p.25 抽出テキスト
白血球抗体は経産婦の血液中に含まれる可能性が高いため、FFP に関しては男性由来の血液を優先的に使用した製造を行い、血小板製剤については抗白血球抗体のスクリーニングをTRALI 予防対策として行っている国もある。日本では全血400 mL 献血由来のFFP については100%男性由来となっている。その他の製剤についての対策は十分ではないものの、全体としてTRALI の発生は抑えられており、年間数例の発生にとどまっている。 d) 輸血関連循環過負荷(TACO) 輸血用血液製剤投与により循環過負荷を生じ、呼吸困難を伴う心不全となった病態をTACO と称する。TACO は、頻度の高い輸血副反応で、日本赤十字社への報告があった重症例だけでも年間100 件近くに達する。国際輸血学会(ISBT)などの国際機関は、報告基準を設け診断に役立てている。日本赤十字社の診断基準は上記に準じているが、発症時期を輸血後12 時間以内ではなく6 時間以内と定めている。大量輸血に限らず、通常量の輸血用血液製剤投与でもTACO を発症する可能性がある。そのため、2 バッグ以上の輸血用血液製剤を一度に投与することは緊急時以外避けるべきである。また輸血前の患者評価が重要で、特に心機能低下(BNP・NT-proBNP が高値、不安定な循環動態)・腎機能低下・呼吸不全を有するハイリスク患者においては輸血量や投与速度に特段の注意を払う必要がある。 e) 電解質異常と低体温・アシドーシス(表2 参照) f) 輸血後移植片対宿主病、輸血後鉄過剰症、輸血関連免疫修飾(表3 参照) 3) 感染症 血液を介して感染する病原体には様々なものがあるが、献血の際に排除できない不顕性感染で、日本である程度浸淫している病原体が主なスクリーニングの対象となる。現在、抗原・抗体検査としては梅毒、B 型肝炎(HBs 抗原・抗体、HBc 抗体)、C 型肝炎(HCV 抗体)、HIV-1/2 抗体、HTLV-1 抗体、ヒトパルボウイルスB19 抗原検査を行っている。B 型肝炎に関しては既感染者からの感染予防のためHBc 抗体の基準値の変更なども行い、感染のリスクはさらに低くなっている。HBV、HCV、HIV 、HEV に関しては個別NAT を行っている。しかし、NAT でも検出できないウィンドウ・ピリオドの問題は依然として存在し、抗体陰性でNAT でも検出できない感染初期の献血による感染のリスクは残存