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2025年 JHRS/JCS 携帯型/装着型心電計の適切使用に関するコンセンサスステートメント 日本循環器学会・2025・33 ページ · 不整脈・デバイス・アブレーション
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I.はじめに

本ステートメントでは,日本において医療機器として承認されている(遠隔での心電図記録が可能な)非侵襲的な携帯型(ambulatory)または装着型(wearable)の心電計の機能や特徴,ならびに使用における注意点について記載する.昨今,精度の低い心電計を用いて不整脈を診断し,治療している臨床医がいることが本ステートメント発行の背景にある.なお,欧米においては関連する学会から心電計の使用に関するステートメントがすでに複数発刊されている1)~4).加えて,携帯型/装着型心電計のメディア広告における規制が緩和されたことにより,今後は医療従事者のみならず,一般人でも簡易な心電計を活用する頻度が増える.

心電図装置としては,リード付き(lead-based)携帯型心電計(古典的な24時間ホルター心電計),貼付型(patched)心電計,手操作(handheld)心電計,スマートフォンを用いた心電図記録,時計型心電計などが含まれる.これらの心電計の多くは携帯型心電計として取り扱われているが,時計型心電計や着衣型(garment)心電計などのように身に着けて記録するものは装着型心電計と呼ばれる.近年,頻用されるようになった貼付型

エキスパートコンセンサスステートメント

2025年日本不整脈心電学会/日本循環器学会携帯型/装着型心電計の適切使用に関する

コンセンサスステートメント

〈執筆委員〉池田隆徳1(班長) 芦原貴司2 岩﨑雄樹3 大野真紀4 鍵山暢之5 木村雄弘6草野研吾7 河野律子8 朔 啓太9 笹野哲郎10 妹尾恵太郎11 髙月誠司12 髙橋尚彦13髙見 充14 中野由紀子15 橋本賢一16 藤生克仁17 藤野紀之18 水野 篤19 吉岡公一郎20渡邉英一

21 〈外部評価委員〉清水 渉22 野出孝一23

1東邦大学大学院医学研究科循環器内科学, 2滋賀医科大学情報総合センター・医療情報部・循環器内科, 3日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野, 4亀田総合病院循環器内科, 5順天堂大学医学部循環器内科, 6慶應義塾大学医学部循環器内科, 7国立循環器病研究センター心臓血管内科, 8産業医科大学医学部不整脈先端治療学, 9国立循環器病研究センター循環動態制御部, 10東京科学大学大学院医歯学総合研究科循環制御内科学, 11京都府立医科大学不整脈先進医療学講座, 12慶應義塾大学医学部不整脈先進治療学寄附研究講座, 13大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座, 14神戸大学大学院医学研究科循環器内科学分野, 15広島大学大学院医系科学研究科循環器内科学, 16防衛医科大学校病院総合臨床部, 17東京大学医学部附属病院循環器内科, 18東邦大学大学院医学研究科循環器内科学, 19聖路加国際病院循環器内科, 20東海大学医学部内科学系循環器内科, 21藤田医科大学ばんたね病院循環器内科, 22日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野, 23佐賀大学医学部循環器内科

2025年3月一部改訂

275 心電図 Vol. 44 No. 4 2024
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心電計は,携帯型心電計と装着型心電計の中間的な位置づけとなる.本ステートメントでは,これらの心電計の概要と適切使用に関して記載するが,光電容積脈波(フォトプレチスモグラフィー)やオシロメトリック法による血圧計を用いた本来の心電図ベースではない記録法に関する内容も含め,その使用における限界についても記載する.加えて,携帯型/装着型心電計のデータ保管とセキュリティの概要についても記載する.また,植込み型ループ式心電計(implantable loop recorder:ILR)についてもふれ,非侵襲的な携帯型/装着型心電計との用途の違いについて言及する.最後に,不整脈あるいは個々の病態ごとに,その診断/評価における活用法と推奨クラスについて記載する.

本ステートメントが発行されることで,日本において携帯型/装着型心電計が適切に使用されることを望む.

その際,ステートメント表として示されたグリーンハートは「使用することを薦める」,イエローハートは「使用してもよい」,レッドハートは「使用すべきでない」を意味する.

II.携帯型/装着型心電計の種類と特徴1.リード付き携帯型心電計(Lead-Based Ambulatory ECG Devices)

不整脈および虚血性心疾患の診断には,これまで長時間の心電図記録が可能なリード付き携帯型心電計が使用されてきた.いわゆる古典的あるいは標準的なホルター心電計と呼ばれるものである.2または3誘導を基本とするが,多電極を用いて12誘導を記録することもできる.12誘導の記録は,XYZ誘導を用いて計算によって表示することも可能である.12誘導を記録すると,QT時間,QT/RR,QT dispersion,ブルガダ型波形の検出,心室不整脈の起源,虚血部位の推定が可能となる.しかし,四肢電極の胴体配置で記録された心電図については,QRS軸が右方向にシフトするためにR波の振幅が変化することから,標準12誘導心電図と同等とはならないことに留意すべきである5).

いくつかの機種では,周波数特性によって,高サンプリング(1,000 Hz)によるマイクロボルト記録から,遅延電位(late potentials:LP)や再分極不安定指標(T wave alternans:TWA,T wave variability:TWV)の追加解析ができる.24時間以上の長時間記録では,発作性不整脈の検出率が上昇し,心房細動持続時間のヒストグラム表示(AF Burden),心拍変動(heart rate variability:HRV,cyclic variation of heart rate:CVHR)計測による日差変動の観察が可能となる.一方で,連続装着は患者の負担となることから,48時間以内の記録が勧められる.一部の機種では,3軸加速度センサーを備え,体位(仰臥位,右側臥位,左側臥位,伏臥位,座位,立位)および運動強度(METs)が記録でき,労作との関連性や無症候性不整脈,心臓神経症の診断にも一役を担う.

ペースメーカパルスやノイズについては,記録開始前に検出チャンネルを選択でき,タブレットやPC上で拡大表示することもできる.最新のホルター心電計は最小のもので13 gと軽量で防水性を備えており,患者の利便性を向上させている.電極には,静電気ノイズに強い2層のシールド構造を採用したリード線一体型ディスポ電極,衣類内に装着できる本体一体型電極などもある.

リード付き携帯型心電計のうち,体外式ループ式心電計は自動トリガー記録機能を備えている.徐脈,頻脈,期外収縮,不安定なRR間隔に対する自動認識プロトコールの設定が可能なことから,無症候性不整脈の検出も可能にしている.SYNARR-Flash研究では,不整脈起因性が疑われる失神あるいは動悸を有する395名が登録され,4週間での診断率は失神が24.5%,動悸で71.6%であった6).これを受けて,欧州のガイドライ心電図 Vol. 44 No. 4 2024 276
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ンではILR前の段階的な診断ツールとして,体外式ループ式心電計の使用を推奨した6).一方,P・QRS・T波およびST部分の空間的ベクトル情報がないため不整脈起源の特定能力に欠け,心拍リズムを連続的に記録する機能はない.記録期間中,患者に継続的に電極を装着させる必要があり,解析結果は患者のコンプライアンスに依存する.

現在,日本で使用可能なリード付き携帯型心電計と体外式ループ式心電計を表1に示す.リード付き携帯型心電計としては,5社より9機種が販売されている.

2.貼付型心電計(Patched ECG Devices)および着衣型心電計(Garment ECG Devices)

貼付型心電計および着衣型心電計とは,被検者の日常生活における心電図波形を長期間にわたって連続記録する医療機器である.心電計としては,簡易型のホルター心電計として認可されており,携帯型心電計と装着型心電計の中間的な位置づけとなる.この装置の主な用途は,従来の短時間~24時間記録が可能な心電計(通常の12誘導心電図あるいはリード付き携帯型心電計)では捉えにくい不整脈の検出に有用である.貼付型心電計は,小型で軽量なデザインが採用され,胸部に直接貼り付ける方式が一般的である.このため,リード線を使用する必要がなく,被検者の装着にともなう負担を軽減する.また,防水性能を持つ機種が多く,この場合は入浴時でも使用できる.長期間の心電図記録を必要とする症例においては,最大14日間連続して使用できる機種がある.イベントボタンを有する機器においては,被検者は症状発生時にボタンを押してエピソードをマークする7).症状のある臨床的に重要な不整脈は,長時間心電図計測の最初の週に検出されることが多い3).

貼付型心電計や着衣型心電計には,医療機関で装着し病院に返却する機器もあるが,多くの機器では,医師と事業者の契約の上,医師の指示の下に事業者から被検者の自宅等に直接心電計が送付され,被検者本人が心電計を貼付もしくは着用する.検査終了後は,被検者本人が心電計を事業者に郵送する.この新しい仕組みによって,多忙・高齢・地理的条件などにより,医療機関を受診できない,あるいは受診しづらい被検者に対して,検査実施率の向上が見込まれる.このように,広範な被検者層に適用できる.最新の心電計は,記録した心電図のリアルタイム分析を行い,より迅速なデータ収集と診断を可能にしている2).

長期間の記録が可能な貼付型心電計や着衣型心電計は,特に発作性心房細動の検出や,無症候性不整脈の検出に有効である.不整脈が偶発的かつ短時間である場合に,その発生を捉えるのに役立つ.そのなかでも特に心房細動の検出において,高い精度と診断成果を示す.心房細動のスクリーニングにおいては,心房細動の頻度が一日15%以下程度しかない場合に特に効果的である.心房細動の中等度から高リスクの集団における2週間の貼付型心電計の使用は,2週間のILR使用の成績に匹敵し,また検脈や聴診のみの標準治療と比較して,心房細動の検出率は10倍高い8)~10).

現在,日本で使用可能な貼付型心電計および着衣型心電計を表2に示す.異なる特徴を持つ機種が複数販売されている.この特徴の違いは,機器の使用環境や目的に応じて重要であり,各機器の特徴を下記に記載する.なお,心電図データの解析は各社独自のソフトウェアによって行われるが,複数機種に対応し,長時間心電図記録から心房細動診断に特化したAIクラウドベースのプログラム(長時間心電図解析ソフトウェアSmartRobin AIシリーズ)も使用されている. a.フクダ電子社製eMemo WR-100

記録時間は最大14日間で最も記録時間が長い.加速度計等の体位・体動の記録はできないが,イベントボタンがある.装着時にタブレット端末から波形の確認が可能である.本体の再利用が可能な機器であり,医療機関は本体を購入する必要がある.

