p.16 抽出テキスト
3 輸血検査 輸血療法を実施する前には、患者の血液型を正確に把握する必要がある。ABO血液型不適合輸血は致命的な副反応を引き起こす可能性がある。また、輸血歴や妊娠歴等がある場合、赤血球に対する免疫抗体(不規則抗体)を保有する場合がある。不規則抗体に反応する赤血球製剤を輸血すると溶血性輸血反応を引き起こし、輸血効果が認められないなど、治療の遅延が生じる可能性がある。輸血検査は、安全に輸血を行うために重要な検査である。 本章では、正確な検査や解釈を実践するため赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドライン(改訂5 版)10)、並びにコンピュータクロスマッチに適合する患者と輸血管理システムに必要な条件(改訂2 版)11)を元に注意点をまとめた。 1) 赤血球抗体の臨床的意義12) 臨床的意義のある抗体とは、対応抗原を持つ赤血球を生体内で破壊し、溶血性輸血反応を引き起こす抗体である。規則抗体の抗A、抗B は、いかなる場合でも臨床的意義のある抗体である。また、輸血や妊娠などによって産生される抗体を不規則抗体と呼び、間接抗グロブリン試験で陽性を示す抗体は特に臨床的意義のある抗体である(臨床的意義のある抗体については下記8)の表を参照)。 緊急時、救命のためには、臨床的意義のある不規則抗体の存在下でも輸血を行わざるを得ないこともある(「危機的出血への対応ガイドライン」13)II章 参照)。 2) 検査用検体12) 検査用検体の採血では、患者誤認防止のため、患者からの氏名申告やリストバンド照合が重要である。免疫応答による抗体産生には個人差があるため、輸血や妊娠歴のある患者では、輸血日を含めた3 日以内の検体を使用することが望ましい。過去、3 か月以内に輸血歴、妊娠歴がない場合は採血から1 週間を限度に使用できる。検査に使用した残余検体・製剤セグメントは輸血後の副反応の原因を解明するために、7 から14 日間の冷蔵保存が望ましい。