p.63 抽出テキスト
3) 投与の実際先天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲン製剤の投与は、出血時の止血や、手術・分娩時の出血予防を目的として行われる。止血に必要とされる最低フィブリノゲン濃度は60~100 mg/dL とされている。 産科危機的出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対しては、投与前のフィブリノゲン濃度を測定し、フィブリノゲン濃度150mg/dL 未満の症例に投与を行う。1 回フィブリノゲン3g を静脈内投与する。投与後もフィブリノゲン濃度を測定し、必要に応じて同量の追加投与を行う。 フィブリノゲン1 mg/kg の投与により、血漿中濃度は約1.8 mg/dL 上昇するとされており、体重60 kg の患者にフィブリノゲン製剤3g を投与した場合、約90 mg/dL の上昇が期待される。 4) 不適切な投与 適応外疾患への使用、フィブリノゲン濃度の確認を伴わない投与、ならびに出血傾向のない症例への漫然とした投与などが該当する。 5) 使用上の注意 主な副反応は発疹、そう痒感、発熱などの軽度な過敏反応であり、まれにアナフィラキシーやショック、血栓塞栓症などの重篤な症状も報告されている。 製剤はヒト血漿を原料とし、ウイルススクリーニングや複数のウイルス不活化・除去工程を経て製造されている。感染症伝播のリスクは極めて低いが完全には否定できない。 文献 1 園木 孝志, 蒸野 寿紀, 上田 恭典, 他. 科学的根拠に基づいた赤血球製剤の使用ガイド ライン(改訂第3 版). 日本輸血細胞治療学会誌 2024;70(6):579-596. 2. Chen C, Wang L, Han B, et al. Autoimmune hemolytic anemia in hospitalized patients: 450 patients and their red blood cell transfusions. Medicine (Baltimore) 2020;99(2):e18739. 3 Carson JL, Stanworth SJ, Guyatt G, et al. Red Blood Cell Transfusion: 2023 AABB International Guidelines. Jama 2023;330(19):1892-1902.