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表1 日本で使用されているリード付き携帯型心電計の種類と特徴

リード付き携帯型心電計(2ch/3ch/12誘導)

メーカーフクダ電子日本光電工業製品名FM-1400 FM-1500 RAC-2512 RAC-5103 RAC-5203

外観

サイズ(W× H× D) 40× 41× 10 mm (突起部を除く) 60× 65× 13 mm (突起部を除く) 81.3× 57.8× 19.5 mm 53.8× 53.8× 17.1 mm 53.8× 53.8× 17.8 mm

重量17 g (電池ケース付き.ECG

コネクタ,電極,ケーブル部を除く) 49 g (電池,カードを除く) 50 g (電池,カードを除く) 41.5 g (電池,カードを除く) 43.5 g (電池,カードを除く)

防水ありあり―ありあり記録チャンネル2ch,3ch 2ch,3ch,12誘導2ch,3ch,12誘導,双極3ch,(X,Y,Z) 2ch,3ch 2ch,3ch,双極3ch,(X,Y,Z)

記録時間24時間最大7日間最大3日間24時間最大7日間高サンプリング― 1000 Hz 1000 Hz ― 1000 Hz

その他・LP,TWA計測・QT,QT/RR計測・ブルガダ波形計測・PVC起源の推定・ST変化の捕捉・LP計測可能

リード付き携帯型心電計(2ch/3ch/12誘導)体外式ループ式心電計

メーカーケンツメディコGEヘルスケアMicroPort RCRM製品名Cardy 305 pico Cardy 1201 SEER 1000 SpiderView R SpiderFlash TM

外観

サイズ(W× H× D) 35.8× 40.8× 8.7 mm 61.6× 46.3× 21.6 mm 71.0× 64.0× 20.0 mm 97× 54× 23 mm 53× 74× 19.5 mm

重量13 g 45 g (電池を除く) 53 g 85 g 50 g防水ありあり― ― ―記録チャンネル3ch(CM5,NASA, CC5/補助誘導) 1ch,2/3ch,12誘導2/3ch 2/3ch, XYZ計算12誘導2ch

記録時間最大2日間最大2日間(12ch)最大7日間(2/3ch)

最大10日間(1ch) 24時間/48時間/ 7日間最大4日間最大40日間

高サンプリング― 1000 Hz ― 1000 Hz ―

その他・3軸加速センサーによる体位,運動強度記録・付属のイベント記録器にて詳細な症状,行動,時間の記録が可能・QT計測・PVC起源の推定・ST変化の捕捉・ペースメーカパルス検出(2CH)の強化・本体イベントボタンにてイベント簡易記録可能.またはイベント記録器にて詳細な症状,行動,時間の記録が可能・Bluetooth

® 対応PC,タブレットと接続・単4形1.5 Vアルカリ電池1本で最大7日,記録可能・LP,TWV計測・QT,QT/RR計測・ペースメーカスパイク感知・初日は24時間,2日目以降はイベントループ式心電計・オートトリガー,患者起動のいずれか設定・定時記録:最大20ヵ所/日・すべてのRR間隔を記録・入浴時取り外し,入浴後再装着

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b.JSR社製Heartnote ®

最大7日間の記録が可能である.医療機関が機器を購入する必要がない.薄型,軽量,フレキシブル,コードレス設計で,患者の装着負担が少ない.防水設計となっており,シャワーや半身浴が可能でイベントボタンは有しないが,加速度センサーは有する.通常不整脈解析に加えて,カルディオインテリジェンス社の心房細動に特化したAI解析サービス(SmartRobin AIクラウドサービス)も可能である. c.ケンツメディコ社製Simple Holter ®

加速度センサーとイベントボタンを搭載する貼付型心電計である.1検査に1台の単回使用で,記録時間は最大24時間.測定中でも入浴が可能な防水設計.LEDレベルメーターにより,装着時に波高値の高さを確認しながら取り付け位置を調整できる.製造から2年間の使用期限があり,期限内であれば在庫が可能である. d.日本ライフライン社製AT-patch

記録時間は最大7日間.加速度センサーとイベントボタンの両方を有する使い捨てタイプで,初期投資が不要である.Bluetooth ®接続による装着時の波形確認が可能である。また,一度記録が開始されると電源をOFFにできないため,使用中に誤って電源がOFFになることがない. e.フィリップス社製ePatch ®

1枚の電極パッチで最大5日間,パッチを交換することで,最大10日間の測定が可能である.自宅等への郵送が可能であり,医療機関が機器を購入する必要がない.電極は貼付型で双極2チャンネルの記録が可能である(10日間:パッチ2枚使用の場合は,双極1チャンネル).イベントボタンは有するが,加速度センサーは有しない.心房細動の検出に加え,心拍変動(HRV)やQT時間の計測が可能である.測定中の入浴は不可であるが,シャワーの使用は可能である. f.デュランティス社製gram ®,ココロミル社製eclat ®

最大7日間の測定が可能である.単回使用であり,医療機関は必要台数を購入していつでも使える(有効期間2年).機器は電極パッドのみで体に貼付され,患者への装着負担が少ない.防水設計となっており,測定中の入浴は不可であるが,シャワーの使用は可能である.gram ®はデュランティス社製の医療機器プログラムduranta Analysis ®を用いたココロミル社の分析サービスが附帯され,eclat ®はココロミル社製の医療機器プログラムkokorotoku ®を用いた同社の分析サービスが附帯される.両製品とも販売はココロミルが行う. g.豊田通商社製LOTUS HEART ®

最大7日間の記録が可能である.本体は再利用でき,その際は市販の電極を使用する.スマートフォンとペアリングして使用し,データはBluetooth ®でスマートフォンへ転送され,さらにクラウドサーバーに送信される.本体にはイベントボタンはないが,スマートフォン上のアプリより心電図波形の確認とイベントの入力が可能である. h.東レ・メディカル社製hitoe ®

最大14日間の記録が可能である.着衣型で粘着剤不要のドライ電極を組み込んだ専用ウェアを心電計と組み合わせて使用する.測定中でも被検者が通常の衣類と同様に着脱して入浴することが可能であり,心電計を取り外したウェアは家庭で洗濯できる.自宅等への郵送も可能で,医療機関が機器を購入する必要がない.

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表2 長時間記録可能な貼付型心電計および着衣型心電計の比較表

メーカーフクダ電子JSRケンツメディコ日本ライフライン製品名eMemo(WR-100) Heartnote ® Simple Holter ® AT-Patch(ATP-C70) AT-Patch(ATP-C130)

外観

発売2017年5月2020年8月2022年10月2022年10月認証済み:販売未製造販売フクダ電子JSRケンツメディコ日本ライフライン

製造フクダ電子JSRセキ アオイ テクノAtsens(韓国)

サイズ(W× H× D) 33× 44× 13 mm (突起部含まず) 30× 100× 5 mm 30× 66× 6.7 mm (電極含まず) 31× 164× 7.5 mm (電極含む) 39.6× 32.6× 7.7 mm (電極含まず) 47.1× 74× 8.4 mm (電極含む) 39× 31× 7.8 mm (電極含まず) 48.8× 84× 8.5 mm (電極含む)

重量25 g (電池含む) 12 g (電池含む) 15 g (電池,電極含む) 13 g本体再使用○ × (販売業者で充電,

メンテナンス) × ×

電池リチウム一次電池× 1

(CR2450)リチウムポリマー二次電池× 1(内蔵)リチウム一次電池× 1

(CR2032を内蔵)リチウム一次電池× 1

(CR2032を内蔵)

記録時間最大14日間最大7日間最大24時間最大7日間最大14日間記録メディア内部フラッシュメモリ内部フラッシュメモリ内部フラッシュメモリ内部フラッシュメモリチャンネル数双極1ch双極1ch双極1ch双極1chサンプリング周波数125 Hz 256 Hz 125 Hz 250 Hz

体位・体動× ○ 3軸加速度センサ○ 3軸加速度センサ○ 3軸加速度センサイベントボタン○ × ○ ○

防水IPX6/IPX8 IPX4/IPX7 IP66/IP68 IP44 IP57

電極外付け一体型(粘着剤,ドレッシング

フィルムを使用)一体型一体型

波形確認方法ビューアソフト

(Bluetooth ®) ― LEDレベルメータービューアソフト/ビューアアプリ(Bluetooth ®)

解析解析装置/解析ソフト1外注(郵送)

2AI解析外注(郵送) AI解析ソフト(AT-report)

PDFで病院での保存可能可能可能可能

メーカーのデータの保存期間医療機関で保存0.5年14日間(バックアップ期間は

最長2年)医療機関で保存

耐用期間6年3年2年1年使用期限―出荷後1カ月製造後2年製造後1年

その他・AI解析はAFに特化・1台1検査で単回使用・解析レポートは専用サイトで受け渡し.・解析レポートは専門医による不整脈判読結果を含む

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メーカーデュランティスフィリップス豊田通商ココロミル東レ・メディカル製品名gram ® ePatch ® LOTUS HEART ® eclat ® hitoe ®

外観

発売2023年1月2023年7月2024年4月2024年8月2018年1月製造販売デュランティスフィリップス・ジャパンハマダココロミル心電計:パラマ・テック

ウェア電極:東レ・メディカル

製造宮古マランツBraemar Manufacturing,

LLC(アメリカ)ハマダ宮古マランツ―

サイズ(W× H× D) 163× 33× 14.5 mm 40× 49× 12 mm 63× 33× 14.5 mm 45× 150× 14 mm心電計: 58.5× 17.5× 38.5 mmウェア電極: S,M,L各サイズ

重量約19 g(電池含む) 20 g約25 g(電池含む)約15 g(電池含む)約31 g本体再使用× ○ ○ × ◯

電池リチウム一次電池× 1

(内蔵)バッテリー(内蔵,USB充電)リチウム一次電池× 1

(CR2450)リチウム一次電池× 1

(内蔵)リチウムポリマー二次電池× 1(内蔵)

記録時間最大7日間最大10日間最大7日間最大7日間最大14日間記録メディア― ―内部フラッシュメモリ内蔵メモリ内部フラッシュメモリ

チャンネル数双極1chパッチ型電極: 5日間双極2ch, 10日間双極1ch双極1ch双極1ch 1ch(CC5)サンプリング周波数250 Hz 256 Hz 250 Hz 250 Hz 125 Hz

体位・体動― ― ― ― ◯ 3軸加速度センサイベントボタン× ○本体中央を2回叩く本体にはないが,ペアリングしているスマー

トフォンで入力可能― ◯

防水IP57 IPX4 IPX4 ◯ IPX2電極一体型外付け(パッチ型)外付け一体型外付け(専用ウェア電極)波形確認方法― ―ビューアアプリ(Bluetooth

