細胞質をもつマクロファージが細胞径20 × 17.5 μm、核は12.5 × 10μm 径、核小体は2.5 × 2μm 径の大きさで認められた。全体としてPAP のBALF 所見と考えられた(図-B:ディフ・クイック染色)。診断・治療・経過 抗GM-CF 抗体陰性でかつ血液疾患などの基礎疾患を認めず、分類不能PAP と診断してGM-CSF 吸入療法を試したが効果は得られなかった。徐々に呼吸不全が進行し、ほかに有効な治療法がないと判断したためX +8年に生体肺移植を行い、酸素不要で日常生活が送れるようになるまで改善した。画像所見2(CT、X +8 年):嚢胞状変化と網状影・牽 引性気管支拡張像などの線維化所見がみられた(図-C)。肺移植後に遺伝子解析を進めたところ、GM- CSF レセプターβ 鎖の遺伝子(CSF2RB) (図-D:PCR)と蛋白(図-E:western blotting)の発現がなく、シークエンスの結果CSF2RBのエクソン6 に一塩基欠損を認めた(図-F) 1)。 病理(移植時摘出肺):右肺上葉では胸膜下に平滑筋増生 を含む慢性線維化IP が認められ、肺組織の深部では末梢気腔内に0.2μm 大の好酸性細顆粒状物質(micro-granules またはfi ne granules)の充満、および5~15 mm 大の好酸性顆粒状物質(macro-granules またはcoarse granules)が認められた。以上からPAP の肺病変が存在すると診断された(図-G 上、ヘマトキシリン・エオジン染色:対物レンズ× 2 で撮影。写真の横幅=6 mm)。右肺下葉では広範な線維化病 年 齢:35 歳(PAP 診断時)性 別:女性主 訴:呼吸困難感と咳嗽(X 年11 月)現病歴: CT とBAL およびTBLB によりPAP と診断された。呼吸不全が進行し合計5 回の WLL が行われたが、徐々にその効果が乏しくなり、X +5 年にはHOT が開始され、X +5 年にGM-CSF 吸入療法の目的でA 病院に紹介となった。 症例:CPAP/HPAP 成人発症例:CSF2RB 遺伝子変異
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変が嚢胞性病変とともに認められ、線維化病変は慢性線維化IP と考えられた(図-G 下、ヘマトキシリン・エオジン染色:対物レンズ× 2 で撮影。写真の横幅=6 mm) 2)。 移植直後は順調に経過していたが、1 年後移植肺にPAP の再発が顕在化した3)。すでに遺伝子異常を特定していたため、骨髄移植による治療を検討したが、腎機能低下や感染症などの理由で断念した。その後、肺アスペルギルス症と移植後閉塞性細気管支炎合併症が続発し、再 び呼吸不全となってX +13 年に永眠された。 考察 PAP は原因によって自己免疫性、続発性、先天性、遺伝性に分類される。CPAP/HPAP はPAP 全体の1%以下と推定されている。本症例はGM-CSF レセプターβ鎖の遺伝子異常が特定されたHPAP である3)。APAPの5 年生存率(96%)に対して、HPAP の予後はきわめ A B C D F G E X+5 年X+8 年 control patient control patient GM-CSFRβc control T T G G G G A A C C C C T T G G G G A A C C C C T A G G A T G C C G C G T A G G A T G C C G C G T T G G G G A A C C C C 626 NT 635 627 628 632 634 633 636 629 637 630 631 T A G G A T G C C G C G patient father mother GM-CSFRα GM-CSFRβc GM-CSFRα actin Reproduced from Adult-onset hereditary pulmonary alveolar proteinosis caused by a single-base deletion in CSF2RB, Tanaka T et al. 48, 205-9, 2011 with permission from BMJ Publishing Group Ltd. 図HPAP 症例の画像・BAL 所見、遺伝子解析の結果、病理所見 (D・E・F:文献1 より引用)
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 て悪い。 References 1) Tanaka T, Motoi N, Tsuchihashi Y, et al. Adult-onset hereditary pulmonary alveolar proteinosis caused by a single-base deletion in CSF2RB. J Med Genet. 2011;48: 205-9. 2) 北市正則,笠井孝彦,寺本友昭,他. 肺胞蛋白症の病理所見. 日胸臨.2016;75:1245-53. 3) Takaki M, Tanaka T, Komohara Y, et al. Recurrence of pulmonary alveolar proteinosis after bilateral lung transplantation in a patient with a nonsense mutation in CSF2RB. Respir Med Case Rep. 2016;19:89-93.
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追加データと検査所見 既往歴・家族歴:特記すべきことなし。生活歴:喫煙歴なし、粉塵曝露歴なし、主婦。現 症:診察上特に異常所見を認めなかった。検査所見: 動脈血液ガス分析:PaO2 47 mmHg(室内気)と低酸 素血症を認めた。血清検査:KL-6 4,314 U/mL、SP-D 400 ng/mL、 CEA 13.2 ng/mL、β-D glucan 陰性、アスペルギルス抗原陰性、抗GM-CSF 抗体陰性、GM-CSF 濃度 91.3 pg/mL BALF:外観白濁、(マクロファージ 64%、リンパ球 26%、好中球 9%、好酸球 1%)、泡沫状マクロファージ(foamy macrophage)と顆粒状の無構造物質の沈着を認める、抗GM-CSF抗体陰性、GM-CSF 濃度 488.3 pg/mL 胸部X 線:両下肺野を中心にGGO を認める(図-A) 1) 胸部HRCT:両下肺野を中心にGGO およびcrazy- paving pattern がみられた(図-B) 1) 診断・治療・経過 典型的なHRCT 所見およびBAL 検査で白濁したBALF(図-C)と泡沫状マクロファージなどの所見(図-D)から、PAP と診断された1)。 血清およびBALF 中の抗GM-CSF 抗体は陰性であったが、血清GM-CSF 値は91.3 ng/mL と高値を示し、GM-CSF シグナルの障害が示唆された。 末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells; PBMC)を用いて、STAT5 のリン酸化についてウエスタンブロッティングおよびフローサイトメトリーで調べた。コントロールPBMC ではIL-2 およびGM-CSF 刺激によるSTAT5 リン酸化が確認されたが、患者PBMC ではIL-2 刺激によるSTAT5 リン酸化はみられたものの、GM-CSF 刺激によるリン酸化は認められなかった。 GM-CSF 受容体α鎖およびβ鎖の発現について検索すると、健常コントロールでは両者の発現が確認されたが、患者ではα鎖の発現がみられなかった。RT-PCR法によってGM-CSF 受容体α鎖遺伝子およびβ鎖遺伝子(CSF2RA およびCSF2RB)のmRNA を調べると、健常者では両者が検出されたが、患者ではCSF2RB の発現は確認されたものの、CSF2RA の発現はみられなかった(図-E) 1)。 DNA シークエンス検査を施行し、CSF2RA 遺伝子のエクソン7 の508 塩基にC >T のQ170X となるナンセンス変異を認めた(図-F) 1)。 ゲノム微細領域のコピー数の変化(欠失、重複)やLOH を測定することを目的に、アレイCGH(array comparative genomic hybridization;aCGH)を行った。その結果、Xp22.33p22.11 にCSF2RA 遺伝子座を含んだ22.8-Mbのヘテロ接合性消失(loss of heterozygosity;LOH)が認められた。 年 齢:77 歳性 別:女性主 訴:労作時呼吸困難現病歴: 3 年前の健診では異常を指摘されていなかったが、1 ヵ月前より労作時呼吸困難を認め、 紹介受診となった。 成人発症例:CSF2RA 遺伝子変異 症例:CPAP/HPAP
