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リードレスペースメーカの施設要件・術者要件に関するステートメント(2023年改訂) 日本不整脈心電学会・2023・4 ページ · 不整脈・デバイス・アブレーション
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リードレスペースメーカの施設要件・術者要件に関する

ステートメント(改訂)

2023 年1月24 日

一般社団法人 日本不整脈心電学会

植込み型デバイス委員会

医療安全委員会理事⻑ 清水 渉

現在のリードレスペースメーカ(LP)は、VVI(R)型シングルチャンバーペースメーカであり、従来の経静脈シングルチャンバーペースメーカでは静脈アクセス等の関係で留置困難例や感染例などの症例に対して使用される。最近の LP には、心房収縮を感知し、房室同期が保有可能な single-chamber LP も市場されているが、近い将来 LP 抜去の保険償還や dualchamber LP の市場も見込まれている状況を鑑み、今回 LP に関するステートメント改訂を行った。

1 国内におけるリードレスペースメーカ(LP)植込みの現状

国内では、2017 年に LP(Micra)が市場されて以降、現在まで 18,000 件以上の植込み手術が施行されている。されている。2017 年に本学会から LP に関する施設要件・術者要件に関するステートメントが公表されているが、植込み可能医療機関は全国で 685 施設に及び、外科的処置が自施設で可能な 545 施設(80%)と外科的処置が自施設では不可能な 140 施設(20%)が含まれている。

その一方で、国内における LP 植込み後の合併症に関しては、植込み施設から任意の報告例だけでも重篤な合併症に伴う心タンポナーデ、心室穿孔、大血管の損傷などの致死的な急性期合併症や退院後 1ヶ月以内の死亡例の報告がなされている。入院中の合併症の原因について、多くは植込み手術に絡む要因が考えられているが、退院後の死亡(術後 1 ヶ月以内の死亡)に関しては原因が明らかではない例も多く含まれている。これら重篤な合併症の発生は、本治療を行う上で医療安全上大きく危惧されたため、これまで計う上で医療安全上大きく危惧されたため、これまで計 5 回の注意喚起を本学会ホームページで行ってきた。
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2 海外におけるリードレスペースメーカ(LP)の現状

米国における LP の植込みの現状に関しては、2021 年に米国 FDA から注意勧告が発出された 1。その勧告文によると、FDA に報告のあった Micra に関する合併症は、従来の経静脈ペースメーカに比べ、心室穿孔を始めとした重篤な合併症(心タンポナーデ、死亡、など)が多いことが報告された。2016 年以降 FDA に報告のあったMicra による心室穿孔 300 例のうち、90 例(30%)が死亡している。またこの心室穿孔は、植込み時に発生したものが一般的であったが、植込み数日後・数週間後、あるいは数ヶ月後に発生する例もあったと報告さ後に発生する例もあったと報告されている。心室穿孔による心タンポナーデ発生時には、ドレナージまたは穿孔部位の外科的修復を要する場合があり、LP 植込み手術を行うにあたっては外科的処置が迅われる準備が必須であると警告している。同様に、2021 年 ESC ガイドライン2 においては、LP 植込み手術については自施設で外科的対応が可能な施設でのみ LP 植込みが可能であると明記している。

一方 LP の抜去に関しては、国内のみならず欧米においても抜去の臨床成績は極めて少ないのが現状である。これまで 241 例の LP 抜去が試みられており、植込み後平均 3.1±1.8年(最⻑ 9 年)の抜去の成功率は 88%以上で、抜去に起因する死亡例はなかったもののデバイス/手技合併症は 4.1%と報告されている。また、海外での LP 抜去に関しては、全て自施設での外科的サポートのある施設で実施されている。