®接続) ―ビューワーソフト

解析外注(クラウド) AI解析ソフト(Cardiologs Platform)外注(クラウド)外注(クラウド) 1外注2AI解析PDFで病院での保存可能可能可能可能可能

メーカーのデータの保存期間5年永久5年5年0.5年(解析前の元データは2年)耐用期間―充放電300回または2年3年― 5年(心電計)使用期限2年2年― 2年包装の使用期限欄に表示

(ウェア電極)

その他・1台1検査で単回使用・検査キットは医療機関の依頼によりフィリップスから発送,患者自身で装着可能・AI解析のAF検出精度98.5%・HRV やQTc,CVHRが計測可能・スマートフォン上で波形確認可能・記録データはリアルタイムでクラウド管理・検査終了後,即解析開始可能・電極脱着式により患者負担軽減・1台1検査で単回使用・通常の衣類と同様に着脱可能・ウェア電極は家庭で洗濯可能

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3.手操作心電計(Handheld ECG Devices) 1)本体を手で胸部に押し当てるタイプ(Conventional handheld ECG Devices)

手操作心電計は持ち運びが容易で,それを患者自身が必要に応じて手や胸に押し当てて心電図を記録するため,非侵襲的で患者の負担が軽い.一般消費者向けの名称は「発作時心臓活動記録装置」である11).これまでは携帯型のイベント心電計または非ループ式イベントレコーダ等の呼称がよく用いられてきたが12), 13),最近では,ほかの心電計との違いを明らかにするため,手操作心電計と呼ばれることが多くなった.手操作心電計は2005年頃に登場し,変遷はあるものの現在は数社が販売している.単体で用いるもの,スマートフォンと併せて用いるもの(次項参照),複数誘導を同時記録できるもの,パソコンやクラウドへ送信して解析するもの,解析サポート機能が付いているものなど,さまざまなタイプがある.単体で用いるものとして,オムロン社製のHCG-801 ®とHCG-901 ®が頻用されているが,ほかにも多くの機器が販売されている.

主な適応は,不整脈や虚血性心疾患等の症状を患者が自覚している場合である.とくに発生頻度が月数回前後と高くない場合に有用性が高い.心房細動スクリーニングにおいて手操作心電計と24時間ホルター心電計を比較したメタ解析では,手操作心電計による計19分の記録がホルター心電計に匹敵した14).心臓神経症のように有症候でも循環器疾患ではない状況の証明に用いることもできる7).無症候でも,朝と夕の1日2回記録のように記録タイミングを大まかに指定することで,無症候性の不整脈の検出にも有用となりうる.

一方,心電図記録の精度は高く簡便に繰り返し記録できるが,1回あたり約30秒に限られること,特別な装置を除き通常は誘導が1チャンネルに限られること,入眠中や入浴中のような状況では記録できないこと,原則として被検者自身による記録で第三者による記録が難しいこと,植込み型心臓デバイス患者には使用不可であること,MRI撮像下での併用はできないこと等,手操作心電計が有用となる臨床場面には限界があることを理解しておく必要がある.

診療報酬としては,「D208心電図検査」の「3 携帯型発作時心電図記憶伝達装置使用心電図検査」として1回の診療につき心電図記録数に関わらず150点を算定できる.ただし,入院中の患者以外の患者に対して,携帯型発作時心電図記憶伝達装置を用いて心電図を記録させた場合に算定が認められる.なお,装置が厚生労働省から保険適用できる医療機器としての認証(特定保守管理医療機器)を得ていない場合(Apple Watch ®が該当)には算定できないことに留意が必要である. 2)スマートフォンを利用したタイプ(Handheld-Based ECG Devices using Smartphone)

心電図の記録,保存にスマートフォンを使用して行う手操作心電計として,オムロン社の携帯型心電計HCG-8060T ®(欧米ではAliveCor 社のKardiaMobile ®6L),HCG-8010T1 ® がある.本機器を使用するには,まず,スマートフォンに専用アプリ(OMRON connect)をインストールする.HCG-8060T ®による心電図記録は両手を心電計の両端におき1誘導のみ記録する方法(図1)と,本体表面の電極に親指を当て,裏面を左足に密着させ,疑似的に6誘導心電図波形を算出する方法がある.心電図波形はBluetooth ®によりスマートフォンに表示され,最低30秒間の記録で自動解析結果が示される.波形はPDFで出力され,印刷やメール送信も可能である.診図1 スマートフォンを使用した手操作心電

計による心電図記録

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p.9
療報酬としては,「D208心電図検査」の「3 携帯型発作時心電図記憶伝達装置使用心電図検査」として請求でき,留意点は「1)本体を手で胸部に押し当てるタイプ」の項で記載した通りである.

欧米では以前からKardiaMobile ®6Lの使用が可能であり,心房細動検出やQTc間隔においてその精度を評価した過去の報告では15)~20),専門医が読影した12誘導心電図の結果と比較し,本機器の自動解析結果による心房細動検出は感度96.6%,特異度94.1%,κ係数は0.89であった15).また,本機器の6誘導心電図波形とほかのスマートウォッチタイプの心電図波形の比較において,心臓専門医の解釈では心房細動検出の点において本機器の方が優れていた17).さらに,65歳以上の患者において本機器による週2回の心電図検査による心房細動スクリーニングと通常の外来フォローアップでの1年間の心房細動検出率を比較したところ,本機器のほうが約4倍高いことが示されている21).

現在,日本で使用可能な本体を手で胸部に押し当てるタイプとスマートフォンを利用したタイプの心電計を表3に示す.

4.スマートウォッチを使用した心電図記録(Smartwatch ECG Devices)

近年,装着型心電計が普及するようになったが,時計(スマートウォッチ)を用いた心電図装置はその代表といえる.これ以外にも,ネックレス型,ブレスレット型,眼鏡型,指輪型,Tシャツ型など,様々なタイプがある.不整脈の発作回数の少ない患者では,常に携帯型心電計を持ち歩くことはできず,スマートウォッチは習慣的に身に付けることができるため,記録のタイミングを逃さない点でメリットとなる.一方で,装着の具合や体動によるノイズの影響は装着型心電計に共通したデメリットとなっている.重要なことは,スマートウォッチで記録した心電図は,あくまでも不整脈診断の補助としてしか活用できず,この記録のみで不整脈を診断してはならないということである.このように,スマートウォッチを用いた心電図の記録精度は通常の心電図検査と同等ではない.その理由として,スマートウォッチではフォトプレチスモグラフィー(後述)を用いて心電図を表示していることによる.

現時点で日本において家庭用医療機器プログラムとして使用可能なのは,Apple Watch ®の心電図アプリケーションのみである(図2).Apple Watch ®はiPhoneとペアリングして動作するApple社製のスマートウォッチであり,能動的に自分の腕で心電図記録ができる家庭用心電計プログラムを搭載している22), 23).座位で竜頭を触ると,心電図検査のI誘導に類似した波形を記録し,洞調律,心房細動,高心拍,低心拍,判定不能の5つに分類して表示する.不整脈としては特定範囲の脈拍数を有する心房細動だけを検出することになる.多くのユーザーにとって,自身で心電図を記録するのは初めての体験であり,ノイズが判定に影響することも多く,表示された結果が必ずしも正しいとは限らないことを認識すべきである.記録した心電図はPDFとして出力できるため,後日,専門医に読影してもらうことは可能である.また,記録時に症状も登録できるため,表示された結果と症状との因果関係を解明することにも活用できる.

5.心電計付き血圧計(ECG Devices based on Sphygmomanometer)

血圧計のなかには,血圧と同時に心電図を記録できる機器がある.オムロン社製の心電計付き上腕式血圧計HCR-7800T ®シリーズがそれに該当する(図3).この一般的名称は,自動電子血圧計/発作時心臓活動記録装置/発作時心臓活動記録装置用プログラムであり,医療機器クラス分類は管理医療機器である.

一回の記録は30秒間であり血圧測定中に終了する.記録結果は,正常な洞調律,徐脈,頻脈,心房細動の可能性,分類できません,解析できません,の6つのカテゴリーとなっている.本機器の心房細動検出精度は,

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感度96~98%,特異度は86~96%と高い24)~26).

診療報酬としては,「D208心電図検査」の「3 携帯型発作時心電図記憶伝達装置使用心電図検査」として請求でき,留意点は「1)本体を手で胸部に押し当てるタイプ」の項で記載した通りである.そのため受診の際には,対応するスマートフォンとスマートフォンアプリ「OMRON connect」をインストール(アプリ上に心電図が記録されるため)し,医師との情報共有を行う必要がある.また,医師は記録された心電図波形で心房細動を確認した場合,心房細動と確定診断してよい.

表3 携帯型の手操作心電計の種類(2024年8月時点)

メーカーオムロンヘルスケアパラマ・テック製品名オムロン携帯型心電計HCG-801 ®オムロン携帯型心電計HCG-901 ®オムロン携帯型心電計HCG-8060T ®オムロン携帯型心電計HCG-8010T1 ®オムロン携帯型心電計HCG-9010U ®携帯心電計EP-501

外観本体おもて面

本体うら面

一般的名称発作時心臓活動記録装置発作時心臓活動記録装置本体質量約130 g(電池含む)約140 g(電池含む)約24 g(電池含む)約130 g(電池含む)約90 g外形寸法121× 67× 24 mm 30× 90× 7.4 mm 83× 53× 30 mm 120× 15× 58 mm

電源DC 3 V(単4形アルカリ乾電池× 2個) DC 3 V(リチウム電池CR2016×1個) DC 3 V(単4形アルカリ乾電池× 2個) DC 3.7 V(リチウム充電)

DC 5 V(専用AC)

誘導方式とチャンネル数双極1(V4相当推奨)双極1(V4相当推奨)

外部電極あり1誘導:双極1 6誘導:双極3/単極3双極1双極1(V4相当/I推奨)

外部電極あり

記録時間30秒30秒, SDカード:30/60/ 90/120/150/180秒30秒, 1/2/3/4/5分30秒30/60/90/120/ 150/180/210/240/ 270/300秒または連続通信方式― USB Bluetooth ® LE USB 2.0 Wi-Fi/USB

表示グラフィック液晶,モノクロスマートフォン専用アプリ使用心電図管理/判読

支援ソフトカラー液晶2.8 inch

記録件数5件(本体メモリ)