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 以上から、CSF2RA 遺伝子座を含む22.8-Mb のLOH領域が確認され、GM-CSF 受容体α鎖の170 番目のアミノ酸グルタミンをストップコドンに代えるホモ接合のCSF2RA 変異(Q170X)によるCPAP/HPAP と診断された。 本患者にはWLL が行われ、呼吸状態の著明な改善が認められた。Reference 1) Ito M, Nakagome K, Ohta H, et al. Elderly-onset hereditary pulmonary alveolar proteinosis and its cytokine profi le. BMC Pulm Med. 2017;17:40. A B C D E F CSF2RA CSF2RB Normal MW 1500bp 3000bp 1000bp Patient Patient Tyr T T T T A C C C G A A A A A A T T C T A C C C G A A A A A A Tyr lle Gln Asp Ser lle Stop MW Patient MW control Normal control Normal control https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/ 図CSF2RA 遺伝子変異によるCPAP/HPAP 成人発症例 A:胸部X 線は両下肺野を中心にGGO を認めた。B:胸部HRCT は両下肺野を中心にGGO およびcrazy-paving pattern を認める。C:BALF は白濁を呈していた。D:BAL 細胞では泡沫状マクロファージなどの所見が認められた。E: RT-PCR 法によるGM-CSF 受容体α鎖遺伝子およびβ鎖遺伝子(CSF2RA およびCSF2RB)のmRNA の発現。健常者では両者が検出されたが、患者 ではCSF2RB の発現は確認されたものの、CSF2RA の発現はみられなかった。F:DNA シークエンス検査で、CSF2RA 遺伝子のエクソン7 の508 塩基にC >T のQ170X となるナンセンス変異を認めた。 (文献1 より引用改変)
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検査所見 日齢67 の血液検査: WBC 14,200/μL(Seg 38、Lym 5 6 、E o s 5 、B a s 1 )、G O T 25 U/L、GPT 13 U/L 血清: LDH 645 U/L、ファリチン 206 ng/mL、KL-6 1,789 U/mL、CRP 4.69 mg/dL、IgG 240 mg/dL、IgA 0 mg/dL、IgM 10 mg/dL 家族歴 患児は健康な両親の第四子である。第一子は男児で、妊娠38 週、出生体重2,896 g で出生した。日齢39 に肺炎の診断で入院し、進行性の呼吸障害のため日齢91 に死亡し、剖検によりPAP と診断された。第二子は男児で健康である。第三子は男児で、妊娠36 週、出生体重2,852 g で出生した。日齢39 に肺炎の診断で入院した。進行性の呼吸障害を認め、BAL でPAP と診断された。体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation;ECMO)を導入し、父親からの骨髄移植を受けたが、移植細胞の生着前に日齢163 に腎不全のため死亡した。剖検の結果はPAP およびサイトメガロウイルス感染症であった。 患児は女児で、妊娠39 週、出生体重2,290 g で出生した。日齢23 に全身の発疹と発熱を認めた。抗生剤投与は無効であり、ガンマグロブリン静脈内注射(intravenous immunoglobulin;IVIG)により解熱した。日齢42 に胸部X 線写真で異常陰影を認め、日齢67 に BAL を行ってPAP と診断した(図) 1)。 診断・治療・経過 酸素化障害が進行し、血清IgG が102 mg/dL まで低下したため、日齢102 にBAL およびIVIG を行ったところ、酸素投与中止が可能であった。そのため、定期的なIVIG を開始したところ、長期間にわたって酸素化の障害を食い止めることが可能であった。ウイルス感染によると考えられる気管支炎や急性胃腸炎などを繰り返し、強い臨床症状を認めたが、その都度回復した。5 歳からHOT が必要となり、11 歳で呼吸不全のため死亡した。健康な兄からの骨髄移植を計画したが、呼吸状態が不良のため移植不可能と判断された。剖検の結果はPAP であった。 血清KL-6 値は出生時には91 U/mL であったが、日齢96 には5,763 U/mL まで上昇し、その後は高値が持続した。感染症に罹患していない時期の白血球数は12,000 から20,000/μL で推移したが、白血球分画は正常であった。血清SP-A は高値が持続したが、血清SP-D は定量限界以下が続いた。血清抗GM-CSF 抗体は陰性であった。 責任遺伝子の検索 第一子、第三子の保存DNA および両親、健康な第二 年 齢:0 歳性 別:女性主 訴:全身の発疹と発熱(日齢23)現病歴: 患児は女児で、妊娠39 週、出生体重2,290 g で出生した。日齢23 に全身の発疹と発熱 を認めた。抗生剤投与は無効であり、IVIG により解熱した。日齢42 に胸部X 線写真で異常陰影を認めた。 小児発症例:OAS1 遺伝子変異 症例:CPAP/HPAP
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第I章 P A P診療マニュアル各論と症例: A P A P・ S P A P・ C P A P / H P A P 第III章 子、本児の末梢血白血球から抽出したDNA を用いて全エキソーム解析を行った。男女ともに発症しており、両親が健康であることから常染色体劣性遺伝モデルで解析を行ったところ、責任遺伝子の候補は抽出されなかった。常染色体優性遺伝モデルで解析を行ったところ、患児3 人にのみOAS1 の共通の変異(c. 227C >T、p. Ala76Val)をヘテロ接合性に認めた。両親のDNA を用いてディープシークエンスを行ったところ、母親のDNA の約4%に同一の変異を同定した。そのため、母 親の性腺モザイクにより3 名の同胞発症が成立したと考えられた1)。 OAS1 異常症の特徴 この家系と血縁のない、低ガンマグロブリン血症を合併する乳児期発症のPAP 2 例についてサンガー法によりOAS1 のダイレクトシークエンスを行ったところ、 C D E A B 図OAS1 異常症によるPAP A:日齢42 の肺CT:両肺野にびまん性のGGO と背面側に強いコンソリデーションを認める。B:9 歳時点の肺CT:両肺野にびまん性のGGO とcrazy-paving pattern を認める。C: 日齢67 のBALF:吸引順に左から並べたBALF を吸引した50 mL 注射器。乳白色の洗浄液であり、多量の沈殿物を認める。洗浄開始時には血液の混入が あった。D: 日齢67 のBAL スライド:BALF の肉眼所見がPAP に一致するのに反して、BAL スライドに観察される肺胞マクロファージの多くが小型・未熟で泡沫化し ていない(ギムザ染色、 × 40)。E:肺の剖検所見:肺胞に好酸性の顆粒物質が充満しており、PAP に一致する所見である(ヘマトキシリン・エオジン染色、× 10)。 (文献1 より引用)
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それぞれに変異を認めた(c. 326C>A、p. Cys109Try およびc. 592C >G、p. Leu198Val)。 3 家系5 例の症例の臨床経過から、OAS1 異常症の特徴として、1出生時には呼吸障害を認めない、2ウイルス感染を契機に乳児期に発症する、3進行性の酸素化障害を認める、4BAL あるいは肺組織診断でPAP と診断される、5肺胞マクロファージが小さくて未熟であり泡沫化していない、6分画の異常を伴わない白血球増多を認める、7低ガンマグロブリン血症を認める、8 IVIG により臨床症状が軽減する、9IVIG 開始前には脾腫を認める、10ウイルス感染症に対して過剰に反応することが明らかとなった。 OAS1 変異によるPAP 筆者らはOAS1 に変異を認めるPAP 小児発症例を5例経験し、そのなかの1 例を報告した。OAS1 は、イン ターフェロン刺激により発現し、ウイルス由来のRNAを分解するRNase を活性化する自然免疫に関連する蛋白質である。OAS1 の変異がPAP を発症する機序はいまだ不明である。 Reference 1) Cho K, Yamada M, Agematsu K, et al. Heterozygous Mutations in OAS1 Cause Infantile-Onset Pulmonary Alveolar Proteinosis with Hypogammaglobulinemia. Am J Hum Genet. 2018;102:480-6.