3 諸外国のガイドラインにおける LP 植込み適応

国内における LP 植込み適応に関しては、JCS/JHRS「不整脈非薬物治療ガイドライン 2018年改訂版」3及び「2021 年フォーカスアップデート版不整脈非薬物治療」4 を参照されたい。2021 年 ESC ガイドライン2 では、LP 植込みのクラス1適応はなく、経静脈ペースメーカ植込みクラス1適応患者で、静脈アクセス等の問題で経静脈ペースメーカ植込みに問題がある場合に限ってクラス IIa 適応となっており、あくまで LP は経静脈ペースメーカの代替治療としての位置付けである。

4 LP 植込み実施施設要件

LP 植込み手術のための施設要件5は、以下の通り改訂する。

・ペースメーカ移植術およびペースメーカ交換術の施設基準を満たし、交換を含む手術を

常勤医が年間 10 例以上実施していること・緊急心臓血管手術が自施設で可能な体制を有していること・心臓血管外科専門医が常勤していること
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ただし、やむを得ず心臓血管外科が併設されていない施設、あるいは心臓血医がいない施設で行う場合には、本学会に以下の情報を事前申請*(リードレスペースメーカに関する施設要件確認申請書を用いて提出いて提出)のこと。

臨床工学技士、看護士、人工心肺などの準備体制

5 LP 抜去手術のための実施施設要件

LP 抜去とは、「植込み手術に伴う一連の手技が終了した後に、抜去を目的として別途リトリーバルシステムを使用する場合とし、LP 植込み手術からの期間(急性期・慢性期)で区別するものではない」と定義するが、LP 抜去の施設要件は以下の通りである。

・ペースメーカ移植術およびペースメーカ交換術の施設基準を満たし、交換を含む手術を常

勤医が年間 10 例以上実施していること・緊急心臓血管手術が自施設で可能な体制を有していること

6 LP 植込み手術および LP 抜去手術の術者要件

LP 植込み手術のための術者要件5は、以下の通り改訂する。・不整脈デバイス治療に関する十分な専門的知識と植込み経験を有していること

(不整脈専門医資格を有することが望ましい)・関連学会監修の製造販売業者が実施する研修を受講済であること

7 その他

LP 植込み手術および抜去手術に関して、術中術後の重篤な合併症(心タンポナーデ、脱落、その他)が発生した場合、あるいは原因の如何に関わらず術後 1ヶ月以内に発生した死亡例は、速やかに日本不整脈心電学会ホームページ**より報告書の提出を求めるものとする。**本学会ホームページ「申請/報告」から、「リードレスペースメーカ合併症発生時の報告」
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にある専用フォーマットを使用のこと

本ステートメントは、令和5 年3 月1 日から運用開始されるが、国内外での臨床成績の蓄積により今後改訂する可能性がある。

【参考文献】

1. FDA. Leadless pacing systems: risk of major complications related to cardiac perforation

during implantation-letter to health care providers. https://www.fda.gov/medical-devices/letters-health-care-providers/leadless-pacingsystems-risk-major-complications-related-cardiac-perforation-during-implantation 2. Glikson M, et al. 2021 ESC guidelines on cardiac pacing and cardiac resynchronization

therapy. Eur Heart J 2021, 42: 3427-3520.

3 栗田隆志、他 日本循環器学会/日本不整脈心電学会「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018

年改訂版)」https://www-j-circ.or.jp/

4 栗田隆志、他 日本循環器学会/日本不整脈心電学会「2021 年 JCS/JHRS ガイドラインフ

ォーカスアップデート版 不整脈非薬物治療」https://www-j-circ.or.jp/

5 日本不整脈心電学会「メドトロニック社製リードレスペースメーカ(MicraTM)植込みに関

する重要なお知らせ(再注意喚起)」日本不整脈心電学会ホームページ(平成 30 年 12 月 11 日掲載)

リードレスペースメーカ ステートメント改訂作業部会

植込み型デバイス委員会:安部治彦、髙木雅彦、石井庸介

栗田隆志、庄田守男、野田  崇

医療安全委員会:草野研吾、髙木雅彦