300件(SDメモリカード) 15件(本体メモリ)

300件(SDメモリカード)スマートフォンアプリ内の保存限界10件(本体メモリ)スマートフォンアプリ内の保存限界100件(本体メモリ) 500件(μSDメモリカード)

電池寿命約400回記録約12ヵ月使用約400回記録約500回記録

リズム解析心拍(速め/遅め),拍動乱れ,波形乱れ,乱れなし,解析不能自覚症状有無,イベント検出有無,解析不能(ノイズ/記録中断など)正常洞調律,徐脈,頻脈,心房細動の可能性,分類不能,解析不能心拍(速め/ 遅め),拍動乱れ,波形乱れ,乱れなし,解析不能〈心電図管理ソフト〉

心拍(速め/遅め),拍動乱れ,波形乱れ,乱れなし,解析不能〈判読支援ソフト〉波形の変化情報を詳細に表示正常,心拍(速め/遅め),心拍の乱れ,波形の乱れ

リズム以外の

測定項目心拍数心拍数,RRトレンド

支援ソフト心電図印刷ソフトHCG-SOFT-2(Win)判読支援ソフトHCG-SOFT-CL1

(Win)スマートフォン専用アプリOMRON connect

(iOS/Android)心電図管理ソフトHCG-SOFT-3(Win),

判読支援ソフトHCG-SOFT-CL2

(Win)専用ビューアソフト

備考・サンプリング125 Hz・心拍計測範囲2-200/分・サンプリング125 Hz・心拍計測範囲40-200/分・AliveCor社開発・サンプリング300 Hz・心拍計測範囲30-300/分・サンプリング125 Hz・心拍計測範囲30-200/分・サンプリング250 Hz・MFER形式採用

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心房細動の新規発症の発見に役立つ25)のみならず,心房細動治療後の再発管理にも有用である26).従来通りのモニタリング方法(12誘導心電図やホルター心電図など)より家庭で実施可能な心電計を用いて検出機会を増やすことで,再発を早期に検出し,適切な治療を開始する機会が増える.このような家庭で実施できる心電計の課題は偽陽性であるが,原因は主に心電図基線の揺れと心房期外収縮であることが多い24).

6.フォトプレチスモグラフィーによる脈波記録

フォトプレチスモグラフィー(photoplethysmography:PPG)は,発光ダイオード(LED)と光検出器を使用して,血液量の容積変化を測定することで心拍に伴う脈波の情報を得るものであり,スマートフォンやスマートウォッチなど,さまざまな携帯型/装着型心電計に搭載されている.PPGは脈拍のパターンをリアルタイム

いずれも150点の算定が可能な特定保守管理医療機器.

メーカー三栄メディシスSIMPLEX QUANTUM LifeWatchTechnologies製品名ヘルスモニターCheckme Pro XヘルスモニターCheckme Pro B ADVヘルスモニターCheckme Lite ADVヘルスモニターCheckme ECG ADV心電くんカードガードCG-2100

イベントレコーダー

外観

一般的名称発作時心臓活動記録装置/

パルスオキシメータ/

皮膚赤外線体温計発作時心臓活動記録装置/パルスオキシメータ発作時心臓活動記録装置発作時心臓活動記録装置伝送式携帯型心電計

本体質量約68 g約60 g約120 g約55 g外形寸法88× 56× 13 mm 198× 30× 39 mm 105× 55× 8 mm

電源DC 3.7 V,560 mAh (充電式リチウムイオンバッテリー,AC 100-240 V,50/60 Hz,2 Wh) DC 3 V

(単3形アルカリ乾電池

× 2個) DC 3 V(リチウム電池

CR2032× 2個)

誘導方式とチャンネル数双極1(I/II推奨)

背面電極数2双極1(I/II推奨)

背面電極数1双極1(I/II推奨)双極1

記録時間30/60/90秒30/60/90/300秒/ 8時間(誘導コード) 30/60/90秒30秒32秒通信方式Bluetooth ® LE/USBケーブルLTE心電図自動解析センター

との送受信表示モノクロタッチスクリーン2.7 inchカラータッチスクリーン2.4 inchカラー液晶

1.28 inch

記録件数100件(30秒の場合)制限なし1件電池寿命―約120回記録約1,500時間(約2,000回記録)リズム解析正常,頻脈,徐脈,不規則,解析不能正常,心拍の乱れ(頻脈,徐脈,不整)リズム以外の

測定項目心拍数,QRS幅,QT/QTc,STレベル, SpO2(心電オキシアダプタ等併用で8時間

連続),体温,歩数心拍数,QRS幅,STレベル(誘導コード),

SpO2心拍数,QRS幅,STレベル(誘導コード)心拍数,LFHF(aLF/

aHF比)心拍数,RR,PR,QRS幅,STレベル,QT/QTc

支援ソフトチェックミービューア(Win/iOS/Android/Cloud)心電くん(iOS/Android/Web)

備考・サンプリング500 Hz・経皮的動脈血酸素飽和測定35点,終夜100点を算定可・被検者以外による記録可能(チェックユー)・サンプリング500 Hz・経皮的動脈血酸素飽和測定35点・終夜100点を算定可・サンプリング250 Hz・経皮的動脈血酸素飽和測定35点を算定可・サンプリング250 Hz・サンプリング600 Hz・生体データ解析AIクラウドAssistMedica研究支援クラウドサービスあり・通信方式:スマートフォン専用アプリ経由・表示:ハートケア心電図サービス

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でモニタリングし心拍変化を検出できるため,不整脈の早期スクリーニングを可能にする.心房細動の検出にPPGを用いたメタ解析(7,623例の評価)ではPPGの感度,特異度のプール推定値は,それぞれ94.7%,97.6%である27).現在,様々なスマートウォッチが市販されており,搭載されているPPGの評価で心房細動を検出する研究報告がApple Watch ®,Huawei Watch ®などを用いて示されている28), 29)(II章-6とV章-1を参照).日本において薬事認証を得ているPPG搭載携帯型機器としてはアイエイド®2があり,検出した脈波から換算した脈拍数の連続データを24時間オンラインで確認できる機能を有するが,不整脈検出のプログラムは搭載されていない.一方,Apple Watch ®には,家庭用心拍数モニタプログラムとして承認された以下の2つのプログラムが搭載されている.Apple Watch ®自体は医療機器ではないため,ユーザーと医療従事者は,機能の限界を認識して活用する必要がある. 1)不規則な心拍の通知プログラム

Apple Watch ®が収集した脈拍の変動が心房細動らしいか否かを判断する,家庭用心拍数モニタプログラムである30).この通知の臨床的有用性は,米国の臨床研究Apple Heart Studyで評価され,無症状や未診断の心房細動の診断につながることが示された28).アプリケーションの機能は,脈拍の変動が心房細動らしいか否かだけを判断するものであり,“診断”と同義ではない.したがって,ユーザーはあくまで医療に補助的に活用するにとどめるべきであることを認識するべきである.添付文書にも明記されているように31),アプリケーションの判断だけをもとに,医療従事者およびユーザーが不整脈を診断したり,治療を含めた医療行為を行ったりしてはならない. 2)心房細動履歴プログラム

脈拍データの分析により心房細動が示唆されるエピソードの時間を特定し,Apple Watch ®の着用時間に対しての時間の割合を推定値として通知するプログラムである32).本プログラムが使用可能なのは,診断の確定した心房細動患者である点に注意が必要である.7日ごとに推定値を生成して表示するため,いわゆる“AF burden”の評価の参考情報となりうるが,診断と同義でないことは前項と同様である.

PPGは心房細動をリアルタイムかつ継続的に検出するための有用なツールになりうるものの,心房細動検出機能を持ち薬事承認を得たデバイスはないため,スクリーニング陽性患者に対しては,1つの誘導の30秒以

図2 Apple社の心電図アプリケーションに

よる心電図記録図3 心電計付き血圧計による血圧と心電図の同時記録

〔提供:オムロンヘルスケア(株)〕

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上の心電図記録か,12誘導心電図で医師が心房細動を確認して,はじめて心房細動の確定診断となる12). PPGがより実用的なものとなるために,モーションアーチファクトを除去するための信号処理手法や,解釈可能な機械学習モデルの開発,データアノテーションの自動化など,継続的な努力が必要である33).

7.オシロメトリック法による脈波記録

家庭用のデジタル自動血圧計にはオシロメトリック法による不規則脈波検知機能が付帯されている.オムロン社製のHEM-907 ®では心房細動検出の精度は感度95.5%,特異度96.5% 34),同社製のBP785N ®では感度100%,特異度84.8% 35),エー・アンド・デイ社製のTM-2441 ®は感度100%,特異度79% 36),日本精密測器社製のWS-X10J ®では感度100%(点灯/点滅),88.3%(点滅),特異度74.8%(点灯/点滅),94.6%(点滅)

37)と

報告されている.心房細動検出アルゴリズム(AF Detector)としての機能を有するMicrolife社製のWatchBP ® Home A(日本未発売)の精度を通常の心電図と比較したメタ解析の感度,特異度のプール推定値は,それぞれ95%,94%であった38).

オシロメトリック法による不規則脈波検知機能は,日本においては薬事承認・認証を得ていない.そのため, PPGと同様に診断に使用することはできない.しかし,1つの誘導で30秒以上の心電図記録を行うか,もしくは医師が12誘導心電図で心房細動を確認して,はじめて心房細動と診断することができる35).心房細動の場合,脈拍間隔と脈拍強度は拍動ごとに変化するため,頻脈性心房細動に限ると,平均脈拍間隔から計算されるpulse rate(PR)とheart rate(HR)の相関は弱くなる.これは,頻脈性心房細動時には脈拍強度の変動が大きくなり,その結果,脈拍が検出できなくなるからである.したがって,頻脈性心房細動では心房細動を検出する能力が低下する可能性があることに留意しておくべきである.

最後に,本章で解説した携帯型/装着型心電計の概要,適応,保険償還の有無などを表4にまとめた.それぞれの機器の利点や制限を理解して使い分けることが重要である.