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管理区分重症度 以下(1)~(4)の場合、難治例として、重症度を1 度加えて管理区分重症度とする(I ~VI で表記)。その場合、管理区分重症度の後に括弧を附記し、詳細を記入。(1)明らかな肺線維症の合併(2)反復、継続する感染症合併(3)CPAP の場合(4) 6 分間歩行試験で、経皮的酸素飽和度(saturation of percutaneous oxygen;SpO2) 90%未満を認める場合 【例】DSS 2 の患者で明らかな肺線維症を合併している場合は、重症度を1 度加えて、管理区分重症度IIIとなる。【記載例】管理区分重症度:III (肺線維症合併) 小児慢性特定疾患 小児慢性特定疾病情報センター「3.慢性呼吸器疾患-4.間質性肺疾患-5.先天性肺胞蛋白症(遺伝子異常が原因の間質性肺疾患を含む。)」(https://www.shouman.jp/disease/details/03_04_005/) CPAP(遺伝子異常が原因の間質性肺疾患〔interstitial lung disease;ILD〕を含む。本ガイドラインではCPAP/HPAP と記載)は、医療費助成の対象となる疾患であり、診断の手引きに沿った診断のもと、小児慢性特定疾病指定医にて医療意見書を作成し、各自治体担当窓口(自治体によって担当窓口が異なる)にて申請する。 小児慢性特定疾病情報センター(ウェブサイト)が下記の基本理念で運営されている。 「慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方」として 1 公平で安定的な医療費助成の仕組みの構築(医療 費助成を義務的経費として位置付け) 厚生労働省指定難病 難病情報センター「肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性) (指定難病229)」(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4774) 肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)は、自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP)、続発性肺胞蛋白症(secondary pulmonary alveolar proteinosis;SPAP)、CPAP(遺伝子解析がなされた場合、遺伝性PAP〔HPAP〕と呼び、CPAP に含める。本ガイドラインでは、先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症〔congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar proteinosis;CPAP/HPAP〕と記載する)、未分類肺胞蛋白症(unclassifi ed pulmonary alveolar proteinosis;UPAP)に分類される。そのうち、APAPとCPAP は、厚生労働省指定難病に指定されている(229肺胞蛋白症〔自己免疫性又は先天性〕)。 指定難病に認定され、医療費助成の対象となるのは、PAP の診断基準に沿ってAPAP(抗GM-CSF 抗体測定不可の特発性PAP を含む)、CPAP(HPAP を含む)と診断され、管理区分重症度III度以上の患者である。管理区分重症度とは、PAP 重症度(表1) 1)に加えて難治例を 考慮した重症度である。 厚生労働省指定難病、小児慢性特定疾患、呼吸機能障害、高額医療、 研究班、患者会、個人調査票など 表1 PAP のDSS DSS症状PaO2 1 なし PaO2 ≧70 Torr 2 あり PaO2 ≧70 Torr 3 不問 70 Torr >PaO2 ≧60 Torr 4 不問 60 Torr >PaO2 ≧50 Torr 5不問50 Torr >PaO2 DSS:disease severity score(疾患重症度スコア) (文献1 より引用)
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のもと、身体障害者手帳の交付申請の手続きを行う。自治体により多少異なることがあるので、市区役所・町村役場の福祉担当窓口で相談する。 呼吸器機能障害の認定対象が定められており、呼吸機能障害については、1 級、3 級、4 級となっている(2 級が創設されていない) (表2、3、4) 2)。呼吸機能の障害 の判定には、予測肺活量1 秒率(以下「指数」という)、動脈血ガスおよび医師の臨床所見によるものとする。 【判定に必要な検査】・肺機能検査・動脈血液ガス分析・6 分間歩行試験(必要に応じて) 高額療養費制度 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/ kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/ index.html) 医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬 2.研究の推進と医療の質の向上 3 慢性疾患児の特性を踏まえた健全育成・社会参 加の促進、地域関係者が一体となった自立支援の充実 呼吸機能障害 日本呼吸器障害情報センター(https://j-breath.jp/index.html) 身体障害者福祉法施行規則(昭和25 年4 月6 日厚生省令第15 号)により、身体障害者を対象とした国や自治体のサービスと制度である。医療費の軽減、税制(税金の軽減)、公共交通機関の料金の割引サービス、雇用など自治体ごとのサービスが利用できる。 永続する一定の障害がみられる場合、指定医の診断書 表2身体障害者障害程度等級表 種別呼吸器機能障害1 級呼吸器の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの2 級ー3 級呼吸器の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの4 級呼吸器の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの (文献2 より引用) 表3身体障害者障害程度等級表 1 級呼吸困難が強いため歩行がほとんどできないもの呼吸障害のため指数の測定ができないもの指数が20 以下のもの動脈血酸素分圧(PaO2)が50 Torr 以下のもの2 級ー 3 級指数が20 を超え30 以下のもの動脈血酸素分圧(PaO2)が50 Torr を超え60 Torr 以下のものまたはこれらに準ずるもの 4 級指数が30 を超え40 以下のもの動脈血酸素分圧(PaO2)が60 Torr を超え70 Torr 以下のものまたはこれらに準ずるもの (文献2 より作成)表4活動能力の程度(修正MRC グレード分類)障害等級 等級修正MRC非該当0激しい運動をしたときだけ息切れがある。 4 級1平坦な道を早足で歩く、または緩やかな上り坂を歩くときに息切れがある。 2息切れがあるので、同年代の人より平坦な道を歩くのが遅い、または平坦な道を自分のペースで歩いているとき、息切れのために立ち止まることがある。 3 級3平坦な道を約100 m、または数分歩くと息切れのために立ち止まる。1 級4息切れがひどく家から出られない、または衣服の着替えをするときにも息切れがある。 (文献2 より作成)
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局の窓口で支払う医療費が1 ヵ月(暦月:1 日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」がある。上限額は、年齢(69 歳以下、70 歳以上)、所得(現役並み、一般、住民税非課税など)により異なる(表5、6) 3)。いくつかの条件を満たすこ とにより、負担をさらに軽減する仕組みも設けられている。研究班 ・びまん性肺疾患に関する調査研究班(2021 年現在)・国立研究開発法人日本医療研究開発機構難治性疾患実 用化研究事業「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理」研究班(2019年まで) 表5 70 歳以上の方の上限額(2018 年8 月診療分から) 適用区分ひと月の上限額(世帯ごと)外来(個人ごと) 現役並み年収約1,160 万円~標報83 万円以上/課税所得690 万円以上252,600 円+(医療費-842,000)× 1% 年収約770 万円~約1,160 万円標報53 万円以上/課税所得380 万円以上167,400 円+(医療費-558,000)× 1%年収約370 万円~約770 万円標報28 万円以上/課税所得145 万円以上80,100 円+(医療費-267,000)× 1% 一般年収156 万円~約370 万円標報26 万円以下課税所得145 万円未満等18,000 円(年14 万4 千円) 57,600 円 住民税非課税等II住民税非課税世帯8,000 円24,600 円 I住民税非課税世帯(年金収入80 万円以下など) 15,000 円 注: 1 つの医療機関等での自己負担(院外処方代を含む)では上限額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合算することができる。 この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となる。(文献3 より引用) 表6 69 歳以下の方の上限額 適用区分ひと月の上限額(世帯ごと) ア年収約1,160 万円~健保標報83 万円以上国保旧ただし書き所得901 万円超252,600 円+(医療費-842,000)× 1% イ年収約770 万円~約1,160 万円健保標報53 万円~79 万円国保旧ただし書き所得600 万~901 万円167,400 円+(医療費-558,000)× 1% ウ年収約370 万円~約770 万円健保標報28 万円~50 万円国保旧ただし書き所得210 万~600 万円80,100 円+(医療費-267,000)× 1% エ年収~約370 万円健保標報26 万円以下国保旧ただし書き所得210 万円以下57,600 円オ住民税非課税者35,400 円注: 1 つの医療機関等での自己負担(院外処方代を含む)では上限額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等での自己負担(69 歳以下の場合は2 万1 千円以上であることが必要)を合算することができる。この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となる。(文献3 より引用)
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患者会 日本肺胞蛋白症患者会(http://pap-net.jp) 個人調査票 「肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性) (指定難病229)」の臨床調査個人票は、難病情報センターからダウンロード可能。(https://www.nanbyou.or.j/wp-content/ uploads/upload_fi les/File/229-201704-kojin.pdf) 指定医が臨床調査個人票を記載し、指定難病の認定申請を行う。1 年に1 回更新申請が必要である。「先天性肺胞蛋白症(遺伝子異常が原因の間質性肺疾患を含む)」については、小児慢性特定疾病情報センターからダウンロード可能(https://www.shouman.jp/ disease/details/03_04_005/)。 指定医が「慢性呼吸器疾患小児慢性特定疾病医療意見書」を記載し申請する。1 年に1 回の継続申請が必要である。 References 1) 難病情報センター.肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性) (指定 難病229).https://www.nanbyou.or.jp/entry/4775(閲覧: 2022-01-31) 2) 東京都福祉保健局東京都心身障害者福祉センター.身体障害 認定基準2. 障害種別ごとの基準 (6)呼吸器機能障害(平成30年度改正).https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/ shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.fi les/6.kok yuukikinousyougaiheisei30nenndokais.pdf(閲覧:2022-01-31) 3) 厚生労働省保健局.高額療養費制度を利用される皆さまへ(平 成30 年8 月診療分から).https://www.mhlw.go.jp/ content/000333279.pdf(閲覧:2022-01-31)
