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p.50 抽出テキスト

トリガー値(閾値)をHb 7~8g/dL にした赤血球輸血療法で安全で十分な臨床的効果があることが示唆されている。しかし、心肺機能に障害がある患者、虚血性心疾患における輸血トリガー値には議論がある。また、急性出血の場合、Hb 値だけを輸血適応の判断材料にせず、臨床症状(血圧、脈拍など)を参考にする。

3) 使用指針1) a) 原疾患の治療を優先すべき疾患

鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血、AIHA では、生命の維持に支障をきたす場合を除いて、赤血球輸血を行わないことが提案されている。AIHA と診断された入院患者450 名の後方視的解析では、Hb 4.0~5.9g/dL がAIHA 患者にとって最良の輸血トリガー値であることが示されている2)。

b) Hb 6~7g/dL を赤血球輸血トリガー値として考慮する疾患

再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などでは、Hb 6~7g/dL を輸血トリガー値とした制限輸血が弱く推奨されている。Association for the Advancement of Blood & Biotherapies(AABB)のガイドラインにおいて「造血器疾患および腫瘍性疾患」では、Hb 7 g/dL 未満での輸血が“low certainty evidence”に基づく弱い推奨とされている3)。

c) Hb 7~8 g/dL を輸血トリガー値として考慮する疾患

本邦のガイドラインでは、固形癌化学療法による貧血、造血器腫瘍に対する化学療法、造血幹細胞移植における貧血、消化管出血における急性期貧血、周術期患者の貧血において、輸血トリガー値をHb 7~8 g/dl とすることが推奨されている。また、心臓手術における貧血において、輸血トリガー値をHb 7.5~ 8 g/dL とすることが提案されている。一方、AABB のガイドラインでは血行動態が安定している入院成人患者において、Hb 7 g/dL 未満の場合に赤血球輸血を行うことが推奨されている。AABB のガイドラインは血行動態が安定している入院患者を対象としているのに対し、本邦のガイドラインは血行動態にかかわらず病態別に評価しているため、トリガー値の差が生じたものと推察される。

d) Hb 8~10 g/dL を輸血トリガー値として考慮する疾患