III.携帯型/装着型心電計のデータ保管とセキュリティ1.心電図波形のデータ保管1)デジタルデータとしての心電図

心電図は従来アナログな信号を紙に記入するものであったが,近年はデジタル心電計が多く,データをデジタルに保管できる.アナログな従来の12誘導心電図と異なり,デジタル心電計の心電図はI,II誘導から合成された肢誘導6誘導と,V1~V6の胸部誘導からなり,各誘導において一定のサンプリング間隔(1~ 2 msec程度)と一定の分解能(0.3~5 μV程度)で記録された波形情報で構成されている.この波形情報は時系列データであり,各誘導における(時間×電位高)の行例である.一般的な10秒程度の標準12誘導心電図記録は,各メーカーの心電計では20 kB程度のデータ容量であり,後述するMFERに変換しても80~90 kB程度となることが多い. 2)心電図データの保存

心電図データには波形情報だけではなく,PQ時間などの計測値から,各社の自動解析結果としての診断や医師の判定結果,ミネソタコード,検査情報や患者情報などのメタ情報など多種の情報が含まれる.

心電図波形をデジタルで保存するという試みは古くからあったが,各心電計メーカーが各々独自のフォーマットで保存し,各社のデータの互換性がなかった.そこで日本では医用波形標準化記述規約(Medical

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表4 携帯型/装着型心電計の機能と特徴のまとめ概要利点制限適応保険償還

リード付き携帯型

心電計古典的・標準的ホルター心電計.リード線一体型電極を胸部に装着し,本体に接続する. 12誘導心電図も記録可能である.遅延電位(LP)や再分極指標(TWA/ TWV)を解析できる.12誘導心電図を用いれば,QT間隔およびその指標も計測できる.ブルガダ型心電図波形の検出や虚血性ST-T評価もできる.簡素化されたとはいえ,大がかりである.解析装置が必要である.心房細動を含む,すべての不整脈を確定診断できる.保険償還されている.

貼付型心電計皮膚に直接貼り付けて長時間心電図を記録する.電極は内蔵されている.長時間(最大14日間)の連続記録が可能である.患者の忍容性も高い. 1誘導しか記録できない.少ないながらも,皮膚トラブルがある.動悸や失神を訴える患者の原因精査.心房細動スクリーニング.保険償還されている.

着衣型心電計電極を組み込んだ専用ウェアを,心電計と組み合わせて使用する.測定中でも通常の衣類と同様に着脱して入浴することが可能で,皮膚トラブルも少ない.ウェアを脱いでいる時間は,心電図を記録できない.動悸や失神を訴える患者の原因精査.心房細動スクリーニング.保険償還されている.

手操作心電計必要時に,患者が装置内蔵の電極を手や胸に押し当てて心電図を記録する.いつでもどこでも簡単に心電図が記録できる.診察時にも使用できる.間欠的かつ短時間の心電図しか記録できない.動悸の原因精査.心房細動スクリーニング.外来通院中の場合は,医師の指導のもとであれば150点算定可能.

スマートフォンを使用した心電計心電図の記録,保存にスマートフォンを使用する.両手の指を心電計の両端に接触させ,心電図を記録する.家庭で心電図記録ができる.足に密着させることにより,疑似的6誘導心電図波形を表示できる.間欠的かつ短時間の心電図しか記録できない.動悸の原因精査.心房細動スクリーニング.外来通院中の場合は,医師の指導のもとであれば150点算定可能.

スマートウォッチを

使用した心電計スマートフォンとペアリングさせて使用する.手首に着けている間,脈拍を測定し続ける.座位で竜頭を指に接触させることで,心電図類似の波形が記録される.着けているだけで脈拍が測定できる.間欠的かつ短時間の心電図しか記録できない.動悸の原因精査.心房細動スクリーニング.保険償還されていない.

心電計付き血圧計血圧計と心電計が一体化された機器.カフを巻いて,血圧測定中に本体の電極に両手の指を接触させることで,心電図が記録できる. 1台で血圧測定と心電図記録が同時にできる.間欠的かつ短時間の心電図しか記録できない.動悸の原因精査.心房細動スクリーニング.外来通院中の場合は,医師の指導のもとであれば150点算定可能.

フォトプレチスモ

グラフィー血液の容積変化を測定することで,心拍に伴う脈波の情報を得る.様々なウェアラブルデバイスに搭載されている.着けているだけで脈波が測定できる.心電図は記録できない.心房細動スクリーニング.保険償還されていない.

オシロメトリック法家庭用血圧計に付帯された不規則脈波検知機能.血圧測定時に不規則脈波(不整脈)が検出できる.心電図は記録できない.心房細動スクリーニング.保険償還されていない.

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waveform Format Encoding Rules:MFER)が2007年に発行され,その後2015年に国際標準規格となった39).

MFERは医用波形に特化した規格で,解析データやメタ情報と波形を格納し,またホルター心電図や脳波なども記述可能である.仕様が完全に公開されViewerも配布されているため,誰でも復元・解析でき,臨床や研究での利用が容易である.ほかの心電図波形の標準規格としてはSCP-ECG,FDA XML,DICOM waveform等があり(表5),これらの標準規格は施設間やメーカー間でのデータの共有を可能とし,臨床,研究の両面で利点が大きいが,各メーカーのシステムに最適化された独自規格に比べてメーカー側に利点が少ないためか,普及しているとは言いづらい. 3)携帯型や植込み型心臓デバイスのデータ保存

携帯型や植込み型心臓デバイスの心電図も基本的には各社の独自フォーマットで保存され,PDF形式に書き出されて病院の電子カルテや遠隔モニタリングウェブサイトに送信されている.PDFなどの画像は人間が目視で確認することには適しているが,データを活用するには適していない.これらのデバイスの多くは, Application Programming Interface(API)を用いることで,心電図およびその他の数値データをMFERやHealth Level Seven(HL7)などの規格で施設のデータベース等に取り込んで保存することが可能であり,データ活用が容易となる. 4)研究活用のための心電図データ保管

前述のように,心電図データはいまだ各社の独自データ形式で保存されているケースが多い.これは各社内でのデータ活用には適しているが,互換性がないため,多施設研究などの用途で問題となることがある.各社が準備しているソフトウェア等を活用し,MFERでの保存を行うことで,多施設での研究にデータを活用することができる.

日本循環器学会では2015年に,JCSデータ出力標準フォーマットガイドライン(SEAMAT:Standard Export datA forMAT)を作成し,その中で心電図を含むデータの出力方式を定めた40).SEAMATではSS- MIX2に基づいたデータ格納構造で心電図の計測項目やメタ情報を出力することが取り決められており,波形情報に関してはMFERなどのデータをその中に取り込むことが定められている.SEAMATは今後の循環器系データ通信の標準として使用される可能性が高く,対応を検討することが望ましい.

表5 各データフォーマットの特徴

フォーマットの種類Binary or XML利点欠点各社独自フォーマットBinaryデータの収集や選別がしやすい.他社のデータを利用できない.

MFER波形部Binary属性情報XML 12誘導心電図だけではなく,ホルターや脳波などでも活用可能.欧州で一部製品,研究で使われているが,主に日本で利用されている. SEAMATデータはSS-MIX2形式のXMLで,波形はMFERで保存.心電図だけではなく多様なデータを収集可能.欧州で一部製品,研究で使われているが,主に日本で利用されている. FDA XML XML XML形式のため,波形の解析が簡単.日本のメーカーは対応していな

い.

DICOM waveform Binary超音波やCTなどの画像系データと情報がリンクしていため,同時に研究可能.日本のDICOMメーカーで対応しているベンダーは少ない.

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2.心電図データのセキュリティ1)セキュリティとプライバシーの関係性

情報技術によるデジタルトランスフォーメーションが進む一方で,医療現場において適切に活用されるためには,解決すべき課題もある.情報通信技術(Information and Communication Technology:ICT)を用いた臨床活動は,医療機関内もしくは医療機関外で作成・保存された医療情報が,情報ネットワークを介して共有されるため,サイバーセキュリティおよび個人情報保護への対策が必須となる.

携帯型/装着型心電計の一つの例として,Silva-Trujilloらは,既存の4つの報告を統合し,盗聴,トラフィック解析,情報収集,改ざん,なりすまし,サービス拒否,リプレイ攻撃,ネットワークプロパティに基づく攻撃,悪意のあるコード,フィッシングなどの攻撃例があることを報告している41).これらの対策は必要であるが,費用やメモリー・計算能力の限界・バッテリーなどを考慮し,完璧に対応することが難しいため,組織および事業者はセキュリティを「階層的に」(例:ユーザーがパスワードを漏洩しても,アクセスできるデータが限定されているなど)設計する必要があるとされている42).医療情報を狙ったサイバー攻撃の事例は年々増加しており,WannaCry 43),Petya 44),LockBit,Emotet,Elbieなど45)のランサムウェアを含むマルウェアの医療情報システムへの感染に対する脅威への対策が必須となる.また,ウェアラブル端末は盗難によって個人情報やプライバシーが流出する危険性に対し,ユーザー自身が注意を払う必要がある. 2)医療情報システムのセキュリティに関するガイドライン・ガイダンス

日本における医療情報システムにおいては,事業者ガイドラインと医療者ガイドラインからなる,いわゆる「3省2ガイドライン」(経済産業省・総務省「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」

46)と厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」47)の総称)に

従うことが基本である.また「医療・健康分野における行動変容を促す医療機器プログラムに関する開発ガイドライン2023(手引き)」

48)のサイバーセキュリティに関連する記載も参考になる.臨床現場で医療情報システ

ムを使用する際には,医療機器の開発ならびにサービスの提供事業者と,それを使用する医療従事者の双方が互いに協力して安全管理に当たることが求められる. 3)個人情報保護

心電図は個人情報もしくは電子化された個人データであることから,それを利活用する場合には法制度に則った個人情報保護体制を整備する必要がある.日本ではじめての個人情報の保護に関する法律,すなわち個人情報保護法が2005年に全面施行されるなかで,電子化が進み,利活用が加速した.さらに,2017年と2022年にも改正個人情報保護法が施行された49).また,医療分野における特別法である次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)が2018年に施行され,改正次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律)が2024年に施行された50).ただし,その解釈にはやや流動的な部分があり,特に医療情報の二次利用に関しては配慮が必要である.なお,医薬品・医療機器開発における情報の利活用の際や,臨床試験における患者情報の取扱いに関しては「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」

51)等の規定や追加的な侵襲・介入を伴わない既存の医用画像デー

タ等を用いた診断用医療機器の性能評価試験の取扱いについての通知(薬生機審発0929第1号)

103)など,関連

するガイダンス等に従う. 4)管理の実際

心電図記録装置の臨床上での管理においては,現時点における情報セキュリティおよび個人情報保護対策の実状と課題を医療従事者が適切に理解することが重要である.さらに,これらの課題と有益性について適切心電図 Vol. 44 No. 4 2024 290
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な説明・インフォームドコンセント・共同意思決定が患者に対して必要となる.事業者との協力する安全管理の中で,セキュリティおよびプライバシーに関する技術革新のみならず,規制・規制緩和の両面における急激な変化に迅速に対応する必要がある.特に心電図データ単体での利活用に加えて,そのほかの診療データや日常の活動データなどと組み合わせて利活用する事例が増えると,より個人を識別されるリスクが高まることから,セキュリティ対策に関して十分な配慮が求められる.また,心電図に限らず,情報セキュリティ対策を十分に行うことが難しいウェアラブル端末や在宅設置のIoT機器を患者等に貸し出す際には,機器に異常や不都合が発生した場合の問い合わせ先や医療機関等への連絡方法についても,患者等に情報提供する必要性が厚労省のガイドライン47)でも言及されている.