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proteinosis;CPAP/HPAP)は2015 年7 月1 日付けで厚生労働省の指定難病に認定され、また小児のCPAP も同日付で小児科領域の慢性特定疾病に認定された。最近、本邦で実施されたサルグラモスチムを用いた吸入療法ランダム化比較医師主導治験(PAGE 試験)、また本邦も中心的に参加したモルグラモスチムを用いた吸入療法ランダム化比較国際共同企業治験(IMPALA 試験)の成績が相次いでNew England Journal of Medicine 誌に発表された。 患者、家族、患者会支援活動 本ガイドラインの一部の委員は、2003 年からスタートしたRLDC にも参画した。RLDC では、臨床の研究者と患者組織(患者会)がNIH のもとに協力する研究体制が稀少疾患の克服に必要であるとしている。そして、RLDC では患者あるいは患者会の支援を積極的に行っていた。本邦でも2010 年、厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業として「肺胞蛋白症の難治化要因の解明と診断、治療、管理の標準化と指針の確立」研究班が開始されたが、われわれは患者支援のための教育セミナーを企画し、PAP 患者にPAP 患者会設立を呼びかけた。その結果、2010 年1 月9 日に患者の教育セミナーとして第1 回PAP 勉強会(大阪、千里ライフサイエンスセンタービル)、さらに2010 年10 月10 日に第2回PAP 勉強会(東京、ベルサール八重洲)を開催し、同日、日本肺胞蛋白症患者会発足準備会が発足した。2011年7 月18 日に第3 回PAP 勉強会(大阪、千里ライフサイエンスセンタービル)を開催し、同日、日本肺胞蛋白症患者会が設立された。その後われわれは毎年、年に1回大阪と東京で交互に患者や家族のための勉強会を開催し、同じ会場で日本肺胞蛋白症患者会総会も開催され、われわれ研究者との連携が良好となり、本ガイドライン作成にあたって、患者会会長はガイドライン作成委員として、患者会の立場で助言をいただいた(表2)。 本邦のPAP 研究と難病対策事業 1994 年、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor; GM-CSF)遺伝子欠損マウスにおいて肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)類似の病態が報告されて以来、PAP を巡る研究はGM-CSF シグナル伝達異常を中心に進められてきた。1999 年に本ガイドライン作成委員である中田らにより、特発性PAP 患者の血液、気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fl uid;BALF)中で抗GM-CSF 抗体が発見された。その後、疫学調査、基礎的、臨床的研究、遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(recombinant human GM-CSF;rh GM-CSF)吸入療法の開発が相次いで論文化された。これらの活動を通して、本邦では呼吸器内科、小児科、麻酔科、血液内科、病理、放射線科、基礎研究者、統計専門家などの多分野専門家によるPAP の共同研究ネットワークが形成され、次々と成果が発表された。 2003 年から米国国立衛生研究所(National Institute of health;NIH)研究費による第1 次Rare Lung Disease Consortium(RLDC)が発足し、われわれ日本のPAP 研究グループは欧州のPAP 研究者(Euro PAP)とともにRLDC に参加し、国際共同研究体制がスタートした。一方、アジアでは中国、韓国、日本の研究者による連携体制ができ、合同会議が何度か開催された(Asian PAP)。 2010 年、難病対策に特化した公的研究費として厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症の難治化要因の解明と診断、治療、管理の標準化と指針の確立」研究班が発足し(表1)、PAP の診断基準、重症度が作成された。2012 年にはその基準をもとに本ガイドラインの基礎となる『肺胞蛋白症の診断、治療、管理の指針』が発表された。難治性疾患克服研究事業での活動の結果、自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP)と先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar PAP に関する難病対策事業と患者支援
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表2患者、家族教育、支援とQOL 改善:日本PAP 患者会支援とPAP 勉強会開催 2010 年1 月9 日第1 回PAP 勉強会(大阪、千里ライフサイエンスセンタービル) 2010 年10 月10 日第2 回PAP 勉強会(東京、ベルサール八重洲)日本肺胞蛋白症患者会総会発足準備会2011 年7 月18 日第3 回PAP 勉強会(大阪、千里ライフサイエンスセンタービル)日本肺胞蛋白症患者会総会設立(同会場で午前中に開催) 2012 年10 月20 日第4 回PAP 勉強会(東京、TKP 東京駅ビジネスセンター)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で午前中に開催) 2013 年7 月7 日第5 回PAP 勉強会(大阪、毎日インテシオ)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で午前中に開催) 2014 年11 月23 日第6 回PAP 勉強会(東京、品川インターシティ)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で午前中に開催) 2015 年10 月25 日第7 回PAP 勉強会(大阪、グランフロント大阪タワーB)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で午前中に開催) 2016 年10 月22 日第8 回PAP 勉強会(東京、フクラシア東京ステーション)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で午前中に開催) 2017 年10 月29 日第9 回PAP 勉強会(大阪、グランフロント大阪ナレッジキャピタルカンファレンスルームTower B)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で午前中に開催) 2018 年11 月23 日第10 回PAP 勉強会(東京、品川インターシティホール& 貸会議室)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で午前中に開催) 2019 年10 月14 日第11 回PAP 勉強会(大阪、グランフロント大阪ナレッジキャピタルカンファレンスルーム Tower B02)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で午前中に開催) 2020 年10 月17 日第12 回PAP 勉強会(新潟、オンライン)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(新潟、オンライン) 2021 年11 月6 日第13 回PAP 勉強会(大阪、TKP ガーデンシティPREMIUM 心斎橋、ハイブリッド)日本肺胞蛋白症患者会総会開催(同会場で開催、ハイブリッド) 表1難治性疾患克服研究事業におけるPAP を対象とした主な公的研究班 2010 ~2011 年平成22 ~23 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症の難治化要因の解明と診断、治療、管理の標準化と指針の確立」研究班2012 ~2013 年平成24 ~25 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「難治性稀少肺疾患(肺胞蛋白症、先天性間質性肺疾患、オスラー病)に関する調査研究」2014 年平成26 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「肺胞蛋白症、遺伝性間質性肺疾患に関する研究:重症難治化要因とその克服」2014 ~2016 年平成26 ~28 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「びまん性肺疾患に関する調査研究」肺胞蛋白症部会2015 ~2016 年平成27 ~28 年度日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業「肺胞蛋白症、遺伝性間質性肺疾患に関する研究:重症難治化要因とその克服」班2015 ~2017 年平成27 ~29 年度日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業「自己免疫性肺胞蛋白症に対する酵母由来組換えGM-CSF 吸入の多施設共同医師主導治験」班2017 ~2019 年平成29 ~令和1 年度日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理」班2017 ~2019 年平成29 ~令和1 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「びまん性肺疾患に関する調査研究」肺胞蛋白症部会2019 ~2021 年令和1 ~3 年度日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業「横断的オミクス解析を駆使した肺胞蛋白症の病態解明とインシリコ・リポジショニング創薬」班2020 ~2022 年令和2 ~4 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「びまん性肺疾患に関する調査研究」肺胞蛋白症部会
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肺胞蛋白症とは 肺を顕微鏡で拡大してみると、果物のブドウのように小さな丸い袋が集まってできていることがわかります。この一つひとつの袋を、肺胞(はいほう)と呼びます。正確にいえば、サーファクタントは肺胞の表面にある水と空気の境界(界面)を覆っているのです。 肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)は、肺胞のなかに必要以上にサーファクタントが貯まることで、さまざまな症状が出てくる病気です。この病気の原因がわかるずっと前、患者さんの肺を顕微鏡で見た学者は、肺胞のなかにたくさんの蛋白質が貯まっているのをみつけました。それで、この病気を肺胞蛋白症(PAP)と名付けました。 身体から取り出した肺を顕微鏡で観察するには、肺をさまざまな薬品で処理する作業が必要です。この薬品には、脂を溶かしてしまう成分が含まれています。そのため、サーファクタントの90%を占める脂質は標本をつくる途中で流れ出してなくなってしまいます。こうして、サーファクタントの蛋白質だけが肺胞に残ってみえた、というのがPAP という名前がつけられた理由です。 PAP は、原因に応じて3 種類に分けられます。一番多いのが自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP)で、PAP 全体の9 割を占めます。遺伝子の異常が原因の先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar proteinosis;CPAP/HPAP)とあわせて、難病指定を受けています。それ以外に、主に血液の病気に伴って起きるPAP があり、続発性肺胞蛋白症(secondary pulmonary alveolar proteinosis;SPAP)といわれます。 APAP の原因はなんですか PAP は、“肺胞のなかに必要以上にサーファクタントが貯まることでさまざまな症状が出てくる病気”と述べました。サーファクタントは、肺胞の壁にある細胞でつ はじめに~肺の表面を覆うサーファクタント 肺は、人が息を吸ったり吐いたりすると、それにつられて膨らんだり縮んだりします。人の身体の60 ~65%は、水からできています。水は、自身の表面積をできるだけ小さくしようとする力(表面張力)をもっています。もし肺の表面が水で覆われていると、一度縮んだ肺は、次に息を吸っても表面張力のため膨らむことができません。 肺の表面にみられる水と空気のような境界を、界面といいます。実は、肺の表面にある界面は、水ではなくサーファクタントと呼ばれるもので覆われています。サーファクタントは、およそ90%の脂質と10%の蛋白質からできています。肺の界面、つまり水と空気の境目に存在するサーファクタントは、蛋白質を水(肺)側へ、脂質を空気(大気)側に向けて並んでいます。すると水のもつ表面張力が下がって(界面活性作用)、肺が完全に縮んでも息を吸えばもう一度膨らむようになります。このように、サーファクタントのおかげで人は呼吸し続けることができるわけです。 患者、家族用説明文書 写真表面張力により丸くなった水滴
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どんな症状がでますか PAP のうち、3 人に1 人はまったく症状がありません。この場合、健康診断でみつかったり、別の病気を目的として撮影された胸部レントゲンやCT で発見されたりするものです。症状がある人のうち一番多くみられるのは、運動をしたときの息切れです。以前は何でもなかった坂道や階段を登ったときや、軽い肉体労働をしただけなのにすぐに息が苦しくなることで病気に気づきます。こうした息切れは、身体の酸素不足を反映します。息切れが進むと食欲が落ちて、体重が減ることもしばしばです。息切れの次には、咳を訴える人が多いようです。ただ、息切れや咳はほかの病気でもみられることがあるので、症状からPAP を疑うことはできません。 どんな検査をしますか PAP の診断には、いくつかの検査を組み合わせて行います。まず、胸部レントゲンやCT といった放射線検査で特徴的な陰影を確認することが大切です。また、血液検査で身体の酸素濃度を調べたり、PAP で増えることが多い血液マーカーを測ったりします。さらに、肺のなかにサーファクタント由来物質が貯まっていることを確認するための検査を行います。ファイバースコープを入れて肺胞を洗う気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage;BAL)や、実際に肺の一部分を取ってきて顕微鏡で観察する肺生検という検査も行われます。 肺のなかにサーファクタント由来物質が貯まっていることがわかれば、次はその原因を調べる検査に移ります。原因のところで述べたように、抗GM-CSF 抗体がみつかれば、APAP と診断されます。自己抗体がみつからないときには、SPAP を疑って血液疾患などがないかどうか調べます。さらにCPAP が疑われる場合は、原因となる遺伝子異常を調べることもあります。 どんな治療法がありますか PAP の3 人に1 人はレントゲンを撮れば影がありますが、自覚症状はありません。また、APAP は、病状が悪化せずに自然によくなることも珍しくありません。そのため、病気が軽い場合には、痰切りや咳止めなど症 くられています。健康な人では、余ったサーファクタントは肺胞マクロファージという細胞が取り込んで分解します。肺胞マクロファージは、白血球の一種である単球が肺胞で変化したものです。単球を肺胞マクロファージに変化させるのが、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor;GM-CSF)という物質です。 ところで、麻疹(はしか)や風疹は一度かかると二度とその病気になることはありません。人の身体には免疫という仕組みがあり、麻疹や風疹ウイルスに対する抗体(病原体にくっついて無力化する働きをもつ蛋白質)ができるからです。ところが、どういうわけかこの仕組みが乱れ、ウイルスのような外からの病原体ではなく、自分の身体の一部を病原体と錯覚して免疫反応が起こることがあります。これを自己免疫反応、またこうしてできた抗体を自己抗体と呼びます。 自己免疫反応によってGM-CSF に対する自己抗体(抗GM-CSF 抗体)ができると、GM-CSF が働かなくなります。すると、単球が肺胞マクロファージに変化しなくなるため、余分なサーファクタントは分解されずどんどん肺胞に貯まってきます。それが進むと、肺そのものは膨らんでみえますが、実際には縮んだままであるのと同じことになって、呼吸ができなくなってしまいます。こうして起こるPAP を、GM-CSF に対する自己免疫反応が原因であるため、自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)と呼んでいます。 自己免疫性以外のPAP の原因はなんですか 抗GM-CSF 抗体とは関係なく、別の病気の合併症としてPAP がみられることが知られています。ある病気に引き続いて発症するということから、続発性肺胞蛋白症(SPAP)と呼ばれています。日本では、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)という血液の病気の合併症としてみられる場合が最も多いことがわかっています。 もう1 つのPAP であるCPAP/HPAP は、遺伝子の異常が原因で起こるPAP です。CPAP/HPAP にみられる遺伝子異常の一部は、GM-CSF の働きを抑制することがわかっています。生まれついての遺伝子異常のため、多くは生後間もない時期にPAP を発症します。
