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マバカムテン適正使用に関するステートメント(第2版, 2026) 日本循環器学会・2026・5 ページ · 心不全・心筋症
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マバカムテンの適正使用に関するステートメント(第2 版)            2026/6

2025 年5 月より、我が国で症候性閉塞性肥大型心筋症のマバカムテン(商品名カムザイオス)が使用可能になった。本薬剤を我が国の臨床現場に安全に導入するために、2025 年3月にマバカムテンの適正使用に関するステートメントを発出した。市販直後調査では、危惧された左室駆出率の過度の低下を認めた症例は極めて少なく、本薬剤が安全に臨床現場に導入されたことが確認された。一方、幾つかの問題点も明らかなになってきた。これらをうけて、マバカムテンの適正使用に関するステートメントを以下の様に改訂する。なおマバカムテンの使用に際しては、マバカムテンの適正使用に関するステートメント(第1 版)も参考にすること。

カムザイオス®(マバカムテン)の適応

閉塞性肥大型心筋症

マバカムテン投与に当たっての注意点

1 NYHA Class II/III の症候性閉塞性肥大型心筋症患者を投与の対象とする。NYHA IV度

の患者への投与は推奨されない。

2 最新のガイドラインに従い、表現型の類似する心アミロイドーシスやファブリー病などの二

次性心筋症を除外すること。3. 指定難病の交付を受けていることが望ましい。

4 心不全症状があり、心エコーで、左室駆出率が55%以上(出来れば60%以上であることが

望ましい)および圧較差(安静時あるいはバルサルバ/運動負荷時に原則50 mmHg 以上)を認めることを確認する。ただし、閉塞性肥大型心筋症の圧較差が動的であることを鑑み、圧較差が50 mmHg 近傍であり、患者の自覚症状が圧較差によるものであると担当医が判断する場合は、マバカムテンの投与を考慮しても良い。5. 心エコーの指標を確認しながら漸増し、適切な量まで増量すること。

本剤は特異的な副作用は少ない。重大な副作用は本剤による左室駆出率の過度の低下が挙げられる。本剤の半減期は6-9 日と長いため((日本人に多いCYP2C19 のpoor metabolizer では23 日)、投与中止後も左室駆出率の過度の低下が遷延する恐れがある。よって、心エコーを中心にモニタリングしながら、少量より開始し、十分な効果が得られるまで漸増することが重要である。

6 現時点ではβ遮断薬あるいはカルシウム拮抗薬に併用で使用することを原則とする。ま

た、承認の根拠となった検証的試験等では、ナトリウムチャンネル拮抗薬との併用は認めておらず、本剤とナトリウムチャンネル拮抗薬との併用の有効性、安全性は検討されて
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いない。ただし、ナトリウムチャンネル拮抗薬投与中の患者において、ナトリウムチャンネル拮抗薬をマバカムテンに切り替える際、マバカムテンの効果がでるまで一定期間かかることより、ナトリウムチャンネル拮抗薬の中止による心不全症状の一過性の悪化が観察された。よって、一定期間ナトリウムチャンネル拮抗薬とマバカムテンを併用し、ナトリウムチャンネル拮抗薬を漸減・中止することも考慮する。圧較差軽減のために、ナトリウムチャンネル拮抗薬とマバカムテンを長期併用することの有効性、安全性は確認されていない。

7 左室中部閉塞単独の閉塞性肥大型心筋症に対する使用は推奨しない(保険適応外であ

る)。左室中部閉塞を伴った左室流出路閉塞に対しては慎重に投与する。

8 食事の有無にかかわらず、マバカムテンの経口投与後の吸収性は良好である。85%は尿

中に排泄され、未変化体で尿中に検出されるのは投与量の3%未満である。主に(74%) CYP2C19 により代謝され、一部(18%)が CYP3A4/5 により代謝され、残りは CYP2C9等により代謝される。そのため中等度以上のCYP2C19 阻害薬との併用は、マバカムテンの濃度を増加させる可能性があるため注意が必要である。強いCYP3A4 阻害剤については、CYP 2C19 poor metabolizer の患者で、さらに血中濃度の上昇が危惧されるため、併用禁忌である(添付文書を参照)。併用注意のCYP 阻害剤の投与の際は、用量を1 段階減量(1 mg を投与中の場合は休薬)し、4 週間後に左室駆出率を確認すること。日本人集団に占めるCYP2C19 のpoor metabolizer の比率が、白人に比し高いことが知られているが、poor metabolizer で副作用が増加するとの報告は今の所ない。

9 本剤は、心筋イオンチャンネルに与える影響は低いがQT 延長や浮動性めまいが報告さ

れている。増量の際には、心エコー検査に加えて心電図の施行をおこない、QT 延長の有無を確認することが望ましい。

10 その他、妊婦又は妊娠している可能性のある女性、重度の肝機能障害(Child-Pugh 分類

C)のある患者は投与禁忌である。11. 小児での有効性および安全性は検討されていない。12. 以下に添付文書に記載された用量調節を示す。
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★注意

上記用量調整を元に当ステートメントでは、以下を強く勧告する。

1. 投与開始時のLVEF は第3 相試験を参考に60%以上が望ましい。2. 投与開始8 週目に心エコーを施行すること。
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その際に1)LVEF<50%であれば投与を中止する2)LVEF≧50%の場合・投与量が2.5mg で、LVOT 圧較差≧20mmHg→2.5mg で継続・投与量が2.5mg で、LVOT 圧較差<20mmHg→2.5mg で慎重に継続もしくは臨床所見が不安定(自覚症状の悪化、急速なLVEF の低下など)の場合は投与中止し、休薬基準に進む・投与量が1mg で、LVOT 圧較差≧20mmHg→1mg で継続・投与量が1mg で、LVOT 圧較差<20mmHg→1mg で継続もしくは臨床所見が不安定(自覚症状の悪化、急速なLVEF の低下など)の場合は投与中止し、休薬基準に進む

マバカムテンを安全に導入するための体制

1 施設要件

以下の条件を満たす施設で導入および維持量が決定するまで管理を行うこと

1 日本循環器学会認定循環器研修施設2 心臓超音波検査を専門とする循環器専門医が在籍する施設(日本心エコー図学会認定

心エコー図専門医もしくは日本超音波医学会認定超音波専門医を持つ循環器専門医が在籍することが好ましい)で、心臓超音波検査を4週おきに行い、肥大型心筋症評価に必要な検査(左室駆出率および安静時およびバルサルバ負荷時の圧較差)を適切に実施できること。3 年間20 例以上の肥大型心筋症患者を診療している施設4 カムザイオスカプセル E-Learning を受講した医師が在籍していること

2 医師要件

以下の条件を満たす医師により導入および維持量が決定するまでの管理を行うこと

1 最新の診断基準に則り診断された肥大型心筋症患者を継続的に5 例/年以上診療して

いる医師2 循環器専門医の資格を有していること3 カムザイオスカプセル E-Learning を受講していること
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維持量が決定し、病状の安定している患者への継続処方については、患者さんの利便性を考慮して、後方病院(循環器研修関連施設もしくは循環器専門医資格を有する医師の在籍するクリニック、処方する医師はカムザイオスカプセル E-Learning を受講済みであることは必須)でも可である。また、増量中の処方も、通院が頻回になるため、後方病院(前記)でも可とする。しかし、増量、減量、中止の判断に重要な心エコー検査は、循環器研修施設で行う。維持量の変更もあるために、導入した施設は、可能なら定期的モニタリングと臨床経過の追跡調査が可能な状態を維持すること。