最後に,本章で解説した携帯型/装着型心電計によって得られたデジタルデータの保管と管理の概略を図4にまとめたので参考にしてほしい.

IV.植込み型ループ式心電計(ILR)との使い分け1.ILRの機能と精度1)ILRとは

ILRは前胸部の皮下に植込み,心電図を持続的にモニターすることで,頻度的に長時間心電図でも検出が困難な発作時の心電図を記録することが可能な機器である.日本では,原因不明の失神と潜因性脳梗塞における

デジタルデータ保管

情報ネットワークでの活用を前提とした,サイバー攻撃からの保護

心電図は個人情報を含むデータと認識した,法制度に則った個人情報保護

心電図データ利活用における適切な説明と同意の取得

ウェアラブル端末などloT 機器利用時における,不具合発生時の連絡方法の情報提供

(主データ)心電図波形情報

(副データ)

メーカー独自フォーマット

標準化フォーマット

自動解析結果・患者情報などデジタルデータ管理

(時間× 電位高)の行列

からなる時系列データサイバーセキュリティ

個人情報保護

インフォームドコンセント

情報提供

テキストデータ

MFER SEAMAT FDA XML DICOM waveform

データ形式データ保護

データ保管フォーマットデータ管理

図4 デジタルデータの保管と管理

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潜在性心房細動検出目的の2つで保険適用となっている.

植込みは局所麻酔を用い,専用の植込みツールを用いて皮下に植込む,低侵襲で簡単な手技である.メーカーによって多少異なるが,図5のように,通常は左傍胸骨左縁から鎖骨中線の第3肋骨弓から第6肋骨弓(第4から5肋間)に植込まれる.

患者自身がイベント記録を行わなくても,あらかじめ設定された心拍異常(徐脈,心停止,頻脈,心房細動など)が発生した場合には,自動的に心電図が保存される.定期チェックのための通院の時だけでなく,遠隔モニタリングも可能なので,早期の原因疾患の同定が有用である.合併症としては,植込み後の疼痛,局所の出血,血種,表在性感染,デバイスの移動があるが,頻度は少ない.植込み後は,患者自身が症状出現時にイベント記録を行うことが可能で,その場合,数分前にさかのぼり心電図が保存される. 2)原因不明の失神の診断

失神の診断は非常に難しく,各種検査を行っても約半数は失神の診断がつかなかったとの報告もある52).失神の原因は大きく,反射性,起立性低血圧,心原性に分類されるが,心原性失神は予後が悪いため,早期診断が重要である53).PICTURE試験では,平均3人の専門医を受診し,13種類の検査を行っても診断に至らなかった反復性失神の症例にILR植込みを行った.植込み後1年時点で38%に失神の再発があり,78%がILRによる診断がつき,そのうち75%が心原性失神であり,人工ペースメーカや植込み型除細動器の植込み,カテーテルアブレーションなどの治療が行われた54).ILRの49研究,原因不明の失神患者4,381名でのメタ解析では,追跡期間中央値365日で全体的な診断率は43.9%で,診断までの期間は,30~600日(中央値134日)で不整脈原性失神は26.5%(心室不整脈:2.7%,上室不整脈:4.9%,徐脈性不整脈:18.2%)であった54).

ILRと従来の診断的検査を比較する無作為化臨床試験のレビューでは,ILR群と標準評価群の参加者の間で長期死亡率に差がなかったが,ILR群の参加者は標準評価群の参加者よりも長期(12~20ヵ月)の診断率が高いことが示された55).

「2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」

12)では,1心原性失神を疑う臨床的特徴

を有するが,包括的な評価でも失神原因を特定できないか,特定の治療法を決定できなかった場合や2心原性失神を疑う臨床的特徴はないが,反射性失神あるいは起立性低血圧などの非心原性失神であることが否定的で,発作が不定期,あるいはまれな原因不明の再発性失神患者の場合は,ILRがクラスI適応となっている.ほかのガイドラインと比較すると,American Colledge of Cardiology/American Heart Association/Heart Rhythm Society(ACC/AHA/HRS)のガイドライン(2017)

56)では,ILRのクラスI適応はなく,不整脈原性を

疑う場合はクラスIIaと,大きなくくりとなっている.一方,ESCのガイドライン(2018)

57)では,1原因不明

の失神が再発し,ハイリスク基準がなく,装置の電池寿命内に再発する可能性が高い患者,2失神の原因が証明されず,治療にも至らず,植込み型除細動器またはペースメーカの適応がない高リスク基準の患者ではクラスI適応と,比較的日本のガイドラインに近く,頻繁または重度の失神エピソードを呈する反射性失神の疑い,または確実な患者ではクラスIIaとなっている.図5 植込み型ループ式心電計の留置部位

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3)潜因性脳梗塞における心房細動検出

潜因性脳梗塞については,CRTSTAL AF試験は,441例を対象としてILRによる長期心電図モニタリングと,コントロールとしての標準的な心電図モニタリングによる心房細動検出率を比較した無作為化比較試験である58).6ヵ月後の初回心房細動検出率はコントロール群1.4%に対し,ILR群8.9%で,12ヵ月後ではコントロール群2.0%に対し,ILR群で12.4%であった58).検出された79%が無症候性心房細動であり,ILR以外では検出できなかった可能性がある58).ILR群と従来診断群を比較した4研究のレビュー(1,102例)では,ILR群で心房細動検出率は2.46倍,抗凝固療法開始は2.07倍,脳梗塞再発は0.45倍であったと報告しており,ILRの使用は潜因性脳梗塞における脳梗塞再発減少に寄与していると考えられる59).様々な研究で,潜因性脳梗塞患者における心房細動検出率は2~3割であることが報告されており,いずれも無症候例が多い60).

日本のガイドライン12)でも,潜因性脳梗塞と診断された患者において,ホルター心電図を含む長時間心電図検査でも原因が同定されない場合,原因としての心房細動検出目的にILR を使用することがクラスIとなっている. 4)現在使用可能なILRについて

現在3種類のILRがあり,それぞれの特徴を表6に示す.製品の電池寿命は4.5年から6.6年と初代のものに比べかなり長くなっている.大きさはAssert-IQ TM,LINQ II TMはかなり小型であるという利点がある. BIOMONITOR IIImはセンシング効率を考え,電極間距離を十分とっているため,ほかに比べ少し長い形状となっている61).

診断機器として重要な診断機能に関しては,各社とも偽陽性低減アルゴリズムを追加搭載しており,不整脈検出精度を高めている.近年では,R波高値が減少した際や電極と組織の接触不良に対し,Pause/Bradyエピソードの偽陽性を低減するようなアルゴリズムや,ノイズに対してTachyエピソードの偽陽性を低減するアルゴリズムが搭載されている.表6 ILR(3機種)の特徴

メーカーAbbott Medtronic BIOTRONIK販売名Assert-IQ TM LINQ II TM BIOMONITOR IIIm

外観

電池寿命6.6年4.5年5.5年サイズ(容量/寸法)1.9 mL/49.5× 9.5× 4.4 mm 1.4 mL/45.1× 8.0× 4.2 mm 1.9 mL/77.5× 8.6× 4.6 mm

心電図の送信全件送信か,3件で選択ECG3件/ログ10件6件

記録手動:前4-14分/後30-60秒

自動:10-60秒(AF150秒)手動:前9-14分/後1分自動:前30秒 終了前27秒

(AF120秒)手動:前7分/後30秒自動:前30秒 検出後10秒

自覚症状の記録方法

(手動記録)スマートフォンアプリ携帯型の専用機器・スマートフォンアプリ携帯型の専用機器遠隔モニタリングありありあり

遠隔端末スマートフォンのアプリ据置型・スマートフォンの

アプリ携帯型の専用機器

遠隔での設定機能ありありなし

その他の機能心拍変動・アクティビティ・

姿勢・PVCバーデン心拍変動・アクティビティ・

PVCバーデン心拍変動・アクティビティ・

PVC数/日

293 心電図 Vol. 44 No. 4 2024
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心房細動検出についても各社強化されている.LINQ II TMは,RRインターバルのばらつきを見るためのローレンツプロットと先行するP波をみている.心房期外収縮/心室期外収縮との識別を強化し,偽陽性低減アルゴリズムの改良を行うことで,心房頻拍/心房細動の陽性的中率は95.3%と報告されている104).Assert-IQ TMは30秒の事前検出ウィンドから心房細動検出間隔と波形,P波の有無から5段階の心房細動検出・判別機能を有し,従来モデルと比べ97%の相対感度で不適切検知を45.8%削減している105).BIOMONITOR IIImは不規則なRRインターバルから期外収縮を除外する機能が搭載されている.

心室期外収縮の認識も可能となっており,Assert-IQ TM,LINQ II TM は,R-R Intervalパターンと波形解析を用いており,各機種ともPVCバーデンを見ることが可能である.LINQ II TMの心室期外収縮検出アルゴリズムは,特異度99.6%と報告されている62).Assert-IQ TMは2連および3連の心室期外収縮も検出可能で,特異度 99.7%の心室期外収縮検出アルゴリズムが搭載されている106).そのほか,心拍変動やアクティビティなどの機能,不整脈検出時の体位変化表示が搭載されている機種もある.

イベント時の心電図記録時間はどの機種もほぼ同じであり,自覚症状の記録方法(手動記録)は各社で異なる.ASSERT-IQ TMはスマートフォンのアプリのみ対応で,BIOMONITOR IIImは携帯型の専用機器となる. LINQ II TMはアプリと携帯型の専用機器のいずれかから選択可能である.遠隔モニタリングに関しては,対応端末の違いはあるが,各社とも遠隔モニタリング機能がついている.Assert-IQ TMでは全件で電位(EGM)送信が可能である.LINQ II TM,Assert-IQ TMは,遠隔でのプログラミングが可能という利点がある.