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状に応じた治療を行いながら、注意深く経過を観察します。 これに対して、息切れや咳などの症状が強く出るのは、肺のなかにサーファクタント物質がたくさん貯まっている証拠です。身体のなかの酸素不足が続くと内臓に負担がかかり、ひいては命にかかわってくることもあります。そうならないように、自宅でも酸素を吸えるような在宅酸素療法(home oxygen therapy;HOT)の導入を考えます。また、感染症をきっかけとして呼吸状態が悪化することもあるため、手洗い・うがいなどを行うことが大切です。そのほかにも、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種、禁煙なども治療の重要な一環です。 酸素を吸っても十分な酸素濃度が保てないときには、肺のなかに貯まっているサーファクタントを取り除く治療が必要になってきます。入院し全身麻酔をかけて、おおよそ1 週間間隔で片方ずつ肺を洗う全肺洗浄(法) (whole lung lavage;WLL)という治療が行われます。 普段の生活で気をつけることはありますか PAP では、健康な人と比べるとさまざまな病原体による感染症になりやすい傾向があります。こうした感染症を予防するため、外出後の手洗い、うがい、マスクの着用などが勧められます。また、家庭菜園などでの土いじりも感染症を引き起こす可能性がありますから、控えたほうがよいかもしれません。 またPAP では、身体のなかの酸素濃度が低い割に息切れの自覚が乏しい方がときどきみられます。そういう人は、自分で思っている以上に酸素濃度が低いことがあ ります。その場合、普段の生活でどのくらい酸素濃度が下がるかを把握し、日常生活において酸素不足にならないような工夫や注意が必要です。また、主治医から勧められた場合はHOT をはじめてみましょう。 多くのPAP の方が、発病前と同じ仕事を続けています。ただし、粉塵に曝露されるような作業に従事している場合は、配置転換を考えてもらう必要があります。ときには、粉塵曝露がPAP 発症の引き金になることあります。運動は、筋力維持のためにも可能な範囲で行いましょう。でも、仕事も運動も身体の酸素濃度が低下しないよう十分に注意して下さい。 医療費助成の制度はありますか PAP には医療費助成の制度がありますが、助成を受けるためにはいくつか条件があります。まず、APAPまたはCPAP/HPAP の診断が間違いないことが条件です。BAL または肺生検で肺のなかに多くのサーファクタント由来物質が蓄積していること、加えてAPAP では抗GM-CSF 抗体が陽性であることが必要です。一方、CPAP/HPAP では、遺伝子異常の特定や先天性が疑われる病歴があれば大丈夫です。 ただ、APAP またはCPAP/HPAP であれば全員が助成を受けられるわけではありません。PAP は、症状および安静時の酸素濃度によって5 段階の重症度に分類されます。医療費助成は、重症度3 以上の方が対象になります。なお、SPAP の患者さんは、残念ながらPAP の医療費助成の対象となりません。
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2012 年に発行された『PAP の診断、治療、管理の指針』から10 年が経過し、さまざまな研究成果が発表され、最近、ランダム化比較試験の論文がNew England Journal Medicine に2 件発表され、ガイドラインを発行することとなった。今後の課題として重要と思われる点をまとめる。 ・特定疾患の認定基準は、抗GM-CSF 抗体の測定が一部の研究室に限られ、一般的でなかった時代に作成されたた め、歴史的病名である「特発性PAP」の病名を残した。抗GM-CSF 抗体の測定は最近、コマーシャルベースで外注検査が可能となった。しかし、現段階(2022 年6 月)で保険適用はない。ガイドライン作成委員会では、抗GM- CSF 抗体の測定が可能となったこと、国際的に「特発性PAP」は用いられていないことから、「特発性PAP」は採用しなかったが、その経緯を付記した。今後、抗GM-CSF 抗体測定の保険適用が急がれるとともに、認定基準のアップデートが急務である。・現在の外注検査では、健常者と自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP)で求 められた抗GM-CSF 抗体の基準値は、1.7 U/mL 未満(参考値)と記載されている。基準値を超える患者はAPAP患者以外でも数%報告されていることから、抗GM-CSF 抗体値の解釈時には測定方法と基準値を考慮し、特に非典型的である場合は、APAP の診断は慎重に行うことが必要である。今後、大規模なコホートでの基準値の検証とともに、基準値以上でありながらAPAP と診断できない症例についての検討も必要であろう。・本ガイドラインの診断アルゴリズムでは、肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)の細胞病理診断(気 管支鏡検査)後に抗GM-CSF 測定を行うこととした。本検査法が保険収載され、測定が安価で容易になれば、測定のタイミングの見直しの検討も必要かもしれない。・続発性肺胞蛋白症(secondary pulmonary alveolar proteinosis;SPAP)では、原疾患の肺病変や合併症のため高分 解能CT(high-resolution computed tomography;HRCT)像は非典型的で病理検査も困難であり、診断は必ずしも容易ではない。SPAP のさらなる症例集積と検討が必要である。・先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar proteinosis;CPAP/HPAP)の診断では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor;GM-CSF)シグナルの確認、各種遺伝子検査が必須である。遺伝子異常が同定されればHPAP と呼ぶ。なお、これまで先天性PAP(遺伝性PAP を含む)と記載することが多かった、一般的に遺伝性遺伝子が同定されたものをHPAP と呼ぶ。ガイドライン作成委員会では、あわせて「先天性PAP あるいは遺伝性PAP」として「CPAP/HPAP」と記載することとした。この鑑別で必要な検査や手順は、現時点でも研究レベルであり、標準化されていない。これら特殊検査の標準化、保険適用が望まれる。・PAP の診断は経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy;TBLB)で十分診断可能との報告もあり、ほかの方法 で診断できない場合、肺線維症など合併例などでは外科的肺生検(surgical lung biopsy;SLB)が提案された。経気管支クライオ肺生検(transbronchial lung cryobiopsy;TBLC)はガイドラインでは行わないことを提案したが、今後安全性を含めて症例集積と検討が必要である。・これまでAPAP の治療は、全肺洗浄(法) (whole lung lavage;WLL)が治療のゴールドスタンダードであった。遺伝子 組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(recombinant human GM-CSF;rh GM-CSF)による吸入療法は新たな治療選択となる。今後、適切な用量、期間、投与方法、WLL のタイミングなどの検討が必要であろう。・SPAP、CPAP/HPAP の予後は不良であり、有効で安全な標準的治療法の開発が必要である。・肺線維症の合併、繰り返す感染症の合併はPAP の難治化要因であるが、その有効な対策と治療法の開発が必要である。・APAP、SPAP、CPAP/HPAP ともに病因、病態が明らかにされつつあるが、さらに最新の技術による遺伝子、分 子病態の解明とそれに基づく、より特異的でかつ安全な治療法の開発が期待される。 今後の課題
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■付録 システマティックレビューのまとめ 本ガイドラインを作成するにあたり、文献検索はPubMed、Cochrane Library、Medical Online を用いた。文献検索の対象期間は、1958 年にRosen らによってはじめて報告された疾患1)であることより、1958 年から2021 年1 月までの期間と設定した。また、上記期間に肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)に対するランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)の報告は、Tazawa ら2)とTrapnell ら3)による報告のみである。両報告では、肺胞気動脈血酸素分圧較差(alveolar-arterial oxygen pressure diff erence;AaDO2)および%肺拡散能(diff using capacity of the lung for carbon monoxide % predicted;%DLCO)について評価しているが、薬剤および投与方法、組入れ基準が異なることに留意すべきである(表)。本邦において、APAP は2008 年の報告で100 万人あたり6.2 人、2019 年のポアソン分布による推定では26.6 人と低い有病率4, 5)で、患者数が少ない稀少疾患である。ゆえに、RCT 以外の報告も限定的で、本ガイドラインで用いた文献はエビデンスのカテゴリーとしては全体的に低くなる。本ガイドラインでは上記RCT 2, 3)、そのほかの比較対照群のある臨床試験、比較対照群のある観察研究、比較対照群をもたないケースシリーズなどを採用し、動物実験に関する報告は除外した。一方で、対象疾患の稀少性を考慮し、記述研究および患者データに基づかない専門科個人の意見(専門家委員会報告など)を一部で採用した。 各CQ に対する文献検索作業は2 名の担当者で行った。しかし、文献検索に至る過程、作業などはほかの委員が確認することで、本ガイドラインの文献に対する客観性の担保に努めた。以下に、CQ ごとの検索方法と論文数を記載する。 AaDO2 Trapnell, et al 2020 26.4±13.7 31.6±12.7 -11.9±14.9 -7.0±11.4 -6.2(-11.7 to -0.8) Trapnell, et al 2020 63.3±22.5 53.6±15.5 11.5±17.4 4.0±11.0 7.8(2.3 to 13.3) Tazawa, et al 2019 68.75±21.56 64.53±22.34 4.70±15.57 0.37±14.46 6.87(0.62 to 13.05) Tazawa, et al 2019 33.0±12.9 35.5±14.1 -4.50±9.03 0.17±10.50 -5.7(-10.5 to -1.4) Estimated Difference Difference, GM-CSF vs. Placebo Estimated Difference(mmHg) Value at Week 24 GM-CSF n=79 Placebo n=77 Change from Baseline GM-CSF n=79 Placebo n=77 %DLCO Estimated Difference Difference, GM-CSF vs. Placebo Value at Week 24 GM-CSF n=79 Placebo n=77 Change from Baseline GM-CSF n=79 Placebo n=77 -15 -10 -5 5 Estimated Difference(%) -5 5 10 15 0 0 表PAP に対するGM-CSF 治療の効果のRCT
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CQ1 肺胞蛋白症(PAP)の鑑別診断と病状評価のために血清マーカー(KL-6、SP-D、SP-A、CEA、CYFRA のいず れか)を測定すべきですか? 検索式件数 KL-6 はPAP の診断に測定すべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 1,301 7 36 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND KL-6 29 2 19 4 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND KL-6 AND Diagnosis 26 1 2 5 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Serum AND Biomarker 59 0 0 Total (#2 OR #3 OR #4 OR #5) =11 SP-D はPAP の診断に測定すべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 1,301 7 36 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND SP-D 59 2 9 4 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND SP-D AND Diagnosis 29 1 0 5 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Serum AND Biomarker 59 0 0 Total (#3 OR #4) =11 SP-A はPAP の診断に測定すべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 1,301 7 36 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND SP-A 95 3 21 4 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND SP-A AND Diagnosis 33 1 1 5 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Serum AND Biomarker 59 0 0 Total (#2 OR #3 OR #4 OR #5) =11 CEA はPAP の診断に測定すべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 1,301 7 36 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND CEA 22 4 7 4 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND CEA AND Diagnosis 17 1 2 5 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Serum AND Biomarker 59 0 0 Total (#2 OR #3 OR #4 OR #5) =11 CYFRA はPAP の診断に測定すべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND CYFRA 6 3 36 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND CYFRA AND Diagnosis 4 1 0 4 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Serum AND Biomarker 59 0 0 Total (#3 OR #4) =4
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CQ2 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の診断のために抗GM-CSF 抗体を測定すべきですか? 検索式件数 APAP の診断のために抗GM-CSF 抗体を測定すべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Autoantibody AND Diagnosis 63,511 2 192 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 1,332 9 36 4 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND anti-GM-CSF autoantibody AND Diagnosis 36 2 0 Total (#1 OR #2 OR #3 OR #4) =12 CQ3 肺胞蛋白症(PAP)の診断に高分解能CT(HRCT)検査を行うべきですか? 検索式件数 PAP の診断にHRCT 検査を行うべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND CT 141 10 57 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND CT AND Diagnosis 128 4 11 4 Diff use lung diseases AND CT AND accuracy 80 7 2 5専門委員会や専門科個人の意見2 Total (#3 OR #4 OR #5) =14 CQ4 肺胞蛋白症(PAP)の診断に気管支肺胞洗浄(BAL)を行うべきですか? 検索式件数 PAP の診断にBAL を行うべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 1,301 7 36 3 Pulmonary alveolar proteinosis AND Bronchoalveolar 614 6 50 4 Bronchoalveolar lavage AND Guideline AND Interstitial lung disease 26 0 0 5専門委員会や専門科個人の意見1 Total (#2 OR #3 OR #4 OR #5) =14
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CQ5 肺胞蛋白症(PAP)の診断に生検鉗子による経気管支肺生検(TBLB)を行うべきですか? 検索式件数 PAP の診断に生検鉗子によるTBLB を行うべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 74 7 36 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Transbronchial lung biopsy 73 1 25 4 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Transbronchial lung biopsy AND Diagnosis 68 0 13 5専門委員会や専門科個人の意見2 6検索作業後に追加した文献1 0 0 Total (#1 OR #4 OR #5 OR #6) =9 CQ6 肺胞蛋白症(PAP)の診断に経気管支クライオ肺生検(TBLC)を行うべきですか? 検索式件数 PAP の診断にTBLC を行うべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Lung biopsy AND Interstitial lung disease 17,618 146 166 3 Transbronchial lung cryobiopsy 244 34 15 4 Transbronchial lung cryobiopsy AND Interstitial lung disease 3 0 0 5専門委員会や専門科個人の意見3 Total (#1 OR #2 OR #4 OR#5) =24 CQ7 肺胞蛋白症(PAP)をほかの方法で診断できない場合に外科的肺生検(SLB)を行うべきですか? 検索式件数 PAP をほかの方法で診断できない場合診断にSLB を行うべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 1,332 9 36 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis AND Transbronchial lung biopsy 75 0 13 4専門委員会や専門科個人の意見7 Total (#1 OR #2 OR #4) =17
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CQ8 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)、続発性肺胞蛋白症(SPAP)でもない肺胞蛋白症(PAP)に対して遺伝子解析を 行うべきですか? 検索式件数 APAP、SPAP でもないPAP に対して遺伝子解析を行うべきですか? (成人患者) PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis 1,332 9 36 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Diagnosis AND Mutation 94 1 2 Total (#2 OR #3) =12 APAP、SPAP でもないPAP に対して遺伝子解析を行うべきですか? (小児患者) PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Surfactant 17,245 37 534 3 Pulmonary Surfactant AND Mutation 754 3 9 4 Infant lung disease AND Mutation 2,296 15 3 Total (#1 OR #2 OR #3 OR #4) =29 CQ9 肺胞蛋白症(PAP)の治療のために全肺洗浄(法) (WLL)を行うべきですか? 検索式件数 PAP の治療のためにWLL を行うべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Treatment 1,044 24 32 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Treatment AND Whole lung lavage 265 12 8 4専門委員会や専門科個人の意見1 Total (#2 OR #3 OR #4) =11 CQ10 自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の治療として遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rh GM-CSF)治療は選択肢となりますか? 検索式件数 APAP の治療としてrh GM-CSF 治療は選択肢となりますか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Treatment 1,044 24 32 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Treatment AND GM-CSF 287 18 9 Total (#3) =9
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CQ11 骨髄異形成症候群(MDS)に合併する肺胞蛋白症(PAP)治療のため同種造血幹細胞移植を行うべきですか? 検索式件数 MDS に合併するPAP 治療のために同種造血幹細胞移植を行うべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary alveolar proteinosis AND Myelodysplastic syndromes 35 0 1 3専門委員会や専門科個人の意見1 Total (#1 OR #2 OR #3) =9 CQ12 肺胞蛋白症(PAP)にステロイドを使用すべきですか? 検索式件数 PAP にステロイドを使用すべきですか? PubMed Cochrane Library Medical Online 1 Pulmonary Alveolar Proteinosis 2,159 41 1,028 2 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Treatment 1,000 18 10 3 Pulmonary Alveolar Proteinosis AND Treatment AND Steroid 47 0 0 Total (#2 OR #3) =7 References 1) Rosen SH, Castleman B, Liebow AA. Pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med. 1958;258:1123-42. 2) Tazawa R, Ueda T, Abe M, et al. Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2019;381:923-32. 3) Trapnell BC, Inoue Y, Bonella F, et al;IMPALA Trial Investigators. Inhaled Molgramostim Therapy in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis. N Engl J Med. 2020;383:1635-44. 4) Inoue Y, Trapnell BC, Tazawa R, et al;Japanese Center of the Rare Lung Diseases Consortium. Characteristics of a large cohort of patients with autoimmune pulmonary alveolar proteinosis in Japan. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:752-62. 5) Kitamura N, Ohkouchi S, Tazawa R, et al. Incidence of autoimmune pulmonary alveolar proteinosis estimated using Poisson distribution. ERJ Open Res. 2019;5:00190-2018.