2.携帯型/装着型心電計(体外式ループ式心電計を含む)とILRの使い分け

ILRは,頻度の少ない発作的な不整脈を検出する目的で,前胸部皮下に挿入される心電計機器である.症状出現時のイベント記録が可能であり,設定された心拍異常(徐脈,心停止,頻脈,心房細動など)発生時の心電図が保存され,3~5年の電池寿命がある.

携帯型の手操作心電計(イベント心電計)は発作時に携帯していたレコーダを胸に当て,イベントボタンを押すことで心電図を記録するもので,症状を有する患者で有用性が高い.症状と不整脈との因果関係を知るには有用である7).体外式ループ式心電計は電極を胸に貼付しておき,心電図を記録する.ループ式で発作時点から数十秒~数分間さかのぼって心電図記録ができる.また,設定された心拍異常発生時に心電図が自動的に記録される.症状のない患者における不整脈の検出にも有用である.機能的にはILRとほぼ同等だが,装着期間は最長で2週間から4週間である.

装着型の長時間心電計は長時間記録可能なホルター心電図のようなもので,最長14日間にわたり心電図の連続記録が可能である.ただし1チャンネルしか記録ができず,また電極間距離が短いため,上室性・心室性の鑑別など,記録の質としてはホルター心電計に劣るが63),ポーズや頻脈といった基本的な波形の鑑別には十分である.

ILRは原因不明の失神と潜因性脳梗塞における心房細動の検出のみが保険適用である.手操作携帯型心電計は自分の手で心電図を記録する必要があり,有症候例に適する.失神例や潜因性脳梗塞における無症候性の心房細動の検出には不適当で,ILRの代替としては不適当である.原因不明の意識消失患者60例でILR群と従来法群(体外式ループ式心電計+チルト試験+電気生理学的検査)に分けた1年後の診断率はILR群52%,従来法群20%(P=0.012)であった64).原因不明の失神患者は体外式ループレコーダよりもILRの適応だが, ILRは患者にとっては侵襲的な検査であり,すぐには同意が得られない場合もある.ILR適応例に対して,まず体外式ループ式心電計や長時間の携帯型心電計を用いて数週間記録を行い,診断が付かなければILRを植心電図 Vol. 44 No. 4 2024 294
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込むというアプローチは可能である65).頻度が数週に1回以上の不整脈イベントには体外式ループ式心電計や長時間の携帯型心電計が,それ以下の症例に対してはILRが適しているといえる66)(表7).

V.携帯型/装着型心電計の不整脈/病態ごとの診断/評価1.心房細動の検出とその精度

粘着性ゲル電極を用いた貼付型心電計では最高7日間の連続装着が可能であり,心房細動の診断率が向上する67).着衣型であるhitoe ®ドライ電極を用いれば,さらに14日(2週)間の連続記録が可能となる68), 69).心房細動カテーテルアブレーション術後の心房細動再発率を検証した無作為クロスオーバー研究で,心電図記録の取得率が入浴時の脱着やノイズなどの影響で24時間ホルター心電図(100%)と比較して82.4%と低くなるものの,より長期間の記録により,心房細動の検出率が3倍高くなることが示されている70).

携帯型の手操作心電計は,有症候時あるいは定期的に患者自ら記録でき,単一誘導から6誘導まで記録できる機器がある.オムロン社製のHeartScan HCG-801-E ®は,単一誘導で30秒間の記録が可能で,標準の心電図と比較して心房細動の検出が感度99%・特異度96%と高く検出できることが示されている71).このような手操作心電計で心房細動検出を検討した18研究のメタ解析では,24時間ホルター心電図と同等であることが報告されている14).ただし,無症候性心房細動の場合には検出力が低下するため,さらに長時間の記録が必要となる.

スマートフォンに外付け機器を利用した手操作心電計(FDAおよびCE承認)が5社から発売されている.これらの心房細動の識別精度を調べたところ,感度が58~85%,特異度が75~79%であり,統計学的に機種間で差はないことが示されている72).ただし,心房細動検出アルゴリズムで判定不能となる割合が17%から24%と比較的高いことから,医師による心電図判定は必要とされている.

2022年に公表されたFitbit ® Heart Studyでは,不規則心拍(心房細動)をデバイスの加速度計で安静にしている期間にタコグラムを検出するアルゴリズムとなっている.貼付型心電計モニタリング中に,不規則心拍の検出があった225例中221例で心電図が同定され,陽性的中率は98.2%であった73).Apple Watch ®はPPGにより心拍数を測定し,不規則脈拍を検出した際には,心拍の変動を継続的に測定するアルゴリズムとなっている74).Apple Heart Studyでは,モニタリング期間117日の間に419,297例中2,161例(0.52%)で不整脈の通知が表示された.心電図での心房細動の記録と不整脈通知を同時に検出した時の陽性的中率は84%であった.また心房細動と不規則なタコグラムを検出した場合の陽性的中率は71%であった28).2019年に公表されたHuawei Watch ®を使用した研究では,187,912例中424例(0.23%)で心房細動の疑い通知が検出され,そのなかの262例中227例で心房細動と診断され,PPGの陽性的中率は91.6%であった29).多くの装着型のPPGでは,

表7 各心電図記録装置の記録時間と診断率記録時間動悸(%)失神(%)潜因性脳梗塞(%)

手操作心電計(イベント心電計) 30秒50~60不適当不適当

貼付型心電計最長2週間50~70 5~10 5~10体外式ループ式心電計1~4週70~85 15~25 10~15

ILR 5~6年80~90(適応なし) 30~50 15~20

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偽陽性を抑制するために体動時には不整脈検出を行わないアルゴリズムを採用しており,連続的な監視ができないことから,心房細動の発生を過小評価している可能性がある.また,体動以外にも,PPGの精度に影響を与える要因として肥満や肌の色が濃い,入れ墨,皮膚血液潅流の低下,低体温,手首の動き,皮膚への接触不良,アンビエントライト(環境光)が挙げられる75).加えて,心房細動検出の心拍数にも制限があり,50/分以下の徐脈性心房細動はアルゴリズムでは検出できず,心拍数が100/分を超えると心房細動の検出率が低下することが報告されている28).

Apple Watch ®は「家庭用心電計プログラム」の医療機器として認可を受けているが,不整脈の診断をされたことがある人による使用や,医学的判断の根拠として使用することは意図していないと添付文書に明記されて

PPG based devices ECG based devices

医薬品医療機器等法に基づいた保険償還されている心電計

医師による心電図波形確認

AF疑いAF確定診断

10 20 seconds 10 20 seconds

図6 医師によるPPGを利用した各種携帯型/装着型心電計の役割と心房細動確定診断までの流れ

表8 コンセンサスステートメント

心房細動の検出推奨クラス

発作性心房細動の診断に携帯型心電計,貼付型および着衣型心電計,手操作心電計を使用する. ♥

発作性心房細動の再発を疑うことにおいてフォトプレチスモグラフィーを用いたスマートウォッチのような装着型心電計を補助的に使用する. ♥

発作性心房細動の初回診断においてフォトプレチスモグラフィーを用いたスマートウォッチのような装着型心電計を使用する. ♥

スマートウォッチのような装着型心電計で疑われた心房細動に対して,薬物やカテーテルアブレーションで治療介入を行う. ♥

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いる.そのため,医薬品医療機器等法に基づいた長時間心電計や保険償還されている携帯型/装着型心電計を用いて確定診断を行わなければならない(図6).

心房細動の検出についてのコンセンサスステートメントを示す(表8).

2.心房細動以外の不整脈の評価

リード付きの古典的な24時間ホルター心電計では,ほぼすべての頻脈性および徐脈性不整脈の検出が可能である.徐脈性不整脈については,ポーズの数と時間を定量的に評価できる.頻脈性不整脈については,上室・心室期外収縮の数をヒストグラムなどで示しながら定量的に評価でき,心室期外収縮については連発数,2段脈,R on T,心室頻拍などの有無を表示でき,さらに波形ごとの出現頻度についても知ることができる.貼付型心電計と体外式ループ式心電計でも,同様に心室期外収縮の数やヒストグラムなどを定量的に評価することができるが,1誘導による自動解析のため,ノイズ,電極の貼付位置,体位変換などで解析が十分ではなく,古典的な24時間ホルター心電計と比べて精度は若干劣る.手操作心電計と心電計付き血圧計では,不整脈を定量的に評価できない.スマートウォッチのような装着型心電計では心房細動以外の不整脈の検出は想定しておらず,心房細動を含めて不整脈の診断に使用できない.すべての携帯型心電計/装着型心電計に共通することとして,不整脈の検出精度は患者自身の検査に対する理解度に依存することを知っておかなければならない.

動悸などの症状がある不整脈の診断には,古典的なホルター心電計よりも,より長く記録できる貼付型心電計のほうが診断率は高いことが示されている76).瞬間的な症状に対しては,自分で記録することはできないため,貼付型心電計や体外式ループ式心電計が推奨される.ハイリスクの失神例で発作頻度が低い場合はILRの適応となる12).一方で,症状があるものの重篤ではなく,かつ発作が少ない場合は,手操作心電計を活用する.

心房細動以外の不整脈の検出についてのコンセンサスステートメントを示す(表9).

3.失神の原因検索における活用

失神の原因として心原性が疑われる場合,不整脈による関与を疑わなくてはならない.不整脈原性失神の診断においては,発作と心電図記録との関連性をみることがゴールドスタンダードである.失神時に原因と考えられる不整脈の記録が認められなければ,不整脈の関与を排除できる.無症状でも失神の原因として矛盾しない不整脈が記録されれば,診断の根拠となる.効率的な原因精査には,失神の頻度に応じて適切な心電計を選択することである.心原性失神が疑われた高リスク患者や失神直後の患者については,心電計を用いたモニタリングは必要である.心電計ごとに診断率にばらつきはあるものの,次の失神発作のリスクを早急に回避するために行うことが推奨されている57), 77).

古典的なホルター心電計は記録時間が短いため,装着中に失神が再発しないことが多く,診断への効果は限

表9 コンセンサスステートメント

心房細動以外の不整脈の検出推奨クラス

心室期外収縮の評価において古典的なホルター心電計を使用する. ♥

症状を有する瞬間的な不整脈の検出において貼付型および着衣型心電計または体外式ループ式心電計を使用する♥

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られるものの78),失神や前兆が頻繁にある場合には,失神と心電図の相関性を示すことで,失神への不整脈の関与の有無を明らかにするのに役立つ.手操作心電計はループ式でないため,発作性に失神が出現する患者では使用できない.ただし,失神後に動悸などの症状が持続する場合には原因究明の手掛かりとして活用できる.スマートフォンの心電図アプリケーションは,不整脈を正確に検出することができないため,失神の原因検索に用いることはできない.