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欧文 A ABCA3 21, 39, 133, 134 ABCA3 欠損症39 ABCA3 異常症135 ABL チロシンキナーゼインヒビター131 acute silicosis(急性珪肺症) 115 AIDS(後天性免疫不全症候群) 115 AIHA(自己免疫性溶血性貧血) 109 ALL(急性リンパ球性白血病) 28 AML(急性骨髄性白血病) 129 APAP(自己免疫性肺胞蛋白症) 7, 20, 26, 30, 37 ARDS(急性呼吸窮〔促〕迫症候群) 9, 57 Asian PAP 149 aspergilloma 112 Aspergillus fumigatus 111 B BAL(気管支肺胞洗浄) 11, 64, 157 BALF(気管支肺胞洗浄液) 11, 13, 15, 41, 71 bcr/abl 変異129 BD(ベーチェット病) 115, 127 busulfan 115 C CAT(COPD アセスメントテスト)スコア27 CD116 39 CD131 39 CEA 4, 43, 48, 156 ChILD(小児間質性肺疾患) 21 clinicoradiographic discrepancy 56 CML(慢性骨髄性白血病) 28, 74, 129 Cochrane Library 155 COI(利益相反) xiii COVID-19 9, 12, 57 COVID-19 肺炎60 CPAP(先天性肺胞蛋白症) 37 CPAP/HPAP(先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症) 20, 22, 30, 37 CQ(クリニカルクエスチョン) xi, 2, 155 crazy-paving pattern 9, 11, 41, 57, 59 CSF2RA 21, 133, 134, 140 CSF2RA 遺伝子変異20, 39, 69, 135, 140 CSF2RB 21, 133, 134, 137, 140 CSF2RB 遺伝子変異20, 135, 137 CYFRA 4, 43, 48, 156 C 型肝炎94 D degassing(無気肺化) 77 DIP(剥離性間質性肺炎) 134 DLT(カーレンスダブルルーメンチューブ) 77 DSS(疾患重症度スコア) 44 E ELISA(酵素結合免疫吸着測定法) 51 end-tidal PCO2(PETCO2) 79 Euro PAP 149 F FARSB 21, 135 FEV1/FVC(1 秒率) 54 foamy macrophage(泡沫状マクロファージ) 11, 35, 41, 66, 129 G GATA2 21, 135 GATA2 遺伝子異常132 GATA2 の遺伝子異常症115 GGO(すりガラス様陰影) 9, 41, 57, 59 GM-CSF(顆粒球マクロファージ刺激因子)遺伝子欠損マウス 149 GM-CSF(顆粒球マクロファージ刺激因子)受容体α鎖異常 135 GM-CSF(顆粒球マクロファージ刺激因子)受容体α鎖遺伝子 20 GM-CSF(顆粒球マクロファージ刺激因子)受容体β鎖異常 75, 135 GM-CSF(顆粒球マクロファージ刺激因子)吸入療法102 GM-CSF(顆粒球マクロファージ刺激因子)治療155 GM-CSF/IL-3/IL-5 受容体共通βサブユニット39 GVHD(移植片対宿主病) 29 ■索引
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H HILD(遺伝性間質性肺疾患) 22 HOT(在宅酸素療法) 87 HP(過敏性肺〔臓〕炎) 7, 57, 94 HPAP(遺伝性肺胞蛋白症) 37 HRCT(高分解能CT) 9, 41, 58, 59, 61, 71, 157 I IMPALA 試験26, 27, 82, 149 IPAP(特発性PAP) 37, 42 ITP(特発性血小板減少性紫斑病) 109 K KL-6 4, 43, 48, 156 L LBC(液状化検体細胞診)法65 LDH 48 lipid clefts 76 M MARS 21, 135 MCID(臨床的に意味のある変化) 44 MDS(骨髄異形成症候群) 28, 68, 74, 115, 129, 132 MDS-RA 126 MDS-RAEB 126 MDS-SPAP(骨髄異形成症候群に合併する続発性肺胞蛋白症) 28, 58 Medical Online 155 methionyl-tRNA synthetase 21, 135 milky 65 MPA(顕微鏡的多発血管炎) 105, 106 MPO-ANCA(抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体) 105 MUC1 遺伝子多型5 N NKX2.1 21, 39, 135 NSIP(非特異性間質性肺炎) 57, 60, 134 O OAS1 21, 135 OAS1 遺伝子変異142 OLB(開胸肺生検) 11 OMIM(online mendelian inheritance in man) 134 P PAGE 試験26, 82, 149 PAP(肺胞蛋白症) 4, 9, 11, 13, 15, 18, 24, 30, 37, 151 PAP 重症度145 PAP 症候群37 PAP 勉強会149, 150 PEEP(呼気終末陽圧) 77, 79 PETCO2(end-tidal PCO2) 79 phenylalanine-tRNA synthetase β chain 21, 135 PICO 形式xi pressure control ventilation 79 PubMed 155 R RCT(ランダム化比較試験) 155 rh GM-CSF(遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー 刺激因子)吸入46 rh GM-CSF(遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー 刺激因子)吸入治療82 rh GM-CSF(遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー 刺激因子)治療26, 159 RLDC(Rare Lung Disease Consortium) 149 S SFTPB 21, 39, 133 SFTPC 21, 39, 133 SGRQ(St. George’s respiratory questionnaire) 27, 83 silicoproteinosis 60 simple aspergilloma 112 simple pulmonary aspergilloma 111 SLB(外科的肺生検) 13, 15, 18, 158 SLBL(気管支鏡下区域洗浄) 24, 77 SMDP1 135 SMDP2 135 SMDP3 135 SMDP4 135 SMDP5 135 SP-A 4, 43, 48, 156 SPAP(続発性肺胞蛋白症) 20, 28, 30, 37, 117 SP-B 異常症90 SP-B 遺伝子変異134 SP-B 欠損症135
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SP-C 異常症90, 135 SP-D 4, 43, 48, 156 STAT5B 21, 133, 135 STAT5 リン酸化35 subpleural sparing 41, 59 surfactant metabolism dysfunction(サーファクタント代謝異 常) 135 T TBLB(経気管支肺生検) 11, 13, 15, 71, 158 TBLC(経気管支クライオ肺生検) 13, 15, 158 TTF1 135 U UIP(通常型間質性肺炎) 134 UPAP(未分類肺胞蛋白症) 37 V VATS(胸腔鏡下肺生検) 11, 18 W WLL(全肺洗浄〔法〕) 24, 46, 77, 100, 102, 159 和文 あ悪性リンパ腫115アザシチジン129アスペルギルス症94アスペルギルス副鼻腔炎112アルミニウム115アンブロキソール塩酸塩85, 102 い易感染性30移植片対宿主病(GVHD) 29遺伝子解析20, 21, 159遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 (rh GM-CSF)吸入46遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 (rh GM-CSF)吸入治療82遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rh GM-CSF)治療26,159 遺伝性間質性肺疾患(HILD) 22遺伝性肺胞蛋白症(HPAP) 37イトラコナゾール111イマチニブ129医療費助成153インフルエンザワクチン153 えエヴァンス症候群109疫学39液状化検体細胞診(LBC)法65エビデンスの質viii,xエラスチカ・ワンギーソン染色7 か開胸肺生検(OLB) 11片肺移植89過敏性肺(臓)炎(HP) 7, 57, 94カポシ肉腫57顆粒状無構造物質11顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)遺伝子欠損 マウス149顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF) 受容体α鎖 異常135顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF) 受容体α鎖 遺伝子20顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF) 受容体β鎖 異常75, 135顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)吸入療法102 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)治療155カーレンスダブルルーメンチューブ(DLT) 77患者会148患者、家族用説明文書151感染症94管理区分重症度145管理重症度分類44 き気管支鏡11気管支鏡下区域洗浄(SLBL) 24, 77気管支肺胞洗浄(BAL) 11, 64, 157気管支肺胞洗浄液(BALF) 11, 13, 15, 41, 71気管チューブ78気管チューブカフ圧78