体外式ループ式心電計は古典的なホルター心電計とILRの中間的な位置づけとなる.自動トリガー機能を持つため無症状イベントの記録が可能であり,ループ式のため,症状発生後の手動操作によってさかのぼって心電図を取得できる.特に失神後,早期に使用することで診断率は向上する6).侵襲性がなく経済的負担も少ない.ILRは失神発作が稀な場合に適しており,体外式ループ式心電計と同様に自動トリガーとループ機能によって失神時の心電図を記録でき,その診断率は体外式ループ式心電計よりも高い.侵襲的処置が必要であり経済的負担は高いが,従来のホルター心電計を含む携帯型心電計と比較して診断率は3.7倍増加し,費用対効果は高いと報告されている57).図7 失神の頻度と使用すべき心電計

○:適応あり,×:適応なし,空白:考慮すること可.

表10 コンセンサスステートメント

失神発作に対して使用すべき心電計推奨クラス

不整脈原性失神が疑われた患者に対して,古典的なホルター心電計,貼付型および着衣型心電計,体外式ループ式心電計を使用する. ♥

失神発作が稀でその原因として不整脈が疑われた患者にILRを使用する. ♥

失神患者の原因検索にスマートウォッチの心電図アプリケーションを使用する. ♥

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失神の頻度により,1日1回以上なら古典的なホルター心電計,1~2週間に1回程度なら貼付型および着衣型心電計,1ヵ月未満に1回程度なら体外式ループ式心電計,それ以上で数ヵ月から数年に1回程度ならILRを考慮する(図7).

失神発作に対して使用すべき心電計についてのコンセンサスステートメントを示す(表10).

4.心臓突然死の予知における活用

高分解能ホルター心電計は心臓突然死の予知指標の解析を可能にする.日本において有用性が示されている指標について解説する. 1)心室レイトポテンシャル(late potentials:LP)

心室LPは心筋の脱分極異常の指標である79), 80).高分解能ホルター心電計でLPの計測が可能となり,後述する心拍タービュランスや非持続性心室頻拍(nonsustained ventricular tachycardia:NSVT)と組み合わせて81)~85),特に左室駆出率が保たれた心筋梗塞後の患者のリスク層別化に有用である.不整脈原性(右室)心筋症では診断基準の小項目に心室LPが含まれる86).ブルガダ症候群についても,心室LPは致死性不整脈の予知に有用との報告がある87), 88). 2)T波オルタナンス(T wave alternans:TWA)

TWAとは,形の異なるT波が一拍毎に交互に出現する現象で,再分極異常を反映する89), 90).運動負荷中にスペクトル法(frequency domain法)で記録したTWAは,主に虚血性心疾患において致死性不整脈や突然死のリスク評価に有用である91)~94).高分解能ホルター心電図を用いてMMA法(time domain法)で記録されたTWAについては90),LPやNSVTなどのその他の非侵襲的指標と組み合わせると有用性が高まる95). 3)心拍変動指標(heart rate variability:HRV)

HRVはRR間隔の変動を定量化し,自律神経機能を評価する.一般的なのはSDNN(standard deviation of NN interval)に代表される時間領域解析と,LF(low frequency),HF(high frequency)に代表されるスペクトル法である96).SDNNが最もエビデンスを有し,特に心筋梗塞後の突然死との関連がある97). 4)心拍タービュランス(heart rate turbulence:HRT)

HRTは心室期外収縮後の一過性血圧低下に対する頸動脈圧受容体反射による迷走神経刺激を介した心拍応答から,副交感神経機能低下を反映させる指標である98).TWAを組み合わせると有用性が高まる99)~102).日本で行われたJANIES試験において,NSVTと組み合わせると心臓死に対する予知精度が高まることが示された81).

上記に挙げた4つの心臓突然死予知指標を計測できる,現在日本で使用可能な機種と測定可能な予知指標を表11に記載した.加えて,予知指標の活用についてのコンセンサスステートメントを示す(表12).

5.アスリートにおける活用

競技レベルのスポーツを行うアスリートでは,運動中および運動直後の突然死例がしばしば報告される.このため,アスリートを対象とした心電図モニタリングは,日常生活下に加えて,競技中の不整脈評価を必要とする場合がある.また,運動強度の評価や心肺機能の耐運動能評価の目的で運動中の心電図を記録するため,競技中の心電図モニタリングを行うことがある.日常生活下での心電図評価については通常の検査と差異はない.

一方,運動中の心電図記録では,運動による体動ノイズが大きく混入すること,電極と皮膚との接触が変

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動すること,発汗により水分量が増えること等の問題から,通常の心電図記録とは条件が大きく異なり,特に電極の選択が重要となる. 1)心電計

運動中の心電図を記録する際には,運動そのものの障害にならないような小型の携帯型心電計が使用されることが多い.ただし,イベントボタンの操作が困難なこと,ノイズ混入がイベントトリガーとなりうることから,体外式ループ式心電計の利用は少ない.また,運動中の心電図記録には,電極の要素が重要であり,電極一体型の貼付型心電計は,運動中の電極性能を評価して使用する必要がある. 2)電極

アスリートレベルの運動では,電極装着による不快感に加えて,発汗による電極脱落・運動によるノイズ混入が問題となる.特に長時間記録を行う場合には電極選択が重要である.

接着基材や導電粘着ゲルを使用した単回使用電極は,短時間の粘着性には優れるものの耐水性が低く,運動中の発汗等で容易に脱落する.表13に圧着に関与する基材の特徴を示した.粘着性のない導電ゲル・ゴム・繊維型電極は,バンドやコンプレッション型シャツなどを用いて一定の圧着を維持する必要がある.導電ゲルは発汗の水分によって膨化するため,長時間のモニターには不適である.導電ゴムや導電繊維は,上記の圧着の問題を解決すれば,耐水・耐汗性に優れ長時間の心電図記録が可能である69).また,これらの電極の多くは水洗い後の再利用が可能であり,シャツに縫いこんだ形で使用される.これらを用いたシャツ型電極やバンド型電極は,小型心電計を前胸部などに配置して使用される.

表11 日本で使用可能なホルター心電計および解析装置と心臓突然死の予知指標

LP TWA HRT HRV

フクダ電子社製ホルター記録器Digital Walk FM-1500(端末)ホルター心電図解析システムSCM-9000(解析機) ○ ○ ○ ○日本光電工業社製長時間心電図記録器Cardiomemory RAC-5203(端末)長時間心電図解析装置DSC-5000シリーズ(解析機) ○ ○ ○ ○ GEヘルスケア社製SEER1000ホルタレコーダ(端末) SEER12ホルタレコーダホルター解析ワークステーションCardioDay(解析機) NA ○ ○ ○ MicroPort

RCRM社製SpiderView

RLA456(端末) SyneScope

R(解析ソフト) ○ NA NA ○

表12 コンセンサスステートメント

予知指標の活用推奨クラス

不整脈原性(右室)心筋症の診断においてLPを評価する. ♥

心臓突然死の予知において,LP,TWAまたはHRTをNSVTと組み合わせて評価する. ♥

ブルガダ症候群が疑われた患者において,LPを評価する. ♥

心筋梗塞後または非虚血性心筋症患者のリスク評価において,心室LP,TWA,HRVまたはHRTを単独で活用する. ♥

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VI.将来の展望

発作時に活用する心電計は,小型化,ワイヤレス接続,スマートフォン統合,バッテリー寿命の延長,データ分析アルゴリズム開発など,革新的な進歩を遂げている.しかしながら,製造メーカーにおいては,ユーザーの個人情報の保護とデータのセキュリティを確保し,記録装置の安全性,精度,信頼性の向上にも努める必要がある.最後に,医師や医療従事者はユーザーに対して記録装置(心電計)の適正使用を勧める必要がある.すなわち,本記録装置は「管理医療機器」および「特定保守管理医療機器」であること,また,解析プログラムは「管理医療機器」であることを念頭に置き,本装置が疾病の診断,治療,予防といった医療用途での自己利用が可能であると誤認させてはならない.すなわち,1使用に当たっては医師や医療従事者の指示を受け,使用方法の説明を受けたうえで使用すること,2医師の指導なく,測定結果によって自己診断を行わないこと, 3医師へは測定結果だけでなく,自覚症状等を併せて報告することの3点を伝えることが肝要である.

将来の展望として,心電計の利便性とアクセス性の向上とともに,AIによるデータ解析能の向上,遠隔医療への応用,およびウェアラブルテクノロジーとの統合などが期待される.携帯型/装着型心電計を適正に使用することで,心臓疾患の早期発見や個別化治療に役立てることが求められている.

謝辞

本ステートメント作成にあたり,メーカー各社による精査および画像をご提供いただいた.ここに感謝の意を表する.

COI開示事項

本ステートメント作成にあたり,開示すべきCOI関係(アドバイザリー,共同研究,寄付講座への寄付,講演等)にある企業は下記のとおりである(50音順).

芦原貴司;オムロン ヘルスケア(株)/GEヘルスケア・ジャパン(株)/日本光電工業(株)草野研吾;JSR(株)朔 啓太;オムロン ヘルスケア(株)笹野哲郎;フクダ電子(株)清水 渉;オムロン ヘルスケア(株),ケンツメディコ(株),日本ライフライン(株)妹尾恵太郎;オムロン ヘルスケア(株)髙月誠司;アボットメディカルジャパン(同),日本ライフライン(株),バイオトロニックジャパン(株),日本

表13 電極の圧着に関与する基材の特徴

ソリッドゲル/ペースト+接着基材型電極導電粘着ゲル型電極導電ゲル導電ゴム導電線維

粘着性★★★ ★★なし*なし*なし*耐水・耐汗性★ ★ ★★ ★★★ ★★★

耐久性★ ★★ ★★ ★★★ ★★★再使用不可不可★ ★★★ ★★★ *バンドやコンプレッション型シャツ等による圧着が必要. ★★★:とても高い,★★:高い,★:許容できる範囲内.

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p.28
メドトロニック(株)

髙見 充;アボットメディカルジャパン(同)藤生克仁;SIMPLEX QUANTUM(株),日本ライフライン(株),フクダ電子(株),日本メドトロニック(株),バイ

オトロニックジャパン(株)

〔文   献〕

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