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後天性免疫不全症候群(AIDS) 115高分解能CT(HRCT) 9, 41, 58, 59, 61, 71, 157呼気終末陽圧(PEEP) 77, 79呼吸管理87呼吸機能障害146呼吸細気管支34呼吸リハビリテーション87国際サーベイランス78骨髄異形成症候群(MDS) 28, 68, 74, 115, 129, 132骨髄異形成症候群に合併する続発性肺胞蛋白症(MDS-SPAP) 28, 58骨髄移植90, 126米のとぎ汁様65コンソリデーション9, 59 さ在宅酸素療法(HOT) 87サーファクタント34, 133, 151サーファクタント異常61サーファクタント異常症57サーファクタント代謝94サーファクタント代謝異常(surfactant metabolism dysfunction) 135細顆粒状物質41, 72, 76細気管支肺胞上皮癌57, 60サルグラモスチム26, 46, 82, 102, 149サルコイドーシス7, 57, 94酸素投与46 しジェットネブライザー82試験的治療46自己炎症性免疫不全症21自己免疫性肺胞蛋白症(APAP) 7, 20, 26, 30, 37自己免疫性溶血性貧血(AIHA) 109システマティックレビューxii, 155自然寛解44, 46自然軽快44, 46, 98疾患重症度スコア(DSS) 44指定医148指定難病37重症筋無力症7重症度分類44重症複合型免疫不全115修正MRC グレード分類146小児間質性肺疾患(ChILD) 21小児PAP 21 器質化肺炎57ギムザ染色12, 41吸引性肺炎57急性間質性肺炎(急性IP) 57急性珪肺症(acute silicosis) 115急性呼吸窮(促)迫症候群(ARDS) 9, 57急性骨髄性白血病(AML) 129急性リンパ球性白血病(ALL) 28胸腔鏡下肺生検(VATS) 11, 18胸部X 線9胸部X 線写真62禁煙153菌状息肉症57筋力トレーニング87 く区域洗浄46グラム染色71クリニカルクエスチョン(CQ) xi,2グロコット染色71クロロキン製剤135 け経過観察46経気管支クライオ肺生検(TBLC) 13, 15, 158経気管支肺生検(TBLB) 11, 13, 15, 71, 158外科的肺生検(SLB) 13, 15, 18, 158結核94血漿交換96血清GM-CSF 20血清マーカー4, 24牽引性気管支拡張像59顕微鏡的多発血管炎(MPA) 105, 106 こ抗GM-CSF 抗体7, 35, 37, 42, 51, 157高額療養費制度146膠原病7膠原病肺94抗酸菌感染症115好酸性の顆粒状無構造物質129厚生労働省指定難病145厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業149酵素結合免疫吸着測定法(ELISA) 51抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)
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小児慢性特定疾患145小児慢性特定疾病37小児慢性特定疾病情報センター145上皮被覆液11小葉間隔壁58小葉間隔壁肥厚像57, 59小葉中心性粒状影61小葉内網状影57, 59人工換気46新生児113身体障害者障害程度等級表146身体障害者福祉法施行規則146診断アルゴリズム41診断基準41塵肺7診療ガイドラインviii す推奨の強さviii, ixステートメントviii, ix, 2ステロイド30, 128, 131, 160ステロイド剤135すりガラス様陰影(GGO) 9, 41, 57, 59 せ成人PAP 20生体肺移植89成長ホルモン135セルブロック18, 64洗浄療法46, 77染色体異常115全身麻酔79先天性肺胞蛋白症(CPAP) 37先天性肺胞蛋白症/遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 20, 22, 30, 37全肺洗浄(法) (WLL) 24, 46, 77, 100, 102, 159 そ造血幹細胞移植118側臥位78続発性肺胞蛋白症(SPAP) 20, 28, 30, 37, 117 た対症療法46対標準肺活量(%VC) 54体部白癬94 多発性骨髄腫115多発ノカルジア脳膿瘍108 ちチール・ネルゼン染色71チェブラーミエリン34地図状分布41, 57, 59チタン115腸管型BD 128長期酸素療法46 つ通常型間質性肺炎(UIP) 134 て低ガンマグロブリン血症21, 135ディフ・クイック染色12転写因子PU.1 94 と同種骨髄移植126同種造血幹細胞移植28, 46, 160投票xii特発性PAP(IPAP) 37, 42特発性血小板減少性紫斑病(ITP) 109特発性肺胞出血59トリソミー8 28, 115トレンデレンブルグ体位79 な難病情報センター145難病対策事業149難病認定基準44 に日常管理85日本PAP 患者会150日本肺胞蛋白症患者会149ニューモシスチス・イロベチイ71ニューモシスチス肺炎57, 115, 127妊婦113
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ねネブライザー82 の脳死肺移植89嚢胞59ノカルジア94ノカルジア感染94ノカルジア症108 はパーカッション79肺移植89肺炎94肺炎球菌ワクチン153敗血症性ショック128肺サーファクタント関連遺伝子変異133肺硝子膜症57肺静脈閉塞症57肺水腫57肺線維症15, 105, 106ハイドロキシウレア129肺ノカルジア症108, 109肺胞34肺胞出血57, 129肺胞蛋白症(PAP) 4, 9, 11, 13, 15, 18, 24, 30, 37, 151肺胞微石症57肺胞マクロファージ35肺胞マクロファージ移植90白濁11剥離性間質性肺炎(DIP) 134パス染色12, 41パス陽性物質58白血病115, 129, 132発症率39パパニコロー染色12, 41 ひ非結核性抗酸菌症94, 105非特異性間質性肺炎(NSIP) 57, 60, 134日和見感染症109 ふファンコニ貧血115へ ベーチェット病(BD) 115, 127ヘマトキシリン・エオジン染色71ヘマトキシリン・エオジン染色所見71 ほ放射線肺炎57蜂巣肺59泡沫細胞75, 76泡沫状マクロファージ(foamy macrophage) 11, 35, 41, 66, 129保険適用viii ま膜型ネブライザー82マクロファージ66マクロライド系抗菌薬135慢性好酸球性肺炎57慢性骨髄性白血病(CML) 28, 74, 129 み未分類肺胞蛋白症(UPAP) 37 む無気肺化(degassing) 77 もモルグラモスチム26, 46, 82, 102, 149 や薬剤性肺炎57, 59 らライトグリーン41ラメラ体34ランダム化比較試験(RCT) 155 り利益相反(COI) xiiiリコンビナントGM-CSF 102
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リツキシマブ85, 96罹病率39リポイド肺炎57両肺移植89緑膿菌肺炎129臨床的に意味のある変化(MCID) 44リンパ球66 れレプトスピラ症57レユニオン島21 数字・記号 II型上皮35 1 秒率(FEV1/FVC) 54 2-prime, 5-prime oligoadenylate synthetases 21, 135 %DLCO(%肺拡散能) 54 %FVC(%努力肺活量) 54 %VC(対標準肺活量) 54
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肺胞蛋白症診療ガイドライン2022 2022 年6 月15 日 第1 版発行 編 集日本呼吸器学会肺胞蛋白症診療ガイドライン2022 作成委員会発行者日本呼吸器学会(代表) 平井豊博発行所一般社団法人 日本呼吸器学会〒113-0033 東京都文京区本郷3 丁目28 番8 号 日内会館7 階TEL:03-5805-3553(代) FAX:03-5805-3554 info@jrs.or.jp URL:https://www.jrs.or.jp/制 作株式会社メディカルレビュー社〒113-0034 東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビルTEL:03-3835-3041(代) FAX:03-3835-3063 ● 本書に掲載された著作物の複写・複製・転載・翻訳・データベースへの取り込み、および送信(送信可能化権を 含む)・上映・譲渡に関する許諾権は一般社団法人日本呼吸器学会が保有しています。 © 日本呼吸器学会/2022/Printed in